説明

ワイヤソー

【課題】ワイヤの断線の有無を高精度かつ安定して検出する。
【解決手段】走行するワイヤ3に被加工物Wを押し付けて当該被加工物Wを切断するワイヤソー1である。回転駆動されるワイヤガイド2,2間に略平行なワイヤ群3aが形成されている。一対のワイヤ送り装置5,6がワイヤ3の巻き出し及び巻き取りを交互に行う。ワーク保持部7が被加工物Wを押し付けるワイヤ群3aに液供給装置8が加工補助液を供給する。断線検出部材16、振動センサ17を有するワイヤ断線検出装置9が支持部4に取り付けられている。制御装置10は、ワイヤ3が断線するとワイヤ3の走行を停止する。断線検出部材16、振動センサ17は除振部材15を介して支持部4に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シリコンインゴット等から薄板状の基板を切り出すのに用いられるワイヤソーに関し、特にワイヤの断線を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、一般に、ワイヤソーでは、1本の切断用のワイヤ100が複数(同図では2つ)のワイヤガイド101の周囲に螺旋状に巻き付けられていて、ワイヤガイド101,101の間には略平行に並ぶワイヤ群102が形成されている。ワイヤガイド101等を回転駆動してワイヤ100を走行制御することにより、ワイヤ群102を構成している各ワイヤ100の部位は、同じ方向に同じ速度で走行する。
【0003】
液供給装置103から加工補助液を供給しながら、走行するワイヤ群102にシリコンインゴット等(ワークWともいう)が押し当てられる。そうすることで、ワイヤ群102により、ワークWの複数ヶ所が同時に切断され、ワークWから複数の基板を一度に切り出すことができる。
【0004】
ところで、切断の途中でワイヤが断線する場合がある。そうなると、断線したワイヤがワークを傷つけて基板の良品率の低下を招く虞があるし、ワイヤが断線したままで切断を続けるとワイヤが絡まるなどして復旧も困難になる。従って、ワイヤの断線が発生した場合には、断線をいち早く検出し、ワイヤソーを緊急停止させる必要がある。
【0005】
ワイヤの断線を検出するために、従来のワイヤソーでは、ワイヤに電流を流してその電圧変化からワイヤの断線を検出する方法が一般に行われている。
【0006】
ところが、この方法は、電気伝導率の高い加工補助液には適さないという欠点がある。すなわち、加工補助液の電気伝導率が高くなると、加工補助液を通じてワイヤに電流が流れ、ワイヤが地絡して断線を誤って検出する場合や、ワイヤが断線した時に即座に検出できない場合が発生し得る。
【0007】
そこで、ワイヤの走行路の近傍に接触検出バーを設け、断線したワイヤがこの接触検出バーに接触することで生じる振動を検出することにより、ワイヤの断線を検出するワイヤ断線検出装置が提案されている(特許文献1)。
【0008】
詳しくは、このワイヤ断線検出装置では、一対の溝付ローラ(ワイヤガイドに相当)の中間位置に接触検出バーが設置されている。溝付ローラを支持している一対の支持プレートのそれぞれに、ブラケットが対向状に固着されており、これらブラケットに接触検出バーの両端部が支持されている。一方のブラケットの内部には、接触検出バーの振動を検出する振動センサが内蔵されている。
【0009】
この振動センサで検出された振動の検出値は微分回路を介して制御部に出力される。制御部は、所定値以上の振幅を検出するとワイヤソーの運転を停止する。溝付ローラの回転や、ワイヤに加工補助液が当たることで発生する微振動は、ノイズ成分として微分回路で取り除くことにより断線以外の誤検出を防止している(同明細書の段落0013〜0015)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−34515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のワイヤ断線検出装置によれば、振動の変化でワイヤの断線を検出するので、加工補助液の電気伝導率の高低に関わりなくワイヤの断線が検出できる。
【0012】
しかし、接触検出バーを支持するブラケットは直接支持プレートに固着されているため、溝付ローラの回転に伴って発生する振動が接触検出バーに直接伝わり、ワイヤの断線と区別し難い不利がある。
【0013】
また、このワイヤ断線検出装置では、断線したワイヤの振動は通常検出される振動よりも大きいことを前提としている(同明細書の段落0017)。しかし、実際には、ノイズの主たる原因である加工補助液は、ワイヤの走行状態やワークの切断状態などによってその飛散状態が変化し、ノイズの強さも大きく変わるため、状況によってはノイズによる振動か、断線による振動かの判断が難しい場合がある。従って、単に微分回路で処理するだけではノイズの振動を安定して取り除くことは困難である。
