説明

ワインを分類および選択する方法と装置

フルーツフレーバおよび非フルーツフレーバでワインを分類する装置と方法が提供される。フルーツフレーバの観点からワインを採点する第1のスケールが提供され、非フルーツフレーバの観点からワインを採点する第2のスケールが提供される。第1および第2のスケールを2次元のチャートに表示してもよく、ワインのフレーバ情報を視覚的に伝達するためにチャート上に特定のワインのフルーツスコアと非フルーツスコアを表示してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワインを分類および選択する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ワインの入手しやすさが著しく増した。消費者は、バー、レストラン、ワインショップのみならず、数多くのスーパーマーケット、大型店、ドラッグストアおよびコンビニエンスストアでもワインを購入できる。また、インターネットにアクセスできる消費者は、今や多数のオンラインワイン商店主およびワイン醸造所からワインを購入できる。特に、インターネットにより、インターネットがなければワイン醸造業者が利用できなかったであろう潜在市場に多くの小規模ワイン醸造所が達することができた。
【0003】
いまやワインは普及しているが、多くの人がワインを吟味して選択するプロセスに怖じけ付いている。実際、入手可能な多種多様の多数のワインは手に負えないように見えることが多い。ワイン選択プロセスの一助として、ワインを類別するための客観的材料に頼る顧客もいる。例えば、ブドウの品種または品種ブレンド(例えば、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、シラー等)、産地(例えば、ナパ・ヴァレー、ボルドー等)、収穫年(例えば、1999年、2000年等)または商品名(クロ・デュ・ボア・カベルネ・ソーヴィニヨン、スタグズ・リーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン等)に基づいてワインを分類できる。これらのカテゴリはワインを説明する方法を提供するものであるが、ワインのフレーバの予測判断材料として信頼できるものではなく、ワインのフレーバの違いを比較する指標には程遠い。したがって、消費者はこれらのカテゴリに基づいてワインのフレーバを推測することしかできない。
【0004】
このような分類システムの進展のない性質を克服するため、一部のワインの専門家およびワイン雑誌が他の基準に基づいてワインを類別するシステムを開発した。例えば、ロバート・パーカおよびステファン・タンザをはじめとするワイン評論家はワインを分類する格付けスケールを開発した。この格付けスケールは一般に、50点を最低割当て得点、100点を最高割当て得点とする、ワインの品質を格付けするための100点スケールを使用する。それぞれのワインは、色、外見、香り、ブーケ、余韻など、種々のファクタのいずれかに基づいてスケールの得点または得点範囲(例えば90〜100)が割り当てられる。このような格付けは、ワインの全体品質についてやりとりされる情報においては効力があるが、フレーバの点でワインを類別する助けにはほとんどならない。
【0005】
この限界を克服するために、ワインの得点に、ワインのフレーバに関する説明が添付されていることがある。例えば、WineAdvocate誌、156号、19ページには、ある格付けられたワインのことが「新しいオーク樽の、ベーコン脂肪、ブラックベリー、エスプレッソ、バニリンを彷彿とさせる芳醇な燻製風味。高い純度、素晴らしい舌触り、豊かなアルコール分(過度ではない)、伸びのある余韻と柔らかいタンニンを備え、濃厚でこくがある。・・・」と説明されている。そのような概説は鮮明な感覚を引き起こすみずみずしい記述を含むが、その論評には明確かつ一貫性のあるワインフレーバの定義法や比較法がない。事実、顧客が「芳醇な燻製風味」と説明されたワインと「ミネラル、洋ナシ、青リンゴフルーツのピンと張ったゆるぎない輝き」を持つ別のワインを比較するのは困難である。
【0006】
ワインを特徴づけるプロセスにいくらかの一貫性を加える試みで、一部のワイン専門家は、ワインのフレーバの説明に使う統一表現様式を提案している。例えば、デービスにあるカリフォルニア大学のアン・シー・ノーブル博士は、ワインのフレーバを説明するのに用いられる特定の用語を含む「ワインアロマホイール」を開発した。このワインアロマホイールは、3つの同心円ホイールを含む。最も内側のホイールは、一般的なワインフレーバ/香り(例えば、「花系」、「スパイス系」、「フルーツ系」、「ナッツ系」等)を説明する12の扇形部に細分されている。中央のホイールは、最も内側のホイールのワインフレーバ/香りを詳しく定義する27の関連する扇形部に細分されている(例えば、「フルーツ系」は、「シトラス」、「ベリー」、「(木になる)フルーツ」、「(トロピカル)フル―ツ」、「(ドライ)フルーツ」、「その他」にさらに細分されている)。最後に、外側のホイールは、中央のホイールのワインフレーバ/香りをさらに明細に定義する87の関連する扇形部に細分されている(例えば、「ベリー」を、「ブラックベリー」、「ラズベリー」、「イチゴ」、「クロフサスグリ/カシス」にさらに定義する)。
【0007】
特定のワインのフレーバ/香りを説明するために、鑑定師は最初に内側ホイールから、1つまたはそれより多い一般的な説明を選択し、次に、残りの2つのホイールから関連する説明を引き続き選択することによって説明をさらに詳細化する。このように、ある特定のワインを、「スカンク臭/汗臭/青豆/メロン」、「ホコリ臭/ゴム臭/マッチの燃えカス/イチゴジャム/スミレ/醤油」または外側ホイールの明細な説明の他の組み合わせとして説明できる。このアロマホイールは、ワインフレーバを説明するための一貫性のある表現様式を提供するものであるが、ワインフレーバを簡単に比較して評価するための簡素で直観的にわかるシステムを提供するものではない。事実、「レモン/グレープフルーツ/リンゴ/オレンジの花」というフレーバプロフィールを持つ第1のシャルドネと、「ヘーゼルナッツ/オーク/アプリコット/バナナ」というフレーバプロフィールを持つ第2のシャルドネと、「レモン/洋ナシ/バタースコッチ/バニラ」というフレーバプロフィールを持つ第3のシャルドネの3種類のシャルドネを比較するのは多くの顧客にとって少し厄介である。
【0008】
