説明

ワークチャンバおよびプラットホームを備えた研摩機

【課題】従来のものよりコンパクトな光学素子用研摩機を提供することにある。
【解決手段】光学素子を回転駆動するように構成されたスピンドルと、該スピンドルに対して移動できる研摩工具とを有する光学素子用研摩機において、ワークチャンバの頂部に取付けられたプラットホームを更に有し、ワークチャンバがスピンドルを備え、プラットホームが本体を備え、該本体には研摩工具が取付けられていることを特徴とする光学素子用研摩機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研摩機に関し、より詳しくは、眼鏡用レンズ等の光学素子を研摩すべく構成された研摩機に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の一目的は、モジュラー研摩機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によれば、本発明は光学素子用研摩機に関し、本発明の研摩機は、
光学素子を回転駆動するように構成されたスピンドルと、
該スピンドルに対して移動できる研摩工具とを有する光学素子用研摩機において、
ワークチャンバの頂部に取付けられたプラットホームを更に有し、ワークチャンバがスピンドルを備え、プラットホームが本体を保持し、該本体には研摩工具が取付けられていることを特徴とする。
【0004】
研摩工具の運動に関連する全ての機構部品を保持するプラットホームが、研摩機のサブアセンブリとして取付けられている。従って、プラットホームはワークチャンバから容易に分離できる。サブアセンブリは容易に補修または交換できることも有利である。
【0005】
他の好ましい特徴によれば、
本体は摺動手段上に取付けられ、
摺動手段は、プラットホームに固定されたレール上に取付けられ、
摺動手段は、プラットホームに取付けられたボールねじにより駆動され、
ボールねじは、プラットホームに固定されたモータにより回転駆動され、
ボールねじはベローズにより保護され、
本体は、一軸線の回りで回転できるように摺動手段に取付けられ、
本体を回転駆動するように構成された第一ジャッキを更に有し、
プラットホームに固定された第二本体に取付けられた第二研摩工具と協働するように構成された第二スピンドルを更に有し、
本体はロッドが設けられた第二ジャッキであり、ロッドは研摩工具を保持するように構成され、
ワークチャンバ内に研摩液を噴射する研摩液回路を更に有し、該研摩液回路は、研摩機から解放できかつタンク、ポンプおよびフィルタを保持している引出しを備え、
引出しはワークチャンバに対して移動できるように構成され、
研摩液回路は迅速解放カップリングを有し、該カップリングは引出しに取付けられかつ該引出しを研摩機の残部から分離できるように構成され、
スピンドルは、該スピンドルと同じレベルに配置されたモータにより回転駆動され、
モータおよびスピンドルは同じプラットホームに取付けられ、
モータは、ベルトを介してスピンドルを回転駆動し、
プラットホームは、本体に取付けられたドームおよび該ドームを閉鎖するリップシールによりワークチャンバから遮断され、
本体およびプラットホームに取付けられたベローズを更に有し、
摺動手段は、該摺動手段に取付けられたベローズにより保護されたレール上に取付けられ、
ワークチャンバは、スピンドルおよび研摩工具へのアクセスを可能にする扉を有し、該扉は回転できるようにアームに取付けられ、
アームは、ワークチャンバに対して一軸線の回りで回転できるように取付けられ、
アームは、ジャッキにより前記軸線の回りで回転駆動される。
【0006】
本発明の他の目的は、
光学素子を回転駆動できるスピンドルと、
該スピンドルに対して移動できる研摩工具とを有し、スピンドルが、該スピンドルと同じレベルに配置されたモータにより回転駆動される光学素子用研摩機を提供することにある。
モータおよびスピンドルは、同じプラットホーム上に取付けることができる。
【0007】
本発明の好ましい特徴によれば、モータは、ベルトを介してスピンドルを回転駆動する。
本発明の他の目的は、
光学素子を回転駆動できるスピンドルと、
該スピンドルに対して移動できる研摩工具と、
研摩液をワークチャンバ内に噴射する研摩液回路とを有し、該研摩液回路が、研摩機から解放できかつタンク、ポンプおよびフィルタを保持する引出しを有している構成の光学素子研摩機を提供することにある。