【0014】
そこで本発明の目的は、ワイヤの断線がより高精度に検出でき、信頼性に優れたワイヤソーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のワイヤソーは、走行するワイヤに被加工物を押し付けて当該被加工物を切断するワイヤソーである。並列した状態で支持部に支持され、回転駆動される複数のワイヤガイドと、複数の前記ワイヤガイドの周囲に1本の前記ワイヤの中間部分を螺旋状に巻き付けることにより、当該ワイヤガイド間に形成される略平行なワイヤ群と、前記ワイヤの巻き出し及び巻き取りを交互に行う一対のワイヤ送り装置と、前記被加工物を支持し、変位して当該被加工物を前記ワイヤ群に押し付けるワーク保持部と、前記ワイヤ群に加工補助液を供給する液供給装置と、前記支持部に取り付けられるワイヤ断線検出装置と、前記ワイヤの断線の有無を判断し、断線有りの場合に当該ワイヤの走行を停止する制御装置と、を備える。
【0016】
前記ワイヤ断線検出装置は、前記ワイヤガイドの近傍に配置され、前記ワイヤ群と略直交する方向に延びる断線検出部材と、前記断線検出部材の振動を検出し、その振動信号を前記制御装置に出力する振動センサと、を有している。そして、前記断線検出部材及び前記振動センサは、除振部材を介して前記支持部に取り付けられている。
【0017】
このように構成されたワイヤソーによれば、断線したワイヤと直接接して振動を発生する断線検出部材と、その振動を検出する振動センサとが、除振部材を介して支持部に取り付けられているので、ワイヤガイドの回転振動等、装置側で発生する振動の強度は、除振部材によって低減されて振動センサ等に伝わる。従って、振動センサでのノイズが減少するため、ワイヤの断線を高精度に検出できる。
【0018】
前記制御装置は、入力される前記振動信号の100kHzより小さい周波数帯をカットする信号加工手段を有し、前記信号加工手段によって加工された前記振動信号に基づいて前記制御装置が前記ワイヤの断線の有無を判断するように構成するのが好ましい。
【0019】
そうすれば、詳細は後述するが、振動信号の100kHzより小さい周波数帯をカットすることで、誤判断を招き易い、加工補助液に起因するノイズ信号を効果的に取り除くことができる。従って、そのように加工した振動信号に基づいてワイヤの断線の有無を判断することで、ワイヤの断線を高精度に検出できる。
【0020】
前記信号加工手段は、更に、前記振動信号の500kHzより大きい周波数帯をカットするように構成するのが好ましい。
【0021】
そうすれば、よりいっそうノイズ信号による誤判断を少なくできる。
【0022】
例えば、前記制御装置が、前記振動信号と閾値とを比較して前記ワイヤの断線の有無を判断する断線判断手段と、前記ワイヤの走行状態の変化に応じて、前記閾値を可変する閾値調整手段と、を有しているように構成することができる。
【0023】
そうすれば、ワイヤの断線判断の際に基準となる閾値を、ワイヤの走行状態の変化に応じて適切に可変できる。
【0024】
更に、前記制御装置が、無負荷の条件下で前記ワイヤソーを作動させることにより、当該条件下で発生する前記振動信号を学習するノイズ学習手段を有しているように構成することもできる。
【0025】
そうすれば、ワイヤの種類変更など、設定された条件の範囲を超える場合が発生しても、実際に用いられる条件に基づいて閾値等の補正ができるので、広範囲な条件にも簡単に対応できる。
【0026】
更に、前記制御装置が、前記ワイヤの回転周期ごとに入力される複数の前記振動信号に基づいて前記ワイヤの断線の有無を判断する多重判断手段を有するようにしてもよい。
【0027】
そうすれば、ワイヤの断線の有無を、断線が発生するタイミングにおいて、複数の振動信号に基づいて判断できる。
【0028】
更に、前記支持部に、当該支持部の振動を検出し、その振動信号を前記制御装置に出力する第2振動センサが取り付けられ、前記制御装置が、前記ワイヤの断線の有無を判断する際に、前記振動センサから入力される前記振動信号と、前記第2振動センサから入力される前記振動信号とを比較する固有ノイズ除去手段を有しているように構成することができる。
【0029】
そうすれば、装置から伝わるノイズを効果的に排除することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ワイヤの断線がより高精度に検出でき、信頼性に優れたワイヤソーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一般的なワイヤソーの基本構成を示す概略図である。
【図2】本発明のワイヤソーの要部を示す概略図である。
【図3】本発明のワイヤソーの要部を示す概略図である。
