説明

ワクチン接種および遺伝子治療のためのマイクロカプセル化DNAの作成方法

【課題】既存のワクチン接種および遺伝子治療技術を改善すること。
【解決手段】ポリペプチドをコードするDNAを含有するマイクロパーティクルの作成方法が、記載される。この方法において、溶媒抽出方法を使用し、上昇した温度において溶媒抽出が生じる。マイクロパーティクルの経口投与は、その発現をもたらす。免疫原をコードするDNAは、レシピエントにおける抗体形成の刺激に適し、非免疫原性ポリペプチドをコードするDNAは、遺伝子治療適用に適する。DNAは、その機能を破壊することなく、マイクロパーティクル中に取り込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロカプセル化DNA、マイクロカプセル化DNAを含むワクチン、マイクロパーティクル中のDNAの投与を含むワクチン接種方法および遺伝子治療方法、DNAを含むマイクロパーティクルを調製する方法、ならびにDNA含有粒子を含む乾燥化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性ポリマーであるポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)は、インビボにおいてマイクロパーティクルの形態で薬物および生物学的製剤を送達するために製薬産業によって長年使用されてきた。米国FDAは、最近前立腺ガンの処置において使用される酢酸ロイプロリド(Lupran Depot(登録商標))に対するPLGミクロスフェア30日送達系を承認した。ワクチン用途についてのポリマーマイクロカプセル化技術の可能性の有用な総説は、William Morrisら、Vaccine, 1994, 12巻、1号、5〜11頁において見出される。
【0003】
カプセル化に対する代替として、例えば、Eppstein, D.A.ら、Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst. 1988, 5(2), 99−139頁に記載されたように、リポソームと呼ばれるリン脂質ベシクルにおいて抗原を送達することもまた知られている。コレラ毒素、マラリアスポロゾイトタンパク質、および破傷風トキソイドを含む多くの抗原が、リポソームを使用して腹腔内に送達されてきたこと、ならびにインフルエンザ抗原が鼻内から送達されることが報告されている。
【0004】
特定の状況下において、組織への裸のDNAの注入が、そのDNAによってコードされる遺伝子産物の発現を導き得ることもまた知られている。例えば、1984年に、米国NIHでの研究は、リス肝炎に対する裸のクローン化プラスミドDNAの肝臓内注入が、リスにおいてウイルス感染および抗ウイルス抗体の形成の両方を生じたことを報告した。
【0005】
WO−A−95/05853は、生物学的に活性なペプチドをコードする裸のポリヌクレオチドの投与のための方法、組成物、およびデバイスを記載する。この公開された適用は、とりわけ、裸のDNAのレシピエントにおいて抗体を惹起することを目的とした免疫原性抗原をコードする裸のDNAの注入を記載する。
【0006】
DNAのリポソームの送達も公知であり、そして、例えば、EP−A−0475178において記載されている。
【0007】
所望の遺伝子産物のインビボにおける発現を得るための代替の方法は、EP−A−0161640において記載されており、ここでは、ウシ成長ホルモンを発現するマウス細胞がカプセル化され、そして乳産生を増加するために雌牛に移植される。
【0008】
EP−A−0248531は、マイクロカプセル中に直鎖ポリ(I:C)をカプセル化すること、そしてこれらをインターフェロン産生の誘導のために使用することを記載する。
【0009】
WO−A−94/23738は、DNAの細胞取り込みを促進し、そして標的化する結合体と組合わせたDNAを含むマイクロパーティクルを記載することを意図する。実施例において、タングステンを含むマイクロパーティクルによる細胞のボンバードメントが記載されている。これらの実施例は、DNAコート金属粒子を用いる従来の細胞ボンバードメントとほとんど違わないように思える。さらに、超音波処理が、マイクロパーティクル製造において提唱されている(これは、DNA損傷の危険を冒すことが知られる工程である)が、示されたデータは、カプセル化DNAの完全性を決定するには不十分であり、かつ不適切である。
【0010】
本発明では、通常、活性な真核生物のプロモーターの制御下に置かれる、免疫原性、酵素的、または他の有用な生物学的活性を有するタンパク質をコードするDNAを、インビボにおいて送達することが望まれる。本発明の目的は、当該分野で公知のワクチン接種治療に対する改善および先行技術の遺伝子治療方法に対する改善を含む。既存の組成物および方法の改善またはそれに対する代替が望ましい。なぜなら、これらの既存の方法は多くの欠点を含むことが知られているからである。
【0011】
WO−A−95/05853は所望の遺伝子産物をコードする裸のポリヌクレオチドの投与を記載する。しかし、この刊行物における組成物および方法は、無菌的手順を必要とする、それ自身不快であり不便な投与経路である注射に対してのみ適切である。
【0012】
WO−A−94/23738は、インビボにおける達成された実施例は提示されていないが、カプセル化DNAがレシピエントの体内において粒子から放出され、そして次に細胞によって取り込まれるプロセスを提供することを意図する。
【0013】
Morris Wらの「Potential of polymer microencapsulation technology for vaccine innovation」、Vaccine、第12巻、1号、5〜11頁は、PLGカプセル化分野を概説する文献である。この文献は、ワクチンベースのDNA送達については、記載しない。その代わりに、この文献は、ワクチンベースの抗原送達を記載する。さらに、この文献はポリマーシェル内に内部成分を含むマイクロパーティクルの調製を、少し記載するのみである。その代わりに、この文献は、マトリックスタイプのマイクロパーティクル(すなわち、その内部に抗原が分散する)を主に記載する。Morrisらは、そのような粒子を「ミクロスフェア」として定義し(5頁、2段、20〜22行)、そして文献は広範にそのようなミクロスフェアを扱う。Morrisらは、内部成分をカプセル化するポリマーシェルを、「マイクロカプセル」という。
【0014】
Morrisの論文において、マイクロカプセルを得る方法についての、小節(8頁、2段の中央〜9頁、1段の上部)は、50μlより大きな容積(直径約1.2mm)のマイクロカプセルを記載する。
【0015】
Sah HKらの「Biodegradeable microcapsules prepared by a w/o/w technique: effects of shear force to make a primary w/o emulsion on their morphology and protein release」J. Microencapsulation、12巻、1号、1995、59〜69頁は、生物学的に活性な因子のカプセル化のための水中油中水方法を記載する。この文献の推進力は、得られたマイクロカプセルの特徴に対するせん断力の影響を決定することである。本発明者らは、これらの文献の最初の2つの系統に言及する。これらの粒子のサイズ分布が測定され、10〜75μmの範囲であることが見出された。さらに、Sahらは、かれらが調製したマイクロカプセルのサイズを変えることができなかった。本発明者らは、「結果および考察」中の第2段落で、目標について再度言及し、そこで、以下を述べる:−
「しかし、本発明者らの実験において、主にw/oエマルジョンを生成するための、せん断速度の11krpmから23krpmへの変更は、マイクロカプセルのサイズの減少を生じなかった。初期w/oエマルジョンを作成するせん断力と、生じるマイクロカプセルのサイズ間の相関関係は観察されなかった。」
多くの公開された特許および特許出願は、Southern Research Institute (SRI)の名において存在する。特に、US−A−5407609は、実施例7で、中空粒子の製造についてのエマルジョンベースの方法を記載するとされている。しかし、US−A−5407609において詳述されている方法は、比較的大きな粒子または少なくとも広範なサイズにわたる粒子の作成に成功しており、ここで粒子の顕著な部分は、生物学的活性のカットオフ点である10ミクロンよりも大きい。粒子サイズの大きな分散(例えば、US−A−5407609において見られるような)は、ファゴサイトーシスに適切でないサイズの粒子中への、カプセル化された因子のほとんどの取込みを、回避不能にもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、既存のワクチン接種および遺伝子治療技術を改善し、そしてインビボで有効であるか、または少なくとも公知の組成物および方法(以前に出願された国際特許出願PCT/GB96/02770から開発された)において同定される問題もしくは不利のいくつかを克服する、新規な組成物、組成物の作成方法およびその投与方法の提供を探索する。DNAが、容易に損傷を受け、その結果遺伝子産物の発現をもはや誘導し得ないことは、公知である。本発明者らは、ポリマー粒子中にDNAをカプセル化するための技術の発明に成功し、その結果DNAは、コードする遺伝子産物の発現を誘導する十分な完全性を保持する。本発明者らはまた、哺乳動物ワクチン接種または遺伝子治療のために適切なDNA含有マイクロパーティクルの発明に成功した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の局面は、ポリマーマイクロパーティクル内にDNAをカプセル化する方法を提供し、この方法は、水中(油中水)エマルジョンを提供する工程、このエマルジョンを過剰のさらなる水相に添加し、油相を抽出し、それによりマイクロパーティクルを形成する工程を含み、ここでさらなる水相は、上昇した温度で添加される、方法である。
