説明

ワニス組成物、ワニス組成物の調製方法

【課題】電子写真印刷に有用なワニス組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のラテックスエマルジョンと、水と、少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含むワニス組成物は、アンモニアを含まず、または実質上アンモニアを含まないため、電子写真および類似の装置で使用される感光体に否定的な影響を与えない。必要に応じて1種以上の粘度調整剤を添加し、適当な粘度に調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワニスに関し、特に静電写真印刷および画像化システムで使用するワニスに関する。開示するワニスは、例えば、感光体(photoreceptor)との優れた適合性を有し、かつ優れた基材湿潤化特性を有する。
【背景技術】
【0002】
多くのトナーは、若干の状況において、例えば印刷または電子写真法での印刷後に媒体上に永続的に残存する能力を欠いている場合がある。包装材(package)は、曲げられ、捩じられ、摩擦に曝されることが多いので、包装または郵便(packaging or mailing)で使用される材料上に印刷された画像は、永続的であることが特に重要である。
【0003】
静電写真による画像化において、静電潜像は、感光体などの電荷保持表面を均一に帯電させることによって表面上に形成される。次いで、帯電領域を、原像(original image)に対応する活性化照射のパターンで選択的に散逸させる。表面上に残存する潜在帯電パターンは照射に暴露されていない領域に対応する。次に、潜在帯電パターンは、感光体を、静電引力で帯電パターンに付着するトナーを含む1つ以上の現像ハウジングを通過させることによって可視化される。次いで、現像した画像を、画像化表面に固着するか、あるいは、適切な定着技術で画像を固着する紙などの受像基材に転写し、電子写真印刷またはトナーをベースにした印刷物を得る。画像を印刷したら、例えば本明細書で例示する開示の態様に従って、画像上に上塗りワニスを載せることができる。
【0004】
画像を形成するには、トナー、例えば、乳化凝集トナーまたは機械的に作製した従来のトナーなどを使用できる。したがって、トナーは、周知の乳化凝集法により調製することもできる。
【0005】
いくつかの商業的に入手可能な水性ワニスが、オフセット印刷工業で一般的に使用されている。しかし、電子写真印刷出版でこれらの市販水性ワニスを使用すると、少なくとも2つの理由、すなわち、(1)感光体とのワニスの不適合性、および(2)基材湿潤化の問題、のため満足な結果が得られない場合がある。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,911,830号明細書
【特許文献2】米国特許第5,223,368号明細書
【特許文献3】米国特許第5,227,460号明細書
【特許文献4】米国特許第5,278,020号明細書
【特許文献5】米国特許第5,290,654号明細書
【特許文献6】米国特許第5,308,734号明細書
【特許文献7】米国特許第5,344,738号明細書
【特許文献8】米国特許第5,346,795号明細書
【特許文献9】米国特許第5,346,797号明細書
【特許文献10】米国特許第5,348,832号明細書
【特許文献11】米国特許第5,364,729号明細書
【特許文献12】米国特許第5,366,840号明細書
【特許文献13】米国特許第5,366,841号明細書
【特許文献14】米国特許第5,370,963号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
商業的に入手可能な水性ワニスのほとんどは、ラテックスエマルジョンを安定化するために約8〜約10のpHで供給される。このpHは、比較的僅かな濃度、例えば、配合物総量の約1重量%〜約2重量%でアンモニアを添加することによって成し遂げられる。オーバープリント配合物中にアンモニアが存在することは、そのことが感光体に劣化を引き起こす可能性があるという事実のため、電子写真印刷にとって望ましくない。したがって、ラテックス由来の配合物を安定化するのに、感光体と適合性のある塩基を採用したワニスが望まれている。
【0008】
さらに、市販水性ワニスの中には、それらの大きな、例えば、全配合物の約40重量%〜約60重量%の水分含有量のために、大きな静的表面張力を有するものもある。被覆剤の塗布において、被覆剤と基材の表面張力の差を約0〜約10mN/mであるように最小化すると、印刷物の完全湿潤化を確実にすることができる。印刷物を作製するためにインクをベースにした塗布を使用するオフセット印刷において、基材とワニスの間の表面張力差は比較的小さく、例えば約0〜約5mN/mである。このことは、電子写真で調製される印刷物では当てはまらない。電子写真印刷物におけるこの差の増大は、定着ロールからの印刷物の放出を促進するために、印刷物全体に定着オイル(本質的に低い静的表面張力を有する)を塗布することが多いという事実のためである。この静的表面張力の差は、特にインラインでの被覆剤の塗布において、基材の湿潤化の問題、例えば印刷物の斑点状被覆(spotty coverage)に繋がる可能性がある。換言すれば、このようなワニスは、基材を湿らすことができない場合がある。したがって、定着オイルのそれと類似の静的表面張力を有する水性ワニスが望ましい。
【0009】
印刷室は、オフセット印刷から電子写真または静電写真印刷への切替えを続けているので、インライン印刷機の選択肢を有する顧客に適応する必要性が増大し続けている。現在広く行われているオフセット印刷機の選択肢は、画像堅牢性および美的価値を向上するための被覆剤を用いて印刷物を被覆することである。この処理のための2つの選択肢には、UV硬化が可能な被覆剤および水をベースにした被覆剤が含まれる。水性被覆剤は、その配合物に使用される成分のために、UV硬化が可能な被覆剤に優るかなりのコスト節減を提供できる。したがって、アンモニアを含有せず低い静的表面張力を有する、水をベースにした被覆剤は、電子写真印刷機と適合性がある。このことは、さらに、デジタル印刷機の顧客に、現在の市販水性被覆剤に代わる実現性のあるシステム適合性の選択肢を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態において、説明するのは、少なくとも1種のラテックスエマルジョンと、水と、少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む、静電写真印刷物を保護するのに採用されるワニス組成物である。
