説明

ロール装置

【課題】より高い回転精度、回転摩擦の低減、回転速度の向上を図り得るロール装置を提供することにある。
【解決手段】ロール装置1は、中空のロール体2と、ロール体2の中空部に隙間3をもって挿通されている軸体4と、ロール体2の両端部5及び6に夫々配されていると共にロール体2と軸体4との間に夫々介在されている一対の静圧気体軸受7及び8とを具備しており、静圧気体軸受7は、ラジアル軸受面32並びにスラスト軸受面35及び40を有しており、静圧気体軸受8は、ラジアル軸受面92を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックのシートやフィルム等のコーティング、フィルム状にした電子デバイス製造(ロール・ツー・ロール方式)や、当該シート、フィルム等の搬送に用いられるロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−190338号公報
【0003】
例えば特許文献1においては、ラジアル方向及びスラスト方向に関して静圧気体軸受を用いたロール装置が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かるロール装置は、プラスチックのシートやフィルム等のコーティング、フィルム状にした電子デバイス製造(ロール・ツー・ロール方式)や、当該シート、フィルム等の搬送に用いられるために、例えば振れ精度1μm以下といったより高い回転精度や回転摩擦の低減、回転速度の向上が求められる。
【0005】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より高い回転精度、回転摩擦の低減、回転速度の向上を図り得るロール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロール装置は、中空のロール体と、ロール体の中空部に隙間をもって挿通されていると共に両端部がロール体から突出している軸体と、ロール体の両端部に夫々配されていると共にロール体と軸体との間に夫々介在されている一対の静圧気体軸受とを具備しており、一方の静圧気体軸受は、ロール体の内周面に対して軸受隙間をもって対面しているラジアル軸受面及びロール体の一端部に固着されている中空円板状のプレートの一方の面に対して軸受隙間をもって対面しているスラスト軸受面を有していると共に軸体に固着されている一方の軸受体と、前記プレートの他方の面に対して軸受隙間をもって対面しているスラスト軸受面を有していると共に軸体に固着されている他方の軸受体と、前記プレートと軸体との間に介在されていると共に一方の軸受体と他方の軸受体とを連結している環状の連結体と、一方の軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給すべき気体、一方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給すべき気体及び他方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給すべき気体を給気することができるように、一方の軸受体、他方の軸受体及び連結体に形成されている給気通路と、一方の軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給された気体を軸体の一端部側に排気すると共に一方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給された気体を当該軸受隙間の外周側から軸体の一端部側に排気することができるように、プレートに形成されている一方の排気通路と、一方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給された気体を当該軸受隙間の内周側から軸体の一端部側に排気すると共に他方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給された気体を当該軸受隙間の内周側から軸体の一端部側に排気することができるように、連結体及び他方の軸受体に形成されている他方の排気通路とを具備しており、他方の静圧気体軸受は、ロール体の内周面に対して軸受隙間をもって対面しているラジアル軸受面を有していると共に軸体に固着されている軸受体と、この軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給すべき気体を給気することができるように、当該軸受体に形成されている給気通路と、当該軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給された気体及び一方の静圧気体軸受の一方の軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給された気体を軸体の他端部側に排気することができるように、他方の静圧気体軸受の軸受体に形成されている排気通路とを具備している。
【0007】
