説明

ワイパー制御装置

【課題】モータの駆動時間から推定したり、モータ回転角度から推定することなくマスキング時間を設定し雨滴量に応じて払拭モードを決定可能なワイパー制御装置を提供すること。
【解決手段】雨滴量に応じた払拭モードで車両用ウィンドウ11の雨滴を払拭するワイパー制御装置21であって、一部又は全体が磁気を帯びたワイパーブレード12と、雨滴量を検出するレインセンサ13と、前記レインセンサに配置されたホール素子と、前記ホール素子が前記ワイパーブレードの接近に伴う磁界の変化を検出した場合、前記レインセンサが検出した雨滴量データに基づく払拭モードの決定を停止する払拭モード決定手段21と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨滴量に応じた払拭モードで車両用ウィンドウの雨滴を払拭するワイパー制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雨天走行中の乗員の視界を確保するため、車両の前面ガラスに雨滴を払拭するワイパー装置が装備されることが多い。マニュアル型のワイパー装置は、運転者によるワイパーコントロールスイッチの操作ポジション(HiやLow)に応じて、ワイパーブレードの払拭速度を変えることができる。
【0003】
一方、オート型のワイパー装置は、雨滴を検出してワイパーブレードの駆動を開始又は停止したり、雨滴量に応じて払拭速度を自動的に切り替えることができる。このため、オート型のワイパー装置が装備された車両では、雨滴量を検出するレインセンサが搭載されている。レインセンサの位置は決められていないが、例えば、運転者や助手席乗員の視界を遮らない前面ガラスの例えば略中央上端付近に配置されることが多い。
【0004】
しかし、ワイパーブレードがレインセンサの検知エリアを通過する際は、ワイパーブレードを雨滴と誤検知するおそれがある。また、検知エリアに到達するまでにワイパーブレードが拭った雨が検知エリアに進入することになり、レインセンサが正確な雨滴量を検出できないおそれがある。このため、レインセンサの検知エリアをワイパーブレードが通過する際は、レインセンサが雨滴量を検出しない検出禁止区間(又は時間を単位としてマスキング時間という)が設けられる。
【0005】
ワイパー装置が検出禁止区間を決定する手法として、ワイパー装置が、ワイパブレードの駆動信号を出力した時からの経過時間を監視する手法がある(例えば、特許文献1参照。)。払拭速度が既知であれば、ワイパーブレードの停止位置(収納位置)からレインセンサまでの到達時間も分かるので、経過時間がある範囲にある間をマスキング時間とすればよい。
【0006】
また、ワイパーブレードを駆動するモータの回転角度をホール素子などで検出する手法がある(例えば、特許文献2参照。)。モータの回転角度とワイパーブレードの払拭位置は対応しているので、モータの回転角度がある範囲にある間をマスキング時間とすればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4631827号公報
【特許文献2】特開2010−202090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のような経過時間を監視する手法は、ワイパーブレードの払拭速度が不安定だと、マスキング時間と、実際にワイパーブレードがレインセンサの検知エリアを払拭するタイミングとがずれてしまうという問題がある。例えば、電圧の低下、温度、ガラス面の濡れ具合等により払拭速度が変化することが知られている。払拭速度が変化すると、払拭を開始したワイパーブレードがレインセンサの検知エリアに到達するまでの時間も一定にならない。一定にならないことを想定して、マスキング時間を長めに取ることもできるが、そうすると雨滴量の検出時間が短くなってしまうため、雨滴量の検出精度が低下してしまう。また、雨滴量の検出精度が低下してもよいように、雨量変化に対しワイパー装置が制御する払拭速度の応答性を低下させる必要が生じてしまう。この場合、雨滴量に対する払拭速度の応答性に対し運転者等が違和感を抱くおそれがある。
【0009】
