説明

ワクチン組成物

【課題】 多価ワクチンの製造が望まれている。
【解決手段】 本発明は、
(a) 死菌全細胞百日咳菌(Pw)、又は2種以上の無細胞百日咳成分(Pa)のいずれか[好ましくは後者]、
(b) 破傷風トキソイド(TT若しくはT)、
(c) ジフテリアトキソイド(DT若しくはD)、
(d) B型肝炎表面抗原(HepB若しくはHB)、
(e) 不活化ポリオウイルス(IPV)、並びに
(f) 髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、並びに
(g) 場合により、インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体、
を含むことを特徴とする、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、及び髄膜炎菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための多価免疫原性組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新しい混合ワクチン製剤に関する。複数の病原体に対する防御を付与し、投与コストを下げ、並びに許容率及び達成範囲率を高めるために、必要とされる免疫処置回数を最小限にするためには、混合ワクチン(複数の病原体に対する防御を提供する)が非常に望ましい。文献によく記載されている抗原の競合(又は干渉)現象により、多成分系ワクチンの開発が複雑になっている。抗原の干渉とは、複数の抗原を投与すると、これらの抗原を個別に投与する場合に観察される免疫反応に比べて一定の抗原に対する反応がしばしば減少する、という観察結果を指す。
【背景技術】
【0002】
百日咳菌(Bordetella pertussis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、並びに任意によりB型肝炎ウイルス及び/又はインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae)を防御することができる混合ワクチンは公知である(例えば、国際特許出願公開番号WO93/24148号及びWO97/00697号参照)。
【特許文献1】WO93/24148号
【特許文献2】WO97/00697号
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
本発明は、そのワクチンを投与すると、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス及び髄膜炎菌(N.meningitidis)、そして好ましくはさらにインフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、A型肝炎ウイルス及び/又はポリオウイルスによる感染を予防又は治療することができる多価ワクチンであって、その多価ワクチンの成分がワクチン成分のいずれか1つの免疫学的機能を著しく干渉しないことを特徴とする、現在までに最も望まれている多価ワクチンの製造に関する。
【0004】
従って、一つの態様において、本発明は、
(a) 死菌全細胞百日咳菌(Pw)、又は2種以上の無細胞百日咳成分(Pa)のいずれか[好ましくは後者]、
(b) 破傷風トキソイド(TT若しくはT)、
(c) ジフテリアトキソイド(DT若しくはD)、
(d) B型肝炎表面抗原(HepB若しくはHB)、
(e) 不活化ポリオウイルス(IPV)、並びに
(f) 髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、並びに
(g) 場合により、インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体、
を含むことを特徴とする、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、及び髄膜炎菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための多価免疫原性組成物を提供する。
【0005】
上記免疫原性組成物は、組成物の抗原のいずれに対しても実質的な干渉問題を生じない、次のリストから選択される1、2、3、4、5又は6種の成分を更に含んでもよい:髄膜炎菌A型多糖[MenA](好ましくは複合体)、髄膜炎菌W型多糖[MenW](好ましくは複合体)、チフス菌(Salmonella typhi)のVi多糖、髄膜炎菌(好ましくは血清型B)外膜小胞、1種以上の髄膜炎菌(好ましくは血清型B)外膜(表面に露出した)タンパク質、及び死菌弱毒化A型肝炎ウイルス(HepA−好ましくは「HavrixTM」[スミスクライン・ビーチャム・バイオロジカルズ社製]として知られる製品)。
【0006】
本発明の第2の態様において、本発明は、2又は3の多価免疫原性組成物を含む種々の有利なキットを提供し、該キットは、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、及び肺炎連鎖球菌、そして場合により髄膜炎菌及びインフルエンザ菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与することが可能なものである。
【0007】
本発明の第2の態様の第1の実施形態においては、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、及び肺炎連鎖球菌、そして場合により髄膜炎菌及びインフルエンザ菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための、2つの多価免疫原性組成物を含むキットを提供する。
【0008】
上記キットは、
(a) 死菌全細胞百日咳菌(Pw)、又は2種以上の無細胞百日咳成分(Pa)のいずれか[好ましくは後者]、
(b) 破傷風トキソイド(TT若しくはT)、
(c) ジフテリアトキソイド(DT若しくはD)、
(d) B型肝炎表面抗原(HepB若しくはHB)、及び
(e) 不活化ポリオウイルス(IPV)、
を含む第1容器と、
(2a) 肺炎連鎖球菌に由来する莢膜多糖と担体タンパク質との1以上の複合体(該莢膜多糖が、1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F又は33Fからなる群より選択される肺炎球菌血清型に由来することが好ましい)、
を含む第2容器、を含むものである。
【0009】
本発明の上記キットのさらに有利な実施形態においては、
第1容器がさらに以下の成分を含む:(f)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、並びに(g)インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体;あるいは、
第2容器がさらに以下の成分を含む:(2b)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、並びに(2c)インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体;あるいは、
第1容器がさらに(f)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方を含み、かつ第2容器がさらに(2b)インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体を含む;あるいは、
第1容器がさらに(f)インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体を含み、かつ第2容器がさらに(2b)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方を含むものである。
【0010】
本発明の第2の態様の第2の実施形態においては、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、髄膜炎菌及びインフルエンザ菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための、2つの多価免疫原性組成物を含むキットを提供する。
【0011】
上記キットは、
(a) 死菌全細胞百日咳菌(Pw)、又は2種以上の無細胞百日咳成分(Pa)のいずれか[好ましくは後者]、
(b) 破傷風トキソイド(TT若しくはT)、
(c) ジフテリアトキソイド(DT若しくはD)、
(d) B型肝炎表面抗原(HepB若しくはHB)、及び
(e) 不活化ポリオウイルス(IPV)、
