説明

ワークの移載装置

【課題】処理能力の高いワーク移載装置を提供する。
【解決手段】移載装置2を、搬送されてくるワーク100の搬送方向に沿ってコンベアに徐々に近接されるアプローチ区間44と徐々に離間する離間区間47とを有する軌道を備えて、ワーク100の搬送方向に沿って配置される環状カム40と、ワーク100を押出し可能に保持する保持部26を有してワーク100の搬送方向に沿って回転運動可能であり、環状カム40に軌道制御されてコンベアに対してスライド移動可能に保持される複数個の移載部材20とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの搬送に関し、詳しくは、ワークを異なる搬送手段間あるいは搬送手段と工程装置との間で移載する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種製品の製造工程等においては、種々の工程間あるいは工程内においてワークを搬送して連続的に処理することが行われている。ワークの搬送は、工程間の搬送や工程内での搬送があるが、複数の搬送手段間において一方から他方の搬送手段にワークを移載したり、搬送手段から工程装置へとワークを移載する必要がある。こうした移載装置としては、例えば、搬送コンベアにおいてストッパを設けて所定数本通過後にストッパを作動させて所定数のワークをグループ化しこれを一括し工程装置(整列装置)に押し出すものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開昭55−64004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうした移載装置においては、複数個のワークを搬送コンベア上で整列させた上同時に移載するものであって、しかも押出しによって移載するものであるため、サイクルタイムに大きな制約があった。さらに、この移載装置では移載先において連続的な処理が不可能となっている。したがって、移載装置がボトルネックになり高効率なラインの構築が困難であった。また、異種ワークを搬送し移載する際、移載ワークのサイズに応じて移載装置の位置を搬送コンベアに対してスライドさせる必要があるが、移載装置は、移載先の装置に装着固定されているため、スライド移動の際には大幅な部品の取り外しや調整が必要であった。
【0004】
そこで、本発明は、処理能力の高いワーク移載装置を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、寸法の異なるワークに対して速やかに対応できるワーク移載装置を提供することを他の一つの目的とする。さらに、本発明は、コンパクトなワーク移載装置を提供することを他の一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記した課題を解決するため以下の手段を採った。
【0006】
本発明の一つの形態によれば、搬送されてくるワークを所定の移載先に移載するワーク移載装置であって、前記ワークの搬送方向に沿って前記所定の移載先に徐々に近接されるアプローチ区間と前記所定の移載先から離間する離間区間とを有する軌道を備えて、前記ワークの搬送方向に沿って配置されるカム手段と、前記ワークを前記所定の移載先に押出し可能に保持するワーク保持部を有して前記ワークの搬送方向に沿って回転運動可能であり、前記カム手段に軌道制御されて前記所定の移載先に対してスライド移動可能に保持される複数個のワーク移載手段と、を備える、ワーク移載装置が提供される。
【0007】
この移載装置において、前記カム手段は、前記ワーク移載手段の水平軸回りの回転運動に付随して前記ワーク移載手段を前記所定の移載先に対してスライド移動可能とする環状軌道を有する手段とすることができる。また、前記ワーク搬送方向に沿うワーク移載手段の回転運動は、水平軸周りの楕円状軌道に沿う回転運動とすることができる。さらに、前記カム手段は、前記環状軌道の前記ワークの搬送方向前方側の端部に前記離間区間を有することができる。さらにまた、前記カム手段は、前記環状軌道の下方側に前記アプローチ区間を有することができる。
【0008】
この移載装置においては、前記カム手段は、前記アプローチ区間に連続して前方側に前記ワークの搬送方向に平行な区間を有することができる。
【0009】
また、この移載装置においては、前記ワーク移載手段の保持部側をスライド移動可能に支持して前記ワーク移載手段を所定の軌道で回転運動させる回転手段を備えることができる。この軌道は楕円状軌道とすることができる。
【0010】
さらにまた、この移載装置においては、前記カム手段と前記ワーク移載手段と前記回転手段とを一体的に前記ワーク移載先に対してスライド移動可能に形成してもよい。この態様においては、前記カム手段と前記ワーク移載手段と前記回転手段を固定した基台と、該基台をスライド移動可能に支持する支持部材と、を備えることができる。
