説明

ワイパブレード

【課題】組み付け性が良く、組み付け時の破損(折れや摩耗)を抑えることができるワイパブレードを提供すること。
【解決手段】ワイパブレードは、ブレードラバー11と、バッキング12と、ブレードラバー11及びバッキング12の長手方向中央部におけるブレードラバー11の基部11b及びバッキング12の周囲を包囲してそれらの長手方向直交方向の移動を規制するレバー保持部13aを有しワイパアーム2に連結される連結レバー13と、バッキング12及び連結レバー13と長手方向に係合するように組み付けられてそれらの長手方向の相対移動を規制するサポートパーツ14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイパブレードとしては、ブレードラバーと、該ブレードラバーに剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキングと、該バッキングに組み付けられるとともに、ワイパアームに連結される連結レバーとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このワイパブレードでは、バッキングの側部の一部に係止溝が形成され、連結レバーには、前記係止溝に嵌り込んで互いの長手方向の移動を規制するための弾性係止部が一体成形されている。そして、このワイパブレードでは、連結レバーに対してバッキング(及びブレードラバー)を長手方向に相対移動させて組み付ける際、弾性係止部が係止溝に嵌り込むまでは、弾性係止部はバッキングの係止溝が形成されていない部分の側部によって撓められつつ該側部と押圧接触しながら摺動していくことになる。そして、前記長手方向の相対移動によって弾性係止部が係止溝に到達すると、該弾性係止部は撓みが解消されつつ係止溝に嵌り込んで、長手方向の相対移動が規制されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−533261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したワイパブレードでは、その組み付け時に、弾性係止部が撓められつつ弾性力にてバッキングに押圧接触しながら摺動していくことになるため、例えば、側部に形成された他の溝や意図しない僅かな凹凸などで弾性係止部が引っ掛かってしまうといった虞があった。よって、例えば、組み付け性が悪かったり、組み付け時に弾性係止部が破損(折れや摩耗)してしまうといった虞があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、組み付け性が良く、組み付け時の破損(折れや摩耗)を抑えることができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、払拭面を払拭するための払拭部を有した長尺状のブレードラバーと、ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ該ブレードラバーに剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキングと、前記ブレードラバー及び前記バッキングの長手方向中央部におけるブレードラバーの基部及びバッキングの周囲を包囲するとともにそれらの長手方向直交方向の移動を規制して保持するレバー保持部を有し、ワイパアームに直接、又は間接的に連結される連結レバーと、前記バッキング及び前記連結レバーと長手方向に係合するように組み付けられて、それらの長手方向の相対移動を規制する移動規制部材とを備えたワイパブレードを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、バッキング及び連結レバーと長手方向に係合するように組み付けられて、それらの長手方向の相対移動を規制する移動規制部材を備えるため、バッキングと連結レバーの位置を合わせてから移動規制部材を組み付けることでそれらの長手方向の相対位置を固定することができる。そして、このようにすると、例えば、連結レバーにバッキングとの長手方向の相対移動を規制するための弾性係止部を一体成形したもの(従来技術)のように、ブレードラバーと連結レバーとの組み付け時に弾性係止部が引っ掛かってしまうといったことがない。よって、組み付け性が良く、組み付け時の破損(折れや摩耗)を抑えることができるワイパブレードを提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記連結レバーには、前記ワイパアームに連結されるクリップが回動可能に組み付けられ、前記移動規制部材は、前記ブレードラバー及び前記連結レバーに対して前記払拭面の上方から嵌め込まれて組み付けられるものであり、前記クリップには、前記移動規制部材の上方への抜けを規制するための抜け規制部が設けられたことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、クリップには、移動規制部材の上方への抜けを規制するための抜け規制部が設けられるため、連結レバーにクリップを組み付けることで自動的に移動規制部材の上方への抜けを規制することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のワイパブレードにおいて、前記連結レバーには、前記クリップの回動軸中心の位置に軸挿通孔が形成されるとともに、該軸挿通孔と連通し前記移動規制部材が前記軸挿通孔を介して組み付け収容されるパーツ収容部が形成され、前記抜け規制部は、前記軸挿通孔に挿入されて前記クリップを回動可能に支持する支持軸とされたことを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、前記抜け規制部は、前記軸挿通孔に挿入されてクリップを回動可能に支持する支持軸とされるため、支持軸に2つの機能を持たせて、例えば、クリップの形状の複雑化を抑えることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記連結レバーには、前記ワイパアームに連結されるクリップが回動可能に組み付けられるものであって、前記連結レバーには、前記クリップの回動軸中心の位置に軸挿通孔が形成され、前記クリップには、前記軸挿通孔に挿入されてクリップを回動可能に支持する一対の支持軸が形成され、前記支持軸の先端には、組み付け後の使用状態において前記払拭面方向とは一致しない方向に向かって支持軸の高さが低くなるように傾斜した傾斜面が形成されたことを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、クリップの支持軸の先端には、(ワイパブレードの)組み付け後の使用状態において払拭面方向とは一致しない方向に向かって支持軸の高さが低くなるように傾斜した傾斜面が形成されるため、組み付け性を向上させながら耐摩耗性を確保することができる。