本発明のロール装置によれば、特に、上述の一方の静圧気体軸受及び他方の静圧気体軸受を具備しているために、ロール体の回転精度を高めることができ、ロール体の重量を軽くすることができて回転摩擦の低減及び回転速度の向上を図り得、一方の静圧気体軸受及び他方の静圧気体軸受のラジアル方向に関する軸受径を大きくすることができ、また、一方の静圧気体軸受においてスラスト方向に関してもロール体を非接触支持するために、軸体等の熱膨張の影響を少なくし得、一方の静圧気体軸受によりラジアル方向及びスラスト方向に関して非接触支持すると共に他方の静圧気体軸受によりラジアル方向に関して非接触支持することでロール体の他方の静圧気体軸受側の部位をフリーにすることができて、軸方向の熱膨張の影響を少なくし得、しかも、軸受隙間に供給された気体(圧縮気体)を円滑にロール装置の外部に排気することができて、当該気体の不安定な排気に基づくロール体の回転精度の低下、回転摩擦の増大及び回転速度の低下を防止し得る。
【0008】
本発明のロール装置の好ましい例では、排気通路は、軸体の長手方向において一方の静圧気体軸受のラジアル軸受面から気体が供給される軸受隙間に隣接していると共にプレートの一方の面に形成されている環状通路と、この環状通路に連通すると共にプレートの他方の面で開口するように当該プレートに形成されている連通路とを具備している。
【0009】
本発明のロール装置の好ましい例では、排気通路は、プレートの内周面と連結体の外周面との間に形成された環状隙間と、連結体及びプレートを貫いて形成されており、プレートの他方の面で開口している通路と、この通路に連通していると共に前記環状隙間で開口している連通路とを具備している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より高い回転精度、回転摩擦の低減、回転速度の向上を図り得るロール装置を提供し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0012】
図1から図6において、本例のロール装置1は、中空のロール体2と、ロール体2の中空部に隙間3をもって挿通されている軸体4と、ロール体2の両端部5及び6に夫々配されていると共にロール体2と軸体4との間に夫々介在されている一対の静圧気体軸受7及び8とを具備している。
【0013】
ロール体2は、円筒状本体11と、外周面13が円筒状本体11の一端部5における内周面12の部位に固着されていると共に内周面14が静圧気体軸受7に対して軸受隙間31をもって対面している円筒体15と、外周面16が円筒状本体11の他端部6における内周面12の部位に固着されていると共に内周面17が静圧気体軸受8に対して軸受隙間91をもって対面している円筒体18と、軸体4の一端部21側に位置する円筒体15の環状の端面19に固着されている中空円板状のプレート20とを具備している。円筒体15及び18の肉厚は互いに等しい。プレート20は、円筒体15を介して円筒状本体11の一端部5に固着されている。
【0014】
円柱状若しくは円筒状の軸体4は、円筒状本体11、円筒体15及び18及びプレート20に対して隙間3をもってロール体2に挿通されている。軸体4の両端部21及び22の夫々は、ロール体2の両端部5及び6から突出しており、当該両端部21及び22でフレーム等に固定支持されている。軸体4は、当該軸体4の長手方向に関して円筒体15及び18間に位置する大径軸部23と、大径軸部23の両側に位置する小径軸部24及び25と、大径軸部23と小径軸部24及び25の夫々との連結部に形成されている段部27及び28とを具備している。小径軸部24及び25の径は、本例では互いに等しいが、異なっていてもよい。
【0015】
静圧気体軸受7は、内周面14に対して軸受隙間31をもって対面しているラジアル軸受面32及び他端部22側に位置するプレート20の面33に対して軸受隙間34をもって対面しているスラスト軸受面35を有していると共に軸体4に固着されている円筒状の一方の軸受体36と、一端部21側に位置するプレート20の面38に対して軸受隙間39をもって対面しているスラスト軸受面40を有していると共に軸体4に固着されている中空円板状の他方の軸受体41と、プレート20と軸体4との間に介在されていると共に軸受体36及び41を連結している環状の連結体42と、ラジアル軸受面32から軸受隙間31に供給すべき気体、スラスト軸受面35から軸受隙間34に供給すべき気体及びスラスト軸受面40から軸受隙間39に供給すべき気体を給気することができるように、軸受体36、軸受体41及び連結体42に形成されている給気通路44と、ラジアル軸受面32から軸受隙間31に供給された気体を一端部21側に排気すると共にスラスト軸受面35から軸受隙間34に供給された気体を当該軸受隙間34の外周側から一端部21側に排気することができるように、プレート20に形成されている一方の排気通路45と、スラスト軸受面35から軸受隙間34に供給された気体を当該軸受隙間34の内周側から一端部21側に排気すると共にスラスト軸受面40から軸受隙間39に供給された気体を当該軸受隙間39の内周側から一端部21側に排気することができるように、連結体42及び軸受体41に形成されている他方の排気通路46とを具備している。
【0016】
軸受体36及び41は、プレート20を挟んで互いに対向して配されている。軸受体36及び41は、連結体42にねじ等を介して互いに連結されている。
【0017】