本発明の好ましい特徴によれば、引出しは、床上で移動させるためのホイールを有している。
本発明の他の好ましい特徴によれば、研摩液回路は、引出しに取付けられておりかつ研摩機の残部から引出しを分離させることができる迅速解放形カップリングを有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の他の特徴および長所は、添付図面を参照して述べかつ非制限的に例示する好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1〜図3に示す生産機械は、この例では、眼鏡用レンズを研摩してガラスを修正することができる研摩機である。
【0009】
図1を参照すると、この研摩機は、研摩作業を行うワークチャンバ2を支持するフレーム1を有している。
ワークチャンバ2内には2つのスピンドル3が配置されており(図2参照)、各スピンドル3は、研摩すべき眼鏡用レンズ4を所定位置に保持できる。各スピンドル3は、レンズ4に接触できる研摩工具5によりレンを研摩する目的でレンズ4を保持し、レンズ4を回転可能に駆動できる。
【0010】
研摩工具5は、ワークチャンバ2の上方に配置された工具駆動装置に連結されている。明らかに異なる2つのモジュールをなすこの構造は、研摩機の取付けおよびメインテナンスを容易にできる。
研摩作業行程で、工具5が、回転駆動されるレンズ4と接触する間に、研摩液循環装置(後述)は、この適用形式では慣用的な態様で工具5およびレンズ4上に研摩液を噴射できる。研摩液は、例えば、できるならば砥粒を含有する潤滑液で形成できる。
【0011】
フレーム1の下方部分には、研摩液の回収タンク7にアクセスするための引出し6が支持されている。フレーム1は調節足8(図1および図2参照)を介して地上に固定され、一方、引出し6は4つのホイール9上に載置されて、手前に引出すことによりタンクにアクセスできるようになっている。研摩液を循環させることができるパイプのみが、引出し6の部材を研摩機の他部に連結している。
【0012】
また、2つの別々のモジュールすなわちワークチャンバ2およびワークチャンバの上方の工具駆動装置からなる研摩機の構造によっても、重力によりワークチャンバ2の底に向かって流れる研摩液の流れに対する工具駆動装置の保護を行うことができる。
フレーム1の下方部分には電気キャビネット10も支持されており、該電気キャビネットは、ヒンジにより取付けられかつキャビネット10を気密シールする扉11を有している。電気キャビネット10は、電力部品および研摩機の電気アクチュエータに接続された種々の電子ユニットおよび制御装置を受入れることができる。
【0013】
最後に、研摩機は、その上方部分に空気圧キャビネット12(図3参照)を受入れており、該空気圧キャビネット12は、研摩機を圧縮空気源に連結するのに必要な、フィルタおよび圧力レギュレータ等の慣用部品を収容している。
簡単に説明した上記研摩機の各部品についてより詳細に説明する。
【0014】
ワークチャンバ
ワークチャンバ2は、研摩液を噴射することを含む研摩作業が行われる液密ボックスとして設計されている。ワークチャンバ2の液密性は、研摩液が侵入して研摩機のモータ駆動部品と接触し、該部品を損傷することを防止する上で必要である。
研摩チャンバ2は、好ましくはポリマー、アルミニウムまたはステンレス鋼等の耐食性材料から形成される。研摩液が壁に沿って容易に流れ得るようにするため、包囲体13の内壁には、テフロン(登録商標)または適当なペイントのような非付着性コーティングを施すのが有利である。
包囲体13は、作業者が研摩作業を視覚チェックできるようにするため、2つの透明側方窓14を有している。
【0015】
窓14は、包囲体13にヒンジ止めして、開き得るように構成することもできる。
包囲体13はまた前方開口22を有している。該前方開口22は扉15により開閉され、特に、研摩すべきレンズ4のローディングおよびアンローディングを行いまたは研摩工具5の交換を行うべく作業者がワークチャンバ2の内部にアクセスできるようにしている。図4では扉15が閉じられているのに対し、図5では扉15が閉じられている。好ましくは扉15も透明にして、作業者が研摩機の前方に居るときに研摩作業をチェックできるようにする。扉15の周囲に配置されたシール16は、扉15を閉じたときのワークチャンバ2の液密性を更に高めることができる。