詳しくは、組み付け時には、支持軸の高さが低い側から高い側に向かって軸挿通孔に対して支持軸を組み付けていくことで、連結レバーに対してクリップを容易に組み付けることができる。又、その組み付け後の使用状態においては、傾斜面が払拭面方向とは一致しない方向に向かって支持軸の高さが低くなるように設定されているため、支持軸から軸挿通孔に払拭面方向に力が伝達されても(傾斜面が払拭面方向と一致する方向に傾斜した場合に比べて)支持軸が広い面積で接触(摺接)することになり、耐摩耗性が確保される。特に、請求項3に記載の構成にこの構成が適用されると、支持軸の高さが最も低くなっている部分とは異なる部分(支持軸の広い面積での接触)によって、移動規制部材の上方(反払拭面方向)への抜けをもより確実に規制することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のワイパブレードにおいて、前記クリップは、組み付け後の使用状態において自身の長手方向が略水平に配置されるものであって、前記傾斜面は、前記クリップの長手方向一端側に向かって前記支持軸の高さが低くなるように形成されたことを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、連結レバーに対してクリップを垂直にした状態で支持軸を軸挿通孔に組み付けることで容易に組み付けることができ、組み付け後の使用状態においてはクリップを連結レバーと共に略水平(平行)として、支持軸から軸挿通孔に払拭面方向に力が伝達されても支持軸が広い面積で接触(摺接)することになり、耐摩耗性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、組み付け性が良く、組み付け時の破損(折れや摩耗)を抑えることができるワイパブレードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態における車両用ワイパの斜視図。
【図2】本実施の形態における車両用ワイパの一部分解斜視図。
【図3】本実施の形態における車両用ワイパの一部断面図。
【図4】本実施の形態における車両用ワイパの一部断面図。
【図5】(a),(b)本実施の形態における連結レバーの斜視図。
【図6】本実施の形態におけるバッキング、連結レバー、及びクリップを組み付けた斜視図。
【図7】本実施の形態におけるクリップの斜視図。
【図8】本実施の形態におけるバッキング、連結レバー、及びクリップを組み付けた側面図。
【図9】本実施の形態におけるワイパブレードの斜視図。
【図10】本実施の形態におけるワイパアームの斜視図。
【図11】本実施の形態における車両用ワイパを説明するための側面図。
【図12】(a)〜(c)別例における車両用ワイパを説明するための一部斜視図。
【図13】(a)別例における連結レバー及びクリップを組み付ける前の斜視図。(b)別例における連結レバー及びクリップの組み付け後の使用状態に対応した斜視図。
【図14】(a)別例における組み付け方法を説明するための一部断面図。(b)別例における車両用ワイパの一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図11に従って説明する。図1に示すように、車両用ワイパ1は、自動車の払拭面としてのフロントガラスに付着した雨滴等を払拭するためのものであって、ワイパアーム2と、該ワイパアーム2に連結されるワイパブレード3とから構成されている。ワイパアーム2は、その基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸(図示略)に固定され、該ピボット軸の往復回動に伴って往復揺動運動を行う。尚、このワイパアーム2は、図示しない付勢機構により、その先端連結部4がフロントガラス(払拭面)側に付勢される。そして、ワイパアーム2の先端連結部4には、ワイパブレード3が連結される。
【0019】
ワイパブレード3は、図2〜図4に示すように、払拭面(フロントガラス)を払拭するための払拭部11aを有した長尺状のブレードラバー11と、ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられ該ブレードラバー11に剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキング12とを備える。本実施の形態のブレードラバー11は、図3に示すように、長手方向直交方向断面が略長方形の基部11bと、該基部11bの幅方向中央から下方に延びる括れ部11cと、該括れ部11cから更に下方に延びる前記払拭部11aとを有する。又、本実施の形態のバッキング12は、図2及び図3に示すように、ワイパブレード3に1本のみ設けられるものであって、その長手方向の中央にバッキング係合部12aが形成されている。バッキング係合部12aは、バッキング12の幅方向の両側が幅方向中央側に切り欠かれた形状に形成されている。
【0020】
又、ワイパブレード3は、図3に示すように、ブレードラバー11及びバッキング12の長手方向中央部におけるブレードラバー11の基部11b及びバッキング12の周囲を包囲してそれらの長手方向直交方向の移動を規制して保持するレバー保持部13aを有した連結レバー13を備える。
【0021】
詳しくは、連結レバー13は、硬質の樹脂材よりなり、図2〜図4、及び図5(a),(b)に示すように、略直方体形状のレバー本体部13bと、図3及び図5(b)に示すように、該レバー本体部13bの下端面における幅方向両側から下方に延びてさらに幅方向内側に延びた腕状の前記レバー保持部13aとを有する。本実施の形態のレバー保持部13aは、図3に示すように、ブレードラバー11の基部11bにおける上端面にバッキング12を当接させた(載置した)状態で、該基部11b及びバッキング12を包囲する構成とされている。
【0022】
