説明

ワンタイムパスワード生成器の製造方法、ワンタイムパスワード生成器の製造システム

【課題】製造の際の負担の低減が可能なワンタイムパスワード生成器の製造方法等を提供する。
【解決手段】赤外線受信モジュール11を含むワンタイムパスワード生成器1のカード加工をカード加工装置103により行う工程(a)と、赤外線入力装置105による、赤外線受信モジュール11を介した赤外線通信によりワンタイムパスワード生成器1に顧客ごとの識別情報と暗号鍵情報を入力する工程(b)と、赤外線受信モジュール11を赤外線通信無効化装置109により破壊し無効化する工程(c)と、によりワンタイムパスワード生成器1を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワンタイムパスワード生成器の製造方法、ワンタイムパスワード生成器の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットバンキングなどの本人認証においては、ワンタイムパスワード生成器が用いられる場合がある。ワンタイムパスワード生成器は、例えば、ネットバンキングに用いられる1回限りのパスワードを表示し、ネットバンキングの際にこれを入力して本人認証として用いることができる。パスワードは1回限りとするので、ネットバンキングにおいて高度なセキュリティを保つことができる。特許文献1には、このようなワンタイムパスワード生成器について記載されている。
【0003】
ところで、ワンタイムパスワード生成器を製造する際は、例えばワンタイムパスワード生成のための種として用いる顧客ごとに固有の識別情報と、ネットバンキングサービスに係るサーバとの接続時に用いる暗号鍵情報等の情報をワンタイムパスワード生成器のメモリに入力する必要がある。
【0004】
従来、ワンタイムパスワード生成器の製造過程においては、これらの情報は予めICチップの揮発性記憶領域であるEEPROM等に記憶され、その後このICチップ等を基材に組み付ける等のカード加工が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−317091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような製造過程では、識別情報や鍵情報をICチップ等に入力、発行した後で、カード加工の工程等で不良が発生すると、ワンタイムパスワード生成器の欠番が発生したり、加工工程で順番が乱れるといった不都合が生じやすいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたもので、カード加工の際に不良が発生しても不都合が生じず、製造に係る負担を低減することが可能なワンタイムパスワード生成器の製造方法等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達するための第1の発明は、ワンタイムパスワード生成器の製造方法であって、赤外線受信モジュールを含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行う工程(a)と、前記赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に所定の情報を入力する工程(b)と、前記赤外線受信モジュールを破壊し無効化する工程(c)と、を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造方法である。
【0009】
前述の目的を達するための第2の発明は、ワンタイムパスワード生成器の製造方法であって、赤外線受信モジュールと接続するための信号線を含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行う工程(a’)と、前記信号線と接続した赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に所定の情報を入力する工程(b’)と、前記信号線を切断する工程(c’)と、を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造方法である。
【0010】
第1の発明のワンタイムパスワード生成器の製造方法では、前記工程(a)において、カード加工された前記ワンタイムパスワード生成器の一部に、赤外線を通過させるための通過部が形成されている。
また、第1、第2の発明のワンタイムパスワード生成器の製造方法は、前記工程(b)または前記工程(b’)の後に、前記ワンタイムパスワード生成器の表示部に表示される所定の情報に基づき、前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報の入力が正しく行われたかを判定する工程(d)を更に具備してもよい。
【0011】
前述の目的を達するための第3の発明は、ワンタイムパスワード生成器の製造システムであって、ワンタイムパスワード生成器に入力する所定の情報を記憶する記憶装置と、赤外線受信モジュールを含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行うカード加工装置と、前記赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報を入力する赤外線入力装置と、前記赤外線受信モジュールを破壊し無効化する赤外線受信通信無効化装置と、を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造システムである。
