説明

ワイヤハーネスの配索構造

【課題】自動車に配索されるワイヤハーネスを軽量化、低コスト化できると共に、ワイヤハーネスを構成する電線が積層されても高い放熱効果を保持できる。
【解決手段】複数の芯線12aを並列した導体12または断面長方形の導体を樹脂で被覆したフラット電線11A、11B、11Cを複数備え、該複数のフラット電線11A、11B、11Cを積層して配線する領域Lでは、隔壁16d、16eを内面に設けたプロテクタ15を前記フラット電線11A、11B、11Cの積層体14の長さ方向に連続してあるいは間隔をあけて取り付け、積層する前記フラット電線11A、11B、11Cの隣接面間に前記隔壁16d、16eを介在させる構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネスの配索構造に関し、詳しくは、自動車に配索されるワイヤハーネスの放熱効果を高めるものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車のインバータとモータなどの機器間を接続するワイヤハーネスとして、例えば、特開2001−136632号公報(特許文献1)で複数の丸電線2を集束したワイヤハーネス1が提供されている(図6参照)。
一方、図7に示すような、前記丸電線2の芯線と同様に多数本の金属素線を集束した芯線5aを複数本並列して帯状の導体5を形成し、該導体5を樹脂6で被覆したフラットケーブル(以下、フラット電線と称す)4は、定格の電流値に対して導体断面積を小さく設定できるため、コストや重量を低減でき良好な放熱効果が得られる。そこで、図6に示す丸電線2に代えて、前記フラット電線4を複数並列したワイヤハーネス3を機器間に配索することは、前記コストおよび重量低減と放熱効果の点から有利であると共に、配索スペースの高さを低くしたい場合に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−136632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数のフラット電線4からなるワイヤハーネス3を機器間に配索する場合、車両の配索スペースの幅寸法の制約等により、複数のフラット電線4を幅方向に並列させて配索できない場合がある。その場合には、部分的または比較的長い区間で複数のフラット電線4を積層して配索する必要があるが、フラット電線4同士を互いに接触させて積層すると接触面間で熱干渉を起こし、放熱効果が損なわれて通電可能な電流値が制限されるという問題がある。
【0005】
本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネスを軽量化、低コスト化できると共に、ワイヤハーネスを構成する電線が積層されても高い放熱効果を保持できることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の芯線を並列した導体または断面長方形の導体を樹脂で被覆したフラット電線を複数備え、該複数のフラット電線を積層して配線する領域では、隔壁を内面に設けたプロテクタを前記フラット電線の積層体の長さ方向に連続してあるいは間隔をあけて取り付け、積層する前記フラット電線の隣接面間に前記隔壁を介在させる構成としていることを特徴とするワイヤハーネスの配索構造を提供している。
【0007】
前記のようなフラット電線からワイヤハーネスを形成することにより、丸電線より表面積を増大させて放熱効果を高めることができると共に、定格の電流値に対して導体断面積を小さくすることができるため、電線コストや質量の低減が可能となる。
また、複数のフラット電線を積層して配線する領域では、積層するフラット電線の隣接面間に介在させる隔壁を内面に設けたプロテクタをフラット電線の積層体に取り付ける構成としている。したがって、前記プロテクタによって積層するフラット電線を外部干渉材から保護できると共に、該プロテクタの隔壁によって積層するフラット電線間に一定の間隔が確保され、放熱の妨げとなるフラット電線同士の接触を防止して、高い放熱効果を保持することができる。
【0008】
前記プロテクタをフラット電線の積層体の長さ方向に連続して取り付けることにより、フラット電線を外部干渉材から確実に保護することができる。一方、外部干渉材の少ない領域に配線する場合には、前記プロテクタをフラット電線の積層体の長さ方向に間隔をあけて取り付けてもよい。
【0009】
前記プロテクタは樹脂製のプロテクタ本体と蓋体とからなり、前記プロテクタ本体は、前記積層するフラット電線の長さ方向に延在させる上壁および下壁の一端を側壁で断面コ字状に連結していると共に、前記側壁内面の中間位置から少なくとも1枚の隔壁を前記上壁および前記下壁に対して平行に突設し、前記側壁に対向する前記上壁および前記下壁の他端間を前記蓋体で閉鎖する構成としていることが好ましい。
