説明

ワイヤ送給装置

【課題】溶接用のワイヤの送給を瞬時に反転させるのに適したワイヤ送給装置を提供すること。
【解決手段】本発明のワイヤ送給装置201は、溶接用のワイヤを送り出すための送給ローラ210と、送給ローラ210を回転駆動させる回転駆動機構230と、を備え、回転駆動機構230は、駆動モータ240と、駆動モータ240によって回転させられる第1ギア241と、第1ギア241の回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能であるとともに送給ローラ210を一体的に有する支持部材242と、支持部材242に対して回転自由に支持され、第1ギア241に噛み合う第2ギア243,244と、第1ギア241の回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能であり、第2ギア243,244に噛み合う第3ギア245と、第3ギア245の回転を制御する駆動モータ250と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接用のワイヤを送給するためのワイヤ送給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MAG溶接やCO2溶接などの消耗電極ガスシールドアーク溶接において、一般に、ワイヤリールに巻回された溶加材としてのワイヤがワイヤ送給装置により溶接トーチに送り出される。ワイヤ送給装置は、一般に、ワイヤを送り出すための送給ローラと、この送給ローラを駆動モータの動力によって回転駆動させる回転駆動機構とを備えて構成される。多関節型ロボットなどのマニピュレータを備えた自動溶接を行うための溶接装置では、ワイヤ送給装置はマニピュレータに搭載され、マニピュレータの手首部には溶接トーチが設けられる。このような溶接装置に適用されるワイヤ送給装置においては、駆動モータは、たとえば、溶接トーチの近傍部位または溶接トーチから離間する部位、あるいはその両方の部位に設けられ、駆動モータを制御することにより、溶接トーチへのワイヤの送給を安定的に行うとともに、ワイヤの送給速度を適宜変化させるなどして、溶接品質の維持に努めている。ワイヤ送給装置に関する技術は、たとえば下記の特許文献1に記載されている。
【0003】
消耗電極ガスシールドアーク溶接においては、溶接トーチの給電チップに保持されたワイヤと、溶接対象である母材との間にアークを適切に発生させる必要がある。溶接時には、アークの熱によりワイヤの先端が順次溶融して母材上に溶滴として落下するが、この溶滴を介してワイヤ先端と母材とが短絡すると、溶接スパッタの発生により溶接品質の低下を招く場合がある。このような溶接時の不都合を回避するためには、ワイヤの送給速度を、比較的に高速できめ細かく制御することが求められており、また、送給ローラを反転させてワイヤを少し戻すことも望まれる。送給ローラの回転方向を切り換えるためには、駆動モータを正転方向および逆転方向に切り換えるように制御すればよいが、駆動モータの慣性モーメントの影響により、駆動モータの正転および逆転の切り換えを高速で瞬時に行うことは、実質的に困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−226733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、溶接用のワイヤの送給を瞬時に反転させるのに適したワイヤ送給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0007】
本発明よって提供されるワイヤ送給装置は、溶接用のワイヤを送り出すための送給ローラと、上記送給ローラを回転駆動させる回転駆動機構と、を備えた溶接ワイヤ送給装置であって、上記回転駆動機構は、駆動モータと、上記駆動モータによって回転させられる第1ギアと、上記第1ギアの回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能であるとともに上記送給ローラを一体的に有する支持部材と、上記支持部材に対して回転自由に支持され、上記第1ギアに噛み合う1または複数の第2ギアと、上記第1ギアの回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能であり、上記第2ギアに噛み合う第3ギアと、上記第3ギアの回転を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
好ましい実施の形態においては、上記第2ギアの回転軸心は、上記第1ギアの回転軸心と平行であり、上記第3ギアは、内周が上記第2ギアに噛み合う、リングギアである。
【0009】
