説明

ワゴン

【課題】大きな姿勢変更を要することなく資料を素早く出し入れや取り扱いができることにより、通常の執務のスピードをより向上させることができるワゴンを提供する。
【解決手段】ワゴンWは、上方に面した載置面を有する上側要素1と、この上側要素1の下方に位置し内部に上方を開放させた収納部たる下収納部20を有する下側要素2と、上側要素1を下側要素2に対し平面視重ねた通常姿勢と上側要素1を下側要素2から平面視退避させて下収納部20の上方を開放させた開放姿勢たる第一開放姿勢並びに第二開放姿勢(Q2)との間で上側要素1及び下側要素2を水平移動可能に連結する連結機構3とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に用いられるワゴンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスに於いては、デスクの下肢空間或いはデスクに隣接配置し、資料等を出し入れするためのワゴンが種々提案されている。なかには、抽斗を引き出した際に使用者に資料が見やすいよう、上方のみならず側方に開放させた抽斗を有するものなど、使用者にとって資料を間違いなく迅速に出し入れし得るよう工夫されたものも開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、デスクにて執務をしている使用者が、椅子に着座した姿勢からワゴンにアクセスし、資料を取り出すためには、上体を起こした姿勢とし、必要あらば椅子を後方へずらして移動し、しかる後に抽斗を引き、資料を取り出すという一連の動作を行なうのが一般的である。この場合、ワゴンの上面にも他の資料を収容又は載置しているワゴンにおいては使用者が後方へ移動する移動量は必然的に大きくなる。勿論、資料を取り出した後は、抽斗を閉じる動作、椅子を前方へずらして執務していた位置まで前方へ移動し、そして上体を上述した執務していた姿勢へと戻さなければならない。
【0004】
すなわち上述したように、これまでのワゴンを使用するにおいては、使用者は資料の出し入れの際には意識するか否かに関わらずに多くの手順を経なければならず、この様な動作の繰り返しによってこれまで執務時間のうち、一定以上の時間が費やされていたことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4034686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述したような点に着目したものであり、資料等の出し入れを迅速に行なうことで執務時間をより有効に使うことに資するワゴンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち本発明に係るワゴンは、上方に面した載置面を有する上側要素と、この上側要素の下方に位置し内部に上方を開放させた収納部を有する下側要素と、前記上側要素を前記下側要素に対し平面視重ねた通常姿勢と前記上側要素を前記下側要素から平面視退避させて前記収納部の上方を開放させた開放姿勢との間で前記上側要素及び前記下側要素を水平移動可能に連結する連結機構とを具備することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、使用者は上側要素の載置面に載置した資料に対しても、下側要素の収納部に収納している資料に対しても、平面視での位置を大きく変更することなくアクセスすることが可能となる。その結果、使用者はワゴンに載置又は収納した資料を大きな姿勢変更を要することなく素早く出し入れすることにより、通常の執務のスピードをより向上させることが可能となる。
【0010】
また、水平移動する上側要素が使用者に干渉し難いものとするためには、連結機構を、上側要素を下側要素に対しスライド移動可能に連結することが望ましい。
【0011】
さらに上側要素が周囲のオフィス家具の配置等によって水平移動が妨げられないようにするためには、連結機構を、上側要素を下側要素に対し一方向に退避させた第一開放姿勢と、他方向に退避させた第二開放姿勢とをとり得るようにすることが望ましい。
【0012】
そしてがたつきの無い上側要素の移動を担保するためには、連結機構を、スライド方向に直交する方向へのずれを防止するずれ止め部を有したものとすることが望ましい。
【0013】
また執務中に通常姿勢にある上側要素が不意に動作してしまうことを有効に回避するためには、連結機構を、上側要素を通常姿勢で位置決めし得る位置決め部を有したものとすることが好ましい。
【0014】
特に下側要素に設けた収納部がより多様なサイズの資料を効率良く収容し得るようにするためには、下側要素が、収納部を上下方向に仕切る仕切り板を有するものとし、この仕切り板を、収納部の平面視全領域を仕切る全閉状態と、平面視少なくとも一部の領域を上下方向に連通させた連通状態とをとり得るものとすることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用者はワゴンに載置又は収納した大きな姿勢変更を要することなく資料を素早く出し入れや取り扱いをすることにより、通常の執務のスピードをより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