また、特許文献2のようなモータの回転角度をホール素子などで検出する手法では、構造が複雑化するという問題がある。モータの回転角度をホール素子で検出する場合、モータの出力回転軸に磁石を配置し、それをホール素子で電気信号(パルス)に変換する。パルスはワイヤーハーネスによりECUに送信される。ECUは入力回路でパルスを成形するなどしてCPUがパルス数をカウントする。このように、この手法はワイヤーハーネスとECUを使用した処理が必要になってしまう。また、ワイパーブレードの位置は、機械部品の摩耗や劣化により、モータの回転角度とずれることがある。すなわち、ガラス面が十分に濡れていない状態や風圧が大きくなる高い車速での走行中にワイパーブレードが払拭すると、機械部品は摩耗したり劣化する。雨滴量の検知エリアは、モータから最も遠い位置にあるので、モータ出力軸からリンク機構を経て接続されるワイパーブレードの先端の位置は、モータの回転角度から推定される位置とずれる場合がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、モータの駆動時間から推定したり、モータ回転角度から推定することなくマスキング時間を設定し雨滴量に応じて払拭モードを決定可能なワイパー制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、雨滴量に応じた払拭モードで車両用ウィンドウの雨滴を払拭するワイパー制御装置であって、一部又は全体が磁気を帯びたワイパーブレードと、雨滴量を検出するレインセンサと、前記レインセンサに配置されたホール素子と、前記ホール素子が前記ワイパーブレードの接近に伴う磁界の変化を検出した場合、前記レインセンサが検出した雨滴量データに基づく払拭モードの決定を停止する払拭モード決定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
モータの駆動時間から推定したり、モータ回転角度から推定することなくマスキング時間を設定し雨滴量に応じて払拭モードを決定可能なワイパー制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】前面ガラスに配置されたレインセンサ等を説明する図の一例である。
【図2】ワイパーブレードの構造図の一例である。
【図3】ワイパー装置の制御系を説明する図の一例である。
【図4】ワイパー装置の動作手順を示すフローチャート図の一例である(実施例1)。
【図5】ワイパー装置の動作手順を示すフローチャート図の一例である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、前面ガラスに配置されたレインセンサ等を説明する図の一例である。レインセンサ13は、車幅方向の略中央で前面ガラス11の上端付近の車室内に固定されている。本実施形態のレインセンサ13は、図示する場所以外に、運転者の視界を遮るなどの理由がなければどの場所に配置されていてもよい。また、リアガラスにレインセンサを配置して、リアガラスのワイパーブレードの払拭速度を雨滴量に応じて制御してもよい。
【0016】
モータ(後述するウィンドシールドワイパーモータ)が回転すると不図示のリンク機構がワイパーブレード12を扇形状に移動させる。モータ回転角がある範囲にある間、ワイパーブレードは前面ガラスの下側から円弧を描くように前面ガラスの側面方向に移動し(正転)、モータ回転角がある範囲に入ると、ワイパーブレードは前面ガラスの側面方向から円弧を描くように前面ガラスの下側方向に移動する(逆転)。モータが1回転する間に正転と逆転が1回生じる。これにより、図示する払拭領域が得られる。レインセンサ13は液滴が付着する位置に配置されるので、検知エリアの少なくとも一部は払拭領域と重複している。なお、ワイパーブレードの駆動方式はどのような方法でもよく、モータが回転方向を切り替えることでワイパーブレードを往復させてもよい。
【0017】
レインセンサ13は、前面ガラス11に向けて発光した赤外線の反射光を利用して雨滴量を検出する。このため、レインセンサ13は、赤外線発光ダイオードの発光素子、フォトダイオードにより構成された受光素子を有する。前面ガラス11に雨滴が付着していない場合、発光素子が発した赤外線は、室内側から前面ガラス11の外壁まで到達するが、その外壁で反射するため赤外線の一部は、受光素子に入射する。
【0018】
前面ガラス11に雨滴が付着している場合、前面ガラス11の外壁まで到達した赤外線は、ガラスと雨滴に対する赤外線の屈折率の違いにより、外壁で反射せずに直進する光量が増える。このため、前面ガラス11の外壁による反射量が減るため、前面ガラス11の外壁に雨滴が付着していない場合に比べて、受光素子に入射される赤外線の光量が低下する。レインセンサ13は、赤外線の光量が低下したことから雨滴が付着していることを検出する。
【0019】