【0012】
前述の目的を達するための第4の発明は、ワンタイムパスワード生成器の製造システムであって、ワンタイムパスワード生成器に入力する所定の情報を記憶する記憶装置と、赤外線受信モジュールと接続するための信号線を含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行うカード加工装置と、前記信号線と接続した赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報を入力する赤外線入力装置と、前記信号線を切断する赤外線通信無効化装置と、を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造システムである。
【0013】
第3の発明のワンタイムパスワード生成器の製造システムにおいて、前記カード加工装置は、一部に赤外線を通過させるための通過部が形成された前記ワンタイムパスワード生成器をカード加工し製造する。
第3、第4の発明のワンタイムパスワード生成器の製造システムは、前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報の入力が正しく行われたかを判定するために、前記ワンタイムパスワード生成器の表示部に表示される所定の情報を撮影する入力判定装置を更に具備することも望ましい。
【0014】
上記構成により、カード加工後に識別情報等の入力を行うので、カード加工の際に不良が発生しても、不良のないカードに対する識別情報等の入力を行えばよいので、識別情報の入力順が乱れるなどの不都合が生じず、製造に係る負担を低減することが可能になる。識別情報等の入力は、カードに形成された通過部を介した赤外線通信など、赤外線受信モジュールを用いて行うことにより製造コストの低減が可能になり、また、当該赤外線受信モジュールは識別情報等の入力後破壊する、もしくは赤外線受信モジュールとの接続に用いた信号を切断するので、以降赤外線受信モジュールを介した入力等が不可能になり、耐タンパ性を維持し、識別番号や鍵情報の改ざん、盗み見などを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、カード加工の際に不良が発生しても不都合が生じず、製造の際の負担の低減が可能なワンタイムパスワード生成器の製造方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ワンタイムパスワード生成器の概略構成を示す図
【図2】ワンタイムパスワード生成器の製造システムを示す図
【図3】ワンタイムパスワード生成器の製造方法を示す図
【図4】ワンタイムパスワード生成器の概略構成を示す図
【図5】ワンタイムパスワード生成器の概略構成を示す図
【図6】ワンタイムパスワード生成器の製造方法を示す図
【図7】ワンタイムパスワード生成器の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明のワンタイムパスワード生成器の製造方法等の実施形態について説明する。
【0018】
まず、本実施形態のワンタイムパスワード生成器の製造方法により製造されるワンタイムパスワード生成器の構成について説明する。図1は、本実施形態のワンタイムパスワード生成器の製造方法において、カード加工後のワンタイムパスワード生成器1の概略構成を示す図である。
【0019】
ワンタイムパスワード生成器1は、ICチップ3、電源5、表示部7、およびスイッチ9を有するとともに、赤外線受信モジュール11を有する。但し、赤外線受信モジュール11は、後の製造工程において無効化される。以上の構成要素は基材(不図示)に挟まれ、あるいは基材上に配置され、ワンタイムパスワード生成器1は全体としてカード状の形状を有する。
【0020】
ICチップ3には、CPU、RAM、ROM、EEPROM等の制御部、入出力部等がバス等で接続されたものが搭載されており、電源5からの電力供給を受けて作動し、ワンタイムパスワード生成器1の各部の動作を制御する。後の製造工程では、ワンタイムパスワード生成に用いる顧客ごとに固有の識別番号などの識別情報や、通信の際の暗号/復号に用いる鍵情報等の所定の情報が、揮発性の記憶領域であるEEPROMに入力、格納される。またROM等には、上記識別情報を種としてワンタイムパスワードの生成を行うためのプログラムをはじめ、ワンタイムパスワード生成器1全体の動作の制御を行うためのプログラムが格納されている。
【0021】
電源5は、例えば薄型電池であり、ワンタイムパスワード生成器1の有効期限の間ICチップ3や表示部7に電力を供給可能であるとともに、製造工程時に赤外線受信モジュール11を動作させる電力源である。電源5としては、カード状のワンタイムパスワード生成器1に合わせた薄さのものを用いることができる。
【0022】
表示部7は、例えば液晶ディスプレイであり、ICチップ3の制御部により生成したワンタイムパスワードを表示する。カード状のワンタイムパスワード生成器1の厚みに合わせた薄さの液晶ディスプレイを用いることができる。
【0023】
スイッチ9は、所定の方法で押下することによって、表示部7に識別番号やワンタイムパスワードを表示させたり、ICチップ3のEEPROMに鍵情報や識別情報を記憶させるためのモードに移行させたりすることができる。
【0024】