【図2】同実施形態に係るワゴンの外観図。
【図3】同他の外観図。
【図4】同上。
【図5】同分解斜視図。
【図6】図1に係るA−A線断面図。
【図7】図6に係るB−B線断面図。
【図8】同作用説明図。
【図9】同他の作用説明図。
【図10】要部の正断面を示す。
【図11】要部の側断面を示す作用説明図。
【図12】図6の要部を示す図。
【図13】図12に係る作用説明図。
【図14】同上。
【図15】本実施形態の変形例を示す外観図。
【図16】同上。
【図17】同実施形態の他の変形例を示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係るワゴンWは、例えば図1に示すように、オフィスにおいてデスクDで執務している使用者が椅子CHに着座した位置の傍に配置することにより、収納している使用者の資料等を取り出し易い状態で保管或いは載置しておくためのものである。なお同図では当該ワゴンWの使用態様を説明する便宜上、デスクDにおける天板以外の構成要素や使用者の図示を模式的に示している。
【0019】
ここで、本実施形態に係るワゴンWは、上方に面した載置面19を有する上側要素1と、この上側要素1の下方に位置し内部に上方を開放させた収納部たる下収納部20を有する下側要素2と、上側要素1を下側要素2に対し平面視重ねた通常姿勢(P)と上側要素1を下側要素2から平面視退避させて下収納部20の上方を開放させた開放姿勢たる第一開放姿勢(Q1)並びに第二開放姿勢(Q2)との間で上側要素1及び下側要素2を水平移動可能に連結する連結機構3とを具備することを特徴とする。
【0020】
以下に、ワゴンWの構成について図1乃至図14に記して具体的に説明する。
【0021】
ワゴンWは、使用者の手元に近い上側の位置で書類やファイル等の資料を平積みした状態で保管し得る上側要素1と、この上側要素1の下方において例えばボックスファイル等の資料を縦向きに並べた状態で保管し得る下側要素2と、これら上側要素1及び下側要素2とを水平移動可能に連結している連結機構3とを有している。なお、ワゴンWは通常姿勢(P)において直方体状を成すもので、上側要素1と下側要素2との外周面は略面一に構成されている。さらに、上側要素1と下側要素2の間には全周に亘って後述する目地Mが形成されている。
【0022】
上側要素1は、図1乃至図7のうち、特に図5示すように、上収納部11と、この上収納部11を上方から閉止し得る上スライド板12及び下スライド板13とを有している。上収納部11は、外側に面した上筐体14と、この上筐体14の内部に嵌め込まれた上内側板部15とを主体としている。上筐体14は、連結機構3を下方に垂下させるために長手方向両側に上下方向に開口するスリット16が形成されるとともに、このスリット16のさらに外縁側には樹脂製のスライド板34を取り付けるために板金に間欠的に開口を設けた板取付部17を形成している。上内側板部15は正断面し概略コの字状をなす板金を主体としたものであり、底板部分を資料等を載置し得る本発明に係る載置面19と、この載置面19の両側から起立する上内側面18とを有している。なお連結機構3は、本実施形態では上筐体14と上内側板部15との間に取り付けられる。この上収納部11に収納された資料は、上スライド板12及び下スライド板13を適宜スライドさせることにより、上方から容易にアクセスすることができる。また上スライド板12の上面は、頻繁に使用する書類等を一時的に載置しておくこともできる。すなわち、上スライド板12及び下スライド板13の上面も本発明に係る載置面19を構成する。
【0023】
下側要素2は、上方を開放させてなる下収納部20と、この下収容部20を上下に仕切る仕切り板21と、ワゴンWを移動させるためのハンドル22及びキャスタ23とを有している。下収納部20は、少なくとも板金の折り曲げによって形成された下外側板20a及び下内側板20bとを主体とするものであり、上方に位置付けられた主収容部24と、下外側板20aの上端にて下側要素2の長手方向に延びる上方に突出した側端突条25と、仕切り板21を載せ置くための仕切段部26と、仕切段部26よりも下方に位置付けられた底収容部27と、この底収容部27を側方に開放させた側開放口28とを有している。主収容部24は下収納部20のうち仕切段部26に区画された上側の部分である。仕切段部26は、仕切り板21を載置することにより下収納部20を上下に仕切るためのものであり、下収納部20を平面視略閉止し得る全閉状態(C)となるよう載置するための板載置部26aと、この板載置部26aの一部を切り欠くことによって後述する仕切り板21の端板21bの両端を挿入、載置するように構成した切欠収容部26bとを有している。底収容部27は、仕切段部26よりも下側の部分である。