説明

ワックスはく離ブラシ

【課題】化学系床材等の床面に堆積している古いワックス等の汚れのはく離・洗浄作業に使用するワックスはく離ブラシにおいて、研磨砥粒を含有した複数の毛材を密集して植毛したブラシ部で効率よくはく離可能とする。
【解決手段】研磨砥粒を含有した複数の毛材3をその長手方向の中間部で芯線4に交差させて折り返してチャンネル方式で植毛したブラシ部1と、前記ブラシ部1の横幅W方向にて、前記芯線4に交差させて折り返した毛材3の根本部分R及び該根本部分Rから毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域Eをその両側面から挟み込んで該ブラシ部1の根本部分R及び前記所定領域Eを保持した保持部2とを備えたものである。これにより、研磨砥粒を含有した複数の毛材3を密集して植毛したブラシ部1で古いワックス等を効率よくはく離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワックスが塗布された化学系床材等の床面でフロアーポリッシャが届きにくい部分に堆積している古いワックス等の汚れのはく離・洗浄作業に使用するワックスはく離ブラシに関し、詳しくは、研磨砥粒を含有した複数の毛材を密集して植毛したブラシ部で古いワックス等を効率よくはく離可能とするワックスはく離ブラシに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のワックスはく離ブラシとしては、柄の下端に少なくとも左右に伸びる台座部を取り付け、該台座部下面において少なくとも前記左右方向に沿って毛材を植毛してブラシ部を形成し、前記ブラシ部の毛材を研磨砥材粒子が含有するモノフィラメントで形成し、前記ブラシ部で床面等を擦ることにより、前記毛材の先端が床面等に付着するワックスに突き刺さることで前記ワックスに微細な傷が付けられるように構成されたワックス剥離用箒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3140869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に記載のワックス剥離用箒においては、台座部の下面には毛材を植毛するための複数の小孔が、該台座部の長手方向に沿って前後二列に等間隔で、かつ、前後の位置が互いにオフセット配置されるように穿たれており、所定本数の毛材を柱状に引き揃えて束ねて繊維束ユニットを形成し、この繊維束ユニットを前記各小孔へ植毛することによりブラシ部を形成していた。この場合、台座部の下面に穿たれる複数の小孔の間隔は一定限度より狭くできないことと、各小孔へ植毛する毛材の本数は所定本数よりも多くはできないことから、台座部へ植毛する毛材の密度を一定限度より高くすることはできないものであった。
【0005】
そこで、このような問題点に対処し、本発明が解決しようとする課題は、研磨砥粒を含有した複数の毛材を密集して植毛したブラシ部で古いワックス等を効率よくはく離可能とするワックスはく離ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明によるワックスはく離ブラシは、研磨砥粒を含有した複数の毛材をその長手方向の中間部で芯線に交差させて折り返してチャンネル方式で植毛したブラシ部と、前記ブラシ部の横幅方向にて、前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び該根本部分から毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域をその両側面から挟み込んで該ブラシ部の根本部分及び前記所定領域を保持した保持部と、を備えたものである。
【0007】
このような構成により、研磨砥粒を含有した複数の毛材をその長手方向の中間部で芯線に交差させて折り返してチャンネル方式で植毛したブラシ部の横幅方向にて、前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び該根本部分から毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域を、保持部でその両側面から挟み込んで該ブラシ部の根本部分及び前記所定領域を保持したことにより、操作者が前記保持部を把持して操作することで、研磨砥粒を含有した複数の毛材を密集して植毛したブラシ部で古いワックス等を効率よくはく離可能とする。
【0008】
また、前記保持部は、前記ブラシ部の前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び前記所定領域をその両側面から挟み込む一対のブラシ押さえ部材を有し、各ブラシ押さえ部材の対向面に形成された突起部と穴部とを嵌め合わせて前記一対のブラシ押さえ部材を結合させるものである。
