ワイヤロープおよびコントロールケーブル
【課題】水分により腐食しにくく、かつ所望の曲げ剛性を確保しやすいワイヤロープおよびコントロールケーブルを提供することを課題とする。
【解決手段】ワイヤロープ3は、複数本の素線300、301a、302a、302bが撚り合わされてなる芯ストランド30と、複数本の素線310、311aが撚り合わされてなると共に、芯ストランド30の周囲に撚り合わされる複数本の側ストランド31と、を有する複撚り構造を呈している。芯ストランド30および側ストランド31は、共にSUS製である。ワイヤロープ3は、さらに、側ストランド31の外周面を覆う樹脂製の被覆層32を有する。
【解決手段】ワイヤロープ3は、複数本の素線300、301a、302a、302bが撚り合わされてなる芯ストランド30と、複数本の素線310、311aが撚り合わされてなると共に、芯ストランド30の周囲に撚り合わされる複数本の側ストランド31と、を有する複撚り構造を呈している。芯ストランド30および側ストランド31は、共にSUS製である。ワイヤロープ3は、さらに、側ストランド31の外周面を覆う樹脂製の被覆層32を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤロープおよびそれをインナケーブルとして用いたコントロールケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウインドレギュレータ用として用いられるワイヤロープが開示されている。同文献記載のワイヤロープの芯ストランドおよび側ストランドは、各々、複数本の素線が撚り合わされることにより、形成されている。また、複数本の側ストランドは、芯ストランドの周囲に撚り合わされている。すなわち、同文献記載のワイヤロープは、複撚り構造を有している。
【特許文献1】特開2002−105878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ウインドレギュレータ用として用いられるワイヤロープの素線は、一般に炭素鋼製である。このため、水分により腐食するおそれがある。腐食を抑制するためには、素線をSUS(ステンレス鋼)製にすればよい。しかしながら、素線をSUS製にすると、ワイヤロープの曲げ剛性が低下してしまう。
【0004】
本発明のワイヤロープおよびコントロールケーブルは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、水分により腐食しにくく、かつ所望の曲げ剛性を確保しやすいワイヤロープおよびコントロールケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するため、本発明のワイヤロープは、複数本の素線が撚り合わされてなる芯ストランドと、複数本の素線が撚り合わされてなると共に、該芯ストランドの周囲に撚り合わされる複数本の側ストランドと、を有する複撚り構造のワイヤロープであって、前記芯ストランドおよび前記側ストランドは、共にSUS製であって、さらに、該側ストランドの外周面を覆う樹脂製の被覆層を有することを特徴とする(請求項1に対応)。
【0006】
本発明のワイヤロープは、被覆層を備えている。このため、被覆層内部の芯ストランドおよび側ストランドが、被覆層外部からの水分により、腐食するのを抑制することができる。また、芯ストランドおよび側ストランドは、共にSUS製である。このため、仮に被覆層が破損し、被覆層の内部に水分が侵入しても、芯ストランドおよび側ストランドが腐食するのを抑制することができる。
【0007】
また、ワイヤロープに被覆層を配置すると、ワイヤロープの曲げ剛性を向上させることができる。このため、芯ストランドおよび側ストランドをSUS製にしたことによる曲げ剛性の低下分と、被覆層を配置したことによる曲げ剛性の上昇分と、により、ワイヤロープの曲げ剛性を調整することができる。例えば、芯ストランドおよび側ストランドをSUS製にしたことによる曲げ剛性の低下分を、被覆層を配置したことによる曲げ剛性の上昇分により、填補することができる。
【0008】
また、本発明のワイヤロープは被覆層を有しているため、被覆層を有しないワイヤロープと比較して、荷重負荷−除荷時における残留たわみが、大きくなりやすい。このため、一旦配索経路の形状に沿わせて配索したワイヤロープが、配索前の形状に復元しにくい。したがって、配索経路に湾曲部が多い場合、ワイヤロープを、配索経路の形状に沿わせて配索しやすい。すなわち、本発明のワイヤロープによると、配索経路の自由度が高くなる。また、配索作業が容易になる。
【0009】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、該被覆層の肉厚は、略一定である構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0010】
本構成によると、側ストランドの外周形状が、被覆層の外周形状として発現する。すなわち、被覆層の外周面に、側ストランドの外周形状と同様の凹凸形状が発現する。このため、被覆層と隣接部材(例えばコントロールケーブルのアウタケーシングなど)との間の摺動面積を小さくすることができる。
【0011】
(3)好ましくは、上記(1)の構成において、前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、該被覆層の外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0012】
本構成によると、隣接部材の内周面の径方向断面形状が略真円形であり、かつ隣接部材の径方向内側に本発明のワイヤロープが挿通されている場合において、被覆層外周面と隣接部材内周面との間の摺動面積を大きくすることができる。このため、局所的に大きな摩擦力が加わるのを抑制することができる。したがって、被覆層あるいは隣接部材が摩耗するのを抑制することができる。
【0013】
(4)好ましくは、上記(1)の構成において、前記被覆層の内周面および外周面の径方向断面形状は、共に略真円形を呈している構成とする方がよい(請求項4に対応)。本構成によると、側ストランドと被覆層との間に隙間が介在している。言い換えると、ワイヤロープの径方向断面において、側ストランドの外接円と被覆層の内周面とが、線接触している。このため、隙間が介在していない場合と比較して、ワイヤロープの曲げ剛性を低くすることができる。したがって、配索経路に湾曲部が多い場合であっても、ワイヤロープを、比較的小さな力で配索することができる。
【0014】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、荷重負荷−除荷時の残留たわみ率が、1.0%以上20%以下である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0015】
荷重負荷−除荷の試験方法、残留たわみ率の算出方法については後述する。ここで、残留たわみ率を1.0%以上としたのは、1.0%未満の場合、ワイヤロープを配索経路の形状に沿わせて配索しても、ワイヤロープが配索前の形状に復元しやすくなるからである。すなわち、ワイヤロープを配索しにくくなるからである。
【0016】
一方、残留たわみ率を20%以下としたのは、20%超過の場合、ワイヤロープの配索は容易になるものの、所望の曲げ剛性を確保するのが困難になるからである。
【0017】
(6)また、上記課題を解決するため、本発明のコントロールケーブルは、上記(1)ないし(5)のいずれかのワイヤロープからなるインナケーブルと、該インナケーブルが往復動可能に挿通される筒状のアウタケーシングと、を備えてなることを特徴とする(請求項6に対応)。
【0018】