軸受体36は、内周面51で小径軸部24に固着されていると共に大径軸部23側の端面53で段部27に固着されている円筒状の本体55と、本体55の外周面52に接合されている多孔質体としての円筒状の多孔質金属焼結層56と、本体55のプレート20側の端面54に形成されている環状凹溝58に接合されている多孔質体としての環状の多孔質金属焼結層57とを具備している。
【0018】
多孔質金属焼結層56及び57の夫々は、その全表面の無秩序な多数の部位で開口すると共に無秩序に互いに連通する多数の細孔を内部に有している。ラジアル軸受面32は、多孔質金属焼結層56の支持すべき円筒体15に対面して露出する外周面からなり、スラスト軸受面35は、多孔質金属焼結層57の支持すべきプレート20に対面して露出する当該プレート20側の面からなる。スラスト軸受面35は、本例では端面54に対して面一であるが、例えば、横方向に関して端面54に対して一方側又は他方側に配されてもよい。多孔質金属焼結層56及び57の夫々は、4重量%以上10重量%以下の錫と、10重量%以上40重量%以下のニッケルと、0.1重量%以上0.5重量%未満の燐と、2重量%以上10重量%以下の無機物質粒子と、残部が銅とからなっていてもよい。多孔質金属焼結層56及び57に分散含有される無機物質粒子は、黒鉛、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び炭化ケイ素のうちの少なくとも一つからなっていてもよい。
【0019】
軸受体36に対して一端部21側に配された軸受体41は、内周面61で小径軸部24に固着されている中空円板状の本体62と、本体62のプレート20側の面63に形成されている環状凹溝65に接合されている多孔質体としての環状の多孔質金属焼結層64とを具備している。スラスト軸受面40は、多孔質金属焼結層64の支持すべきプレート20に対面して露出する当該プレート20側の面からなる。スラスト軸受面40は、面63に対して面一である。多孔質金属焼結層64は、多孔質金属焼結層57と同様に形成されており、プレート20を間にして互いに対向して配されている。
【0020】
給気通路44は、本体55の外周面52に形成された複数の環状通路71、72及び73と、環状凹溝58の底面に形成された環状通路74と、環状凹溝65の底面に形成された環状通路75と、本体55、連結体42及び本体62を貫いて形成されており、環状通路71から75の夫々に連通していると共に本体62の外周面で開口している連通路76とを具備している。斯かる給気通路44では、前記開口から供給される気体(圧縮気体)を連通路76を介して環状通路71から75の夫々に流入させ、当該流入した気体を多孔質金属焼結層56、57及び64の夫々に供給し、而して、軸受隙間31、34及び39に気体を供給する。
【0021】
排気通路45は、特に図6に示すように、軸体4の長手方向において軸受隙間31に隣接していると共にプレート20の面33に形成されている環状通路81と、環状通路81に連通すると共にプレート20の面38で開口するようにプレートに形成されている連通路82とを具備している。斯かる排気通路45では、軸受隙間31に供給された気体をプレート20側から排気すると共に軸受隙間34に供給された気体を当該軸受隙間34の外周側から排気する。尚、軸受隙間39に供給された気体のうちの外周側に排出された気体はそのままロール装置1の外部に排気されることとなる。
【0022】
排気通路46は、特に図6に示すように、プレート20の内周面85と連結体42の外周面86との間に形成された環状隙間87と、連結体42及び本体62を貫いて形成されており、本体62の一端部21側の面66で開口している通路88と、通路88に連通していると共に環状隙間87で開口している連通路89とを具備している。斯かる排気通路46では、軸受隙間34に供給された気体を当該軸受隙間34の内周側から排気すると共に軸受隙間39に供給された気体を当該軸受隙間39の内周側から排気する。
【0023】
静圧気体軸受8は、内周面17に対して軸受隙間91をもって対面しているラジアル軸受面92を有していると共に軸体4に固着されている軸受体93と、軸受体93のラジアル軸受面92から軸受隙間91に供給すべき気体を給気することができるように、当該軸受体93に形成されている給気通路94と、ラジアル軸受面92から軸受隙間91に供給された気体及びラジアル軸受面32から軸受隙間31に供給された気体、即ち、静圧気体軸受7及び8間の気体を他端部22側に排気することができるように、軸受体93に形成されている排気通路95とを具備している。
【0024】
軸受体93は、内周面101で小径軸部25に固着されていると共に大径軸部23側の端面103で段部28に固着されている円筒状の本体105と、本体105の外周面102に接合されている多孔質体としての円筒状の多孔質金属焼結層106とを具備している。ラジアル軸受面92は、多孔質金属焼結層106の支持すべき円筒体18に対面して露出する外周面からなる。多孔質金属焼結層106は、多孔質金属焼結層56と同様に形成されている。
【0025】