【0010】
前記プロテクタを構成するプロテクタ本体は、積層するフラット電線の隣接面間に介在させる少なくとも1枚の隔壁を、プロテクタ本体の上下壁の一端を断面コ字状に連結する側壁の内面から突出させ、前記側壁に対向する前記上下壁の他端間を開放状態としている。したがって、前記側壁に対向する側方開放側から、積層するフラット電線をプロテクタ本体内に同時に収容して前記隔壁をフラット電線の隣接面間に介在させることができ、収容後、開放状態の前記上下壁の他端間を蓋体で閉鎖するだけで、前記フラット電線の積層体へのプロテクタの取り付けを容易に完了させることができる。
【0011】
プロテクタを構成するプロテクタ本体および蓋体は、前記のように樹脂製とすることが好ましく、特に、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)等の熱可塑性樹脂製とすることが好ましい。
【0012】
前記プロテクタ本体と前記蓋体は押出成形品とし、前記積層する複数のフラット電線を収容した前記プロテクタ本体に前記蓋体を被せ、前記プロテクタ本体と前記蓋体とをテープ巻きで固定していることが好ましい。
【0013】
前記のように、プロテクタ本体と蓋体を押出成形品として、これらをテープ巻きで固定する構造とすることで低コストかつ短時間でプロテクタを製造することができる。押出成形品のプロテクタ本体および蓋体からなるプロテクタは、フラット電線を積層して配線する領域が直線状である場合に特に有用であるが、フラット電線を積層して配線する領域が屈曲していても、外部干渉の問題が生じない領域であれば、前記押出成形品のプロテクタ本体および蓋体を短尺長さにカットし、屈曲配線するフラット電線の積層体の所要箇所に間隔をあけて取り付けることも可能である。
一方、フラット電線を積層して配線する領域が複雑形状を有し、かつ該領域の積層体の全長にわたって前記プロテクタを取り付ける必要がある場合や、プロテクタ本体と蓋体とをテープ巻きでなくロック部と被ロック部とのロック結合により固定する構造とする場合等には、プロテクタ本体と蓋体を射出成形で製造することも好ましい。また、放熱性を一層高めるために、プロテクタ本体あるいは/および蓋体に放熱穴を設けてもよい。
【0014】
ハイブリッド自動車または電気自動車におけるワイヤハーネスの配索構造であり、前記フラット電線を3枚積層してインバータとモータとを接続するものとし、前記プロテクタ本体の前記側壁内面に第1隔壁および第2隔壁からなる前記隔壁を間隔をあけて設け、前記プロテクタ本体の前記上壁と該上壁に対向する前記第1隔壁との間に前記積層するフラット電線のうちの上面側のフラット電線を収容すると共に、前記プロテクタ本体の前記下壁と該下壁に対向する前記第2隔壁との間に前記積層するフラット電線のうちの下面側のフラット電線を収容し、さらに、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に前記積層するフラット電線のうちの中間位置のフラット電線を収容していることが好ましい。
【0015】
ハイブリッド自動車または電気自動車のインバータとモータとを接続する3本の電源ケーブルは、通電電流値が大きくなるため、放熱性の高いフラット電線を用いたワイヤハーネスで接続する方が通電可能な電流値を増やすことができるため好ましい。フラット電線を積層して配線する領域では、前記のように、積層する上面側のフラット電線をプロテクタ本体の上壁と前記第1隔壁との間に、積層する下面側のフラット電線をプロテクタ本体の下壁と前記第2隔壁との間に、積層する中間位置のフラット電線を前記第1隔壁と前記第2隔壁との間にそれぞれ収容することにより、フラット電線同士の接触を防止して高い放熱性を保持することができる。
【0016】
前記上壁と前記第1隔壁との間、前記下壁と前記第2隔壁との間、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間にそれぞれ収容する前記フラット電線の外周面には金属編組線を被せていることが好ましい。
【0017】
前記のように、積層する各フラット電線の外周面に金属編組線を被せることにより、外界からの電磁ノイズに対するシールド性を高めることができる。また、上壁と第1隔壁との間、下壁と第2隔壁との間、第1隔壁と第2隔壁との間に前記金属編組線を被せた各フラット電線を収容することで各フラット電線と金属編組線を密着させることができ、サージ対策にも効果的である。
【0018】
前記金属編組線は、例えば錫メッキ軟銅線等からなる金属素線を多数本編んで形成することができ、積層する3枚のフラット電線の外周面が前記金属編組線で断面E字状に連続的に被覆された状態でプロテクタ本体に収容されることが好ましい。