本発明のコントロールケーブルによると、配索経路に湾曲部が多い場合であっても、インナケーブルを、配索経路の形状に沿わせて配索しやすい。また、一旦配索したインナケーブルが、配索前の形状に復元しにくい。このため、特に湾曲部において、インナケーブルとアウタケーシングとの摺接力が小さくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、水分により腐食しにくく、かつ所望の曲げ剛性を確保しやすいワイヤロープおよびコントロールケーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明のコントロールケーブルの実施の形態について説明する。なお、本発明のワイヤロープ(インナケーブル)の実施の形態についても併せて説明する。
【0021】
<第一実施形態>
[コントロールケーブルの構成]
図1に、本実施形態のコントロールケーブルの斜視図を示す。図1に示すように、本実施形態のコントロールケーブル1は、アウタケーシング2とインナケーブル3とを備えている。
【0022】
アウタケーシング2は、ライナー20と、遮蔽層21と、被覆層22と、からなる三層構造を呈している。ライナー20は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)製であって、円筒チューブ状を呈している。ライナー20は、アウタケーシング2の最内周層を構成している。ライナー20の内周面および外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。遮蔽層21は、多数の硬鋼線からなる。遮蔽層21は、ライナー20の径方向外側に配置されている。多数の硬鋼線は、ライナー20の外周面に巻装されている。被覆層22は、PP(ポリプロピレン)製であって、円筒チューブ状を呈している。被覆層22は、遮蔽層21の径方向外側に配置されている。
【0023】
インナケーブル3は、アウタケーシング2の径方向内側に、軸方向に往復動可能に挿通されている。インナケーブル3は、芯ストランド30と、合計八本の側ストランド31と、被覆層32と、を備えている。図2に、図1のII−II方向断面図(径方向断面図)を示す。なお、説明の便宜上、ライナー20も併せて点線で示す。
【0024】
芯ストランド30は、図2中に矢印A1、A2で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に二層に撚り合わされている。側ストランド31は、図2中に矢印A4で示すように、図1の軸方向一端側から見て、時計回り方向に撚り合わされている。側ストランド31は、図2中に矢印A3で示すように、芯ストランド30に対して、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に撚り合わされている。以下、インナケーブル3の構成について、詳しく説明する。
【0025】
芯ストランド30は、芯線300と、内層側線群301と、外層側線群302と、を備えている。芯線300は、SUS製である。芯線300は、本発明の素線に含まれる。芯線300の径方向断面形状は、略真円形を呈している。芯線300は、インナケーブル3の径方向略中央に配置されている。芯線300は、コントロールケーブル1の軸方向に延在している。
【0026】
内層側線群301は、合計六本の内層側線301aからなる。内層側線301aは、SUS製である。内層側線301aは、本発明の素線に含まれる。内層側線301aの径方向断面形状は、略真円形を呈している。内層側線301aは、芯線300の径方向外側に配置されている。内層側線301aは、芯線300の外周面に、図2中に矢印A1で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に巻装されている。
【0027】
外層側線群302は、合計六本の大径側線302aと、合計六本の小径側線302bと、からなる。外層側線群302は、内層側線群301の径方向外側に配置されている。大径側線302aは、SUS製である。大径側線302aは、本発明の素線に含まれる。大径側線302aの径方向断面形状は、略真円形を呈している。小径側線302bは、SUS製である。小径側線302bは、本発明の素線に含まれる。小径側線302bの径方向断面形状は、略真円形を呈している。大径側線302a、小径側線302bは、内層側線群301の外周面に、図2中に矢印A2で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に巻装されている。
【0028】
八本の側ストランド31は、芯ストランド30の径方向外側に配置されている。側ストランド31は、芯ストランド30の外層側線群302の外周面に、図2中に矢印A3で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に巻装されている。
【0029】
側ストランド31は、芯線310と、側線群311と、を備えている。芯線310は、SUS製である。芯線310は、本発明の素線に含まれる。芯線310の径方向断面形状は、略真円形を呈している。側線群311は、合計六本の側線311aからなる。側線311aは、SUS製である。側線311aは、本発明の素線に含まれる。側線311aの径方向断面形状は、略真円形を呈している。側線311aは、芯線310の径方向外側に配置されている。側線311aは、芯線310の外周面に、図2中に矢印A4で示すように、図1の軸方向一端側から見て、時計回り方向に巻装されている。
【0030】
被覆層32は、PA(ポリアミド)製であって、円筒チューブ状を呈している。被覆層32は、八本の側ストランド31の径方向外側に配置されている。被覆層32の内周面は、八本の側ストランド31に密着している。被覆層32の外周面には、径方向内側に収容された八本の側ストランド31により、八本の螺旋状のリブ320が形成されている。前述したように、ライナー20の内周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。このため、アウタケーシング2に対してインナケーブル3を押し引きする際は、被覆層32の外周面全面ではなく、リブ320の頂部のみが、ライナー20の内周面に相対的に摺接する。
【0031】
[インナケーブルの寸法]
次に、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3の寸法について説明する。芯ストランド30の外接円の直径D1は、0.75mmである。芯線300の直径は、0.17mmである。内層側線301aの直径は、0.16mmである。大径側線302aの直径は、0.17mmである。小径側線302bの直径は、0.13mmである。被覆層32内周面の外接円の直径D2は、1.61mmである。芯線310の直径は、0.15mmである。側線311aの直径は、0.14mmである。被覆層32外周面の外接円の直径D3は、1.8mmである。つまり、被覆層32の肉厚は、0.095mm(=(1.8−1.61)/2)である。ただし、撚り加工が施されることにより、インナケーブル3には「撚り細り」が発生する。このため、直径D2は、1.5mmに減少する。したがって、被覆層32の肉厚は、0.15mm(=(1.8−1.5)/2)となる。
【0032】
[作用効果]
次に、本実施形態のコントロールケーブル1の作用効果について説明する。本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3は、PA製の被覆層32を備えている。このため、被覆層32内部の芯ストランド30および側ストランド31が、被覆層32外部からの水分により、腐食するのを抑制することができる。また、芯ストランド30および側ストランド31は、共にSUS製である。このため、仮に被覆層32が破損し、被覆層32の内部に水分が侵入しても、芯ストランド30および側ストランド31が腐食するのを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3は、PA製の被覆層32を備えている。このため、芯ストランド30および側ストランド31をSUS製にしたことによる曲げ剛性の低下分を填補するのみならず、曲げ剛性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3は、PA製の被覆層32を備えている。このため、被覆層32を有しないインナケーブル3と比較して、荷重負荷−除荷時における残留たわみが、大きくなりやすい。したがって、コントロールケーブル1の配索経路に湾曲部が多い場合、インナケーブル3つまりコントロールケーブル1を、配索経路の形状に沿わせて配索しやすい。このように、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3によると、コントロールケーブル1の配索経路の自由度が高くなる。また、配索作業が容易になる。