給気通路94は、特に図1に示すように、本体105の外周面102に形成された複数の環状通路111、112及び113と、環状通路111から113の夫々に連通していると共に本体105の他端部22側の端面104で開口するように本体105に形成されている連通路114とを具備している。斯かる給気通路94では、前記開口から供給される気体(圧縮気体)を連通路114を介して環状通路111から113の夫々に流入させ、当該流入した気体を多孔質金属焼結層106の夫々に供給し、而して、軸受隙間91に気体を供給する。
【0026】
排気通路95は、特に図1に示すように、端面103及び104の夫々で開口して本体105に形成された通路からなる。斯かる排気通路95では、軸受隙間31及び91の夫々に供給された気体のうちロール体2の中空部に排出された気体が端面103における開口から流入され、流入された気体を端面104側の開口から排気する。尚、軸受隙間91に供給された気体のうちの他端部22側に排出された気体はそのままロール装置1の外部に排気されることとなる。
【0027】
尚、符号120は、ボルト121の締め込みによって軸体4に圧接するスリット付の緊締具であり、緊締具120の夫々は静圧気体軸受7及び8の夫々を軸体4に固着するために用いられる。
【0028】
斯かるロール装置1では、給気通路44及び94から多孔質金属焼結層56、57、64及び106の夫々に給気されることによりラジアル軸受面32及び92並びにスラスト軸受面35及び40の夫々から軸受隙間31、34、39及び91の夫々に気体が供給され、而して、静圧気体軸受7及び8によりロール体2の非接触にてR方向に回転自在に支持する。ロール体2の横方向に関する位置ずれは軸受隙間34及び39における非接触支持によって禁止される。軸受隙間31、34、39及び91の夫々に供給された気体は、排気通路45、46及び95の夫々から上述のように排気される。
【0029】
本例のロール装置1によれば、中空のロール体2と、ロール体2の中空部に隙間3をもって挿通されていると共に両端部21及び22がロール体2から突出している軸体4と、ロール体2の両端部5及び6に夫々配されていると共にロール体2と軸体4との間に夫々介在されている一対の静圧気体軸受7及び8とを具備しており、静圧気体軸受7は、ロール体2の内周面14に対して軸受隙間31をもって対面しているラジアル軸受面32及びロール体2の一端部5に固着されている中空円板状のプレート20の一方の面33に対して軸受隙間34をもって対面しているスラスト軸受面35を有していると共に軸体4に固着されている一方の軸受体36と、前記プレート20の他方の面38に対して軸受隙間39をもって対面しているスラスト軸受面40を有していると共に軸体4に固着されている他方の軸受体41と、前記プレート20と軸体4との間に介在されていると共に一方の軸受体36と他方の軸受体41とを連結している環状の連結体42と、一方の軸受体36のラジアル軸受面32から軸受隙間31に供給すべき気体、一方の軸受体36のスラスト軸受面35から軸受隙間34に供給すべき気体及び他方の軸受体41のスラスト軸受面40から軸受隙間39に供給すべき気体を給気することができるように、一方の軸受体36、他方の軸受体41及び連結体42に形成されている給気通路44と、一方の軸受体36のラジアル軸受面32から軸受隙間31に供給された気体を軸体4の一端部21側に排気すると共に一方の軸受体36のスラスト軸受面35から軸受隙間34に供給された気体を当該軸受隙間34の外周側から軸体4の一端部21側に排気することができるように、プレート20に形成されている一方の排気通路45と、一方の軸受体36のスラスト軸受面35から軸受隙間34に供給された気体を当該軸受隙間34の内周側から軸体4の一端部21側に排気すると共に他方の軸受体41のスラスト軸受面40から軸受隙間39に供給された気体を当該軸受隙間39の内周側から軸体4の一端部21側に排気することができるように、連結体42及び他方の軸受体41に形成されている他方の排気通路46とを具備しており、他方の静圧気体軸受8は、ロール体2の内周面17に対して軸受隙間91をもって対面しているラジアル軸受面92を有していると共に軸体4に固着されている軸受体93と、この軸受体93のラジアル軸受面92から軸受隙間91に供給すべき気体を給気することができるように、当該軸受体93に形成されている給気通路94と、当該軸受体93のラジアル軸受面92から軸受隙間91に供給された気体及び一方の静圧気体軸受7の一方の軸受体36のラジアル軸受面32から軸受隙間31に供給された気体を軸体4の他端部22側に排気することができるように、他方の静圧気体軸受8の軸受体93に形成されている排気通路95とを具備しているために、ロール体2の回転精度を高めることができ、ロール体2の重量を軽くすることができて回転摩擦の低減及び回転速度の向上を図り得、一方の静圧気体軸受7及び他方の静圧気体軸受8のラジアル方向に関する軸受径を大きくすることができ、また、一方の静圧気体軸受7においてスラスト方向に関してもロール体2を非接触支持するために、軸体4等の熱膨張の影響を少なくし得、一方の静圧気体軸受7によりラジアル方向及びスラスト方向に関して非接触支持すると共に他方の静圧気体軸受8によりラジアル方向に関して非接触支持することでロール体2の他方の静圧気体軸受8側の部位をフリーにすることができて、軸方向の熱膨張の影響を少なくし得、しかも、軸受隙間31、34、39及び91の夫々に供給された気体を円滑にロール装置1の外部に排気することができて、当該気体の不安定な排気に基づくロール体2の回転精度の低下、回転摩擦の増大及び回転速度の低下を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態の例の一部省略断面説明図である。
