説明

ワイヤレス充電式の携帯電子装置及びそれに組み合せる充電装置

【課題】充電効率が高いワイヤレス充電式の携帯電子装置及びこのワイヤレス充電式の携帯電子装置に組み合せて使用でき、且つ携帯電子装置に対する電磁妨害が小さい充電装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係るワイヤレス充電式の携帯電子装置は、ハウジングと、該ハウジングの内部に装着された二つのワイヤレス充電モジュールと、を備えるワイヤレス充電式の携帯電子装置であり、各々のワイヤレス充電モジュールは、一つの磁気感応ブロック及び一つのコイルモジュールをそれぞれ備え、該コイルモジュールは一つの誘導コイルを備え、該誘導コイルは、ハウジングの外部において変化している磁場の作用下で、感応電流を発生し、各々の磁気感応ブロックの一端は、ハウジングの外部磁場に近付き、各々の磁気感応ブロックの他端は、一つの誘導コイルに対応して接続され、磁気感応ブロックは、ハウジングの外部において変化している磁場により磁化され、誘導コイルに加えられる磁場の強度を強める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子装置に関し、特にワイヤレス充電式の携帯電子装置及びそれに組み合せる充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤレス充電が可能な携帯電子装置は、通常その内部には誘導コイルが設けられており、該誘導コイルを介して外部磁場の変化に応じて、相応する感応電流を発生させて、携帯電子装置の電池に充電する。しかし、外部磁場が放射するエネルギーの一部分のみが、携帯電子装置内の誘導コイルと作用して、電気エネルギーに変換され、該誘導コイルに感応電流を発生させて、携帯電子装置の電池を充電する。これに対して、外部磁場が放射するエネルギーの大部分は、周囲に散在する、或いは周囲の電子部品等により吸収された後、熱エネルギーに変換される。以上のことから、従来のワイヤレス充電式の携帯電子装置の充電効率は低い。現在、この問題を解決するために、外部磁場から更に多くのエネルギーを受け取り、十分な電力に変換できるよう、携帯電子装置内の誘導コイルを長くする方法が採用されている。
【0003】
しかし、誘導コイルの長さの増加は、転送過程における電気エネルギーの損耗を増大さる問題を招き、充電効率を低下させる。また、従来のワイヤレス充電式の携帯電子装置は、殆んどそれに組み合せるワイヤレス充電装置が配置されていないため、充電電流を増大させるために、外部において変化している磁場の強度を増加させれば、該ワイヤレス充電式の携帯電子装置の内部の他の電子部品を妨害或いは磁化する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題点に鑑みて、本発明は、充電効率が高いワイヤレス充電式の携帯電子装置を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、上記のワイヤレス充電式の携帯電子装置に組み合せて使用でき、且つ該携帯電子装置に対する電磁妨害がより小さい充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係るワイヤレス充電式の携帯電子装置は、ハウジングと、該ハウジングの内部に装着された二つのワイヤレス充電モジュールと、を備え、各々のワイヤレス充電モジュールは、一つの磁気感応ブロック及び一つのコイルモジュールをそれぞれ備え、該コイルモジュールは一つの誘導コイルを備え、該誘導コイルは、ハウジングの外部において変化している磁場の作用下で、感応電流を発生し、各々の磁気感応ブロックの一端は、ハウジングの外部磁場に近付き、各々の磁気感応ブロックの他端は、一つの誘導コイルに対応して接続され、磁気感応ブロックは、ハウジングの外部において変化している磁場により磁化され、誘導コイルに加えられる磁場の強度を強める。
【0007】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るワイヤレス充電式の携帯電子装置に組み合せて使用する充電装置は、携帯電子装置を固定するための固定凹所が設けられた充電スタンドと、二つの充電コイルと、を備え、二つの充電コイルは、充電スタンドにおける固定凹所の対向する両側の内側にそれぞれ装着され、各々の充電コイルは、携帯電子装置の内部に設けられた二つのコイルモジュールの位置と各々対応し、且つ該コイルモジュールと互いに連接されている一つの磁気感応ブロックに近接して、二つのコイルモジュールに対して、変化している磁場を同時に提供する。