【0035】
また、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3によると、側ストランド31の外周形状が、被覆層の外周形状に、リブ320として発現する。被覆層32においては、リブ320の頂部のみが、ライナー20の内周面に摺接する。このため、被覆層32とライナー20との間の摺動面積を小さくすることができる。
【0036】
コントロールケーブル1の配索経路のうち、インナケーブル3とアウタケーシング2との摺動抵抗が大きくなるのは、湾曲部である。この点、本実施形態のインナケーブル3によると、被覆層32とライナー20との間の摺動面積を小さくすることができる。したがって、湾曲部における摺動抵抗を小さくすることができる。逆に言えば、本実施形態のインナケーブル3は、配索経路に湾曲部が多いコントロールケーブル1や、曲率半径が小さい湾曲部を持つコントロールケーブル1に用いるのに好適である。
【0037】
<第二実施形態>
本実施形態のコントロールケーブルと第一実施形態のコントロールケーブルとの相違点は、被覆層の外周面の形状のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0038】
図3に、本実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。図3に示すように、被覆層32の外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。すなわち、被覆層32の外周面には、側ストランド31の外周面の形状が、発現していない(前出図2のリブ320参照)。
【0039】
芯ストランド30の外接円の直径D1は、0.8mmである。芯線300の直径は、0.18mmである。内層側線301aの直径は、0.17mmである。大径側線302aの直径は、0.18mmである。小径側線302bの直径は、0.14mmである。被覆層32内周面の外接円の直径D2は、1.66mmである。芯線310の直径は、0.15mmである。側線311aの直径は、0.14mmである。被覆層32外周面の直径D3は、1.8mmである。ただし、撚り加工が施されることにより、インナケーブル3には「撚り細り」が発生する。このため、直径D2は、1.5mmに減少する。したがって、被覆層32の肉厚は、0.15mmとなる。
【0040】
本実施形態のコントロールケーブルは、第一実施形態のコントロールケーブルと、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のコントロールケーブルによると、被覆層32の外周面およびライナー20の内周面の径方向断面形状が、共に略真円形を呈している。このため、両面間の摺動面積を大きくすることができる。したがって、両面間に局所的に大きな摩擦力が加わるのを抑制することができる。
【0041】
<第三実施形態>
本実施形態のコントロールケーブルと第一実施形態のコントロールケーブルとの相違点は、被覆層の形状のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0042】
図4に、本実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。図4に示すように、被覆層32の外周面および内周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。
【0043】
本実施形態のコントロールケーブルは、第一実施形態のコントロールケーブルと、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のコントロールケーブルのインナケーブル3によると、側ストランド31と被覆層32との間に隙間が介在している。言い換えると、インナケーブル3の径方向断面において、側ストランド31の外接円と被覆層32の内周面とが、線接触している。具体的には、任意の一つの側ストランド31の側線群311を構成する側線311aのうち、いずれか一本の側線311aのみが、被覆層32の内周面に、線接触している。このため、隙間が介在していない場合と比較して、曲げ剛性を低くすることができる。したがって、コントロールケーブルの配索経路に湾曲部が多い場合であっても、インナケーブル3つまりコントロールケーブルを、比較的小さな力で配索することができる。
【0044】
<第四実施形態>
本実施形態のコントロールケーブルと第一実施形態のコントロールケーブルとの相違点は、遮蔽層の形状のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0045】
図5に、本実施形態のコントロールケーブルの斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については同じ符号で示す。図5に示すように、遮蔽層21は、硬鋼線からなる。硬鋼線の短手方向断面形状は、略矩形状を呈している。遮蔽層21は、ライナー20の径方向外側に配置されている。硬鋼線は、ライナー20の外周面に螺旋状に巻装されている。
【0046】
本実施形態のコントロールケーブルは、第一実施形態のコントロールケーブルと、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のコントロールケーブル1によると、遮蔽層21を構成する硬鋼線の短手方向断面形状が、略矩形状を呈している。このため、第一実施形態のコントロールケーブルと比較して、曲げ剛性が低い。また、軸方向の圧縮剛性が高温雰囲気になっても変化しにくい。
【0047】
<その他>
以上、本発明のコントロールケーブルの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0048】
例えば、芯ストランド30の側線群の層数や各層を構成する側線の径の種類などは、特に限定しない。径の種類が三種類以上の側線群を用いてもよい。また、側線群の層数を三層以上としてもよい。また、芯ストランド30の撚り構成と、側ストランド31の撚り構成とを、同一としてもよい。また、ライナー20の内周面の径方向断面形状も特に限定しない。略真円形の他、略正十二角形、略正三角形、略正方形、略正六角形としてもよい。
【0049】
また、被覆層32の材質も特に限定しない。PAの他、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、POM(ポリアセタール)、TPE(ポリエステルエラストマ)、フッ素樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)など)を用いてもよい。
【0050】
また、コントロールケーブル1の用途も特に限定しない。車両のトランスミッション操作用、車両ドアの開閉操作用、車両ドアの開閉ロック操作用などに用いてもよい。また、インナケーブル3の用途も特に限定しない。アウタケーシング2とは別に、インナケーブル3だけを、ワイヤロープとして、アクティブヘッドレスト装置の駆動用として用いてもよい。具体的には、シートバックに内蔵された受圧板と、ヘッドレストと、を接続するワイヤロープとして用いてもよい。また、インナケーブル3を、ウインドレギュレータ用として用いてもよい。