【0011】
また、説明するのは、少なくとも1種のラテックスからなるラテックスエマルジョンを準備する工程と、水および少なくとも1種の界面活性剤を予備ブレンド(pre-blending)して、予備ブレンドした水性混合物を生成する工程と、予備ブレンドした水性混合物をラテックスエマルジョンに添加し、次いで混合して水性ラテックスエマルジョンを生成する工程と、アミノアルコールを該水性ラテックスエマルジョンに添加する工程と、を含む、ワニス組成物の製造方法である。
【0012】
なおさらなる実施形態において、開示するのは、定着オイルがトナー画像を少なくとも部分的に覆い、かつワニスが部分的に覆われたトナー画像および基材を覆う、その上にトナー画像を有する記録媒体である。ワニス組成物は、塗布および乾燥する前に、少なくとも1種のラテックスエマルジョンと、水と、少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書で開示するのは、少なくとも1種のラテックスエマルジョンと、水と、少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含むワニス組成物である。具体的には、本明細書で開示するのは、印刷画像または電子写真画像をオーバーコーティングするための、少なくとも1種のラテックスエマルジョンと、水と、少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含むワニスである。該ワニスは、1種以上の粘度調整剤を必要に応じて含んでいてもよい。該ワニスは、アンモニアを含まず、または実質上アンモニアを含まず、したがって、電子写真および類似の装置で使用される感光体に否定的な影響を与えない。
【0014】
少なくとも1種のラテックスエマルジョンとは、ワニス組成物中で混合される1〜約10種のラテックスエマルジョン(1〜約5種のラテックスエマルジョンまたは1〜約3種のラテックスエマルジョンなど)を指す。最終的なラテックスエマルジョン混合物は、例えば、約30℃〜約95℃(約35℃〜約85℃または約35℃〜約70℃など)のガラス転移温度(T)を有することができる。この範囲のTを達成するためには、1種を超えるラテックスエマルジョンを使用すればよい。換言すれば、種々のラテックスエマルジョンを組み合わせて所望のTを達成できる。例えば、所望の最終Tより低いTを有するラテックスエマルジョンを、より高いTを有するさらなるラテックスエマルジョン(群)と、または所望のTよりも高いT(約95℃〜約150℃、あるいはそれ以上など)を有するラテックスエマルジョンと共に採用できる。最終的なラテックスエマルジョン混合物について所望のT範囲が達成される限り、1種以上の任意組合せのラテックスエマルジョンを混合することができる。Tは、例えばDSC2920(TA Instrumentsから入手できる)を使用する示差走査熱量法(DSC)、または、例えばRheometric Scientific RSAII固体アナライザーを使用する動的機械分析(dynamic mechanical analysis)によって測定できる。
【0015】
実施形態において、ラテックスエマルジョンとしては、スチレン/アクリルエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0016】
アクリルラテックスエマルジョンの例には、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸アリール)、ポリ(メタクリル酸アリール−アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸)、およびポリ(アクリル酸アルキル−アクリロニトリル−アクリル酸)が含まれ、該ラテックスは、ポリ(メタクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸プロピル−イソプレン)およびポリ(アクリル酸ブチル−イソプレン)からなる群から選択される樹脂を含む。
【0017】
スチレン/アクリルラテックスエマルジョンの例には、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン)、ポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル)、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル−アクリロニトリル−アクリル酸)、およびポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)が含まれ、該ラテックスは、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(スチレン−アクリル酸プロピル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル)、およびポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)からなる群から選択される樹脂を含む。
【0018】
本発明の実施の形態で使用するのに適した具体的なアクリルラテックスエマルジョンの例には、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas, Co.)から入手できるPHOPLEX(登録商標)HA−12およびPHOPLEX(登録商標)I−2074が含まれる。スチレン/アクリルラテックスエマルジョンの例には、ビーエーエスエフ(BASF)からのACRONAL S728、ACRONAL NX4533およびACRONAL S888Sが含まれる。水をベースにしたアクリルまたはスチレン/アクリルエマルジョンは、自己架橋性および/またはアルカリ可溶性でよく、酸側(非中和)で供給されてもよい。
【0019】
