ワーク供給装置
【課題】簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別搬送する。
【解決手段】長手方向と短手方向とを有するワークWを搬送路20に沿って搬送し、長手方向が搬送方向に向けられた正規姿勢のワークW1を選別供給するワーク供給装置Aであって、搬送路20は、正規姿勢ワークW1と短手方向が搬送方向に向けられた非正規姿勢ワークW2とを搬送可能な共通搬送部23と、幅方向一端側がワークW2が脱落可能に開放された選別部とを備え、共通搬送部23は、幅方向の一端側に向けて上方に傾斜している搬送面23Bと、搬送方向に沿って選別部との境界位置まで、幅方向の一端側で搬送面23Bの上方に突出して形成され、ワークW1を搬送面23Bに接した状態で搬送可能とするとともに、ワークW2をワークW2の長手方向一端側に下方から当接可能な位置に設けられた突出部23Cとを有する。
【解決手段】長手方向と短手方向とを有するワークWを搬送路20に沿って搬送し、長手方向が搬送方向に向けられた正規姿勢のワークW1を選別供給するワーク供給装置Aであって、搬送路20は、正規姿勢ワークW1と短手方向が搬送方向に向けられた非正規姿勢ワークW2とを搬送可能な共通搬送部23と、幅方向一端側がワークW2が脱落可能に開放された選別部とを備え、共通搬送部23は、幅方向の一端側に向けて上方に傾斜している搬送面23Bと、搬送方向に沿って選別部との境界位置まで、幅方向の一端側で搬送面23Bの上方に突出して形成され、ワークW1を搬送面23Bに接した状態で搬送可能とするとともに、ワークW2をワークW2の長手方向一端側に下方から当接可能な位置に設けられた突出部23Cとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を用いてワークを選別及び搬送するワーク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば電気ワーク、樹脂ワーク、食品、調味料、薬など種々のワークを、振動を利用して搬送するワーク供給装置が知られている。例えば、図10に示すように、振動式のボウルフィーダ1と振動式の加速トラック2とを備えたワーク供給装置Bが知られている。すなわち、ボウルフィーダ1は、加振機構(不図示)でボウル3を円周方向にねじり振動させ、ボウル3の底に投入された直方体状のワークWを、その螺旋状の搬送路4に沿って搬送しながら、搬送路4の狭幅部4Aで一列に整列させ、狭幅部4Aに接続された加速トラック2のトラフ5に受け渡すようになっている。そして、加速トラック2は、振動体(不図示)に取り付けられたトラフ5を微小に往復振動させて、トラフ5上のワークWを搬送路6に沿って矢印X1方向に搬送するようになっている。
【0003】
上記搬送路6は、図11に示すように、ボウルフィーダ1から一列になって供給されたワークWを側部搬送面10A及び底部搬送面10Bに沿うように矢印X1方向に案内する共通搬送部10と、この共通搬送部10の途中に設けられて非正規姿勢のワークWを落下させる切欠を有する選別部11と、共通搬送部10の下方に共通搬送部10と平行に配置されて、選別部11で排出されたワークWをボウルフィーダ1に返却する返却通路12とを備えている。側部搬送面10A及び底部搬送面10Bは、図12に示すように、搬送方向に対して直交する横断面が鉛直方向に対してそれぞれ傾斜するように延在しており、これら側部搬送面10A及び底部搬送面10BがワークWの隣接する二つの面にそれぞれ接触かつ密着してワークWの姿勢が定まるようになっている。選別部11は、側部搬送面10A及び底部搬送面10Bから下流に連接された側部搬送面11A及び切欠搬送面11Bとから構成されており、図12に示すように、切欠搬送面11Bの幅寸法Dが、長手方向を搬送方向に向けているワークW(W1)の重心を搬送路6上に位置させ、かつ、図13に示すように、短手方向を搬送方向に向けているワークW(W2)の重心を搬送路6の外側に位置させるように設定されている。このような構成により、長手方向を搬送方向に向けているワークW(W1)を正規姿勢として通過させると共に、短手方向を搬送方向に向けているワークW(W2)を下方に落下させている。
【0004】
しかしながら、ワークWの長手方向と短手方向との寸法差が小さい場合には、長手方向を搬送方向に向けているワークW1と短手方向を搬送方向に向けているワークW2のそれぞれの重心が同等の位置となるため、正規姿勢ではないワークW2が切欠搬送面11Bに保持されて下方に落下させることができず、選別部11を通過してしまう。
【0005】
そこで、長辺の長さと短辺の長さとの差が小さい平板状又は直方体形状のワークの姿勢を整えて移送するワーク整送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このワーク整送装置は、非正規姿勢のワークを光センサで検知して、この検知したワークに対して空気を噴出させて、非正規姿勢のワークを排除するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−86643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、非正規姿勢のワークを検知するための光センサや非正規姿勢のワークを排除するための空気噴出部等が必要となり、装置構成が煩雑化、複雑化するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別かつ搬送することができるワーク