説明

ワイヤハーネス及び扁平電装部品

【課題】ワイヤハーネスの枝線に設けられたコネクタが接続される扁平な形状の電装部品を、ワイヤハーネスの幹線部に対して横方向へのはみ出し幅が極力小さい状態で簡易に固定できること。
【解決手段】扁平電装部品10は、電線束9の枝線92に設けられたコネクタ93が接続され、側面13〜16が上面11及び下面12よりも狭い幅で形成された扁平な部材である。扁平電装部品10の第一側面15は、電線束9の幹線部91の一部が嵌り込んだ溝状の面である。扁平電装部品10の第一側面15に沿う縁部に、電線束9の幹線部91と連結される連結部20が形成されている。連結部20は、ベルト部材8の一端が固着されたベルト固着部21と、ベルト部材8が通される貫通孔220を形成するとともに、貫通孔220に通されたベルト部材8の凹凸部83に引っ掛かり、ベルト部材8を幹線部91に巻き付けられた状態で保持するベルト保持部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線束の枝線と電気的に接続される扁平な部材である扁平電装部品及びそれを備えるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるワイヤハーネスは、複数の絶縁電線が束ねられた電線束を備え、その電線束には、端部にコネクタなどの電装部品が接続された電線が含まれる。例えば、ワイヤハーネスにおける幹線部の中間部分から分岐した複数の枝線が電気的に接続される場合、複数の枝線の端部に設けられたコネクタが、電気的に接続された複数の端子を内包するジョイントコネクタに接続される場合がある。この場合、枝線のコネクタ内の複数の端子は、ジョイントコネクタ内の複数の端子に接続され、複数の枝線は、ジョイントコネクタ内の端子を介して電気的に接続される。
【0003】
また、ジョイントコネクタなどの電装部品は、ワイヤハーネスの幹線部に固定されることが多い。例えば、特許文献1には、枝線に設けられたコネクタが、所定の固定具(クリップ)を介して粘着テープによりワイヤハーネスの幹線部に固定されることについても示されている。
【0004】
さらに、特許文献1には、枝線に設けられたコネクタが、そのコネクタの左右の側面に固定された一対のベルト部材によってワイヤハーネスの幹線部に固定されることについて示されている。ベルト部材は、粘着テープに比べ、より強固な固定が可能であり、さらに、巻き付け作業が簡易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−115604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1にも示されるように、ワイヤハーネスの幹線部に固定される電装部品は、側面が上面及び下面よりも狭い幅で形成された扁平な部材である場合がある。以下、そのような扁平な電装部品のことを扁平電装部品と称する。
【0007】
特許文献1に示されるワイヤハーネスにおいて、扁平電装部品は、幅の広い下面又は上面が幹線部に対向する状態で幹線部に固定されている。そのため、特許文献1に示される扁平電装部品の固定構造が採用された場合、上面及び下面の幅が広いほど、幹線部から横方向へより大きくはみ出す。
【0008】
従って、特許文献1に示される扁平電装部品の固定構造は、ワイヤハーネスの配線スペースの幅に十分な余裕がない場合には採用できない。例えば、従来のワイヤハーネスにおける扁平電装部品が固定された幹線部が、ECU(Electronic Computer Unit)などの他の2つの車両部品の間の幅の狭い隙間に配置される場合、扁平電装部品が他の車両部品と干渉してしまう。
【0009】
本発明は、ワイヤハーネスの枝線に設けられたコネクタが接続される扁平な形状の電装部品を、ワイヤハーネスの幹線部に対して横方向へのはみ出し幅が極力小さい状態で簡易に固定できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るワイヤハーネスは、以下に示す各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、幹線部及びその幹線部から分岐した枝線を有する電線束である。
(2)第2の構成要素は、前記電線束の前記枝線に設けられたコネクタが接続され、側面が上面及び下面よりも狭い幅で形成された扁平な部材であり、複数の側面のうちの一つである第一側面に沿う縁部に前記電線束の前記幹線部と連結される連結部が形成された扁平電装部品である。