又、図2〜図4、及び図5(a)に示すように、レバー本体部13bにおける長手方向一端側には、上方から前記レバー保持部13aまで連通するように貫通した上下貫通部13cが形成されている。上下貫通部13cは、上下方向から見て略4角形に形成されている。又、上下貫通部13cの下端部は、図4に示すように、その長手方向の間隔が小さくされ、後述する移動規制部材としてのサポートパーツ14(図2参照)を収容するためのパーツ収容部13dとされている。
【0023】
又、レバー本体部13bにおける長手方向一端側(上下貫通部13cと対応した位置)には、図2〜図4、及び図5(a),(b)に示すように、その両側面(幅方向の側面)と直交する方向に貫通した軸挿通孔13eが形成されている。即ち、この軸挿通孔13eは、外部と前記上下貫通部13c(前記パーツ収容部13d)とを連通するように、言い換えると、前記上下貫通部13cの幅方向の内側面から外部に抜けるように形成されている。
【0024】
又、レバー本体部13bの両側面における略中央には、図2及び図5(a),(b)に示すように、上下方向に延びる、詳しくは前記軸挿通孔13eの軸中心(回動軸中心)と同心の円弧に沿って延びる案内溝13fが形成されている。
【0025】
又、レバー本体部13bの両側面における長手方向他端部には、図5(a),(b)に示すように、上下方向に延びる抜け止め壁部13gが突出して形成されている。又、レバー本体部13bの上面における長手方向他端部には、図5(a)に示すように、前記抜け止め壁部13gの上端を繋ぐように幅方向に延びる上壁部13hが突出して形成されている。
【0026】
又、レバー本体部13bの両側面における下端部には、図5(a)に示すように、前記抜け止め壁部13gの下端から長手方向一端側まで延びる下壁部13iが突出して形成されている。又、下壁部13iの長手方向一端側端部には、図5(a)に示すように、前記軸挿通孔13eの軸中心(回動軸中心)と同心の円弧凹状に形成された対向面13jが形成されている。
【0027】
又、レバー本体部13bの上面における略中央には、図4及び図5(a)に示すように、逃がし溝13kが形成されている。
又、連結レバー13には、図1、図2及び図9に示すように、レバー本体部13bにおける長手方向一端側から長手方向先端に延びるとともに、後述するケース15のフィン部16に滑らかに繋がる形状の湾曲連結部13lが形成されている。
【0028】
このように構成された連結レバー13は、バッキング12との長手方向の移動が規制されて組み付けられる。詳しくは、まず連結レバー13のレバー保持部13a内に、バッキング12が長手方向に沿って挿入され、前記パーツ収容部13d(図3及び図4参照)と前記バッキング係合部12a(図2参照)の長手方向の位置が一致するように、長手方向の位置決めがなされる。そして、サポートパーツ14が、上方から上下貫通部13cを通されてパーツ収容部13dに嵌め込まれて(落とされて)、バッキング12(バッキング係合部12a)及び連結レバー13(パーツ収容部13d)と長手方向に係合するように組み付けられることで、連結レバー13とバッキング12とは長手方向の移動が規制(長手方向に位置決め)される。尚、本実施の形態のサポートパーツ14は、図3に示すように、長手方向から見て幅方向に延びる中央部14aと、該中央部14aの両端から下方に延びる一対の腕部14bとを有し、その中央部14aがパーツ収容部13d内に没入してパーツ収容部13dと長手方向に係合するとともに、各腕部14bがそれぞれバッキング係合部12aと長手方向に係合する構成となっている。
【0029】
そして、連結レバー13には、前記ワイパアーム2に連結されるクリップ17(図2参照)がその両側面と直交する回動軸中心(前記軸挿通孔13eの軸中心)に回動可能に組み付けられる。
【0030】
クリップ17は、図2に示すように、前記回動軸中心(前記軸挿通孔13eの軸中心)と対応した位置から前記レバー本体部13bの両側面に沿って長手方向基端側に延びる一対の側壁17aと、それら一対の側壁17aを繋ぐとともにレバー本体部13bの上面に沿って延びる上壁17bとを有する。
【0031】
このクリップ17の一対の側壁17aにおける内側面には、図2及び図3に示すように、前記軸挿通孔13eに挿入されることでクリップ17を回動可能に支持する支持軸17cが形成されている。そして、この支持軸17cは、図3に示すように、前記上下貫通部13c内に突出する長さに設定され、その先端部が前記パーツ収容部13dに嵌め込まれたサポートパーツ14の上面と当接して該サポートパーツ14の上方への抜けを規制するための抜け規制部17eとされている。尚、本実施の形態では、前記軸挿通孔13eと支持軸17cとが回動連結部を構成している。
【0032】
又、クリップ17の一対の側壁17aにおける外側面には、図2、図6〜図8に示すように、それぞれ係合凸部17fが形成されている。係合凸部17fは、側壁17aの長手方向一端側端部(支持軸17cの裏側)に形成されている。又、係合凸部17fは、側壁17aにおける上下方向の中央に形成されている。又、係合凸部17fは、上下の端面が長手方向に略沿って形成され、その下端面における長手方向他端部のみ他端側に向かうほど上方に湾曲した曲面とされている。
【0033】
又、図6に示すように、クリップ17の前記上壁17bにおける前記回動軸中心側の端部(支持軸17c側端部であって長手方向一端側端部)には、自身の回動を許容するための切り欠き17gが形成されている。即ち、クリップ17の一対の側壁17aは、図2に示すように、前記支持軸17cよりも長手方向一端側にも僅かに延びているため、その部分にも上壁があると、その上壁が回動時にレバー本体部13bの上面に衝突する方向に回動することになるが、その上面に凹部を形成することなく、回動が許容されるように切り欠き17gが形成されている。
【0034】
又、図7及び図8に示すように、クリップ17の両側壁17aにおける下端面には、前記回動軸中心(支持軸17c及び軸挿通孔13eの軸中心)を中心とした円弧面17hが形成されている。この円弧面17hは、図8に示すように、前記連結レバー13の前記対向面13jと対向するように設定されている。尚、本実施の形態の円弧面17hは、初期状態(組み付けた直後の状態)で前記対向面13jと僅かな隙間を有して対向するように設定され、回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)で摩耗が生じた際に対向面13jと摺接するように設定されている。
【0035】