【実施例】
【0051】
以下、上記第一〜第三実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3について行った、試験について説明する。以下、第一実施形態のインナケーブル3(前出図2参照)を実施例1、第二実施形態のインナケーブル3(前出図3参照)を実施例2、第三実施形態のインナケーブル3(前出図4参照)を実施例3と称する。
【0052】
<試験1>
試験1は、摩擦試験である。試験方法は、JIS K 7125(1999年)「プラスチック−フィルム及びシート 摩擦係数試験方法」に準拠して行う。図6に、摩擦試験方法を模式図で示す。図6に示すように、摩擦試験機90は、テーブル900と錘901とを備えている。テーブル900は矩形板状を呈している。テーブル900の上面には、相手側部材902が固定されている。相手側部材902は、PBT製であって、矩形薄板状を呈している。錘901は、直方体ブロック状を呈している。錘901は、相手側部材902の上方に配置されている。相手側部材902上面と錘901下面との間には、サンプルS(実施例1〜3)が介挿されている。
【0053】
摩擦係数の測定は、サンプルSに錘901を載せた状態でテーブル900を水平方向に往復動させ、サンプルSと相手側部材902とを相対的に摺動させることにより行う。錘901の重さは、500gである。また、錘901の試験速度は、100mm/minである。
【0054】
図7に、摩擦試験結果をグラフで示す。図7に示すように、実施例1の摩擦係数は、0.18である。また、実施例2の摩擦係数は0.23である。また、実施例3の摩擦係数は0.21である。試験結果から、前出図2に示すようにリブ320を有する実施例1の摩擦係数が、最も低くなることが判る。
【0055】
<試験2>
試験2は、摩耗試験である。試験方法は、JIS K 7204(1999年)に準拠して行う。図8に、摩耗試験方法を模式図で示す。図8に示すように、摩耗試験機91は、テーブル910と一対の摩耗輪911とを備えている。テーブル910は円板状を呈している。テーブル910の上面には、サンプルSが固定されている。一対の摩耗輪911は、サンプルSの上面に、転動可能に載置されている。摩耗輪911の外周面には、研磨紙911aが固定されている。
【0056】
摩耗損失量の測定は、一対の摩耗輪911から下向きに荷重を加えながら、テーブル910を回転させることにより行う。摩耗輪911からサンプルSに加える荷重は、9.8Nである。テーブル910の回転数は、72rpmである。研磨紙911aの研磨粒子の粒径は、125〜149μmである(♯150)。
【0057】
図9に、摩耗試験結果をグラフで示す。図9に示すように、実施例1の摩耗損失量は、2mgである。また、実施例2の摩耗損失量は1.7mgである。また、実施例3の摩耗損失量は2.4mgである。試験結果から、前出図3に示すように内周面が側ストランド31に密着し、外周面の径方向断面形状が略真円形の被覆層32を持つ実施例2の摩耗損失量が、最も小さくなることが判る。
【0058】
<試験3>
試験3は、荷重負荷−除荷試験である。図10に、荷重負荷−除荷試験方法を模式図で示す。図10に示すように、試験は、壁部92から水平に片持ち梁状に突設したサンプルSの自由端に、上方から荷重Fを負荷することにより行う。図10中、荷重F負荷前のサンプルSを細線で、荷重F負荷時のサンプルSを太線で、それぞれ示す。サンプルSの軸方向長さLは、50mmである。サンプルSに加える荷重Fは、約0.3Nである。
【0059】
図11に、荷重負荷−除荷試験結果をグラフで示す。なお、比較例は、実施例1から被覆層32(前出図1参照)を除去したものである。並びに、比較例は、実施例1の芯ストランド30および側ストランド31(前出図1参照)を、SUS製ではなく炭素鋼製としたものである。
【0060】
図11中、最大たわみδmaxとは、たわみの最大値(=20mm)をいう。最大荷重Fmaxとは、最大たわみδmax時の荷重(ただし荷重負荷行程完了直後の荷重)をいう(図11に例示するのは、実施例2の最大荷重)。残留たわみΔδとは、荷重Fを除荷した後のたわみをいう(図11に例示するのは、実施例2の残留たわみ)。
【0061】
曲げ剛性(=Fmax/δmax)について見ると、実施例1〜3は、比較例よりも、曲げ剛性が高いことが判る。実施例1〜3を比較すると、実施例2の曲げ剛性が最も高く、次いで実施例1の曲げ剛性が高く、実施例3の曲げ剛性が最も低いことが判る。また、実施例3の曲げ剛性と、比較例の曲げ剛性とを比較すると、ほぼ同等ながら、若干だけ実施例3の方が曲げ剛性が高いことが判る。
【0062】
残留たわみ率(=(Δδ/δmax)×100(%))について見ると、実施例1〜3は、比較例よりも、残留たわみ率が大きいことが判る(比較例の残留たわみ率は0%である)。実施例1〜3を比較すると、実施例2の残留たわみ率が10%と最も大きく、次いで実施例1の残留たわみ率が5%と大きく、実施例3の残留たわみ率が2.5%と最も小さいことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第一実施形態のコントロールケーブルの斜視図である。
【図2】図1のII−II方向断面図である。
【図3】第二実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図である。
【図4】第三実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図である。
【図5】第四実施形態のコントロールケーブルの斜視図である。
【図6】摩擦試験方法を示す模式図である。
【図7】摩擦試験結果を示すグラフである。
【図8】摩耗試験方法を示す模式図である。
【図9】摩耗試験結果を示すグラフである。
【図10】荷重負荷−除荷試験方法を示す模式図である。
【図11】荷重負荷−除荷試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0064】
1:コントロールケーブル。
2:アウタケーシング、20:ライナー、21:遮蔽層、22:被覆層。
3:インナケーブル、30:芯ストランド、300:芯線(素線)、301:内層側線群、301a:内層側線(素線)、302:外層側線群、302a:大径側線(素線)、302b:小径側線(素線)、31:側ストランド、310:芯線(素線)、311:側線群、311a:側線(素線)、32:被覆層、320:リブ。
90:摩擦試験機、900:テーブル、901:錘、902:相手側部材、91:摩耗試験機、910:テーブル、911:摩耗輪、911a:研磨紙、92:壁部。
S:サンプル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤロープおよびそれをインナケーブルとして用いたコントロールケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウインドレギュレータ用として用いられるワイヤロープが開示されている。同文献記載のワイヤロープの芯ストランドおよび側ストランドは、各々、複数本の素線が撚り合わされることにより、形成されている。また、複数本の側ストランドは、芯ストランドの周囲に撚り合わされている。すなわち、同文献記載のワイヤロープは、複撚り構造を有している。
【特許文献1】特開2002−105878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ウインドレギュレータ用として用いられるワイヤロープの素線は、一般に炭素鋼製である。このため、水分により腐食するおそれがある。腐食を抑制するためには、素線をSUS(ステンレス鋼)製にすればよい。しかしながら、素線をSUS製にすると、ワイヤロープの曲げ剛性が低下してしまう。
【0004】