また、受光素子が受光する光量は、雨滴量と相関しているので、レインセンサ13は光量から雨滴量を検出する。なお、受光素子は、発光素子が赤外線を発生したタイミングでのみ、赤外線を受光することで、発光素子が発した赤外線以外の光を受光することを防止している。
【0020】
本実施形態のレインセンサ13にはホールICが配置されている。レインセンサ13は発光素子を発光させる制御をしたり、受光した光量から雨滴量を決定するマイコンを備えている。マイコンは基板に固定されているので、この基板に少なくとも1つ以上のホールICが配置される。
【0021】
ホールICは、磁界の変化を検出するホール素子を備えたICである。後述するように、ワイパーブレード12の少なくとも検知エリアを通過する部位は磁化されている。このため、ホールICは、ワイパーブレード12が検知エリア(レインセンサ)に接近したことを検出することができる。ホールICはワイパーブレード12が接近したことを示す磁界の変化を検出すると基板のマイコンに通知する。
【0022】
ホールICが1つの場合、ホールICは基板の例えば中央付近などに配置される。これにより、正転方向と逆転方向のどちらの方向から接近するワイパーブレードも検出できる。
【0023】
ホールICが2つ配置される場合、1つは、鉛直方向下側の基板の外縁付近に配置されている。すなわち、前面ガラス11の下側のワイパーブレード12の収納位置からレインセンサ13に接近する方向に払拭してくるワイパーブレード12を、検知エリアの通過前に検出する。
【0024】
また、2つめのホールICは、基板において、逆転方向のワイパーブレード12が最も早く接近する位置に配置される。これにより、逆転方向においてワイパーブレード12が検知エリアに接近したことを検出できる。なお、3つ以上のホールICを配置してもよい。
【0025】
後述するワイパーECUは、レインセンサ(ホールIC)がワイパーブレード12の接近を検出してから、所定時間が経過するとワイパーブレード12が検知エリアを通過したと判定する。したがって、正転方向と逆転方向のそれぞれで、接近が検出されてから所定時間が経過するまではマスキング時間である。所定時間は、ワイパーブレード12が検知エリアを通過し終わるまでの時間であり、ワイパーブレード12の払拭速度によって異なる。
【0026】
図2は、ワイパーブレード12の構造図の一例を示す。ワイパーブレード12は、前面ガラス側から順に、グラファイトコートラバー123、ブレード122、樹脂カバー121の3つの部品から構成されている。ブレード122の略中央部がリンク機構と接続されている。グラファイトコートラバー123はその長手方向に渡って前面ガラス11と接触しており、ブレード122と共に円弧を描くように移動する。これにより、グラファイトコートラバー123が前面ガラス11の雨滴を払拭するので、払拭領域の雨滴が払拭され運転席や助手席の視界が確保される。樹脂カバー121はブレード122を外気から保護すると共に美観を向上させる部品である。
【0027】
本実施形態のブレード122は検知エリアを通過する部位(又は全体でもよい)が磁化されている。磁化とは、磁界中の物体が磁気を帯びることをいう。磁化された物体は磁化された状態を、その物体の保磁力に応じて維持する。検知エリアを通過するブレード122の部位が磁化されていることで、ホールICはワイパーブレード12の接近を検出できる。なお、ブレード122の部位を磁化しておくのでなく、ブレード122が検知エリアを通過する部位に磁石を固定しておいてもよい。磁石にはフェライト磁石、ネオジム磁石など一般的なものを使用できる。しかしながら、磁石を用いるよりも磁化しておく方が、磁石の固定などの作業工程を省略でき、また、ワイパーブレード12の振動などにより取り外れるおそれがないという利点がある。また、磁石を用いた場合はブレード122の磁化工程が不要になるという利点がある。なお、磁化する部位又は磁石を固定する部位は2箇所以上でもよい。
【0028】
図3は、ワイパー装置100の制御系を説明する図の一例である。ワイパーECU21にはワイパーコントロールスイッチ23、ウォッシャスイッチ24、ウォッシャモータ25、メインリレー26、感度調節ボリューム22、Lo/Hi切換リレー27、及び、レインセンサ13等が接続されている。
【0029】
ワイパーECU21は、CPU、プログラムを記憶したROM、RAM等を備えたマイコンである。マイコンではなくリレー回路として実装してもよい。
【0030】
