説明

ワックスの分散及び無機ナノ粒子及びその使用

【課題】 本願発明は、フィラー粒子を具備する分散を提供する。また、本願発明のさらなる目的は、フィラー粒子を具備し、塗装系(例えば、ペンキ、インキ等、塗装等)及びプラスチック力学的的特性、特に引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗を、これらの系の他の要求された性能特性(例えば、光沢特性、表面平滑度、接着性等)へ悪影響を与えることなく、改善するために適した革新的な分散系、特に分散を提供することにある。
【解決手段】 本願発明は、少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つのワックスからなる少なくとも1つの有機材料に基づく第1の粒子と、少なくとも1つの無機材料、特に無機ナノ粒子に基づく第2の粒子とを結合して、分散媒体と共に具備する分散を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、特にワックス粒子である少なくとも1つのワックスを具備するか少なくともひとつのワックスからなる少なくとも1つの有機材料に基づく第1の粒子と、少なくとも1つの無機材料、特に無機ナノ粒子に基づく第2の粒子との結合を具備する分散に関し、さらにこれらの分散の使用に関し、特に、ペンキ、インキ等の塗装材料及び塗装系、プラスチック、発泡体又は化粧品、特にマニキュア液、接着剤、又はシーラント等における分散の使用に関する。
【0002】
特に、本願発明は、第1にワックス、第2の無機ナノ粒子を具備する分散に関し、さらに上述したようにその分散の使用に関する。
【0003】
さらに、本願発明は、これらの分散を具備する系、特に塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、プラスチック、発泡体、及び化粧品、特にマニキュア液に関する。
【0004】
さらにまた、本願発明は、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、楚辺手の種類の分散、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントにおいて、第1に、特にワックス粒子である少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つのワックスからなる少なくとも1つの有機材料に基づく粒子と、第2に、少なくとも1つの無機材料、特に無機ナノ粒子である少なくとも1つの無機材料に基づく粒子との結合の使用に関する。
【背景技術】
【0005】
塗装系及び分散系(例えば、ペンキ、印刷用インキ、塗装)及びプラスチックの力学的特性を改善するために、特に、それらの引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗のような摩耗特性を改善するために、付加剤及びフィラーを結合することが、原則的に当業者には知られている。
【0006】
所定の条件下で、従来技術から知られるフィラー粒子は、それらが使用される関連した塗装系(例えば、ペンキ)の引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗のような力学的特性を改善すると同時に、下記する応用において、結果として生じる塗装膜(例えば、ペンキ膜)における脆化を向上させていた。さらに、これらのフィラー粒子の結合は、結果として、塗装系の望まれない懸濁や透明性の欠如を生じる。さらにまた、相対的に高いフィラーレベルが、所望の効果を達成するために必要とされ、且つこれが、結果として生じる分散系の安定化を困難にし、コスト面でも望まれない結果を生じるものである。
【0007】
WO2007/072189A2は、ナノ珪酸塩を具備するシリル化ポリマーエマルジョンに関すると共に、塗装系への使用に関する。しかしながら、そこに記載されたエマルジョンについて、所望の性能特性を常に得ることは不可能である。
【0008】
EP0960871A2は、ミネラル構造材料の処理のための水性製剤に関するもので、該水性製剤は、多官能カルボシランのエマルジョン及び/若しくはその縮合生成物に加えて、オルガノポリシロキサンのエマルジョン及び水分散性若しくは水分乳化有機ポリマー、同様無機ナノ粒子を具備するものである。
【0009】
特開平06−138484号公報は、ワックス、オイル又は樹脂及び、タルク又はシリカのような粉状無機材料との混合物から形成された製品に関する。結合された付加的成分は、ワックスでの押出加工において改善されて流動性を含む効果を有すると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2007/072189A2
【特許文献2】EP0960871A2
【特許文献3】特開平07−138484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は、上述した種類のフィラー粒子及び分散系、特にこれらのフィラー粒子を具備する分散を提供する目的に基づいており、それは上述した系に使用されるのに適しており、少なくとも従来の粒子で生じる不利益点を防止するか減少させるものである。
【0012】
本願発明のさらなる目的は、最初に特定した種類のフィラー粒子を具備し、且つ最初に特定された系に結合されるときに、十分な性能促進を生じ、塗装系(例えば、ペンキ、インキ等、塗装等)及びプラスチックの力学的特性、特に引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗を、これらの系の他の要求された性能特性(例えば、光沢特性、表面平滑度、接着性等)へ悪影響を与えることなく、改善するために適した革新的な分散系、特に分散を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本願発明は、請求項1に記載された分散を提供する。さらに、利益的な具体例は、関連した従属請求項の主題となる。
【0014】
さらに、本願発明は、請求項24乃至26に示されるように、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、すべての種類の分散、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントにおける本願発明の分散の使用を提供することにある。
【0015】
さらにまた、本願発明によって、本願発明による分散を具備する塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントが提供される(請求項27及び28)。
【0016】
