ワクチン
本発明は、例えば、B型インフルエンザ菌に由来するDタンパク質などのTヘルパーエピトープを提供する免疫学的融合パートナーに連結されたいわゆる腫瘍拒絶抗原PRAME (DAGEとしても知られる)から誘導された抗原を含む融合タンパク質、Dタンパク質の断片を含む融合パートナータンパク質、それを調製する方法およびワクチンを製剤化する方法ならびに様々な癌を治療するためのそれらの使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、B型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)に由来するDタンパク質などのTヘルパーエピトープを提供する免疫学的融合パートナーに連結された、いわゆる腫瘍拒絶抗原PRAME(DAGEとしても知られる)から誘導された抗原を含む融合タンパク質、それを調製する方法およびワクチンを製剤化する方法ならびに限定されるものではないが、メラノーマ、乳癌、膀胱癌、NSCLCなどの肺癌、肉腫、卵巣癌、頭部および頸部癌、腎臓癌、結腸直腸癌、多発性ミエローマ、急性白血病などの白血病および食道癌などの様々な癌を治療するためのその使用に関する。
【0002】
さらなる実施形態においては、本発明はDタンパク質誘導体を含む融合パートナータンパク質およびそれを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な腫瘍関連抗原群のうち、癌精巣抗原は、その広い腫瘍特異的発現および一般的には、これらの抗原は健康な細胞中では発現されないという事実のため、免疫療法にとって興味深いものである。今までのところ、50種を超える癌/精巣抗原が記載されており、それらの多くについて、Tリンパ球により認識されるエピトープが同定されている。PRAMEは癌精巣抗原であり、潜在的な免疫療法として調査中である。
【0004】
免疫療法においては、癌抗原を、通常は、例えば、患者の免疫系を刺激して同抗原を発現する腫瘍を攻撃する、タンパク質としての抗原もしくはその免疫原性断片を含むワクチンとして、または該タンパク質をコードするDNAとして、もしくは該DNAを含むベクターとして、患者に導入する。
【0005】
好適な応答が刺激された場合、Tリンパ球(T細胞)は抗原を直接攻撃し、免疫応答の制御を提供する。1種の抗原型に特異的であるB細胞およびT細胞が生じる。免疫系が異なる抗原に曝露された時、異なるB細胞およびT細胞が形成される。リンパ球が生じる時、それらは通常、身体自身の組織(自己)を、通常は体内に認められない組織および粒子(非自己)とは異なるものとして認識するように学習する。一度、B細胞およびT細胞が形成されたら、2〜3個のこれらの細胞は増殖し、免疫系に関する「記憶」を提供する。これにより、免疫系は、同じ抗原に曝露される次の時点でより速くかつより効率的に応答することができる。
【0006】
特定の実験は、癌精巣抗原が免疫系における記憶機構を刺激することができることを示唆するようである。
【0007】
PRAMEは細胞死または細胞周期に関与するといくらかの人により仮定されている。それはメラノーマならびに肺、腎臓ならびに頭部および頸部などの様々な腫瘍において発現されることがいくつかのグループにより示されている。興味深いことに、それは急性リンパ球性白血病および急性骨髄性白血病などの40〜60%の白血病においても発現されるようであり、例えばExp Hematol. 2000 Dec; 28(12): 1413-22を参照されたい。患者においては、PRAMEの過剰発現は、該タンパク質を過剰発現しない人と比較して、より高い生存率およびより低い再発率と関連するようであることが観察されている。
【0008】
前記抗原およびその調製は、米国特許第5,830,753号に記載されている。PRAMEは、アクセッション番号U65011.1、BC022008.1、AK129783.1、BC014974.2、CR608334.1、AF025440.1、CR591755.1、BC039731.1、CR623010.1、CR611321.1、CR618501.1、CR604772.1、CR456549.1、およびCR620272.1の下でAnnotated Human Gene Database H-Inv DBに見出される。
【0009】
Dタンパク質は、グラム陰性細菌であるB型インフルエンザ菌の表面タンパク質である。Dタンパク質から誘導される免疫学的融合パートナーに関する情報を、WO 91/18926から取得することができる。
【0010】
時には、抗原の一部と異種融合パートナーの融合タンパク質を調製して、該抗原の免疫原性を増加させ、ならびに/または好適な量および/もしくは純度での該タンパク質の製造を援助する。例えば、MAGEの融合タンパク質および例えば、グラム陰性細菌であるB型インフルエンザ菌の表面タンパク質であるDタンパク質を記載するWO 99/40188を参照されたい。融合タンパク質を組換え的に調製し、Dタンパク質分泌配列を融合タンパク質中に組込んで、最終生成物の分泌および可溶化を潜在的に援助することができる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、
a)PRAMEまたはその免疫原性断片、および
b)Dタンパク質から誘導される異種融合パートナー、
を含む融合タンパク質であって、Dタンパク質の分泌配列(シグナル配列)を含まない前記融合タンパク質を提供する。
【0012】
本発明はさらに、Dタンパク質から誘導された本明細書に記載の融合パートナータンパク質であって、Dタンパク質の分泌配列またはシグナル配列を含まない前記融合パートナータンパク質を提供する。
【0013】
本発明はさらに、本明細書に記載の融合タンパク質およびその抗原または断片を提供する。
【0014】
本発明はさらに、Dタンパク質から誘導された融合パートナータンパク質であって、Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含むか、またはそれからなる前記融合パートナータンパク質を提供する。本発明の一実施形態においては、本明細書に記載のDタンパク質融合パートナータンパク質に由来する1個以上のアミノ酸を欠失させるか、または置換により置き換えることができる。このアミノ酸を本明細書で定義される保存的置換を用いて置換するか、または他のアミノ酸を用いることができる。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を置換することができる。
【0015】
本明細書に記載のDタンパク質融合パートナータンパク質はさらに、またはあるいは、野生型Dタンパク質配列と比較した場合、アミノ酸配列内に欠失または挿入を含んでもよい。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を挿入するか、または欠失させることができる。
【0016】
本出願の内容における、Dタンパク質の用語「分泌配列」または「シグナル配列」または「分泌シグナル」は、その天然のタンパク質のおよそアミノ酸1〜16、17、18または19を指すことが意図される。一実施形態においては、Dタンパク質の分泌もしくはシグナル配列または分泌シグナルとは、Dタンパク質のN末端の19個のアミノ酸を指す。用語「分泌配列」または「シグナル配列」または「分泌シグナル」は、本明細書においては互換的に用いられる。
【0017】
本発明の融合パートナータンパク質は、残りの完全長Dタンパク質を含むか、またはDタンパク質の残りのN末端のほぼ1/3を含んでもよい。例えば、Dタンパク質の残りのN末端の1/3は、Dタンパク質のおよそ、または約アミノ酸20〜127を含んでもよい。一実施形態においては、本発明における使用のためのDタンパク質配列は、Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含む。さらなる実施形態においては、本発明は、Dタンパク質配列の以下のアミノ酸のいずれか:17、18、19、20、21、もしくは22から開始し、Dタンパク質配列の以下のアミノ酸のいずれか:125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139もしくは140で終結する任意の配列を含むか、またはそれからなる。
【0018】
本明細書の内容における「残りの」とは、本明細書に記載の分泌またはシグナル配列を含まないDタンパク質の配列を意味する。
【0019】
図面および構築物/配列の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】構築物3および4のSDS-PAGE分析を示す。
【図2】構築物3aおよび4aのSDS-PAGE分析を示す。
【図3】CD4応答(AS01Bアジュバント)を示す。
【図4】CD8応答(AS01Bアジュバント-20070499)を示す。
【図5】CD4応答(AS15アジュバント)を示す。
【図6】CD8応答(AS15アジュバント)を示す。
【図7】本発明の構築物の実施例の印を付けたアミノ酸配列を示す。
【図8】LipoD-MAGE3-His(配列番号43)とpD1/3-PRAME-His(配列番号10)の間のアラインメントを示す。
【図9】インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質(配列番号45)とLipoD-MAGE3-His (配列番号43)の共有配列間のアラインメントを示す。
【図10】インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質(配列番号41)、pD-MAGE3-His (配列番号45)ならびにアミノ酸2-Dおよび3-Pを含まないpD1/3-PRAME-His(配列番号44)の構築物の共有配列間のアラインメントを示す。
【図11】pET21ベクター中に分泌シグナル(SS)およびHis-尾部(tail)(His)を含むか、または含まないpD1/3-PRAMEのSDS-PAGE分析を示す。
【図12】Dタンパク質1/3 MAGE-A3-His(配列番号44)の配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
融合タンパク質がPRAMEまたはその免疫原性断片を含む本発明の一実施形態においては、本発明のDタンパク質誘導体は該タンパク質の最初の約1/3、より具体的には、アミノ酸20〜127を含む。融合タンパク質がPRAMEまたはその免疫原性断片を含む本発明の代替的な実施形態においては、Dタンパク質はDタンパク質のN末端の109個のアミノ酸を用いる、該タンパク質の最初の約1/3を含む。本発明の一実施形態においては、Dタンパク質部分は、該タンパク質の分泌配列を含まない。本発明の一実施形態においては、Dタンパク質誘導体は脂質化されていない。
【0022】
一実施形態においては、本発明は、融合パートナータンパク質として、本明細書に記載のDタンパク質構築物を提供する。Dタンパク質構築物は、本明細書に記載のPRAMEもしくはMAGE-A3構築物をさらに含む構築物のための融合パートナータンパク質であるか、または別の癌抗原もしくは任意の他の抗原をさらに含む構築物のための融合パートナータンパク質であってよい。
【0023】
PRAMEもしくはその免疫原性断片とDタンパク質を含む融合タンパク質、またはDタンパク質を含む融合タンパク質、またはDタンパク質を含む融合パートナータンパク質については、分泌配列(またはシグナル配列)の存在が、産生される融合タンパク質の量に有害に影響し得るようである。
【0024】
PRAME
一態様においては、本発明の融合タンパク質は、本明細書に記載の融合パートナータンパク質およびPRAME抗原またはその免疫原性断片を含む。一般的には、PRAMEタンパク質は、509個のアミノ酸を有し、一実施形態においては、全部で509個のアミノ酸のPRAMEを用いることができる。いくつかの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープ、例えば、
VLDGLDVLL (PRA100-108; 配列番号13);
SLYSFPEPEA (PRA142-151; 配列番号14);
ALYVDSLFFL (PRA300-309; 配列番号15);
LYVDSLFFL (PRA301-309; 配列番号16)および
SLLQHLIGL (PRA425-433; 配列番号17)
が、PRAME上で同定されている。
【0025】
一般的には、これらのエピトープをできるだけ多く前記抗原中に含有させて、強力な免疫応答を生成させ、該抗原ができるだけ免疫原性であることを確保することが望ましい。しかし、強力な免疫学的アジュバントを含む製剤を用いることにより、所与の構築物のより低い免疫原性を相殺することが可能である。強力なアジュバントを、以下でより詳細に考察する。
【0026】
一態様においては、本発明は、完全長タンパク質を含む、からなるか、または本質的にからなる融合タンパク質のPRAME部分を提供する。
【0027】
しかしながら、本発明は、保存的置換を有するPRAME構築物にも拡張される。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を置換することができる。本明細書に記載のPRAME構築物はさらに、またはあるいは、野生型PRAME配列と比較した場合、アミノ酸配列内に欠失または挿入を含んでもよい。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を挿入するか、または欠失させることができる。
【0028】
保存的置換はよく知られており、一般的には、配列アラインメントコンピュータープログラムにおけるデフォルトスコアリングマトリックスとして設定される。これらのプログラムとしては、PAM250 (Dayhoft M.O.ら(1978)、「タンパク質における進化的変化のモデル(A model of evolutionary changes in proteins)」、Atlas of Protein sequence and structure 5(3) M.O. Dayhoft (編), 345-352)、National Biomedical Research Foundation, Washington, ならびにBlosum 62 (Steven HenikoftおよびJorja G. Henikoft (1992)、「タンパク質ブロックに由来するアミノ酸置換マトリックス(Amino acid substitution matricies from protein blocks)」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (Biochemistry): 10915-10919が挙げられる。
【0029】
一般的な用語では、以下の群内の置換が保存的置換であるが、群間の置換は非保存的であると考えられる。その群は、
i)アスパラギン酸/アスパラギン/グルタミン酸/グルタミン
ii)セリン/トレオニン
iii)リジン/アルギニン
iv)フェニルアラニン/チロシン/トリプトファン
v)ロイシン/イソロイシン/バリン/メチオニン
vi)グリシン/アラニン
である。
【0030】
一般的には、本発明の融合タンパク質において用いられるPRAME配列/アミノ酸は、天然のPRAMEと85%、90%、95%およびより具体的には99%などの80%を超えて同一であるであろう。しかしながら、当業者であれば、クローニングプロセスの結果として生成されるアミノ酸残基を、組換え合成されたタンパク質中で保持できることに気付くであろう。これらが生成物の特徴に有害に影響しない場合、それらを除去するかどうかは任意である。
【0031】
一態様においては、本発明は、完全長PRAMEタンパク質を含む、からなる、または本質的にそれからなる本明細書に記載の融合タンパク質を提供する。さらなる態様においては、本発明の融合タンパク質のPRAME部分は、1個以上の以下のエピトープ:
VLDGLDVLL (PRA100-108; 配列番号13);
SLYSFPEPEA (PRA142-151; 配列番号14);
ALYVDSLFFL (PRA300-309; 配列番号15);
LYVDSLFFL (PRA301-309; 配列番号16)および
SLLQHLIGL (PRA425-433; 配列番号17)
を含む、からなる、または本質的にそれからなる。
【0032】
融合タンパク質
本発明のさらなる実施形態においては、PRAME以外の腫瘍抗原またはPRAMEに加えた腫瘍抗原を、本明細書に記載の融合タンパク質中で用いることができる。一実施形態においては、本明細書に記載の融合パートナータンパク質と、前記抗原に対する免疫応答を指令することができる1種以上の以下の腫瘍抗原:MAGE抗原、例えば、MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE4、MAGE5、MAGE6、MAGE7、MAGE8、MAGE9、MAGE10、MAGE11、MAGE12などのMAGE-A抗原または腫瘍抗原誘導体またはその免疫原性部分を含む融合タンパク質が提供される。これらの抗原は、時にはMAGE A1、MAGE A2、MAGE A3、MAGE A4、MAGE A5、MAGE A6、MAGE A7、MAGE A8、MAGE A9、MAGE A 10、MAGE A11および/またはMAGE A12(MAGE Aファミリー)として知られる。一実施形態においては、2種のさらなるMAGEファミリー:MAGE BおよびMAGE C群の一方に由来する抗原を用いることができる。MAGE Bファミリーは、MAGE B1(MAGE Xp1、およびDAM 10としても知られる)、MAGE B2(MAGE Xp2およびDAM 6としても知られる)、MAGE B3ならびにMAGE B4を含む。Mage Cファミリーは現在、MAGE C1およびMAGE C2を含む。
【0033】
本発明における使用のためのMAGE抗原は、完全長MAGE抗原を含んでもよい。あるいは、MAGE抗原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸を、前記アミノ酸配列から欠失させることができるか、またはその中で置換することができるMAGEの免疫原性部分を含んでもよい。本発明の一実施形態においては、2個のアミノ酸を、MAGE配列のN末端から欠失させることができる。前記抗原がMAGE-A3またはその免疫原性部分である本発明の一実施形態においては、MAGE-A3の配列はMAGE-A3のアミノ酸3〜314であってよい。
【0034】
別の実施形態においては、本発明における使用のための腫瘍抗原または誘導体は、PRAME、BAGE、LAGE 1、LAGE 2 (NY-ESO-1としても知られる)、SAGE、HAGE、XAGE、PSA、PAP、PSCA、P501S (プロステインとしても知られる)、HASH1、HASH2、Cripto、B726、NY-BR1.1、P510、MUC-1、プロスターゼ、STEAP、チロシナーゼ、テロメラーゼ、スルビビン、CASB616、P53、および/もしくはHer-2/neuまたは該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分であってよい。
【0035】
本発明のさらなる実施形態においては、腫瘍抗原は、以下の抗原:SSX-2; SSX-4; SSX-5; NA17; MELAN-A; P790; P835; B305D; B854; CASB618 (WO00/53748に記載); CASB7439 (WO01/62778に記載); C1491; C1584; およびC1585のうちの1つ、または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分を含むか、またはそれからなってもよい。
【0036】
一実施形態においては、本発明における使用のための抗原は、P501Sを含むか、またはそれからなってもよい。プロステイン(Xuら、Cancer Res. 61, 2001, 1563-1568)とも呼ばれるP501Sは、WO 98/37814の配列番号113として知られており、553アミノ酸のタンパク質である。上記参考特許出願に開示された少なくとも20個、好ましくは50個、より好ましくは100個の連続するアミノ酸を含むその免疫原性断片および部分を、本発明の融合タンパク質中で用いることができる。好ましい断片はWO 98/50567(PS108抗原)に、および前立腺癌関連タンパク質(WO 99/67384の配列番号9)として開示されている。他の好ましい断片は、完全長P501Sタンパク質のアミノ酸51〜553、34〜553または55〜553である。
【0037】
一実施形態においては、前記抗原はウィルムス腫瘍遺伝子により発現されるWT-1;または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分;またはWT-1の約もしくはおよそアミノ酸1〜249を含むN末端断片WT-1Fを含むか、またはそれからなってもよい。
【0038】
さらなる実施形態においては、前記抗原は、Her-2/neu遺伝子により発現される抗原、または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその断片もしくは免疫原性部分を含むか、またはそれからなってもよい。一実施形態においては、Her-2/neu抗原は、WO 00/44899に記載される以下の融合タンパク質の1つであってよい。
【0039】
本発明における使用のための抗原は、HER-2/neuタンパク質の細胞外ドメイン(もしくはその断片)および細胞内ドメイン(もしくはその断片)を含む融合タンパク質(もしくはその断片)を指す、「ECD-ICD」または「ECD-ICD融合タンパク質」とも呼ばれる「HER-2/neu ECD-ICD融合タンパク質」を含むか、またはそれからなってもよい。一実施形態においては、このECD-ICD融合タンパク質は、HER-2/neu膜貫通ドメインの実質的部分を含まず、またはHER-2/neu膜貫通ドメインのいずれも含まない。
【0040】
さらなる実施形態においては、前記抗原は、HER-2/neuタンパク質の細胞外ドメイン(もしくはその断片)およびリン酸化ドメイン(もしくはその断片、例えば、ΔPD)を含む融合タンパク質(もしくはその断片)を指す、「ECD-ΔPD」もしくは「ECD-ΔPD融合タンパク質」とも呼ばれる、「ECD-PD」もしくは「ECD-PD融合タンパク質」または「HER-2/neu ECD-ΔPD融合タンパク質」とも呼ばれる、「HER-2/neu ECD-PD融合タンパク質」を含むか、またはそれからなってもよい。一実施形態においては、ECD-PDおよびECD-ΔPD融合タンパク質は、HER-2/neu膜貫通ドメインの実質的部分を含まず、またはHER-2/neu膜貫通ドメインのいずれも含まない。
【0041】
PRAME抗原と本明細書に記載のDタンパク質融合パートナータンパク質との融合タンパク質を、化学的に結合させることができるが、Dタンパク質または改変されたDタンパク質などの融合パートナーを含まないPRAMEのみと比較して、発現系において産生されるPRAMEタンパク質レベルを増加させることができる組換え融合タンパク質として発現させるのが好ましい。
【0042】
さらに、またはあるいは、本明細書に記載された腫瘍抗原および本発明の融合パートナータンパク質を化学的に結合させるか、またはDタンパク質もしくは改変されたDタンパク質などの融合パートナーを含まないPRAMEもしくは別の腫瘍抗原のみと比較して、発現系において産生されるPRAMEタンパク質もしくは別の腫瘍抗原のレベルを増加させることができる組換え融合タンパク質として発現させることができる。
【0043】