【図4】本発明のワイヤソーの制御に関する構成を示す概略図である。
【図5】振動信号を示す概略図である。(a)は液ノイズ信号、(b)は断線信号である。
【図6】(a),(b)は、液ノイズ信号を比較した実験結果を示す概略図である。
【図7】ワイヤの走行速度が変化する場合における液ノイズ信号の変化を示す概略図である。
【図8】試験的に発生させた断線信号を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0033】
図2、図3に、本実施形態のワイヤソー1の要部を示す。このワイヤソー1は、例えば、シリコンインゴット等の柱状の被加工物であるワークWを複数の薄板状の基板に切断するのに用いられる。ワイヤソー1には、ワイヤガイド2やワイヤ3、支持部4、ワイヤ送り装置5,6、ワーク保持部7、液供給装置8、ワイヤ断線検出装置9、制御装置10、などが備えられている。なお、同図の矢印は本実施形態における上下の方向を示している。
【0034】
支持部4は、ワイヤソー1の加工スペースに配置され、加工スペースを区画している壁体11に取り付けられている。支持部4は、互いに離れて対向する一対の支持壁部4a,4aや、これら支持壁部4a,4aの下端部分に連なる連結部4bなどで構成されている。支持壁部4aの上端部分に、2つのワイヤガイド2、2が配置されている。
【0035】
ワイヤガイド2は、円柱形状をしている。各ワイヤガイド2は、互いに離れて略水平方向に並列された状態で、その各端部が各支持壁部4aに回転自在に支持されている。これらワイヤガイド2は、ワイヤガイド駆動モータ2aによって駆動され、互いに同期して回転軸A1を中心に回転する。ワイヤガイド駆動モータ2aは、制御装置10によって駆動制御されている。
【0036】
ワイヤ3は、例えば、固定砥粒ワイヤ(ワイヤの表面にダイヤモンド等の微細な砥粒が固着されている)など、切断用の特殊ワイヤである。1つのワイヤソー1に対し、例えば100m以上の長さの1本のワイヤ3が用いられる。
【0037】
このようなワイヤ3が両ワイヤガイド2、2の周囲に螺旋状に巻き付けられ、これらワイヤガイド2、2の間には、ワイヤ3の一部が略平行に並び、ワイヤ群が形成されている。具体的には、ワイヤ3の中間部分が、回転軸A1の方向に所定のピッチで、各ワイヤガイド2に交互に繰り返し巻き掛けられ、各ワイヤガイド2の間に張り渡されている。ワイヤガイド2,2等を等速で回転駆動することにより、ワイヤ3は、2つのワイヤガイド2,2の周囲を一定の周期で回転する。そのワイヤ3の回転を利用してワークWの切断が行われる。切断には、上側のワイヤ群(ワイヤ群3aともいう)が用いられる。
【0038】
ワイヤガイド2から外方に引き出されたワイヤ3の一方の端側の部分は、複数のプーリPに案内されて一方のワイヤ送り装置5(ワイヤ供給装置5ともいう)まで延びている。同様に、ワイヤ3の他方の端側の部分も複数のプーリPに案内されて他方のワイヤ送り装置6(ワイヤ巻取装置6ともいう)まで延びている。ワイヤ送り装置5,6と、ワイヤガイド2との間には、それぞれ、テンション機構11が設けられ、これらテンション機構11がワイヤ3のテンションを調節している。ワイヤ送り装置5,6は、それぞれ制御装置10によって駆動制御されるアシストモータ5a,6aを有し、アシストモータ5a,6aの回転により、ワイヤ3の巻き出しや巻き取りが交互に同期して行われる。
【0039】
具体的には、ワイヤ供給装置5に新線のワイヤ3が設置される。そして、ワイヤ供給装置5から所定長さのワイヤ3が巻き出されて、ワイヤ巻取装置6に巻き取られる(前進走行)。続いて、所定長さよりも短い長さ分だけ、ワイヤ巻取装置6からワイヤ3が巻き出されて、ワイヤ3は逆方向に走行し、ワイヤ供給装置5に再度巻き取られる(後退走行)。通常、前進走行及び後退走行ともに、その走行の開始時及び終了時以外は、等速で走行するように制御される。ワイヤ3は、これら前進走行と後退走行とを交互に繰り返し行うことにより、その新線部分はワイヤ供給装置5から順次繰り出され、ワイヤ供給装置5からワイヤ巻取装置6へと順次巻き取られていく。
【0040】
ワーク保持部7は、ワーク保持部材7aや昇降モータ7bなどで構成され、支持部4の上方に配設されている。ワーク保持部材7aの下面はワイヤ群3aと対向していて、その対向部分にワークWが着脱可能に支持される。昇降モータ7bはワーク保持部材7aの上側に配置されている。昇降モータ7bは、制御装置10と協働し、ボールネジ機構(不図示)により、上下にワーク保持部材7aを変位させる。
【0041】
液供給装置8は、ワイヤ群3aに加工補助液を供給するために設置されている。本実施形態の液供給装置8は、支持部4の上側における各ワイヤガイド2の近傍に1つずつ配置され、ワイヤ群3aに押し付けられるワークWの両側に加工補助液を供給するように構成されている。切断時にワイヤ群3aに加工補助液を供給することにより、ワイヤ3とワークWとの間で発生する熱や摩擦抵抗が軽減され、切断性能の向上やワイヤ3の断線防止が図られている。