【0018】
本方法は、DNAの有用な生物学的活性(すなわち、形質導入活性)をマイクロパーティクル内に保持することを可能にし、これはそのコード配列に依存するワクチン接種および/または遺伝子治療に適切である。従って、本発明の方法に従い、DNAの水溶液は調製され、そして攪拌しながら油相に添加され、油中水エマルジョンを形成する。このエマルジョン中の水滴は、最終のマイクロパーティクルにおける水性DNAに寄与する。このエマルジョンは、第2の水相に添加され、2重の水中(油中水)エマルジョンを形成し、そして上昇した温度での溶媒の抽出は、マイクロパーティクルへのDNAの改善された取込みをもたらす。
【0019】
第2の局面の実施態様において、ポリマー粒子内にDNA(このDNAは、このDNA内のコード配列の発現を誘導し得る)をカプセル化する方法は、水中(油中水)エマルジョンを調製し、マイクロパーティクルを形成する工程、および次に生成されたDNA含有マイクロパーティクルを遠心分離により分離する工程を包含する。生じるマイクロパーティクルは、好ましくは、0.01μm〜30μmの範囲のサイズを有し、より好ましくは、1μm〜10μmの範囲のサイズを有する。
【0020】
本発明の方法は、少なくともDNAの最小限の一部は粒子の製造中に損傷を受けず、それにより、その遺伝子コード配列の発現を誘導する能力を保持することを確実にする条件下で、行われる。
【0021】
代表的な本発明の方法は、以下:
(a)DNAの水溶液を調製する工程であって、このDNAは、少なくともプロモーター配列と、そして必要に応じて、他の配列(調節するか、そうでなければDNAの転写を指向する)と作動可能に組み合わせられるポリペプチドをコードする配列を含み、このDNAは、哺乳動物レシピエントにおいてポリペプチドを発現するように適応されている、工程;
(b)有機溶媒中でポリマーの溶液を調製する工程;
(c)有機ポリマー溶液中で、水性DNA溶液のエマルジョンを形成する工程;
(d)水性サーファクタント溶液を調製する工程;
(e)水性サーファクタント溶液(II)中で、工程(c)からのエマルジョン(I)の2重エマルジョンを形成する工程;
(f)上昇した温度において、有機溶媒を分散させるか、そうでなければ除去し、その結果、直径10μmまでのサイズを有し、このDNAを含むポリマーのマイクロパーティクルを形成する、工程;ならびに
(g)マイクロパーティクルを回収する工程、
を包含する。
【0022】
溶液からのマイクロパーティクルの回収は、必要に応じて、溶液を遠心分離し、マイクロパーティクルのペレットを形成し、上清溶液からペレットを分離し、そしてペレットを所望の溶液(代表的には水)中に再懸濁することによる。この工程は、都合良く数回繰り返され、精製調製物を調製する。
【0023】
工程(f)が行われ、有機溶媒が分散されるか、または除去され、凝結した塊の中にポリマーを融解することなく、所望のサイズでマイクロパーティクルを形成することが不可欠である。本発明に従い、この工程は、上昇した温度で行われる、すなわち、(i)工程(a)〜(e)よりも高い温度、または(ii)周囲温度よりも高い温度、である。油相に使用される有機溶媒は、一般的に、水よりも揮発性であり、そして上昇した温度における分散工程の実行は、DNAのマイクロパーティクルへの取込みを促進するということが、驚くべきことに見出された。適切な周囲温度を越える上昇した温度は、少なくとも25℃であり、好ましくは少なくとも30℃である。約60℃を越えると、有機溶媒が煮沸する危険が存在し、これは避けられなければならない。しかし、ほとんどの溶媒において特に良好な結果は35℃以上で得られる。
【0024】
本発明の実施態様において、2重エマルジョンの形成は、周囲温度未満で生じ、そしてこれらの実施態様において、工程(f)が、エマルジョン形成工程より、少なくとも5℃高い温度で行われるのが好ましく、そしてより好ましくは少なくとも10℃高い温度で行われるのが好ましい。
【0025】
有機溶媒を分散するのに適切な上昇した温度は、有機溶媒の選択に従って変化し得る。溶媒は、DNAを含有するマイクロパーティクル内にポリマーを配置する条件下で除去され、そしてポリマーの融解をさける。本発明の特定の実施態様において、有機溶媒はジクロロメタンであり、そしてこれは、約35℃の温度で効率的に分散される。
【0026】
DNAがマイクロパーティクル内に組込まれるのは必須であり、そしてDNAの組込みは、必要に応じて、DNAプラスアルコールの水溶液を調製し、マイクロパーティクルポリマーを添加し、そしてそこからマイクロパーティクルを形成することによって、増加する。溶液のアルコール含有量は、1%と60%の間で適切に変化し、好ましくは、5%と40%の間で適切に変化する。アルコールの役割は、水相から油相への転移という化学的性質を変化させることであり、そしてこのようにアルコールを使用する結果の利点は、マイクロパーティクル内へのDNA取込みの改善を提供することである。本発明の特定の実施態様において、アルコール含量は、PLGから作成されたマイクロパーティクルについて、約15〜35%であり、より好ましくは、20〜30%であり、25%以上、50〜60%までのDNAの組込みを実現する。エタノールは、特に適切であり;メタノールおよびプロパノールおよびDNAを変性しない他のアルコールもまた、適切であり、そしてアルコールは好ましくは、直鎖状または分岐C〜C10アルコールである。しかし、工程(e)の2重エマルジョンからマイクロパーティクルを得る上昇した温度の使用のさらなる特徴は、この目的のために上昇した温度が使用される場合、次にさらに必要に応じて、DNA水溶液がより少ない量(例えば、5%以下、そして全くアルコールを含まないことさえある)のアルコールを含むということである。
【0027】
従って、本発明のさらなる局面は、DNAの水溶液をポリマーマイクロパーティクル中にカプセル化する方法であり、この方法は、以下の工程を包含する:
−DNA溶液を含有する水中(油中水)エマルジョンを提供する工程;および
−このエマルジョンに過剰のさらなる水相を添加し、油相を抽出し、それによりマイクロパーティクルを形成する工程であり、ここでDNAの水溶液は、アルコールを含有する。
【0028】
本方法のエマルジョン化工程がせん断応力を減少する条件下で行うことがまた、好ましく、そしてこれは、必要に応じて、所望のサイズの範囲のマイクロパーティクルを形成するために、エマルジョンを得るのに十分なエマルジョン化エネルギー(例えば、エマルジョン化ミキサーの場合はスピード)(しかし、過剰なせん断により全てのDNAが損傷される程は高くない)を使用することにより達成される。以下に記載する本発明の実施態様において、エマルジョン化ミキサーのスピードは、変更され、その結果、少なくとも25%のDNA活性(コンピテントな細菌の形質転換または培養細胞のトランスフェクションによってアッセイされる)が、結果として生じるDNAを含有するマイクロパーティクル中に保持される。適切なミキサーのスピードは、8000rpm未満であり、好ましくは6000rpm未満であり、そして以下に記載される特定の実施態様においては、約3000rpmまたは約2000rpmである。
【0029】
ある範囲のサーファクタントは、本発明の方法における使用について適切であり、そして本発明は実施例において使用される特定のサーファクタントであるポリビニルアルコールに限定されない。他の受容可能なサーファクタントは、当該分野において公知である。サーファクタントは、ポリマー中のDNA水溶液プラスサーファクタント中の有機溶媒の2重エマルジョンを安定化する役割を有する。水性サーファクタントの選択は、当業者にとって重要であり、そして選択はポリマーおよびポリマー溶媒の選択に関してなされ得る。同様にして、ポリマー溶媒の選択は、実施例において使用されるジクロロメタンに限定されず、2重エマルジョンの形成およびそれに続くそこからのマイクロパーティクルの形成に適切な任意の有機溶媒を含む。
【0030】
マイクロパーティクルの形成に先んじる、および形成中の工程は、従って、所望のサイズの範囲(代表的に0.01〜10ミクロン)のマイクロパーティクルを形成するが、結果として生じるマイクロパーティクルがDNAにコードされるポリペプチドの発現を誘導し得ない程度まで、プロセス中にDNAが損傷される程のエネルギーではないように、十分なエネルギーを入力されるように適応される。より高いミキサーのスピードによるような、より力強い攪拌は、代表的により小さいマイクロパーティクルサイズを生じ、そして所望のサイズはかなり小さいので、バランスが必要である。しかし、DNAは、過剰の攪拌によって損傷され得る。一方、エマルジョン形成中のエネルギーの入力の減少は、エマルジョンが全く形成されない、そしてマイクロパーティクルが全く得られ得ないという効果を有し得る。本発明は、これらの競合する因子のバランスを可能にし、そのカプセル化DNA中の形質導入活性の受け入れられる程度を保持するマイクロパーティクルの形成を提供する。
【0031】
