説明

ワイパブレード

【課題】払拭性能を低下させることなく高さを低く抑えることができるワイパブレードを提供する。
【解決手段】ワイパブレード3は、長尺状の被保持部12及び被保持部12と平行に延び払拭面Sを払拭するための払拭部15を有しエラストマー材料からなる長尺状のブレードラバー11と、ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられ被保持部12を内部に保持するケース32とを備えている。また、払拭部15は、ケース32の外部で払拭面Sに対して傾倒可能である。そして、ケース32の外表面には、傾倒した払拭部15が接触する部分に、エラストマー材料からなり払拭部15に接触することで払拭部15の傾倒を規制する接触膜34が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭面を払拭するブレードラバーを備えたワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントガラス等の払拭面を払拭するワイパブレードには、例えば特許文献1に記載されているように、複数のレバーをトーナメント状に連結したレバー組立体を用いずに、ブレードラバーに剛性及び弾性を付与する板ばね状のバッキングを内部に保持したケースにブレードラバーを装着することで高さを低く抑えたものがある。ケースにて保持されるブレードラバーは、ケースの内部に配置される被保持部と、ケースの外部に配置され払拭面を払拭する断面略逆三角形状の払拭部と、被保持部と払拭部との間に設けられケース内側の被保持部と外側の払拭部とを接続する薄肉状のネック部と、該ネック部の被保持部側に位置して形成される肩当て部とを有する。このネック部により払拭部は、被保持部に対して傾倒可能、即ち払拭面に対して傾倒可能に形成されている。そして、払拭部が払拭面に対して傾倒すると、当該払拭部は肩当て部に接触する。払拭部は、肩当て部に接触することでそれ以上の傾倒が規制されるため、払拭面に対する姿勢(傾斜角度)が安定して同払拭面を良好に払拭することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−546596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたワイパブレードは、複数のレバーをトーナメント状に連結したレバー組立体を用いたワイパブレードに比べて高さが低く抑えられているため、その見栄えが向上されている。しかしながら、ワイパブレードは、車両の正面等、車両の外部で車両の見栄えに大きく関わる位置に配置されるものであるため、その見栄えの更なる向上が望まれている。そして、単純にワイパブレードの見栄えだけを向上させるのではなく、払拭性能を低下させることなく見栄えを向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、払拭性能を低下させることなく高さを低く抑えることができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、長尺状の被保持部及び前記被保持部と平行に延び払拭面を払拭するための払拭部を有しエラストマー材料からなる長尺状のブレードラバーと、前記ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ前記被保持部を内部に保持するケースとを備え、前記ケースの外部で前記払拭部が前記払拭面に対して傾倒可能なワイパブレードであって、前記ケースの外表面には、傾倒した前記払拭部が接触する部分に、エラストマー材料からなり前記払拭部に接触することで前記払拭部の傾倒を規制する接触膜が設けられていることをその要旨としている。
【0007】
同構成によれば、エラストマー材料からなる払拭部は、払拭面に対して傾斜した場合、エラストマー材料からなる接触膜に接触することでそれ以上の傾倒が規制されて払拭面に対する姿勢が安定する。従って、払拭部は、払拭面を良好に払拭することができる。そして、従来のブレードラバーに備えられていた肩当て部の役割を接触膜が果たすため、ブレードラバーに肩当て部を備えなくてもよい。従って、払拭性能の低下を抑制しつつも、肩当て部を省略することにより当該肩当て部を省略した分だけワイパブレードの高さを低く抑えることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記ケースの外表面には、車両走行時の走行風を受けてワイパブレードを払拭面側に押し付ける力を発生させるエラストマー材料からなるフィン部が一体成形され、前記接触膜は、前記フィン部と一体に形成され前記フィン部と共に前記ケースの外表面を全体的に被覆していることをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、ケースを外側から見たときの質感が、接触膜及びフィン部を構成するエラストマー材料に統一される。従って、ワイパブレードの見栄えをより向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、払拭性能を低下させることなく高さを低く抑えることができるワイパブレードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両用ワイパの斜視図。