さらに、本願発明によって、少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つのワックスからなる少なくとも1つの有機材料、特にワックス粒子に基づく第1の粒子と、少なくとも1つの無機材料、特に無機ナノ粒子に基づく第2の粒子との結合を、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、すべての種類の分散、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントに使用することが提供される(請求項29及び30)。
【0017】
当然のことながら、下記する文章において、本願発明のそれぞれの様相に関してのみなされた陳述は、これを明確に述べる必要なしに、本願発明の他の様相に対しても等しく対応して適用されるものである。
【0018】
本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、分散を提供し、この分散は、分散媒体と、
(a) 少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つのワックスからなる少なくとも1つの有機材料に基づく第1の粒子、特にワックス粒子、及び
(b) 少なくとも1つの無機材料に基づく第2の粒子、特に無機ナノ粒子との結合とを具備するものである。
【0019】
そのため、本願発明の特徴は、本願発明に関して、(a)第1に、少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つのワックスからなる少なくとも1つの有機材料に基づく粒子、特にワックス粒子と、(b)第2に、少なくとも1つの無機材料に基づく粒子、特に無機ナノ粒子とが、1つの分散において結合して一体化されるものであり、それは特に塗装材料及び塗装系、ペンキ、インキ等、すべての種類の分散、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントにおける使用に最適であり、特にそれらの力学的特性を改善する。
【0020】
出願人は、この方法において、それぞれの系と比較して、引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗のような力学的特性を改善するために必要である上述した成分及び/若しくは付加剤(例えば、第1にワックス含有有機粒子及び第2に無機粒子)の量を十分に減じることができることを見出した。この事実は、上述した第1のワックス材料と、第2の無機材料、特に無機ナノ粒子との間の相乗効果を示している。
【0021】
(a)及び(b)の上述した2つの構成成分の結合は、力学的損失に関して長い期間の安定性を改善する。
【0022】
本願発明は、簡単な方法で、無機粒子、特に無機ナノ粒子を、ワックスの微細分割において、サーモプラスチック又は粉体塗装のような高い粘性を有する高融点ポリマー融液に結合することを可能にする。
【0023】
無機粒子、特に無機ナノ粒子とワックスとの結合は、特に、ナノ粒子でコートされたワックス粒子が、最初の液体の表面にそれから固体ポリマーマトリクスに分散し、界面でこれらマトリクスを改質し又は改善することを意味する。
【0024】
本願発明による技術は、可溶性ワックスに基づく固体マトリクスにナノ材料を適用するのみ使用することができる。
【0025】
そのため、第1のワックス粒子と第2の無機粒子、特にナノ粒子との間の上述された相乗効果は、例えばペンキ及びプラスチックの特性を改善するのに効果的に利用される。
【0026】
従って、本願発明は、第1に粒子状ワックスベース有機材料を有する無機有機ハイブリッド系及び第2に粒子状、特にナノ粒子状無機材料を分散することを提供する。
【0027】
この結果として、本願発明の分散は、単一の系において、第1にワックスの明白な特性と、第2に関連した無機材料、特に無機ナノ粒子の特性とを一体化するもので、上述した種類の塗装材料及び塗装系へ結合される時に、結果としてそれらの力学的特性における十分な改善、特に摩耗抵抗の向上、特に引っ掻き抵抗の向上を生じるものであると同時に、所定の条件下において、他の性能特性(例えば、表面平滑度、光沢等)を実質的に維持するか、改善することもできるものである。さらに、本願発明の分散は、上述した系へ均一に且つ安定して結合される。上述した系、特にペンキ、インキ等のような塗装材料及び塗装系へのそれらの結合は、その系の全部で、懸濁を生じないものである。
【0028】
さて、出願人は、(a)第1の有機粒子、特にワックス粒子、及び(2)第2の無機粒子、特に無機ナノ粒子が、2峰性の粒子径分散を有する時に、特に良好な結果が得られることを見出した。
【0029】
粒子(b)の平均粒子径φparticle(b)に対する粒子(a)の平均粒子径φparticleの比率Vが、下記の数式1によって制御される場合に、特に有益であるという結果になる。
【0030】
【数1】

特に、>2、好ましくは>3、最も好ましくは>5
【0031】
粒子(a)の平均粒子径、φparticle(a)の粒子(b)の平均粒子径φparticle(b)に対する比Vが、1.05〜1000の範囲内、特には2.05〜500の範囲内、好ましくは3.05〜250の範囲内、特に好ましくは5.05〜100の範囲内で変化する場合に、特に有益である。
【0032】
有機粒子(a)、特にワックス粒子に関して、それらの粒子径は、広い範囲内で変化しても良いものである。有機粒子(a)、特にワックス粒子は、5nm〜500μmの範囲内、特に10nm〜200μmの範囲内、好ましくは20nm〜150μmの範囲内、より好ましくは30nm〜125μmの範囲内、最も好ましくは50nmから100μmの範囲内の粒子径を有するものである。この粒子径は、例えば、透過電子顕微鏡、分析超遠心法によって、又は光散乱法によって測定されるものである。
【0033】
本願発明の分散に存在する無機粒子(b)に関して、それらの粒子径は広い範囲で変化することが望ましい。特に、無機粒子(b)は、0.5〜1000nmの範囲内、特に2〜800nmの範囲内、好ましくは10〜600nmの範囲内、より好ましくは15〜500nmの範囲内、最も好ましくは20〜100nmの範囲内の粒子径を有することが望ましい。上述したように、粒子径は、例えば透過型電子顕微鏡、分析超遠心法、又は光散乱法によって測定される。
【0034】
本願発明に関して与えられた径及び範囲のすべてについて、所定の場合、又は応用基礎において、本願発明の範囲から逸脱することなしに、所定の説明に基づくことが必要である。
【0035】
さらに、本出願人は、本願発明の分散において、粒子(a)に対する粒子(b)の重量ベース比Mが、少なくとも0.01であること、特に少なくとも0.5であること、より好ましくは少なくとも1であること、最も好ましくは少なくとも2である場合に、良好な結果が得られることを見出した。
【0036】