好ましい実施の形態においては、上記第1ギアは、ベベルギアであり、上記第2ギアは、上記第1ギアに噛み合うベベルギアであり、上記第3ギアは、上記第2ギアに噛み合うベベルギアである。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記制御手段は、上記第3ギアを回転させる追加の駆動モータを備える。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記制御手段は、上記駆動モータの回転駆動力の分配を受けて作動し、上記第3ギアを間欠回転させる間欠駆動機構を備える。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記制御手段は、上記駆動モータの回転駆動力の分配を受けて作動し、上記第3ギアを間欠回転させる間欠駆動機構を備え、上記間欠駆動機構は、上記第1ギアの回転軸心と平行な回転軸心周りに回転可能であるとともに、上記駆動モータの回転駆動力が伝達されて回転し、側面に突起を有する第1中間回転体と、上記第1ギアの回転軸心と平行な回転軸心周りに所定方向のみに回転可能であるとともに、上記第1中間回転体の回転による上記突起の押圧を受けて上記所定方向に間欠回転させられ、この間欠回転によって上記第3ギアを所定方向に間欠回転させる第2中間回転体と、を備えている。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記第2中間回転体の間欠回転の上記第3ギアの間欠回転への伝達は、両者に設けたギアが噛み合うことにより行われる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のワイヤ送給装置を備えた溶接装置の一例を示す全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るワイヤ送給装置を示す斜視図である。
【図3】図2に示すワイヤ送給装置を模式的に表した概略構成図である。
【図4】図2に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図5】図2に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図6】図2に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図7】図2に示すワイヤ送給装置の駆動時のワイヤ送給速度線図である。
【図8】図2に示すワイヤ送給装置の駆動時のワイヤ送給速度線図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るワイヤ送給装置を示す側面図である。
【図10】図9のX−X線矢視図である。
【図11】図9に示すワイヤ送給装置を模式的に表した概略構成図である。
【図12】図10に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図13】図10に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係るワイヤ送給装置を模式的に表した概略構成図である。
【図15】図14に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係るワイヤ送給装置を模式的に表した概略構成図である。
【図17】図16に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図18】図16に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図19】本発明の第5実施形態に係るワイヤ送給装置を模式的に表した概略構成図である。
【図20】図19に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【図21】図19に示すワイヤ送給装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明のワイヤ送給装置を用いた溶接装置100の一例を示す全体構成図である。溶接装置100は、複数のアームからなる多関節型ロボットとして構成されたマニピュレータ110を備える。マニピュレータ110にはワイヤ送給装置200(201〜205)が搭載され、マニピュレータ110の手首部には、溶接トーチ300が取り付けられている。ワイヤリール120に巻かれた溶加材としてのワイヤは、コンジットパイプ130に通され、ワイヤ送給装置200によって溶接トーチ300に送給される。ワイヤ送給装置200を経たワイヤは、一線式パワーケーブル140にガイドされてその内部を送給される。
【0018】
溶接トーチ300には、溶接用電源装置190から一線式パワーケーブル140を介して電力が供給され、この電力は、溶接トーチ300内部の図示しない給電チップを介してワイヤに供給される。溶接トーチ300にはまた、ガスボンベ150からのシールドガスと、圧縮空気発生源160からのエアブロー用の圧縮空気が供給される。シールドガスの供給および停止、圧縮空気の供給および停止は、図示しない弁装置を切り替えて行う。
【0019】
ティーチペンダント170からロボット制御装置180に指令信号が入力され、このロボット制御装置180からの信号がマニピュレータ110に入力されて、溶接トーチ300の先端位置が制御される。ロボット制御装置180はまた、ワイヤの送給、シールドガスの送給、およびエアブロー用の圧縮空気の送給をも制御する。