供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明は、長手方向と短手方向とを有するワークを搬送路に沿って搬送し、前記ワークの長手方向が搬送方向に向けられた正規姿勢で搬送される前記ワークを選別して供給するワーク供給装置であって、前記搬送路は、前記正規姿勢のワークと前記短手方向が前記搬送方向に向けられた非正規姿勢のワークとを共に搬送可能な共通搬送部と、前記正規姿勢のワークを搬送可能な幅に形成されているとともに、幅方向一端側が前記非正規姿勢のワークが脱落可能に開放された選別部とを備え、前記共通搬送部は、前記幅方向の一端側に向けて上方に傾斜している搬送面と、前記搬送方向に沿って前記選別部との境界位置まで、前記幅方向の一端側で前記搬送面の上方に突出して形成され、前記ワークが前記正規姿勢である場合に前記搬送面に接した状態で搬送可能とするとともに、前記非正規姿勢である場合に前記ワークの前記長手方向一端側に下方から当接可能な位置に設けられた突出部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、ワークが正規姿勢で搬送された場合には、搬送面に接した状態で搬送するとともに、選別部においてもワークを下流側に通過させる。一方、ワークが非正規姿勢(ワークの長手方向が搬送路の幅方向に向けられた姿勢)で搬送された場合には、突出部がワークの長手方向一端側に下方から当接して、該ワークの長手方向を鉛直方向側に立ち上らせる。そして、選別部との境界位置において、突出部に支持されなくなったワークが該ワークの自重によって付勢されて選別部の幅方向の一端から離脱して排除される。これにより、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別・搬送することができる。
また、非正規姿勢のワークを検知するための光センサや非正規姿勢のワークを排除するための空気噴出部等が不要となり、装置構成を煩雑化、複雑化させることなく、簡素な装置構成とすることができる。
従って、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別・搬送することができるワーク供給装置を提供することができる。
なお、ワークの長手方向が搬送面の直交方向に向けられた姿勢のワークは、周知のワイパー部によって除去する構成とすることにより、ワークの姿勢を正規姿勢又は非正規姿勢に限定して供給することが可能である。
【0011】
また、前記突出部は、前記搬送路の上流から下流に向かうに従って、前記搬送面から突出する寸法が漸次大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るワーク供給装置によれば、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別・搬送することができるワーク供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの要部拡大平面図であって、加速トラック2の一部を拡大した平面図である。
【図2】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの搬送対象であるワークWの全体構成斜視図である。
【図3】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aのワイパー部22を示す概略構成斜視図である。
【図4】本発明の実施形態において、図1におけるI−I線断面図である。
【図5】本発明の実施形態において、図1におけるII−II線断面図である。
【図6】本発明の実施形態において、図1におけるIII−III線断面図である。
【図7】本発明の実施形態において、図1におけるIV−IV線断面図である。
【図8】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの動作を示す動作説明図であって図6に相当する図である。
【図9】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの動作を示す動作説明図であって図7の後の動作を示したものである。
【図10】従来のワーク供給装置Bの全体構成を示す平面図である。
【図11】従来のワーク供給装置Bの要部拡大平面図であって、加速トラック2の全体構成を示した図である。
【図12】図11におけるV−V線断面図であって、正規姿勢のワークW(W1)が搬送される様子を示した図である。
【図13】図11におけるV−V線断面図であって、非正規姿勢のワークW(W2)が落下する様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、背景技術にて説明した図10のワーク供給装置Bの振動式の加速トラック2の搬送路6の構成を変更して本発明を適用したものである。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るワーク供給装置Aの要部拡大平面図であって、加速トラック2の一部を拡大したものである。このワーク供給装置Aは、図2に示す直方体状のワークWを搬送するものである。ワークWは、ワークWの幅方向の寸法(短手方向)d1と、この幅方向の寸法d1と等しい厚さ方向(短手方向)の寸法d1と、幅方向及び厚さ方向の寸法d1よりも僅かに大きい長さ寸法(長手方向)d2とを有しており、矩形に形成された四つの長側面Waと、方形の底面Wb(上面Wb)とを有している。
【0016】