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術とは異なり、本発明は、ワイヤレス充電式の携帯電子装置の内部に二つの相互に独立している誘導コイルを装着し、充電装置を介して、該二つの誘導コイルに対し、変化している磁場をそれぞれ提供して、二つの誘導コイルに同時に感応電流を発生させる。これにより、本発明のワイヤレス充電式の携帯電子装置は、単独の誘導コイルが発生する感応電流より更に大きく、また、リード線の長さが短いので転送中の損耗が小さくなり、充電効率が高い。しかも、充電装置により提供された変化する磁場(充電コイルが生じた磁場)は、二つの誘導コイルの位置で合わさり且つ該二つの誘導コイルに緊密に隣接するので、大きな磁場を提供する必要がなく、該携帯電子装置内の他の電子部品に対する電磁気妨害を減少させることができる。
【0009】
また、本発明は、ワイヤレス充電式の携帯電子装置の各々の誘導コイルと充電コイルとの間に一つの磁気感応ブロックをそれぞれ設けて、充電コイルの作用下で、該磁気感応ブロックを磁化させる。これにより、該充電コイルの誘導コイルに加える磁場エネルギーを増強させて、より大きな感応電流を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るワイヤレス充電式の携帯電子装置とそれに組み合わせる充電装置との組立図である。
【図2】図1に示すワイヤレス充電式の携帯電子装置とそれに組み合わせる充電装置との分解図である。
【図3】図1に示すワイヤレス充電式の携帯電子装置の中のワイヤレス充電モジュールの分解図である。
【図4】図1に示すA−A線に沿ったワイヤレス充電式の携帯電子装置と充電装置との断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係るワイヤレス充電式の携帯電子装置100は、一つの専用の充電装置200を介してワイヤレス充電を行い且つハウジング10と、二つのワイヤレス充電モジュール30と、回路基板50及び電池(図示せず)と、を備える。二つのワイヤレス充電モジュール30は、ハウジング10内に対称的に設けられ、ハウジング10の外部において変化している磁場の作用下で、感応電流を発生する。その後、この感応電流は、回路基板50内に設けられた充電回路に転送され、該回路基板50を介してハウジング10内の電池に充電される。
【0012】
ハウジング10は、基板11と、該基板11の周りを囲むように設けられた側壁12及び電池を収容するための収容凹所13と、を備える。基板11の内面における収容凹所13の近傍には、アンテナモジュール及びスピーカー(図示せず)等の部品が設けられている。二つのワイヤレス充電モジュール30は、基板11の内面における収容凹所13の一端から離れた箇所に設けられ、且つ側壁12の対向している両側の内面にそれぞれ当接される。回路基板50は、ハウジング10の開口を覆うように設けられ、且つ二つのワイヤレス充電モジュール30及び電池等の部品にそれぞれ電気的に接続される。
【0013】
本発明の実施形態に係る充電装置200は、略「凹」字状の充電スタンド201を備える。充電スタンド201は、略矩形のブロックであり、その中央部には、ワイヤレス充電式の携帯電子装置100の端部を固定するための固定凹所205が形成されている。充電スタンド201における固定凹所205の対向する両側の内側には、充電コイル203がそれぞれ装着されている。また、ワイヤレス充電式の携帯電子装置100が、充電装置200に部分的に固定された際、二つのワイヤレス充電モジュール30の位置は、対応する充電コイル203の位置にそれぞれ合わさる。この際、容易に二つのワイヤレス充電モジュール30の位置を対応する充電コイル203の位置にそれぞれ合わせるために、更に、ハウジング10の側壁12及び充電装置200の固定凹所205の側壁に、互いに組み合わさる位置決め部材をそれぞれ設けることが好ましい。
【0014】
二つのワイヤレス充電モジュール30の構造及び機能は同じであり、何れも一つの磁気感応ブロック31及び一つのコイルモジュール33を備える。磁気感応ブロック31の一端は、側壁12の内面に当止され、他端はコイルモジュール33に連接される。磁気感応ブロック31は、外部の磁場の変化を感応し、且つ自身の磁場を励起することによって、ハウジング10の外部の磁場(充電コイル203が通電した後に生じた磁場)が発する磁気誘導線を、磁気感応ブロック31の吸引作用の下、更に密集してコイルモジュール33を通り抜けさせ、コイルモジュール33上の磁場強度を増加させる。これにより、コイルモジュール33の感応電流を増大させることができる。
【0015】