【0011】
本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかに記載のワーク移載装置を備えるワーク搬送装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のワーク移載装置は、搬送されてくるワークを所定の移載先に移載するワーク移載装置であって、前記ワークの搬送方向に沿って前記所定の移載先に徐々に近接されるアプローチ区間と前記所定の移載先から離間する離間区間とを有する軌道を備えて、前記ワークの搬送ラインに沿って配置されるカム手段と、前記ワークを前記所定の移載先に移動可能に保持するワーク保持部を有して前記ワークの搬送方向に沿って回転運動可能であり、前記カム手段に軌道制御されて前記所定の移載先に対してスライド移動可能に保持される複数個のワーク移載手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
このワーク移載装置によれば、前記ワーク移載手段が前記カム手段によって軌道制御されてスライド移動可能に回転運動されるため、前記アプローチ区間においては、ワーク移載手段はワークの移載先に対して徐々に近接され、前記離間区間においては、ワークの移載先から離間されることになる。このため、本発明のワーク移載装置は、搬送されてくるワークを徐々に所定の移載先に近接させ、最終的に所定の移載先に移動させることができるとともに、こうした移載操作を繰り返し実施することができる。また、こうした移載操作は、ワーク移載手段のワーク搬送方向に沿う回転運動に伴われるため、複数個のワーク移載手段の移載操作をオーバーラップして行うことができる。したがって、本発明の移載装置によれば、個々のワークを所定の移載先に移載するための所要時間を容易に短くすることができる。また、移載スピードを調節することも容易となっている。
【0014】
また、本発明のワーク移載装置において、前記カム手段と前記ワーク移載手段と前記ワーク移載手段の回転手段とを一体的に前記ワーク移載先に対してスライド移動可能に支持されている態様では、これらをスライド移動させることで、異なるサイズのワークに対して簡易にかつ速やかに対応することができる。
【0015】
さらに、本発明のワーク移載装置において、前記離間区間を前記カム手段の環状軌道の前記ワークの搬送方向の前方側端部に有する場合には、環状軌道の湾曲部を利用して前記所定の移載先に対して離間する離間区間を形成することで、カム手段の環状軌道やワーク移載手段の軌道を大きくすることなく十分な距離を離間させることができる。
【0016】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を適宜参照しながら説明する。本実施形態の移載装置2は、ワーク100としてガラス製の壜状容器を搬送コンベア102から容器のローディング装置200に移載する装置である。図1には、本発明のワーク移載装置の一例としての移載装置2の主要部の斜視図を示し、図2には、移載装置2の主要部の平面図を示し、図3には移載装置2の主要部の側面図を示す。
【0017】
図1及び図2に示すように、移載装置2は、ワーク100が連続的に搬送される搬送コンベア102に沿って配置されており、駆動装置によって回転駆動される移載ベルト10と、移載ベルト10によって回転及びスライド移動可能に支持されるワーク移載部材20と、移載部材20の回転軌道を制御する環状カム40とを備えている。
【0018】
移載ベルト10は、搬送コンベア102に沿ってその側方に配置される無端縁回転ベルトである。移載ベルト10は、図示しない回転駆動手段にタイミングベルト4を介してプーリー12に伝達される回転駆動力によって回転駆動されるようになっている。移載ベルト10は、プーリー12の駆動部位の反対側部位に平行に2本備えられており、水平の回転軸を有する楕円軌道を形成している。
【0019】
移載ベルト10の形成する楕円軌道の下側軌道16の高さ位置は、搬送コンベア102の表面上の近傍に対応され、上側軌道18の高さ位置は、搬送コンベア102より所定の高さ、高い位置に対応されている。また、移載ベルト10には、複数個の移載部材20のそれぞれを、ローディング装置200を指向するラインに沿ってスライド移動可能に支持する複数個のスライドレール14が移載ベルト10の回転軌道に直交して装着されている。
【0020】
このような移載ベルト10は、その下側軌道16がワーク搬送方向前方に向かって移動するように回転駆動されるようになっている。
【0021】