工程(a)〜(e)の方法は、周囲温度で行われ得、これは実験室および工業プロセスにとって都合が良く、ならびにこの方法はまた、周囲温度よりも低い温度において行われ得る。なぜなら、このことによってカプセル化手順の間のプラスミドDNAの安定性が改善され得るからである。これらの工程の温度は、必要に応じて、20℃より低く、10℃より低く、または5℃すらより低い温度であり得る。本発明の実施態様において、この方法の工程(a)〜(e)は、周囲温度で使用される量と比較して、マイクロパーティクル前駆体の減少した量を使用する、周囲温度より低い温度で行われ、次に工程(f)は、周囲温度または上昇した温度で行われる。
【0032】
この方法のパラメーターは、従って、直径10μm以下のマイクロパーティクルの形成を促進するよう選択され、マイクロパーティクルへのDNAの取込みを促進し、そしてDNAの損傷を回避し、その結果生じるマイクロパーティクルは、経口投与後にレシピエントにおいて発現され得る機能的DNAを含む。
【0033】
ポリマーおよびDNAの任意の特定の選択のため、本方法におけるバリエーションは、最も良好な結果を得るために必要であり得る。一方法の有効性は、形質転換アッセイまたはトランスフェクションアッセイによって評価され得る。本発明者らが使用したトランスフェクションアッセイでは、DNAは、マイクロパーティクルから、有機溶媒での溶解により回収され、定量され、そして細菌に形質転換するために使用される(アンピシリン選択が成功した形質転換体を決定する)。トランスフェクションアッセイでは、回収されたDNAは培養中の真核生物細胞をトランスフェクトするために使用され、次いで、この培養物は、抗原または遺伝子治療産物の存在についてアッセイされる。これらのアッセイは、本発明の方法により生成されるマイクロパーティクルから回収されるDNAが、50〜60%および80%までのオリジナルのDNAの活性を保持し得、これは機能性DNAのマイクロパーティクルへの組み込みの高い有効性を示していることを実証している。
【0034】
本発明の方法は、本発明の第1の局面の薬学的組成物を生成するのに適合される。本方法の工程は、ポリマー粒子を含有する多くのDNAを含有する得られる組成物において、粒子の有用な部分が活性なDNA(すなわち、そのコード配列の発現を誘導するその能力が失われるような本方法により、損傷されていないDNA)を含むように適合される。DNA活性は、粒子形成工程の前の活性の割合として測定される。
【0035】
DNA生物活性の受容可能なレベルは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%であるが、特に脆弱なDNAの場合、より低い割合が、使用時に治療的効果が本組成物を用いて得られる限り受容可能であり得る。
【0036】
本発明の特定の実施態様において、組成物は、コード配列および真核生物プロモーターを含む、二本鎖プラスミド、スーパーコイルDNAの水溶液を調製することにより生成される。別に、有機ポリマー溶液が調製される。これら2つの溶液を一緒に混合し、そして1000rpmと4000rpmとの間の速度で乳化する。次いで、安定剤の溶液を添加し、そしてこの新たな混合物を1000rpmと4000rpmとの間の速度で乳化する。続いて、有機溶媒を分散させるか、またはそうでなければ、取り除いて、ポリマーをプラスミドDNAを含有するマイクロパーティクルに入れ、そしてこの工程は30℃以上で行われる。遠心分離および粒子の再懸濁後、中のDNAは、その活性の25%以上を保持する。
【0037】
従って、本発明の第2の局面は、薬学的に受容可能なキャリア中に複数のマイクロパーティクルを含む薬学的組成物を提供し、ここで、上記のマイクロパーティクルはポリマーから構成されるかまたはポリマーを含み、そしてDNAの水溶液を含有し、このDNAは、ポリペプチドをコードする配列を含有し、ここでこの組成物はレシピエントにおけるポリペプチドの発現を誘導するのに適合され、そしてここで、このポリペプチドは以下から選択される:
(a)表1に従う、抗原FHA、PT、68kd−Pertactin、破傷風毒素、gp48、NS1、キャプシド、gp350、NS3、SA、I、NP E、M、gp340、F、H、HN、35kdタンパク質、BP1、E1、E2、C、M、E、およびMSHA;ならびに
(b)(a)のポリペプチドの免疫原性フラグメント、改変体、および誘導体。
【0038】
これらの抗原の寄託番号の詳細を表1に列挙し、従って、本発明のマイクロパーティクルへの組み込みのためのDNAは、実施例2に記載される手順に従って調製される。
【0039】
好ましくは、コード配列は、コード配列の発現を促進するプロモーター配列に伴われる。哺乳動物における使用についての薬学的組成物の実施態様では、真核生物プロモーターおよび特に広範囲の組織型において作動するプロモーターを使用することが都合がよい。本発明の特定の実施態様では、DNAは、組織(または細胞型)特異的プロモーターを包含する。
【0040】
使用時、薬学的組成物は経口投与され、そして所望の治療効果を導くコード配列が発現される。
【0041】
本発明の組成物は、ワクチン接種に適しており、免疫原をコードする配列を含む。組成物の投与後、発現した免疫原はレシピエント内の抗体の産生を誘発し、これにより、レシピエントのワクチン接種に寄与する。
【0042】
一般的に、本発明のマイクロパーティクルは、ファゴサイトーシス、例えば、マクロファージまたは他の抗原提示細胞によるファゴサイトーシスによって、レシピエントの細胞に進入することが意図される。引き続いて、マイクロパーティクルの本体は、細胞内空間において崩壊し、そしてDNAが放出される。本発明のマイクロパーティクルは、0.01μm〜30μmの範囲のサイズであるのが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい範囲である。これらのサイズは、DNAのインビボ発現を確実に達成するのに適切であることが見出されている。DNAの取り込みを促進する薬剤は、本発明のマイクロパーティクルにおいては必要でないことにもまた留意すべきである(マイクロパーティクルのサイズがその取り込みを決定するので)。
【0043】
さらに、本組成物が経口使用用である場合、これは好都合なことには味覚向上剤(taste−enhancing agent)をまた含有する。用語「味覚向上剤」は、甘味料、香料、および本組成物の他の成分からのいかなる不快な味覚をも遮蔽する薬剤を包含することが意図される。これは、好都合なことには、腸溶性コーティングされ得るか、または適切な制酸剤と同時投与され得る。
【0044】
以下に記載される特定の実施態様においては、マイクロパーティクルの調製物は、麻疹タンパク質をコードするDNA配列を包含する。マイクロパーティクルの経口投与は、このタンパク質に特異的な抗体の増加を誘発した。同様に、別のマイクロパーティクル調製物は、ロタウイルスタンパク質をコードするDNA配列を含有する。これらのマイクロパーティクル調製物の経口投与は、抗ロタウイルスタンパク質抗体、およびこのウイルスによるチャレンジに対する防御効果を誘発した。
【0045】
従って、本発明者らは、所望の遺伝子産物をコードするDNAの能力がカプセル化プロセスによって実質的に影響を受けないようにポリマー内にカプセル化された、DNAを提供している。DNAが乳化およびポリマー粒子の生成に必要な他の工程により、容易に損傷され得ることは公知である。本発明者らは、カプセル化DNAの経口投与時に得られるべき生物学的効果のために、十分に作動するDNAがカプセル化されるような、DNAのカプセル化を提供している。
【0046】
本発明は、カプセル化DNAが経口投与に適切であり、先行技術に記載されるDNA調製物を注入しなければいけない点に関連した不快なおよび扱いにくい局面を回避する点で、利点を提供する。以下に記載される実施例における特定の実施態様は、本発明の組成物の経口投与に応答して、免疫原特異的抗体を誘導することに成功している。さらに、カプセル化DNA処方物は、乾燥(例えば、凍結乾燥)して、長期間にわたって安定であり保存に適した形態にするのに適している。さらに、多くのワクチン適用について、全身的な体液媒介性および細胞媒介性免疫応答と同様に、粘膜表面での免疫もまた誘起され得る場合、これは有利である。以下に記載される本発明の特定の実施態様は、経口投与後、特定のIgA抗体の顕著な増加を誘発することを示している。従って、本発明は、ポリマー粒子内にDNAを包含する薬学的組成物を提供し、このDNAはポリペプチドをコードし、そしてこの組成物はレシピエントにおいて粘膜ポリペプチド特異的IgA抗体の誘導に適合される。
【0047】
本発明のマイクロパーティクルのポリマーは、好ましくは、生分解性および非毒性の両方である。より好ましくは、このポリマーは、溶媒抽出法によるマイクロパーティクルの形成に適切である(このために、ポリマーは、記載した条件下で油中水エマルジョンを形成するポリマーの溶液を形成し、そしてさらに、溶媒が水中(油中水)2重エマルジョンから抽出される場合に内部水滴の周囲を凝固するために、有機溶媒に可溶であるべきである)。
【0048】
適切なポリマーには、ポリマーを含有するラクチド、ならびに0〜100:100〜0のラクチド:グリコリドのポリマーおよびコポリマーを含有するグリコリドが挙げられる。本発明の特定の実施態様では、このポリマーは、ヒトおよび獣医学上の使用に認可されているとして選択される、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(そうでなければ、PLGと呼ばれる)を包含する。