本明細書に記載の本発明の融合タンパク質はさらに、融合パートナータンパク質と腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分;または融合パートナータンパク質とHis尾部もしくは他のアフィニティータグ(存在する場合);または腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分とHis尾部もしくは他のアフィニティータグ(存在する場合)の間に1個以上のリンカー配列を含んでもよい。リンカー配列中のアミノ酸は、前記抗原および/または融合パートナーの配列と関連しなくてもよい。
【0044】
本明細書に記載の本発明の融合タンパク質はさらに、融合タンパク質配列のN末端にアミノ酸Met-Asp-Proを含んでもよい。Metアミノ酸は、元のDタンパク質配列に由来するものであってもよく、または非関連配列に由来するものであってよい。
【0045】
融合パートナーは、固有の組換えタンパク質よりも高い収率で前記タンパク質(発現エンハンサー)を発現させるのを援助することができる。その外来性質に起因して、融合パートナーDタンパク質は、in vivoで特に免疫原性であり、Tヘルパーエピトープ、好ましくは、CD4 T細胞により認識されるTヘルパーエピトープを提供することにより、PRAMEもしくは別の腫瘍抗原を含む融合タンパク質を援助してもよい。そのようなCD4-T細胞は、好ましい免疫応答、特に、CD8細胞溶解性T細胞応答を生成するのに寄与すると考えられる。
【0046】
一実施形態においては、前記融合パートナーは、発現増強パートナーおよび免疫学的融合パートナーの両方として働くことができる。
【0047】
一態様においては、本発明はDタンパク質(上記もしくは本明細書に記載のもの)のN末端部分がPRAMEのN末端またはその免疫原性断片に融合された融合タンパク質を提供する。より具体的には、Dタンパク質断片とPRAMEのN末端との融合を、PRAMEが切り出されたDタンパク質のC末端断片を置換するように行う。かくして、Dタンパク質のN末端は、融合タンパク質のN末端になる。
【0048】
さらなる態様においては、本発明は、Dタンパク質のN末端部分(上記もしくは本明細書に記載のもの)を腫瘍抗原もしくはその免疫原性断片のN末端もしくは別の部分に融合させる融合タンパク質を提供する。より具体的には、Dタンパク質断片と腫瘍抗原のN末端もしくは他の部分との融合を、本明細書に記載のPRAMEまたは他の腫瘍抗原もしくはその誘導体が、切り出されたDタンパク質のC末端断片を置換するように行うことができる。かくして、Dタンパク質のN末端は、融合タンパク質のN末端になる。
【0049】
他の融合パートナーまたはその断片を、本発明の融合タンパク質中に含有させるか、または例えば、本明細書に記載のPRAME抗原またはその断片もしくは部分を含む実施形態においては、本発明のDタンパク質エレメントを置換することができる。他の融合パートナーの例としては、
・インフルエンザウイルスに由来する非構造タンパク質、NS1(ヘマグルチニン)、典型的には、N末端の81アミノ酸を用いるが、それらがTヘルパーエピトープを含む条件で、異なる断片を用いることができる;
・例えば、残基188〜305などの残基178で開始するC末端に認められるLyta分子の反復部分などの、N-アセチル-L-アラニンアミダーゼ、アミダーゼLYTA(lytA遺伝子によりコードされる{Gene, 43 (1986) p.265-272})を合成する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)から誘導されるLYTA;
が挙げられる。
【0050】
そのアミノ末端にC-LYTA断片を含むハイブリッドタンパク質の精製が記載されている{Biotechnology: 10, (1992) p. 795-798}。
【0051】
本発明の融合タンパク質は、例えば、6個などの5〜9個のヒスチジンタグを含むヒスチジン尾部などのアフィニティータグを含んでもよい。これらの残基は、例えば、Dタンパク質の末端部分(Dタンパク質のN末端など)上にあってもよい、および/またはPRAME抗原もしくはその誘導体、または本明細書に記載の腫瘍抗原もしくはその誘導体の末端部分に融合させることができる。しかしながら、一般的には、ヒスチジン尾部を、PRAME抗原もしくはその誘導体、またはPRAME抗原もしくはその誘導体のC末端などの本明細書に記載の腫瘍抗原もしくはその誘導体、または本明細書に記載の腫瘍抗原もしくはその誘導体の末端部分に配置することができる。ヒスチジン尾部は、精製を助けるのに有利であってよい。
【0052】
本発明はまた、本発明のタンパク質をコードする核酸も提供する。そのような配列を、好適な発現ベクター中に挿入し、DNA/RNAワクチン接種に使用するか、または好適な宿主中で発現させることができる。前記核酸を発現する微生物ベクターを、ワクチンとして用いることができる。そのようなベクターとしては、例えば、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、リステリアおよびモノファージが挙げられる。
【0053】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列を、D.M. Robertsら、Biochemistry 1985, 24, 5090-5098により記載された酵素的連結、化学的合成、in vitro酵素ポリマー化、または例えば、熱安定性ポリメラーゼを用いるPCR技術、またはこれらの技術の組合せなどの標準的なDNA合成技術を用いて合成することができる。
【0054】
DNAの酵素的ポリマー化を、10〜37℃の温度で、一般的には、50μl以下の容量で、必要とされるヌクレオシド三リン酸dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを含有する好適なバッファー中、DNAポリメラーゼI(Klenow断片)などのDNAポリメラーゼを用いてin vitroで実行することができる。DNA断片の酵素的連結を、4℃〜周囲温度で、一般的には、50 ml以下の容量で、0.05M Tris (pH 7.4)、0.01M MgCl2、0.01Mジチオトレイトール、1 mMスペルミジン、1 mM ATPおよび0.1 mg/mlウシ血清アルブミンなどの好適なバッファー中、T4 DNAリガーゼなどのDNAリガーゼを用いて実行することができる。DNAポリマーまたは断片の化学的合成を、Chemical and Enzymatic Synthesis of Gene Fragments - A Laboratory Manual(H.G. GassenおよびA. Lang(編)), Verlag Chemie, Weinheim (1982)、または他の科学刊行物、例えば、M.J. Gait, H.W.D. Matthes, M. Singh, B.S. SproatおよびR.C. Titmas, Nucleic Acids Research, 1982, 10, 6243; B.S. SproatおよびW. Bannwarth, Tetrahedron Letters, 1983, 24, 5771; M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Tetrahedron Letters, 1980, 21, 719; M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Journal of the American Chemical Society, 1981, 103, 3185; S.P. Adamsら、Journal of the American Chemical Society, 1983, 105, 661; N.D. Sinha, J. Biernat, J. McMannusおよびH. Koester, Nucleic Acids Research, 1984, 12, 4539; ならびにH.W.D. Matthesら、EMBO Journal, 1984, 3, 801に記載のものなどの固相技術を用いる、従来のホスホトリエステル、亜リン酸またはホスホルアミダイト化学により実行することができる。
【0055】
本発明の方法を、Maniatisら、Molecular Cloning - A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor, 1982-1989に記載のものなどの従来の組換え技術により実施することができる。
【0056】
具体的には、前記方法は、
i)宿主細胞中で、前記タンパク質もしくはその免疫原性誘導体をコードするヌクレオチド配列を含むDNAポリマーを発現することができる複製可能な、もしくは組込み発現ベクターを調製する工程;
ii)宿主細胞を前記ベクターで形質転換する工程;
iii)前記DNAポリマーの発現を可能にして前記タンパク質を産生する条件下で前記形質転換された宿主細胞を培養する工程;ならびに
iv)前記タンパク質を回収する工程、
を含んでもよい。
【0057】
用語「形質転換する」とは、本明細書では外来DNAの宿主細胞への導入を意味するように用いられる。これを、例えば、Genetic Engineering; S.M. KingsmanおよびA.J. Kingsman(編); Blackwell Scientific Publications; Oxford, England, 1988に記載の従来の技術を用いて、例えば、好適なプラスミドまたはウイルスベクターを用いる形質転換、トランスフェクションまたは感染により達成することができる。用語「形質転換された」または「形質転換体」は、以後、目的の外来遺伝子を含み、発現する得られる宿主細胞に適用されるであろう。
【0058】
発現ベクターは新規であり、また、本発明の一部を形成する。
【0059】
複製可能な発現ベクターを、宿主細胞と適合可能なベクターを切断して、無傷のレプリコンを有する線状DNA断片を提供し、本発明のタンパク質、またはその誘導体をコードするDNAポリマーなどの所望の生成物をコードする該線状断片を、1個以上のDNA分子と、連結条件下で混合することにより、本発明に従って調製することができる。
【0060】
かくして、前記DNAポリマーを、必要に応じて、ベクターの構築の間に予備形成または形成することができる。
【0061】
ベクターの選択を、原核または真核生物であってよいが、一般的には大腸菌またはCHO細胞である宿主細胞により部分的に決定することができる。好適なベクターとしては、例えば、TMCP14もしくはpET21もしくはpET26、pcDNA3などのプラスミド、バクテリオファージ、コスミドおよび組換えウイルスが挙げられる。
【0062】
複製可能な発現ベクターの調製を、例えば、上記で引用されたManiatisらに記載の手順により、DNAの制限、ポリマー化および連結にとって好適な酵素を用いて従来的に実行することができる。
【0063】
組換え宿主細胞を、形質転換条件下で、本発明の複製可能な発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより、本発明に従って調製する。好適な形質転換条件は従来のものであり、例えば、上記で引用されたManiatisら、またはDNA Cloning Vol. II, D.M. Glover(編)、IRL Press Ltd, 1985に記載されている。
【0064】
形質転換条件の選択を、宿主細胞により決定する。かくして、大腸菌などの細菌宿主を、CaCl2の溶液(Cohenら、Proc. Nat. Acad. Sci., 1973, 69, 2110)またはRbCl、MnCl2、酢酸カリウムおよびグリセロールの混合物を含む溶液で処理した後、3-[N-モルホリノ]-プロパン-スルホン酸、RbClおよびグリセロールで処理することができる。培養中の哺乳動物細胞を、細胞上でのベクターDNAのカルシウム共沈降により形質転換することができる。本発明はまた、本発明の複製可能な発現ベクターで形質転換された宿主細胞にも拡張される。
【0065】
DNAを、標準的な技術によりコドン最適化して、関連する宿主の発現をさらに容易にすることができる。本発明の一実施形態においては、PRAME抗原またはその一部もしくは断片のヌクレオチド配列がコドン最適化された、本明細書に記載のPRAME抗原またはその一部もしくは断片を含む融合タンパク質をコードするDNAが提供される。一実施形態においては、Dタンパク質ヌクレオチド配列をコドン最適化しない。
【0066】
DNAポリマーの発現を可能にする条件下での形質転換された宿主細胞の培養を、例えば、上記で引用されたManiatisら、および「DNA Cloning」に記載のように、従来的に実行する。かくして、好ましくは、前記細胞に栄養素を供給し、50℃以下の温度で培養する。
【0067】
本発明のタンパク質を、原核生物または酵母などの真核生物中で発現させることができるが、大腸菌中で発現させるのが多い。AR58およびBLR DE3などの大腸菌の特定の株を用いることができる。
【0068】
一般的には、例えば、カナマイシン耐性またはアンピシリン耐性の選択マーカーを組込んで、組換え遺伝子/構築物の発現系への組込みの成功の同定を容易にする。
【0069】
前記産物を、宿主細胞に従う、および発現産物(細胞内または培養培地もしくは細胞ペリプラズム中に分泌される)の局在化に従う従来の方法により回収する。本発明の一実施形態においては、発現産物は細胞内のものである。本発明の一実施形態においては、発現産物は不溶性タンパク質である。かくして、宿主細胞が大腸菌などの細菌である場合、それを、例えば、物理的に、化学的にまたは酵素的に溶解し、タンパク質産物を得られる溶解物から単離することができる。宿主細胞が哺乳動物細胞である場合、一般的には、前記産物を栄養培地から、または無細胞抽出物から単離することができる。従来のタンパク質単離技術としては、選択的沈降、吸着クロマトグラフィー、およびモノクローナル抗体アフィニティーカラムなどのアフィニティクロマトグラフィーが挙げられる。
【0070】
本発明の一実施形態においては、本明細書に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質を細胞中で発現させる工程を含む本明細書に記載の融合タンパク質を製造する方法が提供される。この細胞は、細菌であってよい。前記細胞が細菌である一実施形態においては、該細菌は大腸菌であってよい。本発明の方法は、不溶性タンパク質として細胞中で本明細書に記載の融合タンパク質を発現させる工程を含んでもよい。前記方法はさらに、細胞を溶解し、溶解された細胞から発現された融合タンパク質を精製する工程を含んでもよい。
【0071】
本発明の一実施形態においては、本明細書に記載の方法またはプロセスにより得られた、または得られる融合タンパク質が提供される。
【0072】
本発明のタンパク質を、可溶性の液体形態または凍結乾燥形態で提供する。
【0073】
一般的には、各ヒト用量は1〜1000μgのタンパク質、および好ましくは30〜300μgのタンパク質を含むと予想される。
【0074】
本発明はまた、製薬上許容し得る賦形剤中に本発明の融合タンパク質を含むワクチンなどの医薬組成物も提供する。
【0075】
必要に応じて、前記ワクチンは、1種以上の他の腫瘍関連抗原もしくはポリペプチドを含んでもよく、または腫瘍関連抗原に基づく他の癌ワクチンと混合するのが好ましい。例えば、これらの腫瘍関連抗原は、本明細書に記載の抗原であり、ならびに/またはMAGE、LAGEおよびGAGEファミリーもしくはWT-1に属するメンバーであってよい。一実施形態においては、腫瘍関連抗原はMAGE-A3抗原を含むか、またはそれからなってもよい。
【0076】
一般的には、ワクチン調製物はVaccine Design (「The subunit and adjuvant approach」(Powell M.F. & Newman M.J(編)). (1995) Plenum Press New York)に記載されている。リポソーム内への封入は、Fullerton、米国特許第4,235,877号により記載されている。
【0077】
本発明のタンパク質を、本発明のワクチン製剤中で好ましくアジュバント化することができる。好適なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)もしくはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、鉄もしくは亜鉛の塩であってもよく、またはアシル化チロシン、もしくはアシル化糖、陽イオンもしくは陰イオン誘導体化多糖類、もしくはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。他の公知のアジュバントとしては、CpG含有オリゴヌクレオチドが挙げられる。このオリゴヌクレオチドは、CpGジヌクレオチドがメチル化されていないことを特徴とする。そのようなオリゴヌクレオチドはよく知られており、例えば、WO 96/02555に記載されている。
【0078】
本発明の製剤においては、アジュバント組成物がTH1型の免疫応答を優先的に誘導することが望ましい。一実施形態においては、例えば、モノホスホリルリピドA、好ましくは、3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)と、アルミニウム塩の組合せなどのアジュバント系が提供される。このアジュバントは、必要に応じて、TH1応答を優先的に誘導するCpGオリゴヌクレオチドをも含んでもよい。
【0079】
本発明において用いることができる増強された系は、モノホスホリルリピドAと、サポニン誘導体との組合せ、特に、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合せ、または、例えば、WO 96/33739に開示された、QS21がコレステロールでクエンチされた反応性の低い組成物を含む。
【0080】
例えば、水中油乳濁液中に、QS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む、本発明の製剤中で用いることができる製剤は、WO 95/17210に記載されている。
【0081】
本発明の製剤中で用いることができる別のアジュバント製剤は、例えば、水中油乳濁液中の、またはリポソーム製剤としてのQS21、3D-MPLおよびCpGまたはその等価物である。
【0082】
従って、本発明の一実施形態においては、本明細書に記載の融合タンパク質または融合パートナータンパク質および例えば、上記のアジュバントを含むワクチンが提供される。
【0083】
PRAMEおよびMAGEの組合せ
本発明の一実施形態においては、(a) PRAME抗原または本明細書に記載の融合タンパク質を含む抗原成分および(b) MAGE抗原または本明細書に記載の融合タンパク質を含む抗原成分を含む組成物が提供される。一実施形態においては、前記組成物は、本明細書に記載のアジュバントをさらに含んでもよい。
【0084】
前記組合せ中での使用のためのMAGE抗原は、完全長MAGE抗原を含んでもよい。あるいは、MAGE抗原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸を、前記アミノ酸配列から欠失させるか、またはその中で置換することができるMAGEの免疫原性部分を含んでもよい。本発明の一実施形態においては、2個のアミノ酸を、MAGE配列のN末端から欠失させることができる。前記抗原がMAGE-A3またはその免疫原性部分である本発明の一実施形態においては、MAGE-A3の配列はMAGE-A3のアミノ酸3〜314であってよい。
【0085】
上記の組合せについて、PRAMEおよび/もしくはMAGE抗原のいずれか、または両方は、本明細書に記載の融合タンパク質もしくはタンパク質の一部であってよく、または該抗原を他の融合タンパク質中で提供するか、もしくは抗原のみとして提供することができる。
【0086】
本発明の一実施形態においては、PRAME抗原と本明細書に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質およびMAGE-A3抗原と本明細書に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質を含む組成物が提供される。代替的な実施形態においては、MAGE-A3抗原を含む融合タンパク質は、MAGE-A3抗原と、Dタンパク質に由来する1個もしくは2個以上のアミノ酸が必要に応じて置換され、必要に応じて、Dタンパク質の最初の109個のアミノ酸に加えて、Dタンパク質のシグナル配列が存在する、Dタンパク質の最初の約109個のアミノ酸を含む融合パートナータンパク質とを含むか、またはそれからなる。
【0087】
必要に応じて、本発明の融合タンパク質は、前記抗原の配列と融合パートナータンパク質との間または前記抗原と、存在する場合、His尾部との間の「リンカー」として1個以上のアミノ酸をさらに含んでもよい。このアミノ酸は、前記抗原および/または融合パートナーの配列と関連していなくてもよい。
【0088】
本明細書に記載の本発明の融合タンパク質は、融合タンパク質配列のN末端にアミノ酸Met-Asp-Proをさらに含んでもよい。Metアミノ酸は、元のDタンパク質配列に由来するか、または未関連の配列に由来するものであってよい。
【0089】
一実施形態においては、本発明における使用のためのMAGE-A3およびDタンパク質を含む融合タンパク質の配列を、図12および配列番号43に示す。
【0090】
本発明はまた、前記ワクチン/組成物を調製する方法にも拡張される。
【0091】
(実施例)
4種の融合構築物を調製し、本明細書では実施例/構築物1、2、3および4と言う。コドン最適化された構築物を実施例3から調製し、本明細書では実施例3aと命名する。コドン最適化された構築物を実施例4から調製し、本明細書では実施例4aと命名する。
【0092】
実施例3aおよび実施例4aにおいては、前記分子のDタンパク質部分に関する配列は同じである。しかしながら、PRAME領域中の特定のコドンを改変して、発現をさらに改善し、実施例3aにおいては、PRAMEとhis尾部との間のリンカーを除去した。
【0093】
【0094】
上記の実施例の融合タンパク質は、Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含む。アミノ酸Met、AspおよびProを、Dタンパク質断片のN末端(すなわち、MDP-20-127 Dタンパク質)に含有させた。これらの3個の追加アミノ酸は、該タンパク質の安定性を援助し、および/またはそのタンパク質発現レベルを増加させることができる。Dタンパク質のアミノ酸127を、完全長PRAMEのN末端に融合させる(すなわち、Dタンパク質のアミノ酸127をPRAMEのN末端に融合させる)。精製を援助するための、ヒスチジンタグ尾部を、6種のタンパク質のうちの3種に含有させた。尾部の正確な配列は用いるプラスミドに依存する。
【0095】
3種の異なる型のプラスミド、TCMP14およびpET21またはpET26を構築した:各プラスミドについて、融合タンパク質をコードするDNAを、ヒスチジン尾部と共に、およびそれを用いずに含有させた。
【0096】
特に指摘しない限り、以下の一般的な戦略を、それぞれの実施例の調製において用いた。
【0097】
TCMP14ベクターを用いるPD1/3-PRAME(Hisタグを含むか、または含まない)組換えタンパク質の生成のためのクローニング戦略:
プラスミドTCMP14中で提供される配列の増幅を、3段階のPCR戦略を用いて行った。Dタンパク質遺伝子全体をコードするDNA配列を含むベクターpHIC348を、Dr. A. Forsgren, Department of Medical Microbiology, University of Lund, Malmo General Hospital, Malmo, Swedenから得た。Dタンパク質のDNA配列は、Jansonら(1991) {Janson H, LO Heden, A Grubb, M Ruan, & A Forsgren. 1991. Infect Immun 59:119-125}により公開されている。発現ベクターpMG81は、外来挿入遺伝子の転写および翻訳のためにバクテリオファージλ由来制御エレメントが導入された、pBR322の誘導体である(Shatzmanら、1983) {Shatzman A, YS Ho, & M Rosenberg. 1983. Experimental Manipulation of Gene Expression. Inouya (編) pp 1-14. Academic NY}。さらに、アンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子と交換した。NS1タンパク質の一部に関するコード配列(アミノ酸4〜81)を、複数クローニング部位に置換して、pMG81 MCSを得た。Dタンパク質の1/3のコード配列(アミノ酸20〜127)を、BamHIおよびNcoI制限部位を用いてpMG81 MCS中にクローニングして、pMG81-1/3PDを得た。第1に、Dタンパク質のアミノ酸20〜127に対応する断片のPCR増幅を、鋳型としてのpMF81-1/3PDベクターならびにオリゴヌクレオチドセンス:
5’ ATA TAA CAT ATG GAT CCA AGC AGC CAT TCA TCA AAT 3’ (CAN008; 配列番号18)およびアンチセンス:
5’ CCA CAA ACG CCT TCG TTC CAT GGT TTC AAA GTT TTC TGT C 3’ (CAN037; 配列番号19)
を用いて行った。
【0098】
Ludwid Institute, Brussels, Belgiumから得たPRAME cDNAを、pCDNA1ベクター(Invitrogen)のBstx1-Not1部位に挿入して、pCDNA-1-PRAME組換えベクターを作製した。PRAMEタンパク質のアミノ酸に対応する断片のPCR増幅を、鋳型としてのpcDNA-1-PRAMEベクター(GSKBio)ならびにオリゴヌクレオチドセンス:
5’ GAC AGA AAA CTT TGA AAC CAT GGA ACG AAG GCG TTT GTG G 3’ (CAN036; 配列番号20)およびhis尾部を添加するか(CAN002)、または添加しない(CAN029)かどうかに応じて、アンチセンス:
5’ AGA GAG ACT AGT CTA GTT AGG CAT GAA ACA GGG GCA CAG 3’ (CAN029; 配列番号21)または
5’ GGA GGA ACT AGT GTT AGG CAT GAA ACA GGG GCA CAG 3’ (CAN002; 配列番号22)
を用いて行った。TCMP14プラスミド中に挿入される最終的なPRAME配列を、鋳型ならびにオリゴヌクレオチドセンス:CAN008、およびhis尾部が存在するか(CAN002)、もしくは存在しないか(CAN029)に応じて、アンチセンス:CAN029もしくはCAN002のために予備工程において作製された1/3PDおよびPRAME遺伝子鋳型を用いるPCR増幅後に得た。また、TCMP14ベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNdeI部位および3'末端にSpeI部位を加えた。
【0099】
pET21ベクターを用いるHis-タグ組換えタンパク質を含むか、または含まない組換えタンパク質1/3PD-PRAMEを発現するベクター設計の構築:
PRAME遺伝子のコード配列を含有するpcDNA1-PRAMEと呼ばれる組換えcDNAプラスミド(以前の戦略に記載)と、Dタンパク質コード配列のN末端部分を含有するベクターPMG81-1/3PD(以前の戦略に記載)とを用いた。このクローニング戦略は、以下の工程を含んでいた。
【0100】
a)第1に、分泌シグナル(分泌もしくはシグナル配列)を含まない1/3PD配列を、オリゴヌクレオチドセンス:5’ AGAGAGCATATGAGCAGCCATTCATCAAATATGGCG (CAN040; 配列番号22)、およびアンチセンス:5’ ACGTGGGCGGCCGCGGTTTCAAAGTTTTCTGTCATTTCTAA (CAN032; 配列番号23)を用いて、プラスミドPMG81-1/3PDからPCR増幅した;また、pET21b(+)ベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNdeI部位および3'末端にNotI部位を加えた。
【0101】
b)PRAME配列を、オリゴヌクレオチドセンス:5’ TTGTTGGCGGCCGCAATGGAACGAAGGCGTTTGTGGGGT (CAN033; 配列番号25)、およびアンチセンス: 5’ GGAGGACTCGAGGTTAGGCATGAAACAGGGGCACAG (CAN034; 配列番号26)を用いて、プラスミドpcDNA1-PRAMEからPCR増幅した;また、pET21bベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNotI部位および3'末端にXhoI部位を加えた。この増幅は、pET21b(+)プラスミド中、タンパク質のC末端に、2個のアミノ酸、LeuおよびGluの付加、次いで、6個のHisの付加をもたらした。His-タグを含まないタンパク質の作製のために、CAN033およびCAN034の代わりに、CAN033およびCAN035(アンチセンス:5’ GGAGGACTCGAGCTAGTTAGGCATGAAACAGGGGCACAG (CAN035; 配列番号XX)を用いることにより、PRAME遺伝子の3'末端に停止コドン(TAG)を付加した。
【0102】
c)上記増幅断片をpET21b(+)プラスミド(Invitrogen)中にクローニングした。
【0103】
d)QuikChange II Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)ならびにオリゴヌクレオチドセンス:5’ CAGAAAACTTTGAAACCATGGAACGAAGGCG (CAN106; 配列番号XX)、およびアンチセンス: 5’ cgccttcgttccatggtttcaaagttttctg (CAN107; 配列番号XX)を用いることにより、1/3PDとPRAMEの間のNotI部位を除去した。
【0104】
e)突然変異誘発ならびにオリゴヌクレオチドセンス:5’ GGAGATATACATATGGATCCAAGCAGCCATTCATCAAATATGG (CAN104; 配列番号XX)およびアンチセンス: 5’ CCATATTTGATGAATGGCTGCTTGGATCCATATGTATATCTCC (CAN105; 配列番号XX)を用いることにより、Dタンパク質の1/3のN末端の位置1に、Metの後に2個のアミノ酸AspおよびProを付加した。
【0105】
pET26ベクター中でコドン最適化された組換えタンパク質1/3PD-PRAME(Hisタグを含まないか、または含む)を発現するベクター設計の構築:
PRAME遺伝子をコドン最適化し、最適化された遺伝子の、それぞれ5'末端および3'末端中にNotIおよびXhoI部位を付加したpGA4骨格中にクローニングした。
【0106】
0606420pGA4と命名されたこのプラスミドを用いて、以下の工程を用いてpET26ベクター中のPD1/3との融合物中に前記遺伝子をクローニングした。
【0107】
a)0606420pGA4プラスミドから、前記遺伝子の3'末端に停止コドンを有する最適化されたPRAME配列に対応するNotI/XhoI断片を除去した。
【0108】
b)上記のCAN040およびCAN032オリゴヌクレオチドを用いて1/3PDの以前にクローニングされたNdeI/NotIを含み、CAN104およびCAN105オリゴヌクレオチドを用いる突然変異誘発方法によりN末端にAspおよびProアミノ酸が付加されたpET26b(+)プラスミド中に、最適化されたPRAME断片をクローニングした。
【0109】
c)オリゴヌクレオチドセンス:5’ GACAGAAAACTTTGAAACCATGGAACGTCGTCGTCTGTGG (CAN123; 配列番号XX)およびアンチセンス: 5’ CCACAGACGACGACGTTCCATGGTTTCAAAGTTTTCTGTC (CAN124; 配列番号XX)を用いる突然変異誘発により、NotI部位を除去した。これにより、His尾部を含まない1/3PD-PRAMEコドン最適化された融合タンパク質が得られた。
【0110】
d)次いで、このプラスミドを、6個のHisプラスミドでコドン最適化された1/3PD-PRAMEの作製のための鋳型として用いた。融合タンパク質のPCR増幅を、オリゴヌクレオチドセンス:5’ GGAATTCCATATGGATCCAAGCAGCCATTC (CAN199;配列番号XX)およびアンチセンス: 5’ GGAGCTCTCGAGTCAGTGGTGGTGGTGGTGGTGGTTCGGCATAAAGCACGGGC (CAN198; 配列番号XX)を用いて行った;また、pET26b(+)ベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNdeI部位、3'末端にXhoI部位、次いで6個のHisおよび停止コドンを付加した。
【0111】
e)Invitrogen社製pET26b(+)プラスミド中に増幅断片をクローニングした。
【0112】
融合タンパク質の製造のために、DNA構築物を発現ベクターTCMP14中にクローニングした。このプラスミドは、λファージDNAに由来するシグナルを利用して、挿入された外来遺伝子の転写および翻訳を駆動する。このベクターは、λPLプロモーターPL、オペレーターOLおよび2個の利用部位(NutLおよびNutR)を含み、Nタンパク質が提供される場合、転写極性効果を軽減する(Grossら、1985. Mol. & Cell. Biol. 5:1015)。
【0113】
pD-PRAME融合タンパク質を発現するプラスミドを設計し、PRAMEアミノ酸を、そのシグナル配列(分泌もしくはシグナル配列)を含まないpDの108アミノ酸の誘導体(すなわち、残基20〜127)のC末端に付加した。この構築物に、3個の非関連アミノ酸(MetおよびAspおよびプロリン)を、pDの誘導体のN末端に付加し、特定の構築物については、PRAMEアミノ酸のC末端にhis尾部を含有させた(上記の表Aを参照)。あるいは、この構築物は、N末端のMetがpD配列に由来すると考えられる場合、pDの109アミノ酸の誘導体を含むものとして記載することができる。
【0114】
宿主株および形質転換
大腸菌株AR58(Mottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol 82, pp 88-92, January 1985, Biochemistry)に由来する宿主を、実施例/構築物1および2のためにプラスミドDNAを用いて形質転換した。
【0115】
実施例/構築物1および2の製造に用いたAR58溶原性大腸菌株は、標準的なNIH大腸菌K12株N99(F-su-galK2、lacZ-thr-)の誘導株である。それは、欠損性溶原性λファージを含む(galE::TN10, l Kil- cI857 DH1)。Kil-表現型は、宿主の大分子合成の遮断を防止する。cI857突然変異は、cIリプレッサーに対して温度感受性障害を付与する。DH1欠失は、λファージの右側オペロンならびに宿主のbio、uvr3、およびch1A座を除去する。SA500誘導体(galE::TN10, l Kil- cI857 DH1)に対する、予め増殖させたPλファージ保存液を用いるN99の形質導入により、AR58株を作製した。隣接するgalE遺伝子中のテトラサイクリン耐性をコードするTN10トランスポゾンの存在のおかげで、N99への欠損性溶原菌の導入をテトラサイクリンを用いて選択した。N99およびSA500は、米国立衛生研究所のMartin Rosenberg博士の研究室に由来する大腸菌K12株である。
【0116】
PLプロモーターを含むベクターを、大腸菌溶原性宿主に導入して、プラスミドDNAを安定化させる。溶原性宿主株は、ゲノム中に組込まれたレプリコン欠損性λファージDNAを含む(Shatzmanら、1983; In Experimental Manipulation of Gene Expression. Inouya (編) pp 1-14. Academic Press NY)。λファージDNAは、ベクターのOLリプレッサーに結合し、PLプロモーターへのRNAポリメラーゼの結合を阻害し、それによって挿入された遺伝子の転写を阻害するcIリプレッサータンパク質の合成を指令する。発現株AR58のcI遺伝子は、PLに指令される転写を温度シフトにより調節することができる、すなわち、培養温度の上昇がリプレッサーを不活化し、外来タンパク質の合成が開始されるような、温度感受性突然変異を含む。この発現系により、特に、細胞に対して毒性的であり得る外来タンパク質の合成の制御が可能になる(Shimataka & Rosenberg, 1981. Nature 292:128)。
【0117】
大腸菌株BLR (DE3) Novagen, WI, USA (カタログ番号69053-4) BLR (DE3) Novagen, WI, USA (カタログ番号69053-4) BLR由来の宿主は、プラスミドモノマー収率を改善し、反復配列を含む標的プラスミドを安定化するのを助けることができるBL21のrecA-誘導体であるか、またはDE3プロファージ(1,2)の喪失を引き起こし得るその産物を実施例/構築物3および4に由来するプラスミドDNAを用いて形質転換されたものである。
【0118】
それぞれの形質転換を、CaCl2で処理された細胞を用いる標準的な方法により実行した(Hanahan D. << Plasmid transformation by Simanis. >> In Glover, D. M. (編), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)。
【0119】
細菌宿主株の増殖および誘導
・培養
20 mlのLuria-Bertani(LB)培地(BD) + 1%(w/v)グルコース(Laboratoire MAT、カタログ番号GR-0101) + 抗生物質(pET21bについてはカルベニシリン100μg/ml、TCMP14についてはカナマイシン40μg/ml)上で細菌を増殖させた。培養物を、AR58細胞については33℃で、BLR(DE3)細胞については37℃で、O.D.600nmが約0.8になるまでインキュベートした。
【0120】
・誘導
約0.8のO.D.600nmで、培養物BLR(DE3)を、1 mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG;EMD Chemicals Inc.、カタログ番号5815)で誘導し、37℃で2時間または3時間インキュベートしたが、より低い温度を用いる場合、溶解度を増加させることができる。
【0121】
約0.8のO.D.600nmで、培養物AR58を、37℃での熱活性化により誘導し、7時間インキュベートした。
【0122】
細菌増殖は、2つの発現系にとって十分であった。
【0123】
・タンパク質の抽出および精製
培養物中での前記ポリペプチドの発現の際に、典型的には細胞を遠心分離により収穫した後、物理的または化学的手段(発現されたポリペプチドが培地中に分泌されない場合)により破壊し、得られる粗抽出物を保持して目的のポリペプチドを単離する。BugBuster(商標)Protein Extraction Reagentを、供給業者(Novagen)により推奨される条件下で用いる。
【0124】
PD1/3-Prame-hisタンパク質精製
大腸菌細胞ペーストを、20 mM TrisバッファーpH 8.5中に再懸濁した後、ホモジェナイザー系(Niro Soavi S.p.A.社製Panda、2回通過、750バール)を通過させた。2 mM MgCl2およびBenzonase (50 U/ml)を添加した後、ホモジェネートを緩やかな攪拌下、室温(RT)で1時間インキュベートした後、15900 gかつRTで30分間遠心分離した。得られるペレットを、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および60 mMグルタチオンを含む20 mM Tris
バッファーpH 8.5中に再懸濁し、緩やかな攪拌下、RTで30分間インキュベートした。15900 gかつRTで30分間遠心分離した後、ペレットを廃棄した。
【0125】
遠心分離上清を、6.66 M尿素、0.333 M塩化ナトリウム(NaCl)および11.11 mMイミダゾールを含む20 mM Trisバッファー中に10倍希釈した後、0.1%SDS、6.0 M尿素、0.3 M NaClおよび10 mMイミダゾールを含む20 mM TrisバッファーpH 8.5中で平衡化させたニッケルイオン金属アフィニティカラム(IMAC Sepharose 6 FF-GE Healthcare)上でのクロマトグラフィー分離に供した。0.5%サルコシル、6.0 M尿素、0.3 M NaClおよび10 mMイミダゾールを含む20 mM TrisバッファーpH 8.5を用いてカラムを洗浄した後、同じ洗浄バッファー中のイミダゾールの濃度を40 mMまで増加させることにより、カラムから抗原を溶出させた。50 mMまでリン酸を添加した後、抗原陽性溶出液を、50 mMリン酸、0.5%サルコシル、6.0 M尿素および0.3 M NaClを含む20 mM TrisバッファーpH 8.5中で平衡化させたMacro-Prep Ceramic Hydroxyapatite type IIカラム(Bio-Rad)に通過させた。次いで、抗原を含むヒドロキシアパタイト流出液を、Omega 30 kDa膜(Pall)上、3.15%スクロースを含む5 mMホウ酸バッファーpH 9.8に対してダイアフィルトレーションした。限外濾過保持液を、0.45/0.22μm酢酸セルロース膜(Sartorius)を通す濾過により滅菌した。精製された材料を-70℃で保存した。
【0126】
また、以下の工程:
・ベンゾナーゼ処理を行わない、
・IMACカラム上でSDSからサルコシルへのシフトを行わない(抽出からHA工程までSDS)、
・ダイアフィルトレーションに用いるバッファーが5 mM TrisバッファーpH 8.5-0.5 Mアルギニンであった、
において上記プロセスとは異なる、代替的な精製プロセスも用いた。この代替的な精製プロセスにより、約0.05および0.085%の残留値を有する不完全なSDS除去が得られた。
【0127】
・精製
発現された組換えタンパク質を、樹脂の製造業者からの指示書に従って、His-Bind金属キレート化樹脂(QIAgen, Chatsworth, CA)を用いて誘導された大腸菌を遠心分離した後に得られた上清画分から精製した。
【0128】
タンパク質の特性評価
SDS-Page:
ゲル:NuPAGE 4-12%Bis-Tris Gel 1.0 mm 15または26ウェル(Invitrogenカタログ番号NP0323BOX)。
【0129】
his-タグを含むか、または含まない異なる組換え1/3pD-PRAMEタンパク質が約70 kDaの見かけの分子量でゲル上で移動する、それぞれ、実施例3および4ならびに3aおよび4aのSDS page分析を示す、以下の図1および2を参照されたい。組換えタンパク質は、誘導後、大腸菌細胞溶解物中に封入体として認められる。
【0130】
サンプル、バッファーおよび移動条件の調製を、供給業者(Invitrogen)により推奨される条件下で行った。10μlの全調製物を、100μlの培養等価物に対応するウェル中に載せた(誘導前(BI)および誘導後(AI))。
【0131】
図1の凡例:組換えpET21で形質転換された大腸菌BLR DE3株のIPTG誘導後の組換え1/3PD-PRAMEのクマシーブルー染色後のSDS page分析を示す。25、30または37℃での1 mM IPTGを用いるBLR DE3株における誘導の2時間後に、等量の100μLの培養物をゲル上に載せた。クローン番号3(1/3PD-PRAME/pET21)およびクローン番号4(1/3PD-PRAME-His/pET21)を、可溶性(上清)および不溶性(ペレット)画分中で誘導前(BI)および誘導後(AI)にゲルに提示する。レーン1および10:標準的な広範囲プレスタイン(BioRadカタログ番号161-0318)、レーン2(クローン番号3、BI、上清)、レーン3(クローン番号3、BI、ペレット)、レーン4(クローン番号3、AI、25℃、上清)、レーン5(クローン番号3、AI、25℃、ペレット)、レーン6(クローン番号3、AI、30℃、上清)、レーン7(クローン番号3、AI、30℃、ペレット)、レーン8(クローン番号3、AI、37℃、上清)、レーン9(クローン番号3、AI、37℃、ペレット)。レーン11(クローン番号4、BI、上清)、レーン12(クローン番号4、BI、ペレット)、レーン13(クローン番号4、AI、25℃、上清)、レーン14(クローン番号4、AI、25℃、ペレット)、レーン15(クローン番号4、AI、30℃、上清)、レーン16(クローン番号4、AI、30℃、ペレット)、レーン17(クローン番号4、AI、37℃、上清)、レーン18(クローン番号4、AI、37℃、ペレット)。
【0132】
図2の凡例:組換えpET26で形質転換された大腸菌BLR DE3株のIPTG誘導後の組換え1/3PD-PRAMEのクマシーブルー染色後のSDS page分析を示す。25、30または37℃での1 mM IPTGを用いるBLR DE3株における誘導の2時間後に、等量の100μLの培養物をゲル上に載せた。クローン番号3a(1/3PD-PRAMEコドン最適化/pET26)およびクローン番号4a(1/3PD-PRAME-Hisコドン最適化/pET26)を、可溶性(上清)および不溶性(ペレット)画分中で誘導前(BI)および誘導後(AI)にゲルに提示する。レーン2および10:標準的な広範囲プレスタイン(BioRadカタログ番号161-0318)、レーン1(クローン番号3a、BI、上清)、レーン3(クローン番号3a、BI、ペレット)、レーン4(クローン番号3a、AI、25℃、上清)、レーン5(クローン番号3a、AI、25℃、ペレット)、レーン6(クローン番号3a、AI、30℃、上清)、レーン7(クローン番号3a、AI、30℃、ペレット)、レーン8(クローン番号3a、AI、37℃、上清)、レーン9(クローン番号3a、AI、37℃、ペレット)、レーン11(クローン番号4a、BI、上清)、レーン12(クローン番号4a、BI、ペレット)、レーン13(クローン番号4a、AI、25℃、上清)、レーン14(クローン番号4a、AI、25℃、ペレット)、レーン15(クローン番号4a、AI、30℃、上清)、レーン16(クローン番号4a、AI、30℃、ペレット)、レーン17(クローン番号4a、AI、37℃、上清)、レーン18(クローン番号4a、AI、37℃、ペレット)。
【0133】
ウェスタンブロット
