説明

ワイヤハーネス固定治具

【課題】 非力な人でもワイヤハーネスを強く締付けられるワイヤハーネス固定治具を提供する。
【解決手段】 表面に複数の係止片2を連続的に設けたワイヤハーネス結束用バンド4、バンド4をロックする係止具12、およびクリップ7が一体に取付けられたワイヤハーネス固定治具1において、ワイヤハーネス結束用バンド4の表面に設けられた係止片2の各々がバンド4を横断して設けられている。
【効果】 各係止片2がバンド4を横断して設けられているので、バンド4を引張る際の係止片2による抵抗が小さく、非力な人でもワイヤハーネスを強固に結束できる。従って、バンド4の締付け位置が移動するようなことがなく、組付作業性を害することはない。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非力な人でもワイヤハーネスを強く締付けられるワイヤハーネス固定治具に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤハーネス固定治具11は、図2に示すように、長尺のバンド14と、バンド14の基部に設けた係止具12と、バンド14に連続的に設けた係止片2とからなり、係止具12は、バンド14の挿入孔5と、車体などに取付けるクリップ7とで構成されている。このようなワイヤハーネス固定治具11を用いてワイヤハーネス3を車体に固定するには、バンド14をワイヤハーネス3の周囲に回し、バンド14の先端を係止具12のロックアーム6が具備された挿通孔5に通して引張り、バンド14でワイヤハーネス3を締付けたのち、ロックアーム6の係止爪16をバンド14に連続的に設けた係止片2に係止させ、クリップ7を車体のパネルなどに設けられた固定穴9に固定してワイヤハーネス3を車体に固定する。ワイヤハーネス3を結束するバンド14は、図3(イ)(ロ)に示すように、バンド14表面に直立する複数の係止片2が連続的に設けられ、係止片2の両側には土手10が形成されたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のワイヤハーネス固定治具11では係止片2が直立しているので、バンド14を挿通孔5を通して引張る際に、係止片2がロックアーム6の係止爪16にかなりの抵抗となって接触し、バンド14の先端を引張る際に相応の力を要し、非力な人ではワイヤハーネスが十分に締付けられないことがあり、このような状態で、ワイヤハーネス組付工場内、或いは車体組立工場に運搬されると運搬中の振動や何かにぶつかったりしてバンド14の締付位置が移動して、車体のパネルなどに取付ける際にバンド14の締付位置を手直しする必要が生じて作業性を害することがあった。 このようなことから、本発明者等は、非力な人でもバンドを十分に締付けられる方法について検討し、係止片の両側にある土手を除去することにより改善できることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。本発明は、非力な人でもワイヤハーネスに確実に締付け固定されるワイヤハーネス固定治具の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に複数の係止片を連続的に設けたワイヤハーネス結束用バンド、前記バンドをロックする係止具、およびクリップが一体に取付けられたワイヤハーネス固定治具において、前記ワイヤハーネス結束用バンドの表面に設けられた係止片の各々が前記バンドを横断して設けられていることを特徴とするワイヤハーネス固定治具である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を図を参照して具体的に説明する。図1(イ)は本発明のワイヤハーネス固定治具の実施形態を示す平面図、(ロ)は前記固定治具の結束用バンド部分の側面図である。ワイヤハーネス固定治具1は、表面に複数の係止片2を連続的に設けたワイヤハーネス3を結束するためのバンド4とバンド4の基部に設けられた係止具12とから構成され、係止具12にはバンド4をロックするロックアーム6と前記ワイヤハーネス3を車体に固定するためのクリップ7とが取付けられている。前記ワイヤハーネス結束用バンド4は、表面に設けられた係止片2がバンド4を横断すると共に、係止片2の反ロック側の面8のバンド4表面となす角度αが120度以上に設けられている。図1(イ)で5はロックアーム6が具備されたバンド4を通す挿通孔である。
【0006】図1(イ)(ロ)に示した本発明の固定治具では、ワイヤハーネス結束用バンド1に土手がなく、係止片2はバンド1を横断して設けられているので、バンド4はロックアーム6の下を低挿入力で通過させることができ、従って、非力の人でもバンド4を十分に引張ることができ、ワイヤハーネスを強固に結束することができる。しかも、ここでは、前記係止片2は、反ロック側の面8のバンド4表面となす角度αが90度を超える角度で、係止片2がバンド4の基部側に傾斜した状態で設けられているので、バンド4は極めて容易に引張ることができる。
【0007】本発明において、係止片2の反ロック側の面8のバンド4表面となす角度αを120度以上にしておくと、ワイヤハーネスを、十分小さい引張り力で強固に結束できて望ましい。特に望ましい角度αは135度程度である。
【0008】本発明では、バンド4に土手を設けないので、ロック力が弱まるが、係止片2のロック側の面18のバンド4表面となす角度β(図1ロ参照)を60度以下、特には45度程度に小さくしておくと、高いロック力が得られ土手をなくした弱点をカバーでき望ましい。なお、本発明では、ワイヤハーネス結束用バンドは、表面に設けられた係止片がバンドを横断して設けられているので、ロックアームの代わりにロック爪を用いることも可能である。
【0009】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明のワイヤハーネス固定治具は、ワイヤハーネス結束用バンドの表面に設けられた各係止片が前記バンドを横断して設けられているので、バンドを引張る際の係止片による抵抗が小さく、非力な人でもワイヤハーネスを強固に結束できる。従って、バンドの締付け位置が移動するようなことがなく、組付作業性を害することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は本発明のワイヤハーネス固定治具の実施形態を示す平面図、(ロ)は前記固定治具の結束用バンド部分の側面図である。
【図2】従来のワイヤハーネス固定治具の側面の切り欠き断面説明図である。
【図3】(イ)は従来のワイヤハーネス固定治具の実施形態を示す平面図、(ロ)は前記固定治具の結束用バンド部分の側面図である。
【符号の説明】
1 本発明のワイヤハーネス固定治具
2 係止片
3 ワイヤハーネス
4 本発明におけるワイヤハーネス結束用バンド
5 ロックアームが具備された挿通孔
6 ロックアーム
7 クリップ
8 係止片の反ロック側の面
9 車体側の係止穴
10 バンドの両側に形成された土手
11 従来のワイヤハーネス固定治具
12 係止具
14 従来のワイヤハーネス結束用バンド
16 ロックアームの係止爪
18 係止片のロック側の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面に複数の係止片を連続的に設けたワイヤハーネス結束用バンド、前記バンドをロックする係止具、およびクリップが一体に取付けられたワイヤハーネス固定治具において、前記ワイヤハーネス結束用バンドの表面に設けられた係止片の各々が前記バンドを横断して設けられていることを特徴とするワイヤハーネス固定治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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