説明

ワクチン組成物

本開示は、ワクチン組成物、特にKLH−ペプチド結合体、ならびにかかる組成物を作製する方法に関する。本開示は、本明細書に記載されている組成物を用いて異常な細胞成長を低減する方法にさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2009年12月22日に提出された米国仮特許出願第61/289,083号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、ワクチン組成物、特にKLH−ペプチド結合体、ならびにかかる組成物を作製する方法に関する。本開示は、本明細書に記載されている組成物を用いて異常な細胞成長を低減する方法にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
CDX−110は、脳の癌の種である多形性膠芽腫に罹患している患者の処置のために開発されている。この疾患を有するかなりの部分の患者が、癌細胞の表面に上皮成長因子受容体(EGFR)の変異体を発現する。この変異体は、EGFRvIIIとして知られており、癌細胞の表面に(典型的には13のアミノ酸の)特有のペプチド配列をもたらすスプライス突然変異体から形成される。この変異体は、正常な細胞においては発現されないため、EGFRvIII配列は、抗癌治療のための良好な標的である。
【0004】
EGFRは、癌治療のための標的として十分に検証されてきたタンパク質である。しかし、EGFRvIIIは、EGFRとは違って、正常な組織には存在せず、この標的が癌患者のための腫瘍特異的治療の開発を可能にすることを示唆している。さらに、EGFRvIIIは、癌細胞成長に直接寄与し得る形質転換癌遺伝子である。最も一般的で侵攻性の形態の脳の癌を多形性膠芽腫(GBM)において元来発見したが、EGFRvIIIの発現はまた、種々の他の癌、例えば、乳癌、卵巣癌、転移性前立腺癌、直腸結腸癌、および頭頸部癌においても観察されている。
【0005】
CDX−110は、C末端システインが付加されたEGFRvIIIペプチドを、担体タンパク質であるキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に共有結合的に連結させることによって形成される結合ワクチンである(例えば、米国特許第5,401,828号、同第6,224,868号;およびWO2007/056061号を参照されたい)。KLHはまた、EGFRvIIIペプチドに対する免疫応答を向上させる免疫刺激剤としても作用する。EGFRvIIIペプチドとKLHとの化学的連結は、二官能性リンカーであるスルホスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)の使用を経て達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CDX−110の産生およびこれの製剤化のためのこれまでのプロセスは、商業的設定における使用に関していくつかの欠点を有していた。例えば、かかる欠点は、制御が困難である反応を結果としてもたらす、リンカー(SMCC)の完全な溶解性の欠失;許容されないレベルの、製造過程での不純物;スケールアップを受け入れにくいプロセス手順;重要な生物物理学的特徴、例えば、ペプチド:KLH担体の比の十分な制御の欠失、サイズの不均一性、粒子状物質およびゲルの形成、ならびに生成物の不安定性を含んでいた。KLHは、高い製薬標準まで結合および製剤化することが非常に困難であると既に証明されている非常に大きな担体である。したがって、かかる欠点に対処するKLH−ペプチド結合体の組成物を提供する改善された製造方法および製剤が必要とされている。
【0007】
本開示の他の特徴および利点は、限定的であると解釈されるべきでない以下の詳細な説明および実施例から明らかになるであろう。本開示を通して列挙されている全ての参照文献、図、Genbank登録、特許および公開されている特許出願は、これらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本開示は、KLH−ペプチド結合体と、リン酸カリウム緩衝液と、二糖と、界面活性剤とを含む組成物を提供する。一実施形態において、リン酸カリウム緩衝液は、5mM〜30mM、例えば、5mM〜20mM、5mM〜15mM、7mM〜13mM、8mM〜12mM、9mM〜11mM、または9.5mM〜10.5mMの範囲の濃度で存在する。別の実施形態において、リン酸カリウム緩衝液は、10mMの濃度で存在する。さらなる実施形態において、リン酸カリウム緩衝液は、40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような濃度で存在する。
【0009】
さらなる実施形態において、組成物中の二糖は、トレハロースである。一実施形態において、トレハロースは、45mg/mL〜150mg/mL、70mg/mL〜120mg/mL、80mg/mL〜100mg/mL、または85mg/mL〜95mg/mLの範囲の濃度で存在する。別の実施形態において、トレハロースは、90mg/mLの濃度で存在する。別の実施形態において、トレハロースは、40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような濃度で存在する。
【0010】
さらなる実施形態において、組成物中の界面活性剤は、ポリソルベート80である。例えば、一実施形態において、ポリソルベート80は、0.01mg/mL〜0.3mg/mL、0.05mg/mL〜0.25mg/mL、0.1mg/mL〜0.25mg/mL、または0.15mg/mL〜0.25mg/mLの範囲の濃度で存在する。一実施形態において、ポリソルベート80は、0.2mg/mLの濃度で存在する。さらなる実施形態において、ポリソルベート80は、40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような濃度で存在する。
【0011】
一態様において、本開示は、本明細書に記載されている任意の組成物であって、KLH−ペプチド結合体においてKLHに結合したペプチドは、配列番号1を含み、これから本質的になり、またはこれからなる組成物を提供する。さらなる実施形態において、KLH−ペプチド結合体においてKLHに結合したペプチドは、配列番号2を含み、これから本質的になり、またはこれからなる。一実施形態において、ペプチドは、スルホ−SMCCリンカーを有するKLHに結合される。
【0012】
一態様において、本開示は、本明細書に記載されている任意のKLH−ペプチド組成物であって、エピトープ密度が20〜80の範囲である、組成物を提供する。例えば、一実施形態において、エピトープ密度は、25〜75、25〜70、25〜65、30〜60、30〜55、35〜50、40〜50の範囲である。さらなる実施形態において、エピトープ密度は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60である。
【0013】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に記載されている任意の組成物であって、ダイマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量が、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の45質量%〜65質量%の範囲である、組成物を提供する。例えば、一実施形態において、ダイマー形態は、50質量%〜60質量%、51質量%〜59質量%、52質量%〜58質量%、53質量%〜57質量%、または54質量%〜56質量%の範囲である。さらなる実施形態において、ダイマー形態でのKLH−ペプチド結合体の量は、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の50質量%、51質量%、52質量%、53質量%、54質量%、55質量%、56質量%、57質量%、58質量%、59質量%、または60質量%である。さらなる実施形態において、ダイマー形態でのKLH−ペプチド結合体の量は、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の80質量%超である。例えば、一実施形態において、ダイマー形態での量は、85質量%超、90質量%超、95質量%超、96質量%超、97質量%超、98質量%超、または99質量%超である。
【0014】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に記載されている任意の組成物であって、UV吸収による検出によるサイズ排除クロマトグラフィに付されたとき、ダイマー形態のKLH−ペプチド結合体に相当するピークが、曲線下全面積の45%〜65%である、組成物を提供する。例えば、一実施形態において、ダイマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の50%〜60%、51%〜59%、52%〜58%、53%〜57%、または54%〜56%である。さらなる実施形態において、ダイマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%である。さらなる実施形態において、ダイマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の80%超である。例えば、一実施形態において、ダイマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超である。
【0015】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に記載されている任意の組成物であって、モノマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量が、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の15質量%〜40質量%の範囲である、組成物を提供する。例えば、一実施形態において、ダイマー形態は、20質量%〜35質量%、21質量%〜34質量%、22質量%〜33質量%、23質量%〜32質量%、24質量%〜31質量%、または25質量%〜30質量%の範囲である。さらなる実施形態において、モノマー形態でのKLH−ペプチド結合体の量は、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の18質量%、19質量%、20質量%、21質量%、22質量%、23質量%、24質量%、25質量%、26質量%、27質量%、28質量%、29質量%、または30質量%である。さらなる実施形態において、モノマー形態でのKLH−ペプチド結合体の量は、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の80質量%超である。例えば、一実施形態において、モノマー形態での量は、85質量%超、90質量%超、95質量%超、96質量%超、97質量%超、98質量%超、または99質量%超である。
【0016】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に記載されている任意の組成物であって、UV吸収による検出によるサイズ排除クロマトグラフィに付されたとき、モノマー形態のKLH−ペプチド結合体に相当するピークは、曲線下全面積の15%〜40%である、組成物を提供する。例えば、一実施形態において、モノマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の20%〜35%、21%〜34%、22%〜33%、23%〜32%、24%〜31%、または25%〜30%である。さらなる実施形態において、モノマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%である。さらなる実施形態において、モノマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の80%超である。例えば、一実施形態において、モノマー形態に相当するピークは、曲線下全面積の85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超である。
【0017】
本開示は、本明細書に記載されている任意のKLH−ペプチド結合体組成物であって、水性医薬組成物である組成物をさらに提供する。一実施形態において、該組成物のpHは、6〜8の範囲である。さらなる実施形態において、組成物のpHは、6.5〜7.5の範囲である。さらなる実施形態において、組成物のpHは、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4または7.5である。さらなる実施形態において、pHは、40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような量である。
【0018】
さらなる態様において、本開示は、KLH−ペプチド結合体と、リン酸カリウム緩衝液と、トレハロースと、ポリソルベート80とを含む液体組成物であって、KLHに結合したペプチドは、配列番号1または配列番号2を含み、これから本質的になり、またはこれからなり;KLH−ペプチド結合体は、30〜65の範囲のエピトープ密度を有し;緩衝液は、9mM〜11mMの範囲の濃度で存在し;pHは、7.3〜7.5の範囲であり;トレハロースは、85mg/mL〜95mg/mLの範囲の濃度で存在し;ポリソルベート80は、0.1mg/mL〜0.3mg/mLの範囲の濃度で存在し;さらに、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、モノマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量は、組成物の全質量の18%〜35質量%の範囲であり、ダイマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量は、組成物の全質量の50%〜65質量%である、液体組成物を提供する。例えば、一実施形態において、緩衝液は、10mMの濃度で存在し、組成物のpHは、7.4であり、トレハロースは、90mg/mLの濃度で存在し、ポリソルベート80は、0.2mg/mLの濃度で存在する。さらに、例えば、該液体組成物は、水によって凍結乾燥組成物を再構成することによって調製された。
【0019】
本開示は、KLH−ペプチド結合体と、リン酸カリウム緩衝液と、二糖と、界面活性剤とを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる凍結乾燥組成物をさらに提供する。一実施形態において、該凍結乾燥組成物は、水によって再構成されるとき、6〜9の範囲のpHを有する。一実施形態において、二糖は、トレハロースであり、界面活性剤は、ポリソルベート80である。さらなる実施形態において、トレハロースは、KLH−ペプチド結合体1mgあたり80〜110mgの範囲の量で存在し;ポリソルベート80は、KLH−ペプチド結合体1mgあたり0.01〜0.3mgの範囲の量で存在する。さらなる実施形態において、トレハロースは、KLH−ペプチド結合体1mgあたり90mgの量で存在し;ポリソルベート80は、KLH−ペプチド結合体1mgあたり0.2mgの量で存在する。
【0020】
一態様において、本開示は、KLH−EGFRvIII結合体を含む液体組成物であって、40℃において12週後に、mg/mLで測定したときの該液体組成物中の該結合体の濃度が、元の濃度と比較して15%未満、13%未満、11%未満、10%未満、8%未満、または5%未満変化している、液体組成物を提供する。
【0021】
さらなる態様において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって、該哺乳動物に本明細書に開示されている任意の組成物を投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態において、異常な細胞成長は癌性である。さらなる実施形態において、癌は、膠芽細胞腫である。
【0022】
さらなる態様において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって、a)本明細書に開示されている任意の組成物をアジュバントと混合する工程と;b)得られた混合物を該哺乳動物に投与する工程とを含む方法を提供する。さらなる態様において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって、本明細書に開示されている任意の組成物を少なくとも1種のアジュバントと組み合わせて投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子である。
【0023】
本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって:a)本明細書に開示されている任意の凍結乾燥組成物を付与することと;b)凍結乾燥組成物に水を添加して、再構成された組成物を付与することと;c)再構成された組成物を該哺乳動物に投与することとを含む方法をさらに提供する。
【0024】
本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって:a)本明細書に開示されている任意の凍結乾燥組成物を付与することと;b)凍結乾燥組成物に水を添加して、再構成された組成物を付与することと;c)再構成された組成物をアジュバント組成物と混合することと;d)得られた混合物を該哺乳動物に投与することとを含む方法をさらに提供する。一実施形態において、該アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子である。
【0025】
本開示は、哺乳動物における異常な細胞成長の処置のための薬剤の製造における、本明細書に開示されている任意の組成物の使用をさらに提供する。
【0026】
本開示は、KLH−ペプチド結合体を含む凍結乾燥組成物を調製するためのプロセスであって、本明細書に開示されている任意の液体組成物を−20℃以下、−30℃以下、−40℃以下、−50℃以下、または−60℃以下の温度に、かつ真空条件に付すことを含むプロセスをさらに提供する。
【0027】
本開示は、液体組成物を調製するプロセスであって、本明細書に開示されている任意の凍結乾燥組成物に水を添加することを含むプロセスをさらに提供する。
【0028】