本発明のワイヤロープおよびコントロールケーブルは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、水分により腐食しにくく、かつ所望の曲げ剛性を確保しやすいワイヤロープおよびコントロールケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するため、本発明のワイヤロープは、複数本の素線が撚り合わされてなる芯ストランドと、複数本の素線が撚り合わされてなると共に、該芯ストランドの周囲に撚り合わされる複数本の側ストランドと、を有する複撚り構造のワイヤロープであって、前記芯ストランドおよび前記側ストランドは、共にSUS製であって、さらに、該側ストランドの外周面を覆う樹脂製の被覆層を有することを特徴とする(請求項1に対応)。
【0006】
本発明のワイヤロープは、被覆層を備えている。このため、被覆層内部の芯ストランドおよび側ストランドが、被覆層外部からの水分により、腐食するのを抑制することができる。また、芯ストランドおよび側ストランドは、共にSUS製である。このため、仮に被覆層が破損し、被覆層の内部に水分が侵入しても、芯ストランドおよび側ストランドが腐食するのを抑制することができる。
【0007】
また、ワイヤロープに被覆層を配置すると、ワイヤロープの曲げ剛性を向上させることができる。このため、芯ストランドおよび側ストランドをSUS製にしたことによる曲げ剛性の低下分と、被覆層を配置したことによる曲げ剛性の上昇分と、により、ワイヤロープの曲げ剛性を調整することができる。例えば、芯ストランドおよび側ストランドをSUS製にしたことによる曲げ剛性の低下分を、被覆層を配置したことによる曲げ剛性の上昇分により、填補することができる。
【0008】
また、本発明のワイヤロープは被覆層を有しているため、被覆層を有しないワイヤロープと比較して、荷重負荷−除荷時における残留たわみが、大きくなりやすい。このため、一旦配索経路の形状に沿わせて配索したワイヤロープが、配索前の形状に復元しにくい。したがって、配索経路に湾曲部が多い場合、ワイヤロープを、配索経路の形状に沿わせて配索しやすい。すなわち、本発明のワイヤロープによると、配索経路の自由度が高くなる。また、配索作業が容易になる。
【0009】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、該被覆層の肉厚は、略一定である構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0010】
本構成によると、側ストランドの外周形状が、被覆層の外周形状として発現する。すなわち、被覆層の外周面に、側ストランドの外周形状と同様の凹凸形状が発現する。このため、被覆層と隣接部材(例えばコントロールケーブルのアウタケーシングなど)との間の摺動面積を小さくすることができる。
【0011】
(3)好ましくは、上記(1)の構成において、前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、該被覆層の外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0012】
本構成によると、隣接部材の内周面の径方向断面形状が略真円形であり、かつ隣接部材の径方向内側に本発明のワイヤロープが挿通されている場合において、被覆層外周面と隣接部材内周面との間の摺動面積を大きくすることができる。このため、局所的に大きな摩擦力が加わるのを抑制することができる。したがって、被覆層あるいは隣接部材が摩耗するのを抑制することができる。
【0013】
(4)好ましくは、上記(1)の構成において、前記被覆層の内周面および外周面の径方向断面形状は、共に略真円形を呈している構成とする方がよい(請求項4に対応)。本構成によると、側ストランドと被覆層との間に隙間が介在している。言い換えると、ワイヤロープの径方向断面において、側ストランドの外接円と被覆層の内周面とが、線接触している。このため、隙間が介在していない場合と比較して、ワイヤロープの曲げ剛性を低くすることができる。したがって、配索経路に湾曲部が多い場合であっても、ワイヤロープを、比較的小さな力で配索することができる。
【0014】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、荷重負荷−除荷時の残留たわみ率が、1.0%以上20%以下である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0015】
荷重負荷−除荷の試験方法、残留たわみ率の算出方法については後述する。ここで、残留たわみ率を1.0%以上としたのは、1.0%未満の場合、ワイヤロープを配索経路の形状に沿わせて配索しても、ワイヤロープが配索前の形状に復元しやすくなるからである。すなわち、ワイヤロープを配索しにくくなるからである。
【0016】
一方、残留たわみ率を20%以下としたのは、20%超過の場合、ワイヤロープの配索は容易になるものの、所望の曲げ剛性を確保するのが困難になるからである。
【0017】
(6)また、上記課題を解決するため、本発明のコントロールケーブルは、上記(1)ないし(5)のいずれかのワイヤロープからなるインナケーブルと、該インナケーブルが往復動可能に挿通される筒状のアウタケーシングと、を備えてなることを特徴とする(請求項6に対応)。
【0018】
本発明のコントロールケーブルによると、配索経路に湾曲部が多い場合であっても、インナケーブルを、配索経路の形状に沿わせて配索しやすい。また、一旦配索したインナケーブルが、配索前の形状に復元しにくい。このため、特に湾曲部において、インナケーブルとアウタケーシングとの摺接力が小さくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、水分により腐食しにくく、かつ所望の曲げ剛性を確保しやすいワイヤロープおよびコントロールケーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明のコントロールケーブルの実施の形態について説明する。なお、本発明のワイヤロープ(インナケーブル)の実施の形態についても併せて説明する。
【0021】
<第一実施形態>
[コントロールケーブルの構成]
図1に、本実施形態のコントロールケーブルの斜視図を示す。図1に示すように、本実施形態のコントロールケーブル1は、アウタケーシング2とインナケーブル3とを備えている。
【0022】
アウタケーシング2は、ライナー20と、遮蔽層21と、被覆層22と、からなる三層構造を呈している。ライナー20は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)製であって、円筒チューブ状を呈している。ライナー20は、アウタケーシング2の最内周層を構成している。ライナー20の内周面および外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。遮蔽層21は、多数の硬鋼線からなる。遮蔽層21は、ライナー20の径方向外側に配置されている。多数の硬鋼線は、ライナー20の外周面に巻装されている。被覆層22は、PP(ポリプロピレン)製であって、円筒チューブ状を呈している。被覆層22は、遮蔽層21の径方向外側に配置されている。
【0023】
インナケーブル3は、アウタケーシング2の径方向内側に、軸方向に往復動可能に挿通されている。インナケーブル3は、芯ストランド30と、合計八本の側ストランド31と、被覆層32と、を備えている。図2に、図1のII−II方向断面図(径方向断面図)を示す。なお、説明の便宜上、ライナー20も併せて点線で示す。
【0024】