移載部材20は、所定長さの軸体22の一端に環状カム40に連結されるカムフォロア24を有し、他端にワーク100をローディング装置200へ押出し可能に保持できるワーク保持部26を有している。カムフォロア24は、環状カム40におけるカム溝の形状に応じた係合構造を有してカム溝をスライド移動可能に形成されていればよく、特にその構造を問わないで従来公知の各種のカムフォロアを適宜選択して使用することができる。ワーク保持部26は、ワーク100の底部近傍の外周形状におおよそ追従する二股状に形成されている。なお、ワーク保持部26は、異種あるいは異なるサイズのワーク100に対して交換できるように脱着可能に形成してもよいし、ワーク保持部26の形状はワーク100の種類や大きさに応じて適切なものであればよい。
【0022】
こうしたワーク移載部材20は、カムフォロア24が環状カム40のカム溝に嵌合されて連結され、軸体22が移載ベルト10に設けたスライドレール14に支持されることにより、移載ベルト10の楕円状の回転軌道に沿って回転されるとともに、この楕円軌道上において環状カム40によりローディング装置200を指向するラインに沿って所定の往復動をするようになっている。
【0023】
図1、図2及び図3に示すように、環状カム40は、搬送コンベア102に沿って移載ベルト10よりも搬送コンベア102に対して引き込んだ位置において配置されている。環状カム40は、移載ベルト10の楕円状の回転軌道に沿うとともに、移載ベルト10に支持されて回転する移載部材20の搬送コンベア102に対する水平位置を規定できる環状軌道を形成している。
【0024】
図1、図2及び図3に示すように、環状カム40は、それぞれカム溝を有する下部レール体42と上部レール体48とを備えている。下部レール体42は、移載ベルト10の下側軌道16に対応した平面上を、環状カム40のワーク搬送方向の後方端(以下、単に、後方端という。)の引き込み位置P1からワーク移載部位104に向かって搬送コンベア102ないしローディング装置200側に徐々に近接する斜めのアプローチ区間44と搬送コンベア102に沿って平行な移載区間46とを有している。
【0025】
アプローチ区間44は、カム後方端の引き込み位置P1から環状カム40のワーク搬送方向の前方端(以下、単に前方端という。)寄りの押出し位置P2に到達する範囲に形成されている。ここで引き込み位置P1は、移載部材20のワーク保持部26が搬送コンベア102上のワーク100に到達しない位置に設定されており、押出し位置P2は、移載部材20が搬送コンベア102上のワーク100をローディング装置200に完全に移載できる位置に設定されている。したがって、押出し位置P2と引き込み位置P1とのピッチ差Pは、移載部材20のスライド距離に一致している。
【0026】
また、移載区間46は、アプローチ区間44に連続して搬送コンベア102に対して押出し位置P2を維持してワーク移載部位104でワーク100の移載を完了できるような範囲で形成されている。
【0027】
上部レール体48は、移載ベルト10の上側軌道18に対応した平面上を、環状カム40の引き込み位置P1を維持するように搬送コンベア102に平行して形成されている。
【0028】
下部レール体42と上部レール体48とは、ワーク移載部位104よりもやや搬送方向前方側に位置されるカム前方端において、カム溝52を有する湾曲した板状体50によって連結されている。板状体50は、下部レール体42の前方端42aと上部レール体48の前方端48aとを連結可能な大きさを有する方形状の板状体であり、例えば、金属製等で形成することができる。
【0029】
カム溝52は、この板状体50を貫通するスリットとして形成されている。カム溝52は、下部レール体42の前方端42aと上部レール体48の前方端48aとをそれぞれのカム溝が連続するように形成されている。すなわち、下部レール体42の前方端42aから上部レール体48の前方端48aまでのピッチ差P(引き込み位置P1と押出し位置P2との距離)と高低差Hを湾曲した板状体50に沿って連絡するように形成され、搬送コンベア102ないしローディング装置200から離間するような離間区間47となっている。
【0030】
こうしたカム溝52の軌道は螺旋軌道の一部の三次元形態を採り、図2に併せて示すように、展開した状態の板状体50においては、下部レール体42の前方端42a相当部位と上部レール体48の前方端48a相当部位とを直線的に結ぶものとなっている。なお、下部レール体42と上部レール体48との連結形態は、特に限定されるものではなく、当業者が従来公知の各種のカム構造等から適宜選択して構成することができる。
【0031】
上部レール体48の後方端48bと下部レール体42の後方端42bは、高低差があるもののピッチ差Pを有していないため、特に、前方端側の連結構造を有していない。なお、当該部位においてもレール体等で適宜連結されていてもよい。
【0032】