本開示は、KLH−EGFRvIII結合体を調製するための方法であって:a)KLHをリンカーと組み合わせて、KLHおよびリンカーを30〜60分、35〜55分、40〜50分、または45分の範囲の時間にわたって相互作用させることと;b)配列番号1または配列番号2を含む、これから本質的になる、またはこれからなるペプチドを工程a)から得られる活性化KLH生成物に添加して、KLH−EGFRvIII結合体を付与することとを含む方法をさらに提供する。一実施形態において、工程b)は、接線流濾過システムにおいて実施される。さらなる実施形態において、濃縮水流量は、10〜1000mL/分、例えば、50〜500mL/分、例えば、100〜500mL/分の範囲であり、さらに、例えば、50mL/分、100mL/分、150mL/分、200mL/分、250mL/分、300mL/分、350mL/分、400mL/分、450mL/分、または500mL/分である。
【0029】
一実施形態において、リンカーは、75:1〜325:1の範囲のリンカー:KLHモル比でKLHと組み合わされる。例えば、一実施形態において、該リンカー:KLHモル比は、100:1〜300:1、150:1〜250:1、または175:1〜225:1の範囲である。例えば、一実施形態において、該リンカー:KLHモル比は、175:1、180:1、185:1、190:1、195:1、200:1、205:1、210:1、215:1、220:1、または225:1である。
【0030】
本開示は、KLH−EGFRvIII結合体を含む液体組成物であって、5℃において26週後に、10μm以上の粒子状物質の数が、USP<788>で測定したときに1000%未満、750%未満、500%未満、400%未満、300%未満、200%未満、または100%未満増加している、液体組成物をさらに提供する。
【0031】
本開示は、KLH−EGFRvIII結合体を含む液体組成物であって、5℃において26週後に、25μm以上の粒子状物質の数が、USP<788>で測定したときに1000%未満、750%未満、500%未満、400%未満、300%未満、200%未満、または100%未満増加している、液体組成物をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、KLH−ペプチド結合反応の実施の一例の一般的プロセスの概略を示す。
【図2A】図2Aは、種々のクロスフロー実験の活性化反応の間に用いられる重要な操作パラメータの概要を示す。
【図2B】図2Bは、種々のクロスフロー実験における初期のダイアフィルトレーション工程の間に用いられる重要な操作パラメータの概要を示す。
【図2C】図2Cは、種々のクロスフロー実験における結合工程の間に用いられる重要な操作パラメータの概要を示す。
【図3】図3A、3B、3C、および3Dは、クロスフロー濾過の開発実験に関する分析結果の概要を示す。
【図4】図4A、4B、および4Cは、種々の実験に用いた反応パラメータの概要を示す。
【図5】図5は、5個のピークのおよその保持時間を示す、CDX−110KLH−EGFRvIII結合体に関する代表的なSEC HPLCクロマトグラムを示す。
【図6】図6は、スルホ−SMCC比のエピトープ密度に対する影響を示すプロットである。
【図7】図7は、活性化時間のエピトープ密度に対する影響を示すプロットである。
【図8】図8A(ダイマー)および8B(モノマー)は、スルホ−SMCC比のSEC不均一性に対する影響を示すプロットである。
【図9】図9A(ダイマー)および9B(モノマー)は、活性化時間のSEC不均一性に対する影響を示すプロットである。
【図10】図10は、リンカースラリーとDMSOに溶解されたリンカーとのエピトープ密度の比較を示す。
【図11】図11A(ダイマー)および11B(モノマー)は、DMSOの、活性化反応のSECプロファイルに対する影響を示すプロットである。
【図12】図12Aおよび12Bは、エピトープ密度の結果の統計分析を示し、これは、スルホ−SMCC:KLH比とタンパク質濃度との相互作用を示している。
【図13】図13Aおよび13Bは、ダイマーの結果の統計分析を示し、これは、スルホ−SMCC:KLH比とタンパク質濃度との相互作用を示している。
【図14】図14は、CDX−110を調製する元の最適化されたプロセスに用いられる反応パラメータの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、有益な特性、例えば粒子状物質およびゲルの形成の低減ならびに結合体の安定性の増加を提供するKLH−ペプチド結合体のための新規の製剤の発見に基づいている。本明細書に記載されている製剤はまた、凍結乾燥および再構成されてもよく、これにより、搬送および長期の保存にさらなる利益を提供する。当業者に明らかであるかかる有益な特性などは、本明細書にさらに完全に記載される。さらに、本開示により、KLH−EGFRvIIIペプチド結合体ワクチンの製造のための改善されたプロセスが開発された。本明細書に開示されている新規のプロセスは、大規模な製造プロトコルを受け入れやすく、純度プロファイルについての改善、ならびに重要な生物物理学的特質、例えばペプチド/KLHの比、およびサイズの不均一性の制御を結果としてもたらす最適化された反応条件を提供する。
【0034】
本開示がより容易に理解され得るように、ある一定の用語を最初に定義する。さらなる定義は、詳細な説明を通して記載される。
【0035】
本明細書において別途定義されない限り、本開示に関連して用いられる科学的および技術的用語は、当業者によって一般に理解されている意味を有する。さらに、文脈によって別途必要とされない限り、単数形は複数を含み、複数形は単数を含む。一般的に、本明細書に記載されている細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションに関連して用いられる命名法、ならびにこれらの技術は、当該分野において周知され一般に用いられているものである。
【0036】
本開示の方法および技術は、当該分野において周知の方法に従って一般的に実施され、別途示されない限り本明細書を通して列挙および議論されている種々の一般的かつより具体的な参照文献に記載されている通りである。かかる参照文献は、例えば、Sambrook and Russell、Molecular Cloning、A Laboratory Approach、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY(2001)、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(2002)、および Harlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1990)を含む。酵素反応および精製技術は、当該分野において一般に達成され、本明細書に記載されている、製造者の仕様書に従って実施される。本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学に関連して用いられる命名法、ならびに実験室手順および技術は、当該分野において周知の一般に用いられているものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬調製物、製剤、および送達、ならびに患者の処置に用いられる。
【0037】
本明細書において用いられるとき、以下の各用語は、本節において関連する意味を有する。
【0038】
本明細書において用いられる冠詞「a(1個の)」および「an(1個の)」は、冠詞の文法的対象物が1個または1個を超える(すなわち、少なくとも1個)ことを称する。例として、「(1個の)要素」は、1個の要素または1個を超える要素を意味する。
【0039】
本明細書において用いられるとき、20の常套的なアミノ酸およびそれらの略語は、常套的な用法に従う。Immunology−A Synthesis(2nd Edition、E.S.Golub and D.R.Gren、Eds.、Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991))を参照されたい。
【0040】
本明細書において用いられるとき、「KLH」は、タンパク質であるキーホールリンペットヘモシアニン、キーホールリンペット(Megathura crenulata)の血リンパにおいて見出されるマルチサブユニットの、酸素を運ぶ金属タンパク質、またはそのフラグメントもしくはサブユニットを称する。
【0041】
本明細書において用いられるとき、用語「KLH−ペプチド結合体」は、KLHタンパク質、またはそのフラグメントもしくはサブユニットを称し、KLHに関係しないポリペプチドに共有結合的に結合する。かかる共有結合的結合は、適切な化学リンカーの使用を経て典型的には達成される。
【0042】
本明細書において用いられるとき、用語「エピトープ密度」は、KLH−ペプチド結合体を参照して、各KLHサブユニットにカップリングするペプチドの平均数を称する。エピトープ密度は、本明細書に記載されているアミノ酸組成分析を用いて決定され得る。
【0043】
用語「二糖」は、本明細書において用いられるとき、加水分解の際に、2個の単糖分子(例えば、グルコース、フルクトース、マンノースなど)を生ずる化合物を称する。好適な二糖として、限定されないが、スクロース、ラクトースおよびトレハロースが挙げられる。
【0044】
本明細書において用いられるとき、用語「界面活性剤」は、液体のKLH−ペプチド結合体組成物の表面張力を変更することができる賦形剤を称する。本明細書においてさらに議論されているように、界面活性剤の例として、当業者に一般に公知である多くのものの中でも、限定されないが、ポリソルベート界面活性剤、プロキサマー(例えば、プロキサマー18および407)、トリトン界面活性剤、例えば、トリトンX−100(登録商標)、およびポリソルベート界面活性剤、例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標)が挙げられる。
【0045】
用語「凍結乾燥」、「凍結乾燥された」、「凍結乾燥(freeze−dry)された」は、乾燥すべき材料をまず凍結し、次いで氷または凍結した溶媒を真空環境において昇華によって除去するプロセスを称する。
【0046】
本明細書において用いられるとき、用語「EGFRvIII」は、上皮成長因子受容体(EGFR)に存在する変異体である突然変異体IIIの代表例であるペプチドを称し、配列番号1もしくは2に記載されているアミノ酸配列を典型的には含むもしくはこれからなり、または少なくともアミノ酸配列「Lys−Lys−Gly−Asn−Tyr」を含む。
【0047】
「異常な細胞成長」は、本明細書において用いられるとき、別途示されない限り、正常な細胞の異常な成長および異常な細胞の成長を含めた、正常な調節機構から独立した細胞成長(例えば、接触阻止の損失)を称する。これは、限定されないが:腫瘍細胞(腫瘍)、例えば、中皮腫、肝胆汁性(肝臓および胆管)、原発性または続発性のCNS腫瘍、原発性または続発性の脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨の癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、胃腸(胃、直腸結腸、および十二指腸)、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄の軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、あるいは上記癌の1種以上の組み合わせの異常な成長が挙げられる。
【0048】
本明細書において用いられるとき、用語「処置する」または「処置」は、治療的処置および予防的または防止的手段の両方を称し、ここで、対象とするのは、標的化された病的状態または症状を防止するまたは遅らせる(軽減する)ことである。処置が必要な対象として、状態を既に有する対象、ならびに状態を有する傾向がある対象および予防されるべき状態を有する対象が挙げられる。
【0049】
組成物の「治療有効量」は、異常な細胞成長の処置または予防的防止を含めた、所望の治療結果を達成するために必要な投与量および期間において有効である量を称する。投与量の値は、寛解されるべき状態の重症度によって変動し得ることに注意されたい。任意の特定の被験体に関して、具体的な投与レジメンが個体の必要性および組成物を投与するまたは該投与を管理する者の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであること、ならびに本明細書に記載の投与量範囲が、単に例示的であり、特許請求の組成物の範囲または実施を限定することは意図されないことがさらに理解されたい。同様に、組成物の治療有効量は、因子、例えば、個体の疾患状態、年齢、性別、および個体の重量、治療組成物が個体における所望の応答を引き出す能力、ならびに所望の投与経路に従って変動し得る。治療有効量はまた、治療的に有益な影響が組成物のあらゆる毒性または有害な影響を上回る量でもある。
【0050】
用語「医薬組成物」は、活性成分の生物学的活性が有効であるような形態にある調製物を称する。
【0051】
「薬学的に許容される賦形剤」(ビヒクル、添加剤)は、使用される有効用量の活性成分を付与するように被験体に適度に(すなわち、安全に)投与され得る賦形剤である。用語「賦形剤」または「担体」は、本明細書において用いられるとき、薬剤のための希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤または安定剤として一般に用いられる不活性な物質を称する。本明細書において用いられるとき、用語「希釈剤」は、薬学的に許容される(ヒトへの投与に安全かつ非毒性)溶媒を称し、本明細書における液体製剤の調製物に有用である。例示的な希釈剤として、限定されないが、注入のための滅菌水および静菌水(BWFI)が挙げられる。
【0052】
別途記述されない限り、本明細書に開示されている組成物の種々の成分の濃度およびpH値は、周囲条件における(すなわち、25℃および周囲圧における)濃度である。濃度およびpH範囲が本明細書において列挙されているとき、列挙されている明確な範囲の中間にあるかかる範囲もまた、本開示の部分であることが意図される。例えば、上限値および/または下限値としての任意の値の組み合わせを用いた値の範囲も包含されると意図される。
【0053】
本開示により、KLH−ペプチド結合体について、粒子状物質および/またはゲルの形成が低減され得、結合体の安定性が、結合体をリン酸カリウム緩衝液、二糖、例えばトレハロース、および界面活性剤、例えばTween80と組み合わせることによって改善され得ることが発見された。さらに、これらの成分がある一定量で用いられるとき、同時に粒子およびゲルの形成を最小にして結合体の安定性および生物物理学的特徴を維持しながら、凍結乾燥(続いて、水溶液として再構成)が可能であることが発見された。
【0054】
いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、本開示の組成物は、以下:KLH−ペプチド凝集、フラグメント化、酸化、凍結/解凍不安定性、1箇所から別の箇所への搬送もしくは輸送に関係する不安定性、変色、および/または脱アミド化の1つ以上の発生を低減することによって、KLH−ペプチド結合体の安定性を改善し、KLH−ペプチド結合体の粒子状物質および/またはゲルの形成を低減することを助けると考えられる。したがって、本開示は、既に開示されている組成物と比較して改善された化学的および/または物理的安定性を有するKLH−ペプチド結合体組成物を提供する。
【0055】
したがって、ある一定の態様において、本開示は、KLH−ペプチド結合体と、リン酸カリウム緩衝液と、二糖と、界面活性剤とを含む組成物を提供する。さらに他の態様において、上記組成物は、限定されないが、緩衝液、塩、抗酸化剤、等張化剤、界面活性剤、およびこれらの混合物を含めたさらなる薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。したがって、本開示は、KLH−ペプチド結合体のための新規の製剤を提供する。
【0056】
KLH−ペプチド結合体
KLHは、抗原ペプチドの担体として用いられ得る複合マルチマータンパク質である。かかるペプチドは、KLHに結合され得、得られるKLH−ペプチド結合体は、抗原ペプチドを対象とした免疫応答を刺激する際にワクチンとして用いられ得る。
【0057】
本開示の一態様において、抗原ペプチドは、化学的架橋を介して、典型的にはヘテロ二官能性架橋剤を用いてKLHに結合される。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が当該分野において公知である。いくつかの実施形態において、ヘテロ二官能性架橋剤は、第1付着部位、すなわちKLHのリシン残基の側鎖アミノ基と反応し得る官能基を含有し、好ましい第2付着部位、すなわち、抗原ペプチドに融合され、場合により、還元による反応にも利用可能となるシステイン残基と反応し得る官能基をさらに含有する。手順の第1工程は、典型的には誘導体化と呼ばれ、KLHと架橋剤との反応である。この反応の生成物は、活性化KLHであり、活性化担体とも呼ばれる。第2工程において、未反応の架橋剤が、標準方法、例えば、ゲル濾過または透析を用いて除去される。第3工程において、抗原ペプチドが、活性化KLHと反応し、この工程は、典型的にはカップリング工程と呼ばれる。未反応の抗原ペプチドは、第4工程において、例えば、透析によって場合により除去されてよい。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が当該分野において公知である。これらとして、架橋剤、例えば、SMPH、スルホ−MBS、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMPB、スルホ−SMCC、SVSB、SIAおよび、例えば、Pierce Chemical Company(Rockford、IL、USA)から入手可能な、アミノ基に対して反応性の1個の官能基およびシステイン残基に対して反応性の1個の官能基を有する他の架橋剤が挙げられる。上記架橋剤は、全てがチオエーテル連結の形成をもたらす。
【0058】
KLH−ペプチド結合体の一例は、KLHタンパク質の表面に化学的に結合される、EGFRvIII(配列番号1)として公知のペプチドを含む。このEGFRvIIIペプチドは、III型変異体形態の上皮成長因子受容体(EGFRvIII)の13のアミノ酸を含有する(例えば、米国特許第5,401,828号を参照されたい)。EGFRvIIIペプチドは、ペプチド(例えば、配列番号2または3を参照されたい)のN−またはC−末端にCys残基を含み、次いでスルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)をリンカーとして用いることによって、KLHの表面おける(例えば、Lys側鎖における)第一級アミン基にカップリングされ得る。したがって、典型的なカップリング反応は、スキーム1において以下に示すように実施され得る。
【0059】
【化1】