ワインの分類プロセスを簡素化するために、比較的少数のフレーバカテゴリでワインを特徴付けるシステムもある。例えば、ベストセラー・インコーポレイテッド (Best Cellars, Inc.) は、ワインを「発泡性」、「フレッシュ」、「ソフト」、「芳醇」、「若々しい」、「口当たりがよい」、「卓越」、「甘口」を含む8通りの「スタイルカテゴリ」の1つでワインを分類している。このようなカテゴリは非常に高レベルなワイン分類を行うために用いられるが、多くのワインは予め定められたこの8通りのカテゴリのいずれにも該当しない。例えば、「若々しい」ワインは「ライトボディの赤ワイン。フルーツ系、アップフロント、すぐに飲める」と定義されるが、「口当たりがよい」ワインは「ミディアムボディの赤ワイン。まろやか、端麗、非常に洗練された」と定義される。一般的なロワール・ヴァレイ・カベルネ・フランは、ライトボディの赤ワインであるが、特段フルーティでないことが多い。良いオレゴン・ピノ・ノワールは、強くアップフロントなフルーツフレーバを備えるが、ミディアムボディでまろやかでもある。このように、どちらのワインも、ベストセラー・システムで用いられる大まかなカテゴリのどれかにたやすく当てはめられないように思われる。
【0009】
前述したことに鑑み、単純かつ簡単に分かるようにワインを分類する方法および装置を提供することが望ましい。
また、相対的なワインフレーバを伝えるために使えるようにワインを分類する方法および装置を提供することが望ましい。
また、ワイン間のフレーバの違いの比較に使えるようにワインを分類する方法および装置を提供することが望ましい。
また、ワインを首尾一貫して体系的に分類する方法および装置を提供することが望ましい。
また、包括的にワインを分類する方法および装置を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、はっきりとしたフルーツフレーバおよび非フルーツフレーバの観点からワインを分類する装置および方法を提供する。相対的フルーツフレーバレベルの観点からワインを採点する第1のスケールが提供され、相対的非フルーツフレーバレベルの観点からワインを採点する第2のスケールが提供される。第1および第2のスケールは、それぞれが、低、中、高の値を備えている。低、中、高のフルーツフレーバを備えるワインを区別し、区別されたワインを第1のスケール上の低、中、高スコアにそれぞれ対応させることによって、第1のスケールを較正できる。低、中、高の非フルーツフレーバを備えるワインを区別し、区別されたワインを第2のスケール上の低、中、高スコアにそれぞれ対応付けさせることによって、第2のスケールを較正できる。ワインをテイスティングし、そのワインのフルーツフレーバおよび非フルーツフレーバを、すでに2つのスケールのスコアに対応付けられている別のワインのフルーツフレーバおよび非フルーツフレーバと比較し、次いで、第1のスケールの第1のスコアおよび第2のスケールの第2のスコアをこのワインに割り当てることによって第1および第2のスケールを用いてワインを分類できる。
【0011】
第1および第2のスケールは、第1のスケールが第1の軸に沿って表示され、第2のスケールが第2の軸に沿って表示される、2次元のワイン分類チャートで表示できる。第1の軸の中心が第2の軸の中心と一致していてもよい。特定のワインのフルーツスコアおよび非フルーツスコアをチャートに表示して、ワインフレーバに関する情報を視覚的に伝達することができる。ワイン分類チャートは複数のフレーバカテゴリ領域に分けることもできる。フレーバカテゴリ領域が、第1および第2の軸によって形成される4つの象限と一致していてもよい。
【0012】
本発明によるワイン分類チャートは、あるワインに関するフルーツおよび非フルーツフレーバの情報を、チャート上の1種類以上の他のワインと比較して伝達するために用いることができる。また、本発明によるワイン分類チャートは、複数のワインカテゴリまたはワイングループのフルーツおよび非フルーツフレーバに関する情報を記録して視覚的に伝達するために用いることができる。また、本発明によるワイン分類チャートは、ワインおよびワインカテゴリを、他のワインおよび他のワインカテゴリとのフルーツおよび非フルーツフレーバの違いに基づいて選択するために用いることができる。
【0013】
本発明の特徴は、一貫して同じ参照番号が同じ構成要素を指す以下の図面とともに考えられた以下の詳細な説明からさらに明確に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1を参照すると、フルーツフレーバおよび非フルーツフレーバでワインを特徴付ける本発明による第1の例示的な方法が示されている。最初にステップ10において、相対的フルーツフレーバレベルにの観点からワインを採点するための第1のスケールを提供する。本願明細書で言う「フルーツフレーバ」は、リンゴ、モモ、チェリー、プラム、洋ナシ、イチゴ、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、マンゴ、ザクロ、メロンおよび他の同様なフルーツを一般に連想させる味の感じなど、直感的にフルーツを連想させる味の感じ(香りと味わいを含む)を含む。第1のスケールは、(a)フルーツの香り、味わい、余韻の強さ、(b)酸味バランス、(c)検知されるフルーツの数と種類など、種々のファクタに基づき得る相対的フルーツフレーバレベルを示すために用いられる。
【0015】
強烈なフルーツの香り、強いフルーツフレーバおよび長く続くフルーツの味わいを備えたワインは、フルーツの香りもしくは味わいがほとんどないかまたは全くないワイン、または瞬間的なフルーツの味わいを備えたワインよりも、フルーツスケールで高いスコアとなる。同様に、優れた酸味バランスを備えたワインは、酸味過剰(例えば、舌の上で鋭い酸味があり、口がすぼめさせるワイン)または酸味不足(例えば、ストラクチャが足りなくて、フルーツフレーバの味わいを曖昧にさせるワイン)のワインよりも、フルーツスケールで高いスコアとなる。同様に、複数のフルーツフレーバおよび複数のフルーツフレーバタイプ(例えば、果樹になるフルーツ、トロピカルフルーツおよびベリー類の組み合わせ)を示すワインは、1つまたは2つのフルーツフレーバまたは1タイプのフルーツフレーバしか有しないワインよりも、フルーツスケールで高いスコアとなる。
【0016】
次にステップ12において、相対的非フルーツフレーバレベルの観点からワインを採点する第2のスケールを提供する。本願明細書で言う「非フルーツフレーバ」は、ワインに多くあるが、フルーツを直感的に連想させない、香りと味の感じの両方を備えている。例えば、一般的な非フルーツフレーバは、オーク、杉、バニラ、土、煙、スパイス、キノコおよび他の同様な非フルーツフレーバを含む。第2のスケールは、(a)フルーツの香り、味わい、余韻の強さ、(b)タンニンのバランス、(c)検知される非フルーツフレーバの数と種類など、種々のファクタに基づき得る相対的非フルーツフレーバレベルを示すために用いられる。