3%ミルク/PBS 1Xの新鮮な溶液を用いて、37℃、60RPMで30分間、膜をブロックした。ブロッキングインキュベーションの後、1:5000の希釈率で一次抗体(ウサギ抗PRAME;GSK Biologicals SA)または1:3000の希釈率でα-6X Hisタグ(AbCam)を、3%ミルク/PBS 1Xの新鮮な溶液中、37℃、60RPMで1時間添加した。その後、0.02%Tween20/PBS 1Xを用いて室温で5分間、3回膜を洗浄した。3%ミルク/PBS 1Xの新鮮な溶液を用いて、1:20000の希釈率で二次抗体(ペルオキシダーゼ結合ロバ抗IgG(H+L)ウサギ抗体(Jackson laboratory))を添加した。膜を37℃、60RPMで1時間インキュベートした。その後、膜を0.02%Tween20/PBS 1Xを用いて室温で5分間、3回洗浄した後、供給業者の推奨に従って、膜をペルオキシダーゼ基質(KH2PO4、10 mM;(NH4)2SO4、10 mM;O-ジアニシジン、0.01%および過酸化水素0.045%)またはアルカリホスファターゼ基質(Sigma Fast)に曝露した。
【0134】
分子分析:
【0135】
実施例5
融合タンパク質中にDタンパク質1/3の分泌シグナル(分泌またはシグナル配列)を含むか、または含まないタンパク質の製造の評価
【0136】
図11:組換えpET21で形質転換された大腸菌BL21 DE3株のIPTG誘導後の分泌シグナルを含むか、または含まない組換え1/3PD-PRAMEのクマシーブルー染色後のSDS page分析を示す。37℃での1 mM IPTGを用いるBL21 DE3株における誘導の3時間後に、等量の100μLの培養物をゲル上に載せた。これらの構築物を、可溶性(上清)および不溶性(ペレット)画分中、誘導前(BI)および誘導後(AI)にゲル上に提示する。レーン1:標準的な広範囲プレスタイン(BioRadカタログ番号161-0318)、レーン2(pD1/3-PRAME + SS、BI、上清)、レーン3(pD1/3-PRAME + SS、BI、ペレット)、レーン4(pD1/3-PRAME + SS、AI、上清)、レーン5(pD1/3-PRAME + SS、AI、ペレット)、レーン6(pD1/3-PRAME + SS + His、BI、上清)、レーン7(pD1/3-PRAME + SS + His、BI、ペレット)、レーン8(pD1/3-PRAME + SS + His、AI、上清)、レーン9(pD1/3-PRAME + SS + His、AI、ペレット)、レーン10(pD1/3-PRAME w/o SS、BI、上清)、レーン11(pD1/3-PRAME w/o SS、BI、ペレット)、レーン12(pD1/3-PRAME w/o SS、AI、上清)、レーン13(pD1/3-PRAME w/o SS、AI、ペレット)、レーン14(pD1/3-PRAME w/o SS + His、BI、上清)、レーン15(pD1/3-PRAME w/o SS + His、BI、ペレット)、レーン16(pD1/3-PRAME w/o SS + His、AI、上清)、レーン17(pD1/3-PRAME w/o SS + His、AI、ペレット)。
【0137】
実施例6:AS01BまたはAS15中で製剤化されたPD-PRAME-Hisの免疫原性:一定用量のアジュバント中での抗原の用量範囲
目的:前臨床試験において用いるのに最も良い用量を選択するための抗原の用量範囲の決定。
【0138】
プロトコル:12匹のCB6F1マウスの6群が、0および14日目に以下のものの筋肉内(IM)注入を受けた:
1. PBS
2. AS01BまたはAS15中のPRAME(50*μg)
3. AS01BまたはAS15中のPRAME(10μg)
4. AS01BまたはAS15中のPRAME(2μg)
5. AS01BまたはAS15中のPRAME(0.4μg)
6. AS01BまたはAS15中のPRAME(0.08μg)
*50μgの意図される用量の代わりに、実際に投与されたのは44.7μgであった。
【0139】
AS01Bは、QS21および3D-MPLを含むリポソームアジュバント製剤である;AS15はQS21、3D-MPLおよびCpGを含むリポソームアジュバント製剤である。
【0140】
この実施例において用いられた構築物は、5 mM TrisバッファーpH8.5-0.5 Mアルギニン中で提供された、実施例/構築物3a(His尾部を有するpET26)であった。スクロースを含むホウ酸バッファー中で提供されたタンパク質を用いることもできる。
【0141】
読み出し:
・1μg/ml/ペプチド(15マー)でペプチドPRAMEのプールを用いるin vitroでの脾臓細胞の再刺激(1群あたり3匹のマウスの4つのプール)後、2回の注入の14日後の細胞内サイトカイン染色(ICS)。
【0142】
CD4応答(AS01Bアジュバント)
AS01Bアジュバントに関するCD4サイトカインのICSの結果を図3に示す。この実験で、これらの条件下でAS01BにおけるCD4応答を誘導するためのPRAME抗原の最良の用量は2μgであると結論付けることができる。
【0143】
CD8応答(AS01Bアジュバント)
AS01Bアジュバントに関するCD8サイトカインのICSの結果を図4に示す。このデータは、非常に低いCD8応答および群内応答の不均質性を示すようである。
【0144】
CD4応答(AS15アジュバント)
AS15アジュバントに関するCD4サイトカインのICSの結果を図5に示す。これらのデータは、AS15中で製剤化された44μg、10μg、2μgおよび0.4μgのPRAMEに関して類似するCD4応答が誘導され、0.08μgのPRAMEの場合、応答の誘導が低下したことを示すようである。
【0145】
CD8応答(AS15アジュバント)
AS15アジュバントに関するCD8サイトカインのICSの結果を図6に示す。これらのデータは、CD8応答がないことを示すようである(PBS群におけるバックグラウンド)。
【0146】
実施例7
まとめると、本明細書に記載の本発明について、以下の概要を用いて、今までのところ作製されたPD1/3-PRAMEの特定の構築物を説明することができる。
【0147】
PD1/3-PRAMEに用いられる構築物
Dタンパク質のシグナル配列は含まれない(Dタンパク質のアミノ酸2〜19)。
【0148】
Dタンパク質のメチオニンが含まれる(Dタンパク質のAA 1)。
【0149】
2個の非関連アミノ酸(AspおよびPro)がDタンパク質のアミノ酸2-Lysおよび3-Leuについて置換されている。
【0150】
Dタンパク質のシグナル配列の後のDタンパク質の最初の109個のアミノ酸が含まれる(N末端における最初のMet + Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含む109個のアミノ酸)。
【0151】
PRAMEのアミノ酸1〜509が含まれる(PRAMEの完全長の元々の配列)。
【0152】
以下のもの:
・TCMP14プラスミド中でのクローニングのための3個の非関連アミノ酸(Thr、SerおよびGly)+6個のHis残基;または
・pET21プラスミド中でのクローニングのための2個の非関連アミノ酸(LeuおよびGlu)+6個のHis残基;または
・pET26プラスミド中でのクローニングのための6個のHis残基、
のうちの1つから構成されるHis尾部を含むか、または含まない。
【0153】
pD1/3-PRAME +/- His尾部タンパク質:
【0154】
本発明の構築物の実施例の印を付けたアミノ酸配列を図7に示す。
【0155】
以下の構築物のアラインメントを図8、9および10に示す:
LipoD-MAGE3-HisとD1/3-PRAME-Hisとのアラインメント(図8)、
インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質とLipoD-MAGE3-Hisとの共有配列間のアラインメント(図9)、
インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質、LipoD-MAGE3-HisおよびpD1/3-PRAME-Hisの共有配列間のアラインメント(図10)。
【0156】
融合タンパク質を用いるワクチン調製物の製剤:
本発明の融合タンパク質を、アジュバント化されているか、またはされていないワクチン中で製剤化することができる。一実施形態においては、アジュバントとして、前記製剤は油/水乳濁液中に3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)およびQS21の混合物を含んでもよい。アジュバント系SBAS2は、WO 95/17210に以前に記載されている。あるいは、本発明における使用のためのアジュバントは、水中油製剤またはリポソーム製剤中に3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)、QS21およびCpGを含んでもよい。
【0157】
3D-MPLは、グラム陰性細菌サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)のリポ多糖(LPS)に由来する免疫刺激剤である。MPLは脱アシル化されており、リピドA部分上のリン酸基を欠いている。この化学的処理は、免疫刺激特性を保存しながら、毒性を劇的に低下させる(Ribi, 1986)。
【0158】
様々なビヒクルと混合した3D-MPLは、体液性およびTH1型の細胞性免疫の両方を強力に増強することができると考えられる。
【0159】
QS21は、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja saponaria Molina)の樹皮から抽出された天然サポニン分子である。樹皮の粗抽出物から個々のサポニンを分離するために開発された精製技術により、親成分と比較して、より強いアジュバント活性およびより低い毒性を示すトリテルペングリコシドである特定のサポニン、QS21の単離が可能になった。QS21は、いくつかのサブユニットAgに対するMHCクラスIに制限されたCTLを活性化し、ならびにAg特異的リンパ球増殖を刺激することが示されている(Kensil, 1992)。
【0160】
体液性およびTH1型細胞性免疫応答の両方の誘導においては、MPLとQS21の組合せの相乗効果が存在すると考えられる。
【0161】
油/水乳濁液は、2種の油(トコフェロールおよびスクアレン)からなる有機相、ならびに乳化剤としてTween 80を含むPBSの水相を含む。乳濁液は、5%スクアレン、5%トコフェロール、0.4%Tween 80を含み、180 nmの平均粒子径を有し、SB62として知られる(WO 95/17210を参照)。得られる油滴は約180 nmのサイズを有するべきである。
【0162】
本発明における使用のためのアジュバントを、油/水乳濁液またはリポソーム製剤中、MPLとQS21の組合せとして製剤化することができる。この調製物を、0.7 mlのバイアル中で、凍結乾燥された抗原または融合タンパク質と混合して送達すべきである(バイアルは30〜300μgの抗原を含む)。
【0163】
また、免疫刺激オリゴヌクレオチドを用いることもできる。本発明のアジュバントまたはワクチンにおける使用のためのオリゴヌクレオチドの例としては、一般的には、少なくとも3個、より頻繁には少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む、CpG含有オリゴヌクレオチドが挙げられる。CpGモチーフとは、シトシンヌクレオチド、次いでグアニンヌクレオチドである。典型的には、CpGオリゴヌクレオチドはデオキシヌクレオチドである。一実施形態においては、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間は、ホスホロジチオエートであるか、またはより好ましくは、ホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステルおよび他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合されたヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートを製造する方法は、米国特許第5,666,153号、第5,278,302号およびWO 95/26204に記載されている。
【0164】
オリゴヌクレオチドの例は、以下の通り:
TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826; 配列番号36)
TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758; 配列番号37)
ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006; 配列番号38)
TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668; 配列番号39)
TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456; 配列番号40)、
であり、これらの配列はホスホロチオエート改変ヌクレオチド間結合を含んでもよい。
【0165】
代替的なCpGオリゴヌクレオチドは、それらが重要でない欠失または付加を有する点で上記の1個以上の配列を含んでもよい。
【0166】
CpGオリゴヌクレオチドを、当業界で公知の任意の方法により合成することができる(例えば、EP 468520を参照)。便利には、そのようなオリゴヌクレオチドを、自動化合成装置を用いて合成することができる。
【0167】
本発明の一実施形態においては、本発明における使用のためのアジュバント組合せは、以下の成分:3D-MPLおよびQS21(EP 0 671 948 B1);3D-MPLおよびQS21を含む水中油乳濁液(WO 95/17210、WO 98/56414);または他の担体と共に製剤化された3D-MPL(EP 0 689 454 B1)のうちの1種以上を含む。本発明において用いることができる他のアジュバント系は、米国特許第6,558,670号および第6,544,518号に記載の3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0168】
最終的なワクチンを、凍結乾燥製剤の再構成後に取得することができる。
【0169】
参考文献:
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2. Studier, F.W. (1991) J. Mol. Biol. 219, 37-44、
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【0170】
【0171】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、B型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)に由来するDタンパク質などのTヘルパーエピトープを提供する免疫学的融合パートナーに連結された、いわゆる腫瘍拒絶抗原PRAME(DAGEとしても知られる)から誘導された抗原を含む融合タンパク質、それを調製する方法およびワクチンを製剤化する方法ならびに限定されるものではないが、メラノーマ、乳癌、膀胱癌、NSCLCなどの肺癌、肉腫、卵巣癌、頭部および頸部癌、腎臓癌、結腸直腸癌、多発性ミエローマ、急性白血病などの白血病および食道癌などの様々な癌を治療するためのその使用に関する。
【0002】
さらなる実施形態においては、本発明はDタンパク質誘導体を含む融合パートナータンパク質およびそれを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な腫瘍関連抗原群のうち、癌精巣抗原は、その広い腫瘍特異的発現および一般的には、これらの抗原は健康な細胞中では発現されないという事実のため、免疫療法にとって興味深いものである。今までのところ、50種を超える癌/精巣抗原が記載されており、それらの多くについて、Tリンパ球により認識されるエピトープが同定されている。PRAMEは癌精巣抗原であり、潜在的な免疫療法として調査中である。
【0004】
免疫療法においては、癌抗原を、通常は、例えば、患者の免疫系を刺激して同抗原を発現する腫瘍を攻撃する、タンパク質としての抗原もしくはその免疫原性断片を含むワクチンとして、または該タンパク質をコードするDNAとして、もしくは該DNAを含むベクターとして、患者に導入する。
【0005】
好適な応答が刺激された場合、Tリンパ球(T細胞)は抗原を直接攻撃し、免疫応答の制御を提供する。1種の抗原型に特異的であるB細胞およびT細胞が生じる。免疫系が異なる抗原に曝露された時、異なるB細胞およびT細胞が形成される。リンパ球が生じる時、それらは通常、身体自身の組織(自己)を、通常は体内に認められない組織および粒子(非自己)とは異なるものとして認識するように学習する。一度、B細胞およびT細胞が形成されたら、2〜3個のこれらの細胞は増殖し、免疫系に関する「記憶」を提供する。これにより、免疫系は、同じ抗原に曝露される次の時点でより速くかつより効率的に応答することができる。
【0006】
特定の実験は、癌精巣抗原が免疫系における記憶機構を刺激することができることを示唆するようである。
【0007】
PRAMEは細胞死または細胞周期に関与するといくらかの人により仮定されている。それはメラノーマならびに肺、腎臓ならびに頭部および頸部などの様々な腫瘍において発現されることがいくつかのグループにより示されている。興味深いことに、それは急性リンパ球性白血病および急性骨髄性白血病などの40〜60%の白血病においても発現されるようであり、例えばExp Hematol. 2000 Dec; 28(12): 1413-22を参照されたい。患者においては、PRAMEの過剰発現は、該タンパク質を過剰発現しない人と比較して、より高い生存率およびより低い再発率と関連するようであることが観察されている。
【0008】
前記抗原およびその調製は、米国特許第5,830,753号に記載されている。PRAMEは、アクセッション番号U65011.1、BC022008.1、AK129783.1、BC014974.2、CR608334.1、AF025440.1、CR591755.1、BC039731.1、CR623010.1、CR611321.1、CR618501.1、CR604772.1、CR456549.1、およびCR620272.1の下でAnnotated Human Gene Database H-Inv DBに見出される。
【0009】
Dタンパク質は、グラム陰性細菌であるB型インフルエンザ菌の表面タンパク質である。Dタンパク質から誘導される免疫学的融合パートナーに関する情報を、WO 91/18926から取得することができる。
【0010】
時には、抗原の一部と異種融合パートナーの融合タンパク質を調製して、該抗原の免疫原性を増加させ、ならびに/または好適な量および/もしくは純度での該タンパク質の製造を援助する。例えば、MAGEの融合タンパク質および例えば、グラム陰性細菌であるB型インフルエンザ菌の表面タンパク質であるDタンパク質を記載するWO 99/40188を参照されたい。融合タンパク質を組換え的に調製し、Dタンパク質分泌配列を融合タンパク質中に組込んで、最終生成物の分泌および可溶化を潜在的に援助することができる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、
a)PRAMEまたはその免疫原性断片、および
b)Dタンパク質から誘導される異種融合パートナー、
を含む融合タンパク質であって、Dタンパク質の分泌配列(シグナル配列)を含まない前記融合タンパク質を提供する。
【0012】
本発明はさらに、Dタンパク質から誘導された本明細書に記載の融合パートナータンパク質であって、Dタンパク質の分泌配列またはシグナル配列を含まない前記融合パートナータンパク質を提供する。
【0013】
本発明はさらに、本明細書に記載の融合タンパク質およびその抗原または断片を提供する。
【0014】
本発明はさらに、Dタンパク質から誘導された融合パートナータンパク質であって、Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含むか、またはそれからなる前記融合パートナータンパク質を提供する。本発明の一実施形態においては、本明細書に記載のDタンパク質融合パートナータンパク質に由来する1個以上のアミノ酸を欠失させるか、または置換により置き換えることができる。このアミノ酸を本明細書で定義される保存的置換を用いて置換するか、または他のアミノ酸を用いることができる。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を置換することができる。
【0015】
本明細書に記載のDタンパク質融合パートナータンパク質はさらに、またはあるいは、野生型Dタンパク質配列と比較した場合、アミノ酸配列内に欠失または挿入を含んでもよい。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を挿入するか、または欠失させることができる。
【0016】
本出願の内容における、Dタンパク質の用語「分泌配列」または「シグナル配列」または「分泌シグナル」は、その天然のタンパク質のおよそアミノ酸1〜16、17、18または19を指すことが意図される。一実施形態においては、Dタンパク質の分泌もしくはシグナル配列または分泌シグナルとは、Dタンパク質のN末端の19個のアミノ酸を指す。用語「分泌配列」または「シグナル配列」または「分泌シグナル」は、本明細書においては互換的に用いられる。
【0017】
本発明の融合パートナータンパク質は、残りの完全長Dタンパク質を含むか、またはDタンパク質の残りのN末端のほぼ1/3を含んでもよい。例えば、Dタンパク質の残りのN末端の1/3は、Dタンパク質のおよそ、または約アミノ酸20〜127を含んでもよい。一実施形態においては、本発明における使用のためのDタンパク質配列は、Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含む。さらなる実施形態においては、本発明は、Dタンパク質配列の以下のアミノ酸のいずれか:17、18、19、20、21、もしくは22から開始し、Dタンパク質配列の以下のアミノ酸のいずれか:125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139もしくは140で終結する任意の配列を含むか、またはそれからなる。
【0018】
本明細書の内容における「残りの」とは、本明細書に記載の分泌またはシグナル配列を含まないDタンパク質の配列を意味する。
【0019】
図面および構築物/配列の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】構築物3および4のSDS-PAGE分析を示す。
【図2】構築物3aおよび4aのSDS-PAGE分析を示す。
【図3】CD4応答(AS01Bアジュバント)を示す。
【図4】CD8応答(AS01Bアジュバント-20070499)を示す。
【図5】CD4応答(AS15アジュバント)を示す。
【図6】CD8応答(AS15アジュバント)を示す。
【図7】本発明の構築物の実施例の印を付けたアミノ酸配列を示す。
【図8】LipoD-MAGE3-His(配列番号43)とpD1/3-PRAME-His(配列番号10)の間のアラインメントを示す。
【図9】インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質(配列番号45)とLipoD-MAGE3-His (配列番号43)の共有配列間のアラインメントを示す。
【図10】インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質(配列番号41)、pD-MAGE3-His (配列番号45)ならびにアミノ酸2-Dおよび3-Pを含まないpD1/3-PRAME-His(配列番号44)の構築物の共有配列間のアラインメントを示す。