【0060】
当業者は、スキーム1に従って結合を達成する適切な反応条件を認識する。例えば、上記スキーム1における第1工程(活性化反応)は、KLH、緩衝液、水、およびリンカーが一緒に混合されることである。この活性化反応を次いでおよそ45±5分間進行させ得る。反応時間の終わりに、活性化反応混合物を希釈し、適切な濾過システムに移して、過剰なリンカーおよびリンカー関連の不純物を除去することができる。次いで適切な緩衝液に予め溶解したペプチドを導入し、結合反応を2〜3時間進行させる。結合プロセス時間の終わりに、第2濾過操作を行って、過剰なペプチドおよびペプチド関連の不純物を除去して、適切な最終緩衝液に緩衝液交換することができる。さらなる処理は、希釈、賦形剤の添加、最終濾過、および充填による濃度調整を含んでいてよい。図1は、このプロセスをどのように実施することができるかの一例の一般的な概略を提供する。
【0061】
KLHサブユニットあたりのペプチドの数(本明細書において「エピトープ密度」とも称する)は、具体的な反応条件に依存するが、KLH分子あたりのペプチドは、典型的には約30〜約100個の範囲である。このエピトープ密度は、本明細書に記載されている結合されたKLHと結合されていないKLHとの間の合計アミノ酸組成を比較することによって測定され得る。KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体に関するサイズ分布プロファイルは、モノマー、ならびにマルチマー形態、例えば、ダイマー、トリマーを含むことができる。反応条件に応じて、このサイズプロファイルは変動し得、分析技術、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によって測定され得る。
【0062】
上記結合スキームにおいて用いられるペプチドが(配列番号2または3に記載のように)EGFRvIIIペプチドである場合、得られるKLH結合体は、KLH−EGFRvIII結合体と称される。KLH−EGFRvIII結合体を製造するための最適化されたプロセスが、既に臨床状態にある薬剤物質ロットに対する互換性を同時に維持しながら元のプロセスの失敗に対処するように開発された。プロセス開発に用いた重要な分析特質は、アニオン交換(AEX)および逆相HPLC(RP−HPLC)による純度、SEC HPLCによって測定される分子サイズ分布、ならびにエピトープ密度であった。最適化されたプロセスに関する基準は、所望の範囲内で、薬剤物質の純度を維持または改善すること、ならびにサイズ分布プロファイルおよびエピトープ密度をもたらすことを含む。
【0063】
抗原ペプチド
KLHへの結合に用いられるポリペプチドは、天然源から誘導され得、哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、ネコ、イヌ、ウマ、マウス、またはラットなどから単離され得る。本開示のポリペプチドは、したがって、標準的なタンパク質精製技術を用いて細胞または組織源から単離され得る。
【0064】
代替的には、ポリペプチドは、化学合成され得または組み替えDNA技術を用いて製造され得る。例えば、本開示のポリペプチド(例えば、配列番号:1〜3に示されているもの)は、当該分野において周知の固相手順によって合成され得る。好適な合成は、「T−boc」または「F−moc」手順を利用することによって行われてよい。環状ペプチドは、完全に自動化された装置において周知の「F−moc」手順およびポリアミド樹脂を使用した固相方法によって合成され得る。代替的には、当業者が、プロセスを手動で行うのに必要な実験室手順を知っているであろう。固相合成のための技術および手順は、Oxford University PressにおけるIRLによって出版された、E.AthertonおよびR.C.SheppardによるSolid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach(1989)ならびにD.AndreauらによるMethods in Molecular Biology、Vol.35:Peptide Synthesis Protocols(ed.M.W.PenningtonおよびB.M.Dunn)、chapter 7、pp.91−171に記載されている。
【0065】
代替的には、本開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、当該分野において周知の技術を用いて好適な発現系において発現され得る発現ベクターに導入され得、続いて、目的とする発現されたポリペプチドを単離または精製する。種々の細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫の発現系が、当該分野において利用可能であり、あらゆるかかる発現系が用いられ得る。場合により、本開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、細胞不含翻訳系において翻訳され得る。
【0066】
キーホールリンペットヘモシアニン
当業者は、KLHを、その大きなサイズおよび区別できるエピトープゆえに免疫応答を増加させる能力に起因して、抗原ペプチドの有益な担体であると認識している(例えば、Harrisら、Micron 30(6):597−623(1999)を参照されたい)。KLHは、キーホールリンペットからの精製によって典型的には直接得られ、いくつかの供給源(例えば、Thermo Scientific、Biosyn)から市販されている。
【0067】
KLH−ペプチド結合体組成物の調製
本発明のKLH−ペプチド結合体は、被験体に対する非経口投与のための医薬組成物として典型的には製剤化される。一実施形態において、組成物は液体組成物である。別の実施形態において、組成物は、凍結乾燥組成物である。本開示の組成物は、KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体を、リン酸カリウム緩衝液、二糖、および界面活性剤と組み合わせて含む。KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体の量は、0.01〜20.0mg/mL、例えば、0.1〜10mg/mL、または0.5〜5mg/mLの量で本開示の組成物に存在し得る。例えば、特定の実施形態において、KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体は、0.5〜1.5mg/mL、例えば1.0mg/mLの量で液体製剤に存在する。
【0068】
かかる組成物は、7〜8のpHを有する水性液体組成物であり得る。特定の実施形態において、pHは7.3〜7.5、例えば7.4である。当業者は、典型的には0.1pH単位の多さでいずれの特定の溶液のpHの測定においても装置間でいくらか変動することを認識している。したがって、pHの数値が本開示を通して列挙されている場合、当業者は、かかる数値がかかる装置内変動を包含することが意図されると認識している。
【0069】
本開示の組成物はまた、溶媒、例えば水の添加によって続いて再構成された凍結乾燥組成物も含む。
【0070】
本開示の組成物は、pHを所望のレベルに調整するのに典型的には用いられるリン酸カリウム緩衝液を含み得る。しかし、本開示は、リン酸カリウム緩衝液が本明細書に開示されている組成物において作用する任意の特定のメカニズムによって限定されることは意図されず、本明細書に開示されている組成物において用いられるリン酸カリウム緩衝液は、pHを所望のレベルに調整する能力には全く関係ないメカニズムを通して特性を得ることができる。本明細書において用いられるとき、用語「緩衝液」は、液体組成物がpHの変化に抵抗するようにする、添加された組成物を称する。ある一定の実施形態において、添加された緩衝液は、液体KLH−ペプチド結合体組成物が酸塩基結合体成分の作用によるpH変化に抵抗することを可能にする。緩衝液の濃度が称されるとき、列挙した濃度が遊離酸または遊離塩基形態の緩衝液のモル濃度を表すことを意図している。
【0071】
当業者は、リン酸塩が、凍結の間に結晶化する傾向を有するため、リン酸緩衝液が非経口製剤において−特に凍結乾燥された生成物において典型的には用いられないことを認識しているが−本開示は、驚くべきことに、リン酸カリウム緩衝液がかかる結晶化を全く伴わずにKLH−ペプチド結合体製剤において有用であることを示す。特に、リン酸カリウム緩衝液は、5mM〜15mM、例えば、7mM〜12mM、8〜11mM、または9.5mM〜10.5mMの範囲の濃度で用いられ得る。当業者は、リン酸カリウム緩衝液が、一塩基性リン酸2水素および二塩基性リン酸1水素の混合物(例えば、KHPO、KHPO)として効率的なそれぞれの濃度で典型的には調製されて、所望のpHに達することを認識している。かかる緩衝液は、市販されており、または当業者は、本開示の文脈内でかかる緩衝液をどのように調製および使用するのかを認識している。
【0072】
本開示の組成物はまた、凍結の間に凍結保護物質としておよび凍結乾燥(凍結−乾燥)の間に凍結乾燥保護物質としての使用のための二糖、例えばトレハロースを含むこともできる。しかし、本開示は、本明細書に開示されている組成物において作用するあらゆる特定のメカニズムによっても限定されることを意図しておらず、本明細書において開示されている組成物に用いられる二糖は、これらの特性を、凍結の間に凍結保護物質としておよび凍結乾燥(凍結−乾燥)の間に凍結乾燥保護物質として作用する能力とは全く関係ないメカニズムを経て達成することができる。本開示において、かかる二糖は、70〜110mg/mLの量で用いられ得る。当業者は、二糖、例えばトレハロース、デキストラン、およびスクロース(とりわけ)が商業的供給源を経て容易に入手可能であることを認識するであろう。
【0073】
本開示の組成物はまた、界面活性剤、例えばポリソルベート80も含み、KLH−ペプチド結合体と空気−水または氷−水界面との相互作用を減少させることによって、粒子の形成の減少を助けることもできる。しかし、本開示は、本明細書に開示されている組成物において作用するあらゆる特定のメカニズムによっても限定されることを意図しておらず、本明細書において開示されている組成物に用いられる界面活性剤は、これらの特性を、KLH−ペプチド結合体と空気−水または氷−水界面との相互作用を減少させる能力とは全く関係ないメカニズムによって達成することができる。本明細書において用いられるとき、用語「界面活性剤」は、液体のKLH−ペプチド結合体組成物の表面張力を変更することができる賦形剤を称する。ある一定の実施形態において、界面活性剤は、液体のKLH−ペプチド結合体組成物の表面張力を低減する。さらなる他の実施形態において、「界面活性剤」は、KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体の安定性の改善に寄与することができる。例えば、界面活性剤は、KLH−ペプチド結合体の凝集を低減し、ならびに/または組成物における粒子状物質の形成を最小化しおよび/または吸着を低減することができる。界面活性剤は、凍結/解凍サイクルの間または後にKLH−ペプチド結合体の安定性を改善することもできる。
【0074】
好適な界面活性剤として、ポリソルベート界面活性剤、プロキサマー(例えば、プロキサマー18および407)、トリトン界面活性剤、例えばトリトンX−100(登録商標)、ポリソルベート界面活性剤、例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標)、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルグリコシドナトリウム、ラウリル−スルホベタイン、ミリスチル−スルホベタイン、リノレイル−スルホベタイン、ステアリル−スルホベタイン、ラウリル−サルコシン、ミリスチル−サルコシン、リノレイル−サルコシン、ステアリル−サルコシン、リノレイル−ベタイン、ミリスチル−ベタイン、セチル−ベタイン、ラウロアミドプロピル−ベタイン、コカミドプロピル−ベタイン、リノレアミドプロピル−ベタイン、ミリスタミドプロピル−ベタイン、パルミドプロピル−ベタイン、イソステラミドプロピル−ベタイン、ミリスタミドプロピル−ジメチルアミン、パルミドプロピル−ジメチルアミン、イソステラミドプロピル−ジメチルアミン、タウリン酸メチルココイルナトリウム、タウリン酸メチルオレイル二ナトリウム、ジヒドロキシプロピルpeg5リノールアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
一実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含むポリソルベート界面活性剤である。
【0076】
組成物に存在するときの界面活性剤の濃度は、一般に、0.01mg/mL〜10mg/mL、0.05mg/mL〜5.0mg/mL、0.1mg/mL〜1.0mg/mL、または0.2mg/mL〜0.7mg/mLの範囲である。別の実施形態において、界面活性剤は、0.2mg/mLである量で存在する。別の実施形態において、界面活性剤は、0.5mg/mLである量で存在する。別の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート80(例えば、Tween80(登録商標))であり、0.1〜0.3mg/mL、例えば、0.2mg/mLの量で存在する。先に列挙した界面活性剤濃度の中間にある範囲もまた、本開示の部分であると意図される。例えば、上限値および/または下限値として先に列挙した値のいずれかの組み合わせを用いた値の範囲が含まれると意図される。当業者は、界面活性剤、例えばTween80(登録商標)が、商業的供給源を経て容易に入手可能であることを認識するであろう。
【0077】
KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体は、一旦作製されると、当業者に周知である方法を用いて上記の成分と共に製剤化され得る。例えば、KLH−EGFRvIII結合体は、好適な配合容器内に導入されて穏やかに撹拌され、均質を達成することができる。次いで、結合体は、製剤緩衝液(例えば、リン酸カリウム)によって約1.0mg/mLまで希釈され得る。次いで、溶液は、サンプリングされて、適切なpHおよび濃度を確認することができる。次いで、溶液は、直列の2個の滅菌フィルタ(0.22ミクロン)を通過することができる。
【0078】
投与経路および投与量
本開示の組成物は、液体溶液(例えば、注射可能な溶液および注入可能な溶液)中にあってよい。好ましい形態は、意図される投与様式および治療的適用に依存し得る。典型的な好ましい組成物は、注射可能なまたは注入可能な溶液の形態、例えば、ヒトの受動免疫化に用いられるものと同様の組成物の形態である。好ましい投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮内、動脈内、皮下、骨内、腹腔内、筋肉内、および胸骨下)であるか、または注入技術、注射可能な滅菌液体もしくは油性懸濁液の形態である。経路および/または投与様式は、当業者によって認識されているように、所望される結果に応じて変動する。
【0079】
一実施形態において、KLH−ペプチド結合体組成物は、静脈内注入または注入によって投与される。別の実施形態において、組成物は、筋肉内または皮下注入によって投与される。治療組成物は、典型的には滅菌性であり、製造および保存条件下にて安定である。組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散液、またはリポソームとして製剤化され得る。注射可能な滅菌溶液は、適切な希釈剤中の所要量のKLH−ペプチド結合体組成物を先に列挙した成分の1種またはこれらの組み合わせに組み込み、続いて滅菌(例えば、フィルタ滅菌)することによって調製され得る。一般に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散液媒体および先に列挙した成分以外の所要の成分を含有する滅菌ビヒクル内に組み込むことによって調製される。
【0080】
注射可能な滅菌調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としての、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌溶液または懸濁液であってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中でも、水、リンゲル溶液および生理食塩液が使用され得る。また、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として常套的に使用される。この目的で、合成モノ−またはジグリセリドを含めたいずれの無刺激性の固定油が使用されてもよい。また、n−3多価不飽和脂肪酸は、注射可能物の調製における使用を見出すことができる。注射可能な滅菌溶液の調製のための滅菌性粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分の粉末およびその予め滅菌濾過された溶液からのあらゆるさらなる所望の成分を生じさせる真空乾燥、噴霧乾燥、および凍結乾燥(凍結−乾燥)である。適切な溶液流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には所要の粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0081】
注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含ませることによって、または組成物を、持続的吸収形態、例えば、デポー、リポソーム、高分子ミクロスフェア、高分子ゲル、および移植片などに製剤化することによって、もたらされ得る。
【0082】
本明細書に記載されている組成物の投与のための他の方法として、被験体の皮膚内に薬剤を直接放出する皮膚パッチが挙げられる。かかるパッチは、接着剤に溶解および/もしくは分散された、またはポリマーに分散された、場合により緩衝された液体溶液中に、本開示の組成物を含有することができる。本明細書に記載されている組成物のさらに他の投与方法として、眼用の液体眼科用滴剤が挙げられる。
【0083】
KLH−ペプチド結合体組成物は一度で投与されても複数回で投与されてもよい。例えば、組成物は、1日1回から6ヶ月以上に1回まで投与されてよい。投与は、例えば、1日3回、1日2回、1日1回、2日1回、3日1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回および6ヶ月に1回のスケジュールであってよい。
【0084】
組成物は、ミニポンプを介して継続的に投与されてもよい。組成物は、腫瘍部位もしくは炎症を起こした身体の部分に、腫瘍もしくは炎症を起こした身体の部分内に、または腫瘍部位もしくは炎症を起こした身体の部分から離れた部位に投与され得る。組成物は、状態が処置、緩和または治癒されるまで1回、少なくとも2回または少なくとも一定期間にわたって投与され得る。KLH−ペプチド結合体組成物は、腫瘍が存在する限り、一般に投与されてよい。ただし、組成物が、所望される治療効果をもたらすことを条件とする。組成物は、本明細書に記載されている医薬組成物の一環として典型的には投与される。本開示の組成物は、本明細書に開示されている、治療有効量のKLH−ペプチド結合体を含み得る。製剤の調製の際、製剤中に存在するKLH−ペプチド結合体の治療有効量は、例えば、所望される用量体積および投与様式(複数可)、処置されるべき状態の性質および重症度、ならびに被験体の年齢および大きさを考慮することによって決定され得る。
【0085】
被験体への本開示の組成物の投与に関する例示的な非限定的な用量範囲は、0.01mg/kg〜200mg/kg(被験体の体重1キログラム(kg)あたり投与されるKLH−ペプチド結合体1ミリグラム(mg)で表現される)、0.1mg/kg〜100mg/kg、1.0mg/kg〜50mg/kg、5.0mg/kg〜20mg/kg、または15mg/kgである。本開示の目的では、平均のヒト被験体の体重は約70kgである。本明細書に列挙した投与量のいずれかの中間の範囲、例えば、0.01mg/kg〜199mg/kgはもまた、本開示の部分として意図される。例えば、上限値および/または下限値としての任意の値の組み合わせを用いた値の範囲も包含されると意図される。
【0086】
投与レジメンはまた、経時的に被験体にいくつかの分割用量を投与することによって、所望される最適な応答(例えば、治療的または予防的応答)を提供するように調整され得、用量は、治療的状況の緊急事態によって示されるように比例的に低減されても増加されてもよい。投与容易性および投与量の均一性のために、非経口組成物を投与単位形態で製剤化することが特に有利である。投与単位形態は、本明細書において用いられるとき、処置されるべき哺乳動物被験体のための単位投与量として好適な物理的に別々の単位を称し;各単位は、所望の医薬担体に関連して所望される治療効果をもたらすように算出された、予め決定された量の活性化合物を含有する。本発明の投与単位形態のための仕様書は、(a)KLH−ペプチド結合体の特有の特徴および達成されるべき特定の治療的または予防的効果、ならびに(b)個体間での感度の処理のためにかかるKLH−ペプチド結合体を配合する分野における固有の制限によって指示され、これらに直接依存する。
【0087】
本開示の液体製剤は、単位剤形として調製され得る。例えば、バイアルあたりの単位投与量は、1〜1000ミリリットル(mL)の種々の濃度のKLH−ペプチド結合体を含有し得る。他の実施形態において、バイアルあたりの単位投与量は、0.2mL、0.4mL、0.6mL、0.8mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mLまたは100mLの種々の濃度のKLH−ペプチド結合体を含有し得る。必要に応じて、これらの調製は、滅菌希釈剤を各バイアルに添加することによって所望の濃度に調整され得る。本開示の液体製剤はまた、直接投与に用いられ得るおよび/または静脈内投与ラインもしくはカテーテルへの接続に好適である滅菌バッグ、容器、予め充填されたシリンジ、ペン、または極微針において単位剤形として調製され得る。
【0088】
KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体は、他の免疫刺激剤、例えば顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、例えば、サルグラモスチムまたはモルグラモスチムと組み合わされ得る。例えば、GM−CSFは、KLH−EGFRvIII結合体と直接組み合わされ、次いで被験体に投与され得る。一例において、0.5mg/mLで濃縮された0.35mlのGM−CSFは、1mg/mLで濃縮された0.6mlのKLH−EGFRvIII結合体組成物と組み合わされて、0.5mgのKLH−EGFRvIII結合体および0.15mgのGM−CSFを含有する0.95mLの組み合わせ溶液を提供することができる。次いで、この組み合わせ組成物は、被験体に直接投与され得る。当業者は、それを必要とする被験体に適切な投与量を提供するのに種々の量および濃度が用いられ得ることを認識するであろう。
【0089】
安定性評価
本開示は、本明細書に記載されているKLH−ペプチド結合体を含む安定な液体組成物および凍結乾燥組成物を提供する。安定な組成物は、例えば、生成物の外観および完全性(生物学的活性の低減を潜在的にもたらす物理的または化学的分解を含む)を維持するまたはこれらの変化に耐えることが望ましい。タンパク質の安定性を測定するための種々の分析技術および指標は、文献において報告されており、多数のこれらの技術および指標は、Peptide and Protein Drug Delivery、247−301、Vincent Lee Ed.、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、Pubs.(1991) and Jones、A.、Adv.Drug Delivery Rev.10:29−90(1993)に再検討されている。
