説明

ワイヤロープおよびワイヤロープの劣化検出方法

【課題】
樹脂被覆したワイヤロープにおいて、素線の破断を高精度で検出する。
【解決手段】
ワイヤロープ51は、中央部に配した1本の心シェンケル11と、この心シェンケルの回りに心被覆樹脂1を介して配した複数本の側シェンケル12と、側シェンケルの外周部に配置された外層被覆樹脂4とを有する。心シェンケルと側シェンケルとは、金属製素線16を撚り合わせて形成したストランド5、6、14、15を複数本撚り合わせて形成されている。複数本の側シェンケルの少なくとも1本のストランドの全素線は、他のストランドの素線よりも素線強度が低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤロープおよびその劣化検出方法に係り、特にエレベータに好適なワイヤロープおよびその劣化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤロープの例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のワイヤロープは、シーブ径を小さくしてもロープの寿命や強度の低下が起きないようにするために、ワイヤロープを構成する複数の素線それぞれに樹脂材料を被覆している。そして、ワイヤロープ全体にも樹脂材料を被覆し、シーブ巻き掛け時に生じる素線相互の滑りによる摩耗、シーブとの接触による摩耗を低減している。
【0003】
従来のワイヤロープの他の例が、特許文献2に記載されている。この公報に記載のワイヤロープは、ロープの軽量化や小径のシーブにも対応できるようにするために、全体被覆前のロープ径と素線径の比が15〜100であり、素線には高強度鋼素線を使用している。そして素線を撚り合せて構成した心ストランドの周りに複数本の側ストランドを配して撚り合わせ、外周に高分子化合物の被覆を施して1本の心シェンケルを形成している。心シェンケルの周りには、複数の側シェンケルを配している。側シェンケルは、素線を撚り合わせた心ストランドの周りに複数本の側ストランドを配して撚り合わせて構成され、外径が高分子化合物被覆シェンケルよりも小さい。なおロープ全体は、高分子化合物で被覆されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−262482号公報
【0005】
【特許文献2】特開2002−275773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2に記載のワイヤロープは、シーブを小型化したときにも樹脂被覆ロープの強度の低下を減少させるという利点を有するが、ワイヤロープの使用によりワイヤロープを構成する金属素線の破断を確実に検出することについては、十分な考慮がなされていない。
【0007】
エレベータ用ワイヤロープは、エレベータ駆動時にシーブまたはプーリにより繰返し曲げを受ける。その結果、疲労破断にまで達することがある。エレベータを安全に運用するためには、ロープの疲労による強度低下を検出し、急激な強度低下やロープ破断が起きる前にロープを交換することが必要である。特にロープの最外周を樹脂で被覆したワイヤロープでは、素線の破断状況を外観からは検査できないので、外観検査以外の方法で確実にワイヤロープの強度低下を検出することが望まれている。
【0008】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は樹脂被覆したワイヤロープにおいて、素線の破断を高精度で検出することにある。本発明の他の目的は、樹脂被覆したワイヤロープにおいて、使用による急激なロープ強度の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の特徴は、中央部に配した1本の心シェンケルと、この心シェンケルの回りに心被覆樹脂を介して配した複数本の側シェンケルと、この複数本の側シェンケルの外周部に配置された外層被覆樹脂とを有し、心シェンケルと側シェンケルとが金属製素線を撚り合わせて形成したストランドを複数本撚り合わせて形成されたものであるワイヤロープにおいて、複数本の側シェンケルの少なくとも1本のストランドの全素線の素線強度を、他のストランドの素線よりも低くしたものである。
【0010】
そしてこの特徴において、心シェンケルと側シェンケルとは、素線の直径および素線本数が実質的に同一である、心シェンケルは中心部に配置した心ストランドと、この心ストランドの周囲に配置した複数の側ストランドとを有し、この心ストランドと側ストランドとは、素線の直径および素線本数が実質的に同一である、複数の側シェンケルはそれぞれ中心部に配置した心ストランドと、この心ストランドの周囲に配置した複数の側ストランドとを有し、各心ストランドと各側ストランドとは、素線の直径および素線本数が実質的に同じであるのが好ましい。
【0011】