好ましくは、磁気感応ブロック31の片側の側面を側壁12に対応して設置して、磁気感応ブロック31を側壁12に緊密に貼着させることによって、磁気感応ブロック31とハウジング10の外部磁場の距離を縮小させる。これにより、コイルモジュール33は、ハウジング10の外部の磁場強度の変化を更に敏感に感応させることができる。
【0016】
図3を併せて参照すると、二つのコイルモジュール33は、互いに間隔をあけて設けられる。各々のコイルモジュール33は、支持ブロック331及び誘導コイル333を備え、該誘導コイル333は、支持ブロック331上に巻きつけられ、且つ回路基板50に電気的に接続されて、ハウジング10の外部の磁場変化を感応した後、感応電流を発生する。本発明の実施形態において、コイルモジュール33は、二つの電気接続片335及び一つの保護カバー337をさらに備える。該保護カバー337は導電体であることができ、誘導コイル333の外周を取り囲むように設けられ、誘導コイル333が摩損して、短絡することを防止する。また、保護カバー337上における側壁12に近い一端には、二つの電気接続片335が互いに間隔をあけてそれぞれ設置され、且つ誘導コイル333の相対する両端にそれぞれ電気的に接続される。これにより、誘導コイル333は、回路基板50に電気的に接続され、誘導コイル333が発生する電流は、電気接続片335及び回路基板50内の充電回路を介して携帯電子装置の電池に充電する。
【0017】
上記の実施形態において、二つの充電コイル203の電流方向は、同じか、或いは同じでなくても良い。また、各々の保護カバー337上の電気接続片335の回路基板50に対する接続方法を調整することによって、二つの誘導コイル333が発生する電流を正確な方向に携帯電子装置の電池内に流れ込んで充電させることができる。また、二つの充電コイル203は、二段のリード線をそれぞれ巻き取ってなる相互に独立した二つのコイルであっても良い。または、同一のリード線を巻き取ってなる相互に直列接続している二つのコイルであっても良い。
【0018】
また、二つの充電コイル203内の電流は、直流電流或は交流電流であることもできる。充電コイル203の電流が直流電流である場合、該充電コイル203を流れる電流の大小を変えることによって、充電コイル203が発する磁場を変化させることができる。充電コイル203の電流が交流電流である場合、交流電流の変化を通して、充電コイル203が発する磁場を変化させることができる。
【0019】
充電装置200を使用して、ワイヤレス充電式の携帯電子装置100に充電する際、先ず、ワイヤレス充電式の携帯電子装置100を充電スタンド201に固定する。この際、ハウジング10の基板11の一端を充電スタンド201の固定凹所205の底面に当接させ、誘導コイル333及び磁気感応ブロック31の位置を隣接の充電コイル203の位置に合わせる。次に、充電装置200内の充電コイル203に対して、変化している電流を供給する。例えば、充電装置200を、電流の大小を変化させることができる直流電源或いは交流電源に挿入接続する。この際、各々の充電コイル203は、変化する磁場を作り、充電コイル203に隣接する磁気感応ブロック31は磁化され且つ該充電コイル203が発生した磁場の変化に伴って変化するので、充電コイル203が通電した後に発生する磁場が発する磁気誘導線は、磁気感応ブロック31の吸引作用の下、更に密集してコイルモジュール33を通り抜け、誘導コイル333に加える磁場の強度を強める。これにより、誘導コイル333は、更に多くの磁場エネルギーを吸収して、大きな感応電流を発生し、該磁場の他の電子部品に対する影響及び消耗される磁場エネルギーを減少させることができる。最後に、二つの誘導コイル333が発生する感応電流が、電気接続片335及び回路基板50の給電回路を経て、携帯電子装置の電池に流入して、該電池に充電する。
【0020】
上記の実施形態によれば、本発明は、ワイヤレス充電式の携帯電子装置100の内部に二つの相互に独立している誘導コイル333を装着し、充電装置200を介して、該二つの誘導コイル333に対し、変化している磁場をそれぞれ提供して、二つの誘導コイル333に同時に感応電流を発生させる。これにより、本発明のワイヤレス充電式の携帯電子装置100は、単独の誘導コイルが発生する感応電流より更に大きく、また、リード線の長さが短いので転送中の損耗が小さくなり、充電効率が高い。しかも、充電装置200により提供された変化する磁場(充電コイル203が生じた磁場)は、二つの誘導コイル333の位置に合わさり且つ該二つの誘導コイル333に緊密に隣接するので、大きな磁場を提供する必要がなく、該携帯電子装置内の他の電子部品に対する電磁気妨害を減少させることができる。
【0021】