【図2】図1に示す例のII−II線断面矢視説明図である。
【図3】図1に示す例のIII−III線断面矢視説明図である。
【図4】図1に示す例のIV−IV線断面矢視説明図である。
【図5】図1に示す例のV−V線断面矢視説明図である。
【図6】図4に示す例のVI−VI線断面矢視説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ロール装置
2 ロール体
4 軸体
7 静圧気体軸受
8 静圧気体軸受
31、34、39、91 軸受隙間
32、92 ラジアル軸受面
35、40 スラスト軸受面
44、94 給気通路
45、46、95 排気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のロール体と、ロール体の中空部に隙間をもって挿通されていると共に両端部がロール体から突出している軸体と、ロール体の両端部に夫々配されていると共にロール体と軸体との間に夫々介在されている一対の静圧気体軸受とを具備しており、一方の静圧気体軸受は、ロール体の内周面に対して軸受隙間をもって対面しているラジアル軸受面及びロール体の一端部に固着されている中空円板状のプレートの一方の面に対して軸受隙間をもって対面しているスラスト軸受面を有していると共に軸体に固着されている一方の軸受体と、前記プレートの他方の面に対して軸受隙間をもって対面しているスラスト軸受面を有していると共に軸体に固着されている他方の軸受体と、前記プレートと軸体との間に介在されていると共に一方の軸受体と他方の軸受体とを連結している環状の連結体と、一方の軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給すべき気体、一方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給すべき気体及び他方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給すべき気体を給気することができるように、一方の軸受体、他方の軸受体及び連結体に形成されている給気通路と、一方の軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給された気体を軸体の一端部側に排気すると共に一方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給された気体を当該軸受隙間の外周側から軸体の一端部側に排気することができるように、プレートに形成されている一方の排気通路と、一方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給された気体を当該軸受隙間の内周側から軸体の一端部側に排気すると共に他方の軸受体のスラスト軸受面から軸受隙間に供給された気体を当該軸受隙間の内周側から軸体の一端部側に排気することができるように、連結体及び他方の軸受体に形成されている他方の排気通路とを具備しており、他方の静圧気体軸受は、ロール体の内周面に対して軸受隙間をもって対面しているラジアル軸受面を有していると共に軸体に固着されている軸受体と、この軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給すべき気体を給気することができるように、当該軸受体に形成されている給気通路と、当該軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給された気体及び一方の静圧気体軸受の一方の軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に供給された気体を軸体の他端部側に排気することができるように、他方の静圧気体軸受の軸受体に形成されている排気通路とを具備しているロール装置。
【請求項2】
排気通路は、軸体の長手方向において一方の静圧気体軸受のラジアル軸受面から気体が供給される軸受隙間に隣接していると共にプレートの一方の面に形成されている環状通路と、この環状通路に連通すると共にプレートの他方の面で開口するように当該プレートに形成されている連通路とを具備している請求項1に記載のロール装置。
【請求項3】
排気通路は、プレートの内周面と連結体の外周面との間に形成された環状隙間と、連結体及びプレートを貫いて形成されており、プレートの他方の面で開口している通路と、この通路に連通していると共に前記環状隙間で開口している連通路とを具備している請求項1又は2に記載のロール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−25208(P2010−25208A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186377(P2008−186377)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】