【図11】pET21ベクター中に分泌シグナル(SS)およびHis-尾部(tail)(His)を含むか、または含まないpD1/3-PRAMEのSDS-PAGE分析を示す。
【図12】Dタンパク質1/3 MAGE-A3-His(配列番号44)の配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
融合タンパク質がPRAMEまたはその免疫原性断片を含む本発明の一実施形態においては、本発明のDタンパク質誘導体は該タンパク質の最初の約1/3、より具体的には、アミノ酸20〜127を含む。融合タンパク質がPRAMEまたはその免疫原性断片を含む本発明の代替的な実施形態においては、Dタンパク質はDタンパク質のN末端の109個のアミノ酸を用いる、該タンパク質の最初の約1/3を含む。本発明の一実施形態においては、Dタンパク質部分は、該タンパク質の分泌配列を含まない。本発明の一実施形態においては、Dタンパク質誘導体は脂質化されていない。
【0022】
一実施形態においては、本発明は、融合パートナータンパク質として、本明細書に記載のDタンパク質構築物を提供する。Dタンパク質構築物は、本明細書に記載のPRAMEもしくはMAGE-A3構築物をさらに含む構築物のための融合パートナータンパク質であるか、または別の癌抗原もしくは任意の他の抗原をさらに含む構築物のための融合パートナータンパク質であってよい。
【0023】
PRAMEもしくはその免疫原性断片とDタンパク質を含む融合タンパク質、またはDタンパク質を含む融合タンパク質、またはDタンパク質を含む融合パートナータンパク質については、分泌配列(またはシグナル配列)の存在が、産生される融合タンパク質の量に有害に影響し得るようである。
【0024】
PRAME
一態様においては、本発明の融合タンパク質は、本明細書に記載の融合パートナータンパク質およびPRAME抗原またはその免疫原性断片を含む。一般的には、PRAMEタンパク質は、509個のアミノ酸を有し、一実施形態においては、全部で509個のアミノ酸のPRAMEを用いることができる。いくつかの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープ、例えば、
VLDGLDVLL (PRA100-108; 配列番号13);
SLYSFPEPEA (PRA142-151; 配列番号14);
ALYVDSLFFL (PRA300-309; 配列番号15);
LYVDSLFFL (PRA301-309; 配列番号16)および
SLLQHLIGL (PRA425-433; 配列番号17)
が、PRAME上で同定されている。
【0025】
一般的には、これらのエピトープをできるだけ多く前記抗原中に含有させて、強力な免疫応答を生成させ、該抗原ができるだけ免疫原性であることを確保することが望ましい。しかし、強力な免疫学的アジュバントを含む製剤を用いることにより、所与の構築物のより低い免疫原性を相殺することが可能である。強力なアジュバントを、以下でより詳細に考察する。
【0026】
一態様においては、本発明は、完全長タンパク質を含む、からなるか、または本質的にからなる融合タンパク質のPRAME部分を提供する。
【0027】
しかしながら、本発明は、保存的置換を有するPRAME構築物にも拡張される。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を置換することができる。本明細書に記載のPRAME構築物はさらに、またはあるいは、野生型PRAME配列と比較した場合、アミノ酸配列内に欠失または挿入を含んでもよい。一実施形態においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸を挿入するか、または欠失させることができる。
【0028】
保存的置換はよく知られており、一般的には、配列アラインメントコンピュータープログラムにおけるデフォルトスコアリングマトリックスとして設定される。これらのプログラムとしては、PAM250 (Dayhoft M.O.ら(1978)、「タンパク質における進化的変化のモデル(A model of evolutionary changes in proteins)」、Atlas of Protein sequence and structure 5(3) M.O. Dayhoft (編), 345-352)、National Biomedical Research Foundation, Washington, ならびにBlosum 62 (Steven HenikoftおよびJorja G. Henikoft (1992)、「タンパク質ブロックに由来するアミノ酸置換マトリックス(Amino acid substitution matricies from protein blocks)」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (Biochemistry): 10915-10919が挙げられる。
【0029】
一般的な用語では、以下の群内の置換が保存的置換であるが、群間の置換は非保存的であると考えられる。その群は、
i)アスパラギン酸/アスパラギン/グルタミン酸/グルタミン
ii)セリン/トレオニン
iii)リジン/アルギニン
iv)フェニルアラニン/チロシン/トリプトファン
v)ロイシン/イソロイシン/バリン/メチオニン
vi)グリシン/アラニン
である。
【0030】
一般的には、本発明の融合タンパク質において用いられるPRAME配列/アミノ酸は、天然のPRAMEと85%、90%、95%およびより具体的には99%などの80%を超えて同一であるであろう。しかしながら、当業者であれば、クローニングプロセスの結果として生成されるアミノ酸残基を、組換え合成されたタンパク質中で保持できることに気付くであろう。これらが生成物の特徴に有害に影響しない場合、それらを除去するかどうかは任意である。
【0031】
一態様においては、本発明は、完全長PRAMEタンパク質を含む、からなる、または本質的にそれからなる本明細書に記載の融合タンパク質を提供する。さらなる態様においては、本発明の融合タンパク質のPRAME部分は、1個以上の以下のエピトープ:
VLDGLDVLL (PRA100-108; 配列番号13);
SLYSFPEPEA (PRA142-151; 配列番号14);
ALYVDSLFFL (PRA300-309; 配列番号15);
LYVDSLFFL (PRA301-309; 配列番号16)および
SLLQHLIGL (PRA425-433; 配列番号17)
を含む、からなる、または本質的にそれからなる。
【0032】
融合タンパク質
本発明のさらなる実施形態においては、PRAME以外の腫瘍抗原またはPRAMEに加えた腫瘍抗原を、本明細書に記載の融合タンパク質中で用いることができる。一実施形態においては、本明細書に記載の融合パートナータンパク質と、前記抗原に対する免疫応答を指令することができる1種以上の以下の腫瘍抗原:MAGE抗原、例えば、MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE4、MAGE5、MAGE6、MAGE7、MAGE8、MAGE9、MAGE10、MAGE11、MAGE12などのMAGE-A抗原または腫瘍抗原誘導体またはその免疫原性部分を含む融合タンパク質が提供される。これらの抗原は、時にはMAGE A1、MAGE A2、MAGE A3、MAGE A4、MAGE A5、MAGE A6、MAGE A7、MAGE A8、MAGE A9、MAGE A 10、MAGE A11および/またはMAGE A12(MAGE Aファミリー)として知られる。一実施形態においては、2種のさらなるMAGEファミリー:MAGE BおよびMAGE C群の一方に由来する抗原を用いることができる。MAGE Bファミリーは、MAGE B1(MAGE Xp1、およびDAM 10としても知られる)、MAGE B2(MAGE Xp2およびDAM 6としても知られる)、MAGE B3ならびにMAGE B4を含む。Mage Cファミリーは現在、MAGE C1およびMAGE C2を含む。
【0033】
本発明における使用のためのMAGE抗原は、完全長MAGE抗原を含んでもよい。あるいは、MAGE抗原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸を、前記アミノ酸配列から欠失させることができるか、またはその中で置換することができるMAGEの免疫原性部分を含んでもよい。本発明の一実施形態においては、2個のアミノ酸を、MAGE配列のN末端から欠失させることができる。前記抗原がMAGE-A3またはその免疫原性部分である本発明の一実施形態においては、MAGE-A3の配列はMAGE-A3のアミノ酸3〜314であってよい。
【0034】
別の実施形態においては、本発明における使用のための腫瘍抗原または誘導体は、PRAME、BAGE、LAGE 1、LAGE 2 (NY-ESO-1としても知られる)、SAGE、HAGE、XAGE、PSA、PAP、PSCA、P501S (プロステインとしても知られる)、HASH1、HASH2、Cripto、B726、NY-BR1.1、P510、MUC-1、プロスターゼ、STEAP、チロシナーゼ、テロメラーゼ、スルビビン、CASB616、P53、および/もしくはHer-2/neuまたは該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分であってよい。
【0035】
本発明のさらなる実施形態においては、腫瘍抗原は、以下の抗原:SSX-2; SSX-4; SSX-5; NA17; MELAN-A; P790; P835; B305D; B854; CASB618 (WO00/53748に記載); CASB7439 (WO01/62778に記載); C1491; C1584; およびC1585のうちの1つ、または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分を含むか、またはそれからなってもよい。
【0036】
一実施形態においては、本発明における使用のための抗原は、P501Sを含むか、またはそれからなってもよい。プロステイン(Xuら、Cancer Res. 61, 2001, 1563-1568)とも呼ばれるP501Sは、WO 98/37814の配列番号113として知られており、553アミノ酸のタンパク質である。上記参考特許出願に開示された少なくとも20個、好ましくは50個、より好ましくは100個の連続するアミノ酸を含むその免疫原性断片および部分を、本発明の融合タンパク質中で用いることができる。好ましい断片はWO 98/50567(PS108抗原)に、および前立腺癌関連タンパク質(WO 99/67384の配列番号9)として開示されている。他の好ましい断片は、完全長P501Sタンパク質のアミノ酸51〜553、34〜553または55〜553である。
【0037】
一実施形態においては、前記抗原はウィルムス腫瘍遺伝子により発現されるWT-1;または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分;またはWT-1の約もしくはおよそアミノ酸1〜249を含むN末端断片WT-1Fを含むか、またはそれからなってもよい。
【0038】
さらなる実施形態においては、前記抗原は、Her-2/neu遺伝子により発現される抗原、または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその断片もしくは免疫原性部分を含むか、またはそれからなってもよい。一実施形態においては、Her-2/neu抗原は、WO 00/44899に記載される以下の融合タンパク質の1つであってよい。
【0039】
本発明における使用のための抗原は、HER-2/neuタンパク質の細胞外ドメイン(もしくはその断片)および細胞内ドメイン(もしくはその断片)を含む融合タンパク質(もしくはその断片)を指す、「ECD-ICD」または「ECD-ICD融合タンパク質」とも呼ばれる「HER-2/neu ECD-ICD融合タンパク質」を含むか、またはそれからなってもよい。一実施形態においては、このECD-ICD融合タンパク質は、HER-2/neu膜貫通ドメインの実質的部分を含まず、またはHER-2/neu膜貫通ドメインのいずれも含まない。
【0040】
さらなる実施形態においては、前記抗原は、HER-2/neuタンパク質の細胞外ドメイン(もしくはその断片)およびリン酸化ドメイン(もしくはその断片、例えば、ΔPD)を含む融合タンパク質(もしくはその断片)を指す、「ECD-ΔPD」もしくは「ECD-ΔPD融合タンパク質」とも呼ばれる、「ECD-PD」もしくは「ECD-PD融合タンパク質」または「HER-2/neu ECD-ΔPD融合タンパク質」とも呼ばれる、「HER-2/neu ECD-PD融合タンパク質」を含むか、またはそれからなってもよい。一実施形態においては、ECD-PDおよびECD-ΔPD融合タンパク質は、HER-2/neu膜貫通ドメインの実質的部分を含まず、またはHER-2/neu膜貫通ドメインのいずれも含まない。
【0041】
PRAME抗原と本明細書に記載のDタンパク質融合パートナータンパク質との融合タンパク質を、化学的に結合させることができるが、Dタンパク質または改変されたDタンパク質などの融合パートナーを含まないPRAMEのみと比較して、発現系において産生されるPRAMEタンパク質レベルを増加させることができる組換え融合タンパク質として発現させるのが好ましい。
【0042】
さらに、またはあるいは、本明細書に記載された腫瘍抗原および本発明の融合パートナータンパク質を化学的に結合させるか、またはDタンパク質もしくは改変されたDタンパク質などの融合パートナーを含まないPRAMEもしくは別の腫瘍抗原のみと比較して、発現系において産生されるPRAMEタンパク質もしくは別の腫瘍抗原のレベルを増加させることができる組換え融合タンパク質として発現させることができる。
【0043】
本明細書に記載の本発明の融合タンパク質はさらに、融合パートナータンパク質と腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分;または融合パートナータンパク質とHis尾部もしくは他のアフィニティータグ(存在する場合);または腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分とHis尾部もしくは他のアフィニティータグ(存在する場合)の間に1個以上のリンカー配列を含んでもよい。リンカー配列中のアミノ酸は、前記抗原および/または融合パートナーの配列と関連しなくてもよい。
【0044】
本明細書に記載の本発明の融合タンパク質はさらに、融合タンパク質配列のN末端にアミノ酸Met-Asp-Proを含んでもよい。Metアミノ酸は、元のDタンパク質配列に由来するものであってもよく、または非関連配列に由来するものであってよい。
【0045】
融合パートナーは、固有の組換えタンパク質よりも高い収率で前記タンパク質(発現エンハンサー)を発現させるのを援助することができる。その外来性質に起因して、融合パートナーDタンパク質は、in vivoで特に免疫原性であり、Tヘルパーエピトープ、好ましくは、CD4 T細胞により認識されるTヘルパーエピトープを提供することにより、PRAMEもしくは別の腫瘍抗原を含む融合タンパク質を援助してもよい。そのようなCD4-T細胞は、好ましい免疫応答、特に、CD8細胞溶解性T細胞応答を生成するのに寄与すると考えられる。
【0046】
一実施形態においては、前記融合パートナーは、発現増強パートナーおよび免疫学的融合パートナーの両方として働くことができる。
【0047】
一態様においては、本発明はDタンパク質(上記もしくは本明細書に記載のもの)のN末端部分がPRAMEのN末端またはその免疫原性断片に融合された融合タンパク質を提供する。より具体的には、Dタンパク質断片とPRAMEのN末端との融合を、PRAMEが切り出されたDタンパク質のC末端断片を置換するように行う。かくして、Dタンパク質のN末端は、融合タンパク質のN末端になる。
【0048】
さらなる態様においては、本発明は、Dタンパク質のN末端部分(上記もしくは本明細書に記載のもの)を腫瘍抗原もしくはその免疫原性断片のN末端もしくは別の部分に融合させる融合タンパク質を提供する。より具体的には、Dタンパク質断片と腫瘍抗原のN末端もしくは他の部分との融合を、本明細書に記載のPRAMEまたは他の腫瘍抗原もしくはその誘導体が、切り出されたDタンパク質のC末端断片を置換するように行うことができる。かくして、Dタンパク質のN末端は、融合タンパク質のN末端になる。
【0049】
他の融合パートナーまたはその断片を、本発明の融合タンパク質中に含有させるか、または例えば、本明細書に記載のPRAME抗原またはその断片もしくは部分を含む実施形態においては、本発明のDタンパク質エレメントを置換することができる。他の融合パートナーの例としては、
・インフルエンザウイルスに由来する非構造タンパク質、NS1(ヘマグルチニン)、典型的には、N末端の81アミノ酸を用いるが、それらがTヘルパーエピトープを含む条件で、異なる断片を用いることができる;
・例えば、残基188〜305などの残基178で開始するC末端に認められるLyta分子の反復部分などの、N-アセチル-L-アラニンアミダーゼ、アミダーゼLYTA(lytA遺伝子によりコードされる{Gene, 43 (1986) p.265-272})を合成する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)から誘導されるLYTA;
が挙げられる。
【0050】
そのアミノ末端にC-LYTA断片を含むハイブリッドタンパク質の精製が記載されている{Biotechnology: 10, (1992) p. 795-798}。
【0051】
本発明の融合タンパク質は、例えば、6個などの5〜9個のヒスチジンタグを含むヒスチジン尾部などのアフィニティータグを含んでもよい。これらの残基は、例えば、Dタンパク質の末端部分(Dタンパク質のN末端など)上にあってもよい、および/またはPRAME抗原もしくはその誘導体、または本明細書に記載の腫瘍抗原もしくはその誘導体の末端部分に融合させることができる。しかしながら、一般的には、ヒスチジン尾部を、PRAME抗原もしくはその誘導体、またはPRAME抗原もしくはその誘導体のC末端などの本明細書に記載の腫瘍抗原もしくはその誘導体、または本明細書に記載の腫瘍抗原もしくはその誘導体の末端部分に配置することができる。ヒスチジン尾部は、精製を助けるのに有利であってよい。
【0052】
本発明はまた、本発明のタンパク質をコードする核酸も提供する。そのような配列を、好適な発現ベクター中に挿入し、DNA/RNAワクチン接種に使用するか、または好適な宿主中で発現させることができる。前記核酸を発現する微生物ベクターを、ワクチンとして用いることができる。そのようなベクターとしては、例えば、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、リステリアおよびモノファージが挙げられる。
【0053】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列を、D.M. Robertsら、Biochemistry 1985, 24, 5090-5098により記載された酵素的連結、化学的合成、in vitro酵素ポリマー化、または例えば、熱安定性ポリメラーゼを用いるPCR技術、またはこれらの技術の組合せなどの標準的なDNA合成技術を用いて合成することができる。
【0054】
DNAの酵素的ポリマー化を、10〜37℃の温度で、一般的には、50μl以下の容量で、必要とされるヌクレオシド三リン酸dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを含有する好適なバッファー中、DNAポリメラーゼI(Klenow断片)などのDNAポリメラーゼを用いてin vitroで実行することができる。DNA断片の酵素的連結を、4℃〜周囲温度で、一般的には、50 ml以下の容量で、0.05M Tris (pH 7.4)、0.01M MgCl2、0.01Mジチオトレイトール、1 mMスペルミジン、1 mM ATPおよび0.1 mg/mlウシ血清アルブミンなどの好適なバッファー中、T4 DNAリガーゼなどのDNAリガーゼを用いて実行することができる。DNAポリマーまたは断片の化学的合成を、Chemical and Enzymatic Synthesis of Gene Fragments - A Laboratory Manual(H.G. GassenおよびA. Lang(編)), Verlag Chemie, Weinheim (1982)、または他の科学刊行物、例えば、M.J. Gait, H.W.D. Matthes, M. Singh, B.S. SproatおよびR.C. Titmas, Nucleic Acids Research, 1982, 10, 6243; B.S. SproatおよびW. Bannwarth, Tetrahedron Letters, 1983, 24, 5771; M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Tetrahedron Letters, 1980, 21, 719; M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Journal of the American Chemical Society, 1981, 103, 3185; S.P. Adamsら、Journal of the American Chemical Society, 1983, 105, 661; N.D. Sinha, J. Biernat, J. McMannusおよびH. Koester, Nucleic Acids Research, 1984, 12, 4539; ならびにH.W.D. Matthesら、EMBO Journal, 1984, 3, 801に記載のものなどの固相技術を用いる、従来のホスホトリエステル、亜リン酸またはホスホルアミダイト化学により実行することができる。
【0055】
本発明の方法を、Maniatisら、Molecular Cloning - A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor, 1982-1989に記載のものなどの従来の組換え技術により実施することができる。
【0056】
具体的には、前記方法は、
i)宿主細胞中で、前記タンパク質もしくはその免疫原性誘導体をコードするヌクレオチド配列を含むDNAポリマーを発現することができる複製可能な、もしくは組込み発現ベクターを調製する工程;
ii)宿主細胞を前記ベクターで形質転換する工程;
iii)前記DNAポリマーの発現を可能にして前記タンパク質を産生する条件下で前記形質転換された宿主細胞を培養する工程;ならびに
iv)前記タンパク質を回収する工程、
を含んでもよい。
【0057】
用語「形質転換する」とは、本明細書では外来DNAの宿主細胞への導入を意味するように用いられる。これを、例えば、Genetic Engineering; S.M. KingsmanおよびA.J. Kingsman(編); Blackwell Scientific Publications; Oxford, England, 1988に記載の従来の技術を用いて、例えば、好適なプラスミドまたはウイルスベクターを用いる形質転換、トランスフェクションまたは感染により達成することができる。用語「形質転換された」または「形質転換体」は、以後、目的の外来遺伝子を含み、発現する得られる宿主細胞に適用されるであろう。
【0058】