【0042】
図3に示すように、このワイヤソー1には、ワイヤガイド2,2の周囲に巻き付けられている部分で発生するワイヤ3の断線を検出するためにワイヤ断線検出装置9が備えられている。ワイヤ断線検出装置9は、除振部材15を介して支持部4に取り付けられている。本実施形態のワイヤ断線検出装置9は、支持部4のワイヤ巻取装置6側に配置されている。
【0043】
具体的には、除振部材15は、一対の要素部材15a,15aで構成されており、各要素部材15aに振動の伝わり難いゴム等の弾性部材が備えられている。各要素部材15aは、各支持壁部4aの側部に対向状に取り付けられている。要素部材15aの基端部分は支持部4に固定されていて、要素部材15aの先端部分に、弾性部材を介してワイヤ断線検出装置9が取り付けられている。従って、支持部4等からワイヤ断線検出装置9への振動の伝達は、除振部材15によって効果的に遮断される。
【0044】
ワイヤ断線検出装置9は、断線検出部材16と振動センサ17とを有している。断線検出部材16は、棒状又は線状の振動を伝達し易い部材で構成されている。断線検出部材16は、ワイヤガイド2の外周面の近傍に配置され、ワイヤ群3aと略直交する方向(回転軸A1の方向)に延びている。振動センサ17は、例えばAE(アコースティックエミッション)センサなどからなり、断線検出部材16に接続されて断線検出部材16の振動を検出し、その振動信号を制御装置10に出力する。
【0045】
また、このワイヤソー1には、ワイヤ3の断線を高精度に検出するために、補助センサ18(第2振動センサ)が備えられている。補助センサ18は、支持部4における振動センサ17の近傍部位に直接取り付けられている。補助センサ18も、振動センサ17と同じAEセンサなどからなる。補助センサ18は、支持部4の振動を検出し、その振動信号を制御装置10に出力する。
【0046】
制御装置10は、CPUやメモリ等のハードウエアと、メモリに実装された制御プログラム等のソフトウエアとで構成されている。制御装置10は、ワイヤソー1の動作全体を総合的に制御する。
【0047】
図4に示すように、制御装置10の出力側には、ワイヤガイド駆動モータ2aや昇降モータ7b、アシストモータ5a,6a等が接続されていて、制御装置10はこれらを駆動制御している。
【0048】
具体的には、制御装置10が、ワイヤガイド駆動モータ2aやアシストモータ5a,6aを駆動制御することにより、ワイヤ3は反転走行しながら次第にワイヤ供給装置5からワイヤ巻取装置6に巻き取られる。また、制御装置10が昇降モータ7bを駆動制御することにより、ワーク保持部材51に保持されたワークWがワイヤ群3aに向かって変位し、切断されるまでワークWは常時ワイヤ3に押し付けられる。
【0049】
制御装置10の入力側には、振動センサ17や補助センサ18が接続されている。制御装置10は、これら振動センサ17等から入力される情報に基づいてワイヤ3の断線の有無を判断し、断線有りと判断した場合には、ワイヤガイド駆動モータ2a等の駆動を止めて、ワイヤ3の走行を緊急停止する。
【0050】
また、制御装置10には、図2に示したように、入出力装置19が接続されている。入出力装置19には、モニター等からなる表示部19aや、操作ボタン等を有する操作部19bが備えられている。表示部19aは制御装置10の出力側に接続され、操作部19bは制御装置10の入力側に接続されている。
【0051】
なお、本実施形態では、制御装置10や入出力装置19は1つの装置として例示しているが、制御装置10等は、必ずしも1個の装置である必要はなく、必要に応じて複数の装置を組み合わせて構成することができる。例えば、ワイヤソー1の駆動に関する機能と、ワイヤ3の断線検出に関する機能とを、それぞれ別の装置で構成することもできる。
【0052】
そして、制御装置10には、振動センサ17等と協働して、ワイヤ3の断線を精度高く検出して安定した停止制御が行えるように、信号加工手段10aや断線判断手段10b、閾値調整手段10c、ノイズ学習手段10d、多重判断手段10e、装置ノイズ除去手段10fが備えられている。制御装置10にはまた、データ等を記憶する機能部位として記憶部10gも備えられている。
【0053】
(信号加工手段)
信号加工手段10aは、ワイヤ3の断線をより高精度に検出できるように、振動センサ17から入力される断線検出部材16の振動信号を加工する。具体的には、振動センサ17から入力される振動信号には、ワイヤ3の断線による振動以外の振動の信号(ノイズ信号ともいう)も含まれる。信号加工手段10aは、このノイズ信号を効果的に排除するべく、所定の周波数帯の振動信号だけを残し、その他の周波数帯をカットする。