【0017】
強烈な非フルーツの香り、強い非フルーツフレーバおよび長く続く非フルーツの味わいを備えたワインは、非フルーツの香りもしくは味わいがほとんどないもしくは全くないワイン、または瞬間的な非フルーツの味わいを備えたワインよりも、非フルーツスケールで高いスコアとなる。同様に、優れたタンニンバランスを有するワイン(一般に、赤ワインにのみ該当)は、タンニンのバランスがとれていないワイン(例えば、舌が乾いてザラザラするように感じさせるワイン、またはフレーバを一緒に保持するタンニンストラクチャが不足し、締まりのない感じをもたらすワイン)よりも非フルーツスケールで高いスコアとなる。同様に、複数の非フルーツフレーバおよび複数の非フルーツフレーバタイプ(例えば、有機フレーバ、土のフレーバおよび木のフレーバの組み合わせ)を示すワインは、1つまたは2つの非フルーツフレーバまたは1タイプのフルーツフレーバしか有しないワインよりも、非フルーツスケールで高いスコアとなる。
【0018】
フルーツスケールおよび非フルーツスケールは、それぞれ、フルーツフレーバおよび非フルーツフレーバの相対的なレベルでワインを分類するために用いることができる、数字によるスコア、アルファベットによるスコアもしくはいずれか他の同様なスコア、またはその組み合わせを割り当てるために用いられる、知覚できるスケールである。したがって、フルーツスケールはフルーツフレーバを低スコア0から高スコア100まで採点するのに用いられる数字によるスケールとすることができ、非フルーツスケールは非フルーツフレーバを低スコア0から高スコア100まで採点するのに用いられる数字によるスケールとすることができる。あるいは、フルーツスケールはフルーツフレーバを低スコアAから高スコアEまで採点するのに用いられるアルファベットによるスケールとすることができ、非フルーツスケールは非フルーツフレーバを低スコア−10から高スコア+10まで採点するのに用いられる数字によるスケールとすることができる。したがって、当業者は2つのスケールのタイプおよび範囲が同様であってもよいし、異なっていてもよいことがわかる。
【0019】
各スケール上のスコアは、ワインの品質に関する情報の伝達には用いられないが、その代わりに、評価対象のパラメータ(すなわち、フルーツまたは非フルーツ)の相対的なレベルに関する情報を伝えるために用いられる。したがって、フルーツスケールのスコア値が1〜10の範囲である場合、スコア1の第1のワインは、スコア10の第2のワインと比べて「悪い」ワインというのではない。そうではなく、第2のワインと比較すると第1のワインのフルーツフレーバのほうが少ないということであり、2つのワインの品質とは無関係である。同様に、非フルーツスケールがA〜Eの範囲のスコア値を有し、第1のワインがスコアDで、第2のワインがスコアBである場合、第2のワインの相対的非フルーツフレーバは第1のワインよりも少ない。
【0020】
再び図1を参照すると、ステップ14で、フルーツスケールについて低、中および高スコアに対応付けられるワインを判断する。この較正ステップでは、ワイングループの味がテストされ、このグループのうちの1つまたはそれより多いワインが、フルーツスケールの低スコア、中スコアおよび高スコアに対応付けられる。ある範囲のフルーツフレーバを示すワインコレクションをワイングループに含むこともできる。例えば、ワイングループは、ある地理的領域(例えば、米国)で販売されているすべてのワインコレクション、収集家のワインセラーに含まれている一部のワイン、特定食料品店で入手できるワインの全て、または他の同様なワイングループなどであってもよい。ワイングループは赤ワインおよび白ワインを含むこともできるし、一色のワインに限定することもできる。同様に、ワイングループは無発泡性および発泡性のワインを含むこともできるし、一方または他方のタイプのワインに限定することもできる。
【0021】
グループ内のワインのテイスティングがなされた後、1つまたはそれより多いワインがフルーツスケール上の低スコアに割り当てられる。例えば、フルーツスケールのスコアが1〜100の範囲である場合、グループ内で最低の相対的フルーツフレーバレベルを有するワインにはスコア1が割り当てられる。同様に、グループ内で最高の相対的フルーツフレーバレベルを有するワインにはスコア100が割り当てられ、グループ内で「平均的な」相対的フルーツフレーバレベルを有するワインにはスコア50が割り当てられる。例えば、フルーツスケールに関する較正ステップの結果は次表のように表すことができる。
【表1】

【0022】
再び図1を参照すると、ステップ16で、非フルーツスケールについて低、中および高スコアに対応付けられるワインを判断する。これについて、ワイングループが評価され、このグループのうちの1つまたはそれより多いワインが、非フルーツスケールの低スコア、中スコアおよび高スコアに対応付けられる。ある範囲の非フルーツフレーバを示すワインコレクションをワイングループに含むこともできる。ワイングループはステップ14で用いられたグループと同じであってもよいし、別のワイングループとすることもできる。
【0023】
グループ内のワインのテイスティングがなされた後、1つまたはそれより多いワインが非フルーツスケール上の低スコアに割り当てられる。例えば、非フルーツスケールのスコアがA〜Eの範囲である場合、グループ内で最低の相対的非フルーツフレーバレベルを有するワインにはスコアAが割り当てられる。同様に、グループ内で最高の相対的非フルーツフレーバレベルを有するワインにはスコアEが割り当てられ、グループ内で「平均的な」相対的非フルーツフレーバレベルを有するワインにはスコアCが割り当てられる。例えば、非フルーツスケールに関する較正ステップの結果は次表のように表すことができる。
【表2】

【0024】
前述した較正プロセスは、一人またはそれより多いワイン鑑定師を使ったり、他の同様な技術によって実施したりすることができる。例えば、較正プロセスは、熟練したワイン鑑定師、ソムリエ、ワイン専門家集団、ワイン雑誌のテイスティングパネル、または他の同様の個人または個人グループによって実施されてもよい。この較正プロセスは熟練したワイン鑑定師によって行われることが好ましいが、経験や教育とは無関係に誰でもこの較正プロセスを実行できることが当業者には分かる。したがって、この較正プロセスは、店員、大学の友愛会、または他の同様な個人または個人グループが実行してもよい。