を含む第1容器と、
(2a) 髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、及び
(2b) インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体、
を含む第2容器、を含むものである。
【0012】
本発明の第2の態様の第3の実施形態においては、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、及び髄膜炎菌、インフルエンザ菌及び肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための、3つの多価免疫原性組成物を含むキットを提供する。
【0013】
上記キットは、
(a) 死菌全細胞百日咳菌(Pw)、又は2種以上の無細胞百日咳成分(Pa)のいずれか[好ましくは後者]、
(b) 破傷風トキソイド(TT若しくはT)、
(c) ジフテリアトキソイド(DT若しくはD)、
(d) B型肝炎表面抗原(HepB若しくはHB)、及び
(e) 不活化ポリオウイルス(IPV)、
を含む第1容器と、
(2a) 肺炎連鎖球菌に由来する莢膜多糖と担体タンパク質との1以上の複合体(該莢膜多糖が、1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F又は33Fからなる群より選択される肺炎球菌血清型に由来することが好ましい)、
を含む第2容器と、
(3a) 髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型からなる群より選択される細菌の莢膜多糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、及び
(3b) インフルエンザ菌B型の莢膜多糖(Hib)と担体タンパク質との複合体、
を含む第3容器、を含むものである。
【0014】
本発明の上記キットの任意又は上記の容器は、組成物の抗原のいずれに対しても実質的な干渉問題を生じない、次のリストから選択される1、2、3、4、5、6、又は7種の成分を更に含んでもよい:髄膜炎菌A型多糖[MenA](好ましくは複合体)、髄膜炎菌W型多糖[MenW](好ましくは複合体)、チフス菌のVi多糖、髄膜炎菌(好ましくは血清型B)外膜小胞、1種以上の髄膜炎菌(好ましくは血清型B)外膜(表面に露出した)タンパク質、HepA(上記参照)、及び1以上の肺炎連鎖球菌タンパク質(好ましくは表面に露出したもの)。
【0015】
上記キットの容器は、別々に包装してもよいし、又は好ましくは一緒に包装してもよい。好ましくは、上記キットは、2以上の容器中にワクチン投与のための取扱い書(リスト)を含む。
【0016】
キット中の容器が特定の多糖複合体を含む場合には、同じ複合体が該キットの他の容器に存在しないことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、驚くべきことに、上述のように提供されたキットが、宿主の免疫系に対して最適に種々の抗原を有利に提示することを見出した。上記キットは、医療従事者に対し、以下に示す1以上の利点(好ましくは、2又は3、最も好ましくは全ての利点)を有する、宿主の最適な免疫方法を提供するものである:すなわち、全ての抗原に対する防御の有効性、最小の反応原性(reactogenicity)、最小の担体抑制干渉作用、最小のアジュバント/抗原干渉作用、又は最小の抗原/抗原干渉作用。このようにして、最小回数(2回)の投与、好ましくは実施者に同じ訪問時に行うことによりこれらの目的を達成可能である。
【0018】
好ましい実施形態においては、第1及び第2(そして適用可能な場合には第3)の容器のワクチンを異なる部位(後述する)と同時に投与するが、別の実施形態においては、本発明者らは、第1及び第2容器の内容物を単回ワクチンとして投与前に混合(好ましくは即時に混合)することも想定している。
【0019】
本発明の抗原
破傷風トキソイド(TT)を調製する方法は、当分野で周知である。例えばTTは、好ましくは、破傷風菌の培養物からトキシンを精製した後、化学的に無毒化して生成されるか、あるいはこのトキシンの組換え類似体又は遺伝的に無毒化された類似体を精製することにより作製される(例えば、EP209281号に記載されている)。また、「破傷風トキソイド」は、全長タンパク質の免疫原性フラグメントも包含する(例えばフラグメントC。EP478602号を参照されたい)。
【0020】
ジフテリアトキソイド(DT)を調製する方法もまた当分野において公知である。例えばDTは、好ましくは、ジフテリア菌の培養物からトキシンを精製した後に化学的に無毒化して生成されるか、あるいはこのトキシンの組換え類似体又は遺伝的に無毒化された類似体を精製することにより作製される(例えば、CRM197、又は米国特許第4,709,017号、同第5,843,711号、同第5,601,827号、及び同第5,917,017号に記載されるような他の変異体)。
【0021】
無細胞百日咳菌の成分(Pa)は当分野において周知である。例として、百日咳トキソイド(PT)、線維状赤血球凝集素(FHA)、パータクチン(pertactin;PRN)及び凝集原2及び3が挙げられる。これらの抗原は、部分的に又は高純度で精製される。好ましくは、2種以上の無細胞百日咳菌の成分がワクチン中で使用される。より好ましくは、上記に例示した無細胞百日咳菌の成分のうち2種、3種、4種又は5種全てが、ワクチン中に使用される。最も好ましくは、PT、FHA及びPRNが含まれる。PTは、様々な方法、例えば百日咳菌の培養物からトキシンを精製した後に化学的に無毒化することにより、或いは(例えば、米国特許第5,085,862号に記載されるように)PTの遺伝的に無毒化された類似体を精製することにより作製することができる。
【0022】
本発明に適する死菌全細胞百日咳菌(Pw)を調製する方法は、DT−TT−Pw−HepB及びDT−TT−Pa−HepBワクチンの作製に適した製剤化方法として、国際特許出願公開番号WO93/24148号に開示されている。
【0023】
不活化ポリオウイルス(IPV)は、好ましくはワクチン技術において標準的である1型、2型、及び3型を含み、最も好ましくはソークポリオワクチンを含む。
【0024】
本発明の肺炎連鎖球菌ワクチンは、典型的には多糖抗原(好ましくは複合体化したもの)を含み、該多糖は、血清型:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33Fからなる群より選択される肺炎球菌の少なくとも4つの血清型に由来するものである。好ましくは、この4つの血清型は、6B、14、19F及び23Fを含む。より好ましくは、上記組成物には、少なくとも7つの血清型(例えば、4、6B、9V、14、18C、19F、及び23Fを含む)に由来する多糖を含む。さらに好ましくは8種以上の血清型(例えば、少なくとも11種の血清型)に由来する多糖が組成物中に含まれる。例えば、一実施形態において、組成物は、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23Fに由来する11種の莢膜多糖(好ましくは複合体化されている)を含む。本発明の好適な実施形態では、少なくとも13種の多糖抗原(好ましくは複合体化されている)が含まれるが、他の多糖抗原、例えば23価(血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33F等)のものも本発明により想定される。
【0025】
(例えば肺炎を予防するための)高齢者のワクチン接種の場合、上述の好ましい11価抗原性組成物に加えて血清型8及び12F(また、最も好ましくは血清型15及び22も)を含ませて13/15価ワクチンを生成することが有利であり、これに対して、(特に中耳炎が心配な)乳児又は幼児の場合、血清型6A及び19Aを含ませて13価ワクチンを生成するのが有利である。
【0026】
複合体