ワイパーコントロールスイッチ23には、MIST、OFF、AUTO、Lo、Hiの操作ポジションがある。運転者が例えばMISTに設定すると、ワイパーECU21はTr1をONにすることでメインリレー26をONにする。これにより、+IGからメインリレー26及びLo/Hi切換リレー27を介してウィンドシールドワイパーモータ28に電流が流れ、ワイパーブレード12がLoで動作する。ワイパーECU21はモータが1回転したこと(ワイパーブレード12が所定位置に戻ったこと)を検出するか、所定時間が経過したことを検出してTr1をOFFにする。これにより1度だけ、ワイパーブレード12が作動する。運転者がワイパーコントロールスイッチ23をLo/Hiに設定した場合、ワイパーECU21は同様にメインリレー26をONにし、Tr2をON/OFFしてLo/Hi切換リレー27をLO側又はHi側に切り換る(ワイパーブレードの払拭速度を切り換える)。運転者が操作ポジションを切り換えるまで、メインリレー26をONに維持する。
【0031】
運転者がAUTOに設定した場合、ワイパーECU21はLIN(Local Interconnect Network)通信I/F30を介してレインセンサ13と通信し、雨滴の検出を開始させる。ワイパーECU21は、例えばサイクル時間毎に、レインセンサ13に雨滴量を要求する。レインセンサ13は、検出した雨滴量又は払拭速度指示信号(例えば、間欠動作指示、Lo連続動作指示、Hi連続動作指示)をワイパーECU21に送信する。ワイパーECU21は、雨滴量又は払拭速度指示信号に基づきメインリレー26及びLo/Hi切換リレー27を制御することで、ワイパーブレード12は雨滴量に応じた払拭モード(間欠、Lo、Hi)で雨滴を払拭する。
【0032】
感度調整ボリューム22は運転者からレインセンサ13の感度の調整を受け付ける。感度調整ボリューム22は例えば可変抵抗であり、ワイパーECU21は抵抗値に基づき雨滴量又は払拭速度指示信号に対する払拭速度の制御の応答速度を変更する。
【0033】
また、本実施形態のレインセンサ13は、ホールICがワイパーブレード12の接近を検出したことを、LIN通信I/F30を介してワイパーECU21に通知する。接近はワイパーブレード12の正転時と逆転時の両方で検知される。ワイパーECU21は、接近検出の通知を取得した時を起点に、ワイパーブレード12の払拭速度に応じたマスキング時間を決定する。そして、ワイパーECU21は、マスキング時間の間、レインセンサ13に雨滴量の検出を要求しない。また、レインセンサ13側から雨滴量又は払拭速度指示信号が通知されても無視する。これにより、レインセンサ13の検知エリアをワイパーブレード12が通過している間、ワイパーECU21は正確でない雨滴量に基づき払拭モードを制御することを禁止できる。
【0034】
なお、ウォッシャスイッチ24は、運転者がウォッシャー液を前面ガラス11に噴射させるためのスイッチである。ウォッシャスイッチ24がONの間、ウォッシャモータ25が作動しウォッシャー液が噴射される。
【0035】
図4は、ワイパー装置100の動作手順を示すフローチャート図の一例である。図4の手順はワイパーコントロールスイッチ23がAUTOに設定されている間、繰り返し実行される。
【0036】
ワイパーECU21はサイクル時間毎にワイパーが作動中か否かを判定する(S10)。この場合のワイパーが作動中であるとは、メインリレー26がONであることをいう。メインリレー26がONでなければ、ワイパーブレード12はレインセンサ13の検知エリアに進入しないためである。ワイパーが作動中でない場合(S10のNo)、ワイパーECU21は次のサイクル時間まで待機する。
【0037】
ワイパーが作動中である場合(S10のYes)、ワイパーECU21はレインセンサ13から磁気を検出したという通知を取得したか否かを判定する(S20)。
【0038】
磁気を検出したという通知を取得しない場合(S20No)、雨滴量は正確であると推定してよいので、雨滴量センシング処理を行った後、次の払拭モードを決定する(S40)。なお、雨滴量センシング処理とはレインセンサ13から雨滴量を取得する処理を言う。
【0039】
磁気を検出したという通知を取得した場合(S20Yes)、雨滴量が正確でないおそれがあるので、ワイパーECU21はマスキング処理を行う(S30)。マスキング処理は、所定時間、レインセンサ13から雨滴量に取得するタイミングになっても、レインセンサ13から雨滴量を取得する処理を停止すること、又は、レインセンサ13から雨滴量が通知されても破棄することをいう。この場合、ワイパーECU21は最後に設定した払拭モード(間欠、Lo、Hi)でウィンドシールドワイパーモータ28を駆動する。
【0040】