【0020】
図2は、本発明の第1実施形態に係るワイヤ送給装置を示す斜視図である。本実施形態のワイヤ送給装置201は、送給ローラ210と、加圧ローラ220と、回転駆動機構230とを備えている。送給ローラ210は、所定の回転軸心周りに回転可能とされており、回転駆動機構230によって回転駆動させられる。加圧ローラ220は、所定の回転軸心周りに回転自在となっている。送給ローラ210および加圧ローラ220の間にワイヤWが挟まれており、送給ローラ210の回転によって、ワイヤWが送給される。なお、図3は、ワイヤ送給装置201を模式的に表した概略構成図である。
【0021】
回転駆動機構230は、送給ローラ210を回転駆動させるものであり、駆動モータ240,250と、駆動モータ240,250の出力軸に設けられたピニオンギア241,251と、支持部材242と、ギア243,244と、リングギア245と、アイドルギア252とを備えている。
【0022】
駆動モータ240,250は、出力軸の回転速度をパルス制御可能なサーボモータであり、図1を参照して上記したロボット制御装置180によって制御される。詳細は後述するが、駆動モータ240,250は、それぞれ、出力軸を一方向のみに回転させて使用するモータである。駆動モータ240は、送給ローラ210を、ワイヤWの送り方向(正転方向)に回転させるためのものである。また、駆動モータ250は、送給ローラ210を、ワイヤWの戻り方向(逆転方向)に回転させるためのものである。
【0023】
支持部材242は、一対の棒状部材からなり、その一端部において送給ローラ210を一体的に有し、ピニオンギア241の回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能である。ギア243,244は、支持部材242の他端部に回転自由に支持されており、ピニオンギア241に噛み合っている。図2から理解されるように、ギア243,244の回転軸心は、ピニオンギア241の回転軸心と平行であり、ギア243,244は、ピニオンギア241を挟んで向かい合う位置に配置されている。ギア243,244は、本発明でいう第2ギアの一例である。リングギア245は、ピニオンギア241の回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能であり、内周ギア245aおよび外周ギア245bを有する。内周ギア245aは、ギア243,244に噛み合っている。上記構成のピニオンギア241、ギア243,244、およびリングギア245は、遊星歯車機構を構成しており、ピニオンギア241が太陽歯車に相当し、ギア243,244が遊星歯車に相当する。
【0024】
アイドルギア252は、駆動モータ250側のピニオンギア251と、リングギア245の外周ギア245bとに噛み合っている。
【0025】
上記構成のワイヤ送給装置201の動作について説明する。
【0026】
ワイヤWを溶接トーチ300の方へ送給する場合には、駆動モータ240を、図4において矢印N1で示す方向に回転駆動させる。このとき、駆動モータ250は、停止している。ここで、駆動モータ250のピニオンギア251は、サーボロックによって停止状態にあり、アイドルギア252を介してピニオンギア251と連係するリングギア245(外周ギア245b)も停止状態にある。これにより、駆動モータ240の矢印N1方向への回転にともない、ピニオンギア241と噛み合うギア243,244は、それぞれが矢印N2方向に回転しながら、停止状態にあるリングギア245の内周ギア245aによる反力を受けて、ピニオンギア241の周りを矢印N3方向(図4において反時計回り)に移動する。これに伴い、ギア243,244を支持する支持部材242、およびこの支持部材242と一体な送給ローラ210は、矢印N3方向(図4において反時計回り)に回転する。この矢印N3方向が送給ローラ210の正転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは図中矢印N4方向(溶接トーチ300側)に送り出される。
【0027】
一方、ワイヤWを溶接トーチ300とは反対側へ戻す場合には、駆動モータ250を、図5において矢印N5で示す方向に回転駆動させる。このとき、駆動モータ240は、停止している。ここで、駆動モータ240のピニオンギア241は、サーボロックによって停止状態にある。これにより、駆動モータ250の矢印N5方向の回転にともない、アイドルギア252を介してピニオンギア251と連係するリングギア245(外周ギア245b)が矢印N6方向に回転する。そして、リングギア245の内周ギア245aと噛み合うギア243,244は、それぞれが矢印N7方向に回転しながら、停止状態にあるピニオンギア241の周りを矢印N8方向(図5において時計回り)に移動する。これに伴い、ギア243,244を支持する支持部材242、およびこの支持部材242と一体な送給ローラ210は、矢印N8方向(図5において時計回り)に回転する。この矢印N8方向が送給ローラ210の逆転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは図中矢印N9方向(溶接トーチ300とは反対側)に戻される。