【0049】
本発明の生成物は、代表的には、動物、特にヒトのインビボ使用ワクチン接種のためのものである。それ故、このマイクロパーティクルのポリマーは、インビボで非毒性であり、薬学的使用に適切であるべきである。このポリマーはさらに、レシピエントにおいてそのDNAを放出するように、(生分解性ポリマーからなるかまたは生分解性ポリマーを含有するかのいずれかによって)生分解性であるべきである。当該分野には、ヒトおよび動物の使用に適切であるポリマーに関する広範な文献が存在する。これに関して、EP−A−0451390、WO−A−95/31184およびWO−A−95/31187の開示が、本明細書中において参考として援用される。
【0050】
粒子内に含有されるDNAは、代表的には、二本鎖DNAを包含する。本発明において使用するために適切なDNA配列の構築は、当業者により理解される。この配列が、転写プロモーターおよび遺伝子コード配列の両方を包含することが好ましい。このDNA配列が転写終結およびポリアデニル化をコード配列の下流に提供することがさらに好ましい。
【0051】
DNAが、二本鎖、環状、およびある程度までスーパーコイル状またはコイル状であることが特に好ましい。マイクロパーティクルの製造の間にDNAが激しいせん断力を受けることが観察されている。特定の粒子製造条件を用いた場合、予めスーパーコイル化したDNAは、本プロセスにおいて、一部は開環形態に変換され得ることが観測されているが、本発明者らは、何とか機能性DNAを保持した。
【0052】
プラスミドDNAまたは従来の操作によりこれらに由来するDNAは、特に適切であり、以下に記載される本発明の特定の実施態様において使用される。プラスミド生成に対する広範な文献が存在するので、当業者は、容易に本発明のマイクロパーティクルに適したプラスミドを調製し得る。一般に、任意の真核生物プロモーター配列を組み入れたプラスミドが、適切である。
【0053】
本発明のさらに任意の特徴は、DNA含有ポリマー粒子が、インビボにおいて異なる半減期を有するように製造され得ることである。ワクチン接種の間に抗原を投与するとき、抗原が2つの異なる時間枠(例えば、初期の短期間の用量、それに続くよりゆっくりとした期間、長時間枠にわたる長期用量)で、送達されることが有利であり得る。本発明の特定の実施態様は、第1および第2のワクチン成分を含むワクチンを提供し、第1のワクチン成分はポリマーカプセル化DNAを含み、ここで、このDNAは免疫原をコードする配列を含有し、そしてここで、このポリマーはインビボで第1の半減期を有し、そして第2のワクチン成分はポリマーカプセル化DNAを含み、ここで、DNAは免疫原をコードする配列を含み、そしてここで、このポリマーはインビボで第2の半減期を有する。それぞれの半減期は、5日までおよび5日より長くあり得た。1つの実施例では、第1および第2ワクチン成分の免疫原は、同一である。あるいは、それぞれのワクチン成分は、異なる免疫原をコードするDNA配列を含み得る。
【0054】
本発明の1つの実施例においては、各第1および第2のワクチン成分の半減期は2日までおよび2週より長い。さらなる実施態様においては、第1および第2の半減期は、少なくとも1桁異なる。
【0055】
本発明の第3の局面は、ポリマーカプセル化DNAを含有し、減じた水分含量(例えば、5重量%未満)を有する薬学的組成物を提供する。この組成物は、レシピエントへの投与時にDNA内のコード配列の発現を誘導するDNAの能力を保持しながらも、長期保存に適切である。
【0056】
貯蔵用の薬学的組成物を調製する方法は、本発明の第1の局面による薬学的組成物を乾燥(例えば、凍結乾燥により)することである。正確な水分含量は用いられる乾燥の期間により決定されるが、乾燥した組成物は5%未満の水分含量を有することが好ましい。
【0057】
本発明の第4の局面は、ワクチン接種方法を提供し、この方法は、本発明の第1の局面によるワクチンを投与する工程を包含する。従って、ワクチン接種は、遺伝子コード配列から発現された免疫原に対する抗体を誘発することにより得られ得る。理解されるように、免疫原は、ウイルスまたは細菌、または他の病原性微生物の成分であり得るか、あるいは上記免疫原のアナログであり得、その結果、このアナログに対する抗体は、病原体自身に対して有効である。
【0058】
本発明の第5の局面によると、IgA抗体の産生を誘導するための医薬の製造における、本発明の第1の局面によるマイクロパーティクルの使用が提供される。
【0059】
以下の実施例に記載される本発明の特定の実施態様では、粒子材料はPLGである。本発明の方法により生成される粒子のサイズは、一般に、0.01〜30μm、好ましくは、1〜10μmの範囲である。本発明によるDNA含有粒子のための他の適切なポリマー処方物は、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリ(ヒドロキシブチレート/バレレート)、エチルセルロース、デキストラン、ポリサッカライド、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ−メチル−メタクリレート、ポリ(e−カプロラクトン)、およびこれら全ての成分の混合物を包含する。
【0060】
当業者により理解されるように、広範なDNA配列および構築物が本発明における使用に適切である。特に、本発明は、当該分野において、既に周知であり、そして特徴づけられている広範なプラスミドベクターを取り込んで実施され得る。代表的には、本発明で用いられるプラスミドベクターは、所望の遺伝子産物をコードするcDNAを含む。DNA配列のさらなる成分(例えば、プロモーター、レポーター遺伝子、および転写終結配列)の選択は、公知のプラスミドベクターの構築に関する一般的見識に従って当業者により行われ得る。
【0061】
本発明の組成物のための好ましい投与経路は、経口経路であり、これは、本発明の組成物が、好ましくは、高い酸レベルを有する胃を通過する際の顕著な分解を回避するように設計されるべきであることを意味している。10μm未満のサイズのマイクロパーティクルの取り込みがとりわけ腸のM細胞で生じ、従ってこのサイズ範囲のDNA含有粒子の封入が、この腸位置での取り込みを促進するのに有利であり得ることが知られている。ポリマーの性質および特性および成分に対する他の改変は、本発明の概念内で行われ得る。
【0062】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) DNA水溶液をポリマーマイクロパーティクルにカプセル化する方法であり、該方法が、以下、
−該DNA溶液を含有する、水中(油中水)エマルジョンを提供する工程;ならびに
−該エマルジョンを過剰のさらなる水相に添加し、油相を抽出し、そしてそれによりマイクロパーティクルを形成する工程、
ここで、該さらなる水相は、上昇した温度である、工程、
を包含する、方法。
(項目2) 前記油相の抽出が、25℃以上の温度でさらなる水相を使用して行われる、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記油相の抽出が、30℃以上の温度でさらなる水相を使用して行われる、項目1または2に記載の方法。
(項目4) 項目1、2または3に記載の方法であって、該方法が、1〜40%のアルコール含量を有するDNAとアルコールとの水溶液を調製する工程を包含する、方法。
(項目5) 項目1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、該方法が、0.01μm〜30μmの範囲のサイズのマイクロパーティクルを形成する工程を包含する、方法。
(項目6) 項目1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記DNAが、環状、プラスミドDNA、または環状プラスミド由来のDNAである、方法。
(項目7) 前記さらなる水相は、前記水中(油中水)エマルジョンよりも少なくとも5℃高い温度である、項目1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8) DNA水溶液をポリマーマイクロパーティクルにカプセル化する方法であり、該方法が、以下:
(a)DNA水溶液を調製する工程であって、該DNAは、少なくともプロモーター配列、および必要に応じて該DNAの転写を調節および/または指向する他の配列と作動可能に組み合わせられるポリペプチドをコードする配列を含み、該DNAは哺乳動物レシピエントにおいて該ポリペプチドを発現するように適応されている、工程;
(b)有機溶媒中でポリマーの溶液を調製する工程;
(c)該有機ポリマー溶液中で、該DNA水溶液のエマルジョンを形成する工程;
(d)水性サーファクタント溶液を調製する工程;
(e)該水性サーファクタント溶液中で、工程(c)からの該エマルジョンの2重エマルジョンを形成する工程;
(f)該DNAを含有する、直径10μmまでのサイズを有するポリマーのマイクロパーティクルを形成するように、上昇した温度で該有機溶媒を抽出する、工程;ならびに
(g)該マイクロパーティクルを回収する工程、
を包含する、方法。
(項目9) 前記有機溶媒の抽出が、25℃以上の温度で行われる、項目8に記載の方法。
(項目10) 複数マイクロパーティクルおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物であって、ここで、該マイクロパーティクルはDNAを含み、該DNAは、ポリペプチドをコードする配列を含有し、そして該マイクロパーティクルは、該レシピエントへの投与の後に、該ポリペプチドの発現を誘導するように適合され、ここで該ポリペプチドは以下:
(a)表1に従う、抗原FHA、PT、68kd−Pertactin、破傷風毒素、gp48、NS1、キャプシド、gp350、NS3、SA、I、NP E、M、gp340、F、H、HN、35kdタンパク質、BP1、E1、E2、C、M、E、およびMSHA;ならびに
(b)(a)のポリペプチドの免疫原性フラグメント、改変体、および誘導体
から選択される、薬学的組成物。
(項目11) 直径10μmまでのマイクロパーティクルを含む、項目10に記載の組成物。
(項目12) 環状DNAを含む、項目10または11に記載の組成物。
(項目13) (i)プラスミドDNA、および
(ii)一つ以上の挿入、欠失、および置換によりプラスミドDNAから誘導されるDNA
から選択される、二本鎖DNAをさらに含む、項目10〜12のいずれか1項に記載の組成物。
(項目14) 前記DNAが、コード領域の転写を促進する配列を含む、項目10〜13のいずれか1項に記載の組成物。
(項目15) 前記マイクロパーティクルが非毒性かつ薬学的に受容可能であり、そして有機溶媒で可溶性の生分解性ポリマーからなるか、それらを含む、項目10〜14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目16) 前記ポリマーが、ラクチド含有ポリマーである、項目15に記載の組成物。
(項目17) 前記ポリマーが、グリコリド含有ポリマーである、項目15に記載の組成物。
(項目18) 前記ポリマーが、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含む、項目15に記載の組成物。
(項目19) 項目10〜18のいずれか1項に記載のマイクロパーティクルを含む組成物であって、該マイクロパーティクルの少なくとも50%が、0.01μm〜30μmの範囲のサイズを有する、組成物。
(項目20) 前記マイクロパーティクルの少なくとも50%が、0.1μm〜10μmの範囲のサイズを有する、項目19に記載の組成物。
(項目21) 実質的にすべてのマイクロパーティクルが、30μm未満のサイズを有する、項目10または11に記載の組成物。
(項目22) IgA抗体の産生を誘導するように適合された、項目19に記載の組成物。
(項目23) 哺乳動物をワクチン接種するために適合された、項目10〜22のいずれかに記載の組成物であって、ワクチン接種が、DNAコード配列の発現により産生されるポリペプチド自身に応答して、該哺乳動物による抗体の産生により得られる、組成物。
(項目24) 免疫原に対する抗体を惹起するためのワクチンであって、項目10〜22のいずれかに記載の組成物および薬学的に受容可能なキャリアを含み、ここで、該DNAは、該免疫原をコードする、ワクチン。
(項目25) 味覚向上剤をさらに含む、項目24に記載のワクチン。
(項目26) 項目24に記載のワクチンであって、該ワクチンは、第1および第2のワクチン成分を含み、ここで該第1のワクチン成分はマイクロパーティクルの中にDNAを含み、ここで、該DNAは免疫原をコードする配列を含み、該マイクロパーティクルはインビボで第1の半減期を有し、そして該第2のワクチン成分はマイクロパーティクルの中にDNAを含み、ここで、該DNAは免疫原をコードする配列を含み、該マイクロパーティクルはインビボで第2の半減期を有する、ワクチン。
(項目27) 前記第1のワクチン成分の免疫原と前記第2のワクチン成分の免疫原とが同じである、項目26に記載のワクチン。
(項目28) 前記第1および第2のワクチン成分の半減期は、それぞれ2週までと、2週より長い、項目26に記載のワクチン。
(項目29) 項目10〜22のいずれかに記載の組成物を凍結乾燥することにより得られた、ポリマーでカプセル化されたDNAを含み、かつ5%未満の水分含量を有する、組成物。
(項目30) 項目24に記載のワクチンを投与する工程を含む、ワクチン接種方法。
(項目31) DNA水溶液をポリマーマイクロパーティクルにカプセル化する方法であり、該方法が、以下、
−該DNA溶液を含有する、水中(油中水)エマルジョンを提供する工程;ならびに
−該エマルジョンに過剰のさらなる水相を添加し、油相を抽出し、そしてそれによりマイクロパーティクルを形成する工程、
ここで、該DNAの水相は、アルコールを含む、工程、
を包含する、方法。
(項目32) 前記DNAの水相は、1〜40%のアルコール含量を含む、項目31に記載の方法。
(項目33) 項目1〜9のいずれかに記載の方法により得られる、マイクロパーティクル。
【0063】
ここで、以下の図面を伴って、本発明の特定の実施態様の説明を続ける。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明によるDNA含有粒子への取り込みに適切なタンパク質発現プラスミドの成分の模式図である。
【図2】図2は、実施例3の結果、すなわち、PLGカプセル化プラスミドDNAによるルシフェラーゼ特異的血清抗体の誘導を示す。ここでは、左カラムは、3週間後の抗体力価を示し、そして右カラムは6週間後の抗体力価を示す(i.m.は、筋肉内を示し、i.p.は腹腔内を示し、各カラムの下部はIgGレベルを示し、上部はIgMレベルを示す)。
【図3】図3は、各場合において、IgG、IgM、およびIgAの力価を用いた、カプセル化DNAの注射用量および経口用量についての用量応答データを示す。
【図4】図4は以下を示す:A−2000rpmおよび8000rpmでの0〜300秒間のSilversonミキサーでのホモジナイズ後のプラスミドDNAのアガロースゲル電気泳動;およびB−カプセル化の前および後のDNAのアガロースゲル電気泳動。
【図5】図5は、PLGマイクロパーティクル内のDNAに対する便抗ルシフェラーゼIgA応答を示す。
【図6】図6は、麻疹ウイルスNタンパク質を発現するPLGカプセル化DNAの経口投与の結果を示す。
【図7】図7は、ロタウイルスVP6遺伝子を発現するPLGカプセル化DNAの経口投与の結果を示す:A−糞便ロタウイルス特異的IgA応答、B−経口免疫マウスのチャレンジ後に排泄したロタウイルス。
【図8】図8は、麻疹Nタンパク質をコードするPLGカプセル化pDNAを用いて経口免疫した後の、麻疹ウイルスチャレンジからのマウスの防御を示す、動物防御データを示す(y軸−生存数、x軸−チャレンジ後の日数)。
【図9】図9は、脾細胞およびMLNにおけるリンパ球増殖を示す。
【図10】図10は、ロタウイルスPV6タンパク質をコードするPLGカプセル化pDNAを用いて経口免役した後の、ロタウイルスチャレンジからのマウスの防御を示す、動物防御データを示す。
【実施例】
【0065】
実施例1
PLGマイクロパーティクルにおけるプラスミドDNAのカプセル化方法
装置:
1)エマルザースクリーン(emulsor screen)を備えた、3/4”プローブを有するSilverson Laboratoryミキサー。
2)高速遠心分離機。
3)通常の実験用ガラス器具、ビーカー、メスシリンダー、スターラーなど。
【0066】
試薬:
1)ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)溶液−3mlジクロロメタン中500mg。
2)プラスミドDNA(水中12mg/ml)。
3)ポリビニルアルコール(PVA)溶液(水中8w/v%)。
4)無水エタノール。
5)TEN緩衝液(10mM tris pH 8.0+1mM EDTA+50mM NaCl)。
【0067】
方法:
1)200μlプラスミドDNA溶液を250μl TENと混合し、そして150μlエタノールを撹拌しながら添加する。よく混合する。
2)この混合物を3ml PLG溶液に添加し、そしてSilversonミキサー中で3000rpmで2分間乳化する。
3)このエマルジョンを100ml PVAに添加し、そして3000rpmで2分間乳化する。
4)2重エマルジョンを1リットルの水に添加し、そして1分間激しく撹拌する。
5)マイクロパーティクルの懸濁液を遠心分離容器中に分配し、そして10,000×gavで30分間遠心分離する。
6)マイクロパーティクルペレットを25mlの水中に再懸濁し、そして大きなクリアランス(0.5mm)を有する手動ホモジナイザーでホモジナイズし、均質な懸濁液にする。200mlの水で希釈し、そして上述のように再度遠心分離する。
7)工程6を3回繰り返す。
8)マイクロパーティクルペレットを25mlの水中に上述のように再懸濁し、凍結乾燥に適した容器に移し、イソプロパノール/ドライアイス混合物中で表面を凍結し、そして48時間凍結乾燥する。
【0068】
この方法では、工程1〜3を周囲温度で行う。DNAは、約25%の効率でマイクロパーティクルに取り込まれた。
【0069】
実施例2
インビボ送達後のタンパク質の発現用のプラスミド
本発明のマイクロパーティクルでの使用に適切なプラスミドは、以下の成分からなる(図1を参照のこと):
1.プラスミドバックボーン プラスミドバックボーンは、複製起点、およびその細菌宿主におけるプラスミドの維持を可能にする抗生物質耐性遺伝子または他の選択マーカーを有する。高いコピー数を提供するバックボーンは、プラスミドDNAの産生を容易にする。一例は、pUCプラスミドベクターに由来する。
【0070】