適切なポリエステルラテックスエマルジョンの例には、ポリエチレン−テレフタレート、ポリプロピレン−テレフタレート、ポリブチレン−テレフタレート、ポリペンチレン−テレフタレート、ポリヘキサレン−テレフタレート、ポリヘプタレン−テレフタレート(polyheptadene-terephthalate)、ポリオクタレン−テレフタレート、ポリエチレン−セバケート、ポリプロピレン−セバケート、ポリブチレン−セバケート、ポリエチレン−アジペート、ポリプロピレン−アジペート、ポリブチレン−アジペート、ポリペンチレン−アジペート、ポリヘキサレン−アジペート、ポリヘプタレン−アジペート(polyheptadene-adipate)、ポリオクタレン−アジペート、ポリエチレン−グルタレート、ポリプロピレン−グルタレート、ポリブチレン−グルタレート、ポリペンチレン−グルタレート、ポリヘキサレン−グルタレート、ポリヘプタレン−グルタレート(polyheptadene-glutarate)、ポリオクタレン−グルタレート、ポリエチレン−ピメレート、ポリプロピレン−ピメレート、ポリブチレン−ピメレート、ポリペンチレン−ピメレート、ポリヘキサレン−ピメレート、ポリヘプタレン−ピメレート(polyheptadene-pimelate)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−フマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−サクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−アジペート)およびポリ(プロポキシル化ビスフェノール−グルタレート)が含まれる。
【0020】
実施形態において、ワニスは、1種以上のラテックスエマルジョンを、約40重量%〜約95重量%(約50重量%〜約90重量%または約60重量%〜約90重量%など)の総量で含むことができる。1種以上のラテックスエマルジョンを利用する場合、各ラテックスエマルジョンは、ワニスの約1重量%〜約94重量%(ワニスの約5重量%〜約90重量%または約10重量%〜約85重量%など)の量で存在できる。各ラテックスエマルジョンは、ワニス中のラテックスエマルジョンの総量が所望の範囲内にあり、かつ所望のTを有する限り、任意の量で存在できる。
【0021】
本明細書で開示するワニスは、少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基をさらに含む。
【0022】
少なくとも1種のアミノアルコールとは、ワニス組成物中で混合される、例えば1〜約10種のアミノアルコール(1〜約5種のアミノアルコールまたは1〜約3種のアミノアルコールなど)を指す。アミノアルコールとは、例えば、アルキルアルコールまたはアリールアルコールと結合しているアミノ基(群)を有する化合物を指す。例えば、アルキルアルコールは、約1〜約36個の炭素原子(約1〜約30個の炭素原子または約1〜約15個の炭素原子など)を含むことができる。アルキルアルコールは、直鎖、分枝鎖または環状でよく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが含まれる。アリールアルコールは、約6〜36個の炭素原子(約6〜30個の炭素原子または約6〜約15個の炭素原子など)を含むことができる。アリールアルコールは、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、フェニルなどを含むことができる。1種以上のアミノ基とは、例えば、約1〜約10個のアミノ基(1〜約5個のアミノ基または1〜約3個のアミノ基など)を指す。
【0023】
アミノアルコールの例には、2−アミノエタノール、2−アミノプロパノール、2−アミノブタノール、2−アミノヘキサノール、2−メチル−2−アミノエタノール、2−メチル−2−アミノエタノール、2−メチル−2−アミノプロパノール、2−エチル−2−アミノエタノール、2−エチル−2−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、3−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオールおよびトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、トリイソプロパノールアミンおよび2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび類似の物質が含まれる。
【0024】
少なくとも1種のアルカリ塩基(alkali base)とは、ワニス組成物中で混合される、例えば、1〜約10種のアルカリ塩基(1〜約5種のアルカリ塩基または1〜約3種のアルカリ塩基など)を指す。アルカリ塩基の例には、KOH、LiOH、RbOH、CsOH、NaOHなどが含まれる。
【0025】
ワニスは、ワニスの約1重量%〜約5重量%(約1重量%〜約4重量%または約1重量%〜約3重量%など)の量でアミノアルコールまたはアルカリ塩基を含むことができる。
【0026】
ワニスは、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含むことができる。少なくとも1種の界面活性剤とは、例えば、ワニス組成物中で混合される1〜約10種の界面活性剤(1〜約5種の界面活性剤または1〜約3種の界面活性剤など)を指す。この付加的界面活性剤には、最初のラテックスエマルジョン中に含まれている可能性のある界面活性剤を算入しない。ワニスに添加される界面活性剤は、後でより十分に考察するように、ワニスの表面張力を調節するのを助けるために含められる場合もある。本発明で使用するのに適した界面活性剤には、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、シリコーン界面活性剤およびフルオロ界面活性剤が含まれる。
【0027】
アニオン界面活性剤としては、スルホコハク酸塩、ジスルホン酸塩、リン酸エステル、硫酸塩、スルホン酸塩、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0028】
ノニオン界面活性剤の例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、イソプロピルアルコール、アセチレン系ジオール、エトキシル化オクチルフェノール(octyl phenol ethoxylate)、エトキシル化分枝第二級アルコール(branched secondary alcohol ethoxylates)、ペルフルオロブタンスルホン酸塩およびアルコキシル化アルコール(alcohol alkoxylates)が含まれる。
【0029】
シリコーン界面活性剤は、当業界で周知であり、ポリエーテル修飾ポリ−ジメチル−シロキサンなどが含まれる。
【0030】
本発明で使用するのに適したフルオロ界面活性剤の例としては、式RfCHCHO(CHCHO)xH(ここで、Rf=F(CFCF)y、x=0〜約15、y=1〜約7)を有するZONYL(登録商標)FSO−100(デラウェア州、ウィルミントン、デュポン社(E.I. Du Pont de Nemours and Co.))、スリーエム社(3M)から入手できるFLUORADS(登録商標)FC430、FC170C、FC171など、アルドリッチ(Aldrich)からのエトキシル化ノニルフェノール、などを挙げることができる。