(3)第3の構成要素は、前記電線束の前記幹線部に巻き付けられ、前記扁平電装部品の前記第一側面が前記電線束の前記幹線部に沿って該幹線部に接した状態で前記電線束の前記幹線部と前記扁平電装部品の前記連結部とを連結するベルト部材である。
【0011】
また、本発明に係るワイヤハーネスにおいて、前記扁平電装部品の前記第一側面が、前記電線束の前記幹線部の一部が嵌り込んだ溝状の面であればなお好適である。なお、前記幹線部に食い込む突起部が前記第一の面に形成されていればさらに好適である。
【0012】
また、本発明に係るワイヤハーネスにおいて、前記扁平電装部品の前記連結部が、以下に示される各構成要素を備えることが考えられる。
(4)第4の構成要素は、前記第一側面に沿う縁部において前記ベルト部材の一端が固着されたベルト固着部である。
(5)第5の構成要素は、前記第一側面に沿う縁部において、前記ベルト部材が通された貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔に通された前記ベルト部材の凹凸部に引っ掛かることにより、前記ベルト部材を前記電線束の前記幹線部に巻き付けられた状態で保持するベルト保持部である。
【0013】
また、本発明に係るワイヤハーネスにおいて、前記扁平電装部品の前記連結部が、前記ベルト部材が通された貫通孔を形成する枠部を備えることが考えられる。この場合、前記ベルト部材は、その一端において当該ベルト部材が通された貫通孔を形成するとともに、他端から前記貫通孔に通された当該ベルト部材の凹凸部に引っ掛かることにより、当該ベルト部材を、前記電線束の前記幹線部及び前記連結部の前記枠部を結束した環状に保持するベルト保持部を備える。
【0014】
また、本発明は、以上に示された本発明に係るワイヤハーネスが備える扁平電装部品の発明として捉えられてもよい。即ち、本発明に係る扁平電装部品は、側面が上面及び下面よりも狭い幅で形成された扁平な部材であり、電線束における幹線部から分岐した枝線に設けられたコネクタが接続される電装部品である。さらに、本発明に係る扁平電装部品は、以下に示される各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、複数の側面のうちの一つである第一側面に沿う縁部においてベルト部材により前記電線束の前記幹線部と連結される連結部である。
【0015】
また、本発明に係る扁平電装部品において、前記第一側面が、前記電線束の前記幹線部の一部が嵌り込む溝状の面であればなお好適である。
【0016】
また、本発明に係る扁平電装部品の前記連結部が、以下に示される各構成要素を備えることも考えられる。
(2)第2の構成要素は、前記第一側面に沿う縁部において前記ベルト部材の一端が固着されたベルト固着部である。
(3)第3の構成要素は、前記第一側面に沿う縁部において、前記ベルト部材が通される貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔に通される前記ベルト部材の凹凸部に引っ掛かることにより、前記ベルト部材を前記電線束の前記幹線部に巻き付けられた状態で保持するベルト保持部である。
【発明の効果】
【0017】
本発明において、扁平電装部品は、幅の狭い側面(第一側面)に沿う縁部に形成された連結部において、側面が電線束の幹線部に沿う状態で、ベルト部材により電線束の幹線部に対して固定される。そのため、本発明が採用された場合、扁平電装部品における幅の広い下面又は上面が電線束の幹線部に対向する従来のワイヤハーネスが採用される場合に比べ、電線束の幹線部に対する扁平電装部品の横方向へのはみ出し幅が小さくなる。
【0018】
さらに、本発明によれば、扁平電装部品は、ベルト部材により、電線束の幹線部に固定されるため、粘着テープが用いられる場合よりも強固な固定及び簡易な作業による固定が可能である。
【0019】
ところで、本発明に係るワイヤハーネスに対して外力が加わり、扁平電装部品が電線束の幹線部に対してねじれる方向において変位した場合、電線束の幹線部に対する扁平電装部品の横方向へのはみ出し幅が大きくなってしまう。もちろん、扁平電装部品が、ベルト部材によって電線束の幹線部に対して二箇所以上で固定された場合、そのようなねじれ方向の変位は生じにくい。しかしながら、扁平電装部品を電線束に固定する作業の簡素化のためには、扁平電装部品が、ベルト部材によって電線束の幹線部に対して一箇所でのみ固定されることが望ましい。