より好ましくは、本願発明の分散において、粒子(a)に対する粒子(b)の重量ベース比Mが、少なくとも0.1〜500の範囲内、特に0.5〜250の範囲内、好ましくは1〜150の範囲内、より好ましくは2〜100の範囲内で変化するものである。
【0037】
本願発明の分散に存在する有機粒子(a)、特にワックス粒子の量に関して、この量は、広い範囲で変化することが望ましい。本願発明の分散は、ワックス含有粒子(a)を、0.01〜30重量%、特に0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%の量で含むものである。
【0038】
本願発明の分散に存在する無機粒子(b)の量に関して、本願発明の分散は、分散に基づいて、0.01〜50重量%、特に0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜30重量%、より好ましくは0.3〜20重量%、最も好ましくは0.5〜10重量%の量で、無機粒子(b)を含むものである。
【0039】
前記粒子(b)に基づく無機ベース材料に関して、少なくとも1つの付加的ドープ無機酸化物(例えば、TiO2, ZnO, Al2O3, SiO2, CeO2, Fe2O3, Fe3O4等)、寸酸化物(例えば、Al(OH)3等)、水酸化酸化物(例えば、AlOOH等)、硫酸塩(例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩)、リン酸塩(例えば、リン酸カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩又は硫酸ランタン等)、硫化物(例えば、硫化カドミウム、硫化亜鉛等)、セレン化物、テルル化物、バナジウム酸塩(例えば、BiVO4又はYVO4:Eu3+)、タングステン酸塩(例えば、CaWO4又はYb2(WO4)3)、ビスマス酸塩、チタン酸塩(例えば、BaTiO3)、フッ化物(例えば、CaF2, CaF2:Eu2+、NaYF4又はYbF3:Yb3+, Er3+)、アパタイト、ホウ酸塩、炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム等のようなアルカリ土類金属炭酸塩)、窒化物(例えば、AlN, Si3N4等)、珪酸塩(例えば、珪酸カルシウム、層状珪酸塩、フィロケイ酸塩等のアルカリ土類金属珪酸塩)、ゼオライト、炭化物(例えば、SiC等)、単層又は多層カーボンナノチューブ及び/若しくは金属要素(例えば、銀、銅、フラーレン)、金属間相、金属塩又はそのような化合物の混合物又は結合から形成され、又は前記化合物を具備することが望ましい。
【0040】
付加的ドープ無機酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、セレン化物、テルル化物、フッ化物、アパタイト、ゼオライト、炭酸塩、窒化物、珪酸塩、炭化物及び/若しくは金属要素の群から選択された粒子(b)からなる上述した無機ベース材料は、それぞれの媒体において低い溶解度を有するものである。
【0041】
特に、粒子(b)の無機ベース材料は、少なくとも1つの金属又は半金属の少なくとも1つのドープ酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、フッ化物、アパタイト、ゼオライト、炭酸塩、窒化物、珪酸塩、炭化物、又はそれらの化合物の混合物又は結合から形成されることが望ましく、またそれら化合物を具備することが望ましい。
【0042】
無機粒子(b)の無機ベース材料は、アルミニウム、珪素、亜鉛、チタン、セリウム及び/若しくは鉄の少なくとも1つの付加的ドープ酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物、付加的ドープアルカリ土類金属硫酸塩、付加的ドープアルカリ土類金属リン酸塩、付加的ドープアルカリ土類金属バナジウム酸塩、アルカリ土類金属バナジウム酸塩、遷移金属バナジウム酸塩若しくはバナジウム酸ランタノイド、付加的ドープアルカリ土類金属フッ化物又はフッ化ランタノイド、硫化カドミウム又は硫化亜鉛、セレン化亜鉛又はセレン化カドミウム、テルル化カドミウム又はテルル化ビスマス、付加的ドープアルカリ土類金属炭酸塩、窒化アルミニウム又は窒化珪素、付加的ドープアルカリ土類金属珪酸塩、炭化珪素、銀、炭素同素体、又はそれら化合物の混合物又は結合から形成されることが望ましく、それら化合物を具備することが望ましい。
【0043】
無機粒子(b)の無機ベース材料を形成するために、下記する化合物が特に好ましいものである:TiO2, ZnO, Al2O3, SiO2, CeO2, Fe2O3, Fe3O4, Al(OH)3, Al(O)OH、アルカリ土類金属硫酸塩(例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等)アルカリ土類金属リン酸塩(例えば、リン酸カルシウム)、付加的ドープYVO4, NaYF4:YB3Er、付加的ドープYbF、付加的ドープCaF2、付加的ドープリン酸セリウム、付加的ドープリン酸ランタン、リン酸亜鉛、チタン酸バリウム、アンチモン含有酸化錫、インジウム錫酸化物、銅酸化物、付加的ドープCaWO4、付加的ドープYb2(WO4)3、付加的ドープY2(WO4)3、硫化カドミウム、硫化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、AlN、SiN4、アルカリ土類金属珪酸塩(例えば、珪酸カルシウム等)、SiC、カーボンナノチューブ及び/若しくは銀、及び、それらの化合物の混合物又は結合。
【0044】
無機粒子(b)の無機ベース材料は、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化セリウム、ベーマイト、及び/若しくは二酸化チタンから形成されるか、それらの化合物を具備するものである。
【0045】
特別な具体例によれば、無機粒子(b)の無機ベース材料が、表面改質構造であることが望ましく、その場合、表面改質は、ポリシロキサン基によって実行される。言い換えると、この具体例では、ポリシロキサン基が、無機粒子(b)の無機ベース材料の表面に、物理学的及び/若しくは化学的結合、特に化学的共有結合によって適用されるものである。
【0046】
ポリシロキサン基による表面改質の効果は、特にそれらが塗装材料及び塗装系に結合される時に、本願発明の分散の性能特性を向上させること又は改善されることである。ポリシロキサン基での表面改質は、本願発明の分散の一部での沈殿及びゲル形成に対して減少する傾向を生じる。さらに、乾燥され及び/若しくは硬化された塗装系の脆化は、十分に是正される。表面改質のさらなる利点は、塗装系への結合において、バイダーとの相互作用は、非表面改質粒子に対してさらに改善されたものであり、屈折率の差を減少させるので、十分に低い光散乱を生じる。
【0047】
