説明

ロール装置の安全装置

【課題】混練するゴム材などの障害物や作業者の装着物の汚れなどにより検出する精度を落とすことなく検出し、作業者の身体の一部が所定の領域にあることを検出した時には、ロールの回転を停止などするロール装置の安全装置を提供すること。
【解決手段】電磁波を発生させる電磁波発生部130と、作業者Aの身体の一部に装着する装着物111に備えられ、電磁波発生部130が発生させる電磁波が届く所定の領域内120にある場合に信号を発生する電磁波通信体140と、該信号を受信する電磁波受信部150と、電磁波受信部150が受信した信号に基づき予め設定された条件を満たすか否かを判定し、この判定に基づき、ロール制御部160は、ロール駆動部102に対してロール101の回転を停止または逆転させる命令信号、および/または、ロール調整部103に対して2本のロール101の軸間の距離を拡大させる命令信号を出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキシングロール機やカレンダーロール機などのロール装置に対する安全装置に関し、より具体的には、ロール装置の周辺の所定の領域に作業者の装着物の一部が侵入したことを検出して、ロール装置を停止等させるための安全装置である。
【背景技術】
【0002】
これに関する先行技術として、特許文献1と2に開示されたものがある。
特許文献1には、2本のロール間の上方周辺に、作業者の手が侵入することにより変化する物理量を検出するセンサとして、静電容量センサのバー電極を配置し、この静電容量センサが検出した静電容量が所定値を超えた場合に判定回路が駆動部に運転停止の制御信号を送りロール混練装置の運転を停止させるというものである。また、上記静電容量センサの代わりに熱線センサや光電センサを用いることも開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、加工機械の安全装置において、垂直方向から作業面を含む領域を撮像する第1の撮像手段と、水平方向から前記作業面側面上方を含む領域を撮像する第2の撮像手段と、前記第1および第2の撮像手段から得られた各画像から、設定された危険区域内に配置された基準色と当該危険区域内において前記基準色と異なる色領域を判別して、作業者の身体の一部に装着された装着物を検出し、前記第1の撮像手段から得られた画像および前記第2の撮像手段から得られた画像の両者から装着物が検出されたときに機械の運転停止を行う制御部を備えるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−83201号公報
【特許文献2】特開2005−153051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、静電容量センサを用いる場合、導電体と考え得る作業者の手が侵入した場合の静電容量の変化により、作業者の手が所定の領域に侵入したことを検出するが、その静電容量の変化を検出する電極とロールとの間に誘電率の異なるゴム材が介在すると静電容量も変化してしまい、検出に信頼性を欠く。
【0006】
また、熱線センサを用いる場合、人間の手が放射する熱線の量やスペクトル分布とゴム材やロールが放射する熱線の量やスペクトル分布とでは相違があることにより、作業者の手が所定の領域に侵入したことを検出するが、混練作業中の作業者の手とゴム材とが、熱線センサに対して重なってしまうと(ゴム材が作業者の手と熱線センサとの間にあると)、検出に信頼性を欠く。
【0007】
また、光電センサを用いる場合も、光の直進性から、作業者の装着物と光電センサとの間にゴム材などの何らかの障害物がある場合には、検出に信頼性を欠く。さらに、作業者の装着物が作業中に汚れ、反射する光が弱くなった場合にも、検出の信頼性を落とすことになる。
【0008】
特許文献2においても、垂直方向と水平方向から撮像する場合に、上記光電センサと同様な問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、混練するゴム材などの障害物や作業者の装着物の汚れなどにより検出する精度を落とすことなく検出し、作業者の身体の一部が所定の領域にあることを検出した時には、ロールの回転を停止などするロール装置の安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、近接配置された2本のロールの外周面により材料を混練し、前記ロールを回転させるロール駆動部と、前記2本のロールの軸間の距離を調整するロール調整部を備えるロール装置において、電磁波を発生させる電磁波発生部と、前記ロール装置を使用する作業者の身体の一部に装着する装着物に備えられ、前記電磁波発生部が発生させる電磁波が届く所定の領域内にある場合に信号を発生する電磁波通信体と、前記電磁波通信体が発生する信号を受信する電磁波受信部と、前記電磁波受信部が受信した信号に基づき予め設定された条件を満たすか否かを判定し、該判定に基づき前記ロール駆動部および前記ロール調整部を制御するロール制御部と、を備え、前記ロール制御部は、前記予め設定された条件を満たすと判定した場合に、前記ロール駆動部に対して前記ロールの回転を停止または逆転させる命令信号、および/または、前記ロール調整部に対して前記2本のロールの軸間の距離を拡大させる命令信号を出力すること、を特徴とするロール装置の安全装置が提供される。
この構成によれば、混練するゴム材などの障害物や作業者の装着物の汚れなどにより検出する精度を落とすことなく検出し、作業者の身体の一部が所定の領域にあることを検出した時には、ロールの回転を停止、逆転させたり、2本のロールの軸間の距離を拡大させることにより、作業者の身体の安全性を向上させるロール装置の安全装置を提供することが可能となる。