又、クリップ17の両側壁17aにおける前記回動軸中心(支持軸17c)から長手方向他端側に離間した位置の下端面は、図7及び図8に示すように、前記回動軸中心と対応した位置の下端面(即ち円弧面17h)より位置が高い上方下端面17iとされている。即ち、本実施の形態のクリップ17における両側壁17aの下端面は、回動軸中心(支持軸17c)の下方部分のみが上方下端面17iより円弧凸状に突出した円弧面17hとされている。
【0036】
又、クリップ17の両側壁17aの長手方向他端部は、図8に示すように、前記連結レバー13に組み付けられた状態で、前記抜け止め壁部13gとの長手方向の間に上下方向に沿って延びる隙間Sが生じるように設定されている。
【0037】
又、クリップ17の両側壁17aにおける内側面には、図7に示すように、前記案内溝13f(図5参照)に嵌る案内凸部17jが形成されている。この案内凸部17jは、前記案内溝13fに嵌った状態(組み付け後の使用状態)で該案内溝13fに案内されつつ案内溝13fの上下方向の終端位置に応じて連結レバー13に対するクリップ17のそれ以上の回動を規制するためのものである。
【0038】
又、クリップ17の上壁17bには、図2、図4及び図6に示すように、上方に突出するとともに上下方向に可撓性を有する弾性突起17kが形成されている。この弾性突起17kは、連結レバー13の前記逃がし溝13k(図4及び図5(a)参照)と対応した位置に形成され、該逃がし溝13kによって、組み付けられた状態(図4及び図6参照)での下方への撓みが許容されることになる。
【0039】
又、ワイパブレード3は、図1及び図2に示すように、連結レバー13(レバー保持部13a)の長手方向両側におけるブレードラバー11の基部11b及びバッキング12の周囲を包囲してそれらの長手方向直交方向の移動を規制して保持するケース保持部15a(図2参照)をそれぞれ有した一対のケース15を備えている。
【0040】
ケース15は、軟質の(可撓性を有する)樹脂材よりなり、そのケース保持部15aの形状は、前記レバー保持部13aと同様の形状とされている。即ち、レバー保持部13aと各ケース保持部15aとは、組み付けられた状態で長手方向に連なって、ブレードラバー11の基部11b及びバッキング12をその長手方向全体に亘って包囲(収容)する構成とされている。
【0041】
又、ケース15の上面には、ゴム材又はエラストマー材よりなり、走行風を払拭面側への押圧力に変換するためのフィン部16が二色成形により設けられている。具体的には、フィン部16は、ワイパブレード3の停止位置において車両後方側に向かうほど(払拭面から)高くなる湾曲面を有した形状に形成されている。そして、連結レバー13の前記湾曲連結部13lは、図2及び図9に示すように、略直方体形状のレバー本体部13bからフィン部16側に向かって徐々に前記湾曲面と対応した形状となるように形成されている。
【0042】
又、本実施の形態では、前記湾曲連結部13lと対応した側のケース15(フィン部16含む)と連結レバー13(湾曲連結部13l)の連結部分は、互いの上端面が面一となるように設定、言い換えれば、両者の連結部分の形状が連続的に移行するように形成されている。又、そのケース15(フィン部16含む)には、図2及び図9に示すように、前記連結レバー13(その湾曲連結部13l)にて上面が覆われるように長手方向に延びる段差部15bが形成されている。
【0043】
又、ワイパブレード3は、図1に示すように、バッキング12の長手方向両端に固定されて、該バッキング12の長手方向端部と、ケース15(フィン部16含む)の長手方向端部と、ブレードラバー11の基部11bにおける長手方向端部とを覆うキャップ18を備えている。
【0044】
上記のように構成されたワイパブレード3は、そのクリップ17がワイパアーム2の先端連結部4に連結固定される。
ワイパアーム2の先端連結部4には、図2及び図10に示すように、前記クリップ17の(上壁17bの)上面を略覆う上被覆壁4aとクリップ17の(両側壁17aの)外側面を略覆う両側被覆壁4bが形成されている。そして、両側被覆壁4bには、図2に示すように、クリップ17と長手方向に沿って組み付けられることでクリップ17の前記係合凸部17fと上下方向に係合する係合凹部4cが形成されている。この係合凹部4cは、両側被覆壁4bにおける上下方向の中央部分に、長手方向先端側(一端側)が開口するように形成され、該開口から係合凸部17fが長手方向に(図11に示す状態から図8に示す状態に)挿入されて組み付けられることで該係合凸部17fと上下方向に係合されることになる。
【0045】
又、先端連結部4の両側被覆壁4bの内側面には、図10に示すように、互いに幅方向中央側に突出する抜け止め部としての突起4dが打ち出し形成されている。この突起4dは、図11に示すように、前記係合凹部4cが前記係合凸部17fと係合しない長手方向の位置に先端連結部4がある状態で、連結レバー13の前記抜け止め壁部13gと長手方向に当接するように形成されている(2点鎖線の状態)。即ち、突起4dは、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態(図8参照)からクリップ17に対して先端連結部4を長手方向に相対移動させた際(図11参照)に抜け止め壁部13gと長手方向に当接して、それ以上の長手方向の相対移動(抜け)を規制するように設けられている。又、突起4dは、抜け止め壁部13gと長手方向に当接した状態(図11参照)では、該抜け止め壁部13gとクリップ17の両側壁17aの長手方向他端部との間の上下方向に沿って延びる隙間Sを通って上下方向の移動が許容されるように設けられている。
【0046】
これにより、組み付ける際は、クリップ17に対して先端連結部4をまず下方に相対移動させた後、先端連結部4を長手方向に相対移動させて(係合凹部4cを係合凸部17fに係合させて)組み付けることになる。又、逆に、取り外す際は、クリップ17に対して先端連結部4をまず長手方向に相対移動させ(係合凹部4cを係合凸部17fから外し)た後、先端連結部4を上方に相対移動させて取り外すことになる。
【0047】
又、突起4dは、図8に示すように、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態で、クリップ17の前記上方下端面17iと当接する位置に形成されている。