【0031】
ワニス組成物は、1種以上の界面活性剤を、ワニスの約0.001重量%〜約5重量%(約0.001重量%〜約4重量%または約0.01重量%〜約3重量%など)の総量で含むことができる。ワニス中の界面活性剤の総量とは、ワニス組成物に添加される界面活性剤を指し、ラテックスエマルジョン中に見出されるいかなる界面活性剤も指さない。換言すれば、界面活性剤の総量には、ラテックスエマルジョン中に含まれている可能性のあるいかなる界面活性剤も算入しない。
【0032】
ラテックスエマルジョン中に存在する界面活性剤を考慮すると、ワニス中の界面活性剤の総量は、ワニス組成物の約1〜約8重量%(約2〜約7重量%または約3〜約5重量%など)でよい。1種以上の界面活性剤を利用する場合、各界面活性剤は、ワニスの約0.01重量%〜約7.99重量%(ワニスの約0.1重量%〜約7.9重量%または約1重量%〜約7重量%など)の量で存在できる。
【0033】
本明細書で開示されるワニスは、1種以上のレオロジーまたは粘度調整剤を必要に応じて含むことができる。1種以上の粘度調整剤とは、例えば、ワニス組成物中で混合される1〜約10種の粘度調整剤(1〜約5種の粘度調整剤または1〜約3種の粘度調整剤など)を指す。粘度調整剤の例には、ACRYSOL(登録商標)ASE−60(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から入手できる)、ACRYSOL(登録商標)ASE−75、RHEOLATE(登録商標)450およびRHEOLATE(登録商標)420などのアルカリ膨潤性アクリル増粘剤、およびELEMENTIS RHEOLATE(登録商標)255、RHEOLATE(登録商標)216およびRHEOLATE(登録商標)1などの会合性増粘剤が含まれる。
【0034】
ワニスは、必要に応じて、1種以上の粘度調整剤を、ワニスの約0.01重量%〜約8重量%(約0.01重量%〜約5重量%または約0.1重量%〜約5重量%など)の量で含むことができる。
【0035】
ワニスは、水を、ワニスの約30重量%〜約80重量%(約35重量%〜約75重量%または約40重量%〜約70重量%など)の量で組み込む。
【0036】
実施形態において、さらなる通常的な任意選択の添加剤として、合一助剤(coalescing aids)、ワックス、消泡剤、艶消し剤、顔料、UV吸収剤、殺生物剤、架橋剤などを挙げることができる。
【0037】
実施形態において、ワニスは、当業者に周知の任意選択の添加剤を、ワニスの約0.1重量%〜約8重量%(約0.1重量%〜約10重量%または約1重量%〜約10重量%など)の量で含むことができる。
【0038】
本発明で使用するのに適したワックスの例には、機能性ワックス、ポリプロピレンおよびポリエチレンが含まれる。ワックスエマルジョンは、マイケルマン社(Michaelmann Inc.)、ダニエルズ・プロダクツ・カンパニ(Daniels Products Company)、イーストマン・ケミカル・プロダクツ(Eastman Chemical Products, Inc.)および三洋化成工業株式会社(Sanyo Kasei K.K.)から入手できる。商業的に入手可能なポリエチレンは、通常、約1,000〜約1,500の分子量を有し、商業的に入手可能なポリプロピレンは、約4,000〜約5,000の分子量を有すると思われる。機能性ワックスの例には、アミン、アミド、イミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸またはアクリルポリマーエマルジョンが含まれる。ポリエチレンワックスの例には、エスシー・ジョンソン・ワックス(SC Johnson Wax)から入手できるJONWAX26および28、ならびにアライド・ケミカル(Allied Chemical)、ペトロライト・コーポレーション(Petrolite Corporation)およびエスシー・ジョンソン・ワックスから商業的に入手できる塩素化された(chlorinated)ポリプロピレンおよびポリエチレンが含まれる。利用する場合、ワックスは、ワニス中に、ワニス組成物の約1重量%〜約8重量%(約1重量%〜約6重量%または約2重量%〜約5重量%など)の量で存在できる。
【0039】
配合物中で艶消し剤を使用することができ、艶消し剤としては、シリカ、シリカゲル、ケイ酸アルミニウムおよび上述のようなワックスなどを挙げることができる。
【0040】
ワニス組成物中で着色剤を採用することができ、着色剤としては、顔料または染料を挙げることができる。一般に、有用な着色剤または顔料には、カーボンブラック、マグネタイト、またはこれらの混合物;シアン、イエロー、マゼンタ、またはこれらの混合物;あるいはレッド、グリーン、ブルー、ブラウン、またはこれらの混合物が含まれる。具体的な有用着色剤には、Paliogen Violet5100および5890(ビーエーエスエフ(BASF))、Normandy Magenta RD−2400(ポール・ウーリッチ(Paul Uhlich))、Permanent Violet VT2645(ポール・ウーリッチ)、Heliogen Green L8730(ビーエーエスエフ)、Argyle Green XP−111−S(ポール・ウーリッチ)、Brilliant Green Toner GR0991(ポール・ウーリッチ)、Lithol Scarlet D3700(ビーエーエスエフ)、Toluidine Red(アルドリッチ)、Scarlet for Thermoplast NSD Red(アルドリッチ)、Lithol Rubine Toner(ポール・ウーリッチ)、Lithol Scarlet 4440、NBD3700(ビーエーエスエフ)、Bon Red C(ドミニオン・カラー(Dominion Color))、Royal Brilliant Red RD−8192(ポール・ウーリッチ)、Oracet Pink RF(チバ・ガイギー(Ciba Geigy))、Paliogen Red3340および3871K(ビーエーエスエフ)、Lithol Fast Scarlet L4300(ビーエーエスエフ)、Heliogen Blue D6840、D7080、K7090、K6910およびL7020(ビーエーエスエフ)、Sudan Blue OS(ビーエーエスエフ)、Neopen Blue FF4012(ビーエーエスエフ)、PV Fast Blue B2G01(アメリカン・ヘキスト(American