また、本発明は、ワイヤレス充電式の携帯電子装置100の各々の誘導コイル333と充電コイル203との間に一つの磁気感応ブロック31をそれぞれ設けて、充電コイル203の作用下で、該磁気感応ブロック31を磁化させる。これにより、該充電コイル203の誘導コイル333に加える磁場エネルギーを増強させて、より大きな感応電流を発生させることができる。
【0022】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形、又は修正が可能であり、該変形、又は修正も本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0023】
10 ハウジング
11 基板
12 側壁
13 収容凹所
30 ワイヤレス充電モジュール
31 磁気感応ブロック
33 コイルモジュール
50 回路基板
100 ワイヤレス充電式の携帯電子装置
200 充電装置
201 充電スタンド
203 充電コイル
205 固定凹所
331 支持ブロック
333 誘電コイル
335 電気接続片
337 保護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、該ハウジングの内部に装着された二つのワイヤレス充電モジュールと、を備えるワイヤレス充電式の携帯電子装置であって、
各々のワイヤレス充電モジュールは、一つの磁気感応ブロック及び一つのコイルモジュールをそれぞれ備え、該コイルモジュールは一つの誘導コイルを備え、該誘導コイルは、ハウジングの外部において変化している磁場の作用下で、感応電流を発生し、
各々の磁気感応ブロックの一端は、ハウジングの外部磁場に近付き、各々の磁気感応ブロックの他端は、一つの誘導コイルに対応して接続され、磁気感応ブロックは、ハウジングの外部において変化している磁場により磁化され、誘導コイルに加えられる磁場の強度を強めることを特徴とするワイヤレス充電式の携帯電子装置。
【請求項2】
各々のコイルモジュールは、支持ブロック及び保護カバーをさらに備え、前記誘導コイルは、前記支持ブロック上に巻きつけられ、前記保護カバーは、前記誘導コイルの外周を取り囲むように設けられることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス充電式の携帯電子装置。
【請求項3】
電池及び回路基板をさらに備え、二つの前記誘導コイル及び前記電池は、共に前記回路基板に電気的に接続され、前記誘導コイルが発生する電流は、前記回路基板に設けられた充電回路を介して、前記電池に充電することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤレス充電式の携帯電子装置。
【請求項4】
各々のコイルモジュールは、二つの電気接続片をさらに備え、該二つの電気接続片は、相対する前記誘導コイルの両端にそれぞれ接続され、該誘導コイルは、二つの前記電気接続片を介して、前記回路基板に電気的に接続されることを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス充電式の携帯電子装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載のワイヤレス充電式の携帯電子装置に組み合せて使用される充電装置であって、
当該充電装置は、携帯電子装置を固定するための固定凹所が設けられた充電スタンドと、二つの充電コイルと、を備え、二つの前記充電コイルは、充電スタンドにおける固定凹所の対向する両側の内側にそれぞれ装着され、各々の充電コイルは、携帯電子装置の内部に設けられた二つのコイルモジュールの位置と各々対応し、且つ該コイルモジュールと互いに連接されている一つの磁気感応ブロックに近接して、二つのコイルモジュールに変化している磁場を同時に提供することを特徴とする充電装置。
【請求項6】
二つの前記コイルモジュール内に設けられている誘導コイルは、互いに独立して設けられるか又は互いに直列接続していることを特徴とする請求項5に記載の充電装置。
【請求項7】
二つの充電コイル内の電流は、方向が同じか又は同じでなくても良く、また、交流電流或いは大小が変更可能な直流電流であることを特徴とする請求項6に記載の充電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110954(P2013−110954A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−247974(P2012−247974)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【出願人】(505177003)深▲セン▼富泰宏精密工業有限公司 (138)
【出願人】(508155310)富士康(香港)有限公司 (185)
【Fターム(参考)】