赤外線受信モジュール11は、受光部、通信部等を有し、ICチップ3に信号線にて接続され、所定の赤外線照射のパターンに基づき、顧客ごとの識別情報と鍵情報をICチップ3のEEPROMに入力、格納させるためのものである。但し、製造工程において赤外線受信モジュール11は無効化され、製造後のカードにおいては利用不可能となる。
【0025】
次に、ワンタイムパスワード生成器1の製造システムについて図2を用いて説明する。図2は、ワンタイムパスワード生成器1の製造システム100を示す図である。
【0026】
ワンタイムパスワード生成器1の製造システム100は、制御装置101、カード加工装置103、印刷装置104、赤外線入力装置105、入力判定装置107、赤外線通信無効化装置109、搬送装置111等を備える。
【0027】
制御装置101は、CPU、RAM、ROM等の制御部や入出力部等を備え、サーバ200(記憶装置)に接続される。制御装置101は、製造システム100の各装置と接続されこれらを制御し、サーバ200に予め格納した、カードを発行する顧客ごとの識別情報201と鍵情報203のワンタイムパスワード生成器1への入力など、製造システム100の各装置による、ワンタイムパスワード生成器1の製造工程の制御を行う。
【0028】
カード加工装置103は、基材間にICチップ3、電源5、表示部7、およびスイッチ9、赤外線受信モジュール11等を配置しカード加工を行うもので、既知の装置を使用あるいは適用することができる。
【0029】
印刷装置104は、カード加工されたワンタイムパスワード生成器1の外面に模様、文字、記号等の印刷を行なうもので、既知の種々の装置を適宜用いることができる。必要に応じて顧客の識別情報等の印字を行なうことも可能で、この場合、サーバ200に格納された顧客ごとの識別情報201等を参照、取得して印字処理を行う。
【0030】
赤外線入力装置105は、赤外線送信器等を備え、赤外線受信モジュール11を介した赤外線通信により顧客ごとの識別情報201および鍵情報203のワンタイムパスワード生成器1への入力を行う。入力は、予め定められたデータ順(顧客順)で行われる。
【0031】
入力判定装置107は、例えば、制御部やカメラ装置等の撮像装置を備え、ワンタイムパスワード生成器1の表示部7に表示される識別情報201を撮像し、画像データとして取得する。画像データは、識別情報201等が正しく入力されたかの判定に用いられ、例えば入力判定装置107の制御部により、画像データに対する画像解析を行い識別情報201を取得し、サーバ200内の対応する識別情報201との比較により自動的に判定を行うこともできるし、当該画像データの画像によりオペレータが判定してもよい。なお、入力判定装置107は必要に応じて設けられる。
【0032】
赤外線通信無効化装置109は、ワンタイムパスワード生成器1の赤外線受信モジュール11を無効化するもので、例えばレーザ照射装置等を備え、ワンタイムパスワード生成器1の赤外線受信モジュール11の受光部をヤグレーザ等のレーザなどにより破壊する。
【0033】
搬送装置111は、処理中のワンタイムパスワード生成器1を搬送するもので、例えばコンベア等である。
【0034】
次に、ワンタイムパスワード生成器1の製造方法について図1〜図4等を用いて説明する。
【0035】
まず、図2に示す製造システム100のカード加工装置103にて、図1に示すように、基材(不図示)間もしくは基材上に上記ICチップ3、電源5、表示部7、およびスイッチ9、赤外線受信モジュール11を配置してカード加工を行う。なお、カードの外面には印刷装置104による印刷も行われる。印刷の際には識別情報201等の顧客情報を印字してもよい。なお、識別情報201等の印字はこれらを印字したシールの貼付などにかえてもよい。また、カード加工等が正しく行われたかのチェックを検査装置(不図示)により自動的にあるいは人手により行ない、カード加工や印刷の際の不良品を排除することもできる。
【0036】
ここで、図3(a)に示すように、赤外線受信モジュール11を覆い、その受光部の向きに対応する側の基材13の、当該受光部に対応する位置には、赤外線、またレーザが通過可能な通過部15を設けておく。通過部15は、例えば赤外線やレーザを透過する透明の部材により構成される。材質は赤外線やレーザの透過を妨げないよう適宜定めることができる。また、その他、通過部15は穴部であってもよい。なお、通過部15の位置では例えば後述する赤外線やレーザを透過する色材による印刷を行っておく。
【0037】
そして、赤外線入力装置105は、例えば押下装置(不図示)によりスイッチ9を所定の方法で押下するなどして、識別情報や暗号鍵情報を入力するモードに移行し、赤外線送信機21により通過部15を介して赤外線受信モジュール11の受光部に所定のパターンで赤外線の照射を行うことで赤外線通信を行い、顧客ごとの識別情報201と鍵情報203を赤外線受信モジュール11からICチップ3のEEPROMに入力し格納する。なお、パスワード生成のアルゴリズムなど、各ワンタイムパスワード生成器1で共通の情報については、カード加工前に別に入力しておけばよい。
【0038】
その後、入力判定装置107は、図3(b)に示すように、例えば押下装置(不図示)により所定の態様でスイッチ9を押下するなどして、表示部7に識別情報201等を表示させる。これを撮像装置22等で撮像し、この画像情報に基づき、正しく入力がおこなわれたかの判定、確認がおこなわれる。これは、前述したように入力判定装置107が自動的に行うものであってもよいし、オペレータが行うものであってもよい。なお、入力判定装置107を省略し上記の処理を全て人手で行なうこともできる。識別情報201等が正しく入力されていない場合は、例えば、再度赤外線通信による入力を行うこともできる。