【0011】
また、前記電磁波発生部は、電流を流すことにより電磁波を発生する引き回し自在のケーブルを備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、電磁波発生部が発生させる電磁波が届く所定の領域を自在に形成することができる。
【0012】
また、前記電磁波発生部は、さらに、電磁波を遮蔽または吸収する電磁波シールドを備え、該電磁波シールドは、前記所定の領域を規定することを特徴としてもよい。
この構成によれば、ケーブルが発生させる電磁波が届く領域の中で、電磁波を遮蔽または吸収する電磁波シールドによりケーブルが発生させる電磁波が届かない領域を規定し、電磁波発生部が発生させる電磁波が届く所定の領域を自在に形成することができる。
【0013】
また、前記電磁波発生部は、それぞれが異なる識別コードを有する複数の電磁波発生部からなり、前記複数の電磁波発生部が発するそれぞれの電磁波が重なる領域および/または重ならない領域が、複数の前記所定の領域を形成することを特徴としてもよい。
この構成によれば、複数の電磁波発生部が発生させる電磁波が届く所定の領域を複数設けることができるとともに、その複数の所定の領域は、それぞれ異なる所定の領域であると識別されるので、複数の所定の領域の重なり具合により、より精細な所定の領域を形成することができる。
【0014】
また、前記複数の所定の領域により、前記ロール制御部の前記予め設定された条件および/または前記命令信号が異なり、および/または前記命令信号の出力先が異なることを特徴としてもよい。
この構成によれば、複数の所定の領域のうちのそれぞれの所定の領域に応じて、異なる部分に、異なる対応を取らせることができる。
【0015】
また、前記電磁波発生部は、前記2本のロールの軸を含む平面よりも前記材料が2本のロール上に溜まる材料溜まり側にあり、前記ケーブルは、前記ロールの長さと前記2本のロールの軸間距離の長さを2辺に持つ略矩形に設置されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、ロール装置を用いてゴム材などの混練材料を混練する作業者の手などの身体の一部が、所定の領域に入ったことをロール装置のサイズに合わせて検出することができ、身体の一部が材料溜まりから2本のロールの間に引き込まれることを回避できる。
なお、ここで略矩形とは、厳密に矩形(対向する2辺が平行で同じ長さで、各内角が90度をなす四角形)である必要はなく、ロール装置のロールに対して所定の領域を形成するにあたり、無視し得る程度の辺の長さや角度の違いは含む程度の矩形を言う。
【0016】
また、前記電磁波発生部は、前記所定の領域が、前記材料が2本のロール上に溜まる材料溜まりを含むように調整された電流を前記ケーブルに流すことを特徴としてもよい。
この構成によれば、ロール装置を用いてゴム材などの混練材料を混練する作業者の手などの身体の一部が、材料溜まりから2本のロールの間に引き込まれることを回避できる。
【0017】
また、警報装置をさらに含むロール装置において、前記電磁波発生部は、2つの前記電磁波発生部からなり、該2つの前記電磁波発生部が電磁波を発生させる前記所定の領域が重ならない領域内では、前記命令信号の出力先が前記警報装置であり、前記命令信号が警報を鳴らすことであることを特徴としてもよい。
この構成によれば、ロールの回転を停止、逆転させたり、2本のロールの軸間の距離を拡大させる前に、予備的に警報を鳴らすことができ、作業者の身体の安全性をより向上することができるとともに、不用意にロール装置を停止等を行い、混練作業の効率を落とすことを最小化することができる。
【0018】
また、前記電磁波通信体は、装着する部位により異なる識別コードを有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、作業者の身体の一部の特定の部位が所定の領域にあることを検出できる。
【0019】
また、略同一の部位に装着される3つの前記電磁波通信体は、一の部位であることを示す同一の識別コードを有し、電磁波発生部が発した電磁波を受信するための、前記3つの前記電磁波通信体におけるそれぞれのアンテナ面の垂線が互いに略垂直であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、電磁波発生部が発生させる電磁波が届く所定の領域内にある場合に信号を発生する電磁波通信体を備えた作業者の手袋などの装着物が、どのような向きであっても、必ず電磁波を受信することができる。
なお、略同一の部位とは、指先、手首、腕など、ロール装置での混練作業における安全上注意すべき相違を有する部位ではなく、人差し指の指先と中指の指先、右手の手首と左手の手首など、ロール装置での混練作業における安全上注意に値しない相違を有する部位を意味する。
また、略垂直とは、完全な垂直である必要はなく、3つの電磁波通信体のうちのいずれか1つが、電磁波を受信できる程度の垂直を意味する。
【0020】
また、前記予め設定された条件は、前記所定の領域内において予め設定された部位からの信号を受信することにより満たされることを特徴としてもよい。
この構成によれば、特定の部位が所定の領域にあることを検出することができる。
【0021】
また、前記予め設定された条件は、前記所定の領域内において予め設定された部位からの信号を、予め設定された時間以上連続して受信することにより満たされることを特徴としてもよい。