芯ストランド30は、図2中に矢印A1、A2で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に二層に撚り合わされている。側ストランド31は、図2中に矢印A4で示すように、図1の軸方向一端側から見て、時計回り方向に撚り合わされている。側ストランド31は、図2中に矢印A3で示すように、芯ストランド30に対して、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に撚り合わされている。以下、インナケーブル3の構成について、詳しく説明する。
【0025】
芯ストランド30は、芯線300と、内層側線群301と、外層側線群302と、を備えている。芯線300は、SUS製である。芯線300は、本発明の素線に含まれる。芯線300の径方向断面形状は、略真円形を呈している。芯線300は、インナケーブル3の径方向略中央に配置されている。芯線300は、コントロールケーブル1の軸方向に延在している。
【0026】
内層側線群301は、合計六本の内層側線301aからなる。内層側線301aは、SUS製である。内層側線301aは、本発明の素線に含まれる。内層側線301aの径方向断面形状は、略真円形を呈している。内層側線301aは、芯線300の径方向外側に配置されている。内層側線301aは、芯線300の外周面に、図2中に矢印A1で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に巻装されている。
【0027】
外層側線群302は、合計六本の大径側線302aと、合計六本の小径側線302bと、からなる。外層側線群302は、内層側線群301の径方向外側に配置されている。大径側線302aは、SUS製である。大径側線302aは、本発明の素線に含まれる。大径側線302aの径方向断面形状は、略真円形を呈している。小径側線302bは、SUS製である。小径側線302bは、本発明の素線に含まれる。小径側線302bの径方向断面形状は、略真円形を呈している。大径側線302a、小径側線302bは、内層側線群301の外周面に、図2中に矢印A2で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に巻装されている。
【0028】
八本の側ストランド31は、芯ストランド30の径方向外側に配置されている。側ストランド31は、芯ストランド30の外層側線群302の外周面に、図2中に矢印A3で示すように、図1の軸方向一端側から見て、反時計回り方向に巻装されている。
【0029】
側ストランド31は、芯線310と、側線群311と、を備えている。芯線310は、SUS製である。芯線310は、本発明の素線に含まれる。芯線310の径方向断面形状は、略真円形を呈している。側線群311は、合計六本の側線311aからなる。側線311aは、SUS製である。側線311aは、本発明の素線に含まれる。側線311aの径方向断面形状は、略真円形を呈している。側線311aは、芯線310の径方向外側に配置されている。側線311aは、芯線310の外周面に、図2中に矢印A4で示すように、図1の軸方向一端側から見て、時計回り方向に巻装されている。
【0030】
被覆層32は、PA(ポリアミド)製であって、円筒チューブ状を呈している。被覆層32は、八本の側ストランド31の径方向外側に配置されている。被覆層32の内周面は、八本の側ストランド31に密着している。被覆層32の外周面には、径方向内側に収容された八本の側ストランド31により、八本の螺旋状のリブ320が形成されている。前述したように、ライナー20の内周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。このため、アウタケーシング2に対してインナケーブル3を押し引きする際は、被覆層32の外周面全面ではなく、リブ320の頂部のみが、ライナー20の内周面に相対的に摺接する。
【0031】
[インナケーブルの寸法]
次に、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3の寸法について説明する。芯ストランド30の外接円の直径D1は、0.75mmである。芯線300の直径は、0.17mmである。内層側線301aの直径は、0.16mmである。大径側線302aの直径は、0.17mmである。小径側線302bの直径は、0.13mmである。被覆層32内周面の外接円の直径D2は、1.61mmである。芯線310の直径は、0.15mmである。側線311aの直径は、0.14mmである。被覆層32外周面の外接円の直径D3は、1.8mmである。つまり、被覆層32の肉厚は、0.095mm(=(1.8−1.61)/2)である。ただし、撚り加工が施されることにより、インナケーブル3には「撚り細り」が発生する。このため、直径D2は、1.5mmに減少する。したがって、被覆層32の肉厚は、0.15mm(=(1.8−1.5)/2)となる。
【0032】
[作用効果]
次に、本実施形態のコントロールケーブル1の作用効果について説明する。本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3は、PA製の被覆層32を備えている。このため、被覆層32内部の芯ストランド30および側ストランド31が、被覆層32外部からの水分により、腐食するのを抑制することができる。また、芯ストランド30および側ストランド31は、共にSUS製である。このため、仮に被覆層32が破損し、被覆層32の内部に水分が侵入しても、芯ストランド30および側ストランド31が腐食するのを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3は、PA製の被覆層32を備えている。このため、芯ストランド30および側ストランド31をSUS製にしたことによる曲げ剛性の低下分を填補するのみならず、曲げ剛性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3は、PA製の被覆層32を備えている。このため、被覆層32を有しないインナケーブル3と比較して、荷重負荷−除荷時における残留たわみが、大きくなりやすい。したがって、コントロールケーブル1の配索経路に湾曲部が多い場合、インナケーブル3つまりコントロールケーブル1を、配索経路の形状に沿わせて配索しやすい。このように、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3によると、コントロールケーブル1の配索経路の自由度が高くなる。また、配索作業が容易になる。
【0035】
また、本実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3によると、側ストランド31の外周形状が、被覆層の外周形状に、リブ320として発現する。被覆層32においては、リブ320の頂部のみが、ライナー20の内周面に摺接する。このため、被覆層32とライナー20との間の摺動面積を小さくすることができる。
【0036】
コントロールケーブル1の配索経路のうち、インナケーブル3とアウタケーシング2との摺動抵抗が大きくなるのは、湾曲部である。この点、本実施形態のインナケーブル3によると、被覆層32とライナー20との間の摺動面積を小さくすることができる。したがって、湾曲部における摺動抵抗を小さくすることができる。逆に言えば、本実施形態のインナケーブル3は、配索経路に湾曲部が多いコントロールケーブル1や、曲率半径が小さい湾曲部を持つコントロールケーブル1に用いるのに好適である。
【0037】
<第二実施形態>
本実施形態のコントロールケーブルと第一実施形態のコントロールケーブルとの相違点は、被覆層の外周面の形状のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0038】
図3に、本実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。図3に示すように、被覆層32の外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。すなわち、被覆層32の外周面には、側ストランド31の外周面の形状が、発現していない(前出図2のリブ320参照)。