発現ベクターは新規であり、また、本発明の一部を形成する。
【0059】
複製可能な発現ベクターを、宿主細胞と適合可能なベクターを切断して、無傷のレプリコンを有する線状DNA断片を提供し、本発明のタンパク質、またはその誘導体をコードするDNAポリマーなどの所望の生成物をコードする該線状断片を、1個以上のDNA分子と、連結条件下で混合することにより、本発明に従って調製することができる。
【0060】
かくして、前記DNAポリマーを、必要に応じて、ベクターの構築の間に予備形成または形成することができる。
【0061】
ベクターの選択を、原核または真核生物であってよいが、一般的には大腸菌またはCHO細胞である宿主細胞により部分的に決定することができる。好適なベクターとしては、例えば、TMCP14もしくはpET21もしくはpET26、pcDNA3などのプラスミド、バクテリオファージ、コスミドおよび組換えウイルスが挙げられる。
【0062】
複製可能な発現ベクターの調製を、例えば、上記で引用されたManiatisらに記載の手順により、DNAの制限、ポリマー化および連結にとって好適な酵素を用いて従来的に実行することができる。
【0063】
組換え宿主細胞を、形質転換条件下で、本発明の複製可能な発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより、本発明に従って調製する。好適な形質転換条件は従来のものであり、例えば、上記で引用されたManiatisら、またはDNA Cloning Vol. II, D.M. Glover(編)、IRL Press Ltd, 1985に記載されている。
【0064】
形質転換条件の選択を、宿主細胞により決定する。かくして、大腸菌などの細菌宿主を、CaCl2の溶液(Cohenら、Proc. Nat. Acad. Sci., 1973, 69, 2110)またはRbCl、MnCl2、酢酸カリウムおよびグリセロールの混合物を含む溶液で処理した後、3-[N-モルホリノ]-プロパン-スルホン酸、RbClおよびグリセロールで処理することができる。培養中の哺乳動物細胞を、細胞上でのベクターDNAのカルシウム共沈降により形質転換することができる。本発明はまた、本発明の複製可能な発現ベクターで形質転換された宿主細胞にも拡張される。
【0065】
DNAを、標準的な技術によりコドン最適化して、関連する宿主の発現をさらに容易にすることができる。本発明の一実施形態においては、PRAME抗原またはその一部もしくは断片のヌクレオチド配列がコドン最適化された、本明細書に記載のPRAME抗原またはその一部もしくは断片を含む融合タンパク質をコードするDNAが提供される。一実施形態においては、Dタンパク質ヌクレオチド配列をコドン最適化しない。
【0066】
DNAポリマーの発現を可能にする条件下での形質転換された宿主細胞の培養を、例えば、上記で引用されたManiatisら、および「DNA Cloning」に記載のように、従来的に実行する。かくして、好ましくは、前記細胞に栄養素を供給し、50℃以下の温度で培養する。
【0067】
本発明のタンパク質を、原核生物または酵母などの真核生物中で発現させることができるが、大腸菌中で発現させるのが多い。AR58およびBLR DE3などの大腸菌の特定の株を用いることができる。
【0068】
一般的には、例えば、カナマイシン耐性またはアンピシリン耐性の選択マーカーを組込んで、組換え遺伝子/構築物の発現系への組込みの成功の同定を容易にする。
【0069】
前記産物を、宿主細胞に従う、および発現産物(細胞内または培養培地もしくは細胞ペリプラズム中に分泌される)の局在化に従う従来の方法により回収する。本発明の一実施形態においては、発現産物は細胞内のものである。本発明の一実施形態においては、発現産物は不溶性タンパク質である。かくして、宿主細胞が大腸菌などの細菌である場合、それを、例えば、物理的に、化学的にまたは酵素的に溶解し、タンパク質産物を得られる溶解物から単離することができる。宿主細胞が哺乳動物細胞である場合、一般的には、前記産物を栄養培地から、または無細胞抽出物から単離することができる。従来のタンパク質単離技術としては、選択的沈降、吸着クロマトグラフィー、およびモノクローナル抗体アフィニティーカラムなどのアフィニティクロマトグラフィーが挙げられる。
【0070】
本発明の一実施形態においては、本明細書に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質を細胞中で発現させる工程を含む本明細書に記載の融合タンパク質を製造する方法が提供される。この細胞は、細菌であってよい。前記細胞が細菌である一実施形態においては、該細菌は大腸菌であってよい。本発明の方法は、不溶性タンパク質として細胞中で本明細書に記載の融合タンパク質を発現させる工程を含んでもよい。前記方法はさらに、細胞を溶解し、溶解された細胞から発現された融合タンパク質を精製する工程を含んでもよい。
【0071】
本発明の一実施形態においては、本明細書に記載の方法またはプロセスにより得られた、または得られる融合タンパク質が提供される。
【0072】
本発明のタンパク質を、可溶性の液体形態または凍結乾燥形態で提供する。
【0073】
一般的には、各ヒト用量は1〜1000μgのタンパク質、および好ましくは30〜300μgのタンパク質を含むと予想される。
【0074】
本発明はまた、製薬上許容し得る賦形剤中に本発明の融合タンパク質を含むワクチンなどの医薬組成物も提供する。
【0075】
必要に応じて、前記ワクチンは、1種以上の他の腫瘍関連抗原もしくはポリペプチドを含んでもよく、または腫瘍関連抗原に基づく他の癌ワクチンと混合するのが好ましい。例えば、これらの腫瘍関連抗原は、本明細書に記載の抗原であり、ならびに/またはMAGE、LAGEおよびGAGEファミリーもしくはWT-1に属するメンバーであってよい。一実施形態においては、腫瘍関連抗原はMAGE-A3抗原を含むか、またはそれからなってもよい。
【0076】
一般的には、ワクチン調製物はVaccine Design (「The subunit and adjuvant approach」(Powell M.F. & Newman M.J(編)). (1995) Plenum Press New York)に記載されている。リポソーム内への封入は、Fullerton、米国特許第4,235,877号により記載されている。
【0077】
本発明のタンパク質を、本発明のワクチン製剤中で好ましくアジュバント化することができる。好適なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)もしくはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、鉄もしくは亜鉛の塩であってもよく、またはアシル化チロシン、もしくはアシル化糖、陽イオンもしくは陰イオン誘導体化多糖類、もしくはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。他の公知のアジュバントとしては、CpG含有オリゴヌクレオチドが挙げられる。このオリゴヌクレオチドは、CpGジヌクレオチドがメチル化されていないことを特徴とする。そのようなオリゴヌクレオチドはよく知られており、例えば、WO 96/02555に記載されている。
【0078】
本発明の製剤においては、アジュバント組成物がTH1型の免疫応答を優先的に誘導することが望ましい。一実施形態においては、例えば、モノホスホリルリピドA、好ましくは、3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)と、アルミニウム塩の組合せなどのアジュバント系が提供される。このアジュバントは、必要に応じて、TH1応答を優先的に誘導するCpGオリゴヌクレオチドをも含んでもよい。
【0079】
本発明において用いることができる増強された系は、モノホスホリルリピドAと、サポニン誘導体との組合せ、特に、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合せ、または、例えば、WO 96/33739に開示された、QS21がコレステロールでクエンチされた反応性の低い組成物を含む。
【0080】
例えば、水中油乳濁液中に、QS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む、本発明の製剤中で用いることができる製剤は、WO 95/17210に記載されている。
【0081】
本発明の製剤中で用いることができる別のアジュバント製剤は、例えば、水中油乳濁液中の、またはリポソーム製剤としてのQS21、3D-MPLおよびCpGまたはその等価物である。
【0082】
従って、本発明の一実施形態においては、本明細書に記載の融合タンパク質または融合パートナータンパク質および例えば、上記のアジュバントを含むワクチンが提供される。
【0083】
PRAMEおよびMAGEの組合せ
本発明の一実施形態においては、(a) PRAME抗原または本明細書に記載の融合タンパク質を含む抗原成分および(b) MAGE抗原または本明細書に記載の融合タンパク質を含む抗原成分を含む組成物が提供される。一実施形態においては、前記組成物は、本明細書に記載のアジュバントをさらに含んでもよい。
【0084】
前記組合せ中での使用のためのMAGE抗原は、完全長MAGE抗原を含んでもよい。あるいは、MAGE抗原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸を、前記アミノ酸配列から欠失させるか、またはその中で置換することができるMAGEの免疫原性部分を含んでもよい。本発明の一実施形態においては、2個のアミノ酸を、MAGE配列のN末端から欠失させることができる。前記抗原がMAGE-A3またはその免疫原性部分である本発明の一実施形態においては、MAGE-A3の配列はMAGE-A3のアミノ酸3〜314であってよい。
【0085】
上記の組合せについて、PRAMEおよび/もしくはMAGE抗原のいずれか、または両方は、本明細書に記載の融合タンパク質もしくはタンパク質の一部であってよく、または該抗原を他の融合タンパク質中で提供するか、もしくは抗原のみとして提供することができる。
【0086】
本発明の一実施形態においては、PRAME抗原と本明細書に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質およびMAGE-A3抗原と本明細書に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質を含む組成物が提供される。代替的な実施形態においては、MAGE-A3抗原を含む融合タンパク質は、MAGE-A3抗原と、Dタンパク質に由来する1個もしくは2個以上のアミノ酸が必要に応じて置換され、必要に応じて、Dタンパク質の最初の109個のアミノ酸に加えて、Dタンパク質のシグナル配列が存在する、Dタンパク質の最初の約109個のアミノ酸を含む融合パートナータンパク質とを含むか、またはそれからなる。
【0087】
必要に応じて、本発明の融合タンパク質は、前記抗原の配列と融合パートナータンパク質との間または前記抗原と、存在する場合、His尾部との間の「リンカー」として1個以上のアミノ酸をさらに含んでもよい。このアミノ酸は、前記抗原および/または融合パートナーの配列と関連していなくてもよい。
【0088】
本明細書に記載の本発明の融合タンパク質は、融合タンパク質配列のN末端にアミノ酸Met-Asp-Proをさらに含んでもよい。Metアミノ酸は、元のDタンパク質配列に由来するか、または未関連の配列に由来するものであってよい。
【0089】
一実施形態においては、本発明における使用のためのMAGE-A3およびDタンパク質を含む融合タンパク質の配列を、図12および配列番号43に示す。
【0090】
本発明はまた、前記ワクチン/組成物を調製する方法にも拡張される。
【0091】
(実施例)
4種の融合構築物を調製し、本明細書では実施例/構築物1、2、3および4と言う。コドン最適化された構築物を実施例3から調製し、本明細書では実施例3aと命名する。コドン最適化された構築物を実施例4から調製し、本明細書では実施例4aと命名する。
【0092】
実施例3aおよび実施例4aにおいては、前記分子のDタンパク質部分に関する配列は同じである。しかしながら、PRAME領域中の特定のコドンを改変して、発現をさらに改善し、実施例3aにおいては、PRAMEとhis尾部との間のリンカーを除去した。
【0093】
【0094】
上記の実施例の融合タンパク質は、Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含む。アミノ酸Met、AspおよびProを、Dタンパク質断片のN末端(すなわち、MDP-20-127 Dタンパク質)に含有させた。これらの3個の追加アミノ酸は、該タンパク質の安定性を援助し、および/またはそのタンパク質発現レベルを増加させることができる。Dタンパク質のアミノ酸127を、完全長PRAMEのN末端に融合させる(すなわち、Dタンパク質のアミノ酸127をPRAMEのN末端に融合させる)。精製を援助するための、ヒスチジンタグ尾部を、6種のタンパク質のうちの3種に含有させた。尾部の正確な配列は用いるプラスミドに依存する。
【0095】
3種の異なる型のプラスミド、TCMP14およびpET21またはpET26を構築した:各プラスミドについて、融合タンパク質をコードするDNAを、ヒスチジン尾部と共に、およびそれを用いずに含有させた。
【0096】
特に指摘しない限り、以下の一般的な戦略を、それぞれの実施例の調製において用いた。
【0097】
TCMP14ベクターを用いるPD1/3-PRAME(Hisタグを含むか、または含まない)組換えタンパク質の生成のためのクローニング戦略:
プラスミドTCMP14中で提供される配列の増幅を、3段階のPCR戦略を用いて行った。Dタンパク質遺伝子全体をコードするDNA配列を含むベクターpHIC348を、Dr. A. Forsgren, Department of Medical Microbiology, University of Lund, Malmo General Hospital, Malmo, Swedenから得た。Dタンパク質のDNA配列は、Jansonら(1991) {Janson H, LO Heden, A Grubb, M Ruan, & A Forsgren. 1991. Infect Immun 59:119-125}により公開されている。発現ベクターpMG81は、外来挿入遺伝子の転写および翻訳のためにバクテリオファージλ由来制御エレメントが導入された、pBR322の誘導体である(Shatzmanら、1983) {Shatzman A, YS Ho, & M Rosenberg. 1983. Experimental Manipulation of Gene Expression. Inouya (編) pp 1-14. Academic NY}。さらに、アンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子と交換した。NS1タンパク質の一部に関するコード配列(アミノ酸4〜81)を、複数クローニング部位に置換して、pMG81 MCSを得た。Dタンパク質の1/3のコード配列(アミノ酸20〜127)を、BamHIおよびNcoI制限部位を用いてpMG81 MCS中にクローニングして、pMG81-1/3PDを得た。第1に、Dタンパク質のアミノ酸20〜127に対応する断片のPCR増幅を、鋳型としてのpMF81-1/3PDベクターならびにオリゴヌクレオチドセンス:
5’ ATA TAA CAT ATG GAT CCA AGC AGC CAT TCA TCA AAT 3’ (CAN008; 配列番号18)およびアンチセンス:
5’ CCA CAA ACG CCT TCG TTC CAT GGT TTC AAA GTT TTC TGT C 3’ (CAN037; 配列番号19)
を用いて行った。
【0098】
Ludwid Institute, Brussels, Belgiumから得たPRAME cDNAを、pCDNA1ベクター(Invitrogen)のBstx1-Not1部位に挿入して、pCDNA-1-PRAME組換えベクターを作製した。PRAMEタンパク質のアミノ酸に対応する断片のPCR増幅を、鋳型としてのpcDNA-1-PRAMEベクター(GSKBio)ならびにオリゴヌクレオチドセンス:
5’ GAC AGA AAA CTT TGA AAC CAT GGA ACG AAG GCG TTT GTG G 3’ (CAN036; 配列番号20)およびhis尾部を添加するか(CAN002)、または添加しない(CAN029)かどうかに応じて、アンチセンス:
5’ AGA GAG ACT AGT CTA GTT AGG CAT GAA ACA GGG GCA CAG 3’ (CAN029; 配列番号21)または
5’ GGA GGA ACT AGT GTT AGG CAT GAA ACA GGG GCA CAG 3’ (CAN002; 配列番号22)
を用いて行った。TCMP14プラスミド中に挿入される最終的なPRAME配列を、鋳型ならびにオリゴヌクレオチドセンス:CAN008、およびhis尾部が存在するか(CAN002)、もしくは存在しないか(CAN029)に応じて、アンチセンス:CAN029もしくはCAN002のために予備工程において作製された1/3PDおよびPRAME遺伝子鋳型を用いるPCR増幅後に得た。また、TCMP14ベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNdeI部位および3'末端にSpeI部位を加えた。
【0099】
pET21ベクターを用いるHis-タグ組換えタンパク質を含むか、または含まない組換えタンパク質1/3PD-PRAMEを発現するベクター設計の構築:
PRAME遺伝子のコード配列を含有するpcDNA1-PRAMEと呼ばれる組換えcDNAプラスミド(以前の戦略に記載)と、Dタンパク質コード配列のN末端部分を含有するベクターPMG81-1/3PD(以前の戦略に記載)とを用いた。このクローニング戦略は、以下の工程を含んでいた。
【0100】
a)第1に、分泌シグナル(分泌もしくはシグナル配列)を含まない1/3PD配列を、オリゴヌクレオチドセンス:5’ AGAGAGCATATGAGCAGCCATTCATCAAATATGGCG (CAN040; 配列番号22)、およびアンチセンス:5’ ACGTGGGCGGCCGCGGTTTCAAAGTTTTCTGTCATTTCTAA (CAN032; 配列番号23)を用いて、プラスミドPMG81-1/3PDからPCR増幅した;また、pET21b(+)ベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNdeI部位および3'末端にNotI部位を加えた。
【0101】
b)PRAME配列を、オリゴヌクレオチドセンス:5’ TTGTTGGCGGCCGCAATGGAACGAAGGCGTTTGTGGGGT (CAN033; 配列番号25)、およびアンチセンス: 5’ GGAGGACTCGAGGTTAGGCATGAAACAGGGGCACAG (CAN034; 配列番号26)を用いて、プラスミドpcDNA1-PRAMEからPCR増幅した;また、pET21bベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNotI部位および3'末端にXhoI部位を加えた。この増幅は、pET21b(+)プラスミド中、タンパク質のC末端に、2個のアミノ酸、LeuおよびGluの付加、次いで、6個のHisの付加をもたらした。His-タグを含まないタンパク質の作製のために、CAN033およびCAN034の代わりに、CAN033およびCAN035(アンチセンス:5’ GGAGGACTCGAGCTAGTTAGGCATGAAACAGGGGCACAG (CAN035; 配列番号XX)を用いることにより、PRAME遺伝子の3'末端に停止コドン(TAG)を付加した。
【0102】
c)上記増幅断片をpET21b(+)プラスミド(Invitrogen)中にクローニングした。
【0103】
d)QuikChange II Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)ならびにオリゴヌクレオチドセンス:5’ CAGAAAACTTTGAAACCATGGAACGAAGGCG (CAN106; 配列番号XX)、およびアンチセンス: 5’ cgccttcgttccatggtttcaaagttttctg (CAN107; 配列番号XX)を用いることにより、1/3PDとPRAMEの間のNotI部位を除去した。
【0104】
e)突然変異誘発ならびにオリゴヌクレオチドセンス:5’ GGAGATATACATATGGATCCAAGCAGCCATTCATCAAATATGG (CAN104; 配列番号XX)およびアンチセンス: 5’ CCATATTTGATGAATGGCTGCTTGGATCCATATGTATATCTCC (CAN105; 配列番号XX)を用いることにより、Dタンパク質の1/3のN末端の位置1に、Metの後に2個のアミノ酸AspおよびProを付加した。
【0105】
pET26ベクター中でコドン最適化された組換えタンパク質1/3PD-PRAME(Hisタグを含まないか、または含む)を発現するベクター設計の構築:
PRAME遺伝子をコドン最適化し、最適化された遺伝子の、それぞれ5'末端および3'末端中にNotIおよびXhoI部位を付加したpGA4骨格中にクローニングした。
【0106】
0606420pGA4と命名されたこのプラスミドを用いて、以下の工程を用いてpET26ベクター中のPD1/3との融合物中に前記遺伝子をクローニングした。
【0107】
a)0606420pGA4プラスミドから、前記遺伝子の3'末端に停止コドンを有する最適化されたPRAME配列に対応するNotI/XhoI断片を除去した。
【0108】
b)上記のCAN040およびCAN032オリゴヌクレオチドを用いて1/3PDの以前にクローニングされたNdeI/NotIを含み、CAN104およびCAN105オリゴヌクレオチドを用いる突然変異誘発方法によりN末端にAspおよびProアミノ酸が付加されたpET26b(+)プラスミド中に、最適化されたPRAME断片をクローニングした。
【0109】
c)オリゴヌクレオチドセンス:5’ GACAGAAAACTTTGAAACCATGGAACGTCGTCGTCTGTGG (CAN123; 配列番号XX)およびアンチセンス: 5’ CCACAGACGACGACGTTCCATGGTTTCAAAGTTTTCTGTC (CAN124; 配列番号XX)を用いる突然変異誘発により、NotI部位を除去した。これにより、His尾部を含まない1/3PD-PRAMEコドン最適化された融合タンパク質が得られた。
【0110】
d)次いで、このプラスミドを、6個のHisプラスミドでコドン最適化された1/3PD-PRAMEの作製のための鋳型として用いた。融合タンパク質のPCR増幅を、オリゴヌクレオチドセンス:5’ GGAATTCCATATGGATCCAAGCAGCCATTC (CAN199;配列番号XX)およびアンチセンス: 5’ GGAGCTCTCGAGTCAGTGGTGGTGGTGGTGGTGGTTCGGCATAAAGCACGGGC (CAN198; 配列番号XX)を用いて行った;また、pET26b(+)ベクターへの前記断片のクローニングのために、5'末端にNdeI部位、3'末端にXhoI部位、次いで6個のHisおよび停止コドンを付加した。
【0111】
e)Invitrogen社製pET26b(+)プラスミド中に増幅断片をクローニングした。
【0112】