又、突起4dは、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態で、前記案内凸部17j(図7参照)の下端と当接する位置に形成され、前記案内溝13f(図5参照)の下方の終端と当接することで連結レバー13に対するクリップ17及び先端連結部4の一方の回動を規制するように設けられている。即ち、突起4dは、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態では、前記案内凸部17jと一体的となり剛性を互いに高め合いつつ、前記一方の回動を規制するように設けられている。
【0048】
又、図2、図4、及び図10に示すように、先端連結部4の上被覆壁4aには、クリップ17に組み付けられた状態(図8参照)であって前記弾性突起17kが下方に撓められていない状態で該弾性突起17kが嵌合されて該弾性突起17kと長手方向に係合する被嵌合部としての被嵌合孔4eが形成されている。これにより、弾性突起17kに何らかの外力が加わらなければ、先端連結部4とクリップ17とが長手方向に相対移動してしまうことが防止されている。
【0049】
又、先端連結部4の両側被覆壁4bには、図3に示すように、上下方向に前記バッキング12と一致する位置まで下方に延びたラップ部4fが形成されている。
次に、上記のように構成された車両用ワイパ1の作用について説明する。
【0050】
上記車両用ワイパ1では、ワイパアーム2とその先端連結部4に固定されたクリップ17に対して(クリップ17を除く)ワイパブレード3が回動可能とされる。そして、ワイパアーム2の先端連結部4が図示しない付勢機構によりフロントガラス(払拭面)側に付勢されることで、その付勢力がクリップ17、連結レバー13、バッキング12を介してブレードラバー11に伝達されて、ブレードラバーの払拭部11aが長手方向全長に亘ってフロントガラス(払拭面)に押圧接触される。又、走行時には、フィン部16にて走行風がフロントガラス(払拭面)側への押圧力に変換されて、ブレードラバーの払拭部11aがフロントガラス(払拭面)に押圧接触される。これらのことから、ワイパアーム2がピボット軸中心に往復回動されると、良好な払拭動作が行われる。
【0051】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)バッキング12及び連結レバー13と長手方向に係合するように組み付けられて、それらの長手方向の相対移動を規制するサポートパーツ14を備えるため、バッキング12と連結レバー13の位置を合わせてからサポートパーツ14を組み付けることでそれらの長手方向の相対位置を固定することができる。そして、このようにすると、例えば、連結レバーにバッキングとの長手方向の相対移動を規制するための弾性係止部を一体成形したもの(従来技術)のように、ブレードラバーと連結レバーとの組み付け時に弾性係止部が引っ掛かってしまうといったことがない。よって、組み付け性が良く、組み付け時の破損(折れや摩耗)を抑えることができるワイパブレード3を提供することができる。
【0052】
(2)クリップ17には、サポートパーツ14の上方への抜けを規制するための抜け規制部17e(支持軸17cの先端部)が設けられるため、連結レバー13にクリップ17を組み付けることで自動的にサポートパーツ14の上方への抜けを規制することができる。
【0053】
(3)抜け規制部17eは、連結レバー13の軸挿通孔13eに挿入されてクリップ17を回動可能に支持する支持軸17c(その先端部)とされるため、支持軸17cに2つの機能を持たせて、例えば、クリップ17の形状の複雑化を抑えることができる。
【0054】
(4)ブレードラバー11とバッキング12は、その長手方向全体が、レバー保持部13aとケース保持部15aにて長手方向直交方向の移動が規制されて保持される。そして、ワイパアーム2にクリップ17を介して連結される連結レバー13は、バッキング12に対して長手方向の移動が規制されて組み付けられるため、連結レバー13に対してバッキング12が長手方向にずれることなく固定される。しかも、ケース15を一対とし、各ケース15のケース保持部15aの間においてバッキング12の上面12bに連結レバー13のレバー保持部13aを直接配置した構成であるため、例えば、バッキング12の全長に対応した単一のケースとしてそのケースの長手方向中央を把持するような連結レバーを備えた構成に比べて、ワイパブレード3の高さ方向の部材の重なりを減らすことができる。その結果、払拭面からの高さを十分に低減でき背の低いスリム感のあるデザイン性の良好なワイパブレード3を得ることができる。
【0055】
(5)クリップ17の上壁17bにおける回動軸中心側の端部(支持軸17c側の端部)には自身の回動を許容するための切り欠き17gが形成されるため、例えば、上壁17bの払拭面からの高さを低く保ちながらもレバー本体部13bの上面に回動を許容させるための凹部を形成することなく、クリップ17の回動を許容させることができる。尚、レバー本体部13bの上面に回動を許容させるための凹部を形成しなくてよいことは、レバー本体部13b(連結レバー13)の剛性を高く維持することに寄与する。
【0056】
(6)連結レバー13のレバー本体部13bの両側面及びクリップ17の両側壁17aにおける回動軸中心位置には、互いを回動可能に連結する回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)が設けられることで、クリップ17が連結レバー13に対して回動可能とされる。そして、更に、クリップ17の両側壁17aにおける下端面には、前記回動軸中心と同心の円弧面17hが形成され、連結レバー13には、前記円弧面17hと対向する対向面13jが形成されるため、回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)以外の部分に、回動可能に支持する部分を追加することができる。即ち、クリップ17は、常時、ワイパアーム2から下方(払拭面方向)に力(押圧力)を受けるが、その両側壁17aにおける下端部の円弧面17hを連結レバー13の対向面13jで受け止めることで、回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)の耐久性を向上できる。又、本実施の形態では、初期状態(組み付けた直後の状態)では円弧面17hは、対向面13jと僅かな隙間を有して対向するように設定されるため、寸法精度を高精度としなくても組み付け性が良好となるとともに回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)によるスムーズな回動が確保される。そして、回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)で僅かな摩耗が生じた際には、円弧面17hと連結レバー13が摺接することで、それ以上の回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)の摩耗を抑えることが可能となる。