これにより、前記一対のブラシ押さえ部材の対向面に形成された突起部と穴部とを嵌め合わせて各ブラシ押さえ部材を結合させる保持部により、前記ブラシ部の前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び前記所定領域をその両側面から挟み込んで保持する。
【0009】
さらに、前記研磨砥粒は、予め定められた硬度を有する酸化アルミ又はシリコンカーバイトで形成されるものである。
これにより、予め定められた硬度を有する酸化アルミ又はシリコンカーバイトで形成される研磨砥粒を含有した複数の毛材を用いて、曲げに対して腰の強い毛材を密集して植毛したブラシ部を形成する。
【0010】
さらにまた、前記ブラシ部の毛材の長さを、該ブラシ部の横幅方向にて一端側に比して他端側が順次短くなるように斜めに切断してもよい。
これにより、ブラシ部の横幅方向にて一端側に比して他端側が順次短くなるように斜めに切断した長さの毛材を密集して植毛したブラシ部で、コーナーや隅部に堆積している古いワックス等を効率よくはく離可能とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、研磨砥粒を含有した複数の毛材をその長手方向の中間部で芯線に交差させて折り返してチャンネル方式で植毛したブラシ部の横幅方向にて、前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び該根本部分から毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域を、保持部でその両側面から挟み込んで該ブラシ部の根本部分及び前記所定領域を保持したことにより、操作者が前記保持部を把持して操作することで、研磨砥粒を含有した複数の毛材を密集して植毛したブラシ部により古いワックス等を効率よくはく離することができる。
【0012】
また、請求項2に係る発明によれば、前記一対のブラシ押さえ部材の対向面に形成された突起部と穴部とを嵌め合わせて各ブラシ押さえ部材を結合させる保持部により、前記ブラシ部の前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び前記所定領域をその両側面から挟み込んで保持することができる。したがって、チャンネル方式で植毛したブラシ部に対して、保持部を後付けにより結合してワックスはく離ブラシを組み立てることができる。
【0013】
さらに、請求項3に係る発明によれば、予め定められた硬度を有する酸化アルミ又はシリコンカーバイトで形成される研磨砥粒を含有した複数の毛材を用いて、曲げに対して腰の強い毛材を密集して植毛したブラシ部を形成することができる。したがって、このようなブラシ部により古いワックス等を効率よくはく離することができる。
【0014】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、ブラシ部の横幅方向にて一端側に比して他端側が順次短くなるように斜めに切断した長さの毛材を密集して植毛したブラシ部で、コーナーや隅部に堆積している古いワックス等を効率よくはく離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるワックスはく離ブラシの実施形態を示す斜視図である。
【図2】前記ワックスはく離ブラシのブラシ部を示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)の左側面図である。
【図3】図1に示す一方のブラシ押さえ部材(6a)を示す図であり、(a)はその正面図(内面図)、(b)はその背面図(裏面図)である。
【図4】図1に示す一方のブラシ押さえ部材(6a)を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその底面図である。
【図5】図1に示す一方のブラシ押さえ部材(6a)を示す図であり、(a)は図3(a)の右側面図、(b)は図3(a)のB−B線断面図である。
【図6】図2に示すように形成されたブラシ部と、図3〜図5に示すように形成された一対のブラシ押さえ部材を結合させた保持部とを組み合わせてワックスはく離ブラシを構成した状態を示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は(a)の左側面図である。
【図7】図6に示すように構成されたワックスはく離ブラシの使用状態を示す説明図であり、(a)はその正面図、(b)は他の使用状態を示す(a)の左側面図である。
【図8】ブラシ部の他の実施形態を示す正面図である。
【図9】図8に示すように形成されたブラシ部に、図3〜図5に示すように形成された一対のブラシ押さえ部材を結合させた保持部を組み合わせて、他の実施形態によるワックスはく離ブラシを構成した状態を示す図である。