【0039】
次に、赤外線通信無効化装置109は、図3(c)に示すように、レーザ装置23により通過部15を介してレーザを照射することにより赤外線受信モジュール11の受光部を破壊し、赤外線受信モジュール11を無効化し、製造を終了する。レーザとしてはヤグレーザ等を用いることができる。また、赤外線受信モジュール11の受光部の破壊方法としてはレーザに限らずその他の物理的方法を用いてもよく、例えば受光部を切削したり、圧力を加えたり、あるいは受光部に穴をあけるなどして破壊することも可能である。これらに用いる装置としては、既知のものを適宜用いることができる。
【0040】
このようにして、図4に示すように、基材(不図示)間または基材上に上記ICチップ3、電源5、表示部7、スイッチ9を配置したワンタイムパスワード生成器1が製造される。また、赤外線受信モジュール11が破壊され無効化されている。
【0041】
このように、カード加工後に識別情報等の入力を行うので、カード加工の際に不良が発生しても、不良のないカードに対する識別情報等の入力を行えばよいので、識別情報の入力順が乱れるなどの不都合が生じず、製造に係る負担を低減することが可能になる。識別情報等の入力は通過部を介した赤外線通信を用いて行うことにより製造コストの低減が可能になり、また、赤外線受信モジュールは識別情報等の入力後破壊するので、以降赤外線通信は不可能になり、耐タンパ性を維持し、識別番号や鍵情報の改ざん、盗み見などを防ぐことができる。
【0042】
本発明のワンタイムパスワード生成器の製造方法等の第2の実施形態について、図5〜図7を用いて説明する。
【0043】
本実施形態のワンタイムパスワード生成器の製造方法では、第1の実施形態と同様、ICチップ3、電源5、表示部7、およびスイッチ9を有するワンタイムパスワード生成器1aをカード加工工程において製造し、その後、顧客ごとの識別情報や鍵情報を赤外線通信を用いてICチップ3のEEPROMに入力するが、この際、赤外線受信モジュールはワンタイムパスワード生成器1aの外部にある状態とし、これとICチップ3とを信号線12で接続しておく。
【0044】
また、第2の実施形態のワンタイムパスワード生成器1aの製造システムとしては、前述した製造システム100と同様のものを用いることができるが、赤外線通信無効化装置109としては、上記信号線を切断するための、後述するカッタ等の切断装置27が設けられる。
【0045】
ワンタイムパスワード生成器1aの製造方法は、前述したものと同様であるが、ワンタイムパスワード生成器1aは、カード加工装置103によるカード加工時、基材(不図示)間もしくは基材上にICチップ3、電源5、表示部7、およびスイッチ9を配置した図5に示す状態であり、ICチップ3から外部に延びる信号線12が出ている状態である。なお、本実施形態では、赤外線通信を行なうための前述した通過部を基材に設ける必要はない。
【0046】
そして、赤外線入力装置105は、図6(a)に示すように、電力供給を受けた赤外線受信モジュール11aを信号線12に接続し、第1の実施形態と同様、押下装置(不図示)等により所定の方法でスイッチ9を押下し、赤外線送信機21を用いて上記の識別情報や鍵情報を入力する。
【0047】
その後、入力判定装置107は、第1の実施形態と同様、例えば押下装置(不図示)により所定の方法でスイッチ9を押下するなどして、表示部7に識別情報等を表示させ、これを撮像装置等で撮影する。この画像情報に基づき、正しく入力がおこなわれたかの判定、確認を行う。
【0048】
次に、赤外線通信無効化装置109は、図6(b)に示すように、カッタなどの切断装置27により、ワンタイムパスワード生成器1aから外部に延びる信号線12を切断して、赤外線受信モジュールを介した入力を無効化し、製造を終了する。製造を終了した状態が図7であり、基材(不図示)間または基材上に上記ICチップ3、電源5、表示部7、スイッチ9を配置したワンタイムパスワード生成器1が製造される。また、信号線12でワンタイムパスワード生成器1aから外部に延びる部分が切断されている。信号線12の端部は、再度赤外線受信モジュールと接続されることのないよう、端部を加工しカード外部に露出しないようにすることが望ましい。
【0049】
なお、上記の赤外線通信時、赤外線受信モジュール11aの電源は電源5から採ってもよく、この場合カード加工時には電源5から外部に延びる電力線が更に出ている状態であり、赤外線通信時には信号線12と電力線に赤外線受信モジュール11aを接続する。入力の確認後には、信号線12に加え電力線も切断する。
【0050】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。即ち、カード加工後に識別情報等の入力を行うので、カード加工の際に不良が発生しても、不良のないカードに対する識別情報等の入力を行えばよいので、識別情報の入力順が乱れるなどの不都合が生じず、製造に係る負担を低減することが可能になる。識別情報等の入力は赤外線受信モジュールを用いて行うことにより製造コストの低減が可能になり、また、識別情報等の入力後、赤外線受信モジュールとの接続に用いた信号線を切断するので、以降赤外線受信モジュールを介した入力等が不可能になり、耐タンパ性を維持し、識別番号や鍵情報の改ざん、盗み見などを防ぐことができる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るワンタイムパスワード生成器の製造方法等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0052】