【0054】
ノイズ信号には、例えば、ワイヤガイド2の回転に伴う振動や、加工補助液が断線検出部材16に衝突して生じる振動の信号などがある。特に、後者(液ノイズ信号ともいう)は、ワイヤ3が断線した時に発生する振動信号(断線信号ともいう)と周波数帯が重なるため、断線信号と誤判断し易い傾向がある。しかも、切断終了間近では、ワークWと液供給装置8との間が狭まって加工補助液が飛散し易くなるため、飛散した加工補助液が断線検出部材16に当たる頻度や強度が増加し、ワイヤ3の断線が検出し辛くなる。そこで、このワイヤソー1では、液ノイズ信号と、断線信号とで、周波数帯で信号強度が異なる点に着目し、前者を効果的に排除できるように、信号加工手段10aが設けられている。
【0055】
図5に、所定の条件の下で試験的に発生させた振動信号(代表例)を示す。同図の(a)は、液ノイズ信号であり、同図の(b)は断線信号である。いずれも信号強度を周波数帯別に表している。
【0056】
同図の(a)に示したように、液ノイズ信号は、約25KHzの周波数の周辺に、最も信号強度の強いピークが生じ、100KHz以上の周波数帯では、誤差レベルの僅かな信号強度しか生じない傾向が認められた。
【0057】
対して同図の(b)に示したように、断線信号は、液ノイズ信号と同様に、100KHz以下の周波数帯に最も信号強度の強いピークが生じたが、100KHz以上の周波数帯、具体的には、200〜300kHzの周波数帯においても比較的強い信号強度のピークが生じ、低周波数から高周波数に向かって信号強度が減衰する傾向が認められた。
【0058】
そこで、このワイヤソー1では、信号加工手段10aにより、制御装置10に入力される振動信号のうち、液ノイズ信号のピークと断線信号のピークとが重なる100KHzより小さい周波数帯をカットすることで、液ノイズ信号と断線信号とを容易に区別できるようにしている。
【0059】
図6に、信号加工手段10aにより、100KHzより小さい周波数帯をカットした場合とそうでない場合について、液ノイズ信号を比較した実験結果を示す。なお、同図は、ワイヤ3が後退走行から前進走行に走行方向を反転する際における液ノイズ信号の経時変化を表している。
【0060】
同図の(a)が、100KHzより小さい周波数帯をカットしていない場合であり、同図の(b)が、100KHzより小さい周波数帯をカットした場合である。同図から明らかなように、100KHzより小さい周波数帯をカットすることで、液ノイズ信号を安定して除去できるようになる。
【0061】
更には、信号加工手段10aにより、制御装置10に入力される振動信号のうち、500KHzより大きい周波数帯もカットするようにするのが好ましい。500KHzより大きい周波数帯では、信号強度の強い断線信号は得られないため、その周波数帯をカットすることで、高周波数帯に強い信号強度があるノイズ信号を排除できるので、よりいっそうノイズ信号による誤判断を少なくできる。
【0062】
なお、カットする周波数の値は、入出力装置19を通じて任意に設定可能である。その値は記憶部10gに記憶され、信号加工手段10aはその値に基づいて振動信号を加工する。
【0063】
このように、このワイヤソー1では、振動センサ17から入力される振動信号に対し、前処理として、信号加工手段10aが、ノイズ信号とピークが重なる周波数帯をカットする加工を施し、その加工した振動信号に基づいてワイヤ3の断線の有無を判断するようにしたので、ワイヤ3の断線の有無を高精度かつ安定して検出することが可能になる。
【0064】
(断線判断手段)
断線判断手段10bは、予め設定された閾値と、振動信号とを比較することにより、ワイヤ3の断線の有無を判断する。具体的には、断線判断手段10bは、振動信号がその閾値を超える場合はワイヤ3の断線有りと判断し、振動信号がその閾値以下の場合はワイヤ3の断線無しと判断する。そして、断線判断手段10bがワイヤ3の断線有りと判断した場合、ワイヤ3の走行は緊急停止される。
【0065】
(閾値調整手段)
閾値調整手段10cは、ワイヤ3の走行状態の変化に応じて閾値を可変する。ワイヤ3の走行状態とは、例えばワイヤ3の走行速度やワイヤ3の走行方向をいい、特に、その変化によって加工補助液の飛散状態が変化するワイヤ3の走行状態を意味する。
【0066】
例えば、図6に見られたように、ワイヤ3の走行方向によって、液ノイズ信号の信号強度は大小に変化する。このワイヤソー1の場合、支持部4のワイヤ巻取装置6側の側部にワイヤ断線検出装置9が配置されているため、ワイヤガイド2の回転方向の影響により、ワイヤ3の前進走行時には、後退走行時と比べて、加工補助液が断線検出部材16に向かって飛散し易くなる。その結果、液ノイズ信号の信号強度も、後退走行に比べて前進走行の方が大きくなる。