この構成によれば、特定の部位が所定の領域に予め設定された時間以上滞留していることを検出することができる。
【0022】
また、前記ロール装置は、ミキシングロール機であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、ミキシングロール機において、作業者の身体の安全性を向上させる安全装置を提供することが可能となる。
【0023】
また、前記ロール装置は、カレンダーロール機であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、カレンダーロール機において、作業者の身体の安全性を向上させる安全装置を提供することが可能となる。
【0024】
また、近接配置された2本のロールの外周面により材料を混練し、前記ロールを回転させるロール駆動部と、前記2本のロールの軸間の距離を調整するロール調整部を備えるロール装置において、磁界を発生させるコイルと、前記ロール装置を使用する作業者の身体の一部に装着する装着物に備えられ、前記コイルが発生させる磁界内にある場合に、信号を発生するタグと、前記タグが発生する信号を受信する電磁波受信部と、前記電磁波受信部が受信した信号に基づき予め設定された条件を満たすか否かを判定し、該判定に基づき前記ロール駆動部および前記ロール調整部を制御するロール制御部と、を備え、前記ロール制御部は、前記予め設定された条件を満たすと判定した場合に、前記ロール駆動部に対して前記ロールの回転を停止または逆転させる命令信号、および/または、前記ロール調整部に対して前記2本のロールの軸間の距離を拡大させる命令信号を出力すること、を特徴とするロール装置の安全装置が提供される。
この構成によれば、混練するゴム材などの障害物や作業者の装着物の汚れなどにより検出する精度を落とすことなく検出し、作業者の身体の一部が所定の磁界の領域にあることを検出した時には、ロールの回転を停止、逆転させたり、2本のロールの軸間の距離を拡大させることにより、作業者の身体の安全性を向上させるロール装置の安全装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、混練するゴム材などの障害物や作業者の装着物の汚れなどにより検出する精度を落とすことなく検出し、作業者の身体の一部が所定の領域にあることを検出した時には、ロールの回転を停止などするロール装置の安全装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る一実施形態を示すブロック図。
【図2】本発明に係る一実施形態における電磁波発生部の形態と電磁波の発生状態を示す斜視図。
【図3】図3aは、本発明に係る一実施形態における所定の領域を示す側面図。図3bは、本発明に係る一実施形態における所定の領域を示す正面図。
【図4】本発明に係る一実施形態における電磁波通信体の装着物(手袋)への配置を説明する説明図。図4aは配置部位が指先一か所の場合。図4bは配置部位が指先と手首の二か所の場合。図4cは同一の配置部位に3つの電磁波通信体を備え、配置部位が指先と手首の二か所の場合。
【図5】本発明に係る一実施形態におけるロール制御部のブロック図。
【図6】本発明に係る一実施形態におけるロール制御部の動作の流れを示す説明図。
【図7】図7aは、本発明に係る第2の一実施形態における所定の領域を示す側面図。図7bは、本発明に係る第2の一実施形態における所定の領域を示す正面図。
【図8】図8aは、本発明に係る第3の一実施形態における所定の領域を示す側面図。図8bは、本発明に係る第3の一実施形態における所定の領域を示す正面図。
【図9】本発明に係る一実施形態をカレンダーロール機に適用した側面図。
【図10】図10aは、従来のロール装置の安全装置についての側面図。図10bは、従来のロール装置の安全装置についての正面図。
【図11】本発明に係る一実施形態における電磁波通信体の装着物を説明する説明図。図11aは、タグが手の甲の備えられた装着物。図11b及び図11cは、手の甲の装着物から3次元コイル部分のみが引き出され指に取り付けられる装着物。
【図12】図12aは、本発明に係る第4の一実施形態の斜視図。図12bは、本発明に係る第4の一実施形態における所定の領域を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施形態のロール装置の安全装置について説明する。
まず、図10を用いて、従来のロール装置とその安全装置について説明する。ロール装置1は、各種材料、典型的には、ゴム材と補強材などの複数の材料を、2本のロールの間で混練するために用いられる。一のロール装置であるミキシングロール機においては、互いに平行な2本のロールが水平に横並びに設置される一対のロール(横並びロール)の間で混練される。また、他のロール装置であるカレンダーロール機においては、互いに平行な2本のロールが水平に縦並びに設置される一対のロール(縦並びロール)を含み、横並びロールとともに用いられ、材料を連続的に混練する。以下では、ミキシングロール機を中心に説明する。
【0028】
ミキシングロール機10では、横並びの2本のロール101の外周面を接近させて、これらのロール101が向かい合う外周面が共に下方に向かうように回転させる。ロール101の両端は、ロール軸を中心に回転自在に支持され、ロール軸は、ロール駆動部102から回転駆動力を伝達され回転する。2本のロール101の回転の速度は、材料や混練の目的、程度に応じて変化させる。また、2本のロール101の外周面の最接近距離、すなわち2つのロール軸の距離を、材料等に応じて変化させるためのロール調整部103を有する。