【0025】
再び図1を参照すると、ステップ18で、ステップ10〜16で定められたフルーツおよび非フルーツスケールをワイン分類チャートに表示する。例示的なワイン分類チャートが図2に示されている。詳細には、ワイン分類チャート30aは、フルーツスケール32および非フルーツスケール34を含んでいる。フルーツスケール32は低スコアFL 、中スコアFM および高スコアFH を備え、非フルーツスケール34は低スコアNFL 、中スコアNFM および高スコアNFH を備える。
【0026】
再び図1を参照すると、ステップ20で、ワイン分類チャートを複数のフレーバカテゴリ領域に分割する。例えば、図2に示されているように、ワイン分類チャート30aは、ワイン分類チャートの対応する象限とそれぞれ関連付けられている4つの領域36a1 〜36d1 に分割することもできる。示されている例では、フレーバカテゴリ領域36a1 はフルーツスケール32の上位側半分および非フルーツスケール34の下位側半分のワインに対応付けられ、フレーバカテゴリ領域36b1 はフルーツスケール32の上位側半分および非フルーツスケール34の上位側半分のワインに対応付けられ、フレーバカテゴリ領域36c1 はフルーツスケール32の下位側半分および非フルーツスケール34の下位側半分のワインに対応付けられ、フレーバカテゴリ領域36d1 はフルーツスケール32の下位側半分および非フルーツスケール34の上位側半分のワインに対応付けられている。
【0027】
ワイン分類チャートはもっと多いまたはもっと少ないフレーバカテゴリ領域に分割できることと、フレーバカテゴリ領域はワイン分類チャートの4象限とぴったり一致していなくてもよいこととが当業者には分かる。例えば、図3は、49のフレーバカテゴリ領域R11〜R77に分割されたワイン分類チャート30bを示す。この例に示されているように、第4行および第4列のフレーバカテゴリ領域R41〜R47およびR14〜R74は、ワイン分類チャート30bの複数の象限の各部と重なる。また、フレーバカテゴリ領域が同じサイズでなくてもよいことも当業者には分かる。例えば、図4は、12のフレーバカテゴリ領域R11〜R34に分割されたワイン分類チャート30cを示すが、他のフレーバカテゴリ領域と同じサイズのものは皆無である。
【0028】
再び図1を参照すると、ステップ22で、種々のフレーバカテゴリ領域をワイン分類チャート上に表示する。再び図2を参照すると、このようにワイン分類チャート30aは、それぞれ「領域1」〜「領域4」と称されるフレーバカテゴリ領域36a1 〜36d1 を含んでいる。フルーツスケール32および非フルーツスケール34が「フルーツ」および「非フルーツ」以外の名称で呼ばれてもよいことと、フレーバカテゴリ領域36a1 〜36d1 も「領域1」〜「領域4」以外の名称で呼ばれてもよいこととが当業者には分かる。例えば、図5に示されているように、ワイン分類チャート30dは、「フルーツ」および「複雑香」でそれぞれ示されるフルーツスケール32および非フルーツスケール34と、「すっきり」、「濃厚」、「あっさり」、「ぼやけている (BROODING) 」と称されるフレーバカテゴリ領域36a1 〜36d1 とを含んでいる。簡単にするために、以下の記載では、図5に示されるように、フルーツフレーバのことを言うために「フルーツ」という用語を用い、非フルーツフレーバのことを言うために「複雑香」という用語を用い、4つのフレーバカテゴリ領域36a1 〜36d1 のことを言うために「すっきり」、「濃厚」、「あっさり」、「ぼやけている」という用語を用いることにする。
【0029】
図1のプロセスで作成される例示的なワイン分類チャートをはじめとする本発明によるワイン分類チャートは、個々のワインの「フルーツ」および「複雑香」に関する情報を記録して視覚的に伝達するために用いることができる。ここで図6を参照しながら、ワイン分類チャートを使ってワインを分類するための例示的なプロセスを説明する。最初にステップ40において、分類するためのワインを選ぶ。選択されるワインは、ワイン分類チャートを用いて分類できるワインであれば、どのようなワインであってもよい。例えば、ワイン分類チャートをすべてのワインに用いることができるのであれば、選択されるワインはどのようなワインであってもよい。しかし、ワイン分類チャートが1タイプのワイン(例えば、赤ワイン)を分類するためだけに作成されたものであった場合、選択されたワインは同じタイプに属するものであることが好ましい。
【0030】
次に、ステップ42で、ワイン分類チャートのフルーツスケールおよび複雑香スケールの低、中および高スコアに対応付けられたワインの味に精通している個人または個人グループが、選択されたワインをテイスティングする。これに関し、テイスティング担当者は、ワイン分類チャートを較正したのと同じ個人または個人グループであってもよいし、別の個人または個人グループであってもよい。テイスティング担当者が、フルーツスケールおよび複雑香スケールの低、中および高スコアに対応付けられたワインの味に精通していれば、選択されたワインをこのワイン分類チャートを用いて分類することができる。
【0031】
ステップ44で、低スコアFL 〜高スコアFH の間のフルーツスケールのスコアを選択されたワインに割り当てる。なお、選択されたワインに割り当てられるフルーツスコアは、FL 〜FH の間のフルーツスコアを有する別のワインのフルーツフレーバの範囲と比較される、このワインの相対的フルーツフレーバレベルに基づくものである。例えば、フルーツスケールが、低スコアFL =0および高スコアFH =100を有し、選択されたワインが、低スコア0に対応付けられたワインのフルーツフレーバより高いが、中スコア50に対応付けられたワインのフルーツフレーバよりも低いと感じられるフルーツフレーバを有する場合、選択されたワインにはフルーツスコア25を割り当てることができる。なお、テイスティングされ採点されるワインが多いほど、採点の正確さが増す。したがって、選択されたワインのフルーツフレーバが、フルーツスコア10のワインのフルーツフレーバよりも大きいが、フルーツスコア20のワインのフルーツフレーバより小さいと感じられる場合、選択されたワインはフルーツスコア15に割り当てることができる。
【0032】