細菌性莢膜多糖複合体は、少なくとも1種のT−ヘルパーエピトープを含む任意の担体ペプチド、担体ポリペプチド又は担体タンパク質を含み得る。好ましくは、使用される担体タンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、組換え型ジフテリアトキシン(米国特許第4,709,017号、国際特許出願公開番号WO93/25210号、WO95/33481号、又はWO00/48638号のいずれかに記載されるようなもの)、肺炎連鎖球菌に由来するニューモリシン(pneumolysin)(好ましくは化学的に無毒化されたもの、又は無毒化変異体)、髄膜炎菌に由来するOMPC、及びインフルエンザ菌に由来するプロテインD(PD)(EP594610号)からなる群より選択される。周知の担体抑制(carrier suppression)作用のため、本発明の組成物の各々において、組成物中に含まれる多糖抗原(‘n’種の抗原)を2種以上の担体と複合体化させるのが有利である。従って、(n−1)種の多糖をある1つのタイプの担体に(別々に)担持させ、残り1種を他のタイプの担体に担持させるか、或いは(n−2)種の多糖をある1つのタイプの担体に担持させ、残り2種を他の2つのタイプの担体に担持させる、等が考えられる。例えば、4種類の細菌性多糖複合体を含むワクチンにおいては、1種、2種又は4種全てを異なる担体と複合体化させることができる。しかし、プロテインDは、組成物中で様々な(2種、3種若しくは4種以上の)多糖に対して顕著な担体抑制作用もなく使用され得るため、本発明の組成物中で担体として有益に使用される。最も好ましくは、HibはTT複合体として、並びにMenA、MenC、MenY及びMenWはTT複合体又はPD複合体のいずれかとして存在する。またプロテインDはインフルエンザ菌に対する防御を提供することができる他の抗原を提供するので、これも有効な担体である。
【0027】
多糖は、任意の公知方法により担体タンパク質に結合させることができる(例えば、Likhiteによる米国特許第4,372,945号及びArmor等による米国特許第4,474,757号)。好ましくは、CDAP複合体化(conjugation)により行う(国際特許出願公開番号WO95/08348号)。
【0028】
CDAPでは、多糖−タンパク質複合体の合成のために、好ましくはシアン化試薬1−シアノ−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)が使用される。シアン化反応は、アルカリ感受性多糖の加水分解を回避する比較的穏かな条件下で実施することができる。この合成により、担体タンパク質に直接結合させることができる。
【0029】
本発明の免疫学的組成物の性質
本発明の免疫原性組成物は、宿主にin vivo投与するためのワクチンとして好ましく製剤化される。それにより組成物の個別の成分が、その組成物の他の個々の成分によりその個々の成分の免疫原性が実質的に損なわれないように製剤化されることになる。「実質的に損なわれない」とは、免疫感作を行ったときに、抗原が単独で投与された時に得られる力価の60%を超える、好ましくは70%を超える、より好ましくは80%を超える、更により好ましくは90%を超える、最も好ましくは95〜100%を超える抗体力価(例えばIgG)が各成分に対して得られる、という意味である。
【0030】
興味深いことに、上述のキットの組み合わせを用いることにより、免疫感作を行ったときに、Hib莢膜多糖又はいくつかの肺炎球菌多糖のアプローチ(approaching)に対する抗体力価、又は単離した抗原を投与した場合に得られる力価を超える若しくはその100%を得ることが可能である。
【0031】
ワクチン製剤
本発明の免疫原性組成物は、好ましくは各抗原の成分ごとの血清防御がヒト被験者の許容割合(%)の基準を超える抗体力価を付与するように、宿主にin vivo投与するためのワクチンとして製剤化される。これは、集団全体におけるワクチン効力の評価において重要な試験である。それを超えると宿主が抗原に対してセロコンバージョン(抗体陽転)を起こすと考えられている関連抗体力価を有する抗原は周知であり、そのような力価はWHOのような機関により公表されている。好ましくは統計学的に有意な被験者サンプルの80%超がセロコンバージョンを起こし、より好ましくは90%超、更に好ましくは93%超、及び最も好ましくは96〜100%がセロコンバージョンを起こす。
【0032】
本発明の免疫原性組成物には好ましくはアジュバントが加えられる。適切なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲル(アルム)又はリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、鉄若しくは亜鉛の塩、又はアシル化チロシン、又は、アシル化糖、カチオン若しくはアニオンにより誘導体化された多糖、又はポリフォスファゼンの不溶性懸濁液でもよい。
【0033】
アジュバントは、免疫反応の細胞性免疫を促進するためのTH1型の反応の選択的誘導物質となるように選択することも可能である。
【0034】
高レベルのTh1型サイトカインは、所定の抗原に対する細胞性免疫反応の誘導を促進する傾向がある。一方で、高レベルのTh2型サイトカインは、抗原に対する体液性免疫反応の誘導を促進する傾向がある。
【0035】
Th1反応を優勢に促進する適切なアジュバント系は、モノホスホリル脂質A又はその誘導体、特に、3−デ−O−アシル化モノホスホリルリピドA、及びモノホスホリルリピドA(好ましくは3−デ−O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL))とアルミニウム塩との組合せを含む。増強系としては、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組合せ、特に、国際特許出願公開番号WO94/00153号に開示されたようなQS21と3D−MPLとの組合せ、又は、国際特許出願公開番号WO96/33739号に開示されたようなQS21がコレステロールで抑制される低反応原性組成物が含まれる。QS21、3D−MPL及び水中油型エマルション中のトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤が国際特許出願公開番号WO95/17210号に記載されている。ワクチンは、サポニンを、より好ましくはQS21を更に含んでもよい。また製剤は、水中油型エマルション、及びトコフェロールを含んでもよい(国際特許出願公開番号WO95/17210号)。オリゴヌクレオチドを含む非メチル化CpG(国際特許出願公開番号WO96/02555号)もまた、TH1反応の選択的誘導物質であり、本発明において使用するのに適している。
【0036】
アルミニウム塩は上記免疫原性組成物において用いるための好ましいアジュバントである。特にHepBは、他の成分と混合する前にリン酸アルミニウムに吸着させておくことが好ましい。パータクチン(pertactin)は、他の成分と混合する前に水酸化アルミニウムに吸着させておくことが好ましい。本発明の組成物においてアジュバント(特にアルミニウム塩)のレベルを最小限にするために、多糖複合体にアジュバントを加えなくてもよい。
【0037】
また本発明は、薬学的に許容される賦形剤と共にワクチンの成分を混合する工程を含むワクチン製剤の製造方法も提供する。
【0038】
本発明の特に好ましいDTPa組成物(独立して使用するための、又は上記キットの一つの第1容器の内容物としての組成物)は、以下のものを含む:TT、DT、Pa(好ましくはPT、FHA及びPRNを含み、PRNは好ましくは水酸化アルミニウムに吸着されている)、HepB(好ましくはリン酸アルミニウムに吸着されている)、IPV、MenC(好ましくはプロテインD、TT、DT又はCRM197のいずれかと複合体化されている)、及び場合によりMenY(好ましくはプロテインD、TT、DT又はCRM197のいずれかと複合体化されている)。組成物は、場合によりHib(好ましくはTTとの複合体及び/又はアジュバントに吸着されていないもの)を含んでいてもよい。好ましくは、ワクチンは、2個のバイアル、すなわち液体状のDTPa−IPV−HepBを含む第1バイアル、及び、好ましくはショ糖、乳糖又はトレハロースのような凝結防止剤の存在下に凍結乾燥状態のMenC(及び場合によりMenY及び/又はHib)を含む第2バイアルに入れて提供することができる。バイアルの内容物は、1回の投与/注射で宿主に投与する前に即時に一つの容器内で混合することができる。この組成物は上述したキットに使用することもできる(第1容器の内容物)。
【0039】
Hib(好ましくはTTとの複合体及び/又はアジュバントに吸着されていないもの)、並びに/あるいはMenC及びMenY(好ましくはプロテインD、TT、DT若しくはCRM197のいずれかとの複合体及び/又はアジュバントに吸着されていないもの)の一方又は両方を入れた容器を含むキットのために、この組成物は凍結乾燥した状態で、好ましくはショ糖、乳糖又はトレハロースのような凝結防止剤の存在下に好ましく保存される。
【0040】
