説明

ワイピングシート

【目的】 柔軟性に富み、接着力が強く、凹凸面にも張り付け易く、密着性が良くて耐久性のあるワイピングシートの実現を課題とする。
【構成】 厚みが20μm未満の樹脂フイルム3の片面に、汚れの拭き取り性を有する超極細繊維布1を積層し、他面に微細気泡の吸盤作用によって吸着性を有するポリマーシート3を積層してワイピングシート4としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイピングシートに関し、携帯電話器やIT関連機器、テレビなどの画面やカメラレンズ、CD表面の汚れなどを、対象物に貼り付けておいてその場で拭き取ることが可能なワイピングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の進歩によって、テレビや携帯電話器、パソコンなどのIT関連機器のディスプレイ、あるいは、デジタルカメラやCDなどの光学機器や情報機器に一般の人も接する機会が増えてきている。このようなディスプレイやカメラレンズ、CD鏡面などは、静電的に帯電し易く、そのために埃が堆積し易いし、取り扱いが頻繁になると指や手の平の脂がついて汚れ易いという問題があった。一方、眼鏡のレンズの汚れを拭き取る目的などのために、超極細繊維から成る織物がワイピングクロスとして用いられている。
【0003】
しかし、このようなワイピングクロスを携帯電話器とともに常に携帯するというのも面倒な話であるし、実際に必要な場合に他のものにまぎれて、肝心のワイピングクロスが見当たらないということも多い。
このような問題を解決するため、出願人は、先に何回も貼り付けが可能なアクリル系のポリマーシートからなる吸着面と超極細繊維布とを貼り合わせたワイピングシートを提案している(特許文献1参照。)。また、20〜100μmの厚さの基材樹脂フィルムの片面にシート状物が他方の面に着脱機能層が設けられた類似の発明も提案されている(特許文献2参照。)。これらにより、拭き取り対象物にこのようなシートを張り付けて対象物と一緒に携行し、必要なときに取り外して拭き取りに使用することが可能になる。
【0004】
しかし、特許文献1に示されるものは、ポリマーシートと超極細繊維布とを直接貼り合わせているため、強度が不足で耐久性の面で劣るという問題があった。逆に、特許文献2のものは、基材樹脂フィルムのために柔軟性が劣り、凹凸面に貼り付け難いという問題があった。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録 第3108270号公報
【特許文献2】特許 第3663203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来のワイピングシートでポリマーシートと超極細繊維布を直接貼り合わせたものは耐久性に問題があり、20〜100μmの厚さの樹脂フィルムを基材に用いたものは柔軟性が劣るという問題があった。
本発明は基材の厚みを工夫することでこの問題を解決して、柔軟性に富み、接着力が強く、凹凸面にも張り付け易く、密着性が良くて耐久性のあるワイピングシートの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、常時対象物に貼り付けておいて必要なときに剥がして繰り返し使用できるワイピングシートにおいて、厚みが20μm未満の樹脂フイルムの片面に、汚れの拭き取り性を有する超極細繊維布を積層し、他面に微細気泡の吸盤作用によって吸着性を有するポリマーシートを積層したことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイピングシートにおいて、前記ポリマーシートはアクリル系のポリマーシートであることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のワイピングシートにおいて、前記超極細繊維布が不織布であることを特徴とする特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のワイピングシートは、以上のように構成されているので、比較的廉価に提供でき、丈夫で耐久性があり、柔軟性に飛んで多少の凹凸があっても容易に貼り付けることができ、接着力が強く、繰り返し接着が可能であるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のワイピングシートを添付図面を参照に詳細に説明する。
図1は、本発明のワイピングシートの一実施の形態の模式的断面図である。図1において、符号1はワイピング用超極細繊維布、符号2はポリマーシート、符号3は樹脂フイルム、符号4はワイピングシートである。そして、樹脂フイルム3の両面に図示しない接着剤を塗布し、その一面にワイピング用超極細繊維布1を、その他面にポリマーシート2を接着してワイピングシート4を構成する。
【0012】
このワイピングシート4の各部構成を簡単に説明する。
ワイピング用超極細繊維布1は、繊維の一本一本が例えば0.001〜0.5デニールと非常に細く、また繊維の断面形状が円形ではなく例えば三角形であり、得られた布は特に力を加えなくとも汚れを確実に吸収し拭き残しも少ない。さらに、不織布であれば、裁断や打ち抜き加工などを行なっても、寸法の安定性に優れ布目のほつれや繊維屑の埃などが発生し難い。
超極細繊維の布の例としては、カネボウ合繊株式会社製のベルーマXを原糸として用いた織物ザウイーナミニマックスが挙げられる。さらに、超極細繊維の不織布の例としては、日本バイリーン社製のバイフレッシャー、アポロン並びに同社製の静電除去機能を併せ持つ「電気とーる」などが上げられる。