同様に、ステップ46で、低スコアCL 〜高スコアCH の間の複雑香スケールのスコアを選択されたワインに割り当てる。なお、選択されたワインに割り当てられる複雑香スコアは、CL 〜CH の間の複雑香スコアを有する別のワインの非フルーツフレーバの範囲と比較される、このワインの相対的非フルーツフレーバレベルに基づくものである。例えば、複雑香スケールが、低スコアCL =0および高スコアCH =100を有し、選択されたワインが、中スコア50に対応付けられたワインの非フルーツフレーバより高いが、高スコア100に対応付けられたワインの非フルーツフレーバよりも低いと感じられるフルーツフレーバを有する場合、選択されたワインには複雑香スコア75を割り当てることができる。なお、テイスティングされ採点されるワインが多いほど、採点の正確さが増す。したがって、選択されたワインの非フルーツフレーバが、複雑香ツスコア80のワインの非フルーツフレーバよりも大きいが、複雑香スコア90のワインの非フルーツフレーバより小さいと感じられる場合、選択されたワインは複雑香スコア85に割り当てることができる。
【0033】
次に、ステップ48で、選択されたワインに割り当てられたフルーツおよび複雑香スコアを記録してもよい。例えば、スコアは、データベースなどのコンピュータファイルに記録したり、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、プログラム可能な読み出し専用メモリデバイス、フラッシュメモリデバイス、集積回路メモリデバイス、または他の同様な媒体など、コンピュータ読み出し可能な記憶メディアに格納できる。あるいは、このフルーツおよび複雑香スコアは、紙、黒板、ホワイトボード、または他の同様な媒体上にこのスコアを書き込むなど、適していればどのように記録してもよい。フルーツおよび複雑香スコアを記録することに加え、選択されたワインの、フレーバ以外の他の特徴を記録してもよい。例えば、選択されたワインの色、収穫年、産地、ブドウの品種、価格、品質、ワイン醸造業者、および他の同様なファクタも記録できる。また、選択されたワインについて記録されるフルーツおよび複雑香スコアは、試験者によって提供される個々のスコアに基づくものとすることもできるし、複数の試験者によって提供される複数のスコアに基づくものとすることもできる。例えば、選択されたワインのテイスティングを人々のグループで行って、共同で合意によってフルーツおよび複雑香スコアに割り当ててもよいし、フルーツおよび複雑香スコアに個別に割り当てを行ってから、各スケールのすべてのスコアの結果を平均してもよい。
【0034】
次に、ステップ50で、選択されたワインに対応付けられた識別マークを、記録されたフルーツおよび複雑香スコアに基づいてワイン分類チャート上にプロットしてもよい。例えば、図7は、5種類のワインのフルーツおよび複雑香スコアを表す複数の識別マーク60a〜60eを含む例示的なワイン分類チャート30eを示す。識別マーク60a〜60eのそれぞれが、特定のワインを一意に識別するために用いられる第1の独特な特徴(例えば、形状、大きさ、色または他の同様な特徴)を備えていてもよい。このように、識別マーク60aは第1のワイン(例えば「ワインA」)を識別するために用いられる六角形のマーカとすることができ、識別マーク60bは第2のワイン(例えば「ワインB」)を識別するために用いられる円形のマーカとすることができ、識別マーク60cは第3のワイン(例えば「ワインC」)を識別するために用いられる星型のマーカとすることができ、識別マーク60dは第4のワイン(例えば「ワインD」)を識別するために用いられる正方形のマーカとすることができ、識別マーク60eは第5のワイン(例えば「ワインE」)を識別するために用いられる五角形のマーカとすることができる。
【0035】
なお、独特の識別マーク60a〜60eを使用し、この識別マークをワイン分類チャート30e上に配置することを、5種類のワインの相対的な味に関する情報を視覚的に伝達するために用いる。実際、グループ内の他のすべてのワインに対する個々のワインに関する情報を伝達するためにワイン分類チャート30eを使うこともできる。例えば、例示的なワイン分類チャート30eは、ワインA(識別マーク60a)は穏やかなフルーツフレーバと比較的低い非フルーツフレーバを備えたあっさりしたワインであるが、ワインD(識別マーク60d)は非常に強いフルーツフレーバおよび非フルーツフレーバを有する濃厚なワインであることを示している。このように、ワイン分類チャートは、個々のワインに関するフレーバ情報を伝達するために用いることができる有用な表現様式となる。
【0036】
また、ワイン分類チャート30eは、チャート上の1つまたはそれより多い他のワインに対する、あるワインに関するフレーバ情報を伝達するために用いることもできる。例えば、例示的なワイン分類チャート30eは、ワインC(識別マーク60c)およびワインE(識別マーク60e)がほぼ同じ非フルーツフレーバレベルを備えているが、濃厚なワインに分類されているワインCは、ぼやけているワインに分類されているワインEよりずっと強いフルーツフレーバを備えていることを示している。同様に、ユーザがワインA(識別マーク60a)の味に精通していて、フルーツフレーバが同じくらいで、非フルーツフレーバがずっと高いワインを味わいたいのであれば、ワイン分類チャート30eは、ワインCが適切な選択であることを示す。このように、ワイン分類チャートは、互いのワインに関するフレーバ情報を伝達するために用いることもできる有用な表現様式となる。
【0037】
また、識別マーク60a〜60eは、チャート上に示されるワインに関する非フレーバ情報を伝達するために用いることができる第2の独特な特徴(例えば、形状、大きさ、色または他の同様な特徴)を有することもできる。例えば、ワインの品質またはワインの格付けスコアに関する情報を伝達するために識別マーク60の色を用いることもできる。このように、緑色の識別マーク60a(全面斜交平行線の模様を用いて示されている)が非常に高品質のワイン(例えば、特定のワイン格付けスケールで90〜100の品質スコアを有するワイン)を示し、青色の識別マーク60c(全面縞模様を用いて示されている)が中等品質のワイン(例えば、70〜90の品質スコアを有するワイン)を示すこともできる。同様に、チャート上のワインの産地に関する情報を伝達するために、識別マーク60と一緒に含まれるアルファベット記号を用いることもできる。このように、識別マーク60eはワインがフランス産であることを示す包含文字「F」を有し、識別マーク60dはワインがカリフォルニア産であることを示す包含文字「C」を有することもできる。チャート上に示されるワインに付随する他の非フレーバ特性を視覚的に伝達するために識別マーク60の他の特徴を用いることもできることが当業者には分かる。