積層する各フラット電線の許容電流値は30〜100アンペア、各フラット電線の幅は8〜17mm、厚さは2〜10mmとすることが好ましい。また、前記第1、第2隔壁を介在させたフラット電線の隣接面間の距離は0〜3mm、前記第1、第2隔壁の厚みは2〜10mm、前記金属編組線を形成する金属素線の太さは0.1〜1mmとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
前述したように、本発明によれば、フラット電線からワイヤハーネスを形成しているため、丸電線より表面積を増大させて放熱効果を高めることができると共に、定格の電流値に対して導体断面積を小さくすることができるため、電線コストや質量の低減が可能となる。
また、フラット電線を積層して配線する領域では、フラット電線の隣接面間に介在させる隔壁を内面に設けたプロテクタを前記フラット電線の積層体に取り付ける構成としている。したがって、前記プロテクタによって積層するフラット電線を外部干渉材から保護できると共に、該プロテクタの隔壁によって積層するフラット電線間に一定の間隔が確保され、放熱の妨げとなるフラット電線同士の接触を防止して、高い放熱効果を保持することができる。
【0020】
また、本発明によれば、前記プロテクタをプロテクタ本体と蓋体とから構成し、プロテクタ本体の上壁と下壁の一端を断面コ字状に連結する側壁の内面から少なくとも1枚の隔壁を突出させ、前記側壁に対向する前記上下壁の他端間を開放状態としている。よって、側方開放側から積層するフラット電線をプロテクタ本体内に同時に収容して前記隔壁をフラット電線の隣接面間に介在させることができ、収容後、開放状態の前記上下壁の他端間を前記蓋体で閉鎖するだけで、前記フラット電線の積層体へのプロテクタの取り付けを容易に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態におけるワイヤハーネスの配索構造を示す平面図である。
【図2】(A)はフラット電線を並行配線する領域のワイヤハーネスを示す断面図[図1のA−A線断面図]であり、(B)はフラット電線を積層配線する領域のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【図3】プロテクタの分解斜視図である。
【図4】第2実施形態における、フラット電線を積層配線する領域のワイヤハーネスの配索構造を示す平面図である。
【図5】第3実施形態で用いるフラット電線の断面図である。
【図6】従来例を示す図である。
【図7】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3は本発明の第1実施形態を示している。第1実施形態では、電気自動車のエンジンルーム内に設けたインバータと車輪側に設けたモータ(図示せず)とを図1に示すワイヤハーネス10で接続している。ワイヤハーネス10は3枚のフラット電線11A、11B、11Cから形成し、フラット電線11A、11B、11Cの両端には機器側端子(図示せず)と接続される電線側端子(図示せず)を固着している。フラット電線11A、11B、11Cは、図2に示すように、多数の金属素線を集束した芯線12aを複数(本実施形態では7本)並列した導体12を樹脂13で被覆しており、各フラット電線11A、11B、11Cの許容電流値は30〜100アンペア(本実施形態では70〜100アンペア)、各フラット電線11の幅は8〜17mm(本実施形態では15mm)、厚さは2〜10mm(本実施形態では3.5mm)としている。
【0023】
3枚のフラット電線11A、11B、11Cは図2(A)に示すように、幅方向に並行に配線されることが望ましいが、配索スペースの関係上、図2(B)のように3枚のフラット電線11A、11B、11Cを積層して配線しなければならない領域がある。本実施形態では、フラット電線11A、11B、11Cの積層が必要な領域Lにおいて、フラット電線11A、11B、11Cの積層体14に、図1、図2(B)および図3に示すような、プロテクタ15を長さ方向に連続して取り付けている。なお、本実施形態の積層配線領域Lは直線形状をなしている。
【0024】
プロテクタ15は、図3に示すような押出成形品のプロテクタ本体16と蓋体17とからなり、これらはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)等の熱可塑性樹脂で形成している。
プロテクタ本体16は、積層するフラット電線11A、11B、11Cの長さ方向に延在させる上壁16aおよび下壁16bを備え、該上壁16a、下壁16bの一端16a−1、16b−1を側壁16cで断面コ字状に連結している。また、側壁16c内面の等間隔をあけた中間位置より、積層するフラット電線11A、11B、11Cの隣接面間に介在させる第1隔壁16dおよび第2隔壁16eを突設し、側壁16cに対向する上壁16a、下壁16bの他端16a−2、16b−2間は開口としている。第1隔壁16dは上壁16aに対向させる一方、第2隔壁16eは下壁16bに対向させ、第1隔壁16d、第2隔壁16eを上壁16a、下壁16bに対して平行に設けている。