【0016】
図4および図5に示すように、扉15の開閉を可能にする装置は、扉15の側部に固定された2つのアーム17を有し、各アーム17は、ローラベアリング20(図3および図10参照)を介して包囲体13に回転可能に取付けられたシャフト19に連結されている。シャフト19に隣接するワークチャンバ2の液密性がシール28により形成されている。
シャフト19の各端部は、扉15の開閉させるリンク18A、18Bに連結されている。一方のリンク18Aは、例えば空気圧ジャッキ、電気ジャッキまたは油圧ジャッキ等のジャッキ21により駆動される。扉15が閉じられた図4では、ジャッキ21が後退位置にありかつ扉15の有効閉鎖を行うべく前記後退位置を維持することができる。ジャッキ21の伸長位置は、リンク18を図4に鎖線で示す位置(この位置は、図5示す位置に一致する)に駆動し、従って扉15を開位置に移動させる。
【0017】
閉鎖センサにより、扉15が閉じられていないときに研摩機が始動することを防止できる。汚染を防止しかつコストを低減させるため、閉鎖センサはリンク18上に固定できるが、センサがチャンバ内に配置される場合には液密性をもたせなくてはならない。
ジャッキ21が故障した場合に扉を手動で開閉できるようにするため、研摩機の外部から他方のリンク18Bにアクセスできるように構成できる。
【0018】
ワークチャンバ2の底は、包囲体13に固定されたプラットホーム23により構成できる。このプラットホーム23はスピンドル3を取付けることができる2つの円形開口24を有し、かつ研摩液をワークチャンバ2から研摩液回路に真空排出できるようにする中央開口(図2および図10参照)を有している。
【0019】
図4には、中央開口25が閉塞された場合に、研摩液がワークチャンバ2を充満することを回避するため、ワークチャンバ2がオーバーフロー26を有しているところが示されている。
包囲体13はまた、扉15とは反対側のその壁にディストリビュータ27を有し、該ディストリビュータ27は、研摩液を研摩液回路からワークチャンバ2の内部に液密導入し、該研摩液を後述の噴射ユニットに分配することを可能にする。
包囲体13のルーフを形成する壁には、研摩工具5を支持する装置を通しかつ該装置を前後方向に水平移動させる2つの長孔29が設けられている。図4には、研摩工具5がその最前方位置にあるところが示されており、一方、その最後方位置は鎖線で示されている。研摩工具5の最後方位置は、図5に示されている。
【0020】
従って、長孔29に液密性を付与する手段は、工具5の直線移動を可能にしなければならない。この目的のため、工具5を支持する各ジャッキ30の周囲には、長孔29の幅より大きい直径をもつドーム31が設けられている。ワークチャンバ2内には、各長孔29に沿う長手方向リップシール32が配置されている。リップシール32は、長孔29を閉塞すべく互いに閉じる2つの平行弾性リップを有している。
ドーム31では、リップシール32の2つの弾性リップがドーム上で閉じる。図2では、左側のジャッキ30が単にそのドーム31を備えているところが示され、これに対し、右側のジャッキ30は、そのドームがシール32の弾性リップにより覆われているところが示されている。
【0021】
かくしてリップシール32は、長孔29を連続的に閉鎖すると同時にジャッキ30の移動を可能にする。ジャッキ30は、シール32のリップを局部的に変形させ、ドーム31に対してリップシール32を擦り付けることによりここに液密性を形成する。
液密性に関する第二防御ラインを得るため、各長孔29はまた、各端部が包囲体13の外面に取付けられかつジャッキ30を受入れる孔を備えたベローズ33によっても閉塞される(図4参照)。
ワークチャンバ2は、プラットホーム23をフレーム1に連結する6つの振動ダンパを介してフレーム1上に取付けられる。かくして、研摩作業によりワークチャンバ2内に発生される振動が研摩機の残部に伝達されることはない。
【0022】
研摩工具を保持しかつ移動させる装置
図2の正面図に示すように、研摩機は2つの研摩工具5を有し、各研摩工具5はジャッキ30により支持されている。以下の説明は一方の工具5について行うが、この説明は同一の両工具5について適用されるものである。