以上説明した移載ベルト10、図2及び図3に示すように、移載部材20及び環状カム40は、ベース60にそれぞれ所定の位置関係で固定されている。ベース60は、平坦な板状体であって、ワーク100の搬送方向の後方側と後方側の下面に搬送コンベア102を指向する方向性で所定長さを有して下方に突出する凸状部62を有している。この凸状部62は、ベース60のワーク搬送方向の前方側及び後方側をそれぞれ支持するスライドガイド70に設けた搬送コンベア102を指向する方向性に沿ったスライドスライドガイド溝72に嵌合するようになっている。なお、スライドガイド70にベース60を所望の位置で固定するとともに当該固定状態を解除するロックハンドル80を設けておくことが好ましい。
【0033】
次に、こうした移載装置2の作用について説明する。図1に示すように、移載ベルト10がその下側軌道16がコンベア搬送方向前方に向かうように回転駆動されるとき、移載ベルト10の下側軌道16側に保持されている移載部材20は、環状カム40の下部レール体42のアプローチ区間44によって軌道制御されて徐々に搬送コンベア102ないしローディング装置200側に近接するようにピッチ差Pをスライド移動して移載部材20のワーク保持部26が搬送コンベア102上まで押し出される。次いで、移載部材20は、下部レール体42の移載区間46によって、ワーク保持部26が搬送コンベア102上のワーク移載部位104に対して一定時間押し出された状態が保持されるよう軌道制御される。
【0034】
その後、移載部材20は、移載ベルト10に回転駆動されてワーク移載部位104を越えたところで上側軌道18に移動する。上側軌道18に移動するのに伴って、移載部材20は、カム溝52によって形成される離間区間47によって軌道制御されてピッチ差P分だけ搬送コンベア102ないしローディング装置200から徐々に離れるようにスライド移動し、ワーク保持部26が搬送コンベア102上に突出しないように引き込まれる。その後、移載ベルト10の上側軌道18によって駆動されてその後方端に到達するまでは、移載部材20は、環状カム40の上部レール体48によって軌道制御されて、ワーク保持部26の引き込み状態を維持して搬送コンベア102に平行にかつ搬送コンベア102の搬送方向に逆行して移動する。
【0035】
さらに、移載ベルト10の後方端に到達して下側軌道16に移動すると、移載部材20は、再び、環状カム40の下部レール体42のアプローチ区間44によって軌道制御され、搬送コンベア102の搬送方向に沿って徐々に搬送コンベア102に近接される。
【0036】
次に、こうした移載装置2の使用例について説明する。以下の使用例の説明においては、搬送コンベア102上をワーク100が一列に一定間隔で整列されて搬送されてくるものとする。図1に示すように、本移載装置2によれば、搬送コンベア102上を搬送されてきたワーク100に対して、搬送コンベア102に沿う下側軌道16に沿って移動する移載部材20のスライド移動により個々のワーク100がそれぞれワーク保持部26により当接されローディング装置200側に徐々に押し出され(アプローチ区間44による軌道制御)、最終的にワーク移載部位104においてローディング装置200の所定部位にまで押し出される(移載区間46による軌道制御)。ワーク100を押し出した移載部材20が、上側軌道18を移動して再び下側軌道16においてこうした移載操作を行うことにより、搬送されてくるワーク100が個別にかつ連続的にローディング装置200に移載される。
【0037】
また、ワーク100の種類が変更されて異なるサイズのワーク100が搬送される場合には、ベース60をスライドガイド70を利用して搬送コンベア102に対してスライドさせて、ピッチ差Pをそのまま維持して搬送コンベア102ないしローディング装置200に対する引き込み位置P1と押出し位置P2の位置との位置を変化させることで、対応することができる。すなわち、より小さい胴回りのワーク100に対応するには、ロックハンドル80を解除してベース60を搬送コンベア102寄りにスライド移動させて、移載ベルト10、移載部材20及び環状カム40をそれぞれを同時に移動させる。より大きい銅周りのワーク100には搬送コンベア102から離れるようにベース60をスライド移動させればよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の移載装置2によれば、搬送方向に沿って移動するように回転駆動される移載部材20により、搬送されてくる個々のワーク100を連続に所定の移載先に移載することができる。また、個々の移載部材20が環状カム40により連続的軌道制御されて押出し−引き込み可能にスライド範囲を制御するため1個のワーク100あたりの処理時間を容易に短縮することができる。したがって、移載装置2は、処理能力の高い移載装置となっている。さらに、こうした構成によれば、他の搬送ラインの搬送スピードに対応して容易に処理時間を調整できるため、調整能力の高い移載装置となっている。
