説明

ワイヤハーネス

【課題】取り外し作業を効率よく行うことができ、リサイクル性を向上させたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス1は、複数の電線2と、蛍光テープ3とを備えている。蛍光テープ3は、電線2に巻き付けられてこれら電線2を束ねている。蛍光テープ3は、紫外線UVを照射すると発光する。ワイヤハーネス1をパネル6から取り外す際には、ワイヤハーネス1に紫外線UVを照射して蛍光テープ3を発光させて、ワイヤハーネス1を視認しやすくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としての自動車等に配索されるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車等には、各種の電子機器が搭載されている。自動車は、前記電子機器にバッテリ等の電源等からの電力や制御装置からの制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、当該電線の端部等に取り付けられたコネクタ等を備えている。
【0003】
前記複数の電線は、テープが巻き付けられて束ねられている。また、テープで束ねられた複数の電線には、ワイヤハーネスを自動車の車体パネルに固定する配線用クリップ等が取り付けられる。前記コネクタは、電子機器のコネクタとコネクタ結合する。そして、ワイヤハーネスは、電子機器に電力や各種の信号を伝える。
【0004】
このようなワイヤハーネスは、移動体の乗員に視認されにくい場所に配索されるが、例えばエンジンルーム内に配索されるワイヤハーネスは乗員に視認される虞がある。このため、前述したテープ等を暗色、即ち黒色や灰色等の明度の低い色にして、ワイヤハーネスを極力目立たないようにしている。
【0005】
ところで、近年、自動車のリサイクル性を向上させるために、廃車時等の自動車解体時において部品材料毎の分別回収が要求されている。このような自動車解体作業は、例えば、屋根付き工場内においてニブラ等の重機を用いて行われる。前述したワイヤハーネスは、例えば、エンジンルーム内に配索された部分を重機の挟持部で掴んで、自動車の車体パネルから引き剥がされている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−174750号公報
【特許文献2】特開2004−224253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のように、ワイヤハーネスは乗員に視認されにくい場所に配索され、また、極力目立たないように電線を束ねるテープ等を暗色としている。さらに、解体作業が行われる工場は、重機を収容可能であるので天井が高く、内部が比較的暗くなっている。このため、作業者が重機の運転席からワイヤハーネスを視認しづらく、全てのワイヤハーネスを車体パネルから取り外すことが困難であり、リサイクル性が悪いといった問題があった。例えば、ワイヤハーネスの電線を構成する銅等の回収率が低下するとともに、前記銅が車体パネルを構成する鉄鋼に混入して、回収された鉄鋼の品質が低下するといった問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、取り外し作業を効率よく行うことができ、リサイクル性を向上させたワイヤハーネスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、複数の電線を備えたワイヤハーネスにおいて、前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねるとともに、紫外線を照射すると発光する発光部材を備えたことを特徴としたワイヤハーネスである。
【0010】
請求項2に記載された発明は、複数の電線と、前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねる結束部材と、を備えたワイヤハーネスにおいて、前記結束部材の外表面に巻き付けられ、紫外線を照射すると発光する発光部材を備えたことを特徴としたワイヤハーネスである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、複数の電線を備えたワイヤハーネスにおいて、前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねるとともに、予め照射された光を蓄光して暗所で発光する発光部材を備えたことを特徴としたワイヤハーネスである。
【0012】
請求項4に記載された発明は、複数の電線と、前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねる結束部材と、を備えたワイヤハーネスにおいて、前記結束部材の外表面に巻き付けられ、予め照射された光を蓄光して暗所で発光する発光部材を備えたことを特徴としたワイヤハーネスである。
【0013】