図2、図4および図5に示すように、工具5を保持しかつ移動させる装置には、ロッド35を備えたジャッキ30が設けられかつロッド35の一端には研摩工具5が固定されていて、ジャッキ30がレンズ4に対する工具5の伸長および後退を行なわせることができる。ジャッキ30は、例えば、空気圧ジャッキ、油圧ジャッキまたは電気ジャッキである。ジャッキ30は長孔29を通して取付けられ、かつシャフト36により長孔29内の所定位置に保持される。シャフト36は、ジャッキ30をキャリジ37に連結する。
【0023】
2つのキャリジ37の各々が1つのシャフト36に取付けられており、2つのキャリジ37は、ボールねじ39とヘリカル係合するように取付けられたビーム38により一緒に取付けられている。ボールねじ39は、2つの転がりベアリング40を介して工具キャリヤプラットホーム41上に回転可能に取付けられている。
【0024】
各キャリジ37の水平直線移動(この直線移動により、シャフト36の水平移動、従って工具5を支持するジャッキ30の水平移動が可能になる)は、キャリジ37が、摺動スリーブ43を介して円筒状レール42上に摺動可能に取付けられていることにより可能になる。レール42の各端部はまた、工具支持プラットホーム41に取付けられている。
工具支持プラットホーム41上にはモータ44(図7)が取付けられており、ベルト45を介してボールねじ39を駆動できる。
【0025】
研摩機の頂部に生じる振動を最小限にするには、モータ44はサーボモータが好ましい。モータ44は、キャリジ37のリニア位置すなわち工具5の水平位置についての制御を行う一体形エンコーダを有している。
かくして、2つのキャリジ37およびビーム38により形成された剛性アセンブリは、ジャッキ30が長孔29の一端に位置する前方位置と、ジャッキ30が長孔29の他端に位置する後退位置との間で直線移動するように取付けられている。従って、この直線移動は、3軸すなわち両レール42およびボールねじ39により案内され、ボールねじ39は、この直線移動をモータ駆動により行うことを可能にする。
【0026】
ボールねじ39およびレール42の各々はベローズ46を有し、これらを外部汚染から保護している。
かくして、工具キャリヤ装置は、研摩機のサブアセンブリとして、全体がプラットホーム41上に取付けられる。このような構成は、部品を別々にプラットホーム41上に取付け、次に、完成した研摩機上にサブアセンブリを取付けることにより、単にプラットホーム41をワークチャンバ2およびフレーム1上に固定するだけで研摩機を製造することを可能にする。
工具キャリヤプラットホーム41は、ワークチャンバ2の長孔29と同じ2つの開口を有し、これにより、工具キャリヤアセンブリ41をワークチャンバ2上に取付けるとき、これらの開口は長孔29に対向して配置され、長孔29に対して垂直に配置されたジャッキ30の水平直線移動を可能にする。
各ジャッキ30は、図8および図9(それぞれ、側方および正面から見たもの)に示したジャッキと同じである。
【0027】
ジャッキ30はロッド35に連結されたピストン47を有し、ロッド35の一端は工具5にねじ込まれている。
図8はロッド35が後退位置にあるジャッキ30を示し、図9はロッド35が伸長位置にあるジャッキ30を示す。ねじ49は長孔50と協働して、ピストン47およびロッド35の移動を上記後退位置と伸長位置との間に制限しかつジャッキ30の長手方向軸線の回りでの回転を防止する。
2つのボールベアリングリニアブシュ51が、ロッド35の直線移動を案内しかつ工具5の作業により生じる半径方向荷重を支持する。
カーボン製のピストン47およびガラス製のシリンダ52を用いることにより、ジャッキ30のより良い反応性およびより良い精度が得られる(カーボンとガラスとの協働により得られる低摩擦係数による)。
【0028】
図6に示すように、ジャッキ30は、シャフト36の回りで枢動できる。この枢動により、ジャッキ30の移動中に、工具5は、或る角度(この例では最大15°)をとる間に半球形E(図6に示す)内の任意の位置を占めることができる。半球形Eは、レンズを自由にローディングおよびアンローディングできなければならないスペースである。15°までのジャッキ30の枢動および90mmまでのジャッキの直線移動は、工具が凸レンズおよび凹レンズを研摩することを可能にする。