【0090】
一般に、本開示の組成物は、長期にわたって低い保存温度に付されるときおよび/または1回以上の凍結/解凍サイクルに付されるとき、改善された安定性を示す。KLH−ペプチド結合体の安定性は、当業者に周知である種々の分析技術、例えば、分析アッセイ、例えば、外観(目視検査によっておよび/またはUV光散乱によって測定される)、顕微鏡、光遮蔽、サイズ排除クロマトグラフィ、アニオン交換(AEX)クロマトグラフィ、および逆相高速液体クロマトグラフィを用いて測定され得る。かかるアッセイは、複数の分解経路に関する安定性についてのデータ、例えば、酸性種の形成に起因する、モノマー/ダイマーの含量比の変化、ペプチド−リンカー不純物の形成、A280/A340比の変化、およびKLH−ペプチド結合体ピークのAEX保持時間を提供することができる。かかる分析アッセイは、時間および温度の関数として結合体の安定性をモニタリングするのに用いられ得る。
【0091】
液体医薬組成物におけるタンパク質のフラグメント化は、当該分野において公知の種々の方法によって測定され得る。かかる方法として、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ、紫外検出(例えば、214nmにおける)、SDS−PAGEおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間質量分析計(MALDI/TOF MS)が挙げられる。荷電変化(例えば、脱アミド化の結果として起こる)を引き起こすタンパク質のフラグメント化は、例えば、イオン交換クロマトグラフィまたは等電点電気泳動法(IEF)によって評価され得る。組成物の変色は、組成物自体の目視観察によって一般に測定され得る。本明細書に開示されている組成物は、一般に、組成物の変色(例えば、桃色または黄色)を低減しおよび/または組成物の透明度(例えば、濁度、混濁および/または粒子状物質形成)を維持する。本開示の目的で、用語「変色」は、色の変化(例えば、無色透明から桃色または黄色)および透明度の変化(例えば、無色透明から濁った、混濁したおよび/または粒子状物質を有する)の両方を称する。組成物の変色は、例えば、214nmにおける紫外検出によっておよび/または比較される組成物の標準的な明度に対する目視の比較によって、さらなる技術を用いて一般に測定され得る。
【0092】
本明細書において用いられるとき、用語「凍結/解凍サイクル」は、サンプルの温度が液体サンプルを凍結するために0℃以下の温度まで低下される凍結保存後の液体サンプルを用い、次いでサンプルの使用を可能にするのに十分な期間にわたってその液体状態を保存する温度までサンプルを付し、その後好ましくは0℃以下の温度での凍結保存に付され、該凍結保存に戻す技術を称する。本明細書において用いられるとき、用語「凍結保存」は、0℃以下、好ましくは、−20℃以下の温度で先の液体サンプルを凍結および維持することを称する。
【0093】
処置の方法
本明細書に記載されている任意のKLH−ペプチド組成物は治療的に用いられてよい。一実施形態において、KLH−ペプチド結合体は、本明細書に記載されているKLH−EGFRvIII結合体であり、ヒト被験体を処置するのに用いられる。代替的には、被験体は、EGFRvIII変異体を発現する哺乳動物であってよい。したがって、本明細書に開示されているKLH−EGFRvIII結合体組成物は、獣医目的でまたはヒトの疾患の動物モデルとしてのEGFRvIII変異体を発現する非ヒト哺乳動物に投与され得る。かかる動物モデルは、本開示の組成物の治療効能を評価するのに有用であり得る。
【0094】
本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって、該哺乳動物に本明細書に開示されている任意の組成物、特に、KLH−ペプチド結合体がKLH−EGFRvIII結合体である組成物を投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態において、異常な細胞成長は癌性である。さらなる実施形態において、癌は、膠芽細胞腫である。本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって、a)本明細書に記載されている任意の組成物をアジュバントと混合する工程と;b)得られた混合物を該哺乳動物に投与する工程とを含む方法をさらに提供する。一実施形態において、KLH−ペプチド結合体は、KLH−EGFRvIII結合体であり、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、例えば、サルグラモスチムまたはモルグラモスチムである。
【0095】
本開示は、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって:a)本明細書に開示されている任意の凍結乾燥組成物を付与することと、水を凍結乾燥組成物に添加して、再構成された組成物を付与することと、再構成された組成物を該哺乳動物に投与することとを含む方法をさらに提供する。また、それを必要とする哺乳動物において異常な細胞成長を低減する方法であって、本明細書に記載されている任意の凍結乾燥組成物を付与することと、水を凍結乾燥組成物に添加して、再構成された組成物を付与することと、再構成された組成物をアジュバント組成物と混合することと、得られた混合物を該哺乳動物に投与することとを含む方法も提供される。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトであり、KLH−ペプチド結合体はKLH−EGFRvIII結合体である。
【0096】
治療的方法は、本開示によって企図されるように、処置が必要な被験体に、治療有効量、または「有効量」の、KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体を含む組成物を投与することを含む。本明細書において用いられるとき、「治療有効」、または「有効」量は、単回投与としてまたは複数回投与レジメンに従って、単独でまたは他の剤と組み合わせて、疾患の症状の重症度の低下、疾患の症状がない期間の頻度および持続時間の増加、または疾患の苦痛に起因する機能障害もしくは身体障害の防止を結果としてもたらすのに十分な量のKLH−ペプチド結合体の量を称する。当業者は、かかる量を、被験体の大きさ、被験体の症状の重症度、および選択される特定の組成物または投与経路などのかかる因子に基づいて決定することができる。被験体は、ヒトであっても非ヒト動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス、サルまたは他の低次霊長類)であってもよい。本開示の組成物は、公知の薬剤と共投与されてもよい。
【0097】
本明細書に開示されているKLH−EGFRvIII結合体組成物は、EGFRvIII変異体が望ましくないことに発現または見出される種々の状況における治療生成物として用いられる。種々の癌、例えば膠芽細胞腫におけるEGFRvIII変異体の発現を考慮とすると、本開示のKLH−EGFRvIII結合体組成物による処置に特に好適な障害および状態として、異常な細胞成長、例えば、中皮腫、肝胆汁性(肝臓および胆管)、原発性または続発性のCNS腫瘍、原発性または続発性の脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨の癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、胃腸(胃、直腸結腸、および十二指腸)、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄の軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、あるいは上記癌の1種以上の組み合わせが挙げられる。
【0098】
本明細書に記載されている組成物は、処置される障害の種類に応じて変動し得るいずれの好適な手段によって投与されてもよい。可能な投与経路として、非経口(例えば、静脈内、皮内、動脈内、皮下、骨内、腹腔内、筋肉内、および胸骨下)、肺内および鼻腔内、ならびに、所望により局所的な免疫抑制処置のための、または病巣内投与が挙げられる。また、本開示の組成物は、パルス注入によって、例えば、KLH−ペプチド結合体の用量を減少しながら投与され得る。好ましくは、投与は、投与が短期であるか長期であるかに部分的に応じて、注入、最も好ましくは、皮内または筋肉内注入によって与えられる。
【0099】
投与される量は、種々の因子、例えば、臨床的症状、個体の重量、他の薬剤が投与されるか否かに依存する。当業者は、投与経路が、処置される障害または状態に応じて変動することを認識するであろう。例えば、本開示によるKLH−ペプチド結合体(例えば、KLH−EGFRvIII結合体)を含む組成物の治療有効量の決定は、特定の患者の特徴、投与経路、および処置される障害の性質に大部分が依存する。一般的なガイダンスは、例えば、International Conference on Harmonizationの文献およびRemington's Pharmaceutical Sciencesにおけるchapters 27 and 28、484−528頁(18th ed.、Alfonso R.Gennaro、Ed.、Easton、Pa.:Mack Pub。Co.、1990に見出され得る。より具体的には、治療有効量の決定は、薬剤の毒性および効能などの因子に依存する。毒性は、当該分野において周知の方法を用いて決定され得、以上の参照文献において見出され得る。効能は、同ガイダンスを利用して決定され得る。
【0100】
アジュバント
いくつかの実施形態において、本開示のKLH−ペプチド結合体組成物(例えば、KLH−EGFRvIII結合体)は、少なくとも1種のアジュバントと組み合わされても同時投与されてもよい。好適なアジュバントとして、哺乳動物における、好ましくは、ヒトにおける使用に好適なアジュバントが挙げられる。ヒトにおいて用いられ得る公知の好適なアジュバントの例として、必ずしも限定されないが、ミョウバン、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、MF59(商標)(4.3%w/vスクアレン、0.5%w/vポリソルベート80(Tween80)、0.5%w/vトリオレイン酸ソルビタン(Span85))、CpG含有核酸(シトシンが非メチル化されていない)、QS21(サポニンアジュバント)、MPL(モノホスホリルリピドA)、3DMPL(3−O−脱アセチル化MPL)、Aquillaからの抽出物、ISCOMS(例えば、Sjolanderら、J.Leukocyte Biol.64:713(1998);PCT公開第WO90/03184、WO96/11711、WO00/48630、WO98/36772、WO00/41720、WO06/134423およびWO07/026190号を参照されたい)、LT/CT突然変異体、ポリ(D、L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)微粒子、Quil A、インターロイキンなどが挙げられる。限定されないが動物実験を含めた獣医用途のために、フロイントN−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP11637、ノル−MDPとも称される)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1'−2'−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTP−PEとも称される)、およびRIBIを用いることができ、2%スクアレン/Tween80エマルション中に細菌から抽出された3種の抽出物、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコール酸および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含有する。
【0101】
組成物の有効性を向上させるさらなる例示的なアジュバントとして、限定されないが:(1)水中油エマルション製剤(他の特定の免疫刺激剤、例えば、ムラミルペプチド(以下参照)または細菌細胞壁成分を含むまたは含まない)、例えば(a)微流動化装置を用いてサブミクロン粒子に製剤化された、5%のSqualene、0.5%のTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および0.5%のSpan85(トリオレイン酸ソルビタン)(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(MTP−PE)に共有結合的に連結したムラミルトリペプチドを場合により含有する)を含有するMF59(商標)(PCT公報第WO90/14837号;ワクチン設計における第10章:サブユニットおよびアジュバントアプローチ、Powell & Newman編、Plenum Press 1995)、(b)サブミクロンエマルション中に微流動化されているか、またはボルテックスされてより大きな粒径のエマルションを形成している、10%のSqualene、0.4%のTween80、5%のプルロニックブロック化ポリマーL121、およびthr−MDPを含有するSAF、(c)2%のSqualene、0.2%のTween80、および1種以上の細菌細胞壁成分、例えば、モノホスホルリピッドA(MPL)、トレハロースジミコール酸(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくは、MPL+CWS(DETOX(商標))を含有するRIBI(商標)アジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、MT);(2)用いることができるサポニンアジュバント、例えばQS21、STIMULON(商標)(Cambridge Bioscience、Worcester、MA)、Abisco(登録商標)(Isconova、Sweden)、またはIscomatrix(登録商標)(Commonwealth Serum Laboratories、Australia)、またはこれらから生成された粒子、例えばISCOM(免疫刺激複合体)(さらなる洗浄剤を含んでいなくてよい、例えば、PCT公報第WO00/07621号);(3)完全なフロイントアジュバント(CFA)および不完全なフロイントアジュバント(IFA);(4)サイトカイン、例えばインターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(PCT公報第WO99/44636号)など)、インターフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、例えばモルグラモスチムまたはサルグラモスチム)、腫瘍壊死因子(TNF)など;(5)モノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アセチル化MPL(3dMPL)、例えば、英国特許第GB−2220221号、および欧州特許第EP−A−0689454号(場合により、肺炎球菌糖と共に用いられるときにはミョウバンが実質的に存在しない、例えば、PCT公報第WO00/56358号);(6)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油エマルションとの組み合わせ、例えば、EP−A−0835318、EP−A−0735898、EP−A−0761231;(7)CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド[Krieg、ワクチン(2000)19:618−622;Krieg、Curr Opin Mol Ther(2001)3:15−24;Romanら、Nat.Med.(1997)3:849−854;Weinerら、PNAS USA(1997)94:10833−10837;Davisら、J.Immunol(1998)160:870−876;Chuら、J.Exp.Med(1997)186:1623−1631;Lipfordら、Ear.J.Immunol.(1997)27:2340−2344;Moldoveamiら、Vaccine(1988)16:1216−1224、Kriegら、Nature(1995)374:546−549;Klinmanら、PNAS USA(1996)93:2879−2883;Ballasら、J.Immunol、(1996)157:1840−1845;Cowderyら、J.Immunol(1996)156:4570−4575;Halpernら、Cell Immunol.(1996)167:72−78;Yamamotoら、Jpn.J.Cancer Res.、(1988)79:866−873;Staceyら、J.Immunol.、(1996)157:2116−2122;Messinaら、J.Immunol、(1991)147:1759−1764;Yiら、J.Immunol(1996)157:4918−4925;Yiら、J.Immunol(1996)157:5394−5402;Yiら、J.Immunol、(1998)160:4755−4761;およびYiら、J.Immunol、(1998)160:5898−5906;PCT公開第WO96/02555号、同第WO98/16247号、同第WO98/18810号、同第WO98/40100号、同第WO98/55495号、同第WO98/37919号および同第WO98/52581号]、すなわち少なくとも1種のCGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチド(シトシンは非メチル化されている);(8)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル、例えば、PCT公報第WO99/52549号;(9)オクトキシノールと組み合わされたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(PCT公報第WO01/21207号)または少なくとも1種の追加の非イオン性界面活性剤、例えばオクトキシノールと組み合わされたポリオキシエチレンアルキルエーテルもしくはエステル界面活性剤(PCT公報第WO01/21152号);(10)サポニンおよび免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(PCT公報第WO00/62800号);(11)免疫刺激物質、および金属塩の粒子、例えば、PCT公報第WO00/23105号;(12)サポニンおよび水中油エマルション、例えば、PCT公報第WO99/11241号;(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IM2(場合により+ステロール)、例えば、PCT公報第WO98/57659号;(14)組成物の効能を向上させる免疫刺激剤として作用する他の物質、例えば、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−25アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノル−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1'−2'−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)を含めたムラミルペプチド、(15)TLR3リガンド、例えば、ポリl:Cおよび同様の化合物、例えば、ヒルトノールおよびアンプリゲンを含めた、天然または合成の、トル様受容体(TLR)のためのリガンド(例えば、Kanzlerら、Nature Med.13:1552−1559(2007)に記載されている)が挙げられる。
【0102】
一実施形態において、本開示の組成物は、少なくとも1種のアジュバントと同時投与または投与の前に組み合わされる。特定の実施形態において、該アジュバントは、サイトカイン、特にGM−CSF(例えば、モルグラモスチムまたはサルグラモスチム)である。
【0103】
製造物品
本開示の別の実施形態において、本明細書に記載されているKLH−ペプチド結合体を含む液体組成物を保持し、使用指示書を場合により提供する、容器を含む製造物品が提供される。好適な容器として、例えば、ボトル、バイアル、バッグおよびシリンジが挙げられる。容器は、種々の材料、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成されていてよい。例示的な容器は、3〜20ccの使い捨てガラスバイアルである。代替的には、複数回投与製剤のために、容器は、3〜100ccのガラスバイアルであってよい。容器は、組成物、および容器の上またはそれに付随するラベルを保持し、容器は、使用のための指示を示してよい。製造物品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、ニードル、シリンジ、ならびに使用のための指示書、禁忌、および/または潜在的副作用のリストを含むパッケージ挿入物を含めた商業的および使用者の観点から望ましい他の材料を含んでいてよい。
【0104】
本開示はまた、KLH−ペプチド結合体の液体組成物を調製するためのキットであって、KLH−ペプチド結合体、例えばKLH−EGFRvIII結合体を溶液中に含む第1容器、および十分量のアジュバント、例えばGM−CSFを単独または他の賦形剤と組み合わせて含む第2容器を含むキットも提供する。
【0105】
本開示を、さらに限定的であると解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに説明する。本開示を通して列挙された全ての図および全ての参照文献、特許および公開特許出願は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【実施例】
【0106】
以下の実施例において、「エピトープ密度」を以下のようにアミノ酸分析を用いて決定した。二官能性リンカーを介したKLHへのEGFRvIIIペプチドのカップリングは、KLH担体タンパク質に結合したペプチドの分布をもたらす。KLHに結合したペプチドの数を、アミノ酸組成分析を用いて測定した。その寄与がペプチドではなく専らKLH担体タンパク質に由来するいくつかのアミノ酸が存在する。これらのアミノ酸をペプチドおよびKLHの両方から生ずるアミノ酸と比較することにより、モル過剰を算出することができる。これらのアミノ酸のモル過剰は、EGFRvIIIペプチドに帰属され得、KLHサブユニットあたりのペプチド数を算出するのに用いられる。サンプルは、アミノ酸分析の前に、あらゆる残りのプロセス不純物、例えば、ペプチドダイマーまたはペプチド:リンカー結合体を除去するのに緩衝液交換される。これらの不純物は、アミノ酸レベルに寄与して結果を歪曲する可能性を有する。次いで、サンプルを6N HCIを用いて加水分解し、蛍光タグによって標識化し、HPLCを用いて分離および定量化する。
【0107】
実施例1:pH/緩衝液の影響
研究の目的は、液体製剤および凍結乾燥製剤の両方に関して、種々の温度(5℃、25℃および40℃)におけるCDX−110の保存安定性に対するpHおよび緩衝液種の影響を調査することであった(表1A)。調査したpH範囲は4.5〜7.4であり、種々の緩衝種は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、スクシネートおよびヒスチジンであった。本明細書において報告されているデータは、8週の終わりに停止されたスクシネート(J)を除いて、全ての製剤について12週の終わりにおけるものであった。タンパク質濃度、pHおよびポリソルベート含量を、表1Aに示すように一定に保った。「liq」は液体製剤を示す一方で、「lyo」は、凍結乾燥製剤を示す。pH範囲を皮内投与について選択した。全ての比較は、本製剤F(PBS中液体およびlyoの両方;表1B内の組成物)に対して行う。
【0108】
(表1A)pH/緩衝液研究のための製剤組成物