請求項5に記載された発明は、請求項1ないし請求項4に記載されたワイヤハーネスにおいて、前記発光部材が、前記電線の長手方向の少なくとも一部に巻き付けられたことを特徴としたワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、ワイヤハーネスに紫外線を照射すると発光部材が発光するので、ワイヤハーネスを容易に視認できる。したがって、ワイヤハーネスの取り外し作業をより短時間で効率よく行うことができ、また、ワイヤハーネスの取り残しを減らしてリサイクル性を向上させることができる。また、発光部材を巻き付けるだけの簡単な作業で、上記効果を得ることができる。さらに、発光部材が通常電線を束ねる際に用いられる結束部材を兼ねているので、部品点数が増えることがなく、ワイヤハーネスの組立作業が煩雑になることがない。また、発光部材は、紫外線を照射したときのみ発光するので、通常時(自動車解体時以外)には目立たず、乗員に気付かれにくい。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、ワイヤハーネスに紫外線を照射すると発光部材が発光するので、ワイヤハーネスを容易に視認できる。したがって、ワイヤハーネスの取り外し作業をより短時間で効率よく行うことができ、また、ワイヤハーネスの取り残しを減らしてリサイクル性を向上させることができる。また、発光部材を巻き付けるだけの簡単な作業で、上記効果を得ることができる。また、発光部材は、紫外線を照射したときのみ発光するので、通常時には目立たず、乗員に気付かれにくい。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、予めワイヤハーネスに光を照射しておくと暗所で発光部材が発光するので、ワイヤハーネスを容易に視認できる。したがって、ワイヤハーネスの取り外し作業をより短時間で効率よく行うことができ、また、ワイヤハーネスの取り残しを減らしてリサイクル性を向上させることができる。また、発光部材を巻き付けるだけの簡単な作業で、上記効果を得ることができる。さらに、発光部材が通常電線を束ねる際に用いられる結束部材を兼ねているので、部品点数が増えることがなく、ワイヤハーネスの組立作業が煩雑になることがない。また、発光部材は、照射された光を蓄光して暗所で発光するので、通常時には目立たず、乗員に気付かれにくい。
【0017】
請求項4に記載された発明によれば、予めワイヤハーネスに光を照射しておくと暗所で発光部材が発光するので、ワイヤハーネスを容易に視認できる。したがって、ワイヤハーネスの取り外し作業をより短時間で効率よく行うことができ、また、ワイヤハーネスの取り残しを減らしてリサイクル性を向上させることができる。また、発光部材を巻き付けるだけの簡単な作業で、上記効果を得ることができる。また、発光部材は、照射された光を蓄光して暗所で発光するので、通常時には目立たず、乗員に気付かれにくい。
【0018】
請求項5に記載された発明によれば、発光部材が電線の長手方向の少なくとも一部、即ちワイヤハーネスの発光させたい部分に巻き付けられているので、発光部材の使用量を減らすことができ、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるワイヤハーネスを示す斜視図である。
【図2】図1に示された蛍光テープの斜視図である。
【図3】図1に示されたワイヤハーネスに紫外線を照射して蛍光テープを発光させた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示されたワイヤハーネスがパネルから取り外されつつある状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるワイヤハーネスを示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかるワイヤハーネスを示す斜視図である。
【図7】図6に示された蓄光テープの斜視図である。
【図8】図6に示されたワイヤハーネスに光を照射している状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示された蓄光テープが暗所で発光した状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態にかかるワイヤハーネスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施形態にかかるワイヤハーネス1を図1ないし図4を参照して説明する。本発明の第1の実施形態にかかる図1等に示すワイヤハーネス1は、移動体としての自動車のパネル6(被配索部に相当する。図1等に一点鎖線で示す)に取り付けられて、当該自動車内に配索される。
【0021】
パネル6は、自動車の車体を構成する。パネル6には、ワイヤハーネス1に取り付けられる配線用クリップを係止する複数の孔(図示せず)が貫通している。
【0022】