DTPa及びHib、並びに/あるいはMenC及びMenY(Hib及び/若しくはMen成分はTTと複合体化されている)の一方又は両方を入れた容器を含む本発明のDTPa組成物(独立して使用するための、又は上記キットの一つの第1容器の内容物としての組成物)のために、TT免疫干渉作用又は多糖と複合体化されたTTの担体抑制作用を低減、最小化又は防止するために、単一容器中のTTの合計含有量が臨界閾値(例えば、40、45、50、60、70又は80μgのTT)以下になるようにワクチン中のTT含有量を調整することが好ましい。好ましくは、この閾値は50μgである。本発明者らは、この点で有益であるように、上記複合体における多糖:TTの比率を重量で1:0.5〜1.5(好ましくは1:0.6〜1.2、最も好ましくは約1:1)に低減できることを見出した。例えば、DTPa―HB−IPV−Hib(TT)−MenC(TT)ワクチンにおいて、DTPa中のTの量は、典型的な標準的量未満(通常の量の好ましくは約1/4〜3/4、最も好ましくは約1/2)に、例えば、10〜30μgのTT、好ましくは20〜25μgのTTに好ましく低減される。例えば、Hibと複合体化されたTTの量が約12μgのTTであり、MenCと複合体化されたTTの量が約5μgのTTであり、そして複合体化されていないTTの量が24μgであるならば、合計TTは約41μgとなる。
【0041】
特に好ましいHib/肺炎球菌多糖組成物(独立して使用するための、又は上記キットの一つの第1容器の内容物としての組成物)は、以下のものを含む:Hib(好ましくはTTとの複合体及び/又はアジュバントに吸着されていないもの)、及び複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11種より多い)肺炎球菌多糖複合体(例えば、上記の「本発明の肺炎連鎖球菌ワクチン」の節に記載した組み合わせ)。最も好ましくは、11種の肺炎球菌多糖(血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23Fに由来するのもの)が含まれる。好ましくは、肺炎球菌多糖は、PD、DT、CRM197又はTTとの複合体である。好ましい実施形態において、Hib多糖抗原は、アジュバント、特にアルミニウム塩に吸着されていない。肺炎球菌多糖抗原にはアジュバント(好ましくはリン酸アルミニウム)を加えてもよいが、それらはアジュバント、特にアルミニウム塩に吸着させなくてもよい。特定の実施形態において、組成物にはアルミニウムアジュバント塩が存在しない。本発明の組成物は、他の抗原(例えば、髄膜炎菌C型夾膜多糖複合体[好ましくはプロテインD、TT、DT若しくはCRM197のいずれかとの複合体及び/又はアジュバントに吸着されていないもの)を含んでいてもよいが、別の実施形態においては、組成物中に存在する抗原はHib及び肺炎球菌多糖複合体だけである。上記の製剤のもう一つの特定の実施形態において、Hib及び肺炎球菌多糖は同じ担体と複合体化されていない(特に担体がCRM197の場合)。
【0042】
ワクチンは、1個の容器に入れて(内容物は液体状若しくは凍結乾燥状態のいずれかである)、又は2個のバイアル、すなわちHib(好ましくは凍結乾燥物)を含む第1バイアル、肺炎球菌抗原(好ましくは液体状)を含む第2バイアルに入れて提供することができる。凍結乾燥組成物には、好ましくはショ糖、乳糖又はトレハロースのような凝結防止剤を存在させる。バイアルの内容物は1回の投与/注射で宿主に投与する前に即時に一つの容器内で混合することができる。そのような製剤を用いて免疫を行うと、抗原を単独で投与した場合に得られる力価の100%に近いか、又は最も頻繁にはその力価を超える抗体力価をHib夾膜多糖を用いる免疫に対して得ることが可能である。好ましい実施形態において、(防御効力の点では)単独投与と比較して、組み合わせ投与において肺炎球菌多糖複合体に(有意な)有害作用は生じない。これは、最後の一次投与(一次投与は生後1年までに受ける初回抗原刺激投与(通常3回)である)の1ヶ月後に抗多糖抗体の一次投与後の相乗平均濃度(GMC)を測定するという形で評価することができる。本発明のワクチンのGMC(単位μg/ml)は、好ましくは、肺炎球菌多糖がHib複合体無しで投与される場合のGMCの55%を超える(より好ましくは60、70、80又は90%を超える)はずである。有害作用が生じなかったことを示すもう一つの指標は、本発明のワクチンの一次投与の1ヶ月後と、Hib複合体無しのワクチンの一次投与の1ヶ月後とを比較した場合に、抗体濃度が0.5μg/ml以上である被験者のパーセンテージの差が10%以下(好ましくは、9、7、5、3又は1%未満)であるかどうかである。
【0043】
上記では、Hib、肺炎球菌及び髄膜炎菌「多糖」について言及しているが、本発明は、Hib及びワクチン技術において周知である肺炎球菌の「サイズを規制した多糖」及び「オリゴ糖」(扱い易くするために多糖のサイズを小さくしたものであって、宿主における防御免疫反応を誘発することができるもの)まで広く含み得ると考えられる(例えば、EP497525参照)。有利には、MenYは、オリゴ糖複合体として存在することができ、該オリゴ糖は天然多糖の分子量の0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8又は0.9倍の分子量を有する。
【0044】
本発明のもう一つの態様において、医薬に使用するための本明細書中に記載される免疫原性組成物又はワクチンを提供する。
【0045】
本発明のさらにもう一つの態様において、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及び髄膜炎菌(及び場合によりインフルエンザ菌)の感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防するための医薬の製造における本発明の免疫原性組成物の使用を提供する。さらに、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、インフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌及び髄膜炎菌の感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防するためのワクチンキットの製造における本発明の免疫原性組成物の使用を提供する。
【0046】
さらに、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及び髄膜炎菌(及び場合によりインフルエンザ菌)によって引き起こされる疾患に対する免疫をヒト宿主に付与する方法であって、本発明の免疫原性組成物の免疫防御量を宿主に投与することを含む上記方法も提供する。
【0047】
本発明のもう一つの態様は、本発明の上記キットを用いて、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス及びポリオウイルス、並びにインフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌及び髄膜炎菌の1種以上、によって引き起こされる疾患に対する免疫をヒト宿主に付与する方法であって、以下に明確に記載する同時投与スケジュールを含む上記方法に関する。
【0048】
同時投与スケジュール
そのようなスケジュールは、宿主に、キット(例えば、本発明のキットの一つ)の第1容器の免疫原性組成物の免疫防御量を、該キットの第2(又は第3)の容器の免疫原性組成物が投与される部位とは異なる(別の流入領域のリンパ節;drained by different lymph node)部位に投与する工程を含む。好ましくは、異なる部位は異なる肢である。ワクチンの投与は、好ましくはそれぞれ24時間以内、より好ましくは同日以内、最も好ましくは宿主が開業医を訪問した同じ時に行われる。好ましくは、宿主への後続の初回抗原刺激投与は、両方(又は全て)のワクチンを用いて、1回以上(好ましくは2回)の更なる時点で毎回2〜12週間(好ましくは約1ヶ月)の間隔をおいて同じ手段で行われる。しばしば、3度目の初回抗原刺激投与は、2度目の投与後の2週間〜7ヶ月の間に与えることができる。例えば、ワクチンを上記のようにDTPワクチンのための通常の投与スケジュール(例えば、3回訪問システムで各訪問ごとに1ヶ月の間隔をおいて、例えば生後3、4及び5ヶ月の月齢スケジュール;生後3、5及び11ヶ月の月齢スケジュール;又は生後3、5及び12ヶ月の月齢スケジュール)に従って投与することができる。そのような投与スケジュールによって、キットの両方(又は全て)の容器中の抗原に対する免疫反応の最適化を可能となる。
【0049】
ワクチンの追加免疫投与は、生後2年〜成人までのいつでも同じ手段で与えることができる。初回免疫刺激は好ましくは筋肉内径路から行われるが、追加免疫刺激は、場合により粘膜アジュバント(好ましくはラウレス(lauleth)9、又は大腸菌に由来する熱不安定トキシン[LT]、及びその変異体又はフラグメント)の存在下に、粘膜内に有利に行うことができ(例えば、ワクチンの鼻内投与は投与が容易であり、特に宿主が非経口的に初回免疫刺激された場合は著しく良好に作用する)、そしてワクチンの投与部位を別のリンパ節に流入する必要がない。