側開放口28は、下収納部20へ両側方からアクセスし得るように設けられた開口である。仕切り板21は、下収納部20の平面視3分の2程度を閉止し得る大きさに構成された主板21aと、平面視で一端側3分の1程度の領域を閉止し得る端板21bとを有している。これら主板21a及び端板21bは仕切段部26に対し取り外し可能に設けられている。そしてこの仕切り板21は、端板21bの配置を変更することにより、下収納部20の平面視全領域を仕切る全閉状態(C)と、平面視少なくとも一部の領域を上下方向に連通させた連通状態(R)とをとり得る。ハンドル22は、下収納部20の正面の中央よりやや上側の位置において下外側板20aに適宜の方法にて取り付けられた、例えば布や皮製の帯状体からなるものである。このハンドル22については、その形状や取付け位置等は、図示の態様のみならず、既存の構成に基づいて種々の態様をとり得るものであるため、詳細な説明は省略する。同じくキャスタ23においても水平旋回が可能な既存のものを使用しているので、詳細な説明を省略する。そして本実施形態では、上述した下外側板20aと下内側板20bとの間、すなわち下収納部20を構成する側壁部分の厚みの範囲内に連結機構3を設けている。
【0024】
しかして本実施形態では、通常姿勢(P)から上側要素1をスライドさせることによって前記下側要素2から平面視退避させて下収納部20の上方を開放させた第一開放姿勢(Q1)、第二開放姿勢(Q2)に至るまで水平移動可能に上側要素1及び下側要素2を連結する連結機構3を有している。以下、連結機構3の構成について説明する。
【0025】
連結機構3は、上側要素1の両側に取り付けられた対をなす上レール部31と、下側要素2の両側に取り付けられた対をなす下レール部32と、これら上レール部31と下レール部32とを連結する同じく対をなす連結板33と、上側要素1の底面両側に取り付けられたスライド板34と、下側要素2の上端四隅に取り付けられた位置決め具35とを有している。上レール部31は、上筐体14の長手寸法略全域に亘って例えばねじ止め等により固定された上レール本体31aと、この上レール本体31aに沿ってスライドし得る上スライダ31bとを有している。下レール部32は、下外側板20aの長手方向略全域に亘って例えばねじ止め等により固定された下レール本体32aと、この下レール本体32aに沿ってスライドし得る下スライダ32bとを有している。連結板33は、上レール部31の上スライダ31bを固定する上固定部33aと、下レール部32の下スライダ32bを固定する下固定部33bと、これら上固定部33a及び下固定部33bを連結する連結部33cと、この連結部33cの端面において下レール部32の動作端に位置付けた際に位置決め具35に当接する当接端面33dとを有している。スライド板34は、上述した上筐体14の下面側両側に設けられた板取付部17に対し、例えば凹凸係合により嵌め込まれ、互いに板金製である上筐体14と下外側板20a又は側端突条25との間に介在することにより板金の摩耗や損傷を回避しつつ上側要素1の好適なスライド動作を担保するためのものである。このスライド板34は、側端突条25の常に外側に位置した状態で下外側板20aに当接する、本発明のずれ止め部に該当する摺動突条34aと、スライド板34の一端よりの位置において上側要素1が通常姿勢(P)となったときに位置決め具35に係合することにより上側要素1を位置決めしておくための位置決め凹部34bとを有している。位置決め具35は、上方に弾性付勢されながら突出することにより位置決め凹部34bと凹凸係合する位置決め突起35aと、下レール部32の動作端で連結板33の当接端面33dと当接する当接面35bとを有している。
【0026】
しかして本実施形態では、連結機構3の上レール部31及び下レール部32がワゴンWの長手方向略全域に亘って設けられているので、このように通常姿勢(P)から何れの方向にもスライド移動し得るものとなっている。すなわち連結機構3は、図3及び図8に示すような、ハンドル22を設けた使用端側に上側要素1をスライドさせることによって下収納部20を上方からアクセス可能とする第一開放姿勢(Q1)と、反使用端側にすライドさせることによって下収納部20にアクセス可能な図4及び図9に示すような第二開放姿勢(Q2)とをとり得るものとなっている。なお、通常の執務状態では第二開放姿勢(Q2)を主に使用するが、第一開放姿勢(Q1)をも取り得ることで下収納部20のデッドスペースへのアクセスを可能にしている。
【0027】
加えて本実施形態では、スライド動作の動作端ではない通常姿勢(P)で上側要素1が位置決めされるよう、4箇所において位置決め凹部34b及び位置決め突起35aからなる位置決め部STを設けている。具体的に説明すると、図10及び図11に示すように、スライド板34の位置決め凹部34bの内部に位置決め具35の位置決め突起35aが弾性付勢された状態で入り込むことによりワゴンWの4隅において位置決めがなされる。これにより、通常姿勢(P)において有効に位置決めされるとともに、所要の方向に上側要素1をスライドさせれば上記の凹凸係合が解除されてスムーズなスライド動作が行なわれる。