図1に示すように、ワーク供給装置Aは、ワーク供給装置Bと同様の加速トラック2を備えており(図10参照)、この加速トラック2に搬送路20が構成されている。この搬送路20は、姿勢調整部21と、ワイパー部22と、共通搬送部23と、選別部24と、返却通路25とを備えている。
【0017】
姿勢調整部21は、図1に示すように、搬送路20の上流側に位置しており、ボウルフィーダ1から一列になって供給されたワークWを共通搬送部23に導入し易い状態に調整するものである。この姿勢調整部21は、ワーク搬送方向に直交する横断面が略円弧状となった湾曲面からなり(図5参照)、この湾曲面がワークWのいずれか二面を支持する。すなわち、ワークWのいずれか二面がワーク搬送方向に沿った状態となるため、ワークWの長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークW1´)、ワークWの幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークWの長さ方向を搬送路20の幅方向に向けた状態、ワークW2´)又は鉛直方向にワークWの長さ方向を向けた状態(ワークW3´)に調整する。
【0018】
ワイパー部22は、図3に示すように、姿勢調整部21の湾曲面の一部を覆うように庇状に設けられており、図1及び図3に示すように上流側の端面22aがワーク搬送方向に対して斜めに交差するように延在している。このワイパー部22は、図3に示すように、姿勢調整部21の湾曲面からの高さhが、略d1以上略d2未満の寸法に設定されており、長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態のワークW(W1´)、幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けたワークW(W2´)が下方を通過可能となっている。一方、鉛直方向にワークWの長さ方向を向けたワークW(W3´)は、ワイパー部22に係合し端面22aにガイドされて搬送路20から排除されるようになっている。
【0019】
共通搬送部23は、図1及び図4に示すように、ワーク搬送方向に向けてトラフ5上に溝状に形成されたものであり、側部搬送面23A及び底部搬送面(搬送面)23Bと、底部搬送面23Bの上方に形成された突出部23Cとを備えている。
【0020】
側部搬送面23A及び底部搬送面23Bは、図5及び図6に示すように、ワーク搬送方向に直交する各横断面形状がV字状に構成されている。これら側部搬送面23A及び底部搬送面23Bは、ワーク搬送方向に直交する各横断面において互いに直交する方向に延在しており、共通搬送部23の溝底に相当する角隅部(他端)23Dを構成している。これら側部搬送面23A及び底部搬送面23Bは、角隅部23DにワークWのいずれかの角部を収容して、該角部を構成するワークWの二面を面支持するようになっている。
【0021】
共通搬送部23は、図4に示すように、ワークWの搬送方向の上流から下流(X1方向)に向かうに従って、角隅部23Dが漸次下方に位置するように形成されており、側部搬送面23Aと底部搬送面23Bとの間に介在する空間が、ワーク搬送方向の上流から下流に向かうに従って暫時大きくなるように形成されている。
【0022】
突出部23Cは、共通搬送部23における最下流の位置に(後述する選別部24との境界位置Kまで)形成されたものであり、底部搬送面23Bの上方に形成されている。具体的には、図1に示すように、平面視で略三角形状に形成されており、図7に示すように、ワーク搬送方向と直交する各横断面において、突出部23Cと角隅部23Dとの距離D1が、ワークWの幅方向と厚さ方向の寸法d1よりも大きく(図2参照)、かつ、ワークWの長さ方向の寸法d2よりも小さくなる位置に形成されている。
【0023】
この突出部23Cは、図1に示すように、ワーク搬送方向の上流側から下流側に向けて底部搬送面23Bから突出する寸法が大きくなるように形成されており、図1,図4及び図9に示すように、選別部24との境界位置Kにおいて端面が形成されるようにワーク搬送方向と直交する方向に切除されたようになっている。
また、突出部23Cの角隅部23Dに対する鉛直方向の位置は、角隅部23Dがワーク搬送方向の上流から下流に向けて、漸次上方に位置するように構成されている。
【0024】
図1に戻って、選別部24は、搬送路20の下流側において共通搬送部23と隣接しており、図9に示すように、共通搬送部23と連接された溝状のものである。この選別部24は、側部搬送面23A及び底部搬送面23Bとからそれぞれ搬送方向に連接された側部搬送面24A及び切欠搬送面24Bを有する。なお、これら側部搬送面24A及び切欠搬送面24Bは、角隅部23Dと連接する角隅部24Dを構成している。
側部搬送面24Aは、側部搬送面24Aと同様の構成となっている。一方、切欠搬送面24Bは、ワーク搬送方向に直交する横断面において角隅部24Dから搬送路20の幅方向の一端24Eまでの距離がワークWの長さ方向の寸法d2の略半分程度(D2)に構成されている。換言すれば、幅方向一端24E側が、幅方向又は厚さ方向をワーク搬送方向に向けたワークWが脱落可能に開放されている。
【0025】
返却通路25は、全体として、ワークWの返却方向である矢印X2方向に向けて下降する傾斜面となっている。この返却通路25は、ワイパー部22及び選別部24から落下したワークWを再度ボウルフィーダ1に送り込む。
【0026】
次に、上記の構成からなるワーク供給装置Aの動作について図を参照しつつ説明する。