Hoechst))、Irgalite Blue BCA(チバ・ガイギー)、Paliogen Blue6470(ビーエーエスエフ)、Sudan II、IIIおよびIV(マシスン,コールマン,ベル(Matheson, Coleman, Bell))、Sudan Orange(アルドリッチ)、Sudan Orange220(ビーエーエスエフ)、Paliogen Orange3040(ビーエーエスエフ)、Ortho Orange OR2673(ポール・ウーリッチ)、Paliogen Yellow 152および1560(ビーエーエスエフ)、Lithol Fast Yellow 0991K(ビーエーエスエフ)、Paliotol Yellow 1840(ビーエーエスエフ)、Novaperm Yellow FGL(ヘキスト)、Permanent Yellow YE0305(ポール・ウーリッチ)、Lumogen Yellow D0790(ビーエーエスエフ)、Suco−Gelb L1250(ビーエーエスエフ)、Suco−Yellow D1355(ビーエーエスエフ)、Sico Fast Yellow D1165、D1355およびD1351(ビーエーエスエフ)、Hostaperm Pink E(ヘキスト)、Fanal Pink D4830(ビーエーエスエフ)、Cinquasia Magenta(デュポン)、Paliogen Black L0084(ビーエーエスエフ)、Pigment Black K801(ビーエーエスエフ)、およびREGAL330(キャボット(Cabot))、Carbon Black5250および5750(コロンビアン・ケミカルズ(Columbian Chemicals))などのカーボンブラック、あるいはこれらの混合物が含まれる。
【0041】
さらなる有用着色剤には、サン・ケミカル(Sun Chemical)から商業的に入手できるような、水をベースにした分散液中の顔料、例えば、SUNSPERSE BHD6011X(Blue15型)、SUNSPERSE BHD9312X(Pigment Blue15 74160)、SUNSPERSE BHD6000X(Pigment Blue15:3 74160)、SUNSPERSE GHD9600XおよびGHD6004X(Pigment Green7 74260)、SUNSPERSE QHD6040X(Pigment Red122 73915)、SUNSPERSE RHD9668X(Pigment Red185 12516)、SUNSPERSE RHD9365Xおよび9504X(Pigment Red57 15850:1)、SUNSPERSE YHD6005X(Pigment Yellow83 21108)、FLEXIVERSE YFD4249(Pigment Yellow17 21105)、SUNSPERSE YHD6020Xおよび6045X(Pigment Yellow74 11741)、SUNSPERSE YHD6001Xおよび9604X(Pigment Yellow14 21095)、FLEXIVERSE LFD4343およびLFD9736(Pigment Black7 77226)など、またはこれらの混合物が含まれる。クラリアント(Clariant)から商業的に入手できる水をベースにしたその他の有用な着色剤分散液には、HOSTAFINE Yellow GR、HOSTAFINE Black TおよびBlack TS、HOSTAFINE Blue B2G、HOSTAFINE Rubine17613、および使用前に水および/または界面活性剤中に分散させることができるToner Magenta 6BVP2213およびToner Magenta E02などのマゼンタ固体顔料(dry pigment)が含まれる。
【0042】
その他の有用な着色剤には、モバイ社(Mobay)のマグネタイトM08029、M08060などのマグネタイト;コロンビアン社(Columbian)のマグネタイト;マピコ・ブラック(MAPICO BLACK)および表面処理マグネタイト;ファイザー社(Pfizer)のマグネタイトCB4799、CB5300、CB5600、MCX6369;バイヤー社(Bayer)のマグネタイト、BAYFERROX8600、8610;ノーザン・ピグメンツ社(Northern Pigments)のマグネタイト、NP−604、NP−608;マグノクス社(Magnox)のマグネタイトTMB−100、またはTMB−104など、あるいはこれらの混合物が含まれる。顔料のさらなる具体例には、ポール・ウーリッチ社(Paul Uhlich & Company, Inc.)から入手できるフタロシアニンHELIOGEN BLUE L6900、D6840、D7080、D7020、PLYLAM OIL BLUE、PYLAM OIL YELLOW、PIGMENT BLUE1;オンタリオ州、トロント、ドミニオン・カラー社(Dominion Color Corporation, Ltd.)から入手できるPIGMENT VIOLET1、PIGMENT RED48、LEMON CHROME YELLOW DCC1026、E.D.TOLUIDINE REDおよびBON RED C;ヘキストからのNOVAPERM YELLOW FGL、HOSTAPERM PINK E;およびデュポン社から入手できるCINQUASIA MAGENTAなどが含まれる。マゼンタの例には、例えば、2,9−ジエネチル(dienethyl)置換キナクリドンおよびカラーインデックスでCI60710として識別されるアントラキノン染料、CI Dispersed Red15、カラーインデックスでCI26050として識別されるジアゾ染料、CI Solvent Red19など、またはこれらの混合物が含まれる。シアンの実例には、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、カラーインデックスにCI74160として挙げられているx−銅フタロシアニン顔料、CI Pigment Blue、およびカラーインデックスでCI69810として識別されるAnthrathrene Blue、Special Blue X−2137など、またはこれらの混合物が含まれ、選択できるイエローの実例は、ジアリーリドイエロー3,3−ジクロロベンジデンアセトアセタニリド、カラーインデックスでCI12700として識別されるモノアゾ顔料、CI Solvent Yellow16、カラーインデックスでForon Yellow SE/GLNとして識別されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、CI Dispersed Yellow33 2,5−ジエネトキシ(dienethoxy)−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジエネトキシ(dienethoxy)アセトアセタニリド、およびPermanent Yellow FGLが含まれる。MAPICO BLACKおよびシアン成分の混合物などの有色マグネタイトも、本明細書に開示される方法と共に顔料として選択できる。着色剤には、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料の混合物、染料の混合物などが含まれる。当業者にとって、その他の有用着色剤が本開示に基づいて容易に明らかになることを理解されたい。