【0038】
再び図6を参照すると、ステップ52で、別のワインを評価するか否かの判断を行う。別のワインを評価するのであれば、ステップ40に戻り、新しいワインを選択し、この新しいワインに対して、ステップ42〜50に記載されたテイスティング、採点、記録、およびプロットのプロセスを繰り返す。しかし、これ以上ワインの評価を行わないのであれば、プロセスを終了する。
【0039】
本発明によるワイン分類チャートは、複数のワインカテゴリまたはワイングループのフルーツおよび複雑香に関する情報を記録して視覚的に伝達するために用いることもできる。ここで図8を参照しながら、ワイン分類チャートを使って1つまたはそれより多いワインカテゴリを分類するための例示的なプロセスを説明する。最初にステップ70において、分類するためのワインカテゴリを選ぶ。例示的なカテゴリとして、色(例えば、赤、白)、泡立ち(例えば、発泡性、非発泡性)、地理的領域(例えば、カリフォルニア、フランス)、品種(例えば、ピノ・ノアール、マルヴェック)、または他の同様なカテゴリが掲げられる。
【0040】
次に、ステップ72で、選択されたカテゴリからワインを選択し、ステップ74で、ワイン分類チャートのフルーツスケールおよび複雑香スケールの低、中および高スコアに対応付けられたワインの味に精通している個人または個人グループが、選択されたワインをテイスティングする。ステップ76で、選択されたワインを、フルーツスケールの低スコアFL 〜高スコアFH の間のスコアに割り当て、ステップ78で、複雑香スケールの低スコアCL 〜高スコアCH の間のスコアに割り当てる。ステップ80で、選択されたワインに割り当てられたフルーツおよび複雑香スコアを記録してもよい。次に、ステップ82で、選択されたカテゴリの別のワインを評価するか否かの判断を行う。別のワインを評価するのであれば、ステップ72に戻り、選択されたカテゴリから新しいワインを選択し、この新しいワインに対して、ステップ74〜80に記載されたテイスティング、採点、記録のプロセスを繰り返す。
【0041】
しかし、選択されたカテゴリのワインをこれ以上評価しないのであれば、ステップ84に進み、選択されたカテゴリ内のテイスティングされたすべてのワインの記録スコアに基づいて、識別マークをワイン分類チャートにプロットする。例えば、図9は、4種類のカテゴリのワインのフルーツおよび複雑香スコアの範囲を表す複数の識別マーク90a〜90dを含む例示的なワイン分類チャート30fを示す。識別マーク90a〜90dのそれぞれが、特定のワインカテゴリを一意に識別するために用いられる独特なパターンを備えていてもよい。したがって、識別マーク90aは第1のワインカテゴリを(例えば、「ワインカテゴリA」)を識別するために用いられる斜交平行線マーカとすることができ、識別マーク90bは第2のワインカテゴリ(例えば、「ワインカテゴリB」)を識別するために用いられる狭い斜線マーカとすることができ、識別マーク90cは第3のワインカテゴリ(例えば、「ワインカテゴリC」)を識別するために用いられる広い斜線マーカとすることができ、識別マーク90dは第4のワインカテゴリ(例えば、「ワインカテゴリD」)を識別するために用いられる格子マーカとすることができる。
【0042】
なお、独特の識別マーク90a〜90dを使用し、この識別マークをワイン分類チャート30f上に配置することを、4種類のワインカテゴリの相対的な味に関する情報を視覚的に伝達するために用いる。実際、他のすべてのワインカテゴリに対する個々のワインカテゴリに関する情報を伝達するためにワイン分類チャート30fを使うこともできる。例えば、例示的なワイン分類チャート30fは、ワインカテゴリAが穏やかなフルーツフレーバと、比較的低い非フルーツフレーバを有する、基本的にあっさりしたワイン含むが、ワインカテゴリCが非常に穏やか〜強いフルーツフレーバおよび非フルーツフレーバを有する、基本的に濃厚なワインを含むことを示している。このように、ワイン分類チャートは、個々のワインカテゴリに関するフレーバ情報を伝達するために用いることができる有用な表現様式となる。
【0043】
また、ワイン分類チャート30fは、チャート上の1つまたはそれより多い他のワインカテゴリに対する、あるワインカテゴリに関するフレーバ情報を伝達するために用いることもできる。例えば、例示的なワイン分類チャート30fは、ワインカテゴリCおよびDがほぼ同じ非フルーツフレーバレベルを備えているが、基本的に濃厚なワインに分類されているワインカテゴリCは、基本的にぼやけているワインに分類されているワインカテゴリEよりずっと強いフルーツフレーバを備えていることを示す。同様に、ユーザがワインカテゴリAの一般的な味に精通していて、フルーツフレーバが同じくらいで、非フルーツフレーバがずっと高いワインを味わいたいのであれば、ワイン分類チャート30fは、ワインカテゴリBに含まれるワインが適切な選択であることを示す。このように、ワイン分類チャートは、互いのワインカテゴリに関するフレーバ情報を伝達するために用いることもできる有用な表現様式となる。
【0044】
再び図8を参照すると、ステップ86で、別のワインカテゴリを評価するか否かの判断を行う。別のワインカテゴリを評価するのであれば、ステップ70に戻り、新しいワインカテゴリを選択し、このカテゴリからワインを選択し、この新しいワインカテゴリに対して、ステップ74〜84に記載されたテイスティング、採点、記録、およびプロットを繰り返す。しかし、これ以上ワインカテゴリの評価を行わないのであれば、プロセスを終了する。
【0045】
本発明の少なくともいくつかの態様を実施するための例示的な装置は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯形コンピュータ、個人用携帯情報端末(PDA)、携帯電話、または他の同様なコンピュータデバイスをはじめとするコンピュータを含むことが当業者には分かる。そのような計算デバイスは、ソフトウェアモジュール、コンピュータプロセッサ命令、および/または本発明の方法を実施するために用いられる他のデータを記憶するために使用できる、読み出し専用メモリ、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスクまたは、他の適切なコンピュータ媒体をはじめとするコンピュータメモリデバイスに接続できるプロセッサを備えることができる。事実、本発明によるワイン分類チャートを構築および表示し、ユーザがフルーツおよび非フルーツフレーバの観点からワインおよびワインカテゴリを分類するのを助けるために使用されるソフトウェアをコンピュータにプログラムしてもよい。