ポリシロキサン基による表面改質は、従来技術から当業者に原則的に知られている。これに関して、出願人自身による特許出願DE102005006870A1若しくはEP1690902A2及びDE102007030285A1若しくはPCT/EP2007/006273を参照することができ、その全体的の開示内容を参照することにより、取り込むことができる。上述した公報は、金属又は半金属酸化又は水酸化表面を、化学的共有結合の形成を介するポリシロキサンによる表面改質に関する。
【0048】
ワックスベースの有機粒子(a)の有機ベース材料に関して、この有機ベース材料は、少なくとも1つのワックスから形成されるか、少なくとも1つのワックスを具備するものである。このワックスは、(i)天然ワックス、特に植物性ワックス、動物性ワックス及び鉱物性ワックス、(ii)化学的変性ワックス、(iii)結合ワックス、及びそれらの混合物の群から選択されることが望ましい。
【0049】
本願発明の好ましい具体例によれば、ワックスベース有機粒子(a)に使用される有機ベース材料は、結合ワックス、特にポリオレフィンベースワックス、好ましくは酸化ポリオレフィンに基づくワックスである。
【0050】
ワックスの概念に関して、その言語は、天然、若しくは人工的、又は結合的に得られ、下記する特性を有する一連の物質に現象論的意味を構成する:ワックスは20°で練り可能であり、固体では冷たく硬い状態であり、粗い状態から微細な状態の結晶質であり、半透明から不透明まであるがガラス質ではなく、40℃以上分解無しで溶解し、融点を少し超えたところで、相対的に低い粘性であり、非繊維質であり、それらは、高い温度依存調和性及び安定性を有し、緩やかな圧力下で磨かれることが可能である。上述した特性の1つ以上が欠如した場合、この物質は、DGF(ドイツ脂肪科学協会)によれば、ワックスではない(注。DGF標準法、M−I 1(75))。
【0051】
ワックスは、50℃及び90℃の間で、約200℃の場合を除いて、同じような結合又は天然生成物(例えば、樹脂、プラスチック塊、金属石けん等)と異なっており、それらは、低い粘度、液体溶融状態への移行し、灰形成化合物と異なっている。
【0052】
ワックスは、ペースト又はゲルを形成し、煤を出さない炎を有して燃焼する。
【0053】
それらの由来によれば、前記ワックスは、3つの群に分割される。いわゆる(i)植物性ワックス(例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、日本蝋、エスパルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマワックス、米ぬかオイルワックス、サトウキビワックス、オークリーワックス、モンタンワックス等)、動物性ワックス(例えば、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン又は羊毛ワックス、鳥羽グリース、等)、及び鉱物性ワックス(セレシン、オゾケライト又は地蝋、等)の天然ワックス、(ii)硬蝋を含む化学的変性ワックス(例えば、モンタンエステルワックス、サソルワックス、水素化ホホバワックス等)、(iii)ポリアルキレンワックス、ポリアルキレングリコールワックスを含む結合ワックス(例えば、ポリエーテルグリコールワックス)、等。
【0054】
天然の最新の(「再生可能」)ワックスの主な成分は、長鎖脂肪酸アルコール、トリテルペンアルコール又はステロイドアルコールを有する長鎖脂肪酸(ワックス酸)エステルである。これらのワックスエステルは、遊離型カルボキシル基及び/若しくは水酸基を含み、それはいわゆるワックス石けんに、乳化能力を与える。褐炭又は石油からの天然化石ワックスは、主に、フィッシャー−トロプシュ結合又はポリアルキレンワックス(例えば、ポリエチレンワックス)からのワックスのように、直鎖炭化水素からなるが、起源によって、分岐又は脂環式炭化水素を含むことが好ましい。これら「炭化水素」ワックスは、それに続く酸化によって官能化され、ポリオレフィンワックスの場合、カルボキシル基を有するコモノマーによって官能化される。
【0055】
ワックスの概念の詳細については、例えば、ロンプケミエレクシコン、第10編、第6巻、1999年、ゲオルグ論文出版、シュタットガルト/ニューヨーク、4906頁、表題「ワックス」、及びそこに引用された引例を参照し、特に、Cosm.Toil. 101, 49 (1986)及びDGF標準法、M-ワックス及びワックス生成部、第7追補版、05/1999、シュタットガルト:科学出版社、を参照するべきであり、上述した引例は、その全体的な内容において本願発明の明細書に包含されるべきである。
【0056】
本願発明によれば、ワックスベース有機粒子(a)の有機ベース材料として、官能基を有するワックスが使用されることが好ましい。官能基は、極性基であることが好ましく、特にO、N及び/若しくはSの群からなるヘテロ原子、特にOを含む基、好ましくは水酸基、ポリエーテル基、特にポリアルキレンオキシド基及び/若しくはカルボキシル基、より好ましくはポリアルキレンオキシド基及び/若しくは水酸基であることが好ましい。これらワックスの官能基は、改善され、又はより安定した接着性を生じる。
【0057】
原則的に、本願発明の分散は、水溶性基材上に形成されることが好ましく、分散媒体として水を具備する。
【0058】
しかしながら、本願発明の分散が、有機基材上に形成され、及び/若しくは、分散媒体として少なくとも1つの有機溶剤を具備する可能性が原則的に存在する。
【0059】
さらに、本願発明による分散は、少なくとも1つのさらなる成分及び/若しくは少なくとも1つの付加剤を具備し、それは、乳化剤、湿潤剤、抗酸化物質、安定剤、中和剤、濃厚剤、分散剤、有機溶剤、可溶化剤及び殺生物剤、及びそれらの混合物の群から選択されることが好ましい。
【0060】
本願発明による分散は、塗装結合物又は塗装系、ペンキ、インキ等として、化粧品、マニキュア液として、接着剤として、及びシーラントとして形成され、又は存在することが好ましい。
【0061】
同様に、本願発明による分散は、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤、及びシーラントへ結合することを目的とするものである。この目的のために、本願発明による分散は、結果として生じる全系に基づいて、0.1〜30重量%、特に0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で使用される。
【0062】