【0029】
図4〜図6に示すように、ジャッキ30を枢動させる手段は、ビーム38と、各ジャッキ30の上部に固定されたバー54(図2参照)との間に配置されたジャッキ53を有している。
ジャッキ53は、例えば、空気圧ジャッキ、油圧ジャッキまたは電気ジャッキである。
図5は、ジャッキ53が伸長位置にあるところを示し、この位置は、ジャッキ30の垂直位置に一致する。図5における鎖線55は、ジャッキ53のロッドが後退した作用を受けてジャッキ30が枢動したときのジャッキ30の長手方向軸線の位置を示す。
【0030】
この点に関し、図6は、最大枢動位置にあるジャッキ30および後退位置にあるジャッキ53を示している。
ジャッキ53は、研摩中でも、ジャッキ30が、ジャッキ53により決定された種々の枢動移動角度に一致する種々の位置を安定して占めることができるようにする戻り止め装置を有するのが好ましい。
また、ジャッキ53は、ジャッキ30の傾斜角度を制御する一体形エンコーダを有するのが好ましい。
【0031】
研摩すべきレンズを保持しかつ回転させるスピンドル3
図11は、研摩機が備えている2つの同一スピンドル(図2参照)の1つを示す詳細図である。
スピンドル3は、ワークチャンバ2の開口24に嵌合する直径をもつ円筒状本体56を有している。円筒状本体56には、ワークチャンバ2のプラットホーム23に取付けられるベース57が設けられている。この取付けは、「Оリング」シール58により液密化される。
円筒状本体56内には、スリーブ部材59が、2つのベアリング60を介して回転可能に取付けられている。スリーブ部材59の下端部には、プーリ61がキーを介して固定されている。
【0032】
スリーブ部材59の上端部にはスプライン62が設けられている。スプライン62は回転ヘッド64のスプライン63と係合している。これにより、回転ヘッド64は、スリーブ部材59と共に回転できるようにスリーブ部材59に連結されかつ上方のベアリング60に当接している。
従って回転ヘッド64は、スリーブ部材59を介してプーリ61により回転駆動される。回転ヘッド64が回転しているときでも、リップシール65により、本体56と回転ヘッド64との間の液密性が得られる。
スピンドル3は更に、スリーブ部材59を通って延びているロッド67の下端部にねじ止めされたチャック66を有する。ロッド67はその下端部がスリーブ部材59から出ていて、圧縮スプリング69がクランプ68により保持されている。クランプ68は、アクチュエータ70と協働する。
【0033】
ダイアフラムシール71が設けられており、該ダイアフラムシール71は、ロッド67および回転ヘッド64が相互に半径方向に移動しているときでも、これらの両者の間に液密性を付与する。
かくして、回転ヘッド64内に落下する研摩液および不純物がスピンドル3の回転部品内に浸透することはない。更に、研摩液および不純物は、遠心力の作用を受けて、ホイップホール72から真空排出される。
研摩すべき眼鏡用レンズ4に固定された接着剤ペグ73を介してレンズ4を保持するチャック66がここに図示されている。
作業者がアクセスできるペダルにより、チャック66がペグ73をグリップしかつ解放することを可能にする。
【0034】
研摩機の2つのスピンドル3は、研摩すべきレンズ4を、振動ダンパ75を介してプラットホーム23上に取付けられたモータ74(図1、図3、図4および図5)により回転駆動させることを可能にする。
モータ74は研摩機のノイズの主要原因であるが、モータにより発生された振動は、振動ダンパ75の存在によりプラットホーム23に伝達されることはない。
図10の概略図に示すように、モータ74はプーリ76を有し、該プーリ76はベルト77と協働して各スピンドル3のプーリ61を駆動する。
【0035】
研摩液回路
図12には、回路を構成するコンポーネント群が示されている。この概略図は、研摩機内でのコンポーネント群の位置を考慮に入れず、コンポーネント群の相互関係を示すものである。
ワークチャンバ2の包囲体13は、ここでは、研摩液の容器として示されている。研摩液は、重力により中央開口25から切換弁78に向かい、次にタンク7へと流れる。切換弁78はまた、中央開口内の流れを掃除ドレン85に指向させることができる。タンク7内に取付けられたフィルタグリッド79は、ワークチャンバ2からの研摩液中に存在する異物の第一濾過作業を行うことができる。引出し6(図1参照)は、フィルタの交換または掃除を行うことを可能にし、かつ掃除作業のためにアクセスすることを可能にする。