【0067】
従って、この場合、閾値調整手段10cは、ワイヤ3の後退走行時よりも前進走行時の方が閾値が大きくなるように閾値を変える。
【0068】
ワイヤ3の走行速度が変化することによっても、液ノイズ信号の信号強度は大小に変化する。図7に、その一例を示す。同図は、走行が停止した状態から等速走行の速度まで、一定の比率でワイヤ3が増速した時における液ノイズ信号の信号強度の変化を表している。同図の実線がそのワイヤ3の速度変化を示しており、同図の符号Nが液ノイズ信号である。なお、ここでの液ノイズ信号は、信号加工手段10aによって加工処理されたものである。
【0069】
ワイヤ3の走行速度が速くなれば、断線検出部材16に衝突する加工補助液の衝撃も大きくなる。従って、液ノイズ信号の信号強度や、そのばらつきは、ワイヤ3の走行速度の増加に応じて大きくなる。
【0070】
このように、ワイヤ3の走行状態の変化に伴って液ノイズ信号の信号強度も変化するので、閾値が一定である場合、誤判断を招くおそれがある。それに対し、このワイヤソー1では、閾値調整手段10cが、ワイヤ3の走行状態の変化に応じて閾値を可変するため、高精度なワイヤ3の断線の検出が可能になっている。
【0071】
図7の破線がその閾値を例示したものであり、この場合、閾値は、液ノイズ信号の信号強度の変化に合わせて一定の比率で可変するように設定されている。例えば、ワイヤ3の等速走行時の速度に対する閾値を基準閾値として設定し、そして、ワイヤ3の速度に応じて閾値を可変する設定値としてワイヤ速度比Ys(0<Ys≦1.0)を設定する。基準閾値等は記憶部10gに記憶される。
【0072】
例えば、基準閾値を600とし、ワイヤ速度比Ysを0.5としたとする。この場合、ワイヤ3の走行速度が0の時には閾値は300となり、等速走行時の走行速度の時には閾値は600となる。0から等速走行時の走行速度の間では、ワイヤ3の走行速度の変化に対し、閾値は300から600の間で一定の比率で可変する。なお、ワイヤ速度比Ysが1.0の場合には閾値は可変しない。
【0073】
このような可変する閾値の設定は、データマップ等を利用しても行うことができる。例えば、走行条件を変えてワイヤソー1の様々な走行状態を再現し、その個々の走行条件での液ノイズ信号の信号強度の変化を測定する。そして、その測定結果に基づいて、ワイヤ3の走行条件に応じた閾値の最適な可変条件を求め、その可変条件をデータマップ化や数式化して記憶部10gに入力する。閾値調整手段10cは、記憶部10gに入力されたデータマップ等を参照し、ワイヤ3の走行条件に応じて閾値を設定する。
【0074】
このように、このワイヤソー1では、ワイヤ3の断線判断の際に基準となる閾値を、ワイヤ3の走行状態の変化に応じて適切に可変できるので、ワイヤ3の断線の有無をよりいっそう高精度かつ安定して検出することが可能になる。
【0075】
(ノイズ学習手段)
閾値調整手段10cの場合、閾値や、閾値を可変するワイヤ3の走行条件は事前に設定されている。そのため、閾値調整手段10cがその機能を発揮できるのは設定された条件の範囲内に限られる。従って、例えば、ワイヤ3や加工補助液が性状の異なる種類に変更されるなど、設定された条件の範囲を超える場合が発生すると、それに合わせて新たに条件を設定する必要があり、手間がかかる。そこで、このワイヤソー1では、そのような場合にも簡単に対応できるようにノイズ学習手段10dが設けられている。
【0076】
ノイズ学習手段10dは、無負荷の条件下でワイヤソー1を作動させることにより、その条件下で発生する振動信号を学習する。すなわち、このワイヤソー1では、実際に用いられるワイヤ3や加工補助液、ワイヤ3の走行条件の下で空運転を行うことにより、その条件下で発生するノイズ信号をノイズ学習手段10dが学習するため、閾値やカットする周波数の値を、実際の条件に合わせて補正できるようになっている。
【0077】
具体的には、入出力装置19を通じてオペレータがノイズ学習モードを選択することにより、ノイズ学習手段10dは作動する。作動したノイズ学習手段10dは、ワイヤソー1が空運転可能な状態、例えば、ワイヤ3や加工補助液、ワイヤ3の走行条件等がセッティングされているか否かを確認し、セッティングが不十分であれば、オペレータにセッティングの完了を促す。ノイズ学習手段10dは、ワイヤソー1が空運転可能な状態であることを確認すると、ワイヤソー1を実際の運転と同じ条件で作動させる。ワイヤソー1が作動している間は、ワイヤ3に負荷が加わらないように、昇降モータ7bは作動せず、ワーク保持部7は支持部4から離れた位置に保持される。
【0078】