本願発明による分散を調製する方法に関して、下記のような手順を採用することが本願発明において可能となる。本願発明の分散を調製するために、水又は有機溶剤における無機粒子分散の形で無機粒子、特に無機ナノ粒子を有する溶融ワックス、ワックス分散又はワックスエマルジョンは、分散の形でそれらの結合において、すでに全体的に一体化された付加剤として、例えば、ペンキ、印刷用インキ、プラスチック等に混合又は付加されるか、又はこれらの応用において、そのままで、例えば2つの付加剤の結合として使用されるようい、混合されるものである。この場合、第1の無機ナノ粒子と第2のワックス粒子の結合は、上述されたように、より微細に分割された無機材料に結合されたより大きな有機材料を具備する2峰性の粒子径分布を有する。ワックスと無機粒子、特に無機ナノ粒子の分割又は混合又は均一化、例えば必要なエネルギーの導入によって、特に、単純な、例えば低い剪断力の攪拌又は混合によってだけでなく、溶解機、ディスパーマット(登録商標:分散機)、微粉砕機(ビーズミル)、ボールミル、超音波等を使用することによって、湿潤及び分散付加剤を付加的に使用することで、実行されることが好ましい。無機粒子の粒子径が使用される開始材料によって決定されるのに対して、ワックスベース粒子の粒子径は、使用される開始材料の選択(例えば、ワックス分散又はワックスエマルジョン又はミクロ化されたワックス)、又は、導入されるエネルギー(例えば、剪断力等)を介して目的とされる方法において調製されることの何れかを介して決定される。適当な開始材料は、市販されたものであり、十分な選択及び多様性において当業者にとって入手可能なものである。
【0063】
本願発明の分散の調製に関するさらなる詳細は、不必要な重複を避けるために、本願発明の分散に関する上述した記載を参照することが望ましく、調製方法に関して等しく適用されるべきであり、下記に記載された実施例を参照するべきである。
【0064】
さらに、本願発明の第2の様相によれば、本願発明は、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等において、すべての種類の分散において、プラスチックにおいて、発泡体において、化粧品、特にマニキュア液において、接着剤において、及びシーラントにおいて本願発明の分散を使用することにある。
【0065】
本願発明の分散は、上述した系において、力学的特性の改善、特に耐摩耗性の向上、好ましくは引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗を向上させるために貢献するために使用されることが好ましい。
【0066】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、本願発明の分散を具備する塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントである。
【0067】
本願発明のこの様相によれば、本願発明による分散は、結果として生じる全体系に基づいて、0.1〜30重量%、特に0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で使用される。
【0068】
本願発明の第4の様相によれば、本願発明は、
(a) 第1に、少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つのワックスからなる少なくとも1つの有機材料、特にワックス粒子と、
(b) 第2に、少なくとも1つの無機材料、特に無機ナノ粒子と、
の結合を、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、すべての種類の分散、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントに使用することである。
【0069】
本願発明の結合は、上述した系において、力学的特性を改善に、特に耐摩耗性の向上に、好ましくは引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗の向上に貢献するために使用されることが好ましい。
【0070】
本願発明の分散に関して、第1に有機ワックス粒子と第2に無機粒子、特に無機ナノ粒子に基づいた有機無機ベースハイブリッド系は、上述した系に組む込まれる時に、十分な性能促進、特に力学的特性の十分な改善、好ましくは耐摩耗性の向上、より好ましくは引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗の向上を生じるものである。第1の有機ワックス粒子と、第2の無機粒子、特に無機ナノ粒子との結合合体は、1つで使用する場合に比べて、同一効果を得るための適当な量が減少するか、同一の量で生じる効果を増加させるような相乗効果的相互作用を生じる。
【0071】
本願発明は、1つの分散に、無機ベースナノ粒子とワックス含有粒子の性能利点を一体化することに成功したことにある。
【0072】
特に、上述した系(例えば、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラント)へ一体化される時に、本願発明の分散は、効果的な性能促進を生じ、該系の力学的特性、特に引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗等のそれらの耐摩耗性を、これら系の他の要求されている性能特性(例えば光沢特性、表面平滑度、接着能力)に悪影響を与えること無しに、改善するのに適しているものである。
【0073】
この方法において、効果的なフィラーが上述した系に関して提供され、例えば塗装系(例えば、ペンキ及びインキ)への合体において、塗装の摩耗抵抗及び引っ掻き抵抗のような力学的特性を効果的に改善するものである。
【0074】
本願発明に関して、結果として、(a)第1に、少なくとも1つのワックスからなるか少なくとも1つのワックスを具備する少なくとも1つの有機材料に基づく粒子、特にワックス粒子と、(b)第2に、少なくとも1つの無機材料に基づく粒子、特に無機ナノ粒子とが、1つの分散において結合して一体化され、それが、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、すべての種類の分散、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及びシーラントに使用されるのに適しており、特にそれらの力学的特性を改善する。この方法において、それぞれの系に関する塗装の引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗のような力学的特性を改善するのに必要な上述した成分又は付加剤(例えば、第1にワックス含有有機粒子及び第2に無機粒子)の量において十分な減少を達成することが可能となるものであり、これは、特に上述した第1のワックス材料と第1の無機粒子、特にナノ粒子の間の相乗効果に貢献するものである。
【0075】
第1のワックス粒子と、第2の無機粒子、特にナノ粒子の間の上述された相乗効果は、ペンキ若しくはプラスチックの特性を改善するために効果的に使用される。
【0076】