また上記特徴において、金属性素線の表面に、素線強度が低いものと素線強度が高いものとを識別する光沢または色を付すのがよく、心シェンケルは、中心部に配置した中心樹脂と、この中心樹脂の周囲に複数本配置した側ストランドと、この複数の側ストランドの周囲に配置した被覆樹脂とを有し、中心樹脂の軟化温度が被覆樹脂の軟化温度以上であるのが好ましい。さらに、複数の側シェンケルは、それぞれ中心部に配置した中心樹脂と、この中心樹脂の周囲に複数本配置した側ストランドとを有し、中心樹脂の軟化温度が外層被覆樹脂の軟化温度以上であるのが望ましく、心シェンケルは、複数本の側ストランドとこの複数本の側ストランドの周囲に配置した被覆樹脂とを有し、この被覆樹脂の軟化温度が外層被覆樹脂の軟化温度以上であることが望ましい。
【0012】
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、上記ワイヤロープに磁界をかけ、少なくとも素線及びストランドのいずれかの断線部からの漏洩磁束を計測し、この計測結果に基づいて素線またはストランドの破断を検出するようにしたことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワイヤロープの側シェンケルにおいて、ストランド単位で他よりも低強度な部分を形成したしたので、低強度ストランドが他のストランドに先行して破断するからワイヤロープの劣化を高精度に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に、本発明に係るワイヤロープ一実施例の横断面を、図2にその斜視図を示す。本実施例のワイヤロープは、3段撚り線構造になっている。すなわち、鋼製の素線16を7本使用して1本のストランド5、6、14、15を形成し、7本のストランド5、6、14、15を使用して1本のシェンケル11、12を形成する。さらに7本のシェンケル11、12を使用して1本のワイヤロープ50を形成している。
【0015】
ストランド5、6、14、15を形成する際には、1本の大径の心素線16aの周りに6本の小径の側素線16bをほぼ周方向均等に配置し、それら7本の素線16a、16bを撚り合せる。同様にシェンケル11、12を形成する際は、1本の心となるストランド5、14の周りに6本の側ストランド6、15を周方向ほぼ均等に配置し、それら7本のストランド5、6、14、15を撚り合せる。さらに、1本の心となるシェンケル11の周りに、6本の側シェンケル12を周方向ほぼ均等に配置し、7本のシェンケル11、12を撚り合わせる。これは、シェンケル構造のIWRC(独立ワイヤロープ心:Independent Wire Rope Core)ロープと呼ばれる。
【0016】
ワイヤロープ50の中央に配置される心シェンケル11では、心ストランド5と側ストランド6、側ストランド6相互により形成される隙間およびストランド6の外周側までが心被覆樹脂1で埋められている。これにより心シェンケル11は、星型に心被覆樹脂1で被覆されている。側シェンケル12の心ストランド14と側ストランド15、側ストランド15相互により形成される隙間および心被覆樹脂1の外周側から側ストランド15の外周側まではロープ被覆樹脂4で覆われている。これにより、ワイヤロープ50は断面ほぼ円形の樹脂被覆ロープとして形成される。
【0017】
ところで本実施例では、各側シェンケル12の6本の側ストランド15のなかで、1本の側ストランド3の全素線に、他のストランド2よりも強度の低い素線16cを採用している。ここで、強度が低いとは疲労強度が低いことを意味する。逆に、強度が高いとは、疲労強度が高いことを意味する。
【0018】
図8に、強度が高い素線である高強度素線41と強度が低い素線である低強度素線42の繰り返し曲げ応力に対する疲労強度試験の結果の一例を示す。同じ曲げ応力であれば、低強度素線42の方が早く破断することが分かる。全素線を同一の強度にした場合には、全ての素線が同じような時期に破断する恐れがあり、ワイヤロープの寿命を正確に予測または判断することが困難である。
【0019】
本実施例では、低強度の素線を用いて一部の素線のみを切れやすくして、これらの素線が破断しても他の素線がワイヤロープの強度を保証するようにしている。したがって、何らかの方法で低強度素線の破断を検出できれば、多数の素線の破断の前にロープ寿命を確実に予測または判断することができる。なお、低強度素線と高強度素線の区別を容易にするために、メッキや着色により素線の光沢や色を変え、目視で判別できるようにする。これにより、使用前に低強度ストランドが撚り入れられているか否かを目視で確認できる。
【0020】