ノイズ学習手段10dは、ワイヤソー1の空運転中に検出される振動信号を、その際のワイヤ3の走行条件等と関連付けて記憶部10gに記憶する。そして、例えば、ノイズ学習手段10dは、検出された振動信号に基づき、閾値やカットする周波数の値の補正が必要であると判断した場合、自動的にこれらを補正する。例えば、ノイズ信号の信号強度が全体的に高くなった場合には、ノイズ学習手段10dは、閾値をその変化に応じて引き上げる。
【0079】
また、ノイズ学習手段10dは、オペレータからの指示があれば、記憶した振動信号等の情報を表示部19aに表示する。従って、その表示された情報に基づき、オペレータ自身が閾値等を入力して補正することもできる。
【0080】
このように、このワイヤソー1では、ノイズ学習モードを選択することにより、実際に用いられるワイヤソー1の条件に基づいて、簡単に閾値等の補正ができるので、広範囲な条件に対応でき、ワイヤ3の断線の有無をよりいっそう高精度かつ安定して検出することができる。
【0081】
(多重判断手段)
通常、ワイヤ3の断線の有無は、ワイヤ3が最初に断線検出部材16に衝突した時に検出される振動信号に基づいて判断される。すなわち、1つの振動信号の変化からワイヤ3の断線の有無を判断しているため、例えば、断線信号に近似したノイズ信号が発生するような条件下では、誤判断の頻度が高まり、ワイヤ3の断線の検出の信頼性が低下する。そこで、このワイヤソー1では、そのような条件下でもワイヤ3の断線の有無を高精度かつ安定して検出できるように、所定の複数の振動信号に基づいてワイヤ3の断線の有無を判断する多重判断手段10eが設けられている。
【0082】
図8に、ワイヤ3が一定速度で走行している時に、試験的にワイヤ3の断線を発生させ、その際検出される振動信号を所定時間測定した結果を示す。測定の際には、液ノイズ信号を除去するため、加工補助液は用いていない。従って、同図の線状の振動信号はいずれも断線信号を表している。
【0083】
断線信号は、一定の間隔で発生し、これらはワイヤ3の回転周期と一致している。すなわち、ワイヤ3は2つのワイヤガイド2,2の周囲を一定の周期で回転しているため、その部分でワイヤ3が断線した場合、断線したワイヤ3は、その回転周期ごとで断線検出部材16に衝突する。
【0084】
この点を利用して、多重判断手段10eは、回転周期ごとに発生する複数の振動信号に基づいてワイヤ3の断線の有無を判断する。例えば、誤判断の発生頻度が高まった場合などに、入出力装置19を通じてオペレータが多重判断モードを選択することで、多重判断手段10eは作動する。多重判断手段10eがワイヤ3の断線の判断に用いる振動信号の数は、記憶部10gに記憶することができ、オペレータは、その数を任意に設定することができる。
【0085】
多重判断手段10eは、最初に閾値を超える振動信号が検知された場合、記憶部10gに設定されている数の分だけ、更に、そのワイヤ3の回転周期ごとに、振動信号が閾値を超えるか否かを判断する。そして、その全ての振動信号が閾値を超えた場合に、ワイヤ3の断線有りと判断し、ワイヤソー1を緊急停止させる。
【0086】
このように、このワイヤソー1では、ワイヤ3の断線の有無を、断線信号が発生するタイミングでの複数の振動信号に基づいて判断することもできるので、誤判断の頻度が高まるような条件下でも、ワイヤ3の断線を高精度に検出することができる。
【0087】
(装置ノイズ除去手段)
装置ノイズ除去手段10fは、補助センサ18と協働して、振動信号に含まれる、装置に起因するノイズ信号を減少させる。具体的には、装置ノイズ除去手段10fは、振動センサ17から入力される振動信号(主信号ともいう)と、補助センサ18から入力される支持部4の振動信号(補助信号ともいう)とを比較する機能を有している。
【0088】
補助信号は、支持部4に固有の振動や、装置側で突発的に発生する振動に起因した振動信号であり、その振動は、除振部材15を通じて振動センサ17にも伝わる。従って、主信号には、信号強度の弱まった補助信号がノイズとして含まれる(装置ノイズ)。装置ノイズ除去手段10fは、この装置ノイズを除去することができる。
【0089】
信号強度の差を除けば、補助信号と、装置ノイズとでは、周波数やタイミング、分布等はほぼ同じである。その信号強度の差もほぼ一定しているため、補助信号から装置ノイズの信号強度も想定できる。従って、例えば、主信号が閾値を超えた場合でも、装置ノイズ除去手段10fは、それが装置ノイズが原因か否かが判断できる。そして、その場合、装置ノイズ除去手段10fが、装置ノイズが原因であると判断した時には、装置ノイズ除去手段10fは、断線判断手段10bと協働し、ワイヤソー1を緊急停止せずに運転を継続する。
【0090】
このように、このワイヤソー1では、装置ノイズに基づく誤判断を効果的に排除することができるので、ワイヤ3の断線の有無をよりいっそう高精度かつ安定して検出することができる。
【0091】