2.転写プロモーター配列 所望のタンパク質の発現は、mRNAの合成を開始する(代表的には真核生物の)転写プロモーターにより駆動される。一般には、広範な種々の組織タイプおよび動物種において機能する強力なプロモーターが用いられるべきである(例えば、ヒトサイトメガロウイルス前初期(hCMV IE)プロモーター)。しかし、特に遺伝子治療適用については、組織または細胞のタイプに特異的なプロモーターがより適切であり得る。
【0071】
3.コード配列 コード配列は、目的とするタンパク質をコードするDNA配列を含む。それは、タンパク質合成の開始に好ましい配列情況で、翻訳開始コドンATGを含む。コード配列は、翻訳終結コドンで終わる。発現されるべきタンパク質は、以下を包含する:a)レポーター酵素(例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ);b)防御免疫応答を誘導し得る病原性微生物成分(例えば、ダニ媒介脳炎ウイルスのNS1タンパク質、麻疹ウイルスのN、HまたはFタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス1のgp120タンパク質);c)遺伝性疾患の処置について意図される酵素または他のタンパク質(例えば、ゴーシェ病の処置のためのグルコセレブロシダーゼ)。
【0072】
4.転写終結配列 発現レベルの改善は、mRNA転写の終結を引き起こす配列がコード配列の下流に取り込まれるいくつかの状況下で得られる。これらの配列はまた、しばしば、ポリAテイルのmRNA転写物への付加を引き起こすシグナルを含む。この役割において用いられ得る配列は、hCMV主要前初期タンパク質遺伝子またはSV40ウイルスDNAまたは他のいずれかに由来し得る。
【0073】
実施例3
本発明者らは、ヒトサイトメガロウイルス前初期(hCMV IE)プロモーターの転写制御下で、昆虫タンパク質ルシフェラーゼをコードするプラスミドを構築し、そしてインビトロでトランスフェクトされた細胞におけるルシフェラーゼ活性を実証した。
【0074】
本発明者らは、実施例1のプロトコルを用いて、中程度(約25%)の効率を有する、大きさが約2μmのPLGマイクロパーティクル中に精製プラスミドDNAをカプセル化した。アガロースゲル電気泳動では、初めの閉環状スーパーコイル化DNAのある割合が、カプセル化プロセスにおける剪断応力の結果として、よりゆっくりと移動する形態(おそらくは弛緩された環)への変換を受けることが示される。カプセル化DNAは、粒子から放出され、そしてエレクトロポレーションによる細菌形質転換および培養細胞へのトランスフェクション後のルシフェラーゼ発現のアッセイにおいて、そのインビボでの生物学的活性の有意な割合を保持することが示された。
【0075】
マイクロカプセル化されたDNA(50μg)を、腹腔内(i.p.)注射および経口によりマウスに投与した。コントロール動物は、非カプセル化DNAを同じ経路により受け、そしてポジティブコントロールとして標準的な筋肉内(i.m.)注射により受けた。ルシフェラーゼ特異的血清抗体を、DNA投与の3および6週間後にELISAにより分析した。結果を図2に示す。
【0076】
図2に示すように、中程度の特異的IgGおよびIgM応答が、i.m.注射後に、予測され得るように見られた。カプセル化DNAは、i.p.注射後に強いIgGおよびIgM応答を惹起した。一方、非カプセル化DNAは、ずっと弱い応答を与えた。同様に、経口投与したカプセル化DNAは、良好なIgG応答を惹起した。これには、非カプセル化DNAは匹敵しなかった。IgGおよびIgM抗体応答から、ルシフェラーゼ発現および免疫系への提示が、PLGマイクロパーティクル中にカプセル化されたプラスミドDNAの投与後に、標準的なi.m.経路で見られたより高く、かつ非カプセル化DNAの比較投与において見られたより高い効率で生じたことが示される。
【0077】
実施例4
さらなる実験において、実施例1の方法により作製したマイクロカプセル化DNAを、用量(1〜50μg DNA)の範囲で、腹腔内(i.p.)注射または経口により異系交配マウスの群に投与した。IgG、IgM、およびIgAクラスのルシフェラーゼ特異的血清抗体を、DNA投与の3、6、および9週間後にELISAにより分析した。
【0078】
図3において、PLGカプセル化DNAのi.p.注射が良好なIgGおよびIgM応答、ならびにおよび中程度のIgA応答を惹起したことが見られ得る。経口投与したカプセル化DNAは、3つの全ての抗体クラスにおいて良好な応答を惹起した。DNA投与後の時間に伴って抗体力価が増大するという傾向があり、そして応答は、多かれ少なかれ用量関連的でもある。たった1μgの量のDNAが有意な応答を、特に投与後のより長い時間で惹起し得ることが明らかである。これらの抗体応答により、ルシフェラーゼ発現は、PLGマイクロパーティクル中にカプセル化されたプラスミドDNAのi.p.注射または経口のいずれかによる投与後に生じることが、再度確認される。それらはまた、抗原が、IgG、IgM、およびIgAの抗体クラスを惹起するような様式で、これらの手段により免疫系に提示されることを実証する。
【0079】
実施例5
本発明者らは、プラスミドDNAの物理的完全性および生物学的機能に対する高速ホモジナイズ工程(カプセル化プロセスにおける中間体である必要な水−油−水エマルジョンを生成するために用いた)の効果を試験した。
【0080】
最初の実験では、スーパーコイル化プラスミドDNAを、マイクロカプセル化実験において用いられるべき濃度および容積に類似した濃度および容積に調整し、そしてSilverson laboratoryホモジナイザーでホモジナイズした。試料を、アガロースゲル電気泳動による分析(図4A)のために、0〜300秒の間隔で取り出した。このような分析手順は、スーパーコイル化(sc)DNA、開環(oc)DNA(一本鎖に切り目が入っている)、および線状(l)DNA(両鎖が近接点で切断されている)の間を識別し得る(例えば、GarnerおよびChrambach 1992. Resolution of circular, nicked and linear DNA, 4.4 kb in length, by electrophoresis in polyacrylamide solutions. Electrophoresis 13, 176−178の図2Cを参照のこと)。このような条件にわずか10秒の時間曝すことにより、sc形態からoc形態に変換されることが明らかである。8000rpmでは、線状形態へのさらなる変換、および最終的にはより広範囲にわたる分解が生じる。しかし、2000rpmの減少した速度では、DNAのoc形態は、PLGカプセル化に関与するエマルジョン中間体の形成に典型的に必要とされる時間にわたって、比較的安定である。従って、これらの研究は、プラスミドDNAが剪断誘導損傷に無防備であり、そして変化が最小であるDNAのカプセル化を得るためには、正確な条件に対して、慎重な注意が必要であることを示す。
【0081】
この原理から、本発明者らは、大きさが約2μmのPLGマイクロパーティクル中に精製プラスミドDNAを中程度(約25%)の効率でカプセル化するための条件を開発した。アガロースゲル電気泳動(図4B)は、初めの閉環状スーパーコイル化DNAが、カプセル化プロセスにおける剪断応力の結果として、oc形態への変換を受けることを示す。マイクロパーティクルから放出されたDNAの生物学的活性を、エレクトロポレーションによる細菌形質転換および培養細胞へのトランスフェクション後のルシフェラーゼ発現のアッセイにおいて評価した。粒子から放出されたDNAは、これらの両アッセイにおいて、そのインビトロ活性の有意な割合(約25%)を保持している。
【0082】
実施例6
実施例3の方法により作製されたルシフェラーゼをコードするPLGカプセル化DNAはまた、発現タンパク質に対して粘膜免疫応答を惹起し得る。ルシフェラーゼに特異的なIgG、IgM、およびIgA抗体のレベルを、PLGカプセル化DNAの1、5、20、または50μgのi.p.または経口投薬を受けたマウスの便試料において、ELISAにより評価した。有意なレベルのIgGまたはIgM抗体は、どの群のマウスの便試料においても見出されなかった。幾分限定されたIgA応答が、i.p.注射マウスにおいて見られた;しかし、経口投与によって、便試料中に有意なレベルのルシフェラーゼ特異的IgA抗体が生じた(図5)。これらは、50μgのPLGカプセル化DNAを受けたそれらのマウスにおいて異常に高いレベルに達した。これらの結果は、単回用量のPLGカプセル化プラスミドDNAの経口投与が、全身抗体応答と同様に粘膜応答を惹起し得ることを示す。これは、粘膜表面での感染に対する防御が望ましい適用(例えば麻疹またはAIDS)において、PLGカプセル化DNAワクチンの有用な特質であり得る。
【0083】
実施例7
本発明者らは、ルシフェラーゼを発現するカプセル化プラスミドDNAの経口投与が全身抗体応答を誘起し得るという本発明者らの観察を拡張するために、麻疹ウイルス(MV)ヌクレオカプシドタンパク質(N)を発現するプラスミドを開発した。N−発現構築物は、ルシフェラーゼを発現する構築物(実施例3に記載)と、コード配列をEdmonston株MVNコード配列で置換したことを除いて、同一である。精製プラスミドDNAを、PLGカプセル化した(実施例1に記載の方法を用いる)。
【0084】