【0050】
同時投与のための本発明のワクチンキットの製造方法における、容器内の本発明の免疫原性組成物の使用も包含される。
【0051】
2個以上の容器中にTTを含むキット
本発明のもう一つの態様は、同時投与(上記で定義した通り)のためのワクチンキットであって、TT免疫干渉作用又はTT複合体化多糖の担体抑制作用を有利に低減、最小化又は防止するために2個以上の容器中のTT含有量を調整したものである、上記ワクチンキットに関する。TTは著しく良好な担体であるが、ワクチン組成物に過剰に用いられる場合、特に遊離TTも存在する場合には制限があることが知られている。過剰に使用する場合、TTと複合体化された全ての抗原は低下した抗体力価を示す。従って、当分野では、上記の欠点無くTTを多数の異なる範囲で(例えば、遊離抗原として、及び多数の多糖抗原の担体として)多くの混合ワクチンに使用する方法に関して明らかな問題がある。本発明者らは、この問題を解決する最適な方法;すなわち、キット同時投与スケジュール(上記で定義した通り)の使用によって、免疫干渉作用又は担体抑制作用が生じる臨界閾値以下の量でTTを含む第1容器のワクチンを、免疫干渉作用又は担体抑制作用が生じる臨界閾値以下の量でTTを含む第2(場合により第3)の容器のワクチンとともに、同時に投与されるTTの合計量がこの臨界閾値を超えるように投与することができ、そして免疫干渉作用(又は担体抑制作用)が最小化され(すなわち成分を1回の注射で投与した場合より少なく)、好ましくは全く生じないという方法を見出した。臨界閾値は、40、45、50、60、70又は80μgのTTであってよく、好ましくは約50μgのTTである。従って、投与できる最大合計TTは、およそ、キットの容器の数(2又は3)からの量に臨界閾値を乗じた量までである。
【0052】
従って、本発明は、遊離形態及び/又は複合体形態のTTをそれぞれ含む2種(又は3種)の免疫原性組成物を入れた2個(又は3個)の容器を含む同時投与のためのキットであって、各容器中のTTの量がTT免疫干渉(又は担体抑制)作用を防止又は最小化するために臨界閾値以下であり、ただし全容器中の合計TTは該臨界閾値を超えるものである、上記キットを提供する。
【0053】
好ましくは、容器の少なくとも1個は、遊離の(複合体化されていない)TTを含むべきであり、これはDTPa又はDTPw多価ワクチンに関して最も好ましい。遊離TTの量は約42μgのほぼ通常レベルで存在し得るが、本発明のさらなる利点は、より少ない量(10〜30又は10〜20μg、例えば、10、15、20、25又30μg)の存在を可能にし、ただし、最適な抗TT抗体力価を最小(又は皆無の)免疫干渉又は担体抑制作用で誘発させ得ることである。
【0054】
好ましくは、容器の少なくとも1個(ただし、できれば2又は3個)は、少なくとも1種(ただし、できれば2、3、4、5、6、7又はそれ以上)のTT複合体化多糖を含むべきである。1個の容器に遊離TTが存在する場合には、キットの他の容器の1個が少なくとも1種のTT複合体化多糖を含むことが好ましい。多糖は本明細書に記載するいずれであってもよく、好ましくは1種以上の肺炎球菌多糖(上記の通り)、又はMenC、MenY若しくはHibであってよい。
【0055】
好ましくは、キットは上述した本発明のキットのいずれかである。
【0056】
好ましくは、キットに存在する多糖−TT複合体の1、2、3種又は全ては、複合体がなお免疫学的機能を有するが、TT免疫干渉又は担体抑制作用の最小化又は防止を容易にするように、多糖:TTの比率が(標準的複合体と比較して)重量で1:0.5〜1.5(好ましくは1:0.6〜1.2、最も好ましくは約1:1)まで低減したようなものである。
【0057】
さらに、第1容器の免疫原性組成物の免疫防御量を宿主の第1部位に投与し、第2容器の免疫原性組成物の免疫防御量を宿主の第2部位に投与する(そして場合により、第3容器の免疫原性組成物の免疫防御量を宿主の第3部位に投与する)ことを含む、上記キットを使用してヒト宿主に免疫を付与する方法を提供するが、第1及び第2(及び場合により第3)の部位が異なる流入領域リンパ節である。
【0058】
同時投与は、上記のように行うべきである。好ましくは、第1及び第2(及び場合により第3)の部位は宿主の異なる肢に存在する。好ましくは、第1及び第2(及び場合により第3)の容器の免疫原性組成物の投与は、同じ日に行われる。好ましくは、宿主への後続のワクチン接種は、1回以上の更なる時点で毎回2〜12週間の間隔をおいて、より好ましくは2回の更なる時点で毎回約1〜2ヶ月間の間隔をおいて、同じ手段で与えられる。
【0059】
2個以上の容器にDT又はCRM197を含むキット
本発明のさらにもう一つの態様は、同時投与(上記で定義した通り)のためのワクチンキットを提供し、このワクチンキットにおいては、2個以上の容器中のDT含有量(DT、及びCRM197のような免疫学的に同一の任意の変異体を含む)を調整して、DT(又はCRM197)と複合体化された多糖の抗体力価を強化する一方で、反応原性を最小化する(すなわち、容器中の成分を1回の注射で投与する場合よりも反応原性が低い)ものである。DT及びCRM197は著しく良好な担体であるが、DTはこれを含むワクチンの反応原性の大きな一因であることが知られている。本発明らは、キットの同時投与スケジュール(上記で定義した通り)の使用によって、DT(及び/又はCRM197)を含む第1容器のワクチンが、DT又はCRM197と複合体化した多糖を含む第2(及び場合により第3)の容器のワクチンを同時に投与する場合に、有利に高い量(40〜150μg、好ましくは60〜120μg、より好ましくは70〜100μg、最も好ましくは約95μg)で存在することを見出した。
【0060】
本発明の利点は、a)第1容器中のDT含有量は高いが、DT免疫干渉又は担体抑制作用を誘導するほどには高くないこと、b)DT−又はCRM197−多糖複合体は第1容器から分離されているので、第1容器のワクチンの反応原性が高められないこと、さらに、c)DT又はCRM197と複合体化された多糖に対する抗体力価を低下させるのではなく、強化できる(複合体を別個に投与した場合と比較して、又は第1容器中に存在するDT量が低い場合と比較して、力価が大きい)ことである。
【0061】
従って、本発明は、同時投与(上記で定義した通り)のための2種(又は3種)の免疫原性組成物を入れた2個(又は3個)の容器を含むキットを提供し、該キットは、第1容器が高い量(上記で定義した通り)で存在するDTの含有量(DT+CRM197;好ましくは遊離のもの又は複合体化されていないもの)を含み、そして第2(及び第3)の容器がDT及び/又はCRM197と複合体化された多糖の1種以上を含むものである。
【0062】
好ましくは、第1容器は遊離の(複合体化されていない)DTを含むべきであり、これはDTPa又はDTPw多価ワクチンに関して最も好ましい。
【0063】
DT及び/又はCRM197と複合体化された多糖の1種以上は、以下のリストから選択することができる:肺炎球菌多糖1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F又は33F、及びMenC、MenY又はHib。好ましくは、本発明によれば、これらの1以上の多糖に対する免疫反応(抗体力価)は、複合体それ単独の投与と比較して持続され、そして最も好ましく強化される。
【0064】
好ましくは、キットは上述した本発明のキットのいずれかである。
【0065】
好ましくは、キット中に存在する多糖−DT(又はCRM197)複合体の1、2、3種又は全ては、多糖:DT/CRM197の比率が(標準的複合体と比較して)重量で1:0.5〜1.5(好ましくは1:0.6〜1.2、最も好ましくは約1:1)まで低下されたようなものである。
【0066】
さらに、上記キットを使用して、第1容器の免疫原性組成物の免疫防御量を宿主の第1部位に投与し、第2容器の免疫原性組成物の免疫防御量を宿主の第2部位に投与する(そして場合により、第3容器の免疫原性組成物の免疫防御量を宿主の第3部位に投与する)ことを含むヒト宿主に免疫を付与する方法であって、第1及び第2(及び場合により第3)の部位が異なる流入領域リンパ節である、上記方法を提供する。
【0067】
同時投与は上記のように行うべきである。好ましくは、第1及び第2(及び場合により第3)の部位は宿主の異なる肢に存在する。好ましくは、第1及び第2(及び場合により第3)の容器の免疫原性組成物の投与は、同じ日に行われる。好ましくは、宿主への後続のワクチン接種は、1回以上の更なる時点で毎回2〜12週間の間隔をおいて、より好ましくは2回の更なる時点で毎回約1〜2ヶ月間の間隔をおいて、同じ手段で与えられる。