まず、ボウルフィーダ1の加振装置(不図示)を駆動するとボウル3が円周方向にねじり振動する(図10参照)。この振動により、ボウル3の底部に投入されていたワークWが、搬送路4に沿って移動し、搬送路4の狭幅部4Aで一列に整列した後、狭幅部4Aに接続された加速トラック2のトラフ5上に移動する。このトラフ5は、平行な一対の板ばねで連結した下部振動体及び上部振動体のうち、上部振動体に取り付けられており、加振機構(電磁石と可動鉄心とを対向させて取り付けたもの)によってトラフ5を微小に往復振動させてワークWをX1方向に搬送する(図1及び図10参照)。
【0027】
トラフ5上に移動したワークWは、振動によって姿勢調整部21上を下流側に向けて移動する。この際、姿勢調整部21が横断面円弧状に形成された湾曲面となっているため(図5参照)、図3に示すように、ワークWがワークWの長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークW1´)、ワークWの幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークW2´)又は鉛直方向にワークWの長さ方向を向けた状態(ワークW3´)に調整される。
【0028】
姿勢調整部21によって姿勢が調整されたワークWは、ワイパー部22に到達する。この際、長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態のワークW1´、幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けたワークW2´は、下方を通過する。鉛直方向にワークWの長さ方向を向けたワークW3´は、ワイパー部22に係合し端面22aにガイドされて搬送路20から排除される。この排除されたワークW3´は、返却通路25を経てボウルフィーダ1に送り込まれる。
このようにして、ワークW1´とワークW2´のみがワイパー部22を通過する。
【0029】
ワークWが共通搬送部23上に到達して、この共通搬送部23上を下流側に移動していくと、共通搬送部23が幅広になっていくため(図1並びに図5及び図6参照)、次第にワークWが共通搬送部23に嵌り込み、図6に示すように、角隅部23DにワークWのいずれかの角部を収容して、角隅部23Dに収容した角部を介して連続する二面を面支持する。すなわち、図6に示すようにワークW1´が長さ方向をワーク搬送方向に向けた正規姿勢のワークW1に、ワークW2´が幅方向又は厚さ方向をワーク搬送方向に向けた非正規姿勢のワークW2となる。
【0030】
ワークW1とワークW2は、共通搬送部23上を更に下流に移動していくと突出部23Cに到達する。
この際、図7に示すように、ワークWが正規姿勢のワークW1の場合には、突出部23Cが角隅部23DからワークWの幅方向の寸法d1よりも離間した位置に形成されているため、突出部23Cに当接せずに、二つの長側面Waがそれぞれ側部搬送面23A及び底部搬送面23Bに継続して面支持されて、突出部23Cの下方を下流に向けて通過していく。その後、ワークW1は、選別部24においても側部搬送面24A及び切欠搬送面24Bに継続して面支持されて通過する。
【0031】
一方、ワークW2の場合には、突出部23Cが角隅部23DからワークWの長さ方向の寸法d2よりも近い位置に形成されているため、底部搬送面23Bに面接触していた長側面Waの長手方向一端側が突出部23Cに下方から当接された状態で下流に向けて移動していく。この際、角隅部23Dが下流に向かうに従って漸次下方に位置するように形成されているため、ワークW2が突出部23Cから上方側に向けて規制を受ける。また、突出部23Cが下流に向かうほど漸次搬送路20の幅方向の内方に延出するように形成されているため、ワークW2が突出部23Cから側部搬送面23A側に向けて規制を受ける。
このような規制を受けたワークW2は、搬送路20を下流に向けて移動するに従って、ワークW2の長さ方向が鉛直方向側に向けるようにして次第に立ち上がる。このようにして、ワークW2は、上方に立ち上がった排出姿勢となって、この姿勢を保持しながら選別部24に向けて移動する。
【0032】
ワークW2は、選別部24との境界位置Kに到達すると突出部23Cに支持されなくなり、突出部23Cによって変更された姿勢を維持することができなくなる。すなわち、ワークW2は、図9に示すように、突出部23Cによる立ち上がり動作と反対側に向けて回動落下する挙動を示し、一端24Eから下方に向けて落下する。この際、ワークWの重心が、搬送路20上に位置していても、ワークW2がその自重によって付勢されて回動落下するため、切欠搬送面24Bを乗り上げて搬送路20から離脱する。
【0033】
このようにして、正規姿勢のワークW1が選別部24を通過して下流に到達する一方、非正規姿勢のワークW2が選別部24において離脱されるため、下流には正規姿勢のワークW1のみが到達する。
【0034】
以上説明したように、上記の構成によれば、正規姿勢のワークW1が搬送された場合には、搬送面22Bに接した状態で搬送するとともに、選別部24においてもワークW1を下流側に通過させる。一方、非正規姿勢のワークW2が搬送された場合には、突出部22CがワークW2の長手方向一端側に下方から当接して、ワークW2の長手方向を鉛直方向側に立ち上らせる。そして、ワークWが脱落可能に開放された選別部24において、突出部22Cに支持されなくなったワークW2が該ワークW2の自重によって付勢されて搬送路20の幅方向の一端23Eから離脱して排除される。これにより、簡素な構成で長さ方向と、幅方向及び厚さ方向との寸法差が小さいワークWを選別・搬送することができる。