【図10】図9に示す他の実施形態によるワックスはく離ブラシの使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明によるワックスはく離ブラシの実施形態を示す斜視図である。このワックスはく離ブラシは、ワックスが塗布された化学系床材等の床面でフロアーポリッシャが届きにくい部分に堆積している古いワックス等の汚れのはく離・洗浄作業に使用するもので、ブラシ部1と、保持部2とを備えて成る。
【0017】
前記ブラシ部1は、ワックスを塗布された化学系床材等の床面を実際に擦ってワックスをはく離させる部分となるもので、図2に示すように、複数の毛材3と、芯線4と、チャンネル形状の帯状金具5とから成る。
【0018】
前記複数の毛材3は、いわゆるブラシ毛として植毛されるもので、予め定められた硬度を有する酸化アルミ又はシリコンカーバイトで形成される研磨砥粒(グリッド)を含有してフィラメント状に加工されている。具体的には、ナイロンに前記研磨砥粒(グリッド)を混入してブラシ用のフィラメントとして加工したデュポン社製の「タイネックス」(登録商標)と呼ばれるものである。この「タイネックス」(登録商標)は、フィラメント全体にグリッドが散在しており、研磨性、靱性、弾力性に優れている。「タイネックス」(登録商標)のフィラメントには、直径0.3mmから1.5mmの太さのものがあり、酸化アルミ・グリッドのものは軟質金属の仕上げに適した硬度を有し、シリコンカーバイト・グリッドのものは酸化アルミ・グリッドのものよりも硬く、鋭く、鉄等の硬質金属の仕上げに適した硬度を有している。なお、この毛材3は、一般名称として「研磨砥粒入りナイロン612フィラメント」と呼ばれている。
【0019】
前記ブラシ部1は、図2(a)に示すように、複数の毛材3が例えば150mm程度の横幅Wで植毛されている。この複数の毛材3は、図2(b)に示すように、図2(a)に示す横幅W方向に伸びる金属製の芯線4に対して、長手方向の中間部で直交状に交差させてU字状に折り返してチャンネル方式で植毛されている。この場合、図2(b)において、毛材3が中間部で芯線4に交差させて折り返された根本部分に、チャンネル形状の帯状金具5を当て嵌め、図2(b)に示す両側面及び図2(a)に示す両端面からかしめて、図2(c)に示すように、複数の毛材3の芯線4に交差させて折り返した根本部分を帯状金具5で挟み付けたブラシ部1が形成される。このとき、複数の毛材3は、図2(b)において、ブラシ部1の厚みt方向に複数本が重ねられてU字状に折り返されている。また、図2(a)において、ブラシ部1の横幅W方向に複数本が大きな隙間なく並べられてU字状に折り返されている。この結果、研磨砥粒を含有した複数の毛材3を密集して植毛したブラシ部1が形成される。
【0020】
前記ブラシ部1の横幅W方向にて、該ブラシ部1の根本部分及び該根本部分付近の所定領域は、図1に示すように、保持部2で保持されている。この保持部2は、ブラシ部1により古いワックス等をはく離する際に操作者が把持して操作する操作部材にもなるもので、前記芯線4に交差させて折り返した毛材3の根本部分及び該根本部分から毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域をその両側面から挟み込んで該ブラシ部1の根本部分及び前記所定領域を保持するものである。具体的には、前記保持部2は、前記ブラシ部1の前記芯線4に交差させて折り返した毛材3の根本部分及び前記所定領域をその両側面から挟み込む一対のブラシ押さえ部材6a,6b(図1参照)を有し、各ブラシ押さえ部材6a,6bの対向面に形成された突起部7a,7b(図4参照)と穴部8a,8b(図4参照)とを嵌め合わせて前記一対のブラシ押さえ部材6a,6bを結合させるようになっている。
【0021】
図3(a)は図1に示す一方のブラシ押さえ部材6aを示す正面図(内面図)であり、図3(b)はそのブラシ押さえ部材6aを示す背面図(裏面図)である。また、図4(a)は図1に示す一方のブラシ押さえ部材6aを示す平面図であり、図4(b)はそのブラシ押さえ部材6aを示す底面図である。さらに、図5(a)は図1に示す一方のブラシ押さえ部材6aを示す図3(a)の右側面図であり、図5(b)はそのブラシ押さえ部材6aを示す図3(a)のB−B線断面図である。なお、図3,図4及び図5においては、図1に示す一対のブラシ押さえ部材6a,6bのうち一方のブラシ押さえ部材6aしか示していないが、他方のブラシ押さえ部材6bも図3,図4及び図5に示す形状と全く同じに形成されており、両者を対向させて結合させるようになっている。
【0022】