【0020】
そこで、扁平電装部品において、電線束の幹線部に接する側面が、電線束の幹線部の一部が嵌り込む溝状の面であれば好適である。この場合、扁平電装部品は、外力を受けても電線束の幹線部に対してねじれる方向へ変位しにくい。その結果、扁平電装部品は、側面が電線束の幹線部に沿う状態、即ち、電線束の幹線部に対する横方向へのはみ出し幅が小さい状態で安定的に保持される。また、扁平電装部品において、電線束の幹線部に食い込む突起部が幹線部に接する側面に形成されていれば、扁平電装部品が、幹線部の周りに回転してしまうことが防止され、さらに好適である。
【0021】
また、本発明において、ベルト部材の一端が、扁平電装部品に固着されていれば、ベルト部材と扁平電装部品とが独立している場合に比べ、部品点数が少なくなり、扁平電装部品をワイヤハーネスに固定するための工数、及び部品管理のための工数がより簡素化される。
【0022】
一方、扁平電装部品の連結部が、ベルト部材が通される貫通孔を形成する枠部を備え、さらに、ベルト保持部と一体となった従来の一般的な電線結束用のベルト部材が採用されることも考えられる。この場合、汎用品である従来の電線結束用のベルト部材を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るワイヤハーネス1の斜視図である。
【図2】ワイヤハーネス1の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る扁平電装部品10の斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る扁平電装部品10Aの斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネス1Aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0025】
<第1実施形態>
まず、図1から図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る扁平電装部品10及びそれを備えた本発明の第1実施形態に係るワイヤハーネス1の構成について説明する。なお、図2は、図1に示されるA−A平面における断面図である。
【0026】
図1及び図2に示されるように、ワイヤハーネス1は、電線束9と扁平電装部品10とベルト部材8とを備える。電線束9は、束ねられた複数の電線90からなる幹線部91と、その幹線部91の中間部分から分岐した複数の枝線92を有する。なお、枝線92が、幹線部91の端部から分岐した電線である場合も考えられる。
【0027】
各図に示される座標軸において、X軸方向は、幹線部91の長手方向を表し、Y軸方向は、幹線部91の長手方向に直交する幹線部91の幅方向を表し、Z軸方向は、幹線部91の長手方向及び幅方向に直交する高さ方向を表す。
【0028】
図2に示されるように、ベルト部材8の一方の面には、ベルト部材8の長手方向において交互に連続して形成された凹部831及び凸部832からなる凹凸部83が形成されている。また、本実施形態においては、ベルト部材8の一方の端である第一の端81は固定端であり、ベルト部材8の他方の端である第二の端82は自由端である。
【0029】
扁平電装部品10は、枝線92の端部に設けられたコネクタ93が接続される電装部品である。この扁平電装部品10は、四方の側面13〜16が上面11及び下面12よりも狭い幅で形成された扁平な部材である。以下、四方の側面13〜16のそれぞれを、前方側面13、後方側面14、第一側面15及び第二側面16と称する。
【0030】
図1から図3に示される例では、扁平電装部品10は、複数の枝線92の端部に設けられたコネクタ93が接続され、複数の枝線92を電気的に接続するジョイントコネクタである。
【0031】
より具体的には、扁平電装部品10の前方側面13には、相手側コネクタの端子部が挿入される不図示の接続ポートが形成されている。また、扁平電装部品10の後方側面14の内側には、枝線92の端部に設けられたコネクタ93の複数の端子を電気的に接続する不図示の短絡導体が内蔵されている。コネクタ93の複数の端子は、複数の枝線92各々と接続されている。なお、扁平電装部品10の前方側面13に、相手側コネクタの接続ポートに挿入される接続プラグが設けられることも考えられる。
【0032】