【0028】
さらに本実施形態では、図10及び図11に示すように、スライド動作の際に当該スライド動作に直交する動作の過度のたがつきを回避するために、ずれ止め部たる摺動突条34aを設けている。具体的には、スライド板34に設けられた摺動突条34aが、下収納部20に設けられた側端突条25の常に外側を摺動し、摺動突条34a自体の形状他側端突条25を乗り越えないようにしている。これにより、上側要素1のスライド動作に直交する方向のがたつきが抑制される。
【0029】
他方、本実施形態に係るワゴンWは図12乃至図14に示すように、下側要素2が、下収納部20を上下空間に仕切る仕切り板21を有しており、この仕切り板21が、全閉状態(C)と、連通状態(R)とをとり得るようにしている。具体的には、図12では、主板21aと端板21bをいずれも仕切段部26の板載置部26aに位置付けた全閉状態(C)を示している。この全閉状態(C)では、主収容部24は主に上方からアクセスして取り出す資料を収容しておくとともに、底収容部27は側開放口28を介して側方のみからアクセスし得る状態となっている。係る態様では、例えば底収容部27は上方からのアクセスは仕切り板21によって禁止されるものの、用紙類等を載置した状態で積んでおき、連結機構3を介さずともそれらの用紙類に側方からアクセスして出し入れすることができる。そしてこの全閉状態(C)から図13に示すように端板21bを外して主板21aを持ち上げると、上方に切欠収容部26bが露出する。そして端板21bを上下逆さとして、切欠収容部26bに端板21bの両端を嵌め込み、主板21aを元の位置に戻すと、図14に示す連通状態(R)となる。このように、図14に示す連通状態(R)では例えばA3サイズの資料を縦向けに置いたり、例えば丸めた状態の図面やポスターなどといった長尺状の資料を主収容部24及び底収容部27に亘って余裕をもって保管したりすることができる。
【0030】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係るワゴンWは、上述した連動機構3を設けることにより、使用者は上側要素1の載置面19に載置した資料に対しても、下側要素2の収納部たる下収納部20に収納している資料に対しても、平面視での位置を大きく変更することなくアクセスすることが可能となっている。その結果、使用者はワゴンWに載置又は収納した資料を大きな姿勢変更を要することなく素早く出し入れすることにより、通常の執務のスピードをより向上させることを実現している。なお、本実施例では、両開放姿勢(Q1、Q2)において下収納部20の長手寸法のおよそ75%を上方に開放するように設定したがこれに限られるものではない。アクセスの利便性には70〜80%の開口率であれば良い。また、第一開放姿勢(Q1)と第二開放姿勢(Q2)で開口率を異ならせても良く、両開放姿勢(Q1,Q2)の開口率の合計が100%を超えればよい。
【0031】
特に本実施形態では、連結機構3を上収納部11や下収納部20を構成している立壁部分の内側に設けているので、上収納部11や下収納部20の容積を、内部に抽斗を内蔵している従来のものよりも有効に利用し得るものとなっている。これにより、資料の保管スペースにさらなる余裕が生まれ資料の整理を行い易くしていることも、執務のスピードをより向上させることに寄与している。また、第一開放姿勢(Q1)及び第二開放姿勢(Q2)においても外部から連結機構3が視認し難くなっている。
【0032】
また、水平移動する上側要素1が使用者に干渉し難いものとするために本実施形態では、連結機構3を、上側要素1を下側要素2に対しスライド移動可能に連結するようにしている。
【0033】
さらに上側要素1が周囲のオフィス家具の配置等によって水平移動が妨げられないようにするために本実施形態では、連結機構3を、上側要素1を下側要素2に対し一方向に退避させた第一開放姿勢(Q1)と、他方向に退避させた第二開放姿勢(Q2)とをとり得るようにしている。
【0034】
そしてがたつきの無い上側要素1の移動を担保するために本実施形態では、連結機構3を、スライド方向に直交する方向へのずれを防止するずれ止め部たる摺動突条34aを設けている。
【0035】
また執務中に通常姿勢(P)にある上側要素1が不意に動作してしまうことを有効に回避するために本実施形態では、連結機構3を、上側要素1を通常姿勢(P)で位置決めし得る位置決め部STを有したものとしている。
【0036】
特に下側要素2に設けた下収納部20がより多様なサイズの資料を効率良く収容し得るようにするために本実施形態では、下側要素2が、下収納部20を上下方向に仕切る仕切り板21を有するものとし、この仕切り板21を、下収納部20の平面視全領域を仕切る全閉状態(C)と、平面視少なくとも一部の領域を上下方向に連通させた連通状態(R)とをとり得るものとしている。