ワイヤハーネス1は、図1に示すように、複数の電線2と、発光部材としての蛍光テープ3とを備えている。各電線2は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えた被覆電線である。芯線は、銅等で構成された複数の素線が撚られて形成されている。また、芯線は、一本の素線で構成されていてもよい。被覆部は、絶縁性の合成樹脂で構成され、芯線を被覆している。被覆部は、可視光下で暗色(図1等に荒いドットで示す)を呈する合成樹脂で構成されている。なお、本明細書における暗色とは、黒色や灰色等の明度の低い色を意味するものとする。電線2の端部等には、図示しないコネクタが取り付けられている。
【0023】
蛍光テープ3は、図2に示すように、合成樹脂で構成された帯状の基材31と、基材31の一方の表面に設けられて電線2の被覆部と接着する接着層32と、基材31の他方の表面に設けられた発光層33とを備えている。基材31は、前記合成樹脂に暗色の着色剤を混入することで、暗色に着色されている。接着層32は、周知の接着剤(粘着剤)が塗布されて形成されている。
【0024】
発光層33は、周知の蛍光顔料を含有した塗料が塗布されて形成されている。発光層33は、可視光下では無色または淡色であり、後述するブラックライト8を用いて紫外線UVを照射すると発光する。このため、蛍光テープ3は、可視光下では基材31の色である暗色(図1に細かいドットで示す)を呈し、紫外線UVを照射すると発光して前記暗色よりも明度の高い色(図3及び図4に白抜きで示す)を呈する。このような蛍光テープ3は、該当する市販品を用いることができる。なお、図1等においては、便宜上、蛍光テープ3の暗色と電線2の被覆部の暗色とを異なる細かさのドットで示しているが、これらは必ずしも異なる色でなくてもよい。
【0025】
前述した蛍光テープ3は、まとめられた複数の電線2に直接巻き付けられて、これら電線2を束ねている。蛍光テープ3は、複数の電線2に螺旋状に巻き付けられて、電線2の長手方向の一部に巻き付けられている。前記一部とは、ワイヤハーネス1を発光させたい部分であり、例えば、ワイヤハーネス1のエンジンルーム内やトランクルーム内に配索される部分(即ち、自動車解体時に作業者に視認されやすい部分)や、ワイヤハーネス1の配線用クリップの取り付けられる部分等が挙げられる。なお、図示例では、蛍光テープ3が一箇所に巻き付けられているが、互いに間隔をあけた複数箇所に巻き付けられていてもよい。
【0026】
前述した構成のワイヤハーネス1は、配線用クリップやプロテクタ等が必要に応じて取り付けられた後に、前記配線用クリップがパネル6の孔に係止してパネル6に取り付けられて、自動車内に配索される。そして、ワイヤハーネス1は、電線2に取り付けられたコネクタが自動車に搭載された電子機器のコネクタとコネクタ結合して、前記電子機器に電力や各種の信号を伝える。こうして自動車内に配索されたワイヤハーネス1は、可視光下では電線2の被覆部や蛍光テープ3が暗色であるので、乗員に視認される位置に配索されても目立ちにくくなっている。
【0027】
また、ワイヤハーネス1は、自動車解体時には、例えば屋根付き工場内においてニブラ等の重機7を用いてパネル6から引き剥がされる。前記工場は、重機7を収容可能であるので天井が高く、内部が比較的暗くなっている。
【0028】
重機7のアームの先端部には、図3に示すように、挟持部70が取り付けられている。挟持部70は、アームの軸方向を中心に回転自在にアームに取り付けられた固定歯71と、固定歯71に対して接離自在に当該固定歯71に取り付けられた可動歯72と、を備えている。挟持部70は、固定歯71と可動歯72との間にワイヤハーネス1を挟む。
【0029】
また、重機7の固定歯71には、紫外線照射装置としてのブラックライト8が取り付けられている。ブラックライト8は、周知のものを用いることができるが、蛍光テープ3を重機7の運転席から視認可能な程度に明るく発光させるような波長の紫外線UVを照射できるものであることが好ましい。なお、このブラックライト8は、スタンド等に取り付けて工場のフロアに設置してもよいし、工場の天井に設けて工場内全体に紫外線UVを照射してもよい。
【0030】
前述したワイヤハーネス1をパネル6から取り外す際には、まず、自動車の解体作業に用いる重機7や解体対象の自動車を前述した工場内に運び入れる。そして、前記自動車に重機7の挟持部70を近づけて、ブラックライト8で例えばエンジンルーム内に紫外線UVを照射する。
【0031】
すると、図3に示すように、ワイヤハーネス1のエンジンルーム内に露出した部分に紫外線UVが照射され、紫外線UVによって蛍光テープ3が可視光下の暗色よりも明度の高い色に発光するので、作業者が重機7の運転席からワイヤハーネス1を容易に視認できる。その後、重機7を操作して、図4に示すように、蛍光テープ3の巻き付けられた部分を挟持部70で挟んで、ワイヤハーネス1をパネル6から引き剥がす。こうして、ワイヤハーネス1をパネル6から取り外す。
【0032】