【0039】
芯ストランド30の外接円の直径D1は、0.8mmである。芯線300の直径は、0.18mmである。内層側線301aの直径は、0.17mmである。大径側線302aの直径は、0.18mmである。小径側線302bの直径は、0.14mmである。被覆層32内周面の外接円の直径D2は、1.66mmである。芯線310の直径は、0.15mmである。側線311aの直径は、0.14mmである。被覆層32外周面の直径D3は、1.8mmである。ただし、撚り加工が施されることにより、インナケーブル3には「撚り細り」が発生する。このため、直径D2は、1.5mmに減少する。したがって、被覆層32の肉厚は、0.15mmとなる。
【0040】
本実施形態のコントロールケーブルは、第一実施形態のコントロールケーブルと、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のコントロールケーブルによると、被覆層32の外周面およびライナー20の内周面の径方向断面形状が、共に略真円形を呈している。このため、両面間の摺動面積を大きくすることができる。したがって、両面間に局所的に大きな摩擦力が加わるのを抑制することができる。
【0041】
<第三実施形態>
本実施形態のコントロールケーブルと第一実施形態のコントロールケーブルとの相違点は、被覆層の形状のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0042】
図4に、本実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。図4に示すように、被覆層32の外周面および内周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している。
【0043】
本実施形態のコントロールケーブルは、第一実施形態のコントロールケーブルと、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のコントロールケーブルのインナケーブル3によると、側ストランド31と被覆層32との間に隙間が介在している。言い換えると、インナケーブル3の径方向断面において、側ストランド31の外接円と被覆層32の内周面とが、線接触している。具体的には、任意の一つの側ストランド31の側線群311を構成する側線311aのうち、いずれか一本の側線311aのみが、被覆層32の内周面に、線接触している。このため、隙間が介在していない場合と比較して、曲げ剛性を低くすることができる。したがって、コントロールケーブルの配索経路に湾曲部が多い場合であっても、インナケーブル3つまりコントロールケーブルを、比較的小さな力で配索することができる。
【0044】
<第四実施形態>
本実施形態のコントロールケーブルと第一実施形態のコントロールケーブルとの相違点は、遮蔽層の形状のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0045】
図5に、本実施形態のコントロールケーブルの斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については同じ符号で示す。図5に示すように、遮蔽層21は、硬鋼線からなる。硬鋼線の短手方向断面形状は、略矩形状を呈している。遮蔽層21は、ライナー20の径方向外側に配置されている。硬鋼線は、ライナー20の外周面に螺旋状に巻装されている。
【0046】
本実施形態のコントロールケーブルは、第一実施形態のコントロールケーブルと、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のコントロールケーブル1によると、遮蔽層21を構成する硬鋼線の短手方向断面形状が、略矩形状を呈している。このため、第一実施形態のコントロールケーブルと比較して、曲げ剛性が低い。また、軸方向の圧縮剛性が高温雰囲気になっても変化しにくい。
【0047】
<その他>
以上、本発明のコントロールケーブルの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0048】
例えば、芯ストランド30の側線群の層数や各層を構成する側線の径の種類などは、特に限定しない。径の種類が三種類以上の側線群を用いてもよい。また、側線群の層数を三層以上としてもよい。また、芯ストランド30の撚り構成と、側ストランド31の撚り構成とを、同一としてもよい。また、ライナー20の内周面の径方向断面形状も特に限定しない。略真円形の他、略正十二角形、略正三角形、略正方形、略正六角形としてもよい。
【0049】
また、被覆層32の材質も特に限定しない。PAの他、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、POM(ポリアセタール)、TPE(ポリエステルエラストマ)、フッ素樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)など)を用いてもよい。
【0050】
また、コントロールケーブル1の用途も特に限定しない。車両のトランスミッション操作用、車両ドアの開閉操作用、車両ドアの開閉ロック操作用などに用いてもよい。また、インナケーブル3の用途も特に限定しない。アウタケーシング2とは別に、インナケーブル3だけを、ワイヤロープとして、アクティブヘッドレスト装置の駆動用として用いてもよい。具体的には、シートバックに内蔵された受圧板と、ヘッドレストと、を接続するワイヤロープとして用いてもよい。また、インナケーブル3を、ウインドレギュレータ用として用いてもよい。
【実施例】
【0051】
以下、上記第一〜第三実施形態のコントロールケーブル1のインナケーブル3について行った、試験について説明する。以下、第一実施形態のインナケーブル3(前出図2参照)を実施例1、第二実施形態のインナケーブル3(前出図3参照)を実施例2、第三実施形態のインナケーブル3(前出図4参照)を実施例3と称する。
【0052】
<試験1>
試験1は、摩擦試験である。試験方法は、JIS K 7125(1999年)「プラスチック−フィルム及びシート 摩擦係数試験方法」に準拠して行う。図6に、摩擦試験方法を模式図で示す。図6に示すように、摩擦試験機90は、テーブル900と錘901とを備えている。テーブル900は矩形板状を呈している。テーブル900の上面には、相手側部材902が固定されている。相手側部材902は、PBT製であって、矩形薄板状を呈している。錘901は、直方体ブロック状を呈している。錘901は、相手側部材902の上方に配置されている。相手側部材902上面と錘901下面との間には、サンプルS(実施例1〜3)が介挿されている。
【0053】
摩擦係数の測定は、サンプルSに錘901を載せた状態でテーブル900を水平方向に往復動させ、サンプルSと相手側部材902とを相対的に摺動させることにより行う。錘901の重さは、500gである。また、錘901の試験速度は、100mm/minである。
【0054】
図7に、摩擦試験結果をグラフで示す。図7に示すように、実施例1の摩擦係数は、0.18である。また、実施例2の摩擦係数は0.23である。また、実施例3の摩擦係数は0.21である。試験結果から、前出図2に示すようにリブ320を有する実施例1の摩擦係数が、最も低くなることが判る。
【0055】
<試験2>
試験2は、摩耗試験である。試験方法は、JIS K 7204(1999年)に準拠して行う。図8に、摩耗試験方法を模式図で示す。図8に示すように、摩耗試験機91は、テーブル910と一対の摩耗輪911とを備えている。テーブル910は円板状を呈している。テーブル910の上面には、サンプルSが固定されている。一対の摩耗輪911は、サンプルSの上面に、転動可能に載置されている。摩耗輪911の外周面には、研磨紙911aが固定されている。
【0056】