【0037】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。当該変形例について、上記実施形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0038】
本変形例に係るワゴンWは、図15に示すように、書類等を収容、保管する機能をさらに向上させることができるオプション部材たるサブシェルフOP1を有するものである。このサブシェルフOP1は、使用者が取扱中の書類を一時的に保持しておくことで、執務の再開時に速やかに取り出し得るようにしたものである。上側要素1及び下側要素2との間には、図示の通り、一定間隔の目地Mが形成される。本変形例では、この目地Mを利用する挿入部OP11を有することによって目地Mに取り付け得るオプション部材たるサブシェルフOP1を設けることにより、ワゴンWの収容性のさらなる向上を実現するとともにより素早い資料等の取り扱いも可能となり、ひいては執務のスピードの向上を実現している。
【0039】
また図16に示すように、同じく目地Mに挿入し得る挿入部OP21を有するフックOP2を設けたものとしてもよい。このようなものであれば、使用者は鞄等をこのフックOP2を利用して速やかな取り出しができるので、使用者の執務のスピードをさらに向上させ得るものとなる。
【0040】
<他の変形例>
図17には本実施形態の他の変形例を示している。当該他の変形例についても、上記実施形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0041】
本変形例に係るワゴンWは、上記実施形態とは異なり、上側要素1を水平旋回させることによって通常姿勢(P)と退避姿勢(Q)との間で動作させ得る回転連結機構3Rを具備したものである。この水平旋回機構の具体的な構造については既存の軸、軸受けの構造やヒンジの構造等を利用することにより実現し得るものであるため、具体的な説明を省略する。
【0042】
このようなものであっても、使用者は大きな姿勢変更を要することなく下収納部20に上方から容易にアクセスし得るという、上記実施形態同様の効果を奏するものとなっている。
【0043】
つまり本発明に係る連結機構とはスライド動作するものに限られず、水平に移動するものであれば良い。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では上側要素が載置面を含む上収容部を有する態様を開示したが、勿論、載置面のみが水平移動する態様のものであってもよい。また上側要素の数や動作の方向、さらには位置決め部の配置といった具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0046】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明はオフィス等で好適に用いられるワゴンとして利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…上側要素
19…載置面
2…下側要素
20…収納部(下収納部)
21…仕切り板
C…全閉状態
R…連通状態
3…連結機構
3R…連結機構3(回転連結機構3R)
34a…ずれ止め部(摺動突条)
P…通常姿勢
Q…開放姿勢
Q1…開放姿勢(第一開放姿勢)
Q2…開放姿勢(第二開放姿勢)
ST…位置決め部
W…ワゴン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に面した載置面を有する上側要素と、
この上側要素の下方に位置し内部に上方を開放させた収納部を有する下側要素と、
前記上側要素を前記下側要素に対し平面視重ねた通常姿勢と前記上側要素を前記下側要素から平面視退避させて前記収納部の上方を開放させた開放姿勢との間で水平移動可能に前記上側要素及び前記下側要素を連結する連結機構とを具備することを特徴とするワゴン。
【請求項2】
前記連結機構が、前記上側要素を前記下側要素に対しスライド移動可能に連結している請求項1記載のワゴン。
【請求項3】
前記連結機構が、前記上側要素を前記下側要素に対し一方向に退避させた第一開放姿勢と、他方向に退避させた第二開放姿勢とをとり得るものである請求項2記載のワゴン。
【請求項4】
前記連結機構が、スライド方向に直交する方向へのずれを防止するずれ止め部を有している請求項2又は3記載のワゴン。
【請求項5】
前記連結機構が、前記上側要素を前記通常姿勢で位置決めし得る位置決め部を有している請求項1、2、3又は4記載のワゴン。
【請求項6】
前記下側要素が、前記収納部を上下方向に仕切る仕切り板を有するものであり、
この仕切り板が、前記収納部の平面視全領域を仕切る全閉状態と、平面視少なくとも一部の領域を上下方向に連通させた連通状態とをとり得るものである請求項1、2、3、4又は5記載のワゴン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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