【0068】
本発明のワクチン調製物は、全身又は粘膜経路からの上記ワクチンの投与によって、感染し易い哺乳動物を保護又は治療するために使用することができる。これらの投与としては、筋肉内、腹腔内、皮内、若しくは皮下経路からの注射、又は口腔/食道、気道、尿生殖器官からの粘膜投与による注入が含まれる。
【0069】
各ワクチン用量中の抗原の量は、一般的なワクチンにおける重大な有害副作用を伴うことなく免疫反応を誘導する量として選択される。そのような量は、具体的にどのような免疫源が使用されるのか、及びそれがどのように提示(投与)されるのかによって変わる。一般に、各用量は、多糖を0.1〜100μg、好ましくは0.1〜50μg、より好ましくは0.1〜10μg含み、そのうち1〜5μgが最も好ましい範囲と考えられる。
【0070】
ワクチン中のタンパク質抗原の含有量は、一般的には1〜100μgの範囲であり、好ましくは5〜50μg、最も好ましくは5〜25μgの範囲である。
【0071】
初回ワクチン接種に続いて、被験者は1回又は数回の追加抗原免疫処置を適切な期間をあけて受けることができる。
【0072】
ワクチン調製物は、Vaccine Design(”The subunit and adjubant approach”(Powell M.F.&Newman M.J.編)(1995)Plenum Press New York)に一般に記載さている。リポソーム内への封入は、Fullertonによる米国特許第4,235,877号に記載されている。
【実施例】
【0073】
実施例は単に説明目的のために提供されるのであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0074】
実施例1:DT−TT−Pa−IPV−HepB(DTPaIPVHepB)ワクチンの調製
本実施例は、国際特許出願公開番号WO93/24148号に記載されたように行った。ワクチンはInfanrix−PeNTaTM(スミスクライン・ビーチャム・バイオロジカル)という商品名で市販されている。
【0075】
実施例2:MenC又はMenC−MenYワクチンの調製
MenC: (CDAP技法を用いて)プロテインD又はTTのいずれかと複合体化された髄膜菌C型夾膜多糖(ヒト用量0.5mL当たり複合体における多糖は5μgの量)。pHを6.1に調節し、ショ糖の存在下に凍結乾燥した。
【0076】
MenCMenY: (CDAP技法を用いて)プロテインD又はTTのいずれかと複合体化された髄膜菌C型夾膜多糖、及びプロテインD又はTTのいずれかと複合体化された髄膜菌Y型夾膜多糖を混合した(ヒト用量0.5mL当たり各複合体における多糖は5μgの量)。pHを6.1に調節し、ショ糖の存在下に凍結乾燥した。
【0077】
実施例3:DT−TT−Pa−IPV−HepB−MenC−MenY(DTPaIPVHepB/MenCMenY)ワクチン、又はDT−TT−Pa−IPV−HepB−MenC(DTPaIPVHepB/MenC)ワクチンの調製
実施例1及び実施例2のワクチンを使用前に即時に(使用する日に)混合した。
【0078】
実施例4:Hib−11価肺炎球菌複合体(Hib/Strep11V)ワクチンの調製
TTと複合体化されたインフルエンザ菌b型夾膜多糖(用量当たり複合体における多糖は10μg)(これはpH6.1でショ糖の存在下に凍結乾燥されている)[HiberixTM(スミスクライン・ビーチャム・バイオロジカル)]を、PDと複合体化された11価肺炎球菌夾膜多糖(血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23F)(用量当たり各複合体における多糖は1μg)の溶液に即時に(使用する日に)溶解した。肺炎球菌ワクチンは、前もって0.5mgのAl3+(AlPOとして)に吸着させておいた。
【0079】
実施例5:臨床試験
実施例4のワクチンに対する研究
実施例4のワクチン及び対照ワクチンをドイツ人乳児に3回投与スケジュールで(生後3、4、5ヶ月の月齢のときに)投与した。
【0080】
得られた免疫反応の結果(最後の一次投与の1ヶ月後に測定)は、以下の通りであった。
【表1】


【表2】


【表3】

【0081】
Hiberix(吸着されていないHib−TT複合体)は、同様の投与スケジュール後に約6μg/mlのGMCを有した。
ELISA抗体に関し、11Pn―PD/Hibワクチンを与えた乳児の免疫反応は、血清型1、3及び9Vを除く全ての血清型に関して、11Pn−PDワクチンを与えた乳児で観察されたものと類似しており、血清型1、3及び9Vについては、11Pn−PD/Hibワクチンの場合に相乗平均濃度が低下する傾向が観察された。しかしこれらの相違は、95%信頼区間の重複によって示されるように、有意ではなかった。
【0082】
11Pn-PD/Hibワクチンは、11種の血清型全てに対する機能的(オプソニン食細胞性)抗体を誘導した。
【0083】
Hibワクチンと肺炎球菌複合体ワクチンとを組み合わせても、肺炎球菌免疫反応を有意に干渉することはなく、そして登録されたワクチンであるInfanrix−HeXa及びHiberixの両方と比較して抗PRP反応を驚くほど強化した。
【0084】
実施例3のワクチン、又は実施例3及び実施例4のワクチンの同時投与に関する研究
研究1:
Hibワクチンと一緒に投与されるか、又はHiberixと混合した11価肺炎球菌ワクチンと同時に投与される、MenC複合体ワクチンと混合したInfanrix−PeNTaの安全性及び免疫原性を評価することができる。PD及びTT担体の両方を、MenC複合体について評価することができる。異なる肢への同時注射は、開業医を訪問した日に投与することができる。
【0085】
研究2:
Hibワクチンと一緒に投与されるか、又はHiberixと混合した11価肺炎球菌ワクチンと同時に投与される、MenC−MenY複合体ワクチンと混合したInfanrix−PeNTaの安全性及び免疫原性を評価することができる。PD及びTT担体の両方を、MenC及びMenY複合体について評価することができる。異なる肢への同時注射は、開業医を訪問した日に投与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の免疫原性組成物は、宿主にin vivo投与するためのワクチンとして好ましく製剤化される。それにより組成物の個別の成分が、その組成物の他の個々の成分によりその個々の成分の免疫原性が実質的に損なわれないように製剤化されることになる。上述のキットの組み合わせを用いることにより、免疫感作を行ったときに、Hib莢膜多糖又はいくつかの肺炎球菌多糖のアプローチ(approaching)に対する抗体力価、又は単離した抗原を投与した場合に得られる力価を超える若しくはその100%を得ることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及び肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための2種の多価免疫原性組成物を含む、同時投与のためのワクチンキットであって、該キットが
(a)百日咳トキソイド及びFHAを含む無細胞百日咳成分、
(b)破傷風トキソイド(TT)、
(c)ジフテリアトキソイド(DT)、
(d)B型肝炎表面抗原、及び
(e)不活化ポリオウイルス、
を含む第1容器と、
(2a)肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との1以上の複合体を含む第2容器、
を含むものである、上記ワクチンキット。
【請求項2】
肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との1以上の複合体が、1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33Fからなる群より選択される肺炎球菌血清型の1種以上に由来するものである、請求項1に記載のワクチンキット。
【請求項3】
B型肝炎表面抗原がリン酸アルミニウムに吸着されているものである、請求項1又は2に記載のワクチンキット。
【請求項4】
第1容器が(f)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型の群より選択される細菌の夾膜多糖又はオリゴ糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、並びに(g)インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖(Hib)と担体タンパク質との複合体をさらに含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項5】