また、非正規姿勢のワークW2を検知するための光センサや非正規姿勢のワークW2を排除するための空気噴出部等が不要となり、装置構成を煩雑化、複雑化させることなく、簡素な装置構成とすることができる。
従って、簡素な構成で長さ方向の寸法d1と幅方向及び厚さ方向の寸法d2との差が小さいワークWを選別・搬送することができる。
【0035】
また、突出部23Cが搬送路20の上流から下流に向かうに従って、底部搬送面23Bから突出する寸法が漸次大きくなるように構成されているので、非正規姿勢のワークW2が搬送路20上を上流から下流に移動すると、突出部23Cから上方側に向けて漸次規制を受ける。これにより、ワークWを連続的に搬送してもワークWの搬送を断続させないで、非正規姿勢のワークW2を滑らかに排出姿勢にすることができる。
【0036】
また、搬送路20に沿って角隅部23Dを構成する側部搬送面23A及び底部搬送面23Bを備え、突出部23Cが底部搬送面23Bの上方に形成されているので、正規姿勢のワークWを二面で支持することが可能となり、正規姿勢のワークW1の姿勢保持が安定的なものとなる。
また、突出部23Cが底部搬送面23Bの上方に形成されているので、正規姿勢のワークW1が突出部23Cの下方を通過する構成とすることができる。これにより、突出部23CがワークW1の搬送を妨げない。
従って、正規姿勢のワークW1の搬送を安定的なものとすることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、角隅部23Dをワーク搬送方向の上流から下流に向かって漸次下方に位置するように構成したが、これを漸次上方に位置するように、または、水平に構成してもよい。
【0038】
また、上述した実施の形態では、幅寸法と厚さ寸法とが同一のワークWを搬送する場合について説明したが、幅寸法と厚さ寸法とが異なる寸法のものについても適用することができる。この場合については、ワイパー部22の高さを幅寸法又は厚さ寸法よりも低く構成すれば、ワークWの姿勢を二つの状態に限定することができる。
【0039】
また、上述した実施の形態では、選別部24において切欠搬送面24Bを設ける構成としており、この切欠きの搬送路20の幅方向の寸法について特に言及はしていないが、これは、ワークWの長さや排出姿勢の角度等によって適宜設定される。なお、切欠搬送面24Bの幅寸法D2を、ワークWの長さ寸法の半分以下とすれば効率よくワークW2を排除することができる。
【符号の説明】
【0040】
20…搬送路
23…共通搬送部
23…選別部
23B…切欠搬送面(搬送面)
23C…突出部
23D…角隅部(他端)
24…選別部
24E…一端
A…ワーク供給装置
W…ワーク
W1…正規姿勢のワーク
W2…非正規姿勢のワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を用いてワークを選別及び搬送するワーク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば電気ワーク、樹脂ワーク、食品、調味料、薬など種々のワークを、振動を利用して搬送するワーク供給装置が知られている。例えば、図10に示すように、振動式のボウルフィーダ1と振動式の加速トラック2とを備えたワーク供給装置Bが知られている。すなわち、ボウルフィーダ1は、加振機構(不図示)でボウル3を円周方向にねじり振動させ、ボウル3の底に投入された直方体状のワークWを、その螺旋状の搬送路4に沿って搬送しながら、搬送路4の狭幅部4Aで一列に整列させ、狭幅部4Aに接続された加速トラック2のトラフ5に受け渡すようになっている。そして、加速トラック2は、振動体(不図示)に取り付けられたトラフ5を微小に往復振動させて、トラフ5上のワークWを搬送路6に沿って矢印X1方向に搬送するようになっている。
【0003】
上記搬送路6は、図11に示すように、ボウルフィーダ1から一列になって供給されたワークWを側部搬送面10A及び底部搬送面10Bに沿うように矢印X1方向に案内する共通搬送部10と、この共通搬送部10の途中に設けられて非正規姿勢のワークWを落下させる切欠を有する選別部11と、共通搬送部10の下方に共通搬送部10と平行に配置されて、選別部11で排出されたワークWをボウルフィーダ1に返却する返却通路12とを備えている。側部搬送面10A及び底部搬送面10Bは、図12に示すように、搬送方向に対して直交する横断面が鉛直方向に対してそれぞれ傾斜するように延在しており、これら側部搬送面10A及び底部搬送面10BがワークWの隣接する二つの面にそれぞれ接触かつ密着してワークWの姿勢が定まるようになっている。選別部11は、側部搬送面10A及び底部搬送面10Bから下流に連接された側部搬送面11A及び切欠搬送面11Bとから構成されており、図12に示すように、切欠搬送面11Bの幅寸法Dが、長手方向を搬送方向に向けているワークW(W1)の重心を搬送路6上に位置させ、かつ、図13に示すように、短手方向を搬送方向に向けているワークW(W2)の重心を搬送路6の外側に位置させるように設定されている。このような構成により、長手方向を搬送方向に向けているワークW(W1)を正規姿勢として通過させると共に、短手方向を搬送方向に向けているワークW(W2)を下方に落下させている。
【0004】