心被覆樹脂1には、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなどの樹脂を用いる。心被覆樹脂1の外径形状を、側シェンケル12の最内側に位置する側ストランド15部で小径に、隣り合う側シェンケル12、12の側ストランド15、15間で大径となる星型形状としたので、心被覆樹脂1の小径部の凹部が形成する溝を側ストランド15の撚りピッチに合わせたらせん溝に形成でき、ワイヤロープ50を曲げたときに心シェンケル11の最外側の素線16と、側シェンケル12の最内側の素線16が接触して生じるフレッティング破断や、接触により摩耗して生じる疲労破断を防止できる。
【0021】
ロープ被覆樹脂4には、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなどの樹脂を用いる。側シェンケル12の外側を完全にロープ被覆樹脂4で被覆したので、側シェンケルの最外側に位置する素線16が図示しないシーブに直接接触するのを回避できる。その結果、摩耗やフレッティングによる素線16の破断によるワイヤロープ強度の低下を防止できる。ワイヤロープ50にロープ被覆樹脂4を処理するときは、心シェンケル11と側シェンケル12とを撚り合わせた後に、撚り合わせたシェンケル11、12全体を加熱したロープ被覆樹脂4で塗布または浸漬し、その後冷却する。その際、加熱したロープ被覆樹脂4の熱により心被覆樹脂1が過度に変形する恐れがあるので、心被覆樹脂1の軟化温度をロープ被覆樹脂4の軟化温度以上とする。
【0022】
本実施例では、各ストランド5、6、14、15の心素線16aの径を側素線16bの径よりもわずかに大径にして、素線16a、16bをより合わせる際に素線16a、16b間または16b、16b間に形成される隙間をできるだけ小さくしている。しかしながら、心ストランド5、14と側ストランド6、15は同じ構造としたので、ストランド5、6、14、15を作成するときに使用する素線16の種類は、径の異なる2種類だけで済み、製造コストを低減できる。
【0023】
上記実施例で説明したワイヤロープ50をエレベータの動索として使用すると、ワイヤロープ50はかごやカウンターウェィトの負荷により張力を受ける。それとともに、シーブやプーリを通過するたびにに繰返し曲げられる。このような状態では、ワイヤロープ50の隣り合う素線16同士が、高い面圧および曲げ応力の下で接触および摺動する。このような負荷が継続すると、素線16はフレッティング疲労または摩耗を伴う疲労により破断する。
【0024】
フレッティング疲労の原因となる面圧と曲げ応力については、面圧はシェンケル心側が高く、曲げ応力はロープの表面に近いほうが高くなる。フレッティング疲労あるいは摩耗を伴う疲労により最初に破断する素線16を推定することは、同一仕様の素線16であれば素線強度のばらつきに依存するので、困難である。そこで本実施例では、素線強度のばらつき以上に強度が低い素線16cを、側シェンケル12の一部の側ストランド3に用いている。その結果、素線16、16cが破断する状態に達しているのであれば、この低強度素線16cで構成されたストランド3が先行して破断する。
【0025】
本発明に係るワイヤロープの他の実施例を、図3を用いて説明する。図3は、ワイヤロープ50aの横断面図である。本実施例が図1に示した実施例と異なるのは、心シェンケル11および側シェンケル12のいずれにおいても、心ストランドの代わりにポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の樹脂線7a、7bを用いたことにある。心シェンケル11では6角形の星型をした樹脂線7aを、側シェンケル12でも6角形の星型をした樹脂線7bを各シェンケル11、12の中心部に配置する。樹脂線7aは、各側ストランド6と撚り合わせられる前には円形断面をしている。
【0026】
側ストランド6との撚り合わせ時に、加熱しながら型で絞り形成すると、樹脂線7aが軟化する。そして、側ストランド6の樹脂線7aに近い側の素線16が樹脂線7aに食い込んで、星型断面を形成する。樹脂線7aの表面に形成された溝が心シェンケル11の撚りピッチと一致して、側ストランド6同士の接触を防止する。
【0027】
心シェンケル11を樹脂被覆する際に、加熱された心被覆樹脂1の熱により心シェンケル11の樹脂線7aが過度に変形するのを防止するため、心シェンケル11の樹脂線7aの軟化温度を心シェンケル11の心被覆樹脂1の軟化温度以上にする。同様に、ワイヤロープ50aを被覆する際に、ロープ被覆樹脂4の熱により心シェンケル11の心被覆樹脂1や側シェンケルの樹脂線7bが過度に変形するのを防止するため、心シェンケル11の心被覆樹脂1の軟化温度と側シェンケル12の樹脂線7bの軟化温度を、ロープ被覆樹脂1の軟化温度以上にする。
【0028】
本実施例では、心シェンケル11と側シェンケル12の中心部に樹脂線7a、7bを配置しているので、ワイヤロープ50aの引張強度が多少小さくなる。しかし、側ストランド6、15が金属の心ストランドと接触することがないので、側ストランド6、15と樹脂線7a、7bの間の面圧が低下してフレッティング摩耗強度が増し、繰返し屈曲に対するワイヤロープ50aの寿命が長くなる。