第2容器が(2b)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型の群より選択される細菌の夾膜多糖又はオリゴ糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、並びに(2c)インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖(Hib)と担体タンパク質との複合体をさらに含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項6】
第1容器が(f)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型の群より選択される細菌の夾膜多糖又はオリゴ糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方をさらに含み、第2容器が(2b)インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖(Hib)と担体タンパク質との複合体をさらに含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項7】
第1容器が(f)インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖(Hib)と担体タンパク質との複合体をさらに含み、第2容器が(2b)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型の群より選択される細菌の夾膜多糖又はオリゴ糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方をさらに含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項8】
(3a)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型の群より選択される細菌の夾膜多糖又はオリゴ糖(MenY及びMenC)と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、並びに(3b)インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖(Hib)と担体タンパク質との複合体を含む、第3容器をさらに含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項9】
2個以上の容器がTTを含み、該2個以上の容器それぞれ中のTTの量が、TT免疫干渉又は担体抑制作用を防止又は最小化するために50μgのTTの臨界閾値以下であり、しかしワクチンキットの全容器中の合計TTが該臨界閾値より多いものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項10】
1個、2個又は3個の容器が、肺炎球菌多糖又はオリゴ糖、MenC、MenY及びHibからなるリストより選択される1以上のTT−複合体化多糖又はオリゴ糖を含むものである、請求項9に記載のワクチンキット。
【請求項11】
1以上のTT−複合体化多糖又はオリゴ糖が重量で1:0.5〜1.5の多糖又はオリゴ糖:TTの比率を有するものである、請求項10に記載のワクチンキット。
【請求項12】
第1容器が60〜120μgのDT含有量を含み、第2又は第3の容器がDT及び/又はCRM197と複合体化された1以上の多糖又はオリゴ糖を含むものである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項13】
第1容器が70〜100μgのDT含有量を含むものである、請求項12に記載のワクチンキット。
【請求項14】
DT及び/又はCRM197と複合体化された1以上の多糖又はオリゴ糖が、肺炎球菌多糖又はオリゴ糖1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33F、髄膜炎菌多糖又はオリゴ糖MenC及びMenY、並びにインフルエンザ菌b型Hibからなるリストより選択されるものである、請求項12又は13に記載のワクチンキット。
【請求項15】
第2容器が、CRM197と複合体化された、血清型4、6B、9V、14、18C、19F及び23Fに由来する7つの肺炎球菌多糖又はオリゴ糖を含むものである、請求項12〜14のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項16】
DT及び/又はCRM197と複合体化された1以上の多糖又はオリゴ糖が重量で1:0.5〜1.5の多糖又はオリゴ糖:DT又はCRM197の比率を有するものである、請求項12〜15のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項17】
百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及び髄膜炎菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための多価免疫原性組成物であって、
(a)百日咳トキソイド及びFHAを含む無細胞百日咳成分、
(b)破傷風トキソイド、
(c)ジフテリアトキソイド、
(d)B型肝炎表面抗原、
(e)不活化ポリオウイルス、及び
(f)髄膜炎菌Y型及び髄膜炎菌C型の群より選択される細菌の夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との複合体の一方又は両方、
を含むものである、上記多価免疫原性組成物。
【請求項18】
インフルエンザ菌b型、髄膜炎菌A型及び髄膜炎菌W型の群より選択される細菌の夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との1以上の複合体をさらに含むものである、請求項17に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
死滅弱毒化A型肝炎ウイルスをさらに含むものである、請求項17又は18に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
使用する担体タンパク質が、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、組換えジフテリアトキシン、髄膜炎菌に由来するOMPC、肺炎連鎖球菌に由来するニューモリシン及びインフルエンザ菌に由来するプロテインDからなる群より選択されるものである、請求項17〜19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
宿主にin vivo投与するためのワクチンとして製剤化された請求項17〜20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物であって、該組成物の個々の成分は、該組成物の他の個々の成分によって該個々の成分の免疫原性が損なわれないように製剤化される、上記免疫原性組成物。
【請求項22】
宿主にin vivo投与するためのワクチンとして製剤化された請求項17〜20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物であって、各抗原成分ごとの血清防御がヒト被験者の許容率(%)の基準を超える抗体力価を付与するものである、上記免疫原性組成物。
【請求項23】
さらにアジュバントを含むものである請求項17〜22のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
アジュバントがアルミニウム塩である請求項23に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
無細胞百日咳成分が水酸化アルミニウムに吸着されたパータクチンをさらに含む、請求項17〜24のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及び髄膜炎菌の感染により引き起こされる疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、請求項17〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項27】