融合タンパク質の製造のために、DNA構築物を発現ベクターTCMP14中にクローニングした。このプラスミドは、λファージDNAに由来するシグナルを利用して、挿入された外来遺伝子の転写および翻訳を駆動する。このベクターは、λPLプロモーターPL、オペレーターOLおよび2個の利用部位(NutLおよびNutR)を含み、Nタンパク質が提供される場合、転写極性効果を軽減する(Grossら、1985. Mol. & Cell. Biol. 5:1015)。
【0113】
pD-PRAME融合タンパク質を発現するプラスミドを設計し、PRAMEアミノ酸を、そのシグナル配列(分泌もしくはシグナル配列)を含まないpDの108アミノ酸の誘導体(すなわち、残基20〜127)のC末端に付加した。この構築物に、3個の非関連アミノ酸(MetおよびAspおよびプロリン)を、pDの誘導体のN末端に付加し、特定の構築物については、PRAMEアミノ酸のC末端にhis尾部を含有させた(上記の表Aを参照)。あるいは、この構築物は、N末端のMetがpD配列に由来すると考えられる場合、pDの109アミノ酸の誘導体を含むものとして記載することができる。
【0114】
宿主株および形質転換
大腸菌株AR58(Mottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol 82, pp 88-92, January 1985, Biochemistry)に由来する宿主を、実施例/構築物1および2のためにプラスミドDNAを用いて形質転換した。
【0115】
実施例/構築物1および2の製造に用いたAR58溶原性大腸菌株は、標準的なNIH大腸菌K12株N99(F-su-galK2、lacZ-thr-)の誘導株である。それは、欠損性溶原性λファージを含む(galE::TN10, l Kil- cI857 DH1)。Kil-表現型は、宿主の大分子合成の遮断を防止する。cI857突然変異は、cIリプレッサーに対して温度感受性障害を付与する。DH1欠失は、λファージの右側オペロンならびに宿主のbio、uvr3、およびch1A座を除去する。SA500誘導体(galE::TN10, l Kil- cI857 DH1)に対する、予め増殖させたPλファージ保存液を用いるN99の形質導入により、AR58株を作製した。隣接するgalE遺伝子中のテトラサイクリン耐性をコードするTN10トランスポゾンの存在のおかげで、N99への欠損性溶原菌の導入をテトラサイクリンを用いて選択した。N99およびSA500は、米国立衛生研究所のMartin Rosenberg博士の研究室に由来する大腸菌K12株である。
【0116】
PLプロモーターを含むベクターを、大腸菌溶原性宿主に導入して、プラスミドDNAを安定化させる。溶原性宿主株は、ゲノム中に組込まれたレプリコン欠損性λファージDNAを含む(Shatzmanら、1983; In Experimental Manipulation of Gene Expression. Inouya (編) pp 1-14. Academic Press NY)。λファージDNAは、ベクターのOLリプレッサーに結合し、PLプロモーターへのRNAポリメラーゼの結合を阻害し、それによって挿入された遺伝子の転写を阻害するcIリプレッサータンパク質の合成を指令する。発現株AR58のcI遺伝子は、PLに指令される転写を温度シフトにより調節することができる、すなわち、培養温度の上昇がリプレッサーを不活化し、外来タンパク質の合成が開始されるような、温度感受性突然変異を含む。この発現系により、特に、細胞に対して毒性的であり得る外来タンパク質の合成の制御が可能になる(Shimataka & Rosenberg, 1981. Nature 292:128)。
【0117】
大腸菌株BLR (DE3) Novagen, WI, USA (カタログ番号69053-4) BLR (DE3) Novagen, WI, USA (カタログ番号69053-4) BLR由来の宿主は、プラスミドモノマー収率を改善し、反復配列を含む標的プラスミドを安定化するのを助けることができるBL21のrecA-誘導体であるか、またはDE3プロファージ(1,2)の喪失を引き起こし得るその産物を実施例/構築物3および4に由来するプラスミドDNAを用いて形質転換されたものである。
【0118】
それぞれの形質転換を、CaCl2で処理された細胞を用いる標準的な方法により実行した(Hanahan D. << Plasmid transformation by Simanis. >> In Glover, D. M. (編), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)。
【0119】
細菌宿主株の増殖および誘導
・培養
20 mlのLuria-Bertani(LB)培地(BD) + 1%(w/v)グルコース(Laboratoire MAT、カタログ番号GR-0101) + 抗生物質(pET21bについてはカルベニシリン100μg/ml、TCMP14についてはカナマイシン40μg/ml)上で細菌を増殖させた。培養物を、AR58細胞については33℃で、BLR(DE3)細胞については37℃で、O.D.600nmが約0.8になるまでインキュベートした。
【0120】
・誘導
約0.8のO.D.600nmで、培養物BLR(DE3)を、1 mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG;EMD Chemicals Inc.、カタログ番号5815)で誘導し、37℃で2時間または3時間インキュベートしたが、より低い温度を用いる場合、溶解度を増加させることができる。
【0121】
約0.8のO.D.600nmで、培養物AR58を、37℃での熱活性化により誘導し、7時間インキュベートした。
【0122】
細菌増殖は、2つの発現系にとって十分であった。
【0123】
・タンパク質の抽出および精製
培養物中での前記ポリペプチドの発現の際に、典型的には細胞を遠心分離により収穫した後、物理的または化学的手段(発現されたポリペプチドが培地中に分泌されない場合)により破壊し、得られる粗抽出物を保持して目的のポリペプチドを単離する。BugBuster(商標)Protein Extraction Reagentを、供給業者(Novagen)により推奨される条件下で用いる。
【0124】
PD1/3-Prame-hisタンパク質精製
大腸菌細胞ペーストを、20 mM TrisバッファーpH 8.5中に再懸濁した後、ホモジェナイザー系(Niro Soavi S.p.A.社製Panda、2回通過、750バール)を通過させた。2 mM MgCl2およびBenzonase (50 U/ml)を添加した後、ホモジェネートを緩やかな攪拌下、室温(RT)で1時間インキュベートした後、15900 gかつRTで30分間遠心分離した。得られるペレットを、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および60 mMグルタチオンを含む20 mM Tris
バッファーpH 8.5中に再懸濁し、緩やかな攪拌下、RTで30分間インキュベートした。15900 gかつRTで30分間遠心分離した後、ペレットを廃棄した。
【0125】
遠心分離上清を、6.66 M尿素、0.333 M塩化ナトリウム(NaCl)および11.11 mMイミダゾールを含む20 mM Trisバッファー中に10倍希釈した後、0.1%SDS、6.0 M尿素、0.3 M NaClおよび10 mMイミダゾールを含む20 mM TrisバッファーpH 8.5中で平衡化させたニッケルイオン金属アフィニティカラム(IMAC Sepharose 6 FF-GE Healthcare)上でのクロマトグラフィー分離に供した。0.5%サルコシル、6.0 M尿素、0.3 M NaClおよび10 mMイミダゾールを含む20 mM TrisバッファーpH 8.5を用いてカラムを洗浄した後、同じ洗浄バッファー中のイミダゾールの濃度を40 mMまで増加させることにより、カラムから抗原を溶出させた。50 mMまでリン酸を添加した後、抗原陽性溶出液を、50 mMリン酸、0.5%サルコシル、6.0 M尿素および0.3 M NaClを含む20 mM TrisバッファーpH 8.5中で平衡化させたMacro-Prep Ceramic Hydroxyapatite type IIカラム(Bio-Rad)に通過させた。次いで、抗原を含むヒドロキシアパタイト流出液を、Omega 30 kDa膜(Pall)上、3.15%スクロースを含む5 mMホウ酸バッファーpH 9.8に対してダイアフィルトレーションした。限外濾過保持液を、0.45/0.22μm酢酸セルロース膜(Sartorius)を通す濾過により滅菌した。精製された材料を-70℃で保存した。
【0126】
また、以下の工程:
・ベンゾナーゼ処理を行わない、
・IMACカラム上でSDSからサルコシルへのシフトを行わない(抽出からHA工程までSDS)、
・ダイアフィルトレーションに用いるバッファーが5 mM TrisバッファーpH 8.5-0.5 Mアルギニンであった、
において上記プロセスとは異なる、代替的な精製プロセスも用いた。この代替的な精製プロセスにより、約0.05および0.085%の残留値を有する不完全なSDS除去が得られた。
【0127】
・精製
発現された組換えタンパク質を、樹脂の製造業者からの指示書に従って、His-Bind金属キレート化樹脂(QIAgen, Chatsworth, CA)を用いて誘導された大腸菌を遠心分離した後に得られた上清画分から精製した。
【0128】
タンパク質の特性評価
SDS-Page:
ゲル:NuPAGE 4-12%Bis-Tris Gel 1.0 mm 15または26ウェル(Invitrogenカタログ番号NP0323BOX)。
【0129】
his-タグを含むか、または含まない異なる組換え1/3pD-PRAMEタンパク質が約70 kDaの見かけの分子量でゲル上で移動する、それぞれ、実施例3および4ならびに3aおよび4aのSDS page分析を示す、以下の図1および2を参照されたい。組換えタンパク質は、誘導後、大腸菌細胞溶解物中に封入体として認められる。
【0130】
サンプル、バッファーおよび移動条件の調製を、供給業者(Invitrogen)により推奨される条件下で行った。10μlの全調製物を、100μlの培養等価物に対応するウェル中に載せた(誘導前(BI)および誘導後(AI))。
【0131】
図1の凡例:組換えpET21で形質転換された大腸菌BLR DE3株のIPTG誘導後の組換え1/3PD-PRAMEのクマシーブルー染色後のSDS page分析を示す。25、30または37℃での1 mM IPTGを用いるBLR DE3株における誘導の2時間後に、等量の100μLの培養物をゲル上に載せた。クローン番号3(1/3PD-PRAME/pET21)およびクローン番号4(1/3PD-PRAME-His/pET21)を、可溶性(上清)および不溶性(ペレット)画分中で誘導前(BI)および誘導後(AI)にゲルに提示する。レーン1および10:標準的な広範囲プレスタイン(BioRadカタログ番号161-0318)、レーン2(クローン番号3、BI、上清)、レーン3(クローン番号3、BI、ペレット)、レーン4(クローン番号3、AI、25℃、上清)、レーン5(クローン番号3、AI、25℃、ペレット)、レーン6(クローン番号3、AI、30℃、上清)、レーン7(クローン番号3、AI、30℃、ペレット)、レーン8(クローン番号3、AI、37℃、上清)、レーン9(クローン番号3、AI、37℃、ペレット)。レーン11(クローン番号4、BI、上清)、レーン12(クローン番号4、BI、ペレット)、レーン13(クローン番号4、AI、25℃、上清)、レーン14(クローン番号4、AI、25℃、ペレット)、レーン15(クローン番号4、AI、30℃、上清)、レーン16(クローン番号4、AI、30℃、ペレット)、レーン17(クローン番号4、AI、37℃、上清)、レーン18(クローン番号4、AI、37℃、ペレット)。
【0132】
図2の凡例:組換えpET26で形質転換された大腸菌BLR DE3株のIPTG誘導後の組換え1/3PD-PRAMEのクマシーブルー染色後のSDS page分析を示す。25、30または37℃での1 mM IPTGを用いるBLR DE3株における誘導の2時間後に、等量の100μLの培養物をゲル上に載せた。クローン番号3a(1/3PD-PRAMEコドン最適化/pET26)およびクローン番号4a(1/3PD-PRAME-Hisコドン最適化/pET26)を、可溶性(上清)および不溶性(ペレット)画分中で誘導前(BI)および誘導後(AI)にゲルに提示する。レーン2および10:標準的な広範囲プレスタイン(BioRadカタログ番号161-0318)、レーン1(クローン番号3a、BI、上清)、レーン3(クローン番号3a、BI、ペレット)、レーン4(クローン番号3a、AI、25℃、上清)、レーン5(クローン番号3a、AI、25℃、ペレット)、レーン6(クローン番号3a、AI、30℃、上清)、レーン7(クローン番号3a、AI、30℃、ペレット)、レーン8(クローン番号3a、AI、37℃、上清)、レーン9(クローン番号3a、AI、37℃、ペレット)、レーン11(クローン番号4a、BI、上清)、レーン12(クローン番号4a、BI、ペレット)、レーン13(クローン番号4a、AI、25℃、上清)、レーン14(クローン番号4a、AI、25℃、ペレット)、レーン15(クローン番号4a、AI、30℃、上清)、レーン16(クローン番号4a、AI、30℃、ペレット)、レーン17(クローン番号4a、AI、37℃、上清)、レーン18(クローン番号4a、AI、37℃、ペレット)。
【0133】
ウェスタンブロット
3%ミルク/PBS 1Xの新鮮な溶液を用いて、37℃、60RPMで30分間、膜をブロックした。ブロッキングインキュベーションの後、1:5000の希釈率で一次抗体(ウサギ抗PRAME;GSK Biologicals SA)または1:3000の希釈率でα-6X Hisタグ(AbCam)を、3%ミルク/PBS 1Xの新鮮な溶液中、37℃、60RPMで1時間添加した。その後、0.02%Tween20/PBS 1Xを用いて室温で5分間、3回膜を洗浄した。3%ミルク/PBS 1Xの新鮮な溶液を用いて、1:20000の希釈率で二次抗体(ペルオキシダーゼ結合ロバ抗IgG(H+L)ウサギ抗体(Jackson laboratory))を添加した。膜を37℃、60RPMで1時間インキュベートした。その後、膜を0.02%Tween20/PBS 1Xを用いて室温で5分間、3回洗浄した後、供給業者の推奨に従って、膜をペルオキシダーゼ基質(KH2PO4、10 mM;(NH4)2SO4、10 mM;O-ジアニシジン、0.01%および過酸化水素0.045%)またはアルカリホスファターゼ基質(Sigma Fast)に曝露した。
【0134】
分子分析:
【0135】
実施例5
融合タンパク質中にDタンパク質1/3の分泌シグナル(分泌またはシグナル配列)を含むか、または含まないタンパク質の製造の評価
【0136】
図11:組換えpET21で形質転換された大腸菌BL21 DE3株のIPTG誘導後の分泌シグナルを含むか、または含まない組換え1/3PD-PRAMEのクマシーブルー染色後のSDS page分析を示す。37℃での1 mM IPTGを用いるBL21 DE3株における誘導の3時間後に、等量の100μLの培養物をゲル上に載せた。これらの構築物を、可溶性(上清)および不溶性(ペレット)画分中、誘導前(BI)および誘導後(AI)にゲル上に提示する。レーン1:標準的な広範囲プレスタイン(BioRadカタログ番号161-0318)、レーン2(pD1/3-PRAME + SS、BI、上清)、レーン3(pD1/3-PRAME + SS、BI、ペレット)、レーン4(pD1/3-PRAME + SS、AI、上清)、レーン5(pD1/3-PRAME + SS、AI、ペレット)、レーン6(pD1/3-PRAME + SS + His、BI、上清)、レーン7(pD1/3-PRAME + SS + His、BI、ペレット)、レーン8(pD1/3-PRAME + SS + His、AI、上清)、レーン9(pD1/3-PRAME + SS + His、AI、ペレット)、レーン10(pD1/3-PRAME w/o SS、BI、上清)、レーン11(pD1/3-PRAME w/o SS、BI、ペレット)、レーン12(pD1/3-PRAME w/o SS、AI、上清)、レーン13(pD1/3-PRAME w/o SS、AI、ペレット)、レーン14(pD1/3-PRAME w/o SS + His、BI、上清)、レーン15(pD1/3-PRAME w/o SS + His、BI、ペレット)、レーン16(pD1/3-PRAME w/o SS + His、AI、上清)、レーン17(pD1/3-PRAME w/o SS + His、AI、ペレット)。
【0137】
実施例6:AS01BまたはAS15中で製剤化されたPD-PRAME-Hisの免疫原性:一定用量のアジュバント中での抗原の用量範囲
目的:前臨床試験において用いるのに最も良い用量を選択するための抗原の用量範囲の決定。
【0138】
プロトコル:12匹のCB6F1マウスの6群が、0および14日目に以下のものの筋肉内(IM)注入を受けた:
1. PBS
2. AS01BまたはAS15中のPRAME(50*μg)
3. AS01BまたはAS15中のPRAME(10μg)
4. AS01BまたはAS15中のPRAME(2μg)
5. AS01BまたはAS15中のPRAME(0.4μg)
6. AS01BまたはAS15中のPRAME(0.08μg)
*50μgの意図される用量の代わりに、実際に投与されたのは44.7μgであった。
【0139】
AS01Bは、QS21および3D-MPLを含むリポソームアジュバント製剤である;AS15はQS21、3D-MPLおよびCpGを含むリポソームアジュバント製剤である。
【0140】
この実施例において用いられた構築物は、5 mM TrisバッファーpH8.5-0.5 Mアルギニン中で提供された、実施例/構築物3a(His尾部を有するpET26)であった。スクロースを含むホウ酸バッファー中で提供されたタンパク質を用いることもできる。
【0141】
読み出し:
・1μg/ml/ペプチド(15マー)でペプチドPRAMEのプールを用いるin vitroでの脾臓細胞の再刺激(1群あたり3匹のマウスの4つのプール)後、2回の注入の14日後の細胞内サイトカイン染色(ICS)。
【0142】
CD4応答(AS01Bアジュバント)
AS01Bアジュバントに関するCD4サイトカインのICSの結果を図3に示す。この実験で、これらの条件下でAS01BにおけるCD4応答を誘導するためのPRAME抗原の最良の用量は2μgであると結論付けることができる。
【0143】
CD8応答(AS01Bアジュバント)
AS01Bアジュバントに関するCD8サイトカインのICSの結果を図4に示す。このデータは、非常に低いCD8応答および群内応答の不均質性を示すようである。
【0144】
CD4応答(AS15アジュバント)
AS15アジュバントに関するCD4サイトカインのICSの結果を図5に示す。これらのデータは、AS15中で製剤化された44μg、10μg、2μgおよび0.4μgのPRAMEに関して類似するCD4応答が誘導され、0.08μgのPRAMEの場合、応答の誘導が低下したことを示すようである。
【0145】
CD8応答(AS15アジュバント)
AS15アジュバントに関するCD8サイトカインのICSの結果を図6に示す。これらのデータは、CD8応答がないことを示すようである(PBS群におけるバックグラウンド)。
【0146】
実施例7
まとめると、本明細書に記載の本発明について、以下の概要を用いて、今までのところ作製されたPD1/3-PRAMEの特定の構築物を説明することができる。
【0147】
PD1/3-PRAMEに用いられる構築物
Dタンパク質のシグナル配列は含まれない(Dタンパク質のアミノ酸2〜19)。
【0148】
Dタンパク質のメチオニンが含まれる(Dタンパク質のAA 1)。
【0149】
2個の非関連アミノ酸(AspおよびPro)がDタンパク質のアミノ酸2-Lysおよび3-Leuについて置換されている。
【0150】
Dタンパク質のシグナル配列の後のDタンパク質の最初の109個のアミノ酸が含まれる(N末端における最初のMet + Dタンパク質のアミノ酸20〜127を含む109個のアミノ酸)。
【0151】
PRAMEのアミノ酸1〜509が含まれる(PRAMEの完全長の元々の配列)。
【0152】
以下のもの:
・TCMP14プラスミド中でのクローニングのための3個の非関連アミノ酸(Thr、SerおよびGly)+6個のHis残基;または
・pET21プラスミド中でのクローニングのための2個の非関連アミノ酸(LeuおよびGlu)+6個のHis残基;または
・pET26プラスミド中でのクローニングのための6個のHis残基、
のうちの1つから構成されるHis尾部を含むか、または含まない。
【0153】
pD1/3-PRAME +/- His尾部タンパク質:
【0154】
本発明の構築物の実施例の印を付けたアミノ酸配列を図7に示す。
【0155】
以下の構築物のアラインメントを図8、9および10に示す:
LipoD-MAGE3-HisとD1/3-PRAME-Hisとのアラインメント(図8)、
インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質とLipoD-MAGE3-Hisとの共有配列間のアラインメント(図9)、
インフルエンザ菌に由来する元のDタンパク質、LipoD-MAGE3-HisおよびpD1/3-PRAME-Hisの共有配列間のアラインメント(図10)。
【0156】
融合タンパク質を用いるワクチン調製物の製剤:
本発明の融合タンパク質を、アジュバント化されているか、またはされていないワクチン中で製剤化することができる。一実施形態においては、アジュバントとして、前記製剤は油/水乳濁液中に3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)およびQS21の混合物を含んでもよい。アジュバント系SBAS2は、WO 95/17210に以前に記載されている。あるいは、本発明における使用のためのアジュバントは、水中油製剤またはリポソーム製剤中に3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)、QS21およびCpGを含んでもよい。
【0157】
3D-MPLは、グラム陰性細菌サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)のリポ多糖(LPS)に由来する免疫刺激剤である。MPLは脱アシル化されており、リピドA部分上のリン酸基を欠いている。この化学的処理は、免疫刺激特性を保存しながら、毒性を劇的に低下させる(Ribi, 1986)。
【0158】
様々なビヒクルと混合した3D-MPLは、体液性およびTH1型の細胞性免疫の両方を強力に増強することができると考えられる。
【0159】
QS21は、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja saponaria Molina)の樹皮から抽出された天然サポニン分子である。樹皮の粗抽出物から個々のサポニンを分離するために開発された精製技術により、親成分と比較して、より強いアジュバント活性およびより低い毒性を示すトリテルペングリコシドである特定のサポニン、QS21の単離が可能になった。QS21は、いくつかのサブユニットAgに対するMHCクラスIに制限されたCTLを活性化し、ならびにAg特異的リンパ球増殖を刺激することが示されている(Kensil, 1992)。
【0160】
体液性およびTH1型細胞性免疫応答の両方の誘導においては、MPLとQS21の組合せの相乗効果が存在すると考えられる。
【0161】