上述したように、本願発明の分散は、純粋ワックスエマルジョンと又は純粋ナノ粒子分散と比べて塗装の力学的特性を重要な方法において改善する。
【0077】
個々の構成物質、例えば第1のワックス粒子及び第2の無機ナノ粒子と比較して、本願発明の分散は、特に塗装の力学的特性に関して相乗的効果を示すものであり、それは、合体される粒子の総量が、純材料に比べて、特に純粋無機ナノ粒子分散と比較して十分に減少されることを意味する。
【0078】
本願発見栄の分散の応用は、極端に広い範囲で可能である。本願発明の分散の極端に良好な効果と結合したこの広い実用性は、従来の分散をはるかに超えている。
【0079】
本願発明の分散は、例えば、ペンキ、接着剤、プラスチック等を形成するために、さらに加工される現存する系への付加に用いられる。本願発明の少量の分散の付加は、極端に向上した力学的抵抗を生じる。該当する系、特にペンキ、プラスチックの他の加工特性は、全く影響されることがないか、ほとんど影響を受けることがないので、これらの応用の場合において他のパラメータの新しい最適化は必要ないものである。
【0080】
そのため、本願発明の分散は、すべての種類の塗装材料、プラスチック、接着剤、シーラント等に使用するのに適している。
【0081】
本願発明のさらなる具体例、改良例及び変形例は、本願発明の範囲から逸脱すること無しに本明細書を読むことによって、当業者には容易に識別することが可能であり、実現することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本願発明は、下記する実施例を介して説明されるが、これによって本願発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0083】
実施例:本願発明の分散の調製
実施例1:水性ナノ粒子分散の調製
【0084】
174gの水に、顔料親和性の基を有するポリマー湿潤及び分散付加剤6gを混合する。この混合液に、d50=40nmの主粒子径を有する市販の酸化アルミニウムナノ粉末を120g加えて攪拌する。この混合液は、250mlのガラスビーズ(径1mm)が付加され、約2000rpmで3時間、ディスパーマット(登録商標:分散機)によって分散される。グラスパールは、篩いによって排除され、これによって得られた分散が用意された。
【実施例2】
【0085】
実施例2:溶剤ベースのナノ粒子分散の調製
【0086】
262gの非極性溶剤(Exxsol D60)に、顔料親和性の基を有するポリマー湿潤及び分散付加剤18gを溶解させる。d50=10nmの主粒子径を有する市販のベーマイト120gを前記混合液に付加して攪拌する。この混合物は、超音波によって2時間分散される。これによって得られた分散は、数ヶ月の間安定する。
【実施例3】
【0087】
実施例3:ワックスエマルジョンの調製
【0088】
定格圧力装置において、1.3gの低い分子量の陰イオン界面活性剤が溶解した150gの水が、溶解酸化PEワックス50gと、溶解層によって高い切断力を使用することで、安定した水中油型エマルジョンを形成するために、少しずつ混合される。分散(エマルジョンとよばれている調製可能により)の液滴径におけるワックス粒子の微細な径は、d50=50nmとして光散乱法によって測定される。
【実施例4】
【0089】
実施例4;ワックス分散の調製
【0090】
定格圧力装置において、60gのカルナバワックスが、320gの溶剤ナフサに溶解され、加熱される。それに続いて、80gのn−ブタノールが混合液に付加され、集中攪拌される。この混合液に不溶性であるワックスは、d50=10μmの大きさを有するワックス粒子の形で沈殿する。これによって得られた分散は、数ヶ月間安定する。
【実施例5】
【0091】
実施例5:ナノワックス予混合の調製
【0092】
溶解機(2000rpm)において、歯付きディスクを使用して、連続的に、所望のワックス/酸化アルミニウムナノ粒子比率及び分散3を達成するための量が、実施例1で調製されたナノ分散に付加される。付加の完遂に続いて、混合物は、さらに20分間均質化される。
【0093】
上述した方法を使用して、本願発明の分散は、ワックス粒子及び無機ナノ粒子の量を変化させて調製される。
【0094】
本出願人は、すべての種類の塗装材料、プラスチック、接着剤、シーラント等にそれらを付加する前に、無機ナノ粒子とワックス粒子を有する分散及びエマルジョンとに、これによって得られた分散とを混合することが、特に有益であることを見出した。混合において、ワックス粒子及び無機ナノ粒子の結合が生じ、すでに述べられた相乗効果に貢献する。
【0095】
これによって得られた分散は、それに続いて、2成分PU塗装系に混合され、塗装に関するそれらの性能特性、特に光沢、引っ掻き抵抗及び潤滑性がテストされる。純粋ワックスエマルジョン又は純ナノ粒子分散に関して、本願発明の分散は、特に改善された引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗を示す。その結果は、下記する表に示される。
【0096】
性能テスト:
【0097】
比較参照データ及び純ワックスでコートされたサンプルを除いて、他のサンプルのすべては、塗装組成物に本願発明の分散を具備する。
【0098】
引っ掻き抵抗は、500、1000、2000及び4000周期後にサトラテスト法によって測定され、その結果として生じる摩耗抵抗の評価は、1〜5(1=大変良い〜5=不十分)の評価段階を有する学校評価システムによって実施される。この目的のために、塗装は、同一の塗装厚さに塗布され、24時間同一条件下で乾燥硬化された。その後、3日間保存された後、サトラ引っ掻き抵抗試験が当業者には公知である条件下で、上述した周期で塗装表面で回転する摩耗ディスクによって実行された。
【0099】
光沢値は、60°の角度で、ISO2813に対応するDINEN67530によって測定された。
【0100】
表面平滑度(「滑り」)は、滑り抵抗の百分率減少による滑り特性の測定によって決定された。この測定方法において、塗装表面上の定義された項目の摩擦力が測定される。この場合、決められたフェルトが下面にある500gのおもりが、一定の速度で塗装表面に渡って引っ張り機によって移動される。これを達成するために要求された力が、電子式力変換器を使用して測定される。比較参照データに関して、要求された力における減少は、力の値から、比較参照データと比べて何%かが演算される。プラス値の場合、サンプルは比較参照データよりも円滑であり、マイナス値の場合、サンプルは比較参照データよりも粗いものである。
【0101】
前記摩耗抵抗は、500gの負荷でASTMD4060(重量損失のステートメント)のテーバー摩耗法によって測定された。表示されるパラメータは、mg単位の質量ロスである。
【0102】
水性、空気乾燥ポリウレタン塗装材料におけるテスト結果を有する表が以下に示される。
【0103】
【表1】