【0029】
作業者Aは、混練する材料を2本のロール間に投入する。投入された材料は、ロール101の外周面に沿ってロール101の間に引き込まれる。投入された材料は、引き込まれる前はロール間の上側に滞留し、材料溜まり110を形成する。引き込まれた材料は、作業者A側のロール101に排出されるようにロール101の回転速度が調整されているので、作業者A側のロール101の外周面に沿って排出される。作業者Aは、この排出された材料を手で取り、再び材料溜まりに投入する。また、排出される材料を順次ナイフなどで切り、巻き取ったものを再投入する。作業者Aが、この作業を繰り返すことにより、材料を十分に混練することができる。
【0030】
2本のロール101の外周面の隙間は、ミキシングロール機10において混練する場合で数mm程度、カレンダーロール機で薄いシート状にする場合には1mm程度であり、作業者Aが材料を投入する際に、作業者Aの手などの身体の一部が誤って材料とともにロール間の隙間に引き込まれるおそれがあるため大変危険である。そのような場合に備え、作業する場所に、ロール101を非常停止させるための、手で操作するボタン104やひも106、足や腰で押すバー105などの安全装置が備えられており、非常の場合には作業者自身がこの安全装置を操作する。
【0031】
しかし、手などを引き込まれそうになった作業者A自身が、非常停止ボタン等を操作することは困難な場合もあり、非常の場合に自動的に停止等の対応を行う安全装置が望まれるところである。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係るロール装置の安全装置の第1の実施形態を示すブロック図である。なお、図10に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記して説明を省略する。
【0033】
図1に示すロール装置1は、横並びで水平に近接配置された2本のロール101を備えるミキシングロール機10である。ミキシングロール機10は、作業者Aがロール101の外周面により材料を混練するために用いられ、ロール101を回転させるロール駆動部102と、前記2本のロールの軸間の距離を調整するロール調整部103を備える。
【0034】
本発明に係るミキシングロール機10の安全装置は、電磁波を発生させる電磁波発生部130と、ミキシングロール機10を使用する作業者Aの手に装着する装着物111(手袋)に備えられ、電磁波発生部130が発生させる電磁波が届く所定の領域120内にある場合に信号を発生する電磁波通信体140と、電磁波通信体140が発生する信号を受信する電磁波受信部150と、電磁波受信部150が受信した信号に基づき予め設定された条件を満たすか否かを判定し、この判定に基づきロール駆動部102およびロール調整部103を制御するロール制御部160を備える。
【0035】
電磁波発生部130は、後で詳述するように、電磁波発生部130が発生させる電磁波が届く領域を所定の領域120として形成している。作業者Aは、一方のロール101の側にいて上記の混練作業を行うが、その所定の領域120の中に作業者Aの手が入った場合、手に装着した手袋に備えられた電磁波通信体140は信号を発生する。その信号を受信した電磁波受信部150は、その信号をロール制御部160に伝達する。
【0036】
その信号を伝達されたロール制御部160は、その信号が予め設定された条件を満たすと判定した場合に、ロール駆動部102に対してロール101の回転を停止、逆転させる命令信号を出力し、および/または、ロール調整部103に対して2本のロール101の軸間の距離を拡大させる命令信号を出力する。これらの命令信号を受けたロール駆動部102は、ロール101を停止または逆転させ、ロール調整部103は、2本のロール101の軸間の距離を拡大させる。
【0037】
これにより、作業者Aの手と電磁波発生部130(正確にはケーブル132)または電磁波受信部150の間に材料が存在したとしても、また、作業者Aの手に装着した手袋が作業により汚れたとしても、確実に電磁波通信体140と電磁波発生部130(正確にはケーブル132)または電磁波受信部150の間で通信が可能なので、作業者Aの手が所定の領域120に入った場合にはロール101を確実に停止等することが可能となる。
【0038】
また、ロール101を停止するだけでなく逆転させることにより、作業者Aの手がロール101の間に挟まりかけても迅速に材料溜まり110から手を退避させることができる。また、2本のロール101の軸間の距離を拡大させることにより、挟まりかけた作業者Aの手を圧迫することはなくなり、重度の負傷は免れる。拡大される距離は、指先が圧迫されない程度(たとえば、1センチメートルから数センチメートル)が望ましい。
【0039】
図2は、本発明に係るロール装置の安全装置の第1の実施形態における電磁波発生部130の形態と電磁波の発生状態を示した斜視図である。電磁波発生部130は、電磁波発生用電源ユニット131とケーブル132を備える。ケーブル132は、2本のロール101の軸を含む平面よりも混練する材料が2本のロール101上に溜まる材料溜まり110側にあり、2本のロール101の上方にある。好ましくは、ケーブル132は、ロール101の長さと2本のロールの軸間距離の長さを2辺に持つ矩形に設置される。実際に電磁波を発生させる部分がケーブルであることにより、ロール101の長さや直径に合わせて適切にケーブル132を引き回すことができ、その結果、電磁波発生部130が発生させる電磁波が届く所定の領域120を適切に形成できる。