しかしながら、ワークWの長手方向と短手方向との寸法差が小さい場合には、長手方向を搬送方向に向けているワークW1と短手方向を搬送方向に向けているワークW2のそれぞれの重心が同等の位置となるため、正規姿勢ではないワークW2が切欠搬送面11Bに保持されて下方に落下させることができず、選別部11を通過してしまう。
【0005】
そこで、長辺の長さと短辺の長さとの差が小さい平板状又は直方体形状のワークの姿勢を整えて移送するワーク整送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このワーク整送装置は、非正規姿勢のワークを光センサで検知して、この検知したワークに対して空気を噴出させて、非正規姿勢のワークを排除するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−86643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、非正規姿勢のワークを検知するための光センサや非正規姿勢のワークを排除するための空気噴出部等が必要となり、装置構成が煩雑化、複雑化するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別かつ搬送することができるワーク供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明は、長手方向と短手方向とを有するワークを搬送路に沿って搬送し、前記ワークの長手方向が搬送方向に向けられた正規姿勢で搬送される前記ワークを選別して供給するワーク供給装置であって、前記搬送路は、前記正規姿勢のワークと前記短手方向が前記搬送方向に向けられた非正規姿勢のワークとを共に搬送可能な共通搬送部と、前記正規姿勢のワークを搬送可能な幅に形成されているとともに、幅方向一端側が前記非正規姿勢のワークが脱落可能に開放された選別部とを備え、前記共通搬送部は、前記幅方向の一端側に向けて上方に傾斜している搬送面と、前記搬送方向に沿って前記選別部との境界位置まで、前記幅方向の一端側で前記搬送面の上方に突出して形成され、前記ワークが前記正規姿勢である場合に前記搬送面に接した状態で搬送可能とするとともに、前記非正規姿勢である場合に前記ワークの前記長手方向一端側に下方から当接可能な位置に設けられた突出部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、ワークが正規姿勢で搬送された場合には、搬送面に接した状態で搬送するとともに、選別部においてもワークを下流側に通過させる。一方、ワークが非正規姿勢(ワークの長手方向が搬送路の幅方向に向けられた姿勢)で搬送された場合には、突出部がワークの長手方向一端側に下方から当接して、該ワークの長手方向を鉛直方向側に立ち上らせる。そして、選別部との境界位置において、突出部に支持されなくなったワークが該ワークの自重によって付勢されて選別部の幅方向の一端から離脱して排除される。これにより、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別・搬送することができる。
また、非正規姿勢のワークを検知するための光センサや非正規姿勢のワークを排除するための空気噴出部等が不要となり、装置構成を煩雑化、複雑化させることなく、簡素な装置構成とすることができる。
従って、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別・搬送することができるワーク供給装置を提供することができる。
なお、ワークの長手方向が搬送面の直交方向に向けられた姿勢のワークは、周知のワイパー部によって除去する構成とすることにより、ワークの姿勢を正規姿勢又は非正規姿勢に限定して供給することが可能である。
【0011】
また、前記突出部は、前記搬送路の上流から下流に向かうに従って、前記搬送面から突出する寸法が漸次大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るワーク供給装置によれば、簡素な構成で長手方向と短手方向との寸法差が小さいワークを選別・搬送することができるワーク供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの要部拡大平面図であって、加速トラック2の一部を拡大した平面図である。
【図2】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの搬送対象であるワークWの全体構成斜視図である。
【図3】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aのワイパー部22を示す概略構成斜視図である。
【図4】本発明の実施形態において、図1におけるI−I線断面図である。
【図5】本発明の実施形態において、図1におけるII−II線断面図である。
【図6】本発明の実施形態において、図1におけるIII−III線断面図である。
【図7】本発明の実施形態において、図1におけるIV−IV線断面図である。
【図8】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの動作を示す動作説明図であって図6に相当する図である。
【図9】本発明の実施形態において、ワーク供給装置Aの動作を示す動作説明図であって図7の後の動作を示したものである。
【図10】従来のワーク供給装置Bの全体構成を示す平面図である。
【図11】従来のワーク供給装置Bの要部拡大平面図であって、加速トラック2の全体構成を示した図である。