前記重量%は、使用される塗装系の総固体における対応する種類の粒子の量に基づいている。
【0104】
上述した結果は、本願発明の分散の結合によって、摩耗抵抗及び引っ掻き抵抗において十分な改善を達成することができることを示したものである。
【0105】
本願発明の分散の性能における2峰性粒子径分布の影響
【0106】
調査は、本願発明の分散の性能に関して、2峰性粒子径分布の影響について実施された。この目的のために、第1のワックスベース粒子と第2の無機ナノ粒子との平均粒子径の相違比Vを有する本願発明の分散は、上述されたポリウレタンベース塗装系(それぞれの場合の量:約40nmの平均粒子径を有するナノ粒子(Al2O3ナノ粒子)1.0重量%と、0.5重量%のワックス粒子)へ結合され、Vについて選択された値は、約1.05、約3.1、約5.2及び約10.1である。
【0107】
その最良の結果は、高いV値で達成される。その結果は、以下の表で示される。
【0108】
試験結果を有する表が、以下に示される。
【0109】
【表2】

【0110】
本願発明の分散の性能上の比率の影響
【0111】
調査は、第1の無機ナノ粒子と第2のワックスベース粒子との比率Mの影響について実行され、Mに関する値を変化させる処理(M=約0.6又は約5.2又は約10.4)が行われた。
【0112】
この目的のために、異なる比率Mを有する本願発明の分散が、上述したポリウレタンベースの塗装系(Al2O3のナノ粒子の量:それぞれの場合で1.0重量%;上述した比率Mを実行するためにワックス粒子の量を変化させた)に結合された。その最善の結果は、高いM値で達成される。その結果は、下記の表に示される。
【0113】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つのワックスからなる少なくとも1つの有機材料、特にワックス粒子に基づく第1の粒子と、
(b) 少なくとも1つの有機材料、特に無機ナノ粒子に基づく第2の粒子とを結合して、分散媒体と共に具備することを特徴とする分散。
【請求項2】
(a)第1に、有機粒子、特にワックス粒子と、(b)第2に、無機粒子、特に無機ナノ粒子とが、2峰性の粒子径分布を有することを特徴とする請求項1記載の分散。
【請求項3】
前記粒子(a)の平均粒子径φparticle(a)の前記粒子(b)の平均粒子径φparticle(b)に対する比Vが、
【数1】

特に>2、好ましくは>3、より好ましくは>5
であることによって制御されることを特徴とする請求項2記載の分散。
【請求項4】
前記粒子(a)の平均粒子径φparticle(a)の前記粒子(b)の平均粒子径φparticle(b)に対する比Vが、1.05〜1000の範囲内、特に2.05〜500の範囲内、好ましくは3.05〜250の範囲内、より好ましくは5.05〜100の範囲内で変化することを特徴とする請求項2又は3記載の分散。
【請求項5】
前記有機粒子(a)、特にワックス粒子は、5nm〜500μmの範囲内、特に10nm〜200μmの範囲内、好ましくは20nm〜150μmの範囲内、より好ましくは30nm〜125μmの範囲内、最も好ましくは50nm〜100μmの範囲内の粒子径を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の分散。
【請求項6】
無機粒子(b)、特に無機ナノ粒子は、0.5〜1000nmの範囲内、特に2〜800nmの範囲内、好ましくは5〜700nmの範囲内、より好ましくは10〜600nmの範囲内、最も好ましくは20〜100nmの範囲内の粒子径を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の分散。
【請求項7】
粒子(a)に対する粒子(b)の重量ベース比Mは、少なくとも0.01、特に少なくとも0.5、好ましくは少なくとも1、より好ましくは少なくとも2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の分散。
【請求項8】
粒子(a)に対する粒子(b)の重量ベース比Mは、0.01〜500の範囲内、特に0.5〜250の範囲内、好ましくは1〜150の範囲内、より好ましくは2〜100の範囲内で変化することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の分散。
【請求項9】
分散に基づいて、0.01重量%〜30重量%、特に0.05重量%〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%の量で、粒子(a)を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の分散。
【請求項10】
分散に基づいて、0.01重量%〜50重量%、特に0.1重量%〜40重量%、好ましくは0.2〜30重量%、より好ましくは0.3〜20重量%、最も好ましくは0.5〜10重量%の量で、粒子(b)を具備することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の分散。
【請求項11】
前記粒子(b)に基づく無機ベース材料は、少なくとも1つの付加的ドープ無機酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、セレン化物、テルル化物、バナジウム酸塩、タングステン酸塩、チタン酸塩、ビスマス酸塩、フッ化物、アパタイト、ホウ酸塩、炭酸塩、窒化物、珪酸塩、ゼオライト、炭化物及び/若しくは金属、金属間相、金属塩、又はそのような化合物の他の混合物又は結合から形成されること、又は前記化合物を具備することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の分散。
【請求項12】
前記粒子(b)の無機ベース材料は、金属又は半金属又はその他の金属要素の少なくとも1つの付加的ドープ酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、アパタイト、フッ化物、ホウ酸塩、セレン化物、テルル化物、チタン酸塩、バナジウム酸塩、タングステン酸塩、ビスマス酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、窒化物、珪酸塩及び/若しくは炭化物、又はそれらか化合物の他の混合物又は結合から形成されること、又は前記化合物を具備することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の分散。
【請求項13】