なお、本実施形態では、ケーブル132を矩形に設置したが、だ円などの他の形態であってもよい。
【0040】
実際に電磁波を発生させる部分であるケーブル132は、コイルを形成する。そのコイルであるケーブル132に、電磁波発生用電源ユニット131が電流を例えば矢印で示す向きに供給することにより、ケーブル132は、図の矢印のように磁界を発生させる。一般に、磁界の強さは、電流に比例し距離に反比例する。したがって、ケーブル132が発生させる電磁波が届く所定の領域120は、電磁波発生用電源ユニット131がケーブル132に供給する電流の大きさにより規定され、また、所定の領域内にある場合に信号を発生する電磁波通信体140が信号を発生するか否かは、ケーブル132から電磁波通信体140までの距離に依存する。
【0041】
図3に示すように、好ましくは、電磁波発生用電源ユニット131は、所定の領域120が、材料が2本のロール上に溜まる材料溜まり110を含むように調整された電流をケーブル132に流す。作業者Aの手が誤って材料とともにロール間の隙間に引き込まれる場合には、作業者Aの手は材料溜まり110にあるからである。さらに好ましくは、電磁波発生用電源ユニット131は、所定の領域120が、作業者Aの手が通常作業を行う範囲を含まないように調整された電流をケーブル132に流す。通常作業を行う範囲を含んでしまうと、危険でない場合もロール装置が停止等してしまい、作業効率が落ちるからである。
【0042】
電磁波発生部130が発生させる電磁波の周波数は、特に限定はされないが、所定の領域を精細に区別し識別する場合においては、数ギガヘルツ程度の所謂超短波からマイクロ波SHFであることが好ましい。電磁波の直進性が高く、所定の領域を、電磁波の遮蔽または吸収する電磁波シールドにより精細に規定できるからである。また、電磁誘導としてのコイルの生成する磁界で領域を規定する場合は長波が好ましい。
【0043】
電磁波通信体140は、図4aに示すように、作業者Aが装着する装着物(手袋)111に備えられ、典型的には指先に配置される。また、電磁波通信体140は、衝撃や汚れに対して強くするため、ガラスや樹脂で封入されて、手袋などの装着物に取り付けられることが好ましい。
【0044】
また、電磁波通信体140は、図4bに示すように、指先や手首などの複数の異なる部位に配置されてもよい。この場合、電磁波通信体140は、装着する部位により異なる識別コードを有するとよい。本発明に係るロール制御部160は、所定の領域に入った部位がどの部位であるかを異なる識別コードにより特定できるからである。たとえば、指先に配置される電磁波通信体140Aと手首に配置される電磁波通信体140Bとは異なる識別コードを有するとよい。
【0045】
また、電磁波通信体140は、図4cに示すように、たとえば、指先という同一の部位に配置する3つの電磁波通信体140は、指先であることを示す同一の識別コードを有し、これらの3つの電磁波通信体140におけるそれぞれのアンテナ面の垂線が互いにほぼ垂直であってもよい。たとえば、小指の先に配置される3つの電磁波通信体140は、1つ目が指先面に、2つ目が爪の部位に、3つ目が薬指と接する部位に設けることにより、3つの電磁波通信体140のアンテナ面がほぼ垂直になるように電磁波通信体140Cを形成してもよい。また、たとえば、手首に部位に配置される3つの電磁波通信体140は、それぞれのアンテナ面の垂線が互いにほぼ垂直になるように一体となり、1つの樹脂の中に封入されて、電磁波通信体140Dを形成してもよい。このようにすれば、電磁波通信体140Cや140Dは、電磁波発生部130が発した電磁波を確実に受信でき、作業者Aの手が所定の領域120に入ったことを確実に認識できる。
【0046】
なお、作業者の装着物は手袋に限らず、例えば、衣服、リストバンド、指バンドなどであってもよい。より具体的には、図11に示すように、作業の邪魔にならないように手の甲に装備するものであってもよい。この場合、電磁波通信体であるタグ141が手の甲にあり、ロール101の間に最も挟まりやすい指にないために対応が遅れることが考えられるので、より好ましくは、図11bと図11cに示すように、タグ141の3次元コイル部142のみを引き出し、その3次元コイル部142を指先に指輪のように装着する。こうすることにより、作業者Aの指先が所定の領域120に入った場合にはロール101を確実に停止等することが可能となる。
【0047】
電磁波通信体140は、電磁波発生部が発生させる電磁波の周波数に応じて、電磁波の周波数が短波帯域や長波帯域である場合は、電磁誘導方式が採用され、UHF帯域やマイクロ波帯域の場合は、電波方式(マイクロ波方式)が採用される。また、電磁波通信体140は、特に限定はされないが、本実施形態では、数百メガヘルツ程度の電磁波で電磁波受信部150と通信を行う。
【0048】
電磁波通信体140は、電池を内蔵していない所謂パッシブ方式、電池を内蔵している所謂アクティブ方式のいずれであってもよい。なお、電磁波通信体の出力を高め通信可能範囲を大きくする場合は、電磁波通信体はアクティブ方式が好ましい。もちろん、パッシブ方式とアクティブ方式の両方の特徴を備えるセミパッシブ方式であってもよい。
【0049】
電磁波受信部150は、アンテナと復調器及び判定器を有し、所定の領域120に入った電磁波通信体140が発する信号を受信し、その受信した信号をロール制御部160に伝達する。
【0050】