【図2】ワイパブレードの断面図(図1におけるA−A断面図)。
【図3】別の形態のワイパブレードの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す車両用ワイパ1は、車両のフロントガラスの外表面である払拭面Sに付着した雨滴等を払拭するためのものである。この車両用ワイパ1は、略棒状のワイパアーム2と、該ワイパアーム2の先端部に連結されたワイパブレード3とから構成されている。ワイパアーム2は、その基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動運動されるピボット軸(図示略)に固定され、該ピボット軸の往復回動に伴って往復揺動運動を行う。
【0013】
図1及び図2に示すように、ワイパブレード3は、長尺状のブレードラバー11と、該ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられる1本のバッキング21と、ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられた一対の保持体31とを備えている。
【0014】
図2に示すように、ブレードラバー11は、弾性を有するエラストマー材料(天然ゴム、合成ゴム、加硫ゴム、樹脂系のエラストマーを含む)から形成されている。ブレードラバー11の長手方向に直交する方向の断面において、ブレードラバー11の上方に位置する被保持部12は、長尺な帯状をなしている。この被保持部12の幅方向の中央部には、被保持部12の厚さ方向に沿って下方(払拭面S側)に突出した括れ部13が該被保持部12と一体に形成されている。括れ部13は、被保持部12よりも幅が狭く形成されるとともに、被保持部12の長手方向に沿って該被保持部12の一端から他端まで延びている。この括れ部13の幅方向の中央部には、下方(払拭面S側)に突出したネック部14が該括れ部13と一体に形成されている。ネック部14は、括れ部13よりも幅が狭く形成されるとともに、括れ部13の長手方向に沿って該括れ部13の一端から他端まで延びている。また、ネック部14の下端には、被保持部12と平行に延び払拭面Sを払拭するための断面略逆三角形状の払拭部15が該ネック部14と一体に形成されている。払拭部15は、ネック部14の長手方向に沿って該ネック部14の一端から他端まで延びている。また、払拭部15は、ネック部14側の端部から下方に向かうに連れて幅が狭くなるとともに、下方の先端部においてはネック部14と略等しい幅に形成されている。そして、払拭部15は、括れ部13と払拭部15との間に設けられた幅の狭いネック部14が弾性変形することで、払拭面Sに対して(被保持部12に対して)ブレードラバー11の幅方向に傾倒可能となっている。また、払拭部15の上端部において、ネック部14よりも幅方向の両側に突出した部分(払拭部15の上端部における幅方向の両端部)は、払拭部15の傾倒を規制するための肩部15aとなっている。このようなブレードラバー11は、長手方向に沿ってその断面形状が一定となっている。
【0015】
バッキング21は、金属板材から形成され、長尺な帯状をなしている。このバッキング21は、ブレードラバー11に剛性及び弾性を付与するものであり、板ばね状をなしている。そして、バッキング21は、前記被保持部12の上方に配置され、払拭部15と反対側から被保持部12に当接している。バッキング21の幅は、被保持部12の幅よりも広く、バッキング21の幅方向の両端部は、被保持部12の幅方向の両側に突出している。
【0016】
一対の保持体31は、ブレードラバー11の被保持部12及びバッキング21の周囲を包囲して保持するケース32と、車両走行時の走行風を受けてワイパブレード3を払拭面S側へ押し付ける力を発生させるフィン部33とをそれぞれ備えている。
【0017】
図1及び図2に示すように、ケース32は、軟質の(可撓性を有する)樹脂材料よりなり、ブレードラバー11の長手方向に沿って延びる略筒状をなしている。また、各保持体31において、ケース32の長さは、バッキング21の半分の長さよりも短い長さとなっている。そして、ケース32の内側には、保持体31の長手方向に沿って延びる溝状をなすバッキング収容部32aが形成されている。バッキング収容部32aは、ケース32の一端から他端に亘って形成されるとともに、ケース32の長手方向の両側に開口している。また、バッキング収容部32aは、バッキング21の幅と略等しい幅及びバッキング21の厚さと略等しい厚さ(深さ)を有するとともに、ケース32の長手方向に沿ってその断面形状が一定となっている。
【0018】