表1Bに与えられるPBS組成物。製剤Jを、8週間だけ研究した。製剤CおよびDは、トレハロース含量においてのみ6mg/mL異なる。全ての凍結乾燥製剤を、最終CDX−110濃度が約1.0mg/mLであるようにWFIによって再構成した。
【0109】
(表1B)PBS(F)中の本CDX−110製剤組成物

【0110】
緩衝液溶液の調製
5種の緩衝液溶液を以下の表1Cに記載のように調製した。各溶液を、まず、ある量の(表1Cに列挙した)緩衝液種を注入用の水(WFI)に溶解することによって調製した。各緩衝液溶液のpHを測定した。次いで緩衝液溶液を、滅菌フィルタ(0.22ミクロンの細孔径)を通して滅菌容器内に濾過し、その後使用した。
【0111】
(表1C)緩衝液溶液

【0112】
CDX−110製剤の調製
評価した製剤を表1Aに列挙する。各製剤を調製するために、CDX−110材料を10mM PBS(pH7.4)中1.0mg/mLで得た。先に示した製剤溶液へのCDX−110材料の緩衝液交換を、5℃にて4500RPMで運転するBeckman Coulter Allegra21R遠心分離器におけるAmicon Ultra15MWCO50遠心濃縮によって実施した。およそ8回の体積交換を行い、溶液を1.4〜1.8mg/mLの間に濃縮した。およそ70〜99mLの全ての製剤を調製した。CDX−110濃度を、280nmにて1.38(mg/mL)−1cm−1の吸光係数を用いて紫外−可視分光(UV−Vis)法を用いることによって決定した。
【0113】
400mg/mLの二糖溶液を表1Aに記載の適切な製剤緩衝液によるトレハロース/スクロースの希釈および溶解によって調製した。また、10mg/mLのポリソルベート80(PS80)溶液を適切な製剤緩衝液へのPS80の溶解によって調製した。次いで、適切な体積の二糖原液およびPS80原溶液をCDX−110原溶液に添加して、表1Aに列挙した製剤組成物中1.0mg/mLの最終濃度を得た。
【0114】
次いで、製剤を0.2μmの滅菌フィルタを通して濾過し、バイアル内に充填した。0.6mLの充填体積を2mLのI型ガラスバイアルに充填した。液体製剤バイアルをコーティングされた血清ストッパであるDaikyo777−1Flurotec(登録商標)で栓をし、クリンプおよびシールした。凍結乾燥製剤のバイアルを、コーティングされたDaikyo777−1Flurotec(登録商標)B2−TRで部分的に栓をし、次いで、表1Dに概説される凍結−乾燥サイクルパラメータに従って凍結乾燥し、栓をし、クリンプおよびシールした。液体製剤および凍結乾燥製剤の両方を、5、25および40℃で2、4、8、13、26、52および104週間保存された安定性チャンバに置いた。13mmのDaikyo777−1の血清ストッパおよびlyoストッパと同様にバイアルを洗浄およびオートクレーブした。lyoストッパを100℃で6時間乾燥した。サンプルを、外観、pH、およびUV−Vis吸光度によるタンパク質濃度、サイズ排除HPLC、アニオン交換HPLC、逆相HPLCによって分析した。研究は継続しており、報告された値は、中間地点または12週からのものである。
【0115】
(表1D)凍結−乾燥サイクルパラメータ

【0116】
アッセイ
外観
各製剤を0(最初)および定時点の後に粒子状物質の形成、色変化および透明度について視覚的に評価した。サンプルを、適当な照明によって明るい背景および暗い背景に保持した。サンプルは、レベル6の色範囲よりもさらに強く着色され得ず、参照懸濁液IIIよりも乳白色となり得ない。可視の粒子状物質も報告した。
【0117】
pH
サンプルを電位差滴定によるpH測定に付した。pHメータの較正をpH4〜10の範囲の市販の標準緩衝液を用いて行った。
【0118】
UV−Vis吸光度によるタンパク質濃度
タンパク質濃度測定を、好適な吸光光度計を用いて実施した。サンプルを280nmにおいて走査し、280nmにおける吸光度を用いて、タンパク質の濃度を決定した。280nmにおいて実験的に誘導された吸光係数1.19(mg/mL)−1cm−1および1.38(mg/mL)−1cm−1(D liqおよびD lyo)を用いてタンパク質濃度を決定した。
【0119】
サイズ排除HPLC
モノマー、ダイマーおよび高分子量種(HMMS)の存在を、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を用いてモニタリングした。サイズ排除クロマトグラフィを、Waters Biosuite450SECカラム、移動相である50mMのリン酸ナトリウム、75mMのNaCl、0.01%のアジ化ナトリウム(pH7.4)、0.3mL/分の流量、および214nmにおけるUV検出を用いて実施した。モノマー、ダイマーおよびHMMSのレベルを、各製剤についてのクロマトグラムピーク下での面積を積分し、モノマー、ダイマーおよび高分子量種の積分面積を全ピーク面積の百分率として報告することによって算出した。
【0120】
アニオン交換HPLC
アニオン交換クロマトグラフィを、移動相である10mMのTris(pH7.3)、および10mMのTris、0.5MのNaCl、pH7.3の勾配溶離、1mL/分の流量、ならびに280nmにおけるUV検出により、TSKゲルDEAE−5PWカラムを用いて実施した。アニオン交換クロマトグラフィは、荷電固定相とイオン強度を変動させる移動相との間の分配に基づいて、CDX−110をKLH、ペプチド、リンカー、および関係する化合物から分離する。目的とする種を紫外吸光度によって検出し、相対面積によって定量する。
【0121】
逆相HPLC
逆相クロマトグラフィを、移動相である0.1%のTFA水、およびアセトニトリル勾配溶離における0.1%のTFA、1mL/分の流量、ならびに215nmにおけるUV検出により、Waters symmetry300C4カラムを用いて実施した。逆相クロマトグラフィは、無極性固定相と極性移動相との間の分配において、CDX−110をペプチドおよびリンカー関連の不純物から分離する。ピークは、ペプチドおよびリンカーベースの不純物が吸収を有する固定波長において紫外光検出器を用いて検出する。
【0122】
結果
外観
外観分析から、リン酸ナトリウム(B)、リン酸カリウム(A、CおよびD)およびヒスチジン(E)における全ての製剤が、液体製剤および凍結乾燥製剤の両方において同様に挙動することを結論づけることができた。製剤J(liq、スクシネート)およびF(lyo、PBS)は、最も悪い挙動を示した。詳細については、表1A、1B、および1Cにおいて概説した液体製剤および凍結乾燥製剤を参照されたい。
【0123】
液体製剤(表1E)
全てのT0(時間0)製剤は、無色およびNMO RSIと報告された。粒子状物質に関して、製剤D(liq、KPi、Tre)については1種の白色フレーク粒子が観察された一方で、トレハロース含量が6mg/mL異なる製剤C(liq、KPi、Tre)については、可視粒子を実質的に含まない(EFVP)、EFVPである。本製剤F(liq、PBS)もまた、無色でありEFVPである。
【0124】
5℃(T=12週)において、全ての製剤が無色でありNMO RSIであった。B(liq)およびC(liq)製剤については1個の粒子が観察された一方で、本製剤F(PBS中)ではEFVPでありNMO RSIのままであった。
【0125】
25℃(T=12週)において、J(liq、スクシネート−NMO RSII)およびD(liq、KPi、Tre−NMO RSI)製剤は、非常に僅かに褐色であることが報告された。F(liq、PBS)製剤は、多くの異なる種の粒子を有することが報告されたが、D(liq、KPi、Tre)は1個の粒子を有した。
【0126】
40℃(T=12週)において、全ての製剤は、色が黄色または褐色に変化し(PBSすなわち、Fを除く)、J(liq、スクシネート)は乳白色に関して最も悪かった(NMO RSIV)。リン酸カリウム液体製剤C(liq、KPi、Tre)およびD(liq、KPi、Tre)は、1個の粒子を有してまたは粒子を有さずに、非常に僅かに褐色であることが報告された。製剤F(liq、PBS)は、2個の白色のフレーク様の粒子を有して無色であった。製剤F(liq、PBS)製剤は、PS80を有さない唯1種であった。
【0127】
凍結乾燥製剤(表1E)
T=0において、全ての製剤は、段ボール包装に似た多くの褐色/黄褐色粒子も有したF(lyo、PBS)製剤(再構成において僅かに褐色)を除き、無色であった。A(lyo、KPi、Suc)はまた、再構成において1個の粒子を有した。
【0128】
5℃(T=12週)において、全ての製剤は、多くの粒子を有し乳白色であったF(lyo、PBS)を除いて無色でありEFVPであった。25℃(T=12週)において、F(lyo、PBS)を除く全ての製剤は無色でありNMO RSIであった。C(lyo、KPi、Tre)について2個の小さな白色粒子もまた、報告された。40℃(T=12週)において、全ての製剤は、再構成におけるF(lyo、PBS)を除き、無色でありNMO RSIであった。1個および2個の粒子がB(lyo、NaPi、Suc)およびD(lyo、KPi、Tre)においてそれぞれ観察されたが、F(lyo、PBS)は複数の粒子を有した。
【0129】
濃度
液体製剤(表1F)
5℃(T=12週)において、有意な変化は観察されなかった。25℃(T=12週)において、E(liq、His、Tre)製剤について濃度の増加が観察された。全ての他の製剤は何ら有意な変化を示さなかった。40℃において、製剤C(liq、KPi、Tre)、D(liq、KPi、Tre)およびF(liq、PBS)は何ら有意な変化を示さなかったが、A(liq、KPi、Suc)、B(liq、NaPi、Suc)およびE(liq、His、Tre)は、顕著な濃度増加を示した。
【0130】
凍結乾燥製剤(表1F)
5℃(T=12週)において、僅かな濃度降下を示したF(lyo、PBS)を除いて、有意な変化が観察されなかった。25℃(T=12週)においては、E(lyo、His、Tre)およびF(lyo、PBS)についての僅かな減少を除き有意な変化なし。40℃(T=12週)においては、F(lyo、PBS)を除き有意な変化なし。A(lyo、KPi、Suc)については僅かな増加が観察された。
【0131】
A280/A340比
280nmにおける吸光度対340における吸光度の比は、特徴的な青色を付与する、CDX−110中の結合された銅の存在に起因した重要性を想定する。340nmの吸光度は、銅の存在に起因しており、したがって、この波長における吸光度の低下は、銅の損失または銅の酸化状態の変化を示す。
【0132】
液体製剤(表1G)
5℃(T=12週)において、増加が観察される製剤A(liq、KPi、Suc)を除き比の有意な変化がなかった。25℃(T=12週)において、全ての液体製剤は、製剤J(liq、スクシネート)を除いて、銅分子に対する損失/変化を示す比の増加を示す。製剤J(liq、スクシネート)は、他の液体製剤とは異なり、比の減少を示した。製剤のいくつかは、他と比べて比の大きな変化を示し、例えば、製剤C(liq、KPi、Tre)、D(liq、KPi、Tre)およびF(liq、PBS)は、A(liq、KPi、Suc)およびB(liq、NaPi、Suc)よりも有意な増加を有した。E(liq、His、Tre)は、比の中程度の増加を有した。
【0133】
40℃において、製剤J(liq、スクシネート)は、比の有意な減少を示す(表1B)。製剤C、DおよびEは、有意な増加を示し、Fは、最大の増加を示す。スクロース含有製剤A(liq、KPi、Suc)およびB(liq、NaPi、Suc)に関する比は、一定であるとみられる。データをさらに見ると、スクロース含有製剤が時間および温度に伴う280nmにおける吸光度の増加および340nmにおける吸光度の増加を示し、これにより、A280対A340比が一定と見なすことが可能であった。トレハロース含有製剤およびPBS含有製剤について、この比の増加は、340nmにおける吸光度の減少に起因して観察される。
【0134】
凍結乾燥製剤(表1G)
5℃(T=12週)においては、F(lyo、PBS)を除いて、変化なし/最小であると観察された。25℃においては、F(lyo、PBS)を除いて、変化なし/最小であると観察された。40℃においては、F(lyo、PBS)を除く全ての製剤について、比における有意な変化は観察されなかった。
【0135】
ダイマー/モノマー/HMMS
液体製剤(表1H、1Iおよび1J)
温度の増加に伴い、ダイマー含量(表1H)が全ての製剤について減少した。最小の減少は、C(liq、KPi、Tre)およびD(liq、KPi、Tre)製剤について観察された。モノマー含量は、全ての糖含有製剤について増加した一方で、ヒスチジン(E)およびPBS(F)製剤は、減少を示した。ヒスチジン製剤は、HMMS含量の同時の増加に伴い(表1I)25および40℃においてモノマー含量(表1H)の顕著な減少を示した。HMMSからのモノマーの形成の増加がより高い温度で起こった確かな反対の傾向は、リン酸ナトリウム製剤、リン酸カリウム製剤について観察された。
【0136】
凍結乾燥製剤(表1H、1Iおよび1J)
全ての凍結乾燥製剤は、凍結乾燥PBS製剤(F lyo、PBS)を除き、12週の終わりに、5、25および40℃にて変化を示さなかった/最小の変化を示した。
【0137】
AEXによる不純物%およびCDX−110保持時間の変化
液体製剤(表1Kおよび1L)
5℃(T=12週)において、全ての製剤についての不純物%は、スクシネート製剤(I)を除いて1%以下であった。CDX−110ピークについての保持時間は、スクシネートを除いて全ての製剤についておよそ1分、移動した。保持時間のシフトは、リンカーの加水分解と脱アミド化との組み合わせに帰属し得る酸性種の形成を示した。25℃および40℃(T=12週)において、不純物%は、全ての製剤について有意に増加した。保持時間の変化もまた、酸性種の形成の増加を示す同様の傾向に従った。
【0138】
凍結乾燥製剤(表1Kおよび1L)
全ての凍結乾燥製剤について、不純物%の変化および保持時間のシフトは、全ての温度において、F(lyo、PBS)製剤を除いて有意でなかった。
【0139】
RP HPLCによる不純物%
液体製剤(表1M)
ペプチドおよびリンカー関係の不純物の形成の増加が、温度の増加に伴って製剤について観察され、ヒスチジン製剤(E)は、不純物の最小の形成を示した。
【0140】
凍結乾燥製剤(表1M)
凍結乾燥PBS(F)製剤を除き、あらゆる製剤について有意な変化が観察されなかった。
【0141】
マウス効能
効能に関する薬剤の製品仕様は、マウスにおいて≧75%のセロコンバージョンに設定されている。試験製剤は、リン酸カリウム(A、C、D)、ヒスチジン(E)およびPBS(F)であった。試験サンプルを5℃において8および12週間保存した。全てのサンプルは、>75%のセロコンバージョン(表1K)を実証し、したがって薬剤の製品仕様を満たした。
【0142】
(表1E)pH/緩衝液研究についての外観データ


EFVP:可視粒子を本質的に含まない;NMO RS I/II/III:参照懸濁液I/II/IIIよりも乳白色でない。製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである。
【0143】
(表1F)濃度変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである。
【0144】
(表1G)A280/A340比の変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである。
【0145】
(表1H)ダイマー%の変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである;NM−研究を行ったときのアッセイ方法が異なるため測定しなかった。
【0146】
(表1I)モノマー%の変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである;NM−研究を行ったときのアッセイ方法が異なるため測定しなかった。
【0147】
(表1J)HMMS%の変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである;NM−研究を行ったときのアッセイ方法が異なるため測定しなかった。
【0148】
(表1K)AEXによる不純物%の変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである。
【0149】
(表1L)AEX保持時間の変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである。
【0150】
(表1M)逆相による不純物%の変化


製剤Jは、8週後に中止した。報告データは、8週の終わりにおけるものである;NM−研究を行ったときのアッセイ方法が異なるため測定しなかった。
【0151】
(表1N)マウス効能の結果

*DP Spec≧75%;NM:測定せず
【0152】
実施例2:二糖の影響
種々の液体製剤および凍結乾燥製剤を調製してpH7.4において二糖の影響を研究する研究を実施した。トレハロースおよびスクロースを研究に用いた。CおよびD製剤は、2種の異なる濃度のトレハロースを有し、成分の残りが同じであった。タンパク質濃度およびpHを表2Aに示すように一定に保った。リン酸カリウム緩衝液種およびリン酸ナトリウム緩衝液種をこれらの製剤に用いた。全ての比較をPBS中の本製剤(製剤F−液体およびlyoの両方)について行った(表1Bを参照されたい)。
【0153】
(表2A)二糖の影響のための製剤組成物

表1Bに与えられるPBS組成物。製剤CおよびDは、トレハロース含量においてのみ6mg/mL異なる。全ての凍結乾燥製剤を、最終CDX−110濃度が約1.0mg/mLであるようにWFIによって再構成した。
【0154】
安定性について行った分析アッセイは、外観、UV、pH、SEC、AEXおよびRPHLCであった。表2B〜2Kは、モノマー/ダイマー/高分子量種含量の変化、ペプチド−リンカー関係の不純物の形成、A280/A340比の変化、酸性種の形成に起因するCDX−110ピークのAEX保持時間およびマウス効能の研究を含めた、複数の分解経路についての安定性のデータを示す。
【0155】
緩衝液溶液の調製
5種の緩衝液溶液を以下の表2Bに記載のように調製した。各溶液を、まず、ある量の(表2Bに列挙した)緩衝液種を注入用の水(WFI)に溶解することによって調製した。各緩衝液溶液のpHを測定した。次いで緩衝液溶液を、滅菌フィルタ(0.22ミクロンの細孔径)を通して滅菌容器内に濾過し、その後使用した。
【0156】
(表2B)緩衝液溶液