前記粒子(b)の無機ベース材料は、アルミニウム、珪素、亜鉛、チタン、セリウム及び/若しくは鉄の少なくとも1つの付加的ドープ酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸塩、又は遷移金属リン酸塩若しくはリン酸ランタノイド、アルカリ金属バナジウム酸塩、アルカリ土類金属バナジウム酸塩、遷移金属バナジウム酸塩若しくはバナジウム酸ランタノイド、硫化カドミウム若しくは硫化亜鉛、セレン化カドミウム若しくはセレン化亜鉛、テルル化カドミウム若しくはテルル化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩、窒化アルミニウム若しくは窒化珪素、アルカリ土類金属珪酸塩、炭化珪素、炭素同素体、銀、プラチナ、パラジウム又は金のような貴金属、又はそれら化合物の混合物又は結合から形成されること、又はその化合物を具備することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の分散。
【請求項14】
前記粒子(b)の無機ベース材料は、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化セリウム、銀、炭素ナノチューブ及び/若しくは二酸化チタンから形成されること、又はその化合物を具備することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の分散。
【請求項15】
前記粒子(b)の無機ベース材料は、ポリシロキサン基によって表面改質されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の分散。
【請求項16】
前記粒子(a)の有機ベース材料は、少なくとも1つのワックスから形成されること、又は少なくとも1つのワックスを具備すること、且つ、該ワックスが、(i)特に植物性ワックス、動物性ワックス及び鉱物性ワックスである天然ワックス、(ii)化学的変性ワックス、(iii)合成ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の分散。
【請求項17】
前記ワックスは、合成ワックスであり、特にポリオレフィンベースのワックスであり、好ましくは酸化ポリオレフィンに基づくワックスであることを特徴とする請求項16記載の分散。
【請求項18】
前記粒子(a)の有機ベース材料、特にワックスが、官能基を具備すること、該官能基が、極性基、特にO、N及び/若しくはSの群から選択されたヘテロ原子、特にOを有する基であり、好ましくは水酸基、ポリエーテル基、特にポリアルキレンオキシド基及び/若しくはカルボキシル基であり、より好ましくはポリエーテル基及び/若しくは水酸基であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の分散。
【請求項19】
該分散が、水性基材に形成されること、且つ/又は、該分散が、分散媒体としての水を具備することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の分散。
【請求項20】
該分散が、有機基材に形成されること、且つ/又は、該分散が、分散媒体としての少なくとも1つの有機溶剤を具備することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の分散。
【請求項21】
該分散は、乳化剤、湿潤剤、抗酸化物質、安定化剤、中和剤、濃厚剤、分散剤、有機溶剤、可溶化剤、及び殺生物剤、及びそれらの混合物の群から選択された少なくとも1つの成分及び/若しくは少なくとも1つの付加剤を具備することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載の分散。
【請求項22】
該分散が、特にペンキ、インキ等の塗装材料又は塗装系として、マニキュア液の化粧品として、接着剤として、又はシーラントとして形成されたことを特徴とする請求項1〜21のいずれか1つに記載の分散。
【請求項23】
該分散が、特にペンキ、インキ等である塗装材料及び塗装系へ、プラスチックへ、発泡体へ、特にマニキュア液である化粧品へ、接着剤へ、及びシーラントへ結合するように形成されることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載の分散。
【請求項24】
特にペンキ、インキ等の塗装材料及び塗装系に、すべての種類の分散に、プラスチックに、発泡剤に、特にマニキュア液である化粧品に、接着剤に、及びシーラントに請求項1〜23のいずれか1つに記載の分散を使用すること。
【請求項25】
力学的特性を改善するために、特に耐摩耗性を向上させるために、好ましくは引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗を向上させるための前記分散が使用されることを特徴とする請求項24記載の使用。
【請求項26】
前記分散が、結果として生じる系全体に基づいて、0.1〜30重量%、特に0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で使用されることを特徴とする請求項24又は25記載の使用。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1つに記載の分散を具備することを特徴とする塗装材料又はペンキ、インキ等の塗装系、プラスチック、発泡体、マニキュア液等の化粧品、接着剤又はシーラント。
【請求項28】
前記分散が、結果として生じる系全体に基づいて、0.1〜30重量%、特に0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で使用されることを特徴とする請求項27記載の塗装材料又はペンキ、インキ等の塗装系、プラスチック、発泡体、マニキュア液等の化粧品、接着剤又はシーラント。
【請求項29】
塗装材料又はペンキ、インキ等の塗装系、プラスチック、発泡体、マニキュア液等の化粧品、接着剤又はシーラントにおいて、
(a)少なくとも1つのワックスを具備するか少なくとも1つにワックスからなる少なくとも1つの有機材料、特にワックス粒子を基礎とする第1の粒子と、
(b)少なくとも1つの無機材料、特に無機ナノ粒子に基づく第2の粒子との結合を使用すること。
【請求項30】
力学的特性を改善するために、特に耐摩耗性を向上させるために、好ましくは引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗を向上させるための前記分散が使用されることを特徴とする請求項29記載の使用。

【公表番号】特表2011−518902(P2011−518902A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505389(P2011−505389)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002220
【国際公開番号】WO2009/129909
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】