【0043】
肉眼では見えないが可視波長領域の外側の光線(紫外線または赤外線)に曝した場合に検出できる染料、例えば、ダンシル−リシン(dansyl-lysine)、N−(2−アミノエチル)−4−アミノ−3,6−ジスルホ−1,8−ジナフタルイミド二カリウム塩、N−(2−アミノペンチル)−4−アミノ−3,6−ジスルホ−1,8−ジナフタルイミド二カリウム塩、カスケード・ブルー(Cascade Blue)エチレンジアミン三ナトリウム塩(モレキュラープローブス社(Molecular Proes, Inc.)から入手できる)、カスケード・ブルー・カダベリン三ナトリウム塩(モレキュラープローブス社から入手できる)、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸のビスジアジニル誘導体、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸のアミド誘導体、4,4’−二置換スチルベン−2,2’−ジスルホン酸のフェニルウレア誘導体、4,4’−二置換スチルベンジスルホン酸のモノ−またはジ−ナフチルトリアゾール誘導体、ベンジチアゾール(benzithiazole)の誘導体、ベンゾキサゾールの誘導体、ベンズイミダゾールの誘導体、クマリンの誘導体、スルホン酸基を含むピラゾリンの誘導体、4,4’−ビス(トリアジン−2−イルアミノ)スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、2−(スチルベン−4−イル)ナフトトリアゾール、2−(4−フェニルスチルベン−4−イル)ベンゾキサゾール、4,4−ビス(トリアゾ−2−イル)スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、1,4−ビス(スチリル)ビフェニル、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン類、ビス(ベンザゾール−2−イル)誘導体、3−フェニル−7−(トリアジン−2−イル)クマリン類、カルボスチリル類、ナフタルイミド類、3,7−ジアミノジベンゾチオフェン−2,8−ジスルホン酸−5,5−ジオキシド、その他の商業的に入手できる材料(C.I.Fluorescent Brightener No.28(C.I.40622)、蛍光シリーズLeucophor B−302、BMB(C.I.290)、BCR、BSなど(リューコファー(Leucophor)から入手できる))なども、着色剤として使用するのに適している。
【0044】
さらに、本発明で使用できる適切な着色剤には、顔料、染料、または顔料と染料の混合物でよい1種以上の蛍光着色剤が含まれる。適切な無機蛍光顔料は、例えば、銅、銀およびマンガンなどの痕跡量の活性化剤を、原料として使用される重金属またはアルカリ土類金属の高純度硫化物(硫化亜鉛など)に添加すること、およびそれらを高温でか焼すること(calcining)によって調製できる。適切な有機蛍光顔料は、例えば、蛍光染料を合成樹脂のビヒクル中に溶解することによって調製することができ、あるいは、乳化重合または懸濁重合によって得られる微細樹脂粒子の分散物を蛍光染料で着色することによって調製される。合成樹脂としては、限定はしないが、塩化ビニル樹脂、アルキド樹脂およびアクリル樹脂を挙げることができ、蛍光染料には、限定はしないが、C.I.アシッドイエロー7、C.I.ベーシックレッド1などが含まれる。
【0045】
それに限定はされないが、適切な蛍光染料には、限定はしないが、ローダミン、フルオレセイン、クマリン、ナフタルイミド、ベンゾキサンテン、アクリジン、アゾなどとして知られている染料類に属するものが含まれる。適切な蛍光染料には、例えば、Basic Yellow 40、Basic Red 1、Basic Violet 11、Basic Violet 10、Basic Violet 16、Acid Yellow 73、Acid Yellow 184、Acid Red 50、Acid Red 52、Solvent Yellow 44、Solvent Yellow 131、Solvent Yellow 85、Solvent Yellow 135、Solvent Yellow 43 Solvent Yellow 160およびFluorescent Brightner 61が含まれる。適切な蛍光顔料には、限定はしないが、オーロラピンクT−11およびGT−11、ネオンレッドT−12、ロケットレッドT−13またはGT−13、ファイアーオレンジT−14またはGT−14N、ブレーズオレンジT−15またはGT−15N、アークイエローT−16、サターンイエローT−17N、コロナマゼンタGT−21およびGT−17Nなど、オハイオ州、クリーブランド、デイグロカラー社(Day-Glo Color Corp.)から入手できる顔料が含まれる。
【0046】
デンプシー社(Dempsey Corp.)から入手できるBYK−019およびBYK−028、水をベースにしたポリシロキサン消泡剤、またはその等価物を添加できる。
【0047】
存在する場合、合一助剤としては、Butyl CarbitolおよびDowanol DPnB(ダウ社(Dow Corp))などのポリグリコールエーテルを挙げることができる。合一助剤は、ワニス中に、ワニスの0重量%〜約8重量%(約0重量%〜約6重量%または約2重量%〜約5重量%など)の量で存在できる。
【0048】
ワニス組成物にはUV吸収剤を含めることができ、UV吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体(SANDUVOR(登録商標)3041など)、ヒドロキシフェニルトリアジン(SANDUVOR(登録商標)TB−01)、CIBAFAST(登録商標)HLiq、およびCIBA TINUVIN(登録商標)1130を挙げることができる。
【0049】