ワイピング用超極細繊維布1の厚みは、特に限定されるものではないが、この実施の形態では、例えば、50μmから500μm程度の厚みのものを用いる。
【0013】
ポリマーシート2は、表面に微細気泡を有するアクリル製のポリマーシートである。このポリマーシート2は表面の微細気泡が吸盤のように働いて、平滑な相手面に吸着する。このようなポリマーシートの例としては、大成ラミネーター株式会社製のセロピー555が挙げられる。このポリマーシートは発泡倍率が1.5倍程度の低発泡フォームからなり、厚さ0.5mm、大きさ50mm角で、対ガラスで0.15kg程度のピーリング剥離強さを示す。
ポリマーシート2の厚みは、特に限定されるものではないが、厚いほど接着力が良い。この実施の形態では、例えば、500μmから800μm程度の厚みのものを用いる。
【0014】
樹脂フイルム3の材料は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフイルムなどを用いることができる。樹脂フイルム3は、ワイピングシート4に耐久性(強度)を与えるために必要である。樹脂フイルム3の厚みは厚いほど強度が増すが、厚いとワイピングシート4の柔軟性が劣ってくる。樹脂フイルム3の厚みが厚すぎ、柔軟性が欠け、密着性が劣るようになると、ポリマーシート2の厚みが充分でない場合には張ったシート4が剥がれ易くなる。
本実施の形態では、必要な強度を保ちながら、柔軟性があって多少凹凸のある場所にも貼り付けることができ、密着性に富むように、厚みは20μm未満とし、例えば、8μmとか15μmとかという厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いるようにした。このように樹脂フイルム3を比較的薄くする分だけ、全体の厚みを限ったとしても、ポリマーシート2の厚みを厚くでき、その分接着力を強くすることができる。また、樹脂フイルム3の厚みが薄くなっても、ポリマーシート2の厚みが厚くなる分、ワイピングシート4の強度を補うことができる。
【0015】
本発明のワイピングシート4の使い方の例を図2および図3に示す。
例えば、携帯電話機5に用いる場合を例にとると、通常は図2に示すように携帯電話機5の筺体にワイピングシート4のポリマーシート側を押し付けて吸着保持させておき、画面6の汚れを拭き取る際に筺体から引き剥がして、図3に示すように超極細繊維布1側を画面6に押し付けて拭うようにする。これにより、画面6に汚れが見つかったときはいつでも手軽に払拭して画面6を見易く綺麗にしておくことができる。
【0016】
以上、携帯電話機5の場合について述べたが、テレビやカーナビゲータ、パソコン、電卓、時計、カメラなどの画面やレンズにも同様に用いることができ、さらにはCDのレコーダや再生装置に貼り付けて、CDの鏡面の汚れ拭き取りに用いることもできる。
【0017】
以上述べたように本発明のワイピングシートによると、装置の不断は邪魔にならないところにシート4を貼り付けておき、汚れがついたときにすぐさま剥がして拭き取ることができるので、不快な曇りや汚れにすぐに対処することができ、使い勝手に優れている。また、シート4の耐久性や柔軟性、ポリマーシート2側の繰り返し貼り付け性能なども十分であり、汚れたときには簡単に洗うこともできるので、長期間使用することができて経済的である。さらに、通常、表になっている超極細繊維布1側に昇華式印刷で企業名や商品名、広告などを印刷しておくこともでき、宣伝頒布用の媒体としての利用法も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のワイピングシートは、広範囲に普及している携帯電話機やパソコンなどに便利に用いることができるので、広範な需要が見込め、さらに宣伝頒布用の広告媒体としても使えるので、単に電話機やIT産業の業界だけでなく、産業の広い分野で利用の可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のワイピングシートの模式的断面図である。
【図2】本発明のワイピングシートを携帯電話機に吸着保持させた状態を示す説明図である。
【図3】本発明のワイピングシートを用いて携帯電話機の画面を払拭している状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ワイピング用超極細繊維布
2 ポリマーシート
3 樹脂フイルム
4 ワイピングシート
5 携帯電話機
6 画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みが20μm未満の樹脂フイルムの片面に、汚れの拭き取り性を有する超極細繊維布を積層し、他面に微細気泡の吸盤作用によって吸着性を有するポリマーシートを積層したことを特徴とするワイピングシート。
【請求項2】
前記ポリマーシートはアクリル系のポリマーシートであることを特徴とする請求項1に記載のワイピングシート。
【請求項3】
前記超極細繊維布が不織布であることを特徴とする特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイピングシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−151950(P2007−151950A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353863(P2005−353863)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(503212571)楽プリ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】