油/水乳濁液は、2種の油(トコフェロールおよびスクアレン)からなる有機相、ならびに乳化剤としてTween 80を含むPBSの水相を含む。乳濁液は、5%スクアレン、5%トコフェロール、0.4%Tween 80を含み、180 nmの平均粒子径を有し、SB62として知られる(WO 95/17210を参照)。得られる油滴は約180 nmのサイズを有するべきである。
【0162】
本発明における使用のためのアジュバントを、油/水乳濁液またはリポソーム製剤中、MPLとQS21の組合せとして製剤化することができる。この調製物を、0.7 mlのバイアル中で、凍結乾燥された抗原または融合タンパク質と混合して送達すべきである(バイアルは30〜300μgの抗原を含む)。
【0163】
また、免疫刺激オリゴヌクレオチドを用いることもできる。本発明のアジュバントまたはワクチンにおける使用のためのオリゴヌクレオチドの例としては、一般的には、少なくとも3個、より頻繁には少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む、CpG含有オリゴヌクレオチドが挙げられる。CpGモチーフとは、シトシンヌクレオチド、次いでグアニンヌクレオチドである。典型的には、CpGオリゴヌクレオチドはデオキシヌクレオチドである。一実施形態においては、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間は、ホスホロジチオエートであるか、またはより好ましくは、ホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステルおよび他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合されたヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートを製造する方法は、米国特許第5,666,153号、第5,278,302号およびWO 95/26204に記載されている。
【0164】
オリゴヌクレオチドの例は、以下の通り:
TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826; 配列番号36)
TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758; 配列番号37)
ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006; 配列番号38)
TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668; 配列番号39)
TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456; 配列番号40)、
であり、これらの配列はホスホロチオエート改変ヌクレオチド間結合を含んでもよい。
【0165】
代替的なCpGオリゴヌクレオチドは、それらが重要でない欠失または付加を有する点で上記の1個以上の配列を含んでもよい。
【0166】
CpGオリゴヌクレオチドを、当業界で公知の任意の方法により合成することができる(例えば、EP 468520を参照)。便利には、そのようなオリゴヌクレオチドを、自動化合成装置を用いて合成することができる。
【0167】
本発明の一実施形態においては、本発明における使用のためのアジュバント組合せは、以下の成分:3D-MPLおよびQS21(EP 0 671 948 B1);3D-MPLおよびQS21を含む水中油乳濁液(WO 95/17210、WO 98/56414);または他の担体と共に製剤化された3D-MPL(EP 0 689 454 B1)のうちの1種以上を含む。本発明において用いることができる他のアジュバント系は、米国特許第6,558,670号および第6,544,518号に記載の3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0168】
最終的なワクチンを、凍結乾燥製剤の再構成後に取得することができる。
【0169】
参考文献:
1. A. Roca (U. of Wisconsin), personal communication、
2. Studier, F.W. (1991) J. Mol. Biol. 219, 37-44、
3. Jan H. Kessleraら、The Journal of Experimental Medicine, Volume 193, Number 1, January 1, 2001 73-88、
4. Ikeda Hら、Immunity, Feb; 6(2): 1997, 199-208。
【0170】
【0171】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)PRAMEまたはその免疫原性断片、および
(b)Dタンパク質から誘導された異種融合パートナータンパク質、
を含む融合タンパク質であって、前記融合パートナータンパク質がDタンパク質に由来する分泌配列またはシグナル配列を含まない、前記融合タンパク質。
【請求項2】
Dタンパク質から誘導された融合パートナータンパク質であって、該融合パートナータンパク質が融合タンパク質配列のN末端に、またはその中にアミノ酸Met-Asp-Proを含み、且つDタンパク質の分泌配列またはシグナル配列を含まない、前記融合パートナータンパク質。
【請求項3】
Dタンパク質配列が、Dタンパク質のおよそもしくは正確にアミノ酸17〜127、18〜127、19〜127または20〜127を含むか、またはそれから成る、請求項2に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項4】
Dタンパク質融合パートナータンパク質に由来する1個以上のアミノ酸が欠失されたか、または置換により置き換えられたものである、請求項2または3に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項5】
前記アミノ酸が保存的置換により置換されたものである、請求項4に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項6】
1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸が置換されたものである、請求項4または5に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項7】
Dタンパク質の分泌配列またはシグナル配列が、天然タンパク質のおよそアミノ酸1〜16、17、18または19を指す、請求項2〜6のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項8】
Dタンパク質の分泌配列またはシグナル配列がDタンパク質のN末端の19アミノ酸である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質。
【請求項10】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質と、1以上の腫瘍抗原またはその免疫原性部分とを含む融合タンパク質。
【請求項11】
腫瘍抗原PRAMEまたはその免疫原性部分を含む、請求項9または10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
PRAMEの免疫原性断片または部分が、以下のエピトープ:
VLDGLDVLL (PRA100-108; 配列番号XX);
SLYSFPEPEA (PRA142-151; 配列番号XX);
ALYVDSLFFL (PRA300-309; 配列番号XX);
LYVDSLFFL (PRA301-309; 配列番号XX)および
SLLQHLIGL (PRA425-433; 配列番号XX)
のうちの1以上を含むか、またはそれから成る、請求項1または11に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
以下の腫瘍抗原もしくは腫瘍抗原誘導体またはその免疫原性部分:MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MAGE 5、MAGE 6、MAGE 7、MAGE 8、MAGE 9、MAGE 10、MAGE 11、MAGE 12、MAGE B1、MAGE B2、MAGE B3、MAGE B4、MAGE C1、MAGE C2のうちの1以上を含む、請求項9または10に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸を、MAGE抗原のアミノ酸配列から欠失させるか、またはその中で置換することができる、請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
2個のアミノ酸がMAGE配列のN末端から欠失されたものである、請求項14に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記抗原がMAGE-A3またはその免疫原性部分であり、該MAGE-A3抗原がMAGE-A3のアミノ酸3〜314を含むか、またはそれから成る、請求項13、14または15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
腫瘍抗原またはその誘導体が、以下の抗原:WT-1、WT-1F、BAGE、LAGE 1、LAGE 2 (NY-ESO-1としても知られる)、SAGE、HAGE、XAGE、PSA、PAP、PSCA、P501S (プロステインとしても知られる)、HASH1、HASH2、Cripto、B726、NY-BR1.1、P510、MUC-1、プロスターゼ、STEAP、チロシナーゼ、テロメラーゼ、スルビビン、CASB616、P53、および/もしくはHer-2/neu、SSX-2; SSX-4; SSX-5; NA17; MELAN-A; P790; P835; B305D; B854; CASB618 (WO 00/53748に記載); CASB7439 (WO 01/62778に記載); C1491; C1584;ならびにC1585または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分の1つから選択される、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
アフィニティタグをさらに含む、請求項1または9〜17のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
融合パートナータンパク質と腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分との間;および/または融合パートナータンパク質とHis尾部もしくは他のアフィニティタグとの間;および/または腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分とHis尾部もしくは他のアフィニティタグとの間に1以上のリンカー配列をさらに含む、請求項1または10〜18のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の融合タンパク質または融合パートナータンパク質をコードする核酸配列。
【請求項21】
請求項20に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項22】
請求項21に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の融合タンパク質もしくは融合パートナータンパク質または請求項20に記載の核酸または請求項21に記載のベクターを含むワクチン。
【請求項24】
アジュバント、および/または免疫刺激性サイトカインもしくはケモカインをさらに含む、請求項23に記載のワクチン。
【請求項25】
前記アジュバントが3D-MPL、QS21および/またはCpGオリゴヌクレオチドを含む、請求項24に記載のワクチン。
【請求項26】
医療における使用のための請求項23〜25のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項27】
癌に罹患する患者を免疫療法的に治療するためのワクチンの製造における請求項1〜21のいずれか1項にタンパク質または核酸またはベクターの使用。
【請求項28】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質を細胞中で発現させる工程を含む、融合タンパク質を製造する方法。
【請求項29】
前記細胞が細菌である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細菌が大腸菌である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記融合タンパク質を不溶性タンパク質として細胞中で発現させる、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞を溶解し、溶解された細胞から発現された融合タンパク質を精製する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項28〜32のいずれか1項に記載の方法により得られたか、または得られる融合タンパク質。
【請求項34】
請求項1〜21、23〜26及び33のいずれか1項に記載のタンパク質、核酸、ベクターまたはワクチンを投与する工程を含む、癌に罹患する患者を治療する方法。
【請求項35】
癌が、メラノーマ、乳癌、膀胱癌、NSCLCなどの肺癌、肉腫、卵巣癌、頭部および頸部癌、腎臓癌、結腸直腸癌、多発性ミエローマ、急性白血病を含む白血病および食道癌から選択される、請求項27に記載の使用または請求項34に記載の方法。
【請求項1】
(a)PRAMEまたはその免疫原性断片、および
(b)Dタンパク質から誘導された異種融合パートナータンパク質、
を含む融合タンパク質であって、前記融合パートナータンパク質がDタンパク質に由来する分泌配列またはシグナル配列を含まない、前記融合タンパク質。
【請求項2】
Dタンパク質から誘導された融合パートナータンパク質であって、該融合パートナータンパク質が融合タンパク質配列のN末端に、またはその中にアミノ酸Met-Asp-Proを含み、且つDタンパク質の分泌配列またはシグナル配列を含まない、前記融合パートナータンパク質。
【請求項3】
Dタンパク質配列が、Dタンパク質のおよそもしくは正確にアミノ酸17〜127、18〜127、19〜127または20〜127を含むか、またはそれから成る、請求項2に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項4】
Dタンパク質融合パートナータンパク質に由来する1個以上のアミノ酸が欠失されたか、または置換により置き換えられたものである、請求項2または3に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項5】
前記アミノ酸が保存的置換により置換されたものである、請求項4に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項6】
1、2、3、4、5、6、7、8、9個以上のアミノ酸が置換されたものである、請求項4または5に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項7】
Dタンパク質の分泌配列またはシグナル配列が、天然タンパク質のおよそアミノ酸1〜16、17、18または19を指す、請求項2〜6のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項8】
Dタンパク質の分泌配列またはシグナル配列がDタンパク質のN末端の19アミノ酸である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質。
【請求項10】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質と、1以上の腫瘍抗原またはその免疫原性部分とを含む融合タンパク質。
【請求項11】
腫瘍抗原PRAMEまたはその免疫原性部分を含む、請求項9または10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
PRAMEの免疫原性断片または部分が、以下のエピトープ:
VLDGLDVLL (PRA100-108; 配列番号XX);
SLYSFPEPEA (PRA142-151; 配列番号XX);
ALYVDSLFFL (PRA300-309; 配列番号XX);
LYVDSLFFL (PRA301-309; 配列番号XX)および
SLLQHLIGL (PRA425-433; 配列番号XX)
のうちの1以上を含むか、またはそれから成る、請求項1または11に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
以下の腫瘍抗原もしくは腫瘍抗原誘導体またはその免疫原性部分:MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MAGE 5、MAGE 6、MAGE 7、MAGE 8、MAGE 9、MAGE 10、MAGE 11、MAGE 12、MAGE B1、MAGE B2、MAGE B3、MAGE B4、MAGE C1、MAGE C2のうちの1以上を含む、請求項9または10に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸を、MAGE抗原のアミノ酸配列から欠失させるか、またはその中で置換することができる、請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
2個のアミノ酸がMAGE配列のN末端から欠失されたものである、請求項14に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記抗原がMAGE-A3またはその免疫原性部分であり、該MAGE-A3抗原がMAGE-A3のアミノ酸3〜314を含むか、またはそれから成る、請求項13、14または15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
腫瘍抗原またはその誘導体が、以下の抗原:WT-1、WT-1F、BAGE、LAGE 1、LAGE 2 (NY-ESO-1としても知られる)、SAGE、HAGE、XAGE、PSA、PAP、PSCA、P501S (プロステインとしても知られる)、HASH1、HASH2、Cripto、B726、NY-BR1.1、P510、MUC-1、プロスターゼ、STEAP、チロシナーゼ、テロメラーゼ、スルビビン、CASB616、P53、および/もしくはHer-2/neu、SSX-2; SSX-4; SSX-5; NA17; MELAN-A; P790; P835; B305D; B854; CASB618 (WO 00/53748に記載); CASB7439 (WO 01/62778に記載); C1491; C1584;ならびにC1585または該抗原に対する免疫応答を指令することができるその免疫原性部分の1つから選択される、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
アフィニティタグをさらに含む、請求項1または9〜17のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
融合パートナータンパク質と腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分との間;および/または融合パートナータンパク質とHis尾部もしくは他のアフィニティタグとの間;および/または腫瘍抗原もしくはその免疫原性部分とHis尾部もしくは他のアフィニティタグとの間に1以上のリンカー配列をさらに含む、請求項1または10〜18のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の融合タンパク質または融合パートナータンパク質をコードする核酸配列。
【請求項21】
請求項20に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項22】
請求項21に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の融合タンパク質もしくは融合パートナータンパク質または請求項20に記載の核酸または請求項21に記載のベクターを含むワクチン。
【請求項24】
アジュバント、および/または免疫刺激性サイトカインもしくはケモカインをさらに含む、請求項23に記載のワクチン。
【請求項25】
前記アジュバントが3D-MPL、QS21および/またはCpGオリゴヌクレオチドを含む、請求項24に記載のワクチン。
【請求項26】
医療における使用のための請求項23〜25のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項27】
癌に罹患する患者を免疫療法的に治療するためのワクチンの製造における請求項1〜21のいずれか1項にタンパク質または核酸またはベクターの使用。
【請求項28】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の融合パートナータンパク質を含む融合タンパク質を細胞中で発現させる工程を含む、融合タンパク質を製造する方法。
【請求項29】
前記細胞が細菌である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細菌が大腸菌である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記融合タンパク質を不溶性タンパク質として細胞中で発現させる、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞を溶解し、溶解された細胞から発現された融合タンパク質を精製する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項28〜32のいずれか1項に記載の方法により得られたか、または得られる融合タンパク質。
【請求項34】
請求項1〜21、23〜26及び33のいずれか1項に記載のタンパク質、核酸、ベクターまたはワクチンを投与する工程を含む、癌に罹患する患者を治療する方法。
【請求項35】
癌が、メラノーマ、乳癌、膀胱癌、NSCLCなどの肺癌、肉腫、卵巣癌、頭部および頸部癌、腎臓癌、結腸直腸癌、多発性ミエローマ、急性白血病を含む白血病および食道癌から選択される、請求項27に記載の使用または請求項34に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−515444(P2010−515444A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545186(P2009−545186)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050290
【国際公開番号】WO2008/087102
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050290
【国際公開番号】WO2008/087102
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
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