【0157】
CDX−110製剤の調製
評価した製剤を表2Aに列挙する。各製剤を調製するために、CDX−110材料を10mM PBS(pH7.4)中1.0mg/mLで得た。先に示した製剤溶液へのCDX−110材料の緩衝液交換を、5℃にて4500RPMで運転するBeckman Coulter Allegra21R遠心分離器におけるAmicon Ultra15MWCO50遠心濃縮によって実施した。およそ8回の体積交換を行い、溶液を1.4〜1.8mg/mLの間に濃縮した。およそ70〜99mLの全ての製剤を調製した。CDX−110濃度を、280nmにて1.38(mg/mL)−1cm−1の吸光係数を用いて紫外−可視分光(UV−Vis)法を用いることによって決定した。
【0158】
400mg/mLの二糖溶液を表2Aに記載の適切な製剤緩衝液によるトレハロース/スクロースの希釈および溶解によって調製した。また、10mg/mLのポリソルベート80(PS80)溶液を上記の適切な製剤緩衝液へのPS80の溶解によって調製した。次いで、適切な体積の二糖原液およびPS80原溶液をCDX−110原溶液に添加して、表2Aに列挙した製剤組成物中1.0mg/mLの最終濃度を得た。
【0159】
次いで、製剤を0.2μmの滅菌フィルタを通して濾過し、バイアル内に充填した。0.6mLの充填体積を2mLのI型ガラスバイアルに充填した。液体製剤バイアルを、コーティングされた血清ストッパであるDaikyo777−1Flurotec(登録商標)で栓をし、クリンプおよびシールした。凍結乾燥製剤のバイアルを、コーティングされたDaikyo777−1Flurotec(登録商標)B2−TRで部分的に栓をし、次いで、表2Cに概説される凍結−乾燥サイクルパラメータに従って凍結乾燥し、栓をし、クリンプおよびシールした。液体製剤および凍結乾燥製剤の両方を、5、25および40℃で2、4、8、13、26、52および104週間保存された安定性チャンバに置いた。13mmのDaikyo777−1の血清ストッパおよびlyoストッパのようにバイアルを洗浄およびオートクレーブした。lyoストッパを100℃で6時間乾燥した。サンプルを、外観、pH、およびUV−Vis吸光度によるタンパク質濃度、サイズ排除HPLC、アニオン交換HPLC、逆相HPLCによって分析した。研究は継続しており、報告された値は、中間地点または12週からのものである。
【0160】
(表2C)凍結−乾燥サイクルパラメータ

【0161】
アッセイ
外観
各製剤を0(最初)および定時点の後に粒子状物質の形成、色変化および透明度について視覚的に評価した。サンプルを、適当な照明によって明るい背景および暗い背景に保持した。サンプルは、レベル6の色範囲よりもさらに強く着色され得ず、参照懸濁液IIIよりも乳白色となり得ない。可視の粒子状物質も報告した。
【0162】
pH
サンプルを電位差滴定によるpH測定に付した。pHメータの較正をpH4〜10の範囲の市販の標準緩衝液を用いて行った。
【0163】
UV−Vis吸光度によるタンパク質濃度
タンパク質濃度測定を、好適な吸光光度計を用いて実施した。サンプルを280nmにおいて走査し、280nmにおける吸光度を用いて、タンパク質の濃度を決定した。280nmにおいて実験的に誘導された吸光係数1.19(mg/mL)−1cm−1および1.38(mg/mL)−1cm−1(D liqおよびD lyo)を用いてタンパク質濃度を決定した。
【0164】
サイズ排除HPLC
モノマー、ダイマーおよび高分子量種(HMMS)の存在を、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を用いてモニタリングした。サイズ排除クロマトグラフィを、Waters Biosuite450SECカラム、移動相である50mMのリン酸ナトリウム、75mMのNaCl、0.01%のアジ化ナトリウム(pH7.4)、0.3mL/分の流量、および214nmにおけるUV検出を用いて実施した。モノマー、ダイマーおよびHMMSのレベルを、各製剤についてのクロマトグラムピーク下での面積を積分し、モノマー、ダイマーおよび高分子量種の積分面積を全ピーク面積の百分率として報告することによって算出した。
【0165】
アニオン交換HPLC
アニオン交換クロマトグラフィを、移動相である10mMのTris(pH7.3)、および10mMのTris、0.5MのNaCl、pH7.3の勾配溶離、1mL/分の流量、ならびに280nmにおけるUV検出により、TSKゲルDEAE−5PWカラムを用いて実施した。アニオン交換クロマトグラフィは、荷電固定相とイオン強度を変動させる移動相との間の分配に基づいて、CDX−110をKLH、ペプチド、リンカー、および関係する化合物から分離する。目的とする種を紫外吸光度によって検出し、相対面積によって定量する。
【0166】
逆相HPLC
逆相クロマトグラフィを、移動相である0.1%のTFA水、およびアセトニトリル勾配溶離における0.1%のTFA、1mL/分の流量、ならびに215nmにおけるUV検出により、Waters symmetry300C4カラムを用いて実施した。逆相クロマトグラフィは、無極性固定相と極性移動相との間の分配において、CDX−110をペプチドおよびリンカー関連の不純物から分離する。ピークは、ペプチドおよびリンカーベースの不純物が吸収を有する固定波長において紫外光検出器を用いて検出する。
【0167】
結果
外観
外観分析から、スクロース製剤およびトレハロース製剤が、液体製剤および凍結乾燥製剤の両方において同様に挙動することを結論づけることができた。製剤F(lyo、PBS)は、最も悪い挙動を示した。さらなる詳細を以下に記述する。
【0168】
液体製剤(表2D)
全てのT0(時間0)製剤は、無色であると報告された。粒子状物質に関して、製剤D(liq、KPi、Tre)については1個の白色フレーク粒子が観察された一方で、トレハロース含量が6mg/mLのみ異なる製剤C(liq、KPi、Tre)については、EFVPである。本製剤F(liq、PBS)もまた、無色でありEFVPである。5℃(T=12週)において、全ての製剤が無色でありNMO RSIであった。B(liq、NaPi、Sue)およびC(liq、KPi、Tre)製剤については1個の粒子が観察された一方で、製剤F(liq、PBS)はEFVPのままであった。
【0169】
25℃(T=12週)において、製剤D(liq、KPi、Tre−NMO RSI)は、非常に僅かに褐色であることが報告された。製剤F(liq、PBS)は、多くの異なる種の粒子を有することが報告されたが、D(liq、KPi、Tre)は1個の粒子を有した。40℃(T=12週)において、全ての製剤は、製剤F(liq、PBS)を除き、色が黄色または褐色に変化した。トレハロース製剤CおよびDは、は、1個の粒子を有しまたは有さずに非常に僅かに褐色であることが報告された。製剤F(liq、PBS)は、2個の白色のフレーク様粒子を有して無色であった。製剤F(liq、PBS)は、PS80を有さない唯一の製剤であった。
【0170】
凍結乾燥製剤(表2D)
T=0において、全ての製剤が無色であった。A(lyo、KPi、Suc)はまた、1個の粒子を有することが報告された。5℃(T=12週)においては、全ての製剤が無色でありEFVPであった。25℃(T=12週)においては、全ての製剤が無色でありNMO RSIであった。2個の小さな白色の粒子は、C(lyo、KPi、Tre)に関するものであることが報告された。40℃(T=12週)においては、全ての製剤が無色でありNMO RSIであった。1個および2個の粒子がB(lyo、NaPi、Sue)およびD(lyo、KPi、Tre)においてそれぞれ観察された。
【0171】
濃度
液体製剤(表2E)
5℃(T=12週)において、有意な変化は観察されなかった。25℃(T=12週)において、全ての製剤が何ら有意な変化を示さなかった。40℃において、製剤C(liq、KPi、Tre)、D(liq、KPi、Tre)およびF(liq、PBS)は、何ら有意な変化を示さなかったが、A(liq、KPi、Suc)およびB(liq、NaPi、Suc)は顕著な濃度増加を示した。これは、トレハロース製剤がスクロース製剤よりも良好な挙動をすることを実証した。
【0172】
凍結乾燥製剤(表2E)
5℃(T=12週)において、有意な変化が観察されなかった。25℃(T=12週)においては、製剤F(lyo、PBS)を除き、有意な変化なし。40℃(T=12週)においては、製剤F(lyo、PBS)を除き、有意な変化なし。A(lyo、KPi、Suc)については僅かな増加が観察された。
【0173】
A280/A340比
液体製剤(表2F)
5℃(T=12週)において、増加が観察されるスクロース製剤(AおよびB)を除き比の有意な変化がない。25℃(T=12週)において、全ての液体製剤は、銅分子に対する損失/変化を示す比の増加を示す。製剤のいくつかは、他と比べて比の大きな変化を示し、例えば、製剤C(liq、KPi、Tre)、D(liq、KPi、Tre)およびF(liq、PBS)は、A(liq、KPi、Suc)およびB(liq、NaPi、Suc)よりも有意な増加を有した。40℃において、スクロース含有製剤A(liq、KPi、Sue)およびB(liq、NaPi、Suc)の比は、他の製剤よりもあまり影響されない(表2F)とみられる。濃度データ(表2E)は、製剤A(liq、KPi、Suc)およびB(liq、NaPi、Suc)が40℃において有意に高い濃度(または280nmにおいて高い吸収値)値を有したことを示す。また、340nmにおける吸光度も、スクロース含有製剤について経時的に増加し、そのため、A280/A340比がほとんど変化しなかった。トレハロース含有製剤C(liq、KPi、Tre)、D(liq、KPi、Tre)および本PBS製剤F(liq、PBS)について、この現象(すなわち、A280が経時的に増加しない)が観察されず、340nmにおける吸光度の減少に大きく起因して、A280/A340比の増加をもたらした。
【0174】
凍結乾燥製剤(表2F)
製剤F(lyo、PBS)を除き、いずれの凍結乾燥製剤においても有意な変化が観察されなかった。
【0175】
ダイマー/モノマー/HMMS含量
液体製剤(表2G、2H、および2I)
温度の増加に伴い、ダイマー含量(表2G)が全ての製剤について減少した。最小の減少は、トレハロース含有製剤C(liq、KPi、Tre)およびD(liq、KPi、Tre)について観察された。モノマー含量は、全ての二糖含有製剤について増加した一方で、本製剤F(liq、PBS)は、減少を示した。PBS製剤は、HMMS含量の同時の増加に伴い(表2I)25および40℃においてモノマー含量の顕著な減少を示した(表2H)。HMMSおよびダイマー含量の同時の減少に伴うモノマーの形成の増加がより高い温度で観察された確かな反対の傾向は、スクロース(AおよびB)含有製剤およびトレハロース(CおよびD)含有製剤について観察された。25℃において、スクロース(AおよびB)含有製剤およびトレハロース(CおよびD)含有製剤の両方が同様に挙動した。40℃において、トレハロース製剤(CおよびD)は、40℃におけるスクロース(AおよびB)製剤と比較して、ダイマー、モノマーおよびHMMS含量において有意に小さな変化を示した。これは、40℃においてトレハロース製剤がスクロース含有製剤よりも比較的安定であることを実証した。
【0176】
凍結乾燥製剤(表2G、2Hおよび2I)
全ての凍結乾燥製剤は、凍結乾燥PBS(F)製剤を除き、12週の終わりに、5、25および40℃にて変化を示さなかった/最小の変化を示した。
AEXによる不純物%および保持時間のシフト
【0177】
液体製剤(表2Jおよび2K)
5℃(T=12週)において、スクロース製剤およびトレハロース製剤の両方の不純物は1%以下であった。CDX−110ピークについての保持時間は、全ての製剤についておよそ1分、移動した。保持時間の移動は、リンカーの加水分解と脱アミド化との組み合わせに帰属する酸性種の形成を示した。25℃および40℃(T=12週)において、不純物%は、全ての製剤について有意に増加した。保持時間の変化もまた、酸性種の形成の増加を示す同様の傾向に従った。トレハロース含有製剤についての保持時間のシフトは、スクロース製剤と比較して少なく、トレハロース製剤における酸性種の形成が少ないことを示した。
【0178】
凍結乾燥製剤(表2JおよびK)
全ての凍結乾燥製剤について、全ての温度における不純物%の変化は、有意でなかった。同様の傾向が、全ての製剤についての保持時間(<1分)で観察された。
【0179】
RPHPLCによる不純物%
液体製剤(表2L)
ペプチドおよびリンカー関係の不純物の形成の増加が、温度の増加に伴ってスクロース製剤およびトレハロース製剤の両方について観察された。トレハロース製剤は、スクロース製剤よりも不純物の形成が少ないことを示した。
【0180】
凍結乾燥製剤(表2L)
凍結乾燥PBS(F)製剤を除き、あらゆる製剤について有意な変化が観察されなかった。
【0181】
マウス効能
試験した全ての液体製剤および凍結乾燥製剤(5℃のサンプル)が、マウスにおいて≧75%のセロコンバージョンの薬剤の製品仕様を満たした(表2M)。
【0182】
(表2D)外観データ


EFVP:可視粒子を本質的に含まない;NMO RS I/II/III:参照懸濁液I/II/IIIよりも乳白色でない。
【0183】
(表2E)濃度データの変化


【0184】
(表2F)A280/A340比の変化

【0185】
(表2G)ダイマー%データの変化

【0186】
(表2H)モノマー%データの変化

【0187】
(表2I)HMMS%データの変化

【0188】
(表2J)AEXデータによる不純物%の変化

【0189】
実施例3:濾過プロセスの開発
3.1 材料および装置
この研究の間、以下のプロセス材料および装置を用いた:GE HealthcareからのAKTAクロスフロー接線流濾過ユニット;200cmの膜面積を有する30Kおよび100KのHydrosartカセット(Sartorius#308144590 2E−SG;308144680 2E−SG);0.1mの膜を有する30KのHydrosartカセット(Sartorius#308144590 2E−SG);Vacmune(登録商標)として購入されたキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(Biosyn Corporation ロット739690V1、R625258、817873V1、および817873V2);EGFRvIIIペプチド(Ambiopharm Inc.ロットAPi 080616);EGFRvIIIペプチド(Chinese Peptide Corporation(CPC)ロット番号CH−0600453);スルホスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)(Thermo、種々のロット、カタログ番号22322);ジメチルスルホキシド(DMSO)、無水99.9%(Sigmaカタログ番号276855);リン酸ナトリウム緩衝液=100mMのリン酸ナトリウム(pH7.2);PBS=OmniPur10×リン酸緩衝化食塩水(1×希釈)(VWRカタログ番号EM6506);リン酸カリウム緩衝液=10mMのリン酸カリウム(pH7.4);PETG(ポリエチレンテレフタレートコポリエステル)ボトル(種々のサイズ、Nalgene製)。
【0190】
3.2 方法
プロセス全体は以下を含んだ:(1)KLHとリンカーとの間の活性化反応;(2)過剰のリンカーおよびリンカー関連の不純物を除去する第1TFF工程;(3)活性化KLHとペプチドとの間の結合反応工程;その後の(4)過剰のペプチドおよびペプチド関連の不純物を除去し、緩衝液を変化させる第2TFF工程。この研究を通して、CDX−110について1.38の吸光係数を用いた。各工程のより詳細な記載は以下である。
【0191】
3.2.1 活性化反応工程
TFF運転の大部分で、KLH(100〜160mg)を15mLまたは50mLのプラスチック管にアリコートし、リン酸ナトリウム緩衝液および注入用の水(WFI)で希釈し、管の反転により数回混合した。(水またはDMSOのいずれかにおいて予め溶解した)リンカー溶液をKLH混合物に添加し、管を数回反転させることによって穏やかに混合し、次いで残りの45±5分間、静置した。運転121161〜165および121161〜172について、PETGボトルを反応容器として用い、溶液を、リンカーの添加の間に撹拌棒によって激しく混合し、残りの反応についてはより穏やかに混合した。種々の活性化反応パラメータ、例えば、リンカー:KLHモル比、緩衝液濃度、リンカー原液の溶液濃度、および反応時間をTFFシステムへの種々のプロセス入力として調査した。完全な詳細を図2Aに与える。
【0192】
3.2.2 第1TFF操作
活性化反応の終わりに、活性化KLH溶液をリン酸ナトリウム緩衝液で1.5〜2.0mg/mLのタンパク質濃度まで希釈し、その後、移送ポンプを通してクロスフローシステム内に移送した。膜を使用前に予め除菌した。TFF操作の開発および最適化の間に、種々のパラメータ、例えば、ダイアフィルトレーションの間のタンパク質濃度、ダイアフィルトレーション緩衝液、膜分子量カットオフ(MWCO)、膜間圧(TMP)、濃縮水流量、およびターンオーバーダイアフィルトレーション体積の数(TOV)を調査した。完全な詳細を図2Bに与える。
【0193】
3.2.3 結合工程
TFFシステムにおいて処理された、ダイアフィルトレーション後の活性化KLH溶液を10mL/分で再循環し、合計255分間(活性化反応の開始からペプチドの添加まで)保持するか、またはペプチド溶液によって直ちに結合した。結合工程の前に、貯蔵装置におけるタンパク質溶液を、結合反応工程のための標的濃度に達するように、2mg/mLまで濃縮した。全ての結合反応について、KLHおよびペプチドの両方についての標的濃度は1.5mg/mLであった。ペプチド原溶液をリン酸ナトリウム緩衝液に予め溶解し、ピペットによってTFF貯蔵装置内に直接単回ボーラスで添加した。KLH:ペプチド比を(質量比で)1:1で一定に保持した。調査したパラメータは、ペプチド原溶液濃度および結合反応時間であった。反応の間、TFFシステムを、浸透ラインを閉鎖し濃縮水ラインを解放しながら、0.5L/min/mで再循環するように設定した。完全な詳細を図2Cに与える。
【0194】
3.2.4 第2TFF操作
結合反応の終了後、第2ダイアフィルトレーションを実施して、結合されたKLHを緩衝液交換し、過剰のペプチドおよびペプチド関連の不純物を除去した。この第2ダイアフィルトレーション工程では、第1ダイアフィルトレーションと同じ膜および同じ操作条件を用いた。第2ダイアフィルトレーションの終了時に、濃縮水をTFFシステムから除去し、0.2μmのフィルタを用いて濾過した。膜を横切って緩衝液リンスを行い、別々に収集した。
【0195】
3.2.5 クロスフロー実験の概要
図2A〜2Cは、最適化されたプロセスを開発するのに完了させた10回の開発用TFF運転に重要な操作パラメータを要約する。運転121161〜090、121161〜093、121161〜096、および121161〜100は、リンカー:KLH比、リンカー原液濃度および溶解溶媒、ならびにペプチド原液濃度を評価する一連の第1運転であった。さらに、膜のMWCOを評価した(30kDa対100kDa)。
【0196】
運転121161〜120、121161〜125、および121161〜130の主な目的は、TFF操作パラメータ、例えば、TMP、濃縮水流量、およびフラックスを決定することであった。運転121161〜147は、121161〜125の繰り返しであった。121161〜125を繰り返す理由を以下にさらに示す。運転121161〜165および121161〜172は、パイロットプラントに移送されるプロセスのデモ運転であった。運転121161〜165を160mgのKLHの投入を用いて行い、運転121161〜172を1gのKLHの投入を用いて行って、最適化されたプロセスのスケーラビリティを評価した。
【0197】
実施例4:濾過プロセス開発の結果および議論
全てのプロセス開発の運転に関する重要な分析結果を図3A〜3Dに要約する。最終的な薬剤物質を、賦形剤の添加の前にTFFシステムから回収された濃縮水を用いたエピトープ密度を除き、全てのアッセイに用いた。添加された賦形剤の1種であるPS80が、エピトープ密度のアッセイに干渉するか否かは不明であった。標的範囲は、アッセイにおける通常のばらつきを考慮して、先の臨床ロット(すなわち、以下の表3Aに示すように、ロット06−044−001および07−044−001)からの結果をベースとした。ほぼ全ての運転が、全てのアッセイの標的であるまたは目標とする範囲に少なくとも近い材料を製造した。唯一の例外は、他と比較していくつかのロットにおいて有意に高いAEXアッセイによって決定されるリンカー%であった。
【0198】
(表3A)