【0028】
駆動モータ240,250を同時に回転駆動させると、図6に示すように、駆動モータ240の駆動によって送給ローラ210が送り方向へ回転する成分(図6において矢印N10で示す)と、駆動モータ250の駆動によって送給ローラ210が戻り方向に回転する成分(図6において矢印N11で示す)とが生ずる。この場合、送給ローラ210については、上記送り方向の回転速度成分と上記戻し方向の回転速度成分との差分(合成成分)によって、回転速度および回転方向が決定される。
【0029】
図7および図8は、駆動モータ240,250の駆動態様に応じたワイヤ送給速度線図を示す。図7に示す例では、送り用の駆動モータ240を一定の回転速度で駆動させる一方、戻り用の駆動モータ250を、一定の低速回転状態と、瞬時に行う高速回転状態とを繰り返すようにパルス制御する。駆動モータ250の低速および高速での駆動は、たとえば100ヘルツ程度の周波数で行う。駆動モータ250の高速駆動時には、この駆動モータ250による送給ローラ210の戻り方向の回転速度の最大値が、駆動モータ240による送給ローラ210の送り方向の回転速度よりも大となるように制御される。その結果、同図の下方に示された合成成分から理解されるように、送給ローラ210によるワイヤWの送給において、一定速度での送りと、瞬時に反転しての戻りとが繰り返され、高速でのワイヤWの送りおよび戻しが可能である。
【0030】
図8に示す例では、送り用の駆動モータ240を、一定の高速回転状態と、瞬時に行う低速回転状態とを繰り返すようにパルス制御する。また、戻り用の駆動モータ250を、一定の低速回転状態と、瞬時に行う高速回転状態とを繰り返すようにパルス制御する。ここで、駆動モータ240の低速回転と駆動モータ250の高速回転のタイミングを同期させる。その結果、同図の下方に示された合成成分から理解されるように、送給ローラ210によるワイヤの送給において、一定速度での送りと、瞬時に反転しての戻りとが繰り返され、高速でのワイヤの送りおよび戻しが可能である。
【0031】
次に、上記した実施形態に係るワイヤ送給装置201の作用を説明する。
【0032】
送給ローラ210を回転駆動させるための回転駆動機構230において、支持部材242は送給ローラ210を一体的に有し、この支持部材242に対して回転自在に支持されたギア243,244は、駆動モータ240によって回転させられるピニオンギア241に噛み合っている。このため、上記したように、駆動モータ240の回転駆動によって、ギア243,244がピニオンギア241の周りを一方向に移動し、送給ローラ210を正転方向に回転させる。一方、ギア243,244は、リングギア245の内周ギア245aにも噛み合っており、このリングギア245は、駆動モータ250によって回転が制御される。このため、駆動モータ250の回転駆動によって、ギア243,244がリングギア245の内周を上記一方向とは反対の方向に移動し、送給ローラ210を逆転方向に回転させる。
【0033】
そして、本実施形態において、駆動モータ240,250は、いずれも一方向のみに回転させて使用するので、たとえばモータを正転ないし逆転に切り換えて使用する場合と異なり、瞬時に回転速度を増速ないし減速するパルス制御が可能である。したがって、駆動モータ240,250の回転速度を適宜制御することにより、送給ローラ210によるワイヤWの送給を瞬時に逆転(反転)することが可能である。このようなワイヤ送給装置201は、溶接時におけるワイヤW先端と母材との間に発生する短絡現象を回避するのに適しており、溶接品質を高めるうえで好ましい。
【0034】
図9〜図21は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0035】
図9〜図11は、本発明の第2実施形態に係るワイヤ送給装置を示している。本実施形態のワイヤ送給装置202は、回転駆動機構230の構成が上述した実施形態と大きく異なっている。
【0036】
本実施形態の回転駆動機構230は、駆動モータ240と、ピニオンギア241と、ギア241Aと、支持部材242と、ギア243,244と、リングギア245と、中間回転体246,247とを備えている。本実施形態においては、ワイヤ送給のための駆動源として1つの駆動モータ240のみを備え、上記実施形態の駆動モータ250を備えていない。また、上記実施形態のアイドルギア252を具備しない代わりに、2つの中間回転体246,247を備えている。
【0037】
ギア241Aは、駆動モータ240の出力軸に設けられており、ピニオンギア241とは軸方向における位置が異なっている。
【0038】