また、扁平電装部品10の第一側面15は、電線束9の幹線部91の一部が嵌り込んだ溝状の面である。即ち、扁平電装部品10単体において、第一側面15は、電線束9の幹線部91の一部が嵌り込む溝状の面である。
【0033】
図1から図3に示される例では、第一側面15は、その長手方向に直交する方向において湾曲した凹面である。ワイヤハーネス1においては、第一側面15の長手方向と電線束9の幹線部91における扁平電装部品10が固定される部分の長手方向とは一致している。
【0034】
また、扁平電装部品10の第一側面15には、電線束9の幹線部91に食い込む突起部151が形成されている。この突起部151は、電線束9における複数の電線90の隙間又は電線90の絶縁被覆に食い込む。なお、第一側面15が、その長手方向に直交する方向において屈曲した凹面であることも考えられる。
【0035】
また、扁平電装部品10における第一側面15に沿う縁部には、ベルト部材8によって電線束9の幹線部91と連結される連結部20が形成されている。ベルト部材8は、電線束9の幹線部91に巻き付けられ、扁平電装部品10の第一側面15が電線束9の幹線部91に沿って幹線部91に接した状態で、電線束の幹線部91と扁平電装部品10の連結部20とを連結する帯状の部材である。
【0036】
即ち、ワイヤハーネス1において、第一側面15に沿う縁部に形成された連結部20と電線束9の幹線部91とが、ベルト部材8によって連結されている。これにより、扁平電装部品10は、電線束の幹線部91に固定されている。
【0037】
本実施形態において、扁平電装部品10の連結部20は、ベルト固着部21及びベルト保持部22を備えている。ベルト固着部21は、第一側面15に沿う縁部における下面12側の部分においてベルト部材8の第一の端81が固着された部分である。即ち、扁平電装部品10において、連結部20とベルト部材8とは繋がって一体に形成されている。
【0038】
一方、連結部20のベルト保持部22は、第一側面15に沿う縁部における上面11側の部分において、ベルト部材8が通される貫通孔220を形成する枠部221を有する。この枠部221には、貫通孔220側へ起立した突起部22が形成されている。枠部221は、突起部222の部分において、貫通孔220へ第二の端82から通されるベルト部材8の凹凸部83に引っ掛かることにより、ベルト部材8を電線束9の幹線部91に巻き付けられた状態で保持する。
【0039】
なお、ベルト固着部21が、第一側面15に沿う縁部における上面11側の部分に設けられ、ベルト保持部22が、第一側面15に沿う縁部における下面12側の部分に設けられてもよい。即ち、ベルト固着部21及びベルト保持部22の各々が、第一側面15に沿う縁部における上面11側の部分及び下面12側の部分の一方と他方とに分かれて設けられていればよい。
【0040】
即ち、ベルト部材8の凹凸部83及び連結部20の枠部221は、ベルト部材8が貫通孔220から抜けることを妨げる抜け止め機構を構成している。また、ベルト部材8の凹凸部83は、凹部831と凸部832とがベルト部材8の長手方向に沿って周期的に形成された部分である。そのため、凹凸部83及び枠部221は、ベルト部材8における電線束9の幹線部91に巻き付けられる部分の長さを調節する機構でもある。
【0041】
<効果>
ワイヤハーネス1において、扁平電装部品10は、幅の狭い第一側面15に沿う縁部に形成された連結部20において、第一側面15が電線束9の幹線部91に沿う状態で、ベルト部材8により電線束9の幹線部91に対して固定される。そのため、扁平電装部品10における幅の広い下面12又は上面11が電線束9の幹線部91に対向する従来のワイヤハーネスが採用される場合に比べ、電線束9の幹線部91に対する扁平電装部品10の横方向(幅方向)へのはみ出し幅が小さくなる。
【0042】
さらに、扁平電装部品10は、ベルト部材8により、電線束9の幹線部91に固定されるため、粘着テープが用いられる場合よりも強固な固定及び簡易な作業による固定が可能である。
【0043】
また、ワイヤハーネス1において、扁平電装部品10は、一本のベルト部材8によって電線束9の幹線部91に対して一箇所でのみ固定されている。そのため、扁平電装部品10を電線束9に固定する作業は、複数のベルト部材8が複数の箇所に設けられる場合よりも簡素化される。
【0044】