【0199】
運転121161〜090、−093、−096、および−100
運転121161〜090、−093、−096、および−100から、活性化反応に関していくつかの決定をすることができた。第1に、121161〜090の後に、100kDから30kDの膜に切り替えるという決定がなされた。この決定は、膜を通して起こり得る活性化KLHの損失をベースとした。浸透のRP−HPLC分析は、活性化KLHのいくつかの漏れを示すと思われた;しかし、後の作業で、アッセイがある一定の条件下にキャリーオーバーされる傾向にあると判断された。浸透において見られる活性化KLHは、カラムにおける先の運転からのキャリーオーバーにおそらく起因し、膜を通した漏れに起因するものではなかった。
【0200】
第2に、DMSOをプロセス内に組み込んで、リンカーの完全な溶解を付与することによりリンカー:KLH比を制御するという決定がなされた。これらの運転から、DMSOが生成物の品質に有害な影響を与えないことが判断された。適切なSECプロファイルが維持され、エピトープ密度は標的範囲に近かった;しかし、元の357:1のリンカー:KLH比(121161〜090および121161〜100)は、所望の範囲のすぐ上のエピトープ密度を結果としてもたらし、100:1は、低すぎるエピトープ密度を結果としてもたらした(121161〜093)。これらの運転からのデータおよび小規模な活性化実験からの追加のデータにより、リンカー:KLH比を200:1に設定する決定が導かれた。
【0201】
リンカー原溶液を100mg/mLに設定するという決定もなされた。濃度を高く保つことで、反応に添加されるDMSOの量を最小にするが、リンカーが迅速かつ容易に溶解する濃度であることが望ましかった。運転121161〜100は180mg/mLのリンカー原液を用いたが、リンカーの溶解は、100mg/mLによるものほど迅速ではなかった。
【0202】
ペプチド原溶液の濃度を6mg/mLに設定した。この原液濃度は、さらに緩衝液を添加する必要なしに、1.5〜2.0mg/mLの所望のペプチドおよび活性化KLH濃度を結果としてもたらす結合反応に添加される適切な体積のペプチド溶液を付与した。これらの4回の運転に基づく最終的な決定は、リン酸ナトリウム緩衝液を活性化反応において40mMに設定することであった。
【0203】
運転121161〜120、−125、−130、および−147
運転の次の設定の目的は、TFFパラメータ、例えば、TMP、濃縮水流量、およびフラックスについての最適値を判断することであった。このときまでに、製剤の指定を行い、結果として、第2ダイアフィルトレーション緩衝液をリン酸カリウム緩衝液に対しての全ての運転について変更した。リンカー:KLH比を200:1に設定し、リンカーをDMSO中100mg/mLで溶解した。運転121161〜120を、低い範囲のTMPおよび濃縮水流量を調査するように設定した。アッセイ結果は、製造した材料が、AEXによって測定されるリンカー%が先に見られたものよりも有意に高いことを除いて、全ての標的とする仕様を満したことを示した。このリンカーの増加は、4回の運転の最初の設定と121161〜120との間の濃縮水流量の減少(50対100mL/分)に起因すると元来は考えられた。
【0204】
運転121161〜125を、濃縮水流量の減少がリンカーのクリアランスの減少の原因であるという仮説に対処するように設定した。SECプロファイルは、ダイマー%が僅かに標的範囲外であったこと、およびエピトープ密度が、36のペプチド/KLHにおいて、標的範囲(30〜64のペプチド/KLH)の下端に近かったことを示した;しかし、リンカーのクリアランスが有意に改善された(121161〜120から0.3%対3.0%。
【0205】
運転121161〜130では、不純物のクリアランスを改善しようと、より高いMWCO膜(100kD)を試みるという決定がなされた。同時に、リンカー:KLH比を250:1に増加させてエピトープ密度を増加させ、結果として、標的とする範囲の中間にさらに向かうペプチド/KLH数をもたらした。得られた材料は、3.4%まで増加したリンカー%を除き、全ての分析目標を満たした。2種のパラメータをこの運転において変更した(膜のMWCOおよびリンカー:KLH比)ため、何が、運転121161〜125と比較してリンカー%を増加させたかが不明であった。運転121161〜130が100kDの膜を用いたことに対する利点を示さなかったため、30kDのMWCO膜を用いるように戻すという決定がなされた。
【0206】
リンカー%の通常レベルのロット間ばらつきに関する課題に対処するため、運転121161〜125をできるだけ密接に繰り返して、低いレベルのリンカー%を再び達成し得るかどうかを判断するという決定がなされた。この運転の結果は、リンカーのレベルが1.9%まで減少したが、依然として初期の運転(<1%)ほど低くはなかったことを示した。これらのレベルのリンカー不純物の真の影響を評価するために、面積%と実際のppmとの間の相関関係を判断する算出を行った。プロセス開発運転におけるリンカーの面積%は<3ppmに相当したということが判断され;したがって、リンカー不純物の質量基準での実際の量は、実際にはかなり少なく、許容されるレベルである。
【0207】
運転121161〜165および−172
運転121161〜165は、160mgのKLHの投入を用いた実験室規模のデモ運転であり、プロセス開発の間に決定された最適化されたパラメータによって作製された材料の受容可能性を試験した。これらのパラメータを図2A〜2Cに要約し、分析結果を図3A〜3Dに示す。最適化されたプロセスにおいてさらなる確かさを構築するために、大規模な実験室運転を実施した。この運転(121161〜172)は、1gのKLHの投入を用いた。TFFパラメータを図2A〜2Cに要約し、分析結果を図3A〜3Dに示す。プロセスを1gにスケールアップするためのパラメータは、フラックスを一定に保つことをベースとした(以下の表3Bを参照されたい)。また、10gのスケールでプロセスを運転するのに用いられ得るスケールアップパラメータも表3Bに示す。
【0208】
(表3B)

【0209】
実施例5:反応パラメータプロセス開発
5.1 材料および方法
この研究の間、以下のプロセス材料および装置を用いた:Vacmune(登録商標)として購入されたキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(Biosyn Corporation ロット739690V1、R625258、817873V1、および817873V2);EGFRvIIIペプチド(Ambiopharm Inc.ロットAPi 080616);EGFRvIIIペプチド(Chinese Peptide Corporation(CPC)ロット番号CH−0600453);スルホスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)(Thermo、種々のロット、カタログ番号22322);ジメチルスルホキシド(DMSO)、無水99.9%(Sigmaカタログ番号276855または等価物);リン酸ナトリウム緩衝液=100mMのリン酸ナトリウム(pH7.2);PBS=Gibco 1×PBS、pH7.2(Gibco、カタログ番号20012)、またはDulbeccos 1×PBS(Gibco、カタログ番号14190)、またはOmniPur 10×リン酸緩衝化食塩水(1×希釈)(VWRカタログ番号EM6506);<2mLの反応用の2mLのガラスHPLCバイアル(Agilentカタログ番号5182−0715または等価物);≧2mLの反応用の15mLのCorningポリプロピレン管;Amicon 50Kおよび100K遠心分離フィルタ(Millipore、カタログ番号UFC805906およびUFC810096)または等価物;Zeba Desalt Spinカラム、0.5ml(Thermo、カタログ番号89883);卓上遠心分離器。
【0210】
5.2 方法
最適化された製造プロセスは以下を含む:1)KLHタンパク質のアミノ基をスルホ−SMCCリンカーのNHS−エステル基と共有結合的に連結して活性化KLHを形成する活性化反応;2)過剰のリンカーおよびリンカー関連の不純物を除去する最初のTFF工程;3)合成EGFRvIIIペプチドのC末端システインを、結合されたCDX−110を形成する活性化KLH分子の一部であるスルホ−SMCCリンカーのマレイミド基と共有結合的に付着させる結合反応、その後の;4)過剰のペプチドおよびペプチド関連の不純物を除去して緩衝液を交換する第2TFF工程。この報告は、ワンポット反応と呼ばれるスケールダウンシステムを用いた反応条件の最適化を記載している。この研究を通して、KLHおよび活性化KLHについて1.30の吸光係数ならびにCDX−110について1.38の吸光係数を用いた。
【0211】
5.2.1 ワンポット反応
KLHを2mLのガラスHPLCバイアルまたは15mLのポリプロピレン管にアリコートし、リン酸ナトリウム緩衝液で希釈し、反転によって穏やかに混合した。リンカー溶液(水またはDMSOのいずれかにおいて予め溶解した)をKLH混合物に添加し、簡単にボルテックスし(15〜30秒)、次いでオービタルミキサにおいて45±5分間保持した。45分後、4:1のペプチド:リンカーの比でペプチド溶液によって反応をクエンチし、簡単にボルテックスする(15〜30秒)ことによって結合を開始した。結合反応をオービタルミキサにおいて約2〜3時間反応させ、次いでミキサまたは冷蔵庫において一晩保持した後、緩衝液交換した。ペプチドおよびペプチド関連の不純物をMillipore Amicon遠心分離フィルタによるダイアフィルトレーションによって除去した後、エピトープ密度分析した。反応パラメータを必要に応じて調整し、所望の可変数、例えば、リンカー:タンパク質比、活性化時間、タンパク質濃度、およびDMSO%を調査した。次の節で各実験を簡単に記載する。図4A〜4Cは、各実験について用いた反応パラメータの概要を含む。
【0212】
5.2.2 実験番号122123−065
KLHを、約45分間で100:1と357:1との間で変動するリンカー:KLHモル比においてスルホ−SMCCによって活性化した。スルホ−SMCCリンカーを添加の前に8mg/mLでDMSOに溶解した。242:1のモル比(ペプチド:KLH)でペプチドを活性化の終わりに直ちに反応に添加した。ペプチド:KLH比を242:1に保持し、より高いリンカー比の実験において過剰とはなり得なかった。増加したペプチド:リンカー比を後の実験において用いた。
【0213】
5.2.3 実験番号122123−097、122123−109、122123−112
KLHを、約45分間で100:1と440:1との間で変動するリンカー:タンパク質比においてスルホ−SMCCによって活性化した。スルホ−SMCCリンカーを添加の前に8mg/mLで水に、または30mg/mLでDMSOのいずれかに溶解した。DMSOは実験122123−097に存在しなかった。DMSOは、実験122123−109については3.5%と15.6%との間で変動し、実験122123−112については15.6%と一定を保持した。実験122123−097については2.42:1のペプチド:リンカーのモル比でペプチドを活性化の終わりに直ちに反応に添加した。結果は許容されるものであったが、ペプチド:リンカーのモル比は、ペプチドが過剰であることを確かにする後の実験で4:1まで増加した。
【0214】
5.2.4 実験番号122123−115
実験122123−115は、図4Cに示す全部の因子の実験計画(DOE)を用いてDMSO%、スルホ−SMCC:KLHのモル比、およびタンパク質濃度を試験した。スルホ−SMCCリンカーを添加の前に121.8mg/mLでDMSOに溶解した。4:1のペプチド:リンカーのモル比でペプチドを活性化の終わりに直ちに反応に添加した。
【0215】
5.2.5 実験番号122123−190
KLHを、図4Aに従った種々の活性化時間について25:1と350:1との間で変動するリンカー:タンパク質のモル比でスルホ−SMCCで活性化した。スルホ−SMCCリンカーを添加の前に100mg/mLでDMSOに溶解した。4:1のペプチド:リンカーのモル比でペプチドを活性化の終わりに直ちに反応に添加した。
【0216】
実施例6:反応パラメータプロセス開発の結果
反応パラメータプロセス開発の焦点は、スケールダウンされたシステムを用いた反応パラメータの最適化であった。反応体積は、2mL未満であり、ペプチドのクリアランスをAmicon遠心分離フィルタの使用を通して達成した。エピトープ密度の正確な分析を有するにはペプチドのクリアランスが必要であった。スケールダウンされた反応を用いてもたらされた傾向は、プロセスパラメータの影響および相互作用を理解するのに用いられ得るが、ペプチドのクリアランスは連続的なTFF操作と等価ではない。反応の最適化に有意な分析特質は、エピトープ密度およびサイズ分布プロファイルである。AEXおよび/またはRP−HPLCによる結合体の純度を用いることで、ペプチドがアミノ酸組成物による分析の前に除去されたことを確かにしたが、これは本明細書には含まれない。最適化されたプロセスの目標を以下の表4に列挙する。
【0217】
(表4)CDX−110薬剤物質の質的目標