また、ケース32の内側には、バッキング収容部32aの下方(払拭面S側)となる位置に、ラバー収容部32bが形成されている。ラバー収容部32bは、ケース32の長手方向に沿って延びる溝状をなしている。このラバー収容部32bは、ケース32の一端から他端に亘って形成されるとともに、ケース32の長手方向の両側に開口している。また、ラバー収容部32bは、バッキング収容部32aの幅よりも狭く、前記被保持部12の幅と略等しい幅及び被保持部12の厚さと略等しい厚さ(深さ)を有する。そして、ラバー収容部32bは、ケース32の長手方向に沿ってその断面形状が一定となっている。また、ラバー収容部32bの上端は、バッキング収容部32aの内側に開口しており、ラバー収容部32bの内部空間は、バッキング収容部32aの内部空間と繋がっている。
【0019】
また、ケース32には、ラバー収容部32bの下方(払拭面S側)となる部位に、挿通溝32cが形成されている。挿通溝32cは、ラバー収容部32bの幅方向の中央部と隣り合う位置に形成され、保持体31の長手方向に沿って保持体31の一端から他端まで(保持体31の全長に亘って)延びている。また、挿通溝32cは、ラバー収容部32bの内部とケース32の外部とに開口している。更に、挿通溝32cの幅は、前記括れ部13の幅と略等しく形成されるとともに、挿通溝32cの厚さ(深さ)は、括れ部13の厚さ(上下方向の長さ)と略等しく形成されている。
【0020】
そして、一対の保持体31のケース32は、その長手方向の一端部からバッキング収容部32a内にバッキング21が長手方向に沿って挿入されることで、該バッキング21を該ケース32の内部に保持し、1本のバッキング21に一対の保持体31の各ケース32がそれぞれ取り付けられる。ケース32の内部に保持されたバッキング21の長手方向の両端部は、ケース32の長手方向の端部からケース32の外部に突出している。また、一対の保持体31のケース32は、括れ部13が長手方向に沿って挿通溝32cに挿入されつつ、被保持部12が長手方向に沿ってラバー収容部32b内に挿入されることで、該被保持部12を該ケース32の内部に保持している。そして、ブレードラバー11は、被保持部12がラバー収容部32bに挿通されることで、ケース32にて保持されている。ラバー収容部32b内に配置された被保持部12は、バッキング21に対して払拭面S側に位置するとともに、同被保持部12の上面には、バッキング21が当接(載置)されている。また、ネック部14及び払拭部15は、ケース32の外部で該ケース32の下方(払拭面S側)に配置されている。
【0021】
また、図2に示すように、ケース32の外表面には、傾倒した払拭部15の肩部15aが接触する部分に、弾性を有するエラストマー材料(天然ゴム、合成ゴム、加硫ゴム、樹脂系のエラストマーを含む)からなる接触膜34が設けられている。本実施形態では、接触膜34は、ケース32の下面(払拭面S側の面)において、払拭面Sに対して傾倒した払拭部15の肩部15aが接触する部分を含む範囲に形成されている。そして、接触膜34は、ケース32の下面において挿通溝32cの幅方向の両側にとなる部分に設けられ、同挿通溝32cに沿ってケース32の一端から他端まで(ケース32の全長に亘って)延びる帯状をなしている。また、接触膜34は、上下方向(払拭面Sと略直交する方向)に厚さの薄い薄膜状をなしている。そして、接触膜34は、ケース32の下面に一体成形されており、ケース32の外表面を部分的に被覆している。
【0022】
前記フィン部33は、エラストマー材料(天然ゴム、合成ゴム、加硫ゴム、樹脂系のエラストマーを含む)よりなり、二色成形によりケース32の上面に一体成形されている。尚、本実施形態では、フィン部33は、前記接触膜34と同じ材料から形成されている。このフィン部33は、ワイパブレード3が停止位置に配置された状態において車両後方側に向かうほど払拭面Sからの高さが高くなる湾曲面を有した形状をなしている。
【0023】
また、図1に示すように、バッキング21の長手方向の両端部には、キャップ41が装着されている。このキャップ41によって、バッキング21と保持体31(ケース32)との長手方向の相対移動が規制され、ケース32の長手方向の端部からバッキング21が抜け出すこと、言い換えれば、保持体31がバッキング21の端部から抜け出すことが防止されている。更に、このキャップ41によって、ブレードラバー11は、バッキング21及び保持体31(ケース32)に対する長手方向の相対移動が規制され、ケース32の長手方向の端部から抜け出すことが防止されている。
【0024】
また、ワイパブレード3は、該ワイパブレード3を前記ワイパアーム2に連結するための連結装置51を備えている。連結装置51は、バッキング21の長手方向の中央部に固定され、この連結装置51にワイパアーム2の先端部が連結されている。そして、連結装置51は、ワイパアーム2に対してワイパブレード3を回動可能に連結している。尚、連結装置51には、両保持体31の両ラバー収容部32bを連通するように長手方向に沿って延びる不図示の連結装置側ラバー収容部が形成されている。