【0057】
(7)連結レバー13には、ケース15のフィン部16に繋がる湾曲連結部13lが形成されるため、ケース15と連結レバー13とを滑らかに繋がった形状(急激な段差を抑えた形状)とすることができ、美観を向上させることができる。又、急激な段差を抑えることができるので、走行風の整流を良好とすることができる。
【0058】
(8)ケース15(フィン部16含む)と連結レバー13(湾曲連結部13l)との連結部分は、互いの上端面が面一となるように設定されるため、美観を良好とすることができる。しかも、ケース15(フィン部16含む)には、連結レバー13(その湾曲連結部13l)にて上面が覆われるように長手方向に延びる段差部15bが形成されるため、例えば、段差部15bによって上端面の連結部分から内部側への異物(雪や枯葉等)の侵入を低減することができる。
【0059】
(9)レバー保持部13a及びケース保持部15aは、ブレードラバー11の基部11bにおける上端面にバッキング12を当接させた状態で、該基部11b及びバッキング12を包囲して保持する構成であって、ブレードラバー11とバッキング12の間に介在される壁を有さない。よって、前記壁を有するものに比べて、ワイパブレード3の払拭面からの高さを一層低くすることができる。
【0060】
(10)ワイパアーム2の先端連結部4には、上下方向にバッキング12と一致する位置まで下方に延びたラップ部4fが形成されるため、例えば、該部分でバッキング12と共にレバー保持部13aが捩れるように変形しようとしても該ラップ部4fにてその変形を抑えることが可能となる。
【0061】
(11)クリップ17の両側壁17aにおける外側面には、それぞれ係合凸部17fが形成され、ワイパアーム2の先端連結部4における両側被覆壁4bには、クリップ17と長手方向に沿って組み付けられることで係合凸部17fと上下方向に係合する係合凹部4cが形成されるため、クリップ17に対するワイパアーム2の上下方向の移動が規制される。そして、このようにすると、クリップ17が回動する回動軸中心と対応した位置において、例えばクリップの下面を抱え込むように延びる一対の抱え込み部が形成されたもの(部材が上下方向に重なり払拭面からの高さが高くなってしまうもの)に比べて、払拭面からの高さを低くすることが可能となる。又、例えば、前記抱え込み部が形成されたものに比べて、ワイパアーム2の先端連結部4を単純な形状とすることができ、その製造を容易とすることができる。
【0062】
(12)連結レバー13には、係合凹部4cが係合凸部17fと係合しない長手方向の位置に先端連結部4がある状態で、該先端連結部4に形成された抜け止め部(突起4d)と長手方向に当接する抜け止め壁部13gが設けられるため、先端連結部4からクリップ17(ひいてはワイパブレード3)が脱落し難くなる。詳しくは、上記構成では、クリップ17に対してワイパアーム2の先端連結部4をまず下方に相対移動させた後、先端連結部4を長手方向に相対移動させて(係合凹部4cを係合凸部17fに係合させて)組み付けることになる。又、逆に、クリップ17に対してワイパアーム2の先端連結部4をまず長手方向に相対移動させ(係合凹部4cを係合凸部17fから外し)た後、先端連結部4を上方に相対移動させて取り外すことになる。そして、例えば、車両用ワイパ1が車両に取り付けられた状態では、先端連結部4に対してクリップ17が長手方向に相対移動してしまったとしても、ワイパアーム2に掛かる図示しない付勢機構による付勢力により先端連結部4が上方に相対移動し難いため、先端連結部4からクリップ17側(即ちワイパブレード3)が簡単に脱落しなくなる。
【0063】
(13)クリップ17の自身の回動する回動軸中心から離間した位置の下端面は、前記回動軸中心と対応した位置の下端面(円弧面17h)より位置が高い上方下端面17iとされるが、これは回動軸中心と対応した位置に設けられる回動連結部(支持軸17c)が無いことで可能となる。そして、前記抜け止め部は、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態で、前記上方下端面17iと当接するように突出した突起4dとされるため、係合凹部4cと係合凸部17fに加えて、上被覆壁4aと突起4dによっても(補助的に)クリップ17に対するワイパアーム2(先端連結部4)の上下方向の移動が規制される。よって、組み付けた状態で、クリップ17に対するワイパアーム2(先端連結部4)の上下方向の移動を強固に規制することができる。
【0064】
(14)突起4dは、クリップ17の案内凸部17jの下端と当接するように配置され、案内溝13fの一方の終端と当接することで連結レバー13に対するクリップ17の一方の回動を規制するため、突起4dと案内凸部17jの剛性を互いに高めつつ、回動を予め設定した範囲で規制することができる。
【0065】
(15)クリップ17の上壁17bには弾性突起17kが形成され、先端連結部4の上被覆壁4aには、弾性突起17kが下方に撓められていない状態で該弾性突起17kが嵌合されて該弾性突起17kと長手方向に係合する被嵌合孔4eが形成される。よって、弾性突起17kに何らかの外力が加わらなければ、先端連結部4とクリップ17とが長手方向に相対移動してしまうことが防止される。
【0066】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、クリップ17には、サポートパーツ14の上方への抜けを規制するための抜け規制部17e(支持軸17cの先端部)が設けられるとしたが、これに限定されず、抜け規制部17eが設けられていないクリップとしてもよい。尚、この場合、例えば、サポートパーツ(移動規制部材)が、自身の組み付け方向の反対方向への抜けを規制するための(連結レバーと係合する)抜け止め爪を有する構成としてもよい。このようにしても、容易に組み付けることができるとともに自動的にサポートパーツ(移動規制部材)の抜けを規制することができる。又、例えば、サポートパーツ(移動規制部材)が圧入固定される構成としてもよい。又、例えば、サポートパーツ(移動規制部材)が接着固定される構成としてもよい。
【0067】