本実施形態によれば、ワイヤハーネス1に紫外線UVを照射すると蛍光テープ3が発光するので、ワイヤハーネス1を容易に視認できる。したがって、ワイヤハーネス1の取り外し作業をより短時間で効率よく行うことができ、また、ワイヤハーネス1の取り残しを減らしてリサイクル性を向上させることができる。また、蛍光テープ3を電線2の上から巻き付けるだけの簡単な作業で、上記効果を得ることができる。
【0033】
また、蛍光テープ3は、可視光下で暗色であり紫外線UVを照射したときのみ発光するので、通常時(自動車解体時以外)には目立たず、乗員に気付かれにくい。また、蛍光テープ3が通常電線2を束ねる際に用いられるテープ4(後述)を兼ねているので、部品点数が増えることがなく、ワイヤハーネス1の組立作業が煩雑になることがない。
【0034】
また、蛍光テープ3は、電線2の長手方向の前述した一部、即ちワイヤハーネス1を発光させたい部分に巻き付けられているので、蛍光テープ3の使用量を減らすことができ、コストを低減できる。なお、蛍光テープ3を、電線2の全長に亘って巻き付けてもよい。こうすることで、発光する部分が多くなり、ワイヤハーネス1を更に視認しやすくなる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態にかかるワイヤハーネス1Aを、図5を参照して説明する。なお、前述した実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
本発明の第2の実施形態にかかるワイヤハーネス1Aは、第1の実施形態のワイヤハーネス1において、さらに、結束部材としてのテープ4を備えたものである。ワイヤハーネス1Aは、図5に示すように、複数の電線2(図示せず)と、蛍光テープ3と、テープ4とを備えている。
【0037】
テープ4は、周知のハーネステープであり、ポリ塩化ビニル等で構成されている。テープ4は、可視光下で暗色(図5に荒いドットで示す)を呈するものとされている。テープ4は、まとめられた複数の電線2に当該電線2の略全長に亘って巻き付けられて、これら電線2を束ねている。なお、テープ4を、結束バンド等にしてもよい。
【0038】
蛍光テープ3は、電線2に巻き付けられたテープ4の外表面4aに螺旋状に巻き付けられて、電線2の長手方向の一部に巻き付けられている。なお、図示例では、蛍光テープ3が一箇所に巻き付けられているが、互いに間隔をあけた複数箇所に巻き付けられていてもよく、電線2の全長に亘ってテープ4の外表面4aに巻き付けられていてもよい。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、蛍光テープ3が発光してワイヤハーネス1Aを容易に視認できる。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態にかかるワイヤハーネス1Bを、図6ないし図9を参照して説明する。なお、前述した実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
本発明の第3の実施形態にかかるワイヤハーネス1Bは、図6に示すように、複数の電線2と、発光部材としての蓄光テープ5とを備えている。
【0041】
蓄光テープ5は、図7に示すように、合成樹脂で構成された帯状の基材51と、基材51の一方の表面に設けられて電線2の被覆部と接着する接着層52と、基材51の他方の表面に設けられた発光層53とを備えている。基材51は、前記合成樹脂に暗色の着色剤を混入することで、暗色に着色されている。接着層52は、周知の接着剤(粘着剤)が塗布されて形成されている。
【0042】
発光層53は、周知の蓄光顔料を含有した塗料が塗布されて形成されている。発光層53は、可視光下では無色または淡色であり、可視光や紫外線等の光Lを照射すると蓄光して暗所で発光する。このため、蓄光テープ5は、可視光下では基材51の色である暗色(図6及び図8に細かいドットで示す)を呈し、光Lを照射されて蓄光した後には暗所で発光して前記暗色よりも明度の高い色(図9に白抜きで示す)を呈する。このような蓄光テープ5は、該当する市販品を用いることができる。
【0043】
前述した蓄光テープ5は、まとめられた複数の電線2に直接巻き付けられて、これら電線2を束ねている。蓄光テープ5は、複数の電線2に螺旋状に巻き付けられて、第1の実施形態の蛍光テープ3と同様に電線2の長手方向の一部に巻き付けられている。なお、図示例では、蓄光テープ5が一箇所に巻き付けられているが、互いに間隔をあけた複数箇所に巻き付けられていてもよい。
【0044】
前述したワイヤハーネス1Bをパネル6から取り外す際には、図8に示すように、予め解体対象の自動車を太陽光に晒したり電灯やブラックライト等で照らしたりする等してワイヤハーネス1Bに光Lを照射して、蓄光テープ5を蓄光させておく。そして、この自動車を前記工場内に運び入れる。
【0045】
すると、暗い工場内において、図9に示すように、蓄光テープ5が可視光下の暗色よりも明度の高い色に発光するので、作業者が重機7の運転席からワイヤハーネス1Bを容易に視認できる。その後、重機7を操作して、挟持部70で蓄光テープ5の巻き付けられた部分を挟んで、ワイヤハーネス1Bをパネル6から引き剥がす。こうして、ワイヤハーネス1Bをパネル6から取り外す。