【0025】
蓋体17は、プロテクタ本体の上下壁16a、16bの他端16a−2、16b−2間の開口を閉鎖する断面矩形状の板状体としている。積層したフラット電線11A、11B、11Cをプロテクタ本体16内に収容した後、プロテクタ本体16側方の前記開口に蓋体17を嵌合させて閉鎖し、テープ巻き(T)によりプロテクタ本体16と蓋体17とを一体化する構造としている。
【0026】
以下、フラット電線11A、11B、11Cの積層体14へのプロテクタ15の取り付けについて説明する。
まず、積層配線領域Lにおいて積層するフラット電線11A、11B、11Cの外周面を連続した金属編組線18で断面E字状に取り囲むように被覆し、該金属編組線18で外周面を被覆したフラット電線11A、11B、11Cの積層体14をプロテクタ15のプロテクタ本体16内に収容する。具体的には、積層体14の上面側のフラット電線11Aをプロテクタ本体16の上壁16aと第1隔壁16dとの間に、積層体14の下面側のフラット電線11Cをプロテクタ本体16の下壁16bと第2隔壁16eとの間に、積層体14の中間位置のフラット電線11Bを第1隔壁16dと第2隔壁16eとの間にそれぞれ収容し、第1隔壁16dを上面側のフラット電線11Aと中間位置のフラット電線11Bの隣接面間に介在させ、第2隔壁16eを中間位置のフラット電線11Bと下面側のフラット電線11Cの隣接面間に介在させる。
プロテクタ本体16内への積層体14の収容が完了した後、プロテクタ本体の上下壁16a、16bの他端16a−2、16b−2間の開口を蓋体17で閉鎖し、テープ巻き(T)によりプロテクタ本体16と蓋体17とを一体化する。これにより、フラット電線11A、11B、11Cの積層体14へのプロテクタ15の取り付けが完了する[図2(B)]。
【0027】
なお、本実施形態では、第1、第2隔壁16d、16eを介在させたフラット電線11A、11B、11Cの隣接面間の距離を1mmとし、第1、第2隔壁16d、16eの厚みを2mmとしている。また、金属編組線18を形成する錫メッキ軟銅線からなる金属素線の太さを0.18mmとしている。
【0028】
前記のように、本実施形態ではフラット電線11A、11B、11Cからワイヤハーネス10を形成しているため、丸電線より表面積を増大させて放熱効果を高めることができると共に、定格の電流値に対して導体断面積を小さくすることできるため、電線コストや質量の低減が可能となる。
また、フラット電線11A、11B、11Cを積層して配線する領域Lでは、フラット電線11A、11B、11Cの隣接面間に介在させる隔壁(第1隔壁16d、第2隔壁16e)を内面に設けたプロテクタ15を前記フラット電線11A、11B、11Cの積層体14に取り付ける構成としているため、前記プロテクタ15によって積層するフラット電線11A、11B、11Cを外部干渉材から保護できると共に、該プロテクタ15の第1隔壁16d、第2隔壁16eによって積層するフラット電線11A、11B、11C間に一定の間隔が確保され、放熱の妨げとなるフラット電線同士の接触を防止して、高い放熱効果を保持することができる。
【0029】
特に、前記プロテクタ15をプロテクタ本体16と蓋体17とで構成し、プロテクタ本体16の上下壁16a、16bの一端16a−1、16b−1を断面コ字状に連結する側壁16cの内面から前記第1隔壁16d、第2隔壁16eを突出させている。即ち、プロテクタ本体16は、側壁16cに対向する上下壁16a、16bの他端16a−2、16b−2間を開放状態としているため、この側方開放側から金属編組線18で被覆したフラット電線11A、11B、11Cをプロテクタ本体16内に同時に収容して第1隔壁16dおよび第2隔壁16eをフラット電線11A、11B、11Cの隣接面間に介在させることができ、収容後、開放状態の上下壁16a、16bの他端16a−2、16b−2間を蓋体17で閉鎖するだけで、フラット電線11A、11B、11Cの積層体14へのプロテクタ15の取り付けを容易に完了させることができる。
本実施形態では、積層して配線する領域Lのフラット電線11A、11B、11Cの積層体14の全長にわたってプロテクタ15を取り付けているが、外部干渉の問題がなければ、積層体14の長さ方向に間隔をあけてプロテクタを取り付けることもできる。
【0030】
図4は第2実施形態を示している。