なお、本発明にかかるワイヤソーは、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、ワイヤガイドを3つ以上備えたワイヤソーにも適用できる。ワイヤソーは、信号加工手段10aや閾値調整手段10c、ノイズ学習手段10d、多重判断手段10e、装置ノイズ除去手段10fの全てを備えているのが好ましいが、必須ではない。ワイヤソーがこれらのいずれか1つを備えているだけでも従来に比べれば効果的である。
【符号の説明】
【0092】
1 ワイヤソー
2 ワイヤガイド
3 ワイヤ
4 支持部
5、6 ワイヤ送り装置
7 ワーク保持部
8 液供給装置
9 ワイヤ断線検出装置
10 制御装置
10a 信号加工手段
10b 断線判断手段
10c 閾値調整手段
10d ノイズ学習手段
10e 多重判断手段
10f 装置ノイズ除去手段
10g 記憶部
15 除振部材
16 断線検出部材
17 振動センサ
18 補助センサ(第2振動センサ)
19 入出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するワイヤに被加工物を押し付けて当該被加工物を切断するワイヤソーであって、
並列した状態で支持部に支持され、回転駆動される複数のワイヤガイドと、
複数の前記ワイヤガイドの周囲に1本の前記ワイヤの中間部分を螺旋状に巻き付けることにより、当該ワイヤガイド間に形成される略平行なワイヤ群と、
前記ワイヤの巻き出し及び巻き取りを交互に行う一対のワイヤ送り装置と、
前記被加工物を支持し、変位して当該被加工物を前記ワイヤ群に押し付けるワーク保持部と、
前記ワイヤ群に加工補助液を供給する液供給装置と、
前記支持部に取り付けられるワイヤ断線検出装置と、
前記ワイヤの断線の有無を判断し、断線有りの場合に当該ワイヤの走行を停止する制御装置と、
を備え、
前記ワイヤ断線検出装置は、
前記ワイヤガイドの近傍に配置され、前記ワイヤ群と略直交する方向に延びる断線検出部材と、
前記断線検出部材の振動を検出し、その振動信号を前記制御装置に出力する振動センサと、
を有し、
前記断線検出部材及び前記振動センサが、除振部材を介して前記支持部に取り付けられているワイヤソー。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤソーにおいて、
前記制御装置が、入力される前記振動信号の100kHzより小さい周波数帯をカットする信号加工手段を有し、
前記信号加工手段によって加工された前記振動信号に基づいて前記制御装置が前記ワイヤの断線の有無を判断するワイヤソー。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤソーにおいて、
前記信号加工手段が、更に、前記振動信号の500kHzより大きい周波数帯をカットするワイヤソー。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のワイヤソーにおいて、
前記制御装置が、
前記振動信号と閾値とを比較して前記ワイヤの断線の有無を判断する断線判断手段と、
前記ワイヤの走行状態の変化に応じて、前記閾値を可変する閾値調整手段と、
を有しているワイヤソー。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のワイヤソーにおいて、
前記制御装置が、無負荷の条件下で前記ワイヤソーを作動させることにより、当該条件下で発生する前記振動信号を学習するノイズ学習手段を有しているワイヤソー。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のワイヤソーにおいて、
前記制御装置が、前記ワイヤの回転周期ごとに入力される複数の前記振動信号に基づいて前記ワイヤの断線の有無を判断する多重判断手段を有するワイヤソー。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のワイヤソーにおいて、
前記支持部に、当該支持部の振動を検出し、その振動信号を前記制御装置に出力する第2振動センサが取り付けられ、
前記制御装置が、前記ワイヤの断線の有無を判断する際に、前記振動センサから入力される前記振動信号と、前記第2振動センサから入力される前記振動信号とを比較する固有ノイズ除去手段を有しているワイヤソー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−35080(P2013−35080A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170727(P2011−170727)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(391003668)トーヨーエイテック株式会社 (145)
【Fターム(参考)】