【0029】
本発明に係るワイヤロープ50bのさらに他の実施例を、図4に示す。図4は、ワイヤロープ50bの横断面図である。本実施例は、図3に示した実施例と低強度素線16cからなるストランド3の個数が相違する。その他の構成は、図3に示した実施例と同様である。図3に示した実施例では、各側シェンケル12が必ず1個の低強度素線16cからなるストランド3を有していたが、本実施例では6個の側シェンケルの中の1個だけが、低強度素線16cからなるストランド3を有している。低強度素線16cからなる側ストランド3の本数を減らしたので、ワイヤロープ50aの破断を示す出力は小さくなるが、ワイヤロープの50a繰返し曲げに対してさらに長寿命のワイヤロープを提供することができる。
【0030】
図9に、本発明に係るワイヤロープ50cのさらに他の実施例を示す。図10は、ワイヤロープ50cの横断面図である。本実施例が図3に示した実施例と異なるのは、側シェンケル12の側ストランド15の中で、高強度素線を用いた側ストランド2の中心部の素線を樹脂線8にしたことにある。その他の構成は、図3に示した実施例と同様である。本実施例によれば、側ストランド15の金属素線16同士が接触して面圧が高くなるのを抑制でき、側ストランド15、ひいてはワイヤロープ50cの寿命が長くなる。また、これは使用前に低強度ストランドが撚り入れられているかを目視で確認できる。側ストランド15の心線8には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の樹脂を用いる。
【0031】
上記各実施例に示したワイヤロープを用いて、ワイヤロープの劣化を検出する方法を、図5により説明する。ワイヤロープ51内部の側シェンケル12の側ストランド2、3が見えるように、ロープ被覆樹脂4を取り除いて示す。ワイヤロープ51の軸線方向に離隔した2箇所に、ワイヤロープ51を包むように励磁器21を配置する。励磁器21は、磁束流23を発生する。磁束流23は、電気の不導体であるロープ被覆樹脂4を通り抜けて電気の導体である金属性素線16を通過する。ワイヤロープ51の素線16が破断していると、磁束24が破断部25から漏れ出し、磁束検出器22が漏れ磁束を検出する。これにより、素線16の破断を検出する。
【0032】
上記各実施例に示したワイヤロープでは、低強度素線からなる低強度ストランド3が先行して破断するので、破断したストランド25から強い磁束が漏洩する。この漏洩磁束を磁束検出器22が検出し、ワイヤロープ51の強度低下を検出する。従来のワイヤロープでは、素線強度のばらつきにより破断位置が変わるので、漏洩磁束に顕著なピークは現れず、破断を正確に把握することが困難であった。
【0033】
図6および図7を用いて、ワイヤロープ51の繰り返し曲げ強度を説明する。図6は、全ての素線を同一強度(ノミナル強度)にしたワイヤロープの特性の例であり、図7は上記各実施例に示したワイヤロープ51の特性の例である。ワイヤロープ51の繰返し曲げ回数に対するワイヤロープ51の引張強度31とストランド破断本数32を示している。全ての素線16の強度を同一にすると、ワイヤロープ51の寿命の初期では、屈曲回数を増やしても引張強度はほとんど低下しない。そして、ワイヤロープ51の寿命の末期で急激に引張強度が低下する。
【0034】
これは、多くの素線16がほぼ同じ応力振幅で繰返し曲げを受ける結果、フレッティング寿命がほぼ同時期に集中し、一斉に素線破断が発生することを示している。引張強度が急激に低下する特性のワイヤロープ51では、素線16の断線数が増加して検出可能なレベルに達すると、ワイヤロープの引張り強度の低下も著しく、使用可能状態を維持できる期間(余寿命)(N2−N1)が非常に短くなる。この場合、ワイヤロープ51を高頻度に点検する必要が生じる。
【0035】
一方、上記各実施例で説明したワイヤロープ51を使用すれば、図7に示すように屈曲回数が増えてもワイヤロープ51の引張強度は徐々にしか減少しない。これは低強度素線16cからなる低強度ストランド3が、高強度ストランドに先行して破断するからである。つまり、低強度素線16cは屈曲回数N1のときには、すでに点線32aで示す破断曲線上を変化するので、検出可能レベルにある。このとき高強度素線は、破線32b上を変化するので、まだ検出レベルにはない。屈曲回数がN2に達すると、高強度素線が破断し始め、寿命となる。上記各実施例では、低強度ストランド3を撚りこんだので、ワイヤロープ51の屈曲寿命はやや低下するが、低強度ストランド3の破断本数が検出可能なレベルに達してから、ロープの引張強度が使用可能範囲を下回るまでの寿命(N2−N1)を長くできる。これにより、ワイヤロープの検査間隔を長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るワイヤロープの一実施例の横断面図である。
【図2】図1に示したワイヤロープの斜視図であり、一部被覆を除いて示した図である。