ワニス組成物には殺生物剤を組み込むことができ、殺生物剤としては、有機硫黄、有機ハロゲン、フェネート、クロロフェネート、複素環窒素化合物、有機エステル、第四級アンモニウム化合物、無機ホウ素化合物を挙げることができる。
【0050】
本発明で使用するのに適した架橋剤には、CYMEL(登録商標)303などの熱硬化性樹脂、およびシュウ酸が含まれる。
【0051】
乾燥前のワニスの粘度は、室温(ほぼ25℃)で約0.05Pa・s〜約0.75Pa・s(約50cP〜約750cP)(約0.1Pa・s〜約0.7Pa・s(約100cP〜約700cP)または約0.1Pa・s〜約0.65Pa・s(約100cP〜約650cP)など)でよい。乾燥前のワニスの静的表面張力は、約15mN/m〜約40mN/m(約20mN/m〜約40mN/mまたは約20mN/m〜約30mN/mなど)でよい。
【0052】
基材が定着オイル(機能性シリコーンオイルなど)の残留物を有する場合を含めて、例えば、紙など、任意の種類の基材に該ワニスを塗布して表面を完全に湿らすことができる。基材は、限定はしないが、カーリング防止化合物(anti-curl compounds)(例えば、トリメチロールプロパンなど)、殺生物剤、保湿剤、キレート化剤(chelating agents)、およびこれらの混合物、ならびに、トナーおよび/または基材の性能および/または価値を高めるための当技術分野で周知である任意のその他任意選択の添加剤を含むことができる。
【0053】
ワニスは、画像形成後の任意の適切な時間に基材に塗布できる。例えば、ワニスは、印刷および上塗りが同一の印刷デバイスで実施されるインラインコーティング装置のように、画像を形成した後直ちに、または印刷および上塗りが異なる印刷装置で実施されるオフラインコーティング装置のように、印刷後の短いまたは長い遅延時間のあとに、基材に塗布できる。さらに、ワニスは、基材全体、画像全体、基材の一部、または画像の一部を覆って塗布できる。例えば、組成物を、画像領域および非画像領域の双方に塗布することができ、画像領域だけに塗布することができ、あるいは非画像領域だけに塗布することができる。実施形態において、より均一な光沢および表面特性を提供するために、ワニスは、トナーで画像化された領域および非画像化領域を含む基材全体を覆って塗布される。基材上のトナーをベースにした画像は、例えば、静電画像を発生させる工程、静電画像をトナーで現像する工程、および現像されたトナーをベースにした画像を基材に転写する工程、または電子写真の技術分野で周知のその変更(modification)を含む任意の適切な電子写真法によって予め調製され得ることが望ましい。
【0054】
より具体的には、本明細書に開示するワニスで被覆された画像の生成方法は、光導電性画像形成部材に静電潜像を発生させる工程と、この潜像をトナーで現像する工程と、現像された静電画像を基材に転写する工程と、基材またはその一部および/または画像またはその一部をワニスで被覆する工程と、を含む。画像の現像は、例えば、カスケード、タッチダウン、粉末雲、磁気ブラシなどの当技術分野で周知のいくつかの方法によって達成できる。現像された画像の基材への転写は、限定はしないが、コロトロンまたは偏心ロールを使用する方法を含む任意の方法によればよい。定着は、例えば、フラッシュ定着、熱定着、圧固着、蒸気固着などの任意の適切な方法によって実施できる。適切な画像形成方法、画像形成装置、および画像形成システムは、当技術分野で周知である。
【0055】
ワニス組成物を塗布するには、ロールコータ、ロッドコータ、ブレード、ワイヤーバー、エアーナイフ、カーテンコータ、スライドコータ、ドクターナイフ、スクリーンコータ、グラビアコータ(例えば、オフセットグラビアコータ)、スロットコータ、および押出しコータを含む、液体フィルムコーティング装置を使用できる。このような装置は、例えば、正転および逆転ロールコーティング、オフセットグラビア、カーテンコーティング、リソグラフコーティング、スクリーンコーティング、およびグラビアコーティングなどの周知の方式で使用できる。実施形態において、ワニスのコーティングは、2つまたは3つのロールコータを使用して達成される。典型的なワニスの堆積レベルは、単位面積当たりの質量で表現して、約1g/m〜約10g/m(約5g/mなど)でよい。
【0056】
ワニスは、シリコーンオイルなどの定着油で少なくとも部分的に覆われた定着トナー画像を作り出す電子写真エンジンで使用できる。本明細書に開示するワニス配合物は、定着オイルで覆われた、トナーをベースにした定着画像を均一に被覆する。このワニスは、定着オイルのない電子写真機械またはオフセット印刷で効果的に使用することもできる。界面活性剤、粘度調整剤およびラテックスエマルジョン(latex emulsion(s))をブレンドした結果として、どちらのタイプの画像でも均一なコーティングが達成される。
【0057】
実施形態において、本明細書に開示するワニスは、トナーを記録媒体、例えば、紙、板紙、布などに実質上定着させた後に、トナー画像に塗布できる。トナー画像を、印刷装置からの定着オイルで部分的に覆うことができる。本明細書に開示するワニス組成物は、定着オイルで全面的に、部分的に覆われた、またはまったく覆われていないトナー画像に対して使用できる。トナー画像が定着オイルで少なくとも部分的に覆われている場合、ワニスの静的表面張力は、定着オイルの静的表面張力に実質上合致している。「部分的に」とは、本明細書中で使用する場合、例えば、トナー画像の表面の約1%〜約99%(5%〜約95%または約10%〜約90%など)が覆われることを指す。「実質上合致する」とは、例えば、ワニスの静的表面張力と定着オイルの静的表面張力の相違が、約25%以下(約0.001%〜約20%または約0.01%〜約15%など)であることを指す。
【0058】
本明細書で考察するトナー画像は、例えば、乳化/凝集(EA)トナーおよび機械的方法で製造されたトナーを含む任意の適切なトナーまたは現像剤で形成できる。本明細書に開示するワニスと共に使用できる適切なEAトナーには、ポリエステルEAトナーが含まれる。実施形態において、トナーは、スチレンアクリレートEAトナーでよい。
【0059】
ワニスを、基材に塗布し、熱および/または空気に暴露して乾燥する。UV光の利用はワニスを乾燥するのに必須ではない。しかし、例えば熱源として使用すると、UVランプを使用してワニスを乾燥できる。また、乾燥によりワニスを硬化させることもできる。
【0060】