同系交配C3Hマウスを、経口栄養補給により投与した、0.1M 重炭酸ナトリウムに懸濁した2回の投薬(13日間隔)で免疫した;各用量には、50μg DNAが含まれていた。マウスのコントロール群は、PBS単独、またはコード配列を含まないプラスミドベクターDNA含有PLG粒子を受けた。マウスを時々採血し、そしてMV Nに特異的なIgGの血清レベルを、昆虫細胞において発現された組換えMV Nを抗原として用いてELISAにより測定した。図6Aに示されるように、MV Nを発現するPLGカプセル化DNAでの免疫により、有意なレベルのN特異的抗体が生じた:示した結果は、2回目のDNA投与53日後に採取した1/100希釈血清における平均吸光度である。これらの実験におけるDNA免疫に対する個々のマウスの応答には、かなりの程度の変動があるようである(図6B)が、非常に高いレベルの抗体(10を超える相互作用力価、追跡実験で測定)が存在する動物もいる。これらの結果から、PLGカプセル化DNAの経口送達は、重要な病原体に対する免疫応答を誘起する有効な方法であることが実証された。
【0085】
実施例8
PLGマイクロパーティクル中のプラスミドDNAのカプセル化のさらなる方法:
装置:
1)エマルザースクリーンに備え付けられた3/4’’プローブを有するSilverson
Laboratory ミキサー
2)高速遠心分離機
3)通常の実験用ガラス器具、ビーカー、測定シリンダー、スターラーなど。
【0086】
試薬:
1)ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)溶液−3mlのジクロロメタン中500mg
2)プラスミドDNA(TE緩衝液中>10mg/ml)
3)ポリビニルアルコール(PVA)溶液(水中8% w/v)
4)無水エタノール
5)TE緩衝液(10mM tris pH8.0+1mM EDTA+50mM NaCl)。
【0087】
方法:
1)450μlのプラスミドDNA溶液を、150μlのエタノールと攪拌しながら混合する。よく混合する。
2)この混合物を3mlのPLG溶液に添加し、そしてSilversonミキサー中で、2000rpmで2分半の間乳化する。
3)このエマルジョンを100mlのPVAに添加し、そして2000rpmで2分半の間乳化する。
4)この2重エマルジョンを1リットルの水に添加し、そして1分間激しく攪拌する。
5)マイクロパーティクルの懸濁液を遠心分離容器に分配し、そして10,000×gavで30分間遠心分離する。
6)マイクロパーティクルペレットを25mlの水中に再懸濁し、そして大きなクリアランス(0.5mm)を有する手動ホモジナイザーでホモジナイズして、均質な懸濁液にする。200mlの水で希釈し、そして上記のように再度遠心分離する。
7)工程5および6を4回繰り返す。
8)マイクロパーティクルペレットを上記のように25mlの水中に再懸濁し、そして凍結乾燥に適した容器に移し、イソプロパノール/ドライアイス混合物中で表面を凍結し、そして48時間凍結乾燥する。
【0088】
この方法では、工程1〜3を室温で行う。効率は、実施例1に比較して、30〜40%効率まで改善された。
【0089】
実施例9
PLGマイクロパーティクル中のプラスミドDNAのカプセル化のさらなる方法
装置:
1)エマルザースクリーンに備え付けられた3/4’’プローブを有するSilverson Laboratory ミキサー
2)高速遠心分離機
3)通常の実験用ガラス器具、ビーカー、測定シリンダー、スターラーなど。
【0090】
試薬:
1)ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)溶液−3mlのジクロロメタン中400mg
2)プラスミドDNA(TE緩衝液中>10mg/ml)
3)ポリビニルアルコール(PVA)溶液(水中8% w/v)
4)無水エタノール
5)TE緩衝液(10mM tris pH8.0+1mM EDTA。
【0091】
方法:
1)450μlのプラスミドDNA溶液を、150μlのエタノールと攪拌しながら混合する。よく混合する。
2)この混合物を3mlのPLG溶液に添加し、そしてSilversonミキサー中で、2000rpmで2分半の間乳化する。
3)このエマルジョンを100mlのPVAに添加し、そして2000rpmで2分半の間乳化する。
4)この2重エマルジョンを1リットルの水に添加し、そして1分間激しく攪拌する。
5)マイクロパーティクルの懸濁液を遠心分離容器に分配し、そして10,000×gavで30分間遠心分離する。
6)マイクロパーティクルペレットを25mlの水中に再懸濁し、そして大きなクリアランス(0.5mm)を有する手動ホモジナイザーでホモジナイズして、均質な懸濁液とする。200mlの水で希釈し、そして上記のように再度遠心分離する。
7)工程5および6を4回繰り返す。
8)マイクロパーティクルペレットを上記のように25mlの水に再懸濁し、そして凍結乾燥に適した容器に移し、表面を凍結し、そして48時間凍結乾燥する。
【0092】
この方法では、工程1〜3を4℃で行う。マイクロパーティクル中へのDNAの取り込みの効率は、50〜60%であった。
【0093】
実施例10
マウスロタウイルス(幼若マウス流行性下痢(EDIM)ウイルス)のVP6遺伝子を発現するプラスミドDNA(pCMVIA/VP6)を、University of Massachusetts Medical Centerで構築した。VP6をコードする遺伝子を、ベクター(pJW4303)中に、即時型転写プロモーターの配列およびヒトサイトメガロウイルスのイントロンAおよびtPA由来分泌シグナル配列の下流に挿入した。この遺伝子には、ウシ成長ホルモン遺伝子由来の転写終結配列およびポリアデニル化配列が続く。精製プラスミドDNAを、実施例1に記載の方法を用いてPLGカプセル化した。
【0094】
同系交配Balb/cマウスを、PLGマイクロパーティクル中にカプセル化された50マイクログラムのVP6発現DNAを含む用量で経口投与することによって免疫した。マウスのコントロール群は、カプセル化ベクターDNAの同様の用量を受けた。マウスを、腸ロタウイルス特異的IgAについて、EDIMウイルスを抗原として用いて、ELISAによって隔週で試験した。免疫の9週間後、動物をEDIMウイルスでチャレンジし、そしてモノクローナル抗体に基づくELISAを用いて、便中のウイルスの排出についてモニターした。
【0095】
図7Aに示すように、VP6を発現するPLGカプセル化DNAでの免疫によって、コントロール動物と比較した場合、有意なレベルのロタウイルス特異的腸IgA抗体が生じた。これは特筆すべきである。なぜなら、VP6発現プラスミドDNAの他の投与経路は、ウイルスチャレンジの前に検出可能なレベルの腸ウイルス特異的IgAは誘起しないからである。EDIMウイルスでのチャレンジ後、コントロール群と比較して、PLGカプセル化VP6発現プラスミドDNAを受けたマウスにおけるロタウイルス分断は減少した(図7B)。
【0096】
これらの結果は、ウイルス分断の減少に現れたように、経口投与されたPLGカプセル化プラスミドDNAが、a)特異的腸IgA応答、およびb)ウイルスチャレンジに対する防御を誘導し得ることを示す。
【0097】
実施例11
本発明者らは、麻疹ヌクレオカプシド(N)タンパク質をコードするプラスミドpMV64マイクロカプセル化したプラスミドDNAでの経口免疫化後の麻疹によるマウスの致死チャレンジに対する防御を実証した(Fooks,A.R.,Stephenson,J.R.,Warnes,A.,Dowsett,B.,Rima,B.K.およびWilkinson,G.W.G(1993).Measles
virus nucleocapsid protein expressed in insect cells assembles into
nucleocapsid−like structures.J.Gen.Virol.74:1439−1444、ならびにFooks.A.R.,Schadeck,E.,Liebert,U.G.,Dowsett,B.,Rima.B.K.,Steward,M.,Stephenson,J.R.およびWilkinson,G.W.G.(1995).High−level expression of the measles virus nucleocapsid protein by using a replication−deficient Adenovirus
vector:Induction of an MHC−1−restricted CTL response and protection in amurine model.Virology.210:456−465) 。
【0098】
7日齢のC3H/Heマウスにおいて、経口胃管栄養法によって、免疫化の直前から6時間、食餌および水を与えなかった。各動物は、0.1Mの重炭酸ナトリウム中に懸濁したPLGミクロスフェア中にカプセル化された100μgのpMV64の単回用量を受容した。コントロール動物は同じ経路によってpMV100プラスミドベクターまたはPBS単独の同量の用量を受容した。マウスを、10pfu/マウスで神経毒性のげっ歯動物適応性麻疹株(CAM/RB)を頭蓋内注射することによって免疫化の16日後にチャレンジした。コントロールグループの生存数に比較した、免疫化グループの生存数を、図8に示す。
【0099】