図3(a),図4(a)及び図5(a)において、一方のブラシ押さえ部材6aの上部内側面には、図3(a)に示す全幅Dの中心O−Oに対して右側に偏った位置にて予め定められた間隔で2個の突起部7a,7bが所定の長さで内向きに突出されている。これらの突起部7a,7bは、ボスと呼ばれるもので、図5(a)に示すように、先端部が他方のブラシ押さえ部材6bに形成された穴部8a,8bに入り易いように半球状に形成されており、その半球状部の根本には細径のくびれ部9が形成されている。
【0023】
また、図3(a)及び図4(a)において、一方のブラシ押さえ部材6aの上辺の内側面には、図3(a)に示す全幅Dの中心O−Oに対して左側に偏った位置にて予め定められた間隔で2個の穴部8a,8bが所定の深さで穿たれている。これらの穴部8a,8bは、図5(b)に示すように、その深さの中間に細径部10が形成されており、他方のブラシ押さえ部材6bに形成された突起部7a,7bが嵌め合わされた状態でその半球状部の根本が穴部8a,8bの細径部10に係合して嵌め殺し状に結合されるようになっている。
【0024】
なお、図3(a)及び図5(b)において、符号11は、対向する一対のブラシ押さえ部材6a,6bにより図2に示すブラシ部1を両側面から挟み込む際に、帯状金具5と掛止して保持する掛止段部を示している。また、図3(a)及び図4(b)において、符号12は、同じく対向する一対のブラシ押さえ部材6a,6bにより図2に示すブラシ部1を両側面から挟み込む際に、帯状金具5及び複数の毛材3の両端部を抱え込んで保持するために内向きに張り出した抱え込み端板を示している。さらに、図3(b)において、符号13は、対向する一対のブラシ押さえ部材6a,6bの外側面に形成され、保持部2に操作用のクリップ部材を装着する際に前記クリップ部材の爪を掛止するための溝を示している。
【0025】
図1に示す一方のブラシ押さえ部材6aは以上のように形成されているが、他方のブラシ押さえ部材6bも、図3,図4及び図5に示す一方のブラシ押さえ部材6aと全く同じ形状に形成されている。この場合、図1に示すように、ブラシ部1を間に挟んで一方のブラシ押さえ部材6aと他方のブラシ押さえ部材6bとを対向させると、左右が反転した状態で対向する各ブラシ押さえ部材6a,6bの対向面に形成された突起部7a,7bと穴部8a,8bとが嵌め合わされて前記一対のブラシ押さえ部材6a,6bが結合される。すなわち、図4(a)に示す一方のブラシ押さえ部材6aの穴部8aに対して他方のブラシ押さえ部材6bの突起部7aが嵌め合わされ、該ブラシ押さえ部材6aの他の穴部8bに対して他方のブラシ押さえ部材6bの他の突起部7bが嵌め合わされる。同様にして、他方のブラシ押さえ部材6bの穴部8aに対して一方のブラシ押さえ部材6aの突起部7aが嵌め合わされ、該ブラシ押さえ部材6bの他の穴部8bに対して一方のブラシ押さえ部材6aの他の突起部7bが嵌め合わされる。そして、前述のように、前記突起部7a,7bと穴部8a,8bとが嵌め殺し状に結合されて保持部2が構成されるようになっている。
【0026】
図6は、以上のように形成されたブラシ部1と、保持部2とを組み合わせてワックスはく離ブラシを構成した状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は(a)の左側面図である。ここで、前記ブラシ部1と保持部2とを組み合わせるには、まず、図2(c)に示すブラシ部1の両側面に、図3〜図5に示すように形成された一対のブラシ押さえ部材6a,6bを対向させて配置する。次に、図6(b)に示すように、複数の毛材3の芯線4に交差させて折り返した根本部分Rを挟み付ける帯状金具5に、各ブラシ押さえ部材6a,6bの内側面に形成された掛止段部11が掛止するように位置決めして、前述のように一方のブラシ押さえ部材6aの穴部8a,8bに対して他方のブラシ押さえ部材6bの突起部7a,7bを嵌め合わせ、他方のブラシ押さえ部材6bの穴部8a,8bに対して一方のブラシ押さえ部材6aの突起部7a,7bを嵌め合わせて、前記毛材3の根本部分R及び該根本部分Rから毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域Eをその両側面から挟み込んで、一対のブラシ押さえ部材6a,6bを結合させて保持部2とする。これにより、前記ブラシ部1の根本部分R及び前記所定領域Eを保持部2で保持してワックスはく離ブラシが構成される。
【0027】
この場合、図3(a)及び図4(b)に示すように、各ブラシ押さえ部材6a,6bの両端部には抱え込み端板12が内向きに張り出しているので、前記のようにブラシ部1の横幅W方向にて該ブラシ部1の根本部分R及び前記所定領域Eを保持部2で保持した状態では、前記抱え込み端板12でブラシ部1の帯状金具5及び複数の毛材3の両端部を抱え込んで保持することができる。この結果、ブラシ部1の根本部分R及び所定領域Eを保持部2で確実に保持して、ワックス等をはく離する際に操作者が把持する操作部材とすることができる。
【0028】