中間回転体246は、ピニオンギア241(ギア241A)の回転軸心と平行な回転軸心周りに回転可能とされており、外周に設けられたギア246aと、側面に設けられた一対の突起246bとを有する。ギア246aは、ギア241Aに噛み合っている。これにより、駆動モータ240が回転駆動すると、中間回転体246は、駆動モータ240の回転駆動力が伝達されて回転する。一対の突起246bは、中間回転体246の回転軸心を挟んで向かい合う位置に配置されている。
【0039】
中間回転体247は、ピニオンギア241(ギア241A)の回転軸心と平行な回転軸心周りに回転可能とされており、外周には、トグルギア247aとギア247bとが設けられている。トグルギア247aには、所定方向(図10において反時計回り)のみの回転を許容しつつ、反対方向(時計回り)の回転を阻止する係止爪248が係合している。これにより、中間回転体247は、所定方向のみに回転可能となっている。トグルギア247aはまた、中間回転体246に設けられた突起246bの移動経路上にあり、中間回転体246の回転による突起246bの押圧を受ける。これより、中間回転体246が回転すると、中間回転体247は、上記所定方向に間欠回転させられる。ギア247bは、リングギア245の外周ギア245bに噛み合っている。これにより、中間回転体247が上記したように間欠回転すると、リングギア245も間欠回転する。
【0040】
このようなことから理解されるように、リングギア245は、駆動モータ240の回転駆動力によって作動し、中間回転体246,247および係止爪248は、リングギア245を間欠回転させる間欠駆動機構を構成している。
【0041】
次に、上記構成のワイヤ送給装置202の動作について説明する。
【0042】
図12に示すように、駆動モータ240を矢印N20で示す方向に回転駆動させると、ピニオンギア241と噛み合うギア243,244は、それぞれが矢印N21方向に回転する。また、駆動モータ240の回転駆動に伴い、ギア241Aを介して中間回転体246が回転させられる。
【0043】
ここで、中間回転体246の突起246bが中間回転体247のトグルギア247aを押圧していないとき、中間回転体247は、係止爪248によって反対方向(図12における時計回り)の回転が阻止されて停止状態にあり、リングギア245も停止状態にある。これにより、駆動モータ240の矢印N20方向への回転にともない、ピニオンギア241と噛み合うギア243,244は、それぞれが矢印N21方向に回転しながら、停止状態にあるリングギア245の内周ギア245aによる反力を受けて、ピニオンギア241の周りを矢印N22方向(図12において反時計回り)に移動する。これに伴い、ギア243,244を支持する支持部材242、およびこの支持部材242と一体な送給ローラ210は、矢印N23方向(図12において反時計回り)に回転する。この矢印N23方向が送給ローラ210の正転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは図中矢印N24方向(溶接トーチ300側)に送り出される。
【0044】
一方、図13に示すように、中間回転体246の突起246bが中間回転体247のトグルギア247aを押圧するとき、中間回転体247は、矢印N25方向に回転し、リングギア245も回転する。リングギア245の矢印N26方向への回転は、送給ローラ210の戻り方向への回転速度成分として寄与する。ここで、リングギア245の回転速度(ギア数)は、ピニオンギア241の回転速度(ギア数)よりも速くされている。このため、リングギア245の間欠回転時には、送給ローラ210は瞬時に戻り方向に逆転(反転)する。このとき、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは図中矢印N27方向(溶接トーチ300とは反対側)に戻される。
【0045】
本実施形態のワイヤ送給装置202においては、駆動モータ240の一方向の回転駆動によって、送給ローラ210を正転方向に回転させてワイヤWを送給することができる。また、駆動モータ240の回駆駆動力の分配を受けて作動する中間回転体246,247の間欠回転時には、送給ローラ210によるワイヤWの送給を瞬時に逆転(反転)することが可能である。このようなワイヤ送給装置202は、溶接時におけるワイヤW先端と母材との間に発生する短絡現象を回避するのに適しており、溶接品質を高めるうえで好ましい。
【0046】
図14は、本発明の第3実施形態に係るワイヤ送給装置を示している。本実施形態のワイヤ送給装置203は、回転駆動機構230の構成が上記実施形態と異なっている。
【0047】
本実施形態の回転駆動機構230は、駆動モータ240と、ピニオンギア241と、支持部材242と、ギア243,244と、リングギア245と、中間回転体247とを備えている。本実施形態においては、ワイヤ送給のための駆動源として1つの駆動モータ240のみを備える。
【0048】
本実施形態においては、上記第2実施形態と同様に間欠歯車機構を有するが、中間回転体246が省略されており、1つの中間回転体247のみを有する。より具体的には、駆動モータ240の出力軸に対して、中間回転体247のトグルギア247aを押圧するための突起241bが設けられている。リングギア245は、上記実施形態の外周ギア245bを有しておらず、これに代えて、内周ギア245cを有する。内周ギア245cと内周ギア245aとは、軸方向の位置が異なっている。中間回転体247のギア247bは、リングギア245の内周ギア245cに噛み合っている。