以上のように、本実施形態のワイパーECU21はワイパーブレード12の接近を直接検出するので、駆動開始からの経過時間によりマスキング時間を決定する必要がない。よって、必要最小限のマスキング時間を設定すればよく、雨滴量を精度よく判定でき、払拭モード決定の応答性を良好に維持できる。また、ワイパーECU21はウィンドシールドワイパーモータ28からパルスを検出する必要もないので、構造が複雑になることもない。
【0041】
また、ワイパー装置100の設計変更により、ワイパーブレード12の払拭速度、払拭パターン、レインセンサ13の搭載位置等に変更が生じた場合でも、マスキング時間の決定を含む制御ロジックや定数の見直しが不要になる。
【実施例2】
【0042】
本実施例では、ワイパーECU21のRAMに雨滴量データを書き込むワイパー装置100について説明する。ワイパーブレード12の構造、ワイパー装置100については実施例1と同様なので図示を省略する。
【0043】
ワイパーECU21のマイコンは、一般的なマイコンと同様にRAMを有している。このRAMに最後に検出された雨滴量データを記憶しておく。こうすることで、ワイパーブレード12が検知エリアを通過中も、払拭モードを決定することができる。なお、雨滴量データの記憶場所はRAM以外の例えばフラッシュメモリなどでもよい。
【0044】
図5は、ワイパー装置100の動作手順を示すフローチャート図の一例である。図5の手順はワイパーコントロールスイッチ23がAUTOに設定されている間、繰り返し実行される。
【0045】
ワイパーECU21はサイクル時間毎にワイパーが作動中か否かを判定する(S10)。
【0046】
磁気を検出したという通知を取得しない場合(S20No)、雨滴量は正確であると推定してよいので、レインセンサ13から雨滴量を取得する雨滴量センシング処理を行う(S41)。
【0047】
次いで、ワイパーECU21は雨滴量データをRAMに書き込む(S50)。すなわち、正確であると推定される雨滴量データがRAMに記憶される。この後、過去の雨滴量データが読み出されたタイミングで次の払拭モードが決定される。
【0048】
また、磁気を検出したという通知を取得した場合(S20Yes)、雨滴量が正確でないおそれがあるので、ワイパーECU21はマスキング処理を行う(S30)。すなわち、雨滴量センシング処理を行わない。
【0049】
次に、ワイパーECU21は、RAMから雨滴量データを読み出す(S60)。RAMから雨滴量データを読み出すことで、正確であると推定された雨滴量データを使用することができる。また、ワイパーECU21は、磁気を検出したという通知を取得する直前に取得している雨滴量データを消去する。ワイパーブレード12の接近が検出される直前の雨滴量データは不正確なおそれがあるので、磁気検出前の雨滴量データを消去することで、より適切な払拭モードを決定できる。このような処理は、複数の雨滴量データを払拭モードの決定に使用する場合に有効である。
【0050】
ついで、ワイパーECU21は、RAMから読み出した雨滴量データに基づき次の払拭モードを決定する(S70)。
【0051】
本実施例のワイパー装置100によれば、実施例1の効果に加え、磁気が検出された時も、雨滴量データに基づき次の払拭モードを決定することができる。
【符号の説明】
【0052】
11 前面ガラス
12 ワイパーブレード
13 レインセンサ
21 ワイパーECU
23 ワイパーコントロールスイッチ
26 メインリレー
27 Lo/Hi切換リレー
28 ウィンドシールドワイパーモータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨滴量に応じた払拭モードで車両用ウィンドウの雨滴を払拭するワイパー制御装置であって、
一部又は全体が磁気を帯びたワイパーブレードと、
雨滴量を検出するレインセンサと、
前記レインセンサに配置されたホール素子と、
前記ホール素子が前記ワイパーブレードの接近に伴う磁界の変化を検出した場合、前記レインセンサが検出した雨滴量データに基づく払拭モードの決定を停止する払拭モード決定手段と、
を有することを特徴とするワイパー制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103615(P2013−103615A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248914(P2011−248914)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】