【0046】
本実施形態によれば、予めワイヤハーネス1Bに光Lを照射しておくと暗所で蓄光テープ5が発光するので、ワイヤハーネス1Bを容易に視認できる。したがって、ワイヤハーネス1Bの取り外し作業をより短時間で効率よく行うことができ、また、ワイヤハーネス1Bの取り残しを減らしてリサイクル性を向上させることができる。また、蓄光テープ5を電線2の上から巻き付けるだけの簡単な作業で、上記効果を得ることができる。
【0047】
また、蓄光テープ5は、可視光下で暗色であり照射された光Lを蓄光して暗所で発光するので、通常時(自動車解体時以外)には目立たず、乗員に気付かれにくい。また、蓄光テープ5がテープ4を兼ねているので、部品点数が増えることがなく、ワイヤハーネス1Bの組立作業が煩雑になることがない。
【0048】
また、蓄光テープ5は、電線2の長手方向の前述した一部、即ちワイヤハーネス1Bを発光させたい部分に巻き付けられているので、蓄光テープ5の使用量を減らすことができ、コストを低減できる。なお、蓄光テープ5を、電線2の全長に亘って巻き付けてもよい。こうすることで、発光する部分が多くなり、ワイヤハーネス1Bを更に視認しやすくなる。
【0049】
次に、本発明の第4の実施形態にかかるワイヤハーネス1Cを、図10を参照して説明する。なお、前述した実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
本発明の第4の実施形態にかかるワイヤハーネス1Cは、第3の実施形態のワイヤハーネス1Bにおいて、更に、結束部材としてのテープ4を備えたものである。ワイヤハーネス1Cは、図10に示すように、複数の電線2(図示せず)と、蓄光テープ5と、テープ4とを備えている。
【0051】
蓄光テープ5は、電線2に巻き付けられたテープ4の外表面4aに螺旋状に巻き付けられて、電線2の長手方向の一部に巻き付けられている。なお、図示例では、蓄光テープ5が一箇所に巻き付けられているが、互いに間隔をあけた複数箇所に巻き付けられていてもよく、電線2の全長に亘ってテープ4の外表面4aに巻き付けられていてもよい。本実施形態においても、第3の実施形態と同様に、蓄光テープ5が発光してワイヤハーネス1Cを容易に視認できる。
【0052】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,1A,1B,1C ワイヤハーネス
2 電線
3 蛍光テープ(発光部材)
4 テープ(結束部材)
4a 外表面
5 蓄光テープ(発光部材)
6 パネル(被配索部)
L 光
UV 紫外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を備えたワイヤハーネスにおいて、
前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねるとともに、紫外線を照射すると発光する発光部材を備えたことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
複数の電線と、前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねる結束部材と、を備えたワイヤハーネスにおいて、
前記結束部材の外表面に巻き付けられ、紫外線を照射すると発光する発光部材を備えたことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項3】
複数の電線を備えたワイヤハーネスにおいて、
前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねるとともに、予め照射された光を蓄光して暗所で発光する発光部材を備えたことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項4】
複数の電線と、前記複数の電線に巻き付けられてこれら電線を束ねる結束部材と、を備えたワイヤハーネスにおいて、
前記結束部材の外表面に巻き付けられ、予め照射された光を蓄光して暗所で発光する発光部材を備えたことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項5】
前記発光部材が、前記電線の長手方向の少なくとも一部に巻き付けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載のワイヤハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−49087(P2011−49087A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198047(P2009−198047)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】