また、扁平電装部品10において、電線束9の幹線部91に接する第一側面15は、電線束9の幹線部91の一部が嵌り込む溝状の面である。そのため、扁平電装部品10は、一箇所で固定されているだけであるにもかかわらず、外力を受けても電線束9の幹線部91に対してねじれる方向へ変位しにくい。その結果、扁平電装部品10は、第一側面15が電線束9の幹線部91に沿う状態、即ち、電線束9の幹線部91に対する横方向(幅方向)へのはみ出し幅が小さい状態で安定的に保持される。
【0045】
また、扁平電装部品10において、電線束9の幹線部91に食い込む突起部151が、幹線部91に接する第一側面15に形成されている。この突起部15は、扁平電装部品10が幹線部91の周りに回転することを防ぐ回転止めとして機能する。そのため、扁平電装部品10が、幹線部91の周りに回転してしまうことが防止される。
【0046】
また、扁平電装部品10において、ベルト部材8の第一の端81が、扁平電装部品10の連結部20に固着されている。この場合、ベルト部材8と扁平電装部品10とが独立している場合に比べ、部品点数が少なくなり、扁平電装部品10を電線束9に固定するための工数、及び部品管理のための工数がより簡素化される。
【0047】
<第2実施形態>
次に、図4及び図5を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る扁平電装部品10A及びそれを備えた本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネス1Aについて説明する。なお、図4は、扁平電装部品10Aの斜視図であり、図5は、ワイヤハーネス1Aの断面図である。図5の断面図は、図2の断面図の断面に相当する平面における断面図である。
【0048】
扁平電装部品10Aは、図1から図3に示された扁平電装部品10の連結部20とは一部の構造が異なる連結部20Aを備えている。さらに、ワイヤハーネス1Aは、図1及び図2に示されたベルト部材8とは一部の構造が異なるベルト部材8Aを備えている。図4及び図5において、図1から図3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、扁平電装部品10A及びワイヤハーネス1Aにおける、扁平電装部品10及びワイヤハーネス1と異なる点についてのみ説明する。
【0049】
ワイヤハーネス1Aにおいて、ベルト部材8Aは、扁平電装部品10Aの連結部20Aとは繋がっておらず、扁平電装部品10Aから独立した部材である。ワイヤハーネス1Aに採用されるベルト部材8Aは、広く用いられている従来の電線結束用のベルト部材である。
【0050】
図4に示されるように、ベルト部材8Aは、第一の端81において当該ベルト部材8Aが通される貫通孔840を形成する第一枠部841を含むベルト保持部84を備えている。第一枠部841には、貫通孔840側へ起立した突起部842が形成されている。ベルト保持部84は、第一枠部841の突起部842の部分において、第二の端82から貫通孔840に通された当該ベルト部材8Aの凹凸部83に引っ掛かることにより、当該ベルト部材8Aを環状に保持する。
【0051】
なお、ベルト部材8Aのベルト保持部84における貫通孔840、第一枠部841及び突起部842は、それぞれ扁平電装部品10のベルト保持部22における貫通孔220、枠部221及び突起部222に相当する。
【0052】
一方、扁平電装部品10Aの連結部20Aは、ベルト部材8Aが通される貫通孔230を形成する第二枠部23を備えている。なお、扁平電装部品10Aの連結部20Aは、ベルト部材8Aを電線束9の幹線部91に巻き付けられた状態で保持する機構を備えていない。
【0053】
ワイヤハーネス1において、ベルト部材8Aは、電線束9の幹線部91及び扁平電装部品10Aの連結部20Aにおける第二枠部23を結束する。さらに、ベルト部材8Aのベルト保持部84は、ベルト部材8Aを、電線束9の幹線部91及び連結部20Aの第二枠部23を結束した環状に保持する。
【0054】
ワイヤハーネス1Aが採用されることにより、汎用品である従来の電線結束用のベルト部材8Aを有効利用することができる。
【0055】
<その他>
扁平電装部品10,10Aにおいて、電線束9の幹線部91に接する第一側面15が、平面であることも考えられる。但し、この場合、扁平電装部品10,10Aの連結部20,20Aが、幹線部91の長手方向における複数の箇所において、ベルト部材8,8Aにより幹線部91に対して連結されることが望ましい。
【0056】