【0046】
また、フルーツおよび非フルーツフレーバに基づいてユーザがワインおよびワインカテゴリを比較および選択するのを助けるために用いられるソフトウェアをコンピュータにプログラムしてもよい。例えば、ユーザは特定のワインの味に精通していてもよいし、同様の味を備える他のワインを見つけたがっていてもよい。コンピュータは、ユーザにワインの名称を入力することを要求し、それから広範囲のワインに関するフルーツおよび複雑香スコアを含むデータベースから指定されたワインのフルーツおよび複雑香スコアを検索するようにプログラムされてもよい。コンピュータは、指定されたワインのスコアに似たフルーツおよび複雑香スコアを有する他のワインの名称をデータベースから検索し、その後、確認されたワインの名称をユーザに表示するようにプログラムされてもよい。
【0047】
また、コンピュータは、指定されたワインに対するフレーバの違いに基づいて別のワインを提案するようにプログラムされてもよい。例えば、ユーザは、指定されたワインの対応するスコアと比較して、もっと高いまたは低いフルーツスコアおよび/またはもっと高いまたはもっと低い複雑香スコアを有するワインを試飲したい場合がある。したがって、コンピュータは、そのようなフレーバの違いに関する要求を入力するようにユーザに要求するようにプログラムされてもよい。その後、コンピュータは、ユーザが指定した基準を満足するワインの名称をデータベースから検索し、検索結果をユーザに表示する。
【0048】
また、以前にテストしたワインのフルーツスコアおよび複雑香スコアに基づいて新たなワインのフルーツおよび非フルーツフレーバを予測するためのソフトウェアをコンピュータにプログラムしてもよい。例えば、前述したデータベースが、データベース内のワインに関するフレーバ以外の特徴(例えば、ワインの色、醸造年、産地、ブドウの品種、価格、品質、ワイン醸造業者、および他の同様なファクタ)も含む場合、新しいワインの、フレーバ以外の1つまたはそれより多い特徴をユーザに入力することを要求するようにコンピュータをプログラムしてもよく、コンピュータはデータベースから同様の非フレーバ特徴を有するワインのフルーツおよび複雑香スコアを検索してもよい。その後、コンピュータは検索されたデータを分析して、データベース内のワインのフルーツおよび非フルーツ特徴の間のパターンを検出し、新しいワインのフレーバを予測するためにこれらのパターンを適用してもよい。例えば、新しいワインが、特定地域の2002年シャルドネであったとすると、コンピュータの分析により、同じ地域からの同様なワインのフルーツスコアが60〜70であり、複雑香スコアが25〜35であることが明らかになる。この分析に基づき、コンピュータは、この新しいワインのフルーツおよび複雑香スコアがこれらの範囲内であると予測できる。新しいワインをテイスティングし、フルーツおよび複雑香スコアを割り当てた後、割り当てられたスコアを予測されたスコアと比較して、予測モデルをさらに精確化することもできる。
【0049】
ワインの現在の味を予測することに加え、経時変化したワインのフルーツおよび非フルーツフレーバを予測するためのソフトウェアをコンピュータにプログラムすることもできる。特に、ワインが古くなるにつれて、一般にフルーツおよび非フルーツフレーバは変化する。例えば、瓶詰めから5年後、ある特定のワインはフルーツスコアが10%増加し、複雑香スコアが17%増加するかもしれないが、瓶詰めから11年後には同じワインが、フルーツスコアが3%減少し、複雑香スコアが28%減少する場合もある。前述したデータベースが、データベース内のワインのフルーツおよび複雑香スコアに関する時間的な情報も含むのであれば、そのような時間的なデータを分析し、時間を経たワインのフルーツスコアおよび複雑香スコアを予測するモデルを展開するようにコンピュータをプログラムすることもできる。このように、コンピュータはユーザにワインの名称を入力することを要求するようにプログラムされてもよく、また、コンピュータは時間的なモデルを適用して特定の未来の日付(例えば、瓶詰めから5年、10年、15年)のワインのフルーツスコアおよび複雑香スコアを予測することもできる。
【0050】
また、経時変化したワインのフレーバ特性を予測するための他の周知技術のいずれかを用いて、経時変化したフルーツスコアおよび複雑香スコアのフレーバの軌跡を計算してワイン分類チャート上に表示するようにコンピュータをプログラムすることもできる。なお、ワインのフルーツフレーバがピークのときにユーザがワインを味わいたいのであれば、ユーザはワインを開けるのに最良のときを表示されたフレーバ軌跡から視覚的に判断できる。また、コンピュータは、複数のワインのフレーバ軌跡を計算および表示するようにプログラムされてもよく、ユーザはフレーバ軌跡を視覚的に比較して、最も望ましい時間的なフレーバ特徴を有する1つまたは複数のワインを選択できる。
【0051】
前述したものは本発明の原理を説明したに過ぎず、当業者は本発明の範囲から逸脱せずに種々の変形例を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明によるワイン分類チャートを作成するための例示的なプロセスの流れ図である。
【図2】本発明による例示的なワイン分類チャートである。
【図3】本発明による別の例示的なワイン分類チャートである。
【図4】本発明によるさらに別の例示的なワイン分類チャートである。
【図5】本発明によるさらに別の例示的なワイン分類チャートである。
【図6】本発明によるワインを分類するための例示的なプロセスの流れ図である。
【図7】図6の方法によって作られた例示的なワイン分類チャートである。
【図8】本発明によるワインカテゴリを分類するための例示的なプロセスの流れ図である。
【図9】図8の方法によって作られた例示的なワインカテゴリ分類チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワインの特徴を表す方法であって、
相対的なフルーツフレーバレベルの観点からワインを採点するための第1のスケールを提供するステップと、
相対的な非フルーツフレーバレベルの観点からワインを採点するための第2のスケールを提供するステップと、
ワインに前記第1のスケールの第1のスコアを割り当てるステップと、