【0049】
次に、上記構成のワイヤ送給装置203の動作について説明する。
【0050】
図14に示すように、駆動モータ240を矢印N30で示す方向に回転駆動させると、ピニオンギア241と噛み合うギア243,244は、それぞれが矢印N31方向に回転する。また、駆動モータ240の回転駆動に伴い、突起241bが回転させられる。
【0051】
ここで、突起241bが中間回転体247のトグルギア247aを押圧していないとき、リングギア245は、係止爪248によって反対方向の回転が阻止されて停止状態にある。これにより、駆動モータ240の矢印N30方向への回転にともない、ピニオンギア241と噛み合うギア243,244は、それぞれが矢印N31方向に回転しながら、停止状態にあるリングギア245の内周ギア245aによる反力を受けて、ピニオンギア241の周りを矢印N32方向に移動する。これに伴い、ギア243,244を支持する支持部材242、およびこの支持部材242と一体な送給ローラ210は、矢印N32方向に回転する。この矢印N32方向が送給ローラ210の正転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは、溶接トーチ300側に送り出される。
【0052】
一方、図15に示すように、突起241bが中間回転体247のトグルギア247aを押圧するとき、中間回転体247は、矢印N33方向に回転し、リングギア245も矢印N34方向に回転する。リングギア245の矢印N34方向への回転は、送給ローラ210の戻り方向への回転速度成分として寄与する。ここで、リングギア245の回転速度(ギア数)は、ピニオンギア241の回転速度(ギア数)よりも速くされている。このため、リングギア245の間欠回転時には、送給ローラ210は瞬時に戻り方向(矢印35方向)に逆転(反転)する。このとき、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは、溶接トーチ300とは反対側に戻される。
【0053】
本実施形態のワイヤ送給装置203においては、駆動モータ240の一方向の回転駆動によって、送給ローラ210を正転方向に回転させてワイヤWを送給することができる。また、駆動モータ240の回駆駆動力の分配を受けて作動する中間回転体247の間欠回転時には、送給ローラ210によるワイヤWの送給を瞬時に逆転(反転)することが可能である。このようなワイヤ送給装置203は、溶接時におけるワイヤW先端と母材との間に発生する短絡現象を回避するのに適しており、溶接品質を高めるうえで好ましい。
【0054】
図16は、本発明の第4実施形態に係るワイヤ送給装置を示している。本実施形態のワイヤ送給装置204は、回転駆動機構230の構成が上記実施形態と大きく異なっている。
【0055】
本実施形態の回転駆動機構230は、駆動モータ240,250と、駆動モータ240,250の出力軸に設けられたべベルギア260,270と、支持部材280と、一対のベベルギア281,282と、を備えている。
【0056】
支持部材280は、送給ローラ210に対して一体的に固定された枠状部材からなり、ベベルギア260の回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能とされている。ベベルギア281,282は、支持部材280に対して回転自由に支持されており、それぞれがベベルギア260,270に噛み合っている。ベベルギア281,282は、本発明でいう第2ギアの一例である。
【0057】
次に、上記構成のワイヤ送給装置204の動作について説明する。
【0058】
図17に示すように、駆動モータ240を矢印N40で示す方向に回転駆動させると、ベベルギア260と噛み合うベベルギア281,282は、それぞれが矢印N41方向に回転する。
【0059】
ここで、駆動モータ250は、停止状態にあるか、または駆動モータ240よりも低速で矢印N42方向に回転している。このとき、駆動モータ240(ベベルギア260)の回転速度が駆動モータ250(ベベルギア270)の回転速度よりも高速であるので、ベベルギア281,282を支持する支持部材280、およびこの支持部材280と一体な送給ローラ210は、矢印N43方向に回転する。この矢印N43方向が送給ローラ210の正転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは、溶接トーチ300側に送り出される。
【0060】
一方、図18に示すように、駆動モータ250を駆動モータ240よりも高速で矢印N42方向に回転させると、支持部材280、およびこの支持部材280と一体な送給ローラ210は、矢印N44方向に回転する。この矢印N44方向が送給ローラ210の逆転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは、溶接トーチ300とは反対側に戻される。