【0025】
上記のように構成された車両用ワイパ1では、ワイパアーム2の先端部が図示しない付勢機構により払拭面S側に付勢されることで、その付勢力が連結装置51及びバッキング21を介してブレードラバー11に伝達されて、ブレードラバー11の払拭部15が長手方向全長に亘って払拭面Sに押圧接触される。また、車両の走行時には、フィン部33によって走行風による風圧力が払拭面S側への押圧力に変換されて、払拭部15が払拭面Sに押圧接触される。従って、ワイパアーム2がピボット軸を中心に往復回動されると、ワイパブレード3によって良好な払拭動作が行われる。
【0026】
次に、本実施形態のワイパブレード3の作用について説明する。
前記付勢機構による付勢力によってブレードラバー11が払拭面Sの方へ押圧されると、ネック部14を弾性変形させながら払拭部15が払拭面Sに対して傾倒する(図2において二点鎖線参照)。傾倒した払拭部15は、その肩部15aが接触膜34に接触することで、それ以上の傾倒が規制されて払拭面Sに対する姿勢が安定する。このとき、払拭部15はエラストマー材料から形成されるとともに、接触膜34もエラストマー材料から形成されているため、接触膜34に対する肩部15aの接触位置が安定しやすい。そして、払拭部15は、その肩部15aが接触膜34に接触することで払拭面Sに対する姿勢が安定した状態で、払拭面Sを払拭することができる。尚、図2に二点鎖線で示す払拭部15は、図2における左側(ブレードラバー11の幅方向の一方側)に傾倒しているが、払拭部15が図2における右側(ブレードラバー11の幅方向の他方側)に傾倒した場合にも同様に接触膜34によってその傾倒が規制される。
【0027】
このように、接触膜34は、該接触膜34に肩部15aが接触した払拭部15の姿勢を安定させる役割を果たす。即ち、従来のワイパブレードのブレードラバーが備えていた肩当て部の役割と同様の役割を果たすものである。従って、ブレードラバー11は、肩当て部を備えない構成であっても、払拭面Sを良好に払拭することができる。
【0028】
また、ワイパアーム2の往復回動に伴うワイパブレード3の往復払拭において、その反転位置ではブレードラバー11の傾倒姿勢も反転する。このとき、弾性を有するエラストマー材料から形成された肩部15aは、弾性を有するエラストマー材料から形成された接触膜34に衝突する。
【0029】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)エラストマー材料からなる払拭部15は、払拭面Sに対して傾斜した場合、エラストマー材料からなる接触膜34に接触することでそれ以上の傾倒が規制されて払拭面Sに対する姿勢が安定する。従って、払拭部15は、払拭面Sを良好に払拭することができる。そして、従来のブレードラバーに備えられていた肩当て部の役割を接触膜34が果たすため、ブレードラバー11に肩当て部を備えなくてもよい。従って、払拭性能の低下を抑制しつつも、肩当て部を省略することにより当該肩当て部を省略した分だけワイパブレード3の高さを抑えることができる。そして、ワイパブレード3の高さを抑えることで該ワイパブレード3の見栄えを向上させることができ、ひいてはワイパブレード3を備えた車両の見栄えを向上させることができる。更に、肩当て部を省略することで消耗品であるブレードラバー11の材料を減少させることができる。
【0030】
(2)接触膜34は、ケース32の下面(外表面)に一体成形されている。従って、接触膜34の厚さを薄く形成しやすいとともに、接触膜34をケース32の下面に容易に設けることができる。
【0031】
(3)従来の肩当て部を備えたブレードラバーは、その成形を可能とするために、肩当て部にある程度の厚みを持たせる必要があった。一方、接触膜34は、ケース32の外表面に一体成形されるものであるため、従来のブレードラバーに備えられた肩当て部よりも薄く形成することができる。従って、ケース32の外表面に接触膜34を形成して肩当て部を備えないブレードラバー11をワイパブレード3に備えることにより、肩当て部を備えたブレードラバーを有する従来のワイパブレードよりも高さを抑えることができる。
【0032】
(4)往復払拭するワイパブレード3の反転位置においてブレードラバー11の傾倒姿勢が反転するとき、肩部15aが接触膜34に衝突するため、衝突音(ブレードラバー11の反転音)が発生する。しかしながら、ブレードラバー11だけでなく接触膜34も弾性材料であるエラストマー材料となっているため、当該衝突音を低減することができる。