【図3】本発明に係るワイヤロープの他の実施例の横断面図である。
【図4】本発明に係るワイヤロープのさらに他の実施例の横断面図である。
【図5】本発明に係るワイヤロープの劣化検出方法を説明する図である。
【図6】ワイヤロープの特性を説明するグラフである。
【図7】ワイヤロープの特性を説明するグラフである。
【図8】ワイヤロープの特性を説明するグラフである。
【図9】本発明に係るワイヤロープのさらに他の実施例の横断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…心被覆樹脂、2、3…ストランド、4…ロープ被覆樹脂、5…心ストランド、6…側ストランド、7a、7b…樹脂心、11…心シェンケル、12…側シェンケル、14…心ストランド、15…側ストランド、16…素線、21…励磁器、22…磁束検出器、23…磁束、24…漏洩磁束、25…ストランド断線、26…素線断線、31…引張強度比、32…ストランド断線数、32a…低強度ストランドの断線数、32b…高強度ストランドの断線数、41…高強度素線、42…低強度素線、50、50a、50b、51、51a…ワイヤロープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤロープの断面中央部に配した心シェンケルと、この心シェンケルの回りに心被覆樹脂を介して配した複数本の側シェンケルと、この複数本の側シェンケルの外周部に配置された外層被覆樹脂とを有し、前記心シェンケルと側シェンケルとが金属製素線を撚り合わせて形成したストランドを複数本撚り合わせて形成されたものであるワイヤロープにおいて、前記複数本の側シェンケルの少なくとも1本のストランドの全素線は、他のストランドの素線よりも素線強度が低いことを特徴とするワイヤロープ。
【請求項2】
前記心シェンケルと側シェンケルとは、素線の直径および素線本数が実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ。
【請求項3】
前記心シェンケルは中心部に配置した心ストランドと、この心ストランドの周囲に配置した複数の側ストランドとを有し、この心ストランドと側ストランドとは、素線の直径および素線本数が実質的に同一であることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤロープ。
【請求項4】
前記複数の側シェンケルはそれぞれ中心部に配置した心ストランドと、この心ストランドの周囲に配置した複数の側ストランドとを有し、各心ストランドと各側ストランドとは、素線の直径および素線本数が実質的に同じであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のワイヤロープ。
【請求項5】
前記金属性素線の表面に、素線強度が低いものと素線強度が高いものとを識別する光沢または色を付したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のワイヤロープ。
【請求項6】
前記心シェンケルは、中心部に配置した中心樹脂と、この中心樹脂の周囲に複数本配置した側ストランドと、この複数の側ストランドの周囲に配置した被覆樹脂とを有し、前記中心樹脂の軟化温度が被覆樹脂の軟化温度以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のワイヤロープ。
【請求項7】
前記複数の側シェンケルは、それぞれ中心部に配置した中心樹脂と、この中心樹脂の周囲に複数本配置した側ストランドとを有し、前記中心樹脂の軟化温度が前記外層被覆樹脂の軟化温度以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のワイヤロープ。
【請求項8】
前記心シェンケルは、複数本の側ストランドとこの複数本の側ストランドの周囲に配置した被覆樹脂とを有し、この被覆樹脂の軟化温度が前記外層被覆樹脂の軟化温度以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のワイヤロープ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のワイヤロープに磁界をかけ、少なくとも素線及びストランドのいずれかの断線部からの漏洩磁束を計測し、この計測結果に基づいて素線またはストランドの破断を検出するワイヤロープの劣化検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−28671(P2006−28671A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207995(P2004−207995)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【Fターム(参考)】