【0036】
タンク7内に存在する研摩液は、冷却器81に連結されたコイル80により冷却される。このシステムは、研摩液冷却のためタンクの外部に設けられる熱交換器に変更でき、研摩液の凍結および凝縮の危険がないことから、熱交換器を設ける方が好ましい。
研摩液は、ポンプ82によりタンク7の底から、切換弁83およびハンプホース84を介して回路の残部に循環される。切換弁83はまた、研摩液をシステムのドレンに指向させることができる。
【0037】
ポンプ82は、研摩液を切換弁87に送出し、該切換弁87は、研摩液をタンク7に戻すライン88に指向させるか、交換可能なカートリッジが設けられたファインフィルタ89に指向させる。
フィルタ89を出た研摩液は、連続的に温度センサ90、弁91および流量センサ92を介して、ワークチャンバ2内のディストリビュータ27に導かれる。回路の終端部で側方から示されたディストリビュータ27は、図面の左側のワークチャンバ2内で正面からも示されている。
【0038】
ディストリビュータ27は、次に、研摩液を、ヒンジ止めされた2つの固定ノズル93および2つの可動二重ノズル94にも指向させる。
ヒンジ止めされた各固定ノズル93は研摩すべき1つのレンズに向けられており、これに対し、各可動二重ノズル94は、1つのジャッキ30の本体に取付けられかつ対応工具5に向けられている。
【0039】
フロート弁により作動されるオーバーフロー26は、ワークチャンバ2が研摩液によって不意に充満されることを防止する。
安全性の理由から、研摩サイクルの開始(研摩サイクルが開始されると、スピンドル三および工具5が始動されかつ研摩液が循環される)は、2つのサイドボタン95(図2参照)により遂行される。2つのサイドボタン95は同時に押す必要があり、従って作業者は、研摩機の始動時には両手をボタン95上に置かなくてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の研摩機を縦断面で示す側面図である。
【図2】図1の研摩機の概略正面図であり、研摩機を構成する種々の部品を透視により示すものである。
【図3】図1および図2の研摩機の概略後面図である。
【図4】図1の研摩機の上方部分を示す詳細図である。
【図5】図4と同様な詳細図であるが、可動部品が他の位置にあるところを示すものである。
【図6】図1の研摩機の工具駆動装置が上方に取付けられているワークチャンバを示す縦断面図である。
【図7】図1の研摩機を上方から見た図面であり、工具駆動装置を示すものである。
【図8】図1の研摩機の一方の工具キャリヤジャッキが後退位置にあるところを示す断面図である。
【図9】図1の研摩機の一方の工具キャリヤジャッキが伸長位置にあるところを示す断面図である。
【図10】図1の研摩機を上方から見た概略図である。
【図11】図1の研摩機の詳細図であり、研摩すべき眼鏡用レンズを支持しかつ回転駆動できる一方のスピンドルを示すものである。
【図12】図1の研摩機に一体化された研摩液回路を示す概略図である。
【符号の説明】
【0041】
2 ワークチャンバ
3 スピンドル
4 眼鏡用レンズ
5 研摩工具
13 包囲体
21、30、53 ジャッキ
29 長孔
39 ボールねじ
37 キャリジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を回転駆動するように構成されたスピンドルと、
該スピンドルに対して移動できる研摩工具とを有する光学素子用研摩機において、
ワークチャンバの頂部に取付けられたプラットホームを更に有し、ワークチャンバがスピンドルを備え、プラットホームが本体を保持し、該本体には研摩工具が取付けられていることを特徴とする光学素子用研摩機。
【請求項2】
前記本体は摺動手段上に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項3】
前記摺動手段は、プラットホームに固定されたレール上に取付けられていることを特徴とする請求項2記載の光学素子用研摩機。
【請求項4】
前記摺動手段は、プラットホームに取付けられたボールねじにより駆動されることを特徴とする請求項2記載の光学素子用研摩機。