【0033】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・接触膜34の形状及びケース32の外表面における接触膜34の形成範囲は上記実施形態のものに限らない。例えば、図3に示す接触膜35は、フィン部33と同じエラストマー材料から形成されている。そして、接触膜35は、フィン部33と一体に形成されフィン部33と共にケース32の外表面を全体的に被覆している。また、接触膜35は、フィン部33と共にケース32の外表面に一体成形されるとともに、フィン部33に比べて薄膜状をなしている。このようにしても、上記実施形態の(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。更に、ケース32(保持体31)を外側から見たときの質感が、接触膜35及びフィン部33を構成する1種類のエラストマー材料に統一される。従って、ワイパブレード3の見栄えをより向上させることができる。また、フィン部33及び接触膜35を同時に形成できるため、保持体31を容易に形成することができる。
【0034】
・上記実施形態では、接触膜34は、フィン部33と同じエラストマー材料から形成されているが、フィン部33と異なるエラストマー材料から形成されてもよい。
・上記実施形態では、接触膜34は、ケース32の下面に一体成形されている。しかしながら、接触膜34は、ケース32とは別体で形成され、接着剤等によりケース32の下面に貼着されてもよい。
【0035】
・肩当て部を無くしてワイパブレード3の高さが抑えられた分だけ、フィン部33の高さを高くしてもよい。このようにすると、ワイパブレード3の高さを高くすることなく、車両走行時の走行風がフィン部33に当たったときに発生されるワイパブレード3を払拭面S側へ押し付ける力を大きくすることができる。従って、ワイパブレード3が高速で往復揺動運動するときの払拭性能を向上させることができる。
【0036】
・上記実施形態では、バッキング収容部32aとラバー収容部32bとは繋がっている。しかしながら、バッキング収容部32aとラバー収容部32bとを隔てる隔壁を形成し、バッキング21と被保持部12との間に当該隔壁が介在されるようにしてもよい。また、バッキング21は、ケース32の外部に配置されてもよい。例えば、バッキング21は、ケース32の上面に当接するように同ケース32とフィン部33との間に配置されてもよい。
【0037】
・保持体31は、必ずしもフィン部33を備えなくてもよく、ケース32のみから構成されてもよい。
・上記実施形態では、ワイパブレード3は、一対の保持体31を備えている。しかしながら、ワイパブレード3は、バッキング21(ブレードラバー11)と略等しい長さの保持体31を1本のみ備えた構成であってもよい。
【0038】
・上記実施形態では、連結装置51は、一対の保持体31間に露出するバッキング21に固定されているが、ケース32に固定されてもよい。また、連結装置51は、ワイパブレード3ではなく、ワイパアーム2の先端部に設けられてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、バッキング21は、1本のバッキングとしたが、2本のバッキングとしてもよい。更に、バッキング21は板(帯)状としたが棒状としてもよい。
・上記実施形態では、車両用ワイパ1は、フロントガラスの払拭面Sを払拭するものとして説明したが、リヤガラスを払拭するリヤワイパとして用いられてもよい。
【0040】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記接触膜は、前記ケースの外表面を被覆して一体成形されていることを特徴とするワイパブレード。同構成によれば、接触膜の厚さを薄く形成しやすいとともに、接触膜をケースの外表面に容易に設けることができる。
【符号の説明】
【0041】
11…ブレードラバー、12…被保持部、15…払拭部、32…ケース、33…フィン部、34,35…接触膜、S…払拭面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の被保持部及び前記被保持部と平行に延び払拭面を払拭するための払拭部を有しエラストマー材料からなる長尺状のブレードラバーと、
前記ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ前記被保持部を内部に保持するケースと
を備え、前記ケースの外部で前記払拭部が前記払拭面に対して傾倒可能なワイパブレードであって、
前記ケースの外表面には、傾倒した前記払拭部が接触する部分に、エラストマー材料からなり前記払拭部に接触することで前記払拭部の傾倒を規制する接触膜が設けられていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードにおいて、
前記ケースの外表面には、車両走行時の走行風を受けてワイパブレードを払拭面側に押し付ける力を発生させるエラストマー材料からなるフィン部が一体成形され、
前記接触膜は、前記フィン部と一体に形成され前記フィン部と共に前記ケースの外表面を全体的に被覆していることを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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