【0061】
本実施形態のワイヤ送給装置204において、支持部材280は送給ローラ210を一体的に有し、この支持部材280に対して回転自在に支持されたベベルギア281,282は、駆動モータ240によって回転させられるベベルギア260に噛み合っている。このため、上記したように、駆動モータ240の回転駆動によって、支持部材280が一方向に回転し、送給ローラ210を正転方向に回転させる。一方、ベベルギア281,282は、ベベルギア270にも噛み合っており、このベベルギア270は、駆動モータ250によって回転が制御される。このため、駆動モータ250の回転駆動によって、支持部材280が上記一方向とは反対の方向に移動し、送給ローラ210を逆転方向に回転させる。
【0062】
そして、本実施形態において、駆動モータ240,250は、いずれも一方向のみに回転させて使用するので、たとえばモータを正転ないし逆転に切り換えて使用する場合と異なり、瞬時に回転速度を増速ないし減速するパルス制御が可能である。したがって、駆動モータ240,250の回転速度を適宜制御することにより、送給ローラ210によるワイヤWの送給を瞬時に逆転(反転)することが可能である。このようなワイヤ送給装置204は、溶接時におけるワイヤW先端と母材との間に発生する短絡現象を回避するのに適しており、溶接品質を高めるうえで好ましい。
【0063】
図19は、本発明の第5実施形態に係るワイヤ送給装置を示している。本実施形態のワイヤ送給装置205は、回転駆動機構230の構成が上記実施形態と異なっている。
【0064】
本実施形態の回転駆動機構230は、駆動モータ240と、駆動モータ240の出力軸に設けられたべベルギア260と、ギア261と、支持部材280と、一対のベベルギア281,282と、アイドルギア262と、増速ギア263と、アイドルギア264と、クラッチ265と、ベベルギア266と、ブレーキ267と、を備えている。本実施形態においては、ワイヤ送給のための駆動源として1つの駆動モータ240のみを備え、上記第4実施形態の駆動モータ250を備えていない。
【0065】
ギア261は、駆動モータ240の出力軸に設けられており、ベベルギア260とは軸方向における位置が異なっている。
【0066】
アイドルギア262は、ベベルギア260(ギア261)の回転軸心と平行な回転軸心周りに回転可能とされており、ギア261に噛み合っている。増速ギア263は、外周ギア263a,263bを備える。外周ギア263aは、アイドルギア262に噛み合っており、外周ギア263bは、アイドルギア264に噛み合っている。外周ギア263bの歯数は、外周ギア263aの歯数よりも大とされており、駆動モータ240の回転駆動時には、ベベルギア260(ギア261)の回転速度よりもアイドルギア264の回転速度の方が大となっている。クラッチ265は、アイドルギア264およびベベルギア266の間を、接続状態と分離状態とに切り換えるためのものである。ブレーキ267は、ベベルギア266を制動して当該ベベルギア266を停止させるものである。
【0067】
支持部材280は、送給ローラ210に対して一体的に固定された枠状部材からなり、ベベルギア260の回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能とされている。ベベルギア281,282は、支持部材280に対して回転自由に支持されており、それぞれがベベルギア260,266に噛み合っている。ベベルギア281,282は、本発明でいう第2ギアの一例である。
【0068】
次に、上記構成のワイヤ送給装置205の動作について説明する。
【0069】
図20に示すように、駆動モータ240を矢印N50で示す方向に回転駆動させると、ベベルギア260と噛み合うベベルギア281,282は、それぞれが矢印N51方向に回転する。また、駆動モータ240の回転駆動に伴い、ギア261,アイドルギア262、および増速ギア263を介してアイドルギア264が矢印N52方向に高速回転させられる。
【0070】
ここで、クラッチ265を分離状態とし、かつブレーキ267を作動させると、ベベルギア266は停止状態にある。このとき、ベベルギア281,282を支持する支持部材280、およびこの支持部材280と一体な送給ローラ210は、矢印N53方向に回転する。この矢印N53方向が送給ローラ210の正転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは、溶接トーチ300側に送り出される。
【0071】
一方、図21に示すように、クラッチ265を接続状態とし、かつブレーキ267を開放させると、ベベルギア266は、アイドルギア264とともに矢印N54方向に高速回転する。すなわち、ベベルギア266は、駆動モータ240の回転駆動力の分配を受けて作動する。このとき、ベベルギア266はベベルギア260よりも高速で回転しているので、支持部材280、およびこの支持部材280と一体な送給ローラ210は、矢印N55方向に回転する。この矢印N55方向が送給ローラ210の逆転方向であり、送給ローラ210および加圧ローラ220に挟まれたワイヤWは、溶接トーチ300とは反対側に戻される。