又、例えば、抜け規制部17eが設けられていないクリップとするとともに、クリップ自体に移動規制部材を一体成形してもよい。このようにすると、別体でサポートパーツ14(移動規制部材)を設けたものに比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0068】
又、抜け規制部17eは、連結レバー13の軸挿通孔13eに挿入されてクリップ17を回動可能に支持する支持軸17cの先端部であるとしたが、サポートパーツ14の抜けを規制することができれば、抜け規制部をクリップ17における他の部分(支持軸17cとは異なる部分)に設けてもよい。
【0069】
・上記実施の形態では、レバー本体部13bには、上方からレバー保持部13aまで連通するように貫通した上下貫通部13cが形成され、サポートパーツ14はレバー本体部13bの上方から上下貫通部13cを通されてパーツ収容部13dに嵌め込まれるとしたが、これに限定されず、他の構成で嵌め込まれるようにしてもよい。例えば、図12(a)〜(c)に示すように変更してもよい。即ち、上記実施の形態の連結レバー13における上下貫通部13cが上方に貫通せずに天壁13mを有した構成とする。そして、サポートパーツ14は、まず軸挿通孔13eから(図12(a)に示すように幅方向から)レバー本体部13bの内部に挿入された後(図12(b)に示す状態とされた後)、下方のパーツ収容部13d(図3参照)に嵌め込まれて(落とされて(図12(c)参照))、バッキング12(バッキング係合部12a)及び連結レバー13(パーツ収容部13d)と長手方向に係合するようにしてもよい。このようにすると、例えば、上下貫通部13cが上方に貫通していない構成であって天壁13mを有した構成とされることで、連結レバー13(レバー本体部13b)の剛性を高くすることができる。
【0070】
・上記実施の形態の支持軸17cは、単純な円柱形状であるとしたが、これに限定されず、例えば、先端に組み付け性を向上するための傾斜面が形成された支持軸に変更してもよい。
【0071】
具体的には、図13(a),(b)及び図14(a),(b)に示すように、変更してもよい。このクリップ21の支持軸22の先端には、組み付け後の使用状態(図13(b)参照)において前記払拭面方向とは一致しない方向に向かって支持軸22の高さが低くなるように傾斜した傾斜面22aが形成されている。詳しくは、この例のクリップ21は、上記実施形態と同様に、組み付け後の使用状態(前記案内凸部17jが案内溝13fに嵌った状態であって、図13(b)及び図14(b)に示す状態)においては、連結レバー13と共に自身の長手方向が略水平に配置されるものである。そして、傾斜面22aは、図13(a)及び図14(a)に示すように、クリップ21の長手方向一端側に向かって支持軸22の高さが低くなるように形成されている。又、この例の傾斜面22aは、支持軸22の先端(頂面)の略半分に形成され、残りの略半分は支持軸22の高さが一定の平坦面とされている。又、この例のクリップ21における切り欠き23は、上記実施形態の切り欠き17gに比べて大きく切り欠かれ、一対の支持軸22が離間するように撓み易くされるとともに、図13(a)に示すように、連結レバー13に対してクリップ21を垂直にした状態で支持軸22を軸挿通孔13eに挿入して組み付けることが可能とされている。尚、この例では、上記実施形態の円弧面17h及び対向面13jが形成されておらず、このことも上記した組み付けを可能としている。
【0072】
このようにすると、組み付け性を向上させながら耐摩耗性を向上させることができる。詳しくは、組み付け時には、図13(a)及び図14(a)に示すように、支持軸22の高さが低い側から高い側に向かって軸挿通孔13eに対して支持軸22を組み付けていくことで、言い換えると、連結レバー13に対してクリップ21を垂直にして支持軸22を軸挿通孔13eに挿入して組み付けることで、容易に組み付けることができる。又、組み付け後の使用状態(前記案内凸部17jが案内溝13fに嵌った状態であって、図14(b)に示す状態)においては、支持軸22から軸挿通孔13eに払拭面方向に力が伝達されても(傾斜面22aが払拭面方向と一致する方向に傾斜した場合に比べて)支持軸22が広い面積で接触(摺接)することになり、耐摩耗性が向上する。
【0073】
又、この例では、上記実施の形態と同様に、図14(b)に示すように、支持軸22(その先端部)が抜け規制部22bを構成しているが、上記したように傾斜面22aを形成することで、支持軸22の高さが最も低くなっている部分とは異なる部分(支持軸22が広い面積で接触すること)によって、サポートパーツ14の上方(反払拭面方向)への抜けをもより確実に規制することができる。
【0074】
・上記実施の形態及び別例の案内凸部17jにおける下端(組み付け後の使用状態における払拭面側)の角に組み付け性を向上するための傾斜面を形成してもよい。
・上記実施の形態では、クリップ17の上壁17bには自身の回動を許容するための切り欠き17gが形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、レバー本体部13bの上面に回動を許容させるための凹部を形成してもよい。
【0075】
・上記実施の形態では、クリップ17の両側壁17aにおける下端面には円弧面17hが形成され、連結レバー13には円弧面17hと対向する対向面13jが形成されるとしたが、これに限定されず、円弧面17h及び対向面13jが形成されていない構成としてもよい。
【0076】
・上記実施の形態では、連結レバー13には、ケース15のフィン部16に滑らかに繋がる湾曲連結部13lが形成されるとしたが、これに限定されず、湾曲連結部13lが形成されていない連結レバーとしてもよい。又、ケース15にはフィン部16が設けられるとしたが、これに限定されず、例えば、リアガラスを払拭するための車両用ワイパとした場合等、フィン部16が設けられていないケースとしてもよい。
【0077】
・上記実施の形態では、ケース15(フィン部16含む)と連結レバー13(湾曲連結部13l)との連結部分は、互いの上端面が面一となるように設定されるとしたが、これに限定されず、連結部分の上端面に段差が生じる構成としてもよい。又、ケース15(フィン部16含む)には、連結レバー13(その湾曲連結部13l)にて上面が覆われるように長手方向に延びる段差部15bが形成されるとしたが、これに限定されず、段差部15bが形成されない構成としてもよい。
【0078】