なお、以上の説明では、図1に示す他方のブラシ押さえ部材6bも、図3〜図5に示す一方のブラシ押さえ部材6aと全く同じ形状に形成されており、図1に示すように、ブラシ部1を間に挟んで各ブラシ押さえ部材6a,6bを対向させると、左右が反転した形状で一対のブラシ押さえ部材6a,6bが対向する状態となるように形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、一対のブラシ押さえ部材6a,6bは必ずしも同一の形状に形成されていなくてもよい。すなわち、一対のブラシ押さえ部材6a,6bの対向面に形成された突起部7a,7bと穴部8a,8bとが嵌め合わされて各ブラシ押さえ部材6a,6bが結合される状態に形成されていればよい。例えば、一方のブラシ押さえ部材6aは、図4(a)において、中心線を境にしてその中心線に近い両側部位に2個の突起部7a,7bを設け、その中心線から離れた両側端部に2個の穴部8a,8bを設けて成り、他方のブラシ押さえ部材6bは、同じく図4(a)において、中心線を境にしてその中心線に近い両側部位に2個の穴部8a,8bを設け、その中心線から離れた両側端部に2個の突起部7a,7bを設けて成るように形成してもよい。
【0029】
また、図3〜図6の説明では、前記保持部2は対向する一対のブラシ押さえ部材6a,6bを結合させるものとしたが、本発明はこれに限られず、一対のブラシ押さえ部材6a,6bを結合させた状態の一体物に予め形成して、前記ブラシ部1の横幅W方向にて、前記毛材3の根本部分R及び該根本部分Rから毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域Eをその両側面から挟み込んで該ブラシ部1の根本部分R及び前記所定領域Eを保持するようにしてもよい。例えば、図1に示す一対のブラシ押さえ部材6a,6bの上辺部を蝶番のように結合して一体の成形物とし、これを図2に示すブラシ部1の根本部分R及び所定領域Eをその両側面から挟み込むようにして被せ、前記一対のブラシ押さえ部材6a,6bの下部を閉じるようにして前記ブラシ部1の根本部分R及び前記所定領域Eを保持部2で保持するようにしてもよい。
【0030】
図7は、以上のように構成されたワックスはく離ブラシの使用状態について示す説明図である。操作者は、図1及び図6に示すように構成されたワックスはく離ブラシの保持部2を手で把持して、床面14近くに身を低くしてブラシ部1の毛材3をワックスが塗布された化学系床材等の床面14に押し当てる。このとき、保持部2は、図6に示すように、一対のブラシ押さえ部材6a,6bでブラシ部1の毛材3の根本部分R及び所定領域Eをその両側面から挟み込んでいるので、操作者が保持部2を手で把持した状態でブラシ部1を確実に保持して毛材3を床面14に強く押し当てることができる。そして、この状態で、図7(a)において、前記ブラシ部1を紙面に略直角に交差する方向に前後に移動させて擦ることで、前記床面14に堆積した古いワックス等の汚れのはく離・洗浄をすることができる。この場合、特に床面でフロアーポリッシャが届きにくい部分(コーナーや隅部等)に堆積している古いワックス等の汚れをはく離・洗浄することができる。また、毛材3は、予め定められた硬度を有する酸化アルミ又はシリコンカーバイトで形成された研磨砥粒を含有しており、チャンネル方式で植毛されているので、複数の毛材3を密集した腰の強いブラシ毛となり、古いワックス等を効率よくはく離することができる。
【0031】
図7(b)は、前記ワックスはく離ブラシの他の使用状態を示す(a)の左側面図である。この使用状態では、床面14に対してブラシ部1の毛材3の傾斜角αが鋭角になるように傾けてブラシ部1の毛材3を床面14に押し当て、保持部2を手で把持して傾斜角αで傾けた側から矢印Fのように押す力を加えて、毛材3が床面14上を矢印G方向に前進するように操作する。すなわち、ブラシ部1の毛材3を傾斜角αで傾けて床面14に押し当て、矢印Fのように押す力を加えて矢印G方向に前進させながら擦り、床面14に堆積した古いワックス等の汚れを複数の毛材3で削り取るように操作するものである。この場合、複数の毛材3を密集した腰の強いブラシ毛で古いワックス等を効率よくはく離することができる。
【0032】
なお、図示は省略したが、図6(a)に示す保持部2のブラシ押さえ部材6a,6bの外側面に形成された溝13を利用し、操作用のクリップ部材の爪を掛止して前記保持部2にクリップ部材を装着し、このクリップ部材の上部に形成された筒状の取付部に棒状の柄を差し込んで取り付け、その柄を手で把持して立ち姿で前記ワックスはく離ブラシを使用するようにしてもよい。
【0033】
図8は、ブラシ部1の他の実施形態を示す正面図である。この実施形態によるブラシ部1は、その毛材3の長さを、該ブラシ部1の横幅W方向にて一端側に比して他端側が順次短くなるように斜めに切断したものである。したがって、図8において、ブラシ部1の左端側の毛材3の長さは長く、右端側の毛材3の長さは短くされ、その中間は左端側から右端側に行くに従って順次短くなるように形成されている。