図8から明らかなように、経口経路によって与えられたカプセル化pMV64で免疫化された有意な数のマウスが、コントロール動物が死亡した後長期間、生ウイルスチャレンジの致死効果に耐え得る。麻疹ウイルスでの乳児マウスの感染に対する防御は、本実施例で実証されるように、Thl応答により媒介されると考えられており(Reich,A.,Erlwien,O.,Niewiesk,S.,Ter Meulen,V. およびLiebert,U.G.(1992).CD4+T cells control measles virus infection of the central nervous system.Immunology 76:185−191、ならびにNiewiesk,S.,Brinckmann,U.,Bankamp,B.,Sirak S.,Liebert,U.G.およびTer Meulen,V.(1993).Susceptibility to measles virus−induced encephalitis in mice correlates with impaired antigen presentation to cytotoxic T lymphocytes.J.Virol.67:75−81)、従って本発明者らの結果は、経口送達したカプセル化pDNAが細胞性免疫を刺激することを示唆する。
【0100】
実施例12
経口送達したマイクロカプセル化プラスミドDNAは、細胞性免疫(これは感染の制御および除去に重要な役割を演じることが公知である)の誘発について評価された。
【0101】
マウスのグループに、ルシフェラーゼ遺伝子をコードするカプセル化プラスミド(実施例3)を腹腔内(i.p)、皮下(sub.cut.)、または経口の経路で単回用量(50μg)を与えた。第4グループの動物に50μgの「裸の」プラスミド
DNAを筋肉内へ直接の注射(i.m.)によって与えた。免疫化後16週間の動物を、脾臓および腸間膜リンパ節(MLN)を除去するとき屠殺した。穏やかなホモジナイゼーションの後、これらの組織からのリンパ球を密度勾配遠心分離(LymphoPrep.TM)を用いて調製した。細胞を無血清培地中で洗浄し、計数し、抗生物質を補充した適切な完全培養培地中に5×10生存細胞/mlの最終濃度まで再懸濁した。細胞のアリコート(100μl)を、ポジティブコントロールマイトジェンであるコンカナバリンA、抗CD3抗体もしくは抗CD3抗体とホルボールエステルとの組合せ(細胞生存度のレベルを確率するため、および最大の取り込み率を決定するため)またはルシフェラーゼ抗原(20μg/ml)(抗原に特異的な細胞の刺激を決定するため)のいずれかを含む96ウェル平底マイクロタイタープレートの個々のウェルに分配した。ネガティブコントロールウェルは、細胞を培地単独中に含んだ。37℃で4日間のインキュベートの後、培養物から採取した増殖性細胞ヘのH−チミジンの取込みを、シンチレーションにより測定した。刺激指数を、1分間の平均計数(刺激を受けた細胞)と1分間の平均計数(コントロール培養物)との比として計算した。
【0102】
図9は、ルシフェラーゼコード化プラスミド50μgを含む単回用量で免疫化した動物の脾臓細胞および腸間膜リンパ節細胞の集団から得られた刺激指数を示している。脾臓由来リンパ球の明らかな、かつ有意な刺激が免疫化16週後に明白であり、経口送達したカプセル化プラスミドDNAは、全身Thl応答の刺激において、筋肉への直接注射より有効であることを示している。自明ではないようであるけれども、経口免疫化した動物グループにおいてMLN組織由来のリンパ球がルシフェラーゼ特異的刺激を有する傾向もまた明らかであり、このことは、この送達システムが特異的な粘膜の細胞性免疫応答を誘発し得ることを示唆している。出願時において、これら2つの実施例は、経口経路により与えられたカプセル化DNAにより惹起された細胞性免疫、および重要には粘膜の細胞性免疫の最初の明確な実証であった。
【0103】
実施例13
本発明者らは、ロタウイルス遺伝子をコードするマイクロカプセル化プラスミドの経口送達が、腸の免疫およびロタウイルス感染に対する防御の有意な度合いを惹起し得るという本発明者らの最初の知見を拡張した。マウスロタウイルスのVP6遺伝子をコードするプラスミドDNA(pCMVIA/VP6)(これは、乳児期マウスの動物間流行性の下痢を引き起こす)は、the University of Massachusetts Medical Centreによって構築されている(Herrmann,J.E.,Chen,S.C.,Fynan,E.F.,
Santoro,J.C.Greenberg,H.B.,Wang,S. およびRobinson H.L.(1996).Protection against rotavirus infections by DNA vaccination.J.Infect.Dis.174:S93−97)。このプラスミドを、本明細書中実施例10に記載された実施例1の改変を使用して、PLGミクロスフェア中にカプセル化した。
【0104】
マウスのグループを、PLGミクロスフェア中にカプセル化されたプラスミド
pCMVIA/VP6(マウスにつき約50μgプラスミドDNA)の単回用量で(胃管栄養法により)経口免疫化した。コントロールグループの動物に等量のマイクロカプセル化された空のプラスミドベクターを与えた。血清と便のサンプルを、VP6抗原特異的血清IgGおよび腸管IgAのそれぞれについて、ELISAにより、12週間の内2週間ごとにアッセイした。
【0105】
全てのマウスを、100 ID50 のホモタイプのマウスロタウイルス(EDIM)で免疫化の12週間後にチャレンジし、ワクチン誘導の防御のレベルを評価した。便におけるロタウイルス抗原分断の検出についてのELISA値として表現した実験結果を、図10に示す。本実施例では、ウイルス負荷の有意な減少が、コントロールマウスグループで見られるレベルと比較して、2、3および4日目に見られた。経口プラスミドDNAワクチンの単回用量後の防御は非常に有意であり、このことは、一度至適化すると、この処方および送達経路が、プラスミドワクチンの直接的な注射または経皮送達に対する効果的な代替物であり得ることを示唆している。
【0106】
実施例14
本発明者らは、一連のさらなるカプセル化を行い、有機ポリマー溶媒を分散させる温度を変化させる効果、および有機ポリマー中の水性DNA +水性サーファクタント中の溶媒の2重エマルジョンを形成する工程の間、温度およびアルコール濃度を変化させる効果を調査した。
【0107】
最初に、工程1〜3を、実施例1、8、および9のように行い、次いで工程4(そこでは、有機ポリマー溶媒を分散するために、2重エマルジョンが水と組み合わされる)を、約18℃の温度で水を用いて行った。マイクロパーティクルを形成する代わりに、この工程は、ポリマーの凝集塊を形成した。
【0108】
次に、本発明者らは、有機ポリマー溶媒を分散する工程のために上昇した温度(すなわち、30〜35℃)を使用して、DNAカプセル化を繰り返し、そしてマイクロパーティクルが、良好な効率で、かつ所望のサイズ範囲で形成されたことを見出した。これらの結果は、エマルジョン形成の低減した温度およびその後の周囲温度での溶媒の分散がまた、エマルジョン形成および溶媒分散工程が同じ温度で行われる場合に比較して、改善したDNA取り込みを示した実施例9の結果に従った。
【0109】
引き続いて、本発明者らは、この上昇した分散温度を使用し、そしてエタノール含量およびエマルジョン形成工程の温度を変化させることにより、一連のカプセル化を行った。
【0110】
これらのカプセル化を、5mg/ml pDNAを含んだ0.45mlの100mM NaCl、10mM Tris、1mM EDTA(pH8.0)を、0.15mlの水/エタノールと混合することによって行い、最終エタノール濃度0、10、または25%を得た。次いで、これらを、適切な温度(以下を参照のこと)まで冷却し、そしてSilversonミキサーで2,000rpmで2.5分間、ジクロロメタン中の133mg/ml PLGの3mlを用いて、再び適切な温度で乳化した。次いで、エマルジョンを、72mlの8% PVAを用いて、再び適切な温度で2,000rpmで2.5分間乳化した。次いで、得られる2重エマルジョンを、35℃で100mlの水に添加し、次いで遠心分離して実施例1、8、および9の詳細に従って、マイクロパーティクルを回収した。
【0111】
結果は以下の通りであった:
【0112】
【数1】

これらの結果は、上昇した分散温度が使用される場合、次いで、より低いエタノール濃度またはエタノールを全く含まないことが、効率的なDNAのカプセル化を得るために使用され得ることを示す。
【0113】
本発明の組成物および方法は、DNAワクチンの送達のための徐放系における適用を有し;免疫原の延長された発現が、効率的な単回用量の初回刺激および追加免疫を潜在的に生じ、結果として長期記憶応答の効率的な誘導を生じる。別の適用は、ワクチンの経口送達のためのビヒクルにおいてである;ワクチン投与のための簡単でかつ受容可能な手段は、ワクチン取り込みの割合を改善するようである;さらに、凍結乾燥カプセル化されたプラスミドDNAは、環境的条件に対して非常に安定であり、かつ感受性でないようである。さらなる適用は、遺伝子治療のための徐放系においてである;DNAの長期の放出および引き続く発現は、繰り返される処置の必要性を潜在的に減少させる。
【0114】
【表1−1】

【0115】
【表1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−105774(P2011−105774A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−44526(P2011−44526)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【分割の表示】特願平10−548944の分割
【原出願日】平成10年5月15日(1998.5.15)
【出願人】(503191210)ヘルス プロテクション エージェンシー (19)
【Fターム(参考)】