1、1a………ワンタイムパスワード生成器
3………ICチップ
5………電源
7………表示部
9………スイッチ
11、11a………赤外線受信モジュール
12………信号線
100………製造システム
103………カード加工装置
104………印刷装置
105………赤外線入力装置
107………入力判定装置
109………赤外線通信無効化装置
201………識別情報
203………鍵情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンタイムパスワード生成器の製造方法であって、
赤外線受信モジュールを含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行う工程(a)と、
前記赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に所定の情報を入力する工程(b)と、
前記赤外線受信モジュールを破壊し無効化する工程(c)と、
を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造方法。
【請求項2】
ワンタイムパスワード生成器の製造方法であって、
赤外線受信モジュールと接続するための信号線を含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行う工程(a’)と、
前記信号線と接続した赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に所定の情報を入力する工程(b’)と、
前記信号線を切断する工程(c’)と、
を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造方法。
【請求項3】
前記工程(a)において、カード加工された前記ワンタイムパスワード生成器の一部に、赤外線を通過させるための通過部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のワンタイムパスワード生成器の製造方法。
【請求項4】
前記工程(b)または前記工程(b’)の後に、前記ワンタイムパスワード生成器の表示部に表示される所定の情報に基づき、前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報の入力が正しく行われたかを判定する工程(d)を更に具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のワンタイムパスワード生成器の製造方法。
【請求項5】
ワンタイムパスワード生成器の製造システムであって、
ワンタイムパスワード生成器に入力する所定の情報を記憶する記憶装置と、
赤外線受信モジュールを含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行うカード加工装置と、
前記赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報を入力する赤外線入力装置と、
前記赤外線受信モジュールを破壊し無効化する赤外線通信無効化装置と、
を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造システム。
【請求項6】
ワンタイムパスワード生成器の製造システムであって、
ワンタイムパスワード生成器に入力する所定の情報を記憶する記憶装置と、
赤外線受信モジュールと接続するための信号線を含むワンタイムパスワード生成器のカード加工を行うカード加工装置と、
前記信号線と接続した赤外線受信モジュールを介した赤外線通信により前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報を入力する赤外線入力装置と、
前記信号線を切断する赤外線通信無効化装置と、
を具備することを特徴とするワンタイムパスワード生成器の製造システム。
【請求項7】
前記カード加工装置は、一部に赤外線を通過させるための通過部が形成された前記ワンタイムパスワード生成器をカード加工し製造することを特徴とする請求項5記載のワンタイムパスワード生成器の製造システム。
【請求項8】
前記ワンタイムパスワード生成器に前記所定の情報の入力が正しく行われたかを判定するために、前記ワンタイムパスワード生成器の表示部に表示される所定の情報を撮影する入力判定装置を更に具備することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載のワンタイムパスワード生成器の製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−73980(P2012−73980A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220299(P2010−220299)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】