ワニスは、僅かに高められた温度、例えば15℃以上で乾燥する。実施形態において、ワニスは、約15℃〜約90℃(約20℃〜約80℃または約25℃〜約60℃など)の温度で乾燥する。ワニスを乾燥し、硬化できる速度は、約0m/分〜約30.48m/分(約0ft/分〜約100ft/分)(約3.048m/分〜約30.48m/分(約10ft/分〜約100ft/分)または約6.096m/分〜約30.48m/分(約20ft/分〜約100ft/分)など)である。
【0061】
塗布の際に、例えばワニスが湿式である場合は、ワニスを、約2μm〜約10μm(約2μm〜約8μmまたは約3μm〜約7μmなど)の厚さを有するように塗布できる。ワニスを乾燥し、硬化した場合、ワニスは、約0.5μm〜約5μm(約0.5μm〜約5μmまたは約1μm〜約3μmなど)の厚さを有する。
【0062】
実施形態において、本明細書に開示するワニスは、上述のようなラテックスエマルジョン、または1種を超えるラテックスエマルジョンをまず混合することによって調製できる。次いで、該ラテックスエマルジョン混合物に追加の水および界面活性剤を独立的に添加し、次いで混合する。前に考察したように、1種を超える界面活性剤を予備混合し、その後、水性混合物に添加する。本発明で使用するのに適した界面活性剤は、前により詳細に説明している。1種以上の界面活性剤を、1種を超えるラテックスエマルジョンと混合した後、前述のように粘度調整剤を必要に応じて添加して、本明細書で開示した粘度レベルを達成できる。これらのステップのそれぞれは、室温、例えば約20℃〜約27℃で行われる。
【0063】
アミノアルコールまたはアルカリ塩基を混合物に添加する。これは、例えば、アミノアルコールまたはアルカリ塩基の滴加によってなされる。ワニス組成物のpHが約8〜約10(約8〜約9.5または約8.5〜約9.5など)であるように十分なアミノアルコールまたはアルカリ塩基を添加する。ワニスの粘度が、アミノアルコールまたはアルカリ塩基の添加によって有害な影響を受ける場合には、他の粘度調整剤を添加して、粘度を前に考察したレベルにさらに調節できる。
【実施例】
【0064】
[実施例1]
電子写真印刷のパラメーターで使用するのに選択され得るワニス、およびこのようなワニスの製造方法の一例を下記の表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
RHOPLEX(登録商標)HA−12およびRHOPLEX(登録商標)I−2074を中程度の剪断(medium shear)で一緒にブレンドし、ほぼ30分間混合した。該ラテックスエマルジョンに、水成分および界面活性剤(SURFYNOL(登録商標)504およびNOVEC(登録商標)FC4432を90:10の比率で予備ブレンドしたもの)を独立に添加して、さらに30分間混合した。十分に混合した後、配合物にACRYSOL(登録商標)ASE−60を添加し、30分間ブレンドした。割り当て時間の後に、被覆物のpHを調べるために、混合物中にpHメーターを挿入した。ACRYSOL(登録商標)ASE−60はアルカリ膨潤性増粘剤(粘度調整剤)であり、著しくpH依存性であるので、このことは必須であった。AMP−95を、約5秒毎に約1滴の滴下方式で添加し、添加の間にpHを安定させた。最終pHはほぼ8.5であった。
【0067】
この時点で、被覆物の粘度を測定できる。粘度が室温で0.13パスカル秒(130センチポイズ)未満の場合には、次いで、粘度をほぼ約0.14パスカル秒(約140センチポイズ)または約0.2パスカル秒(約200センチポイズ)まで高めるために、RHEOLATE(登録商標)450を少量添加できる。
【0068】
[実施例2]
4色、すなわちシアン、マゼンタ、イエローおよびブラック(CMYK)の機械的に製造されたトナーを使用してトナー画像のサンプルを作製した。ブラック色の場合の単位面積当たりトナー質量(TMA)を、単層画像の代表(representative)である0.50±0.5mg/cmの値に調節する。下記の表2に記載した紙上にサンプル画像を作製した。
【0069】
【表2】

【0070】
サンプル画像を静電写真定着装置で定着した。画像を185℃の温度および30メートル/分の処理速度で定着した。オイル率を安定化するために、画像を定着するに先立って50枚のフィーダーシートの全量を、定着機を通過させた。画像が定着機を通過したらすぐに、紙をリードシートに付着し、ラボコータ(lab coater)を通して30メートル/分の速度で供給した。コータのロール1インチ当たり140本のラインは、ほぼ2μm(乾燥時)の被覆厚さをもたらした。次いで、画像を、Fusion UV Systemのほぼ10メートル/分のベルト上に置き、UVランプ(82℃)で発生する熱の下で乾燥させた。これらの条件下で、上記配合物は、配合物にアンモニアを採用しないで、オイルで被覆され、定着されたトナー印刷物を覆う均一被覆を可能にするのに十分な湿潤化を提供した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のラテックスエマルジョンと、
水と、
少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基と、
少なくとも1種の界面活性剤と、
を含むことを特徴とするワニス組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のラテックスエマルジョンを含むラテックスを水および少なくとも1種の界面活性剤とブレンドして、予備ブレンドした水性混合物を生成する工程と、
予備ブレンドした前記水性混合物を室温で少なくとも1種のラテックスエマルジョンに添加し、次いで、混合して水性ラテックスエマルジョンを生成する工程と、
少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基を前記水性ラテックスエマルジョンに添加する工程と、
を含むことを特徴とする、ワニス組成物の調製方法。
【請求項3】
その上にトナー画像を有する記録媒体であって、
定着オイルが、前記トナー画像を少なくとも部分的に覆い、
ワニスが、少なくとも部分的に覆われた前記トナー画像を少なくとも部分的に覆い、
塗布前のワニス組成物が、少なくとも1種のラテックスエマルジョンと、水と、少なくとも1種のアミノアルコールまたは少なくとも1種のアルカリ塩基と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含むことを特徴とする記録媒体。

【公開番号】特開2007−277547(P2007−277547A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94730(P2007−94730)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】