【請求項5】
前記ボールねじは、プラットホームに固定されたモータにより回転駆動されることを特徴とする請求項4記載の光学素子用研摩機。
【請求項6】
前記ボールねじはベローズにより保護されていることを特徴とする請求項4記載の光学素子用研摩機。
【請求項7】
前記本体は、一軸線の回りで回転できるように摺動手段に取付けられていることを特徴とする請求項2記載の光学素子用研摩機。
【請求項8】
前記本体を回転駆動するように構成された第一ジャッキを更に有することを特徴とする請求項7記載の光学素子用研摩機。
【請求項9】
プラットホームに固定された第二本体に取付けられた第二研摩工具と協働するように構成された第二スピンドルを更に有することを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項10】
前記本体はロッドが設けられた第二ジャッキであり、ロッドは研摩工具を保持するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項11】
前記ワークチャンバ内に研摩液を噴射する研摩液回路を更に有し、該研摩液回路は、研摩機から解放できかつタンク、ポンプおよびフィルタを保持している引出しを備えていることを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項12】
前記引出しはワークチャンバに対して移動できるように構成されていることを特徴とする請求項11記載の光学素子用研摩機。
【請求項13】
前記研摩液回路は迅速解放カップリングを有し、該カップリングは引出しに取付けられかつ該引出しを研摩機の残部から分離できるように構成されていることを特徴とする請求項11記載の光学素子用研摩機。
【請求項14】
前記スピンドルは、該スピンドルと同じレベルに配置されたモータにより回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項15】
前記モータおよびスピンドルは同じプラットホームに取付けられていることを特徴とする請求項14記載の光学素子用研摩機。
【請求項16】
前記モータは、ベルトを介してスピンドルを回転駆動することを特徴とする請求項14記載の光学素子用研摩機。
【請求項17】
前記プラットホームは、本体に取付けられたドームおよび該ドームを閉鎖するリップシールによりワークチャンバから遮断されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項18】
前記本体およびプラットホームに取付けられたベローズを更に有することを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項19】
前記摺動手段は、該摺動手段に取付けられたベローズにより保護されたレール上に取付けられていることを特徴とする請求項2記載の光学素子用研摩機。
【請求項20】
前記ワークチャンバは、スピンドルおよび研摩工具へのアクセスを可能にする扉を有し、該扉は回転できるようにアームに取付けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子用研摩機。
【請求項21】
前記アームは、ワークチャンバに対して一軸線の回りで回転できるように取付けられていることを特徴とする請求項20記載の光学素子用研摩機。
【請求項22】
前記アームは、ジャッキにより前記軸線の回りで回転駆動されることを特徴とする請求項21記載の光学素子用研摩機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−522118(P2009−522118A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548047(P2008−548047)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【国際出願番号】PCT/IB2006/004155
【国際公開番号】WO2007/099403
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(591019759)エシロール アンテルナショナル コムパニー ジェネラル ドプテイク (27)
【Fターム(参考)】