ワインに前記第2のスケールの第2のスコアを割り当てるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記第1のスケールが、比較的低いフルーツフレーバレベルに対応する第3のスコアと、比較的高いフルーツフレーバレベルに対応する第4のスコアとを備える方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記第1のスコアを割り当てるステップが、ワインに前記第3のスコアと前記第4のスコアとの間の前記第1のスコアを割り当てるステップを含む方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記第2のスケールが、比較的低い非フルーツフレーバレベルに対応する第5のスコアと、比較的高い非フルーツフレーバレベルに対応する第6のスコアとを備える方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、
前記第2のスコアを割り当てるステップが、ワインに前記第5のスコアと前記第6のスコアとの間の前記第2のスコアを割り当てるステップを含む方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記第1のスケールに対応する第1の軸と、前記第2のスケールに対応する第2の軸とを有するチャートを提供するステップと、
ワインと関連している識別マークを、前記第1および第2のスコアを用いて前記チャート上にプロットするステップと、
を含む方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、
前記チャートが、前記第1の軸の中点および前記第2の軸の中点と一致する中点を備えている方法。
【請求項8】
請求項6記載の方法において、
前記第1の軸がy軸に対応し、前記第2の軸がx軸に対応する方法。
【請求項9】
請求項6記載の方法において、
前記第1および第2のスケール全体をひとまとめに包含する複数の非重複領域に前記チャートを分けるステップをさらに含む方法。
【請求項10】
第1のワインの特徴を表す方法であって、
相対的なフルーツフレーバレベルの観点からワインを採点する第1の軸と、相対的な非フルーツフレーバレベルの観点からワインを採点する第2の軸とを提供するステップと、
相対的フルーツフレーバレベルと相対的非フルーツフレーバレベルの独自の組み合わせにそれぞれが対応している複数の領域に前記チャートを分割するステップと、
第1のワインを前記複数領域のうちの第1の領域に割り当てるステップと、
を含む方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、
前記複数の領域が、比較的低いフルーツフレーバレベルおよび比較的低い非フルーツフレーバレベルに対応する第1の領域と、比較的低いフルーツフレーバレベルおよび比較的高い非フルーツフレーバレベルに対応する第2の領域と、比較的高いフルーツフレーバレベルおよび比較的低い非フルーツフレーバレベルに対応する第3の領域と、比較的高いフルーツフレーバレベルと比較的高い非フルーツフレーバレベルに対応する第4の領域とを含む方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、
前記第1および第2の軸が前記チャートを4つの象限に分割し、前記複数の領域が複数の前記象限と一部重複する部分を含む方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、
第2のワインを、第1のワインのフルーツフレーバおよび非フルーツフレーバに対する第2のワインのフルーツフレーバおよび非フルーツフレーバに基づいて、前記複数の領域のうちの第2の領域に割り当てるステップをさらに含む方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
前記複数の領域のうちの前記第1の領域と前記複数の領域のうちの第2の領域が、同じ領域である方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、
前記複数の領域のうちの前記第1の領域と前記複数の領域のうちの前記第2の領域が、異なる領域である方法。
【請求項16】
ワインの特徴を表す装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサと作動的に接続されてソフトウェアプログラムを記憶するメモリデバイスと、を備え、前記ソフトウェアプログラムが、
相対的なフルーツフレーバレベルの観点からワインを採点するための第1の軸と、相対的な非フルーツフレーバレベルの観点からワインを採点するための第2の軸を備えるチャートを表示させ、
前記第1のスケール上の第1のワインの第1のスコアと、前記第2のスケール上の第1のワインの第2のスコアとを受信させ、
第1のワインに第1の識別マークを対応付けさせ、
前記第1および第2のスコアに基づいて前記チャート上に前記第1の識別マークをプロットさせるように構成されている装置。
【請求項17】
請求項16記載の装置において、
前記ソフトウェアプログラムが、
前記第1のスケール上の第2のワインの第3のスコアと、前記第2のスケール上の前記第2のワインの第4のスコアとを受信させ、
前記第2のワインに第2の識別マークを対応付けさせ、
前記第3および第4のスコアに基づいて前記チャート上に前記第2の識別マークをプロットさせるように構成されている装置。
【請求項18】
請求項17記載の装置において、
前記第1および第2の識別マークのそれぞれが、第1および第2のワインを一意に識別するために用いられる第1の独自な特徴をそれぞれ有する装置。
【請求項19】
請求項17記載の装置において、
前記第1および第2の識別マークのそれぞれが、第1および第2のワインに関する非フレーバ情報を伝達するために用いられる第2の独自な特徴をそれぞれ有する装置。
【請求項20】
請求項19記載の装置において、
前記非フレーバ情報が、色、収穫年、産地、ブドウの品種、価格、品質、またはワイン醸造業者のうちのいずれか1つを含む装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−503502(P2009−503502A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523892(P2008−523892)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/025067
【国際公開番号】WO2007/018798
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(508025507)テイスト,インコーポレイテッド (1)