【0039】
また、移載装置2によれば、移載ベルト10、移載部材20及び環状カム40を保持するベース60を搬送コンベア102ないしローディング装置200に対してスライド移動可能に構成されているため、異なるサイズのワーク100に対して簡易にかつ速やかに対応することができる。すなわち、ワーク100のサイズ変化に対応する操作が簡素化され、移載装置の調整のための時間が短縮できる。
【0040】
さらに、移載装置2によれば、環状カム40を用い、その環状軌道の内部に移載部材20のスライドする軸体22や移載ベルト10を回転駆動するプーリー12を収容するようにしたため、コンパクト化された移載装置となっている。さらにまた、搬送コンベア102から離れて引き込むようにスライドする部位(カム溝52)を移載部材20の回転軌道の端部に設けることで移載装置2は一層コンパクト化されている。すなわち、下側軌道16から上側軌道18への転換部位であるカーブ部位に引き込みスライド部位を設けることにより、ピッチ差Pを無理なくスライド移動させるのに十分な距離を湾曲面に沿わせることで確保できるため、引き込みスライド移動のために移載ベルト10の軌道や環状カム40の軌道を拡張しなくてもよくなっている。
【0041】
さらにまた、移載装置2によれば、移載ベルト10は水平軸を回転軸として有する楕円軌道を有しているため、搬送コンベア102に沿って十分な長さの下側軌道16と上側軌道18とを採れるようになっている。また、既に説明したように、この楕円軌道の前端部において環状カム40の離間区間47を設けることで移載装置2をコンパクト化するのにも寄与している。
【0042】
また、移載装置2によれば、移載ベルト10の下側軌道16において移載部材20によりワーク100をローディング装置200に近接させ移載するようにしたことにより、移載装置2のメンテナンスが容易になっている。
【0043】
さらに、移載装置2によれば、環状カム40の下部レール体42にアプローチ区間44に加えて移載区間46を設けたため、確実にローディング装置200にワーク100を移載させることができる。
【0044】
なお、以上説明した移載装置2においては、環状カム40が本発明のカム手段に相当し、移載部材20がワーク移載手段に相当し、移載ベルト10が回転手段に相当し、ベース部60が基台に相当し、スライドガイド70が支持部材に相当する。
【0045】
なお、以上説明した実施形態においては、カム手段としてカム溝を備えるレール体や板状体を組み合わせた環状カム40を用いて説明したが、本発明で用いるカム手段としては従来公知の各種のカム手段を利用して、移載部材20に必要な軌道制御が可能であればよい。例えば、板カム、溝カム、リブカム、端面カム、円筒溝カム、円筒リブカム、棒状カムなどを組み合わせることができる。また、2種類以上のカム手段を組み合わせる必要はなく、単一のカム手段で構成してもよい。また、本実施形態においては、環状カム40はおおよそ連続した環状した軌道を形成していが、これに限定するものでなく、移載部材20のスライド移動が必要な部位においてのみ軌道が形成されていればよい。したがって、カム手段は環状軌道を有している必要はなく、また、アプローチ区間と離間区間とのみを備えていればよい。さらに、本実施形態では、移載区間46を備えるものとしたが、これに限定するものではない。
【0046】
本実施形態においては、ワーク移載手段として移載部材20を用いて説明したが、本発明のワーク移載手段はこれに限定するものではない。スライド移動可能で作動端側にワーク100を押出し可能な保持部を有するものであればよい。また、本実施形態では、ワーク移載手段の保持部はワークの底部近傍のみを保持しているが、これに限定するものではなく、ワークを2箇所以上で保持してもよいし、また、ワークの中央部などを保持するようにしてもよい。また、ワークを単に押し出し可能に保持することに限定されず、把持するように保持してもよいし、係合や嵌合によって保持するものであってもよい。さらに、上方からワークを受け取ることができる容器形態を有していてもよい。
【0047】
本実施形態においては、回転手段として移載ベルト10を用いて説明したが、本発明の回転手段はこれに限定するものではなく、ワーク移載手段をカム手段によって規定される軌道に沿って回転させることができるものであればよく、従来公知の各種の回転機構を適用すればよい。
【0048】
本実施形態においては、ワークをガラス瓶として説明したが、本発明のワークはこれに限定するものではなく、各種容器や、機械などの部品及び各種製品並びにこれらの種々の製造工程における中間品とすることができる。また、ワークは一定の形態を有する固体に限定しないで、粉体、液体などであってもよい。