【0034】
図9は、図8に示すように形成されたブラシ部1に、図3〜図5に示すように形成された一対のブラシ押さえ部材6a,6bを結合させた保持部2を組み合わせて、他の実施形態によるワックスはく離ブラシを構成した状態を示す図である。この実施形態によるワックスはく離ブラシは、ワックスのはく離対象部位のコーナーや隅部に堆積している古いワックス等を効率よくはく離しようとするものである。
【0035】
図10は、図9に示す他の実施形態によるワックスはく離ブラシの使用状態を示す説明図である。この使用状態は、特に床面14のコーナーや隅部の立ち上がり壁面15に近い部位についてはく離作業をする場合を示している。この場合、前述の図7(a)に示す実施形態によるワックスはく離ブラシでは、ブラシ部1の毛材3の長さは、該ブラシ部1の横幅W方向にて一端側から他端側まで一定となるように平行状態に切断されているので、床面14のコーナーや隅部、或いは階段のステップ部分等に堆積している古いワックス等の汚れのはく離作業時に、保持部2の一方の端部が床面14のコーナーや隅部の立ち上がり壁面15、或いは階段ステップの立ち上がり面(15)に突き当たってしまうことがある。このことから、前記ブラシ部1の立ち上がり壁面15側の端部の毛材3の先端が、前記立ち上がり壁面15直下の床面14のコーナーや隅部、或いは階段ステップの立ち上がり面(15)直下の床面14に堆積しているワックス等に届かない場合がある。
【0036】
そこで、操作者は、図10において、図9に示すように構成されたワックスはく離ブラシの保持部2を手で把持して、ブラシ部1をワックスが塗布された床面14に斜め状態に傾斜させて押し当てる。このようにすると、図10に示すように、ワックスはく離ブラシの上部が立ち上がり壁面15から離れる側に傾いて、保持部2の左端部が床面14のコーナーや隅部の立ち上がり面(15)、或いは階段ステップの立ち上がり面(15)から離れると共に、ブラシ部1の立ち上がり壁面15側の端部の毛材3の先端が、床面14のコーナーや隅部、或いは階段ステップの立ち上がり部に堆積しているワックス等に届くようになる。したがって、ワックスのはく離対象部位のコーナーや隅部に堆積している古いワックス等を効率よくはく離できるようになる。
【符号の説明】
【0037】
1…ブラシ部
2…保持部
3…毛材
4…芯線
5…帯状金具
6a,6b…ブラシ押さえ部材
7a,7b…突起部
8a,8b…穴部
9…くびれ部
10…細径部
11…掛止段部
12…抱え込み端板
13…溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨砥粒を含有した複数の毛材をその長手方向の中間部で芯線に交差させて折り返してチャンネル方式で植毛したブラシ部と、
前記ブラシ部の横幅方向にて、前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び該根本部分から毛先側に予め定められた部位まで寄った所定領域をその両側面から挟み込んで該ブラシ部の根本部分及び前記所定領域を保持した保持部と、
を備えたことを特徴とするワックスはく離ブラシ。
【請求項2】
前記保持部は、前記ブラシ部の前記芯線に交差させて折り返した毛材の根本部分及び前記所定領域をその両側面から挟み込む一対のブラシ押さえ部材を有し、各ブラシ押さえ部材の対向面に形成された突起部と穴部とを嵌め合わせて前記一対のブラシ押さえ部材を結合させるものであることを特徴とする請求項1記載のワックスはく離ブラシ。
【請求項3】
前記研磨砥粒は、予め定められた硬度を有する酸化アルミ又はシリコンカーバイトで形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のワックスはく離ブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ部の毛材の長さを、該ブラシ部の横幅方向にて一端側に比して他端側が順次短くなるように斜めに切断したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のワックスはく離ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−66343(P2012−66343A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213339(P2010−213339)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【出願人】(392023212)株式会社角田ブラシ製作所 (5)
【Fターム(参考)】