【0218】
図5は、CDX−110に典型的なSECHPLCクロマトグラムを含有し、これは、5つのピークのおよその保持時間を示している。ピーク1および2は、高分子量種であると考えられ、ピーク3は、ダイマーであると考えられ、ピーク4は、モノマーであると考えられ、ピーク5は、低分子量種であると考えられる。
【0219】
6.1 ワンポット反応
スケールダウンされた反応モデルは、複数のパラメータを一度に試験することを含み、2mL未満の反応体積を用いた。いくつかの実験は、Amiconフィルタによる遅いダイアフィルトレーションにより活性化からリンカーを除去したが、大部分の実験は、ワンポット反応モデルを用いた。ワンポットシステムは、活性化反応およびあらゆるリンカー不純物を、該反応からリンカーを取り除く代わりに、ペプチドのモル比の増加(4:1のペプチド:リンカーモル比)によってクエンチする。この小規模でリンカーを除去する技術は、不純物を除去する際に有効でなかったか、または処理の間にSEC分布を変化させたかのいずれかであった。
【0220】
ワンポット反応は、操作時間と試験された可変数とを混同させず、活性化パラメータについての真の傾向を示すことができる。しかし、ワンポット反応からのSEC分布の結果は、TFF操作時間が存在しないため、薬剤物質プロセスに関する標的範囲内に概して常にあるわけではない。SEC分布およびエピトープ密度は、リンカーのクリアランスの後に活性化されたKLHについておよび活性化時間について示されているように、経時的に変化し続ける(6.2を参照されたい)。SEC分布およびエピトープ密度への時間の影響は、最適化されたプロセスに関するパラメータを選択するときに考慮した。
【0221】
6.2スルホ−SMCC:KLHのモル比および活性化時間
エピトープ密度
実験122123−190についてのリンカー比の増加に伴うエピトープ密度の増加は、図6に示される二次多項式に適合した。二次曲線を予備の動力学モデリング評価において用いた。この近似曲線を用いて、同じ活性化条件を用いた、所与のリンカー:タンパク質比におけるエピトープ密度を予測することができる。実験122123−065からの結果は、図6にも示されるように、実験122123−190に匹敵する。
【0222】
最適化されたプロセスについて選択された比である、200:1のリンカー:タンパク質比は、ワンポット反応スキームを用いて、約45のペプチド/KLHのエピトープ密度を結果としてもたらす。200:1比は、中程度のエピトープ密度を付与し、30〜64のペプチド/KLHの全標的範囲は、45分の活性化時間による200±125のリンカーモル比によって達成することができる。製造プロセスに期待されるエピトープ密度は、これ未満であり、ダイアフィルトレーションによってリンカーを除去するための処理時間に相当する。
【0223】
約150分の活性化時間は、350:1のスルホ−SMCC:KLHのモル比を用いた反応では約80のペプチド/KLHの最大エピトープ密度、および200:1のスルホ−SMCC:KLHを用いた反応では約60のペプチド/KLHの最大エピトープ密度を結果としてもたらした(図7)。150分後、各リンカー比において達成されたエピトープ密度は、下降し始める。エピトープ密度の経時的な下降は、活性マレイミドの加水分解またはリンカー分解に関係した。
【0224】
類似のエピトープ密度曲線は、45分および4時間の両方の活性化時間からの結果である(図6を参照されたい)。曲線の類似性は、図7に示される活性化時間の結果に関係し、ここで、45分および250分(4時間)は類似のエピトープ密度を有する。より高いエピトープ密度は、同じリンカー比曲線が最大値(150分)において生じたときに類似の状態で達成され得る。
【0225】
SEC分布
曲線の形状を決定するにはさらなるデータ点が必要とされるが、図8Aおよび8Bにおいて示される実験122123−190からのSEC結果は、一般的な傾向を示す線形曲線に適合した。モノマー種(ピーク4)は増加することが示されたが、高分子量種(ピーク2)およびダイマー種(ピーク3)は、増加するリンカー:タンパク質比に伴って減少することが示された。最適化されたプロセス条件:200:1のリンカータンパク質比および45分の活性化時間;において、SEC分布は、反応がさらなる保持または処理時間を有さないワンポット反応を用いて実施されたため、薬剤物質のプロセス目標を満たさない。
【0226】
活性化反応の間、時間と共により高い分子量種(ピーク1、2および3)が形成される。この観察は、リンカー:タンパク質比に関わらず一貫している。活性化時間についてのSEC結果(図9Aおよび9B)もまた、実際の関係が線形ではないが、一般的な傾向を示す線形曲線に適合した。
【0227】
ピーク1および5に関する結果は提示されていないが、リンカー:タンパク質比の減少および活性化時間の増加に伴うさらにより高い分子量種という類似の傾向に概して従う;しかし、各種の百分率または値の変化は非常に小さい。
【0228】
エピトープ密度とSECの不均一性との間の直接の関係は見出されていない。それぞれが同じパラメータによって影響されるが、必ずしも同じようにではない。最適化されたプロセスについてのパラメータは、全てのパラメータがどのように相関するかを考慮することによって選択した。TFFプロセスについての操作時間を経時的なSEC分布の変化と組み合わせるとき、全てのSECピークおよびエピトープ密度が標的範囲内にある。
【0229】
6.3 リンカーの溶解
先のプロセスにおけるスルホ−SMCCリンカーを、活性化を開始する前にリン酸緩衝液に懸濁させた。リンカーは、この濃度では水性緩衝液に可溶でなく、リンカースラリーを結果として生じた。スルホ−SMCCは、100mg/mLを超える濃度ではDMSOに完全に可溶性であり、プロセス全体をより堅牢にするといういくつかの利点を付与する。これらの利点として:1)リンカー加水分解の低減−リンカーは、水溶液と接触するや否や分解および加水分解し始めるが、無水DMSO中では依然として安定であるはずであり、製造にさらなる柔軟性を付与する;および2)リンカー:タンパク質比のより良好な制御−スラリーの移送および溶解は、水溶液よりも制御が困難である;が挙げられる。リンカー比の小さな変化は、エピトープ密度およびSEC分布に有意に影響し得る。
【0230】
リンカースラリー対DMSOへの溶解
エピトープ密度は、スラリー(DMSOなし)として添加されたリンカーとDMSOに溶解されたリンカーとを比較すると、100:1および440:1のリンカー:タンパク質比に関して類似している(図10)。この観察は、DMSOによるおよびこれによらない反応についても類似するエピトープ密度を有する、実験122123−065(DMSOなし)と実験122123−190(DMSO<3.4%)とを比較すると、図6に示される結果と一致している。
【0231】
活性化反応に添加されたDMSOは、より高い分子量種の量を低減させることが示された(図11Aおよび11B)。ダイマー(ピーク3)およびモノマー(ピーク4)は、DMSOが0%から約15.6%まで増加するに従い、10から15%に変化した。ピーク1、2、および5は、各種の百分率または値の変化が非常に小さくても、概して同じ傾向に従う。
【0232】
6.4 DMSO、タンパク質濃度、およびスルホ−SMCC比の影響を決定するDOE
リンカースラリーを検討する最初の実験は、エピトープ密度の変化をほとんど示さず、SEC分布へのDMSOの有意な影響を示した。追跡実験122123−115を、全部の因子の実験計画(DOE)を用いてDMSOの影響をさらに検査するように設計した。実験を、DMSO(4.7〜15.6%)、リンカー:タンパク質モル比(200:1〜357:1)、およびタンパク質濃度(5〜15mg/mL)を試験するように設計した。
【0233】
エピトープ密度
95%信頼区間を有するエピトープ密度の結果の分散分析(ANOVA)は、リンカー:タンパク質比が統計的に有意な因子であることを示す。エピトープ密度は、さらなるスルホ−SMCCが存在するときに増加し、これは、節6.2において議論された結果と一致している。統計的相互作用ではないが、所与のスルホ−SMCC比について得られた最終のエピトープ密度は、DMSOおよびタンパク質濃度によって影響される。低いDMSO濃度(4.7%)では、エピトープ密度(図12A)に対する影響はほとんどないが、高いDMSO濃度(15.6%)では、エピトープ密度がタンパク質濃度に応じておよそ10のペプチド/KLHだけずれる(図12B)。
【0234】
信頼区間が90%に低減すると、タンパク質濃度およびタンパク質濃度とDMSOとの相互作用もまた、エピトープ密度に影響する有意なパラメータとなる。4.7%のDMSOにおいて、エピトープ密度の変化はほとんど観察されない。5〜7.5mg/mLのタンパク質濃度において、エピトープ密度は、反応におけるDMSOの百分率が増加するに従い増加し始める。12〜15mg/mLのタンパク質濃度において、エピトープ密度は反応におけるDMSOの百分率が増加するに従い減少し始める。
【0235】
SEC分布
95%信頼区間を有するダイマー(ピーク3)の結果のANOVAは、リンカー:タンパク質比、DMSO%、タンパク質濃度、およびDMSO%とタンパク質濃度との相互作用が全て統計的に有意な因子であることを示す。ダイマー(ピーク3)は、さらなるスルホ−SMCCが存在するときに減少し、これは、節6.2に議論された結果と一致している。統計的相互作用ではないが、所与のスルホ−SMCC比について得られたダイマー%は、DMSOおよびタンパク質濃度によって影響される。高いDMSO濃度(15.6%)では、エピトープ密度(図13B)に対する影響はほとんどないが、低いDMSO濃度(4.7%)では、エピトープ密度がタンパク質濃度に応じて15%ほどずれる(図13A)。
【0236】
ダイマー(ピーク3)に対する、タンパク質濃度とDMSOとの間の相互作用効果を以下に要約することができる。15.6%のDMSOでは、エピトープ密度の変化はほとんど観察されない。5〜11.5mg/mLのタンパク質濃度では、ダイマー(ピーク3)は、反応におけるDMSOの百分率が低下するに従い、増加し始める。
【0237】
最適化されたプロセス(10mg/mL)についてのタンパク質濃度は、元のプロセスから変化しなかった。この濃度において、ダイマー(ピーク3)は、DMSO%が4.7%から15.6%まで増加するに従い僅かに変化する。95%信頼区間を有するモノマー(ピーク4)の結果のANOVAは、スルホ−SMCC比およびDMSO%の両方が統計的に有意な因子であることを示す。モノマーは、さらなるスルホ−SMCCおよびさらなるDMSOが存在するときに増加し、これは、節6.2に議論された結果と一致している。
【0238】
6.5 最適化されたプロセス
図14は、元のプロセスおよび最適化されたプロセスの両方を用いた反応パラメータを要約する。(太字でハイライトした)反応条件への変化は以下である:1)無水DMSO中へのスルホ−SMCCの溶解−リンカー加水分解を低減させ、スルホ−SMCC:リンカー比のより良好な制御を付与した;2)200×まで低減したスルホ−SMCCモル比−この変化は、DMSO中へのリンカーの溶解を補償するものであった;3)温度−15℃まで低減した;4)ペプチド原溶液濃度−TFF操作後、KLHの濃度に相当するように増加した。ペプチドは>20mg/mLで可溶であり、ダイマー化が遅いため、これは、反応にほとんど影響を及ぼさないはずである。
【0239】
実施例7:粒子状物質の計数
U.S.Pharmacopeia<788>(注入におけるUSP<788>粒子状物質)は、バイアルあたりの粒子状物質の計数の測定に関するある一定の基準およびプロトコルを記載する。USP<788>に示されるように、粒子状物質の測定に、2つの手順を用いることができる:光遮蔽粒子計数試験;および微視粒子計数試験。USP<788>に記載された基準は以下の通りである:粒径≧10μm:6000以下/容器;および粒径≧25μm:600以下/容器。CDX−110では、5℃における、時間=0および26週後の2つの製剤を比較して研究を実施して、USP<788>に記載された標準プロトコルを用いた粒子状物質計数に対する製剤成分の影響を決定した。第1製剤(製剤A)は、1.0mg/mLのKLH−EGFRvIII結合体CDX−110、1.0mg/mLの10mMのリン酸緩衝液(NaHPO/KHPO)、137mMのNaCl、および2.7mMのKClを含有した。第2製剤(製剤B)は、1.0mg/mLのKLH−EGFRvIII結合体CDX−110、10mMのリン酸カリウム緩衝液、90mg/mLのトレハロース、および0.2mg/mLのポリソルベート80を含有した。
【0240】
表5および表6は、それぞれ、5℃における、時間=0および26週後の製剤Aの粒子状物質計数を列挙する。表7および表8は、それぞれ、5℃における、時間=0および26週後の製剤Bの粒子状物質計数を列挙する。データは、製剤Bの26週後において粒子状物質含量の有意な増加を実証しない。しかし、10を超え25μmの、顕微鏡でしか見られない粒子の有意な増加は、製剤Bと比較したとき、製剤Aでは26週で観察された。
【0241】
(表5)時間=0における製剤Aの粒子状物質の計数

【0242】
(表6)時間=26週、5℃における製剤Aの粒子状物質の計数

【0243】
(表7)時間=0における製剤Aの粒子状物質の計数

【0244】
(表8)時間=26週、5℃における製剤Bの粒子状物質の計数

【0245】
配列リストの概要


【特許請求の範囲】
【請求項1】
KLH−ペプチド結合体と、緩衝液と、糖と、界面活性剤とを含む組成物であって、KLH−ペプチド結合体においてKLHに結合したペプチドが、EGFRvIIIアミノ酸配列を含む、前記組成物。
【請求項2】
緩衝液が、リン酸緩衝液を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
緩衝液が、リン酸カリウム緩衝液を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
緩衝液が、5mM〜30mMの範囲の濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
緩衝液が、40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
糖が二糖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
二糖が、トレハロースであり、かつ45〜150mg/mLの範囲の濃度で存在するかまたはKLH−ペプチド結合体1mgあたり80〜110mgの範囲の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
二糖が、トレハロースであり、かつ40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような濃度で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
界面活性剤が、ポリソルベートであり、かつ0.01〜0.3mg/mLの範囲の濃度で存在するかまたはKLH−ペプチド結合体1mgあたり0.01〜0.3mgの範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
界面活性剤が、ポリソルベートであり、かつ40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
KLH−ペプチド結合体においてKLHに結合したペプチドが、配列番号1からなる、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
KLH−ペプチド結合体においてKLHに結合したペプチドが、配列番号2からなる、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
ペプチドが、スルホ−SMCCリンカーを有するKLHに結合されている、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
エピトープ密度が20〜80の範囲である、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
ダイマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量が、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の45%〜65質量%の範囲である、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
モノマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量が、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、組成物の全質量の15%〜40質量%の範囲である、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、モノマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量が、組成物の全質量の18%〜35質量%の範囲であり、かつダイマー形態で存在するKLH−ペプチド結合体の量が、組成物の全質量の50%〜65質量%の範囲である、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
該組成物が水性医薬組成物であり、かつ該組成物のpHは6〜8の範囲である、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
該組成物が水性医薬組成物であり、かつ該組成物のpHは、40℃において12週後に、該組成物中のKLH−ペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているような量である、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
KLH−EGFRvIIIペプチド結合体と、リン酸カリウム緩衝液と、トレハロースと、ポリソルベート80とを含む液体組成物であって:KLHに結合したペプチドは配列番号1を含み;KLH−EGFRvIIIペプチド結合体は、30〜65の範囲のエピトープ密度を有し;緩衝液は、9mM〜11mMの範囲の濃度で存在し;組成物のpHは、7.3〜7.5の範囲であり;トレハロースは、85mg/mL〜95mg/mLの範囲の濃度で存在し;ポリソルベート80は、0.1mg/mL〜0.3mg/mLの範囲の濃度で存在し;さらに、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、モノマー形態で存在するKLH−EGFRvIIIペプチド結合体の量は、組成物の全質量の18%〜35質量%の範囲であり、かつダイマー形態で存在するKLH−EGFRvIIIペプチド結合体の量は、組成物の全質量の50%〜65質量%の範囲である、前記液体組成物。
【請求項21】
液体組成物が、水によって凍結乾燥組成物を再構成することによって調製される、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
緩衝液が、10mMの濃度で存在し、組成物のpHが、7.4であり、トレハロースが、90mg/mLの濃度で存在し、ポリソルベート80が、0.2mg/mLの濃度で存在する、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項23】
KLH−EGFRvIII結合体を調製するための方法であって:a)KLHをリンカーと組み合わせて、KLHおよびリンカーを30〜60分の範囲の時間にわたって相互作用させることと、b)配列番号1を含むペプチドを工程a)から得られる活性化KLH生成物に添加して、KLH−EGFRvIII結合体を付与することとを含む、前記方法。
【請求項24】
リンカーが、75:1〜325:1の範囲のリンカー:KLHモル比でKLHと組み合わされる、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
KLH−EGFRvIII結合体を調製するための方法であって:a)KLHをリンカーと組み合わせて、KLHおよびリンカーを相互作用させることと、b)配列番号1を含むペプチドを工程a)から得られる活性化KLH生成物に添加して、KLH−EGFRvIII結合体を付与することとを含み、該リンカーが、非水性溶媒に添加されたスルホ−SMCCリンカーである、前記方法。
【請求項26】
非水性溶媒がDMSOを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
KLH−EGFRvIIIペプチド結合体を含む組成物であって、サイズ排除クロマトグラフィによって決定されるとき、モノマー形態で存在するKLH−EGFRvIIIペプチド結合体の量は、該組成物の全質量の18%〜35質量%の範囲であり、かつダイマー形態で存在するKLH−EGFRvIIIペプチド結合体の量は、該組成物の全質量の50%〜65質量%の範囲である、前記組成物。
【請求項28】
KLH−EGFRvIIIペプチド結合体を含む組成物であって、40℃において12週後に、該組成物中のKLH−EGFRvIIIペプチド結合体の濃度が、mg/mLで測定されるときに元の濃度と比較して15%未満変化しているように安定化された水性医薬組成物である、前記組成物。
【請求項29】
KLH−EGFRvIIIペプチド結合体を含む組成物であって、該結合体の平均エピトープ密度が約20〜80の間である、前記組成物。
【請求項30】
以下の特性を有する、KLH−EGFRvIIIペプチド結合体を含む組成物:
i)30〜70個のペプチド/KLHの、アミノ酸組成物によって測定されたエピトープ密度;
ii)以下の通りの、SEC HPLCによって測定されたサイズ分布プロファイル:
ピーク1 <2%
ピーク2 8〜17%
ピーク3 50〜60%
ピーク4 20〜30%
ピーク5 1〜5%
iii)以下の通りの、AEX RP−HPLCによって測定された純度:
ペプチドダイマー≦5%
リンカーまたはリンカー関連の不純物≦1%
合計ペプチド−リンカー不純物≦10%。
【請求項31】
緩衝液を含む、請求項27〜30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
緩衝液が、リン酸緩衝液を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
緩衝液が、リン酸カリウム緩衝液を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
凍結保護物質または凍結乾燥保護物質を含む、請求項27〜33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
糖を含む、請求項27〜33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
糖が二糖である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
二糖がトレハロースである、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
界面活性剤を含む、請求項27〜37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
界面活性剤が、ポリソルベート、ポロキサマーまたはトリトン界面活性剤である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
界面活性剤が、ポリソルベート80である、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
5℃において26週後に、25μm以上の粒子状物質の数が、USP<788>で測定したときに1000%未満増加する、請求項27〜40のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−515049(P2013−515049A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545493(P2012−545493)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055674
【国際公開番号】WO2011/077309
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(300056347)セルデックス・セラピューティクス・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】