ロール制御部160は、電磁波受信部150から伝達された信号に基づき予め設定された条件を満たすか否かを判定し、この判定に基づきロール駆動部102およびロール調整部103を制御する。図5に示すように、ロール制御部160は、典型的には制御部161、記憶部162、通信部163を備え、通信部163を通して電磁波受信部150や非常停止ボタン104などからの信号を受け、記憶部162に予め設定された条件が蓄えられ、制御部161はその受けた信号が予め設定された条件を満たすか否かの判定を行い、条件を満たすと判定した場合には、通信部163を通してロール駆動部102やロール調整部103に命令信号を送信する。
【0051】
ロール制御部160は、図6に示す動作の流れに従い動作する。ステップS1では、電磁波受信部150と非常停止ボタン104などからの信号の検出を常時試みる。ステップS2では、信号を検出したか否かの判定を行う。信号を検出しない場合は、ステップS1の信号の検出を再度試みる。信号を検出した場合には、ステップS3で、その信号が手動操作により発せられた信号か否か、すなわち、非常停止ボタン104などから発せられた信号か否かを判定する。手動操作により発せられた場合には、以下の判定を行わずステップS6を実行する。手動操作により発せられなかった場合には、ステップS4で、検出した所定の領域が運転を行っている対象のロール装置か否か、また詳細は後述するが、それぞれが異なる識別コードを有する複数の電磁波発生部がひとつのロール装置に備えられている場合に、該当する電磁波発生部からの信号であるか否かなどの判定を行う。該当する電磁波発生部からの信号ではない場合は、ステップS1に戻り新たな信号の検出を続行する。もちろん、どの電磁波発生部であっても該当すると判定すること、すなわち、このステップS4を実質的にスキップすることも可能である。該当する電磁波発生部からの信号であった場合は、ステップS5で、電磁波通信体140が装着する部位により異なる識別コードを有する場合に、該当する部位からの信号であるか否かの判定を行う。たとえば、指先からの信号では該当しないが、手首からの信号では該当すると判定を下すことが可能である。もちろん、どの部位からの信号であっても該当すると判定すること、すなわちこのステップS5を実質的にスキップすることも可能である。該当する部位からの信号ではない場合は、ステップS1に戻り新たな信号の検出を続行する。該当する部位からの信号であった場合は、ステップS6を実行し、ここではロール駆動部102へのロールの停止命令信号と、ロール調整部103へのロール軸間拡大命令信号を発信する。もちろん、ロール駆動部102へのロールの逆転命令信号であってもよいし、ロール駆動部102のみへの命令信号であってもよい。
【0052】
これらの命令信号を受けたロール駆動部102とロール調整部103は、この命令信号に従い、ロールを停止(または逆転)させ、ロールの軸間を拡大する。
【0053】
なお、以上では、ミキシングロール機10を基に説明したが、カレンダーロール機であっても同様である。すなわち、カレンダーロール機への材料の最初の投入場所及び各ロール間の材料が引き込まれる側においてはミキシングロール機と同様、作業者の身体の一部が材料とともに引き込まれる恐れがあり、本発明に係る安全装置は有効に機能する。たとえば、図9に示すように、カレンダーロール機11においては、次々と一対のロール101Cにより材料が延展され最終的にシート状の物112を製造するが、一対のロール上の材料溜まり110においては、作業者の身体の一部が材料とともに引き込まれる恐れがある。そこで、ケーブル132Cと電磁波シールド133Cを材料溜まり110を含むように設置し、所定の領域120Cを形成することにより、作業者の身体の一部が所定の領域120Cにあることを検出した時には、ロールの回転を停止などするカレンダーロール機を提供できる。
【0054】
<第2実施形態>
電磁波発生部130は、第1実施形態に含まれる構成要素に加え、電磁波を遮蔽または吸収する電磁波シールド133を備える。電磁波シールド133は、電磁波発生部130が発生させる電磁波の周波数に応じ、その発生電磁波の周波数に対応した既知の素材や形状が用いられる。たとえば、電磁波発生部130がSHF帯域の電磁波を発生させる場合には、SHF帯域の電磁波を吸収する電磁波シールドを用いる。
【0055】
図7に示すように、電磁波シールド133は、所定の領域120を規定する。電磁波シールド133は、ロール101の長さにほぼ等しい長さを有し、ケーブル132が発生させる電磁波を遮蔽する領域の大きさに従い、電磁波シールド133の幅が決められる。また、電磁波シールド133が配置される位置は、電磁波を遮蔽する領域の位置に従い、決められる。図7では、作業者Aが作業する、図で右側の手前ロール101Rの作業者Aにとっての手前側の領域を所定の領域120に含めないようにするために、電磁波シールド133の幅と位置が決められている。電磁波シールド133が存在しない図3と比べると違いがわかる。これにより、より明確に所定の領域120を規定することが可能となり、ロール制御部160における誤判定や、作業者Aの不用意な行為による誤停止などが低減される。
【0056】
<第3実施形態>
本実施形態では、図8に示すように、それぞれが異なる識別コードを有する2つの電磁波発生部130から成る。ケーブル132Wと電磁波シールド133Wにより、所定の領域120Wを形成し、ケーブル132Nと電磁波シールド133Nにより、所定の領域120Nを形成する。
【0057】