【0072】
本実施形態のワイヤ送給装置205においては、駆動モータ240の一方向の回転駆動によって、送給ローラ210を正転方向に回転させてワイヤWを送給することができる。また、駆動モータ240の回駆駆動力の分配を受けて作動するベベルギア266の回転時には、送給ローラ210によるワイヤWの送給を瞬時に逆転(反転)することが可能である。このようなワイヤ送給装置202は、溶接時におけるワイヤW先端と母材との間に発生する短絡現象を回避するのに適しており、溶接品質を高めるうえで好ましい。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るワイヤ送給装置の各部の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
100 溶接装置
180 ロボット制御装置(制御手段)
200,201,202,203,204,205 ワイヤ送給装置
210 送給ローラ
220 加圧ローラ
230 回転駆動機構
240 駆動モータ
241 ピニオンギア(第1ギア)
241A ギア
242 支持部材
243,244 ギア(第2ギア)
245 リングギア(第3ギア)
245a 内周ギア
245b 外周ギア
245c 内周ギア
246 中間回転体(第1中間回転体)
246a ギア
246b 突起
247 中間回転体(第2中間回転体)
247a トグルギア
247b ギア
248 係止爪
250 (追加の)駆動モータ(制御手段)
251 ピニオンギア
252 アイドルギア
260 ベベルギア(第1ギア)
261 ギア
262 アイドルギア
263 増速ギア
264 アイドルギア
265 クラッチ
266 ベベルギア(第3ギア)
267 ブレーキ
270 ベベルギア(第3ギア)
280 支持部材
281,282 ベベルギア(第2ギア)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接用のワイヤを送り出すための送給ローラと、上記送給ローラを回転駆動させる回転駆動機構と、を備えたワイヤ送給装置であって、
上記回転駆動機構は、
駆動モータと、
上記駆動モータによって回転させられる第1ギアと、
上記第1ギアの回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能であるとともに上記送給ローラを一体的に有する支持部材と、
上記支持部材に対して回転自由に支持され、上記第1ギアに噛み合う1または複数の第2ギアと、
上記第1ギアの回転軸心と同一の回転軸心周りに回転可能であり、上記第2ギアに噛み合う第3ギアと、
上記第3ギアの回転を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする、ワイヤ送給装置。
【請求項2】
上記第2ギアの回転軸心は、上記第1ギアの回転軸心と平行であり、
上記第3ギアは、内周が上記第2ギアに噛み合う、リングギアである、請求項1に記載のワイヤ送給装置。
【請求項3】
上記第1ギアは、ベベルギアであり、
上記第2ギアは、上記第1ギアに噛み合うベベルギアであり、
上記第3ギアは、上記第2ギアに噛み合うベベルギアである、請求項1に記載のワイヤ送給装置。
【請求項4】
上記制御手段は、上記第3ギアを回転させる追加の駆動モータを備える、請求項1ないし3のいずれかに記載のワイヤ送給装置。
【請求項5】
上記制御手段は、上記駆動モータの回転駆動力の分配を受けて作動し、上記第3ギアを間欠回転させる間欠駆動機構を備える、請求項1ないし3のいずれかに記載のワイヤ送給装置。
【請求項6】
上記制御手段は、上記駆動モータの回転駆動力の分配を受けて作動し、上記第3ギアを間欠回転させる間欠駆動機構を備える、請求項2に記載のワイヤ送給装置であって、
上記間欠駆動機構は、
上記第1ギアの回転軸心と平行な回転軸心周りに回転可能であるとともに、上記駆動モータの回転駆動力が伝達されて回転し、側面に突起を有する第1中間回転体と、
上記第1ギアの回転軸心と平行な回転軸心周りに所定方向のみに回転可能であるとともに、上記第1中間回転体の回転による上記突起の押圧を受けて上記所定方向に間欠回転させられ、この間欠回転によって上記第3ギアを所定方向に間欠回転させる第2中間回転体と、
を備えている、ワイヤ送給装置。
【請求項7】
上記第2中間回転体の間欠回転の上記第3ギアの間欠回転への伝達は、両者に設けたギアが噛み合うことにより行われる、請求項6に記載のワイヤ送給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−75320(P2013−75320A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216963(P2011−216963)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)