例えば、扁平電装部品10の連結部20が、第一側面15の長手方向における複数箇所において、ベルト固着部21とベルト保持部22とを備えることが考えられる。同様に、扁平電装部品10Aの連結部20Aが、第一側面15の長手方向における複数箇所において、第二枠部23を備えることが考えられる。
【符号の説明】
【0057】
1,1A ワイヤハーネス
8,8A ベルト部材
9 電線束
10,10A 扁平電装部品
11 上面
12 下面
13 前方側面
14 後方側面
15 第一側面
16 第二側面
20,20A 連結部
21 ベルト固着部
22 ベルト保持部
22 突起部
23 第二枠部
81 第一の端
82 第二の端
83 凹凸部
84 ベルト保持部
90 電線
91 幹線部
92 枝線
131 接続ポート
151 突起部
220 貫通孔
221 枠部
222 突起部
230 貫通孔
831 凹部
832 凸部
840 貫通孔
841 第一枠部
842 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹線部及び該幹線部から分岐した枝線を有する電線束と、
前記電線束の前記枝線に設けられたコネクタが接続され、側面が上面及び下面よりも狭い幅で形成された扁平な部材であり、複数の側面のうちの一つである第一側面に沿う縁部に前記電線束の前記幹線部と連結される連結部が形成された扁平電装部品と、
前記電線束の前記幹線部に巻き付けられ、前記扁平電装部品の前記第一側面が前記電線束の前記幹線部に沿って該幹線部に接した状態で前記電線束の前記幹線部と前記扁平電装部品の前記連結部とを連結するベルト部材と、を備えることを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
前記扁平電装部品の前記第一側面は、前記電線束の前記幹線部の一部が嵌り込んだ溝状の面である、請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記扁平電装部品の前記連結部は、
前記第一側面に沿う縁部において前記ベルト部材の一端が固着されたベルト固着部と、
前記第一側面に沿う縁部において、前記ベルト部材が通された貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔に通された前記ベルト部材の凹凸部に引っ掛かることにより、前記ベルト部材を前記電線束の前記幹線部に巻き付けられた状態で保持するベルト保持部と、を備える、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記扁平電装部品の前記連結部は、前記ベルト部材が通された貫通孔を形成する枠部を備え、
前記ベルト部材は、その一端において当該ベルト部材が通された貫通孔を形成するとともに、他端から前記貫通孔に通された当該ベルト部材の凹凸部に引っ掛かることにより、当該ベルト部材を、前記電線束の前記幹線部及び前記連結部の前記枠部を結束した環状に保持するベルト保持部を備える、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
側面が上面及び下面よりも狭い幅で形成された扁平な部材であり、電線束における幹線部から分岐した枝線に設けられたコネクタが接続される扁平電装部品であって、
複数の側面のうちの一つである第一側面に沿う縁部においてベルト部材により前記電線束の前記幹線部と連結される連結部を備えることを特徴とする扁平電装部品。
【請求項6】
前記第一側面は、前記電線束の前記幹線部の一部が嵌り込む溝状の面である、請求項6に記載の扁平電装部品。
【請求項7】
前記連結部は、
前記第一側面に沿う縁部において前記ベルト部材の一端が固着されたベルト固着部と、
前記第一側面に沿う縁部において、前記ベルト部材が通される貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔に通される前記ベルト部材の凹凸部に引っ掛かることにより、前記ベルト部材を前記電線束の前記幹線部に巻き付けられた状態で保持するベルト保持部と、を備える、請求項6又は請求項7に記載の扁平電装部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−84408(P2013−84408A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222539(P2011−222539)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】