【図12】図11におけるV−V線断面図であって、正規姿勢のワークW(W1)が搬送される様子を示した図である。
【図13】図11におけるV−V線断面図であって、非正規姿勢のワークW(W2)が落下する様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、背景技術にて説明した図10のワーク供給装置Bの振動式の加速トラック2の搬送路6の構成を変更して本発明を適用したものである。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るワーク供給装置Aの要部拡大平面図であって、加速トラック2の一部を拡大したものである。このワーク供給装置Aは、図2に示す直方体状のワークWを搬送するものである。ワークWは、ワークWの幅方向の寸法(短手方向)d1と、この幅方向の寸法d1と等しい厚さ方向(短手方向)の寸法d1と、幅方向及び厚さ方向の寸法d1よりも僅かに大きい長さ寸法(長手方向)d2とを有しており、矩形に形成された四つの長側面Waと、方形の底面Wb(上面Wb)とを有している。
【0016】
図1に示すように、ワーク供給装置Aは、ワーク供給装置Bと同様の加速トラック2を備えており(図10参照)、この加速トラック2に搬送路20が構成されている。この搬送路20は、姿勢調整部21と、ワイパー部22と、共通搬送部23と、選別部24と、返却通路25とを備えている。
【0017】
姿勢調整部21は、図1に示すように、搬送路20の上流側に位置しており、ボウルフィーダ1から一列になって供給されたワークWを共通搬送部23に導入し易い状態に調整するものである。この姿勢調整部21は、ワーク搬送方向に直交する横断面が略円弧状となった湾曲面からなり(図5参照)、この湾曲面がワークWのいずれか二面を支持する。すなわち、ワークWのいずれか二面がワーク搬送方向に沿った状態となるため、ワークWの長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークW1´)、ワークWの幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークWの長さ方向を搬送路20の幅方向に向けた状態、ワークW2´)又は鉛直方向にワークWの長さ方向を向けた状態(ワークW3´)に調整する。
【0018】
ワイパー部22は、図3に示すように、姿勢調整部21の湾曲面の一部を覆うように庇状に設けられており、図1及び図3に示すように上流側の端面22aがワーク搬送方向に対して斜めに交差するように延在している。このワイパー部22は、図3に示すように、姿勢調整部21の湾曲面からの高さhが、略d1以上略d2未満の寸法に設定されており、長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態のワークW(W1´)、幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けたワークW(W2´)が下方を通過可能となっている。一方、鉛直方向にワークWの長さ方向を向けたワークW(W3´)は、ワイパー部22に係合し端面22aにガイドされて搬送路20から排除されるようになっている。
【0019】
共通搬送部23は、図1及び図4に示すように、ワーク搬送方向に向けてトラフ5上に溝状に形成されたものであり、側部搬送面23A及び底部搬送面(搬送面)23Bと、底部搬送面23Bの上方に形成された突出部23Cとを備えている。
【0020】
側部搬送面23A及び底部搬送面23Bは、図5及び図6に示すように、ワーク搬送方向に直交する各横断面形状がV字状に構成されている。これら側部搬送面23A及び底部搬送面23Bは、ワーク搬送方向に直交する各横断面において互いに直交する方向に延在しており、共通搬送部23の溝底に相当する角隅部(他端)23Dを構成している。これら側部搬送面23A及び底部搬送面23Bは、角隅部23DにワークWのいずれかの角部を収容して、該角部を構成するワークWの二面を面支持するようになっている。
【0021】
共通搬送部23は、図4に示すように、ワークWの搬送方向の上流から下流(X1方向)に向かうに従って、角隅部23Dが漸次下方に位置するように形成されており、側部搬送面23Aと底部搬送面23Bとの間に介在する空間が、ワーク搬送方向の上流から下流に向かうに従って暫時大きくなるように形成されている。
【0022】
突出部23Cは、共通搬送部23における最下流の位置に(後述する選別部24との境界位置Kまで)形成されたものであり、底部搬送面23Bの上方に形成されている。具体的には、図1に示すように、平面視で略三角形状に形成されており、図7に示すように、ワーク搬送方向と直交する各横断面において、突出部23Cと角隅部23Dとの距離D1が、ワークWの幅方向と厚さ方向の寸法d1よりも大きく(図2参照)、かつ、ワークWの長さ方向の寸法d2よりも小さくなる位置に形成されている。
【0023】
この突出部23Cは、図1に示すように、ワーク搬送方向の上流側から下流側に向けて底部搬送面23Bから突出する寸法が大きくなるように形成されており、図1,図4及び図9に示すように、選別部24との境界位置Kにおいて端面が形成されるようにワーク搬送方向と直交する方向に切除されたようになっている。
また、突出部23Cの角隅部23Dに対する鉛直方向の位置は、角隅部23Dがワーク搬送方向の上流から下流に向けて、漸次上方に位置するように構成されている。
【0024】