・上記実施の形態では、レバー保持部13a及びケース保持部15aは、ブレードラバー11の基部11bにおける上端面にバッキング12を当接させた状態で、該基部11b及びバッキング12を包囲する構成であるとしたが、これに限定されず、ブレードラバー11とバッキング12の間に壁を介在させてもよい。尚、この壁は、レバー保持部13a及びケース保持部15aにそれぞれ一体成形してもよいし、別体で設けるようにしてもよい。
【0079】
・上記実施の形態では、ワイパアーム2の先端連結部4には、上下方向にバッキング12と一致する位置まで下方に延びたラップ部4fが形成されるとしたが、これに限定されず、ラップ部4fが形成されていない先端連結部としてもよい。
【0080】
・上記実施の形態では、クリップ17の両側壁17aには係合凸部17fが形成され、先端連結部4の両側被覆壁4bには、クリップ17と長手方向に沿って組み付けられることで係合凸部17fと上下方向に係合する係合凹部4cが形成されるとしたが、クリップ17と先端連結部4との上下方向に係合する構成は、他の構成に変更してもよい。
【0081】
・上記実施の形態では、先端連結部4には抜け止め部としての突起4dが設けられ、連結レバー13には、抜け止め壁部13gが設けられるとしたが、これに限定されず、それらが設けられていない構成としてもよい。
【0082】
・上記実施の形態では、抜け止め部は、クリップ17の上方下端面17iと当接するように突出した突起4dとされるとしたが、これに限定されず、例えば、クリップ17の両側壁17aに長手方向に延びるとともに端部が開放されたスリットを形成し、該スリットを長手方向に移動可能に配置される突起としてもよい。
【0083】
・上記実施の形態では、突起4dは、クリップ17の案内凸部17jの下端と当接するように配置されるとしたが、これに限定されず、案内凸部17jの下端に対してずれた位置に設けてもよい。
【0084】
上記実施の形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記連結レバーには、その両側面と直交する回動軸中心に回動可能に組み付けられて前記ワイパアームに連結されるクリップが設けられ、前記移動規制部材は、前記クリップに一体成形されたことを特徴とするワイパブレード。
【0085】
同構成によれば、移動規制部材は、連結レバーに回動可能に組み付けられてワイパアームに連結されるクリップに一体成形されるため、部品点数の増加を抑制することができる。
【0086】
(ロ)請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記移動規制部材は、自身の組み付け方向の反対方向への抜けを規制するための抜け止め爪を有することを特徴とするワイパブレード。
【0087】
同構成によれば、移動規制部材は、自身の組み付け方向の反対方向への抜けを規制するための抜け止め爪を有するため、容易に組み付けることができるとともに自動的に抜けを規制することができる。
【符号の説明】
【0088】
2…ワイパアーム、3…ワイパブレード、11…ブレードラバー、11a…払拭部、11b…基部、12…バッキング、13…連結レバー、13a…レバー保持部、13d…パーツ収容部、13e…軸挿通孔、14…サポートパーツ(移動規制部材)、17,21…クリップ、17c,22…支持軸、17e,22b…抜け規制部(支持軸の先端部)、22a…傾斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭面を払拭するための払拭部を有した長尺状のブレードラバーと、
ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ該ブレードラバーに剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキングと、
前記ブレードラバー及び前記バッキングの長手方向中央部におけるブレードラバーの基部及びバッキングの周囲を包囲するとともにそれらの長手方向直交方向の移動を規制して保持するレバー保持部を有し、ワイパアームに直接、又は間接的に連結される連結レバーと、
前記バッキング及び前記連結レバーと長手方向に係合するように組み付けられて、それらの長手方向の相対移動を規制する移動規制部材と
を備えたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードにおいて、
前記連結レバーには、前記ワイパアームに連結されるクリップが回動可能に組み付けられ、
前記移動規制部材は、前記ブレードラバー及び前記連結レバーに対して前記払拭面の上方から嵌め込まれて組み付けられるものであり、
前記クリップには、前記移動規制部材の上方への抜けを規制するための抜け規制部が設けられたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項2に記載のワイパブレードにおいて、
前記連結レバーには、前記クリップの回動軸中心の位置に軸挿通孔が形成されるとともに、該軸挿通孔と連通し前記移動規制部材が前記軸挿通孔を介して組み付け収容されるパーツ収容部が形成され、
前記抜け規制部は、前記軸挿通孔に挿入されて前記クリップを回動可能に支持する支持軸とされたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記連結レバーには、前記ワイパアームに連結されるクリップが回動可能に組み付けられるものであって、
前記連結レバーには、前記クリップの回動軸中心の位置に軸挿通孔が形成され、
前記クリップには、前記軸挿通孔に挿入されてクリップを回動可能に支持する一対の支持軸が形成され、
前記支持軸の先端には、組み付け後の使用状態において前記払拭面方向とは一致しない方向に向かって支持軸の高さが低くなるように傾斜した傾斜面が形成されたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項5】
請求項4に記載のワイパブレードにおいて、
前記クリップは、組み付け後の使用状態において自身の長手方向が略水平に配置されるものであって、
前記傾斜面は、前記クリップの長手方向一端側に向かって前記支持軸の高さが低くなるように形成されたことを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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