百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及び髄膜炎菌により引き起こされる疾患に対する免疫をヒト宿主に付与する方法であって、請求項17〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の免疫防御量を該宿主に投与することを含む、上記方法。
【請求項28】
請求項17〜25のいずれか1項に記載の多価免疫原性組成物の製造方法であって、個々の成分を一緒に混合する工程を含む、上記方法。
【請求項29】
インフルエンザ菌及び肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための多価免疫原性組成物であって、
(a)インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との複合体、及び
(b)肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との1以上の複合体、
を含むものである、上記多価免疫原性組成物。
【請求項30】
肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との2以上の複合体を含むものである、請求項29に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との7より多い複合体を含むものである、請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖が、1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33Fからなる群より選択される血清型に由来するものである、請求項29〜31のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
肺炎連鎖球菌血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23Fに由来する夾膜多糖又はオリゴ糖と担体タンパク質との複合体を含むものである、請求項32に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
さらにアジュバントを含むものである、請求項29〜33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖がアルミニウム塩アジュバントに吸着されていないものである、請求項29〜33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項36】
肺炎連鎖球菌の夾膜多糖又はオリゴ糖がアルミニウム塩アジュバントに吸着されたものである、請求項35に記載の免疫原性組成物。
【請求項37】
インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖及び肺炎連鎖球菌の夾膜多糖又はオリゴ糖の両方がアルミニウム塩アジュバントに吸着されていないものである、請求項35に記載の免疫原性組成物。
【請求項38】
使用する担体タンパク質が、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、組換えジフテリアトキシン、髄膜炎菌に由来するOMPC、肺炎連鎖球菌に由来するニューモリシン及びインフルエンザ菌に由来するプロテインDからなる群より選択されるものである、請求項29〜37のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖及び肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖が同じ担体と複合体化されていないものである、請求項29〜38のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖及び肺炎連鎖球菌に由来する夾膜多糖又はオリゴ糖の全てがCRM197と複合体化されているとは限らない、請求項39に記載の免疫原性組成物。
【請求項41】
インフルエンザ菌B型の夾膜多糖又はオリゴ糖のための担体タンパク質が破傷風トキソイドである、請求項38又は39に記載の免疫原性組成物。
【請求項42】
肺炎連鎖球菌の夾膜多糖又はオリゴ糖の全てのための担体タンパク質がプロテインDである、請求項38、39又は41に記載の免疫原性組成物。
【請求項43】
宿主にin vivo投与するためのワクチンとして製剤化された請求項29〜42のいずれか1項に記載の免疫原性組成物であって、該組成物の個々の成分は、該組成物の他の個々の成分によによって該個々の成分の免疫原性が損なわれないように製剤化される、上記免疫原性組成物。
【請求項44】
宿主にin vivo投与するためのワクチンとして製剤化された請求項29〜42のいずれか1項に記載の免疫原性組成物であって、各抗原成分ごとの血清防御がヒト被験者の許容率(%)の基準を超える抗体力価を付与するものである、上記免疫原性組成物。
【請求項45】
医薬において使用するための請求項29〜44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項46】
インフルエンザ菌及び肺炎連鎖球菌の感染により引き起こされる疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、請求項29〜44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項47】
インフルエンザ菌及び肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患に対する免疫をヒト宿主に付与する方法であって、請求項29〜44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の免疫防御量を該宿主に投与することを含む、上記方法。
【請求項48】
請求項29〜44のいずれか1項に記載の多価免疫原性組成物の製造方法であって、個々の成分を一緒に混合する工程を含む、上記方法。
【請求項49】
百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及び髄膜炎菌、インフルエンザ菌及び肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与するための2種の多価免疫原性組成物を含むキットであって、請求項17〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含む第1容器と、請求項29〜44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含む第2容器を含むものである、上記キット。
【請求項50】
請求項1〜16又は49のいずれか1項に記載のキットを使用して疾患に対する免疫をヒト宿主に付与する方法であって、第1容器の免疫原性組成物の免疫防御量を該宿主の第1部位に投与し、第2容器の免疫原性組成物の免疫防御量を該宿主の第2部位に投与し、そして場合により、第3容器の免疫原性組成物の免疫防御量を該宿主の第3部位に投与することを含み、第1、第2及び第3の部位が異なる流入領域リンパ節である、上記方法。
【請求項51】
第1、第2及び場合により第3の部位が宿主の異なる肢である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
第1、第2及び場合により第3の容器の免疫原性組成物の投与が同じ日に行われる、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
宿主への後続のワクチン接種が、1回以上の更なる時点で毎回2〜12週間の間隔をおいて同じ手段で行われる、請求項50〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
宿主への後続のワクチン接種が、2回の更なる時点で毎回約1〜2ヶ月間の間隔をおいて同じ手段で行われる、請求項53に記載の方法。

【公開番号】特開2012−51943(P2012−51943A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265563(P2011−265563)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【分割の表示】特願2008−320381(P2008−320381)の分割
【原出願日】平成14年3月28日(2002.3.28)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】