図1に戻って、選別部24は、搬送路20の下流側において共通搬送部23と隣接しており、図9に示すように、共通搬送部23と連接された溝状のものである。この選別部24は、側部搬送面23A及び底部搬送面23Bとからそれぞれ搬送方向に連接された側部搬送面24A及び切欠搬送面24Bを有する。なお、これら側部搬送面24A及び切欠搬送面24Bは、角隅部23Dと連接する角隅部24Dを構成している。
側部搬送面24Aは、側部搬送面24Aと同様の構成となっている。一方、切欠搬送面24Bは、ワーク搬送方向に直交する横断面において角隅部24Dから搬送路20の幅方向の一端24Eまでの距離がワークWの長さ方向の寸法d2の略半分程度(D2)に構成されている。換言すれば、幅方向一端24E側が、幅方向又は厚さ方向をワーク搬送方向に向けたワークWが脱落可能に開放されている。
【0025】
返却通路25は、全体として、ワークWの返却方向である矢印X2方向に向けて下降する傾斜面となっている。この返却通路25は、ワイパー部22及び選別部24から落下したワークWを再度ボウルフィーダ1に送り込む。
【0026】
次に、上記の構成からなるワーク供給装置Aの動作について図を参照しつつ説明する。
まず、ボウルフィーダ1の加振装置(不図示)を駆動するとボウル3が円周方向にねじり振動する(図10参照)。この振動により、ボウル3の底部に投入されていたワークWが、搬送路4に沿って移動し、搬送路4の狭幅部4Aで一列に整列した後、狭幅部4Aに接続された加速トラック2のトラフ5上に移動する。このトラフ5は、平行な一対の板ばねで連結した下部振動体及び上部振動体のうち、上部振動体に取り付けられており、加振機構(電磁石と可動鉄心とを対向させて取り付けたもの)によってトラフ5を微小に往復振動させてワークWをX1方向に搬送する(図1及び図10参照)。
【0027】
トラフ5上に移動したワークWは、振動によって姿勢調整部21上を下流側に向けて移動する。この際、姿勢調整部21が横断面円弧状に形成された湾曲面となっているため(図5参照)、図3に示すように、ワークWがワークWの長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークW1´)、ワークWの幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けた状態(ワークW2´)又は鉛直方向にワークWの長さ方向を向けた状態(ワークW3´)に調整される。
【0028】
姿勢調整部21によって姿勢が調整されたワークWは、ワイパー部22に到達する。この際、長さ方向をワーク搬送方向に向けた状態のワークW1´、幅方向若しくは厚さ方向をワーク搬送方向に向けたワークW2´は、下方を通過する。鉛直方向にワークWの長さ方向を向けたワークW3´は、ワイパー部22に係合し端面22aにガイドされて搬送路20から排除される。この排除されたワークW3´は、返却通路25を経てボウルフィーダ1に送り込まれる。
このようにして、ワークW1´とワークW2´のみがワイパー部22を通過する。
【0029】
ワークWが共通搬送部23上に到達して、この共通搬送部23上を下流側に移動していくと、共通搬送部23が幅広になっていくため(図1並びに図5及び図6参照)、次第にワークWが共通搬送部23に嵌り込み、図6に示すように、角隅部23DにワークWのいずれかの角部を収容して、角隅部23Dに収容した角部を介して連続する二面を面支持する。すなわち、図6に示すようにワークW1´が長さ方向をワーク搬送方向に向けた正規姿勢のワークW1に、ワークW2´が幅方向又は厚さ方向をワーク搬送方向に向けた非正規姿勢のワークW2となる。
【0030】
ワークW1とワークW2は、共通搬送部23上を更に下流に移動していくと突出部23Cに到達する。
この際、図7に示すように、ワークWが正規姿勢のワークW1の場合には、突出部23Cが角隅部23DからワークWの幅方向の寸法d1よりも離間した位置に形成されているため、突出部23Cに当接せずに、二つの長側面Waがそれぞれ側部搬送面23A及び底部搬送面23Bに継続して面支持されて、突出部23Cの下方を下流に向けて通過していく。その後、ワークW1は、選別部24においても側部搬送面24A及び切欠搬送面24Bに継続して面支持されて通過する。
【0031】
一方、ワークW2の場合には、突出部23Cが角隅部23DからワークWの長さ方向の寸法d2よりも近い位置に形成されているため、底部搬送面23Bに面接触していた長側面Waの長手方向一端側が突出部23Cに下方から当接された状態で下流に向けて移動していく。この際、角隅部23Dが下流に向かうに従って漸次下方に位置するように形成されているため、ワークW2が突出部23Cから上方側に向けて規制を受ける。また、突出部23Cが下流に向かうほど漸次搬送路20の幅方向の内方に延出するように形成されているため、ワークW2が突出部23Cから側部搬送面23A側に向けて規制を受ける。
このような規制を受けたワークW2は、搬送路20を下流に向けて移動するに従って、ワークW2の長さ方向が鉛直方向側に向けるようにして次第に立ち上がる。このようにして、ワークW2は、上方に立ち上がった排出姿勢となって、この姿勢を保持しながら選別部24に向けて移動する。
【0032】
ワークW2は、選別部24との境界位置Kに到達すると突出部23Cに支持されなくなり、突出部23Cによって変更された姿勢を維持することができなくなる。すなわち、ワークW2は、図9に示すように、突出部23Cによる立ち上がり動作と反対側に向けて回動落下する挙動を示し、一端24Eから下方に向けて落下する。この際、ワークWの重心が、搬送路20上に位置していても、ワークW2がその自重によって付