第2実施形態では、フラット電線11A、11B、11Cを積層して配線する領域が図4のように屈曲しているため、押出成形品のプロテクタ本体16および蓋体17を所定長さ(約2cm)にカットして短尺のプロテクタ25を形成し、該プロテクタ25をフラット電線11A、11B、11Cの積層体14の長さ方向に間隔をあけて取り付けている。その他は第1実施形態と同様としている。
【0031】
第2実施形態においても、フラット電線11A、11B、11Cの積層体14にプロテクタ25を所要箇所に取り付けることにより、積層するフラット電線11A、11B、11C間に一定の間隔が確保され、放熱の妨げとなるフラット電線同士の接触を防止して、高い放熱効果を保持することができる。
【0032】
前記第1、第2実施形態では、プロテクタ本体16および蓋体17を押出成形品としているが、フラット電線11A、11B、11Cを積層して配線する領域が複雑形状を有し、かつ該領域の積層体の全長にわたって前記プロテクタを取り付ける必要がある場合等にはプロテクタ本体と蓋体を射出成形で形成してもよい。また、第1、第2実施形態では、プロテクタ本体16と蓋体17とをテープ巻きで固定する構造としているが、ロック部と被ロック部のロック結合により固定する構造としてもよい。
【0033】
図5は第3実施形態を示している。
第3実施形態では、各フラット電線21の導体は断面長方形とした1つの導体22で形成している。該1つの導体22は多数本の金属素線を集束して形成したもの、帯状の金属箔を集積して形成したもの、厚肉金属板で形成したもののいずれでもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 ワイヤハーネス
11A、11B、11C、21 フラット電線
12、22 導体
13 樹脂
14 フラット電線の積層体
15、25 プロテクタ
16 プロテクタ本体
16a 上壁
16b 下壁
16c 側壁
16d 第1隔壁
16e 第2隔壁
17 蓋体
18 金属編組線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の芯線を並列した導体または断面長方形の導体を樹脂で被覆したフラット電線を複数備え、該複数のフラット電線を積層して配線する領域では、隔壁を内面に設けたプロテクタを前記フラット電線の積層体の長さ方向に連続してあるいは間隔をあけて取り付け、積層する前記フラット電線の隣接面間に前記隔壁を介在させる構成としていることを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【請求項2】
前記プロテクタは樹脂製のプロテクタ本体と蓋体とからなり、前記プロテクタ本体は、前記積層するフラット電線の長さ方向に延在させる上壁および下壁の一端を側壁で断面コ字状に連結していると共に、前記側壁内面の中間位置から少なくとも1枚の隔壁を前記上壁および前記下壁に対して平行に突設し、前記側壁に対向する前記上壁および前記下壁の他端間を前記蓋体で閉鎖する構成としている請求項1に記載のワイヤハーネスの配索構造。
【請求項3】
前記プロテクタ本体と前記蓋体は押出成形品とし、前記積層する複数のフラット電線を収容した前記プロテクタ本体に前記蓋体を被せ、前記プロテクタ本体と前記蓋体とをテープ巻きで固定している請求項2に記載のワイヤハーネスの配索構造。
【請求項4】
ハイブリッド自動車または電気自動車におけるワイヤハーネスの配索構造であり、前記フラット電線を3枚積層してインバータとモータとを接続するものとし、前記プロテクタ本体の前記側壁内面に第1隔壁および第2隔壁からなる前記隔壁を間隔をあけて設け、前記プロテクタ本体の前記上壁と該上壁に対向する前記第1隔壁との間に前記積層するフラット電線のうちの上面側のフラット電線を収容すると共に、前記プロテクタ本体の前記下壁と該下壁に対向する前記第2隔壁との間に前記積層するフラット電線のうちの下面側のフラット電線を収容し、さらに、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に前記積層するフラット電線のうちの中間位置のフラット電線を収容している請求項2または請求項3に記載のワイヤハーネスの配索構造。
【請求項5】
前記上壁と前記第1隔壁との間、前記下壁と前記第2隔壁との間、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間にそれぞれ収容する前記フラット電線の外周面に金属編組線を被せている請求項4に記載のワイヤハーネスの配索構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−152064(P2012−152064A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10115(P2011−10115)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】