摩耗損失量の測定は、一対の摩耗輪911から下向きに荷重を加えながら、テーブル910を回転させることにより行う。摩耗輪911からサンプルSに加える荷重は、9.8Nである。テーブル910の回転数は、72rpmである。研磨紙911aの研磨粒子の粒径は、125〜149μmである(♯150)。
【0057】
図9に、摩耗試験結果をグラフで示す。図9に示すように、実施例1の摩耗損失量は、2mgである。また、実施例2の摩耗損失量は1.7mgである。また、実施例3の摩耗損失量は2.4mgである。試験結果から、前出図3に示すように内周面が側ストランド31に密着し、外周面の径方向断面形状が略真円形の被覆層32を持つ実施例2の摩耗損失量が、最も小さくなることが判る。
【0058】
<試験3>
試験3は、荷重負荷−除荷試験である。図10に、荷重負荷−除荷試験方法を模式図で示す。図10に示すように、試験は、壁部92から水平に片持ち梁状に突設したサンプルSの自由端に、上方から荷重Fを負荷することにより行う。図10中、荷重F負荷前のサンプルSを細線で、荷重F負荷時のサンプルSを太線で、それぞれ示す。サンプルSの軸方向長さLは、50mmである。サンプルSに加える荷重Fは、約0.3Nである。
【0059】
図11に、荷重負荷−除荷試験結果をグラフで示す。なお、比較例は、実施例1から被覆層32(前出図1参照)を除去したものである。並びに、比較例は、実施例1の芯ストランド30および側ストランド31(前出図1参照)を、SUS製ではなく炭素鋼製としたものである。
【0060】
図11中、最大たわみδmaxとは、たわみの最大値(=20mm)をいう。最大荷重Fmaxとは、最大たわみδmax時の荷重(ただし荷重負荷行程完了直後の荷重)をいう(図11に例示するのは、実施例2の最大荷重)。残留たわみΔδとは、荷重Fを除荷した後のたわみをいう(図11に例示するのは、実施例2の残留たわみ)。
【0061】
曲げ剛性(=Fmax/δmax)について見ると、実施例1〜3は、比較例よりも、曲げ剛性が高いことが判る。実施例1〜3を比較すると、実施例2の曲げ剛性が最も高く、次いで実施例1の曲げ剛性が高く、実施例3の曲げ剛性が最も低いことが判る。また、実施例3の曲げ剛性と、比較例の曲げ剛性とを比較すると、ほぼ同等ながら、若干だけ実施例3の方が曲げ剛性が高いことが判る。
【0062】
残留たわみ率(=(Δδ/δmax)×100(%))について見ると、実施例1〜3は、比較例よりも、残留たわみ率が大きいことが判る(比較例の残留たわみ率は0%である)。実施例1〜3を比較すると、実施例2の残留たわみ率が10%と最も大きく、次いで実施例1の残留たわみ率が5%と大きく、実施例3の残留たわみ率が2.5%と最も小さいことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第一実施形態のコントロールケーブルの斜視図である。
【図2】図1のII−II方向断面図である。
【図3】第二実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図である。
【図4】第三実施形態のコントロールケーブルのインナケーブルの径方向断面図である。
【図5】第四実施形態のコントロールケーブルの斜視図である。
【図6】摩擦試験方法を示す模式図である。
【図7】摩擦試験結果を示すグラフである。
【図8】摩耗試験方法を示す模式図である。
【図9】摩耗試験結果を示すグラフである。
【図10】荷重負荷−除荷試験方法を示す模式図である。
【図11】荷重負荷−除荷試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0064】
1:コントロールケーブル。
2:アウタケーシング、20:ライナー、21:遮蔽層、22:被覆層。
3:インナケーブル、30:芯ストランド、300:芯線(素線)、301:内層側線群、301a:内層側線(素線)、302:外層側線群、302a:大径側線(素線)、302b:小径側線(素線)、31:側ストランド、310:芯線(素線)、311:側線群、311a:側線(素線)、32:被覆層、320:リブ。
90:摩擦試験機、900:テーブル、901:錘、902:相手側部材、91:摩耗試験機、910:テーブル、911:摩耗輪、911a:研磨紙、92:壁部。
S:サンプル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の素線が撚り合わされてなる芯ストランドと、
複数本の素線が撚り合わされてなると共に、該芯ストランドの周囲に撚り合わされる複数本の側ストランドと、
を有する複撚り構造のワイヤロープであって、
前記芯ストランドおよび前記側ストランドは、共にSUS製であって、
さらに、該側ストランドの外周面を覆う樹脂製の被覆層を有することを特徴とするワイヤロープ。
【請求項2】
前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、
該被覆層の肉厚は、略一定である請求項1に記載のワイヤロープ。
【請求項3】
前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、
該被覆層の外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している請求項1に記載のワイヤロープ。
【請求項4】
前記被覆層の内周面および外周面の径方向断面形状は、共に略真円形を呈している請求項1に記載のワイヤロープ。
【請求項5】
荷重負荷−除荷時の残留たわみ率が、1.0%以上20%以下である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のワイヤロープ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のワイヤロープからなるインナケーブルと、
該インナケーブルが往復動可能に挿通される筒状のアウタケーシングと、
を備えてなるコントロールケーブル。
【請求項1】
複数本の素線が撚り合わされてなる芯ストランドと、
複数本の素線が撚り合わされてなると共に、該芯ストランドの周囲に撚り合わされる複数本の側ストランドと、
を有する複撚り構造のワイヤロープであって、
前記芯ストランドおよび前記側ストランドは、共にSUS製であって、
さらに、該側ストランドの外周面を覆う樹脂製の被覆層を有することを特徴とするワイヤロープ。
【請求項2】
前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、
該被覆層の肉厚は、略一定である請求項1に記載のワイヤロープ。
【請求項3】
前記被覆層の内周面は、前記側ストランドに密着しており、
該被覆層の外周面の径方向断面形状は、略真円形を呈している請求項1に記載のワイヤロープ。
【請求項4】
前記被覆層の内周面および外周面の径方向断面形状は、共に略真円形を呈している請求項1に記載のワイヤロープ。
【請求項5】
荷重負荷−除荷時の残留たわみ率が、1.0%以上20%以下である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のワイヤロープ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のワイヤロープからなるインナケーブルと、
該インナケーブルが往復動可能に挿通される筒状のアウタケーシングと、
を備えてなるコントロールケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−144297(P2009−144297A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325413(P2007−325413)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
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