さらに、この2つの電磁波発生部が発する電磁波が重なる領域(図示N)と重ならない領域(図示W)が、それぞれ所定の領域を形成する。すなわち、電磁波通信体140がWの領域に入った場合には、その電磁波通信体140はケーブル132Wが発した電磁波に対応して信号を発生したことがロール制御部160に伝わり、また、電磁波通信体140がNの領域に入った場合には、その電磁波通信体140はケーブル132Wとケーブル132Nの両方が発した電磁波に対応して信号を発生したことがロール制御部160に伝わる。
【0058】
これにより、作業者Aの身体の一部がWの領域に入った場合とNの領域に入った場合とで、ロール制御部160が発する命令信号を変えることができる。たとえば、警報装置170をさらに備える安全装置であって、手袋の指先に電磁波通信体140が備えられている場合、その指先がWの領域に入った場合には、ロール制御部160は警報装置170に対して警報を鳴らす命令信号を発生し、その指先が手前ロール101Rからさらにロール101Lに近い領域、すなわちより危険な領域であるNの領域に入った場合に、ロール駆動部102やロール調整部103に停止等の命令信号を発生してもよい。これにより、作業者Aには警報により注意を促すことができ、また、まだ余裕がある場合には警報のみとして、不用意にロール装置を停止等することが回避され、作業効率が上がる。
【0059】
また、腕に電磁波通信体140が備えられている場合には、Wの領域に入った場合だけでも、ロール駆動部102やロール調整部103に停止等の命令信号を発生してもよい。腕のような胴体に近い部位が所定の領域120Wに入ったことは、より危険な状況であると判定することができるからである。
【0060】
また、たとえば、手首に電磁波通信体140が備えられている場合、Wの領域内において、予め設定された時間(たとえば、2秒)以上連続して、手首の部位の電磁波通信体140からの信号を受信する場合には、ロール制御部160は命令信号を発生してもよい。手首が警告領域に一瞬入っただけでは危険とは言えない場合でも、数秒以上警告領域に継続してあることは、何らかの危険な状況だと判定してもよい場合があるからである。
【0061】
<第4実施形態>
本実施形態では、図12に示すように、それぞれが異なる識別コードを有する2つの例えば100kHz程度の高周波磁界発生部230Aと230Bから成る。高周波磁界のセンサが3次元の場合、コイル232Aにより所定の領域120Aが形成され、コイル232Bにより所定の領域120Bが形成される。その結果、所定の領域120Aと120Bとが重なる領域120ABが形成される。
【0062】
この場合、2つのコイルが発する磁界が重なる領域120ABに、タグが入った時にのみ、タグは信号を発生させる。すなわち、タグが所定の領域120Aや120Bの領域に入っただけでは、そのタグはコイル232Aや232Bが発した磁界に対応して信号を発生せず、タグが120ABの領域に入り、コイル232Aと232Bが発した磁界の両方がそろった場合に、タグは信号を発生させる。なお、実際に人が作業を行うのは、ロール101の近傍でコイル232Aと232Bの下方なので、作業が危険な領域は、破線で囲まれた領域120AB’である。
【0063】
タグは、どちらのコイルから発せられた磁界により励起されたかを示す磁界発生部230Aと230Bの識別コードを乗せて信号を電磁波受信部(図示せず)に送信するが、本実施形態におけるタグは、さらに、コイル232Aと232Bが発した磁界の両方により励起された場合にのみ、信号を電磁波受信部に送信する。従って、本実施形態におけるタグは、上記の、コイル232Aや232Bが発する磁界を検出する3次元コイル部142と集積回路、信号を送信する発信回路(図示せず)などに加え、コイル232A及び232Bが発した磁界を検出した場合に領域120ABを整合性のあるデータとして認識するCPU(図示せず)を備える。
【0064】
なお、上記実施形態では、代表的なロール装置であるミキシングロール機とカレンダーロール機について説明したが、作業者の危険が伴う他のロール装置、たとえば、エンボス装置、テイクオフ装置、クーリング装置などにおいても、本発明を適用することは可能である。
【0065】
また、本発明は、危険作業を伴う他の工作機械にも適用することが可能である。例えば、裁断装置やプレス装置などの素材配置範囲に所定の領域を形成することにより適用できるし、さらに、電磁波通信体(タグ)が所定の領域に入った時に装置を停止等するのではなく、電磁波通信体(タグ)が所定の領域に入っている時には、始動しないようにしてもよい。
【0066】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 ロール装置
10 ミキシングロール機
11 カレンダーロール機
101 ロール
101R 手前ロール
101L 後ロール
101C ロール
102 ロール駆動部
103 ロール調整部
104 非常停止ボタン
105 非常停止バー
106 非常停止ひも
110 材料溜まり
111 装着物
112 シート状の物
120 所定の領域
120N 所定の領域
120W 所定の領域
120C 所定の領域
130 電磁波発生部
131 電磁波発生用電源ユニット
132 ケーブル
132N ケーブル
132W ケーブル
132C ケーブル
133 電磁波シールド
133N 電磁波シールド
133W 電磁波シールド
133C 電磁波シールド
140 電磁波通信体
141 タグ
142 タグの3次元コイル部分
150 電磁波受信部
160 ロール制御部
161 制御部
162 記憶部
163 通信部
170 警報装置
230 磁界発生部
232 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接配置された2本のロールの外周面により材料を混練し、前記ロールを回転させるロール駆動部と、前記2本のロールの軸間の距離を調整するロール調整部を備えるロール装置において、