【0049】
本実施形態においては、ワークはベルトコンベアによって搬送されてくるものとしたが、本発明はこれに限定するものではない。他の各種のコンベアや他の搬送手段によって搬送されてくるものであってもよい。
【0050】
本実施形態においては、ワークの移載先は、ローディング装置200として説明したが本発明はこれに限定するものではない。例えば、他の搬送手段に移載するものであってもよいし、他のラインに移載するものであってもよいし、ラインからワークを外すのみ用いることもできる。
【0051】
本実施形態においては、本発明の移載装置について説明したが、本発明は、こうした移載装置を備える搬送装置として実施することも明らかである。すなわち、本発明の移載装置と他の各種の搬送手段とを備える搬送ラインを有する搬送装置を実施することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした一実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の移載装置の主要部の一例を示す図である。
【図2】図1に示す移載装置の平面図を示す図である。
【図3】図1に示す移載装置の側面図を示す図である。
【図4】図1に示す移載装置の他の側面図を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
2 移載装置、4 タイミングベルト、10 移載ベルト、12 プーリー、14 スライドレール、16 下側軌道、18 上側軌道、20 移載部材、22 軸体、24 カムフォロア、26 ワーク保持部、40 環状カム、42 下部レール体、42a 下部レール体の前方端、42b 下部レール体の後方端、44 アプローチ区間、46 移載区間、47 離間区間、48 上部レール体、48a 上部レール体の前方端、48b 上部レール体の後方端、50 板状体、52 カム溝、60 ベース、62 凸状部、70 スライドガイド、72 スライドガイド溝、80 ロックハンドル、100 ワーク、102 搬送コンベア、104 移載部位、200 ローディング装置、H 高低差、P ピッチ差、P1 引き込み位置、P2 押出し位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくるワークを所定の移載先に移載するワーク移載装置であって、
前記ワークの搬送方向に沿って前記所定の移載先に徐々に近接されるアプローチ区間と前記所定の移載先から離間する離間区間とを有する軌道を備えて、前記ワークの搬送方向に沿って配置されるカム手段と、
前記ワークを前記所定の移載先に移動可能に保持するワーク保持部を有して前記ワークの搬送方向に沿って回転運動可能であり、前記カム手段に軌道制御されて前記所定の移載先に対してスライド移動可能に保持される複数個のワーク移載手段と、
を備える、ワーク移載装置。
【請求項2】
前記カム手段は、前記ワーク移載手段の水平軸回りの回転運動に付随して前記ワーク移載手段を前記所定の移載先に対してスライド移動可能とする環状軌道を有する手段である、請求項1に記載のワーク移載装置。
【請求項3】
前記ワーク搬送方向に沿うワーク移載手段の回転運動は、水平軸周りの楕円状軌道に沿う回転運動である、請求項2に記載のワーク移載装置。
【請求項4】
前記カム手段は、前記環状軌道の前記ワークの搬送方向前方側の端部に前記離間区間を有している、請求項2又は3に記載のワーク移載装置。
【請求項5】
前記カム手段は、前記環状軌道の下方側に前記アプローチ区間を有している、請求項2〜4のいずれかに記載のワーク移載装置。
【請求項6】
前記カム手段は、前記アプローチ区間に連続して前方側に前記ワークの搬送方向に平行な区間を有している、請求項1〜5のいずれかに記載の移載装置。
【請求項7】
前記ワーク移載手段の保持部側をスライド移動可能に支持して前記ワーク移載手段を所定の軌道で回転運動させる回転手段を備える、請求項1〜6のいずれかに記載のワーク移載装置。
【請求項8】
前記カム手段と前記ワーク移載手段と前記回転手段とを一体的に前記ワーク移載先に対してスライド移動可能に形成されている、請求項7に記載のワーク移載装置。
【請求項9】
前記カム手段と前記ワーク移載手段と前記回転手段を固定した基台と、
該基台をスライド移動可能に支持する支持部材と、
を備える、請求項8に記載のワーク移載装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のワーク移載装置を備えるワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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