電磁波を発生させる電磁波発生部と、
前記ロール装置を使用する作業者の身体の一部に装着する装着物に備えられ、前記電磁波発生部が発生させる電磁波が届く所定の領域内にある場合に信号を発生する電磁波通信体と、
前記電磁波通信体が発生する信号を受信する電磁波受信部と、
前記電磁波受信部が受信した信号に基づき予め設定された条件を満たすか否かを判定し、該判定に基づき前記ロール駆動部および前記ロール調整部を制御するロール制御部と、を備え、
前記ロール制御部は、前記予め設定された条件を満たすと判定した場合に、前記ロール駆動部に対して前記ロールの回転を停止または逆転させる命令信号、および/または、前記ロール調整部に対して前記2本のロールの軸間の距離を拡大させる命令信号を出力すること、を特徴とするロール装置の安全装置。
【請求項2】
前記電磁波発生部は、電流を流すことにより電磁波を発生する引き回し自在のケーブルを備えること、を特徴とする請求項1に記載のロール装置の安全装置。
【請求項3】
前記電磁波発生部は、さらに、電磁波を遮蔽または吸収する電磁波シールドを備え、
該電磁波シールドは、前記所定の領域を規定すること、を特徴とする請求項2に記載のロール装置の安全装置。
【請求項4】
前記電磁波発生部は、それぞれが異なる識別コードを有する複数の電磁波発生部からなり、前記複数の電磁波発生部が発するそれぞれの電磁波が重なる領域および/または重ならない領域が、複数の前記所定の領域を形成すること、を特徴とする請求項2または3に記載のロール装置の安全装置。
【請求項5】
前記複数の所定の領域により、前記ロール制御部の前記予め設定された条件および/または前記命令信号が異なり、および/または前記命令信号の出力先が異なること、を特徴とする請求項4に記載のロール装置の安全装置。
【請求項6】
前記電磁波発生部は、前記2本のロールの軸を含む平面よりも前記材料が2本のロール上に溜まる材料溜まり側にあり、
前記ケーブルは、前記ロールの長さと前記2本のロールの軸間距離の長さを2辺に持つ略矩形に設置されること、を特徴とする請求項2に記載のロール装置の安全装置。
【請求項7】
前記電磁波発生部は、前記所定の領域が、前記材料が2本のロール上に溜まる材料溜まりを含むように調整された電流を前記ケーブルに流すこと、を特徴とする請求項2に記載のロール装置の安全装置。
【請求項8】
警報装置をさらに含むロール装置において、
前記電磁波発生部は、2つの前記電磁波発生部からなり、該2つの前記電磁波発生部が電磁波を発生させる前記所定の領域が重ならない領域内では、前記命令信号の出力先が前記警報装置であり、前記命令信号が警報を鳴らすことであること、を特徴とする請求項5に記載のロール装置の安全装置。
【請求項9】
前記電磁波通信体は、装着する部位により異なる識別コードを有すること、を特徴とする請求項1に記載のロール装置の安全装置。
【請求項10】
略同一の部位に装着される3つの前記電磁波通信体は、一の部位であることを示す同一の識別コードを有し、電磁波発生部が発した電磁波を受信するための、前記3つの前記電磁波通信体におけるそれぞれのアンテナ面の垂線が互いに略垂直であること、を特徴とする請求項9に記載のロール装置の安全装置。
【請求項11】
前記予め設定された条件は、前記所定の領域内において予め設定された部位からの信号を受信することにより満たされること、を特徴とする請求項9に記載のロール装置の安全装置。
【請求項12】
前記予め設定された条件は、前記所定の領域内において予め設定された部位からの信号を、予め設定された時間以上連続して受信することにより満たされること、を特徴とする請求項9に記載のロール装置の安全装置。
【請求項13】
前記ロール装置は、ミキシングロール機であること、を特徴とする請求項1に記載のロール装置の安全装置。
【請求項14】
前記ロール装置は、カレンダーロール機であること、を特徴とする請求項1に記載のロール装置の安全装置。
【請求項15】
近接配置された2本のロールの外周面により材料を混練し、前記ロールを回転させるロール駆動部と、前記2本のロールの軸間の距離を調整するロール調整部を備えるロール装置において、
磁界を発生させるコイルと、
前記ロール装置を使用する作業者の身体の一部に装着する装着物に備えられ、前記コイルが発生させる磁界内にある場合に、信号を発生するタグと、
前記タグが発生する信号を受信する電磁波受信部と、
前記電磁波受信部が受信した信号に基づき予め設定された条件を満たすか否かを判定し、該判定に基づき前記ロール駆動部および前記ロール調整部を制御するロール制御部と、を備え、
前記ロール制御部は、前記予め設定された条件を満たすと判定した場合に、前記ロール駆動部に対して前記ロールの回転を停止または逆転させる命令信号、および/または、前記ロール調整部に対して前記2本のロールの軸間の距離を拡大させる命令信号を出力すること、を特徴とするロール装置の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−161917(P2011−161917A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6460(P2011−6460)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(598001571)日本ロール製造株式会社 (5)
【出願人】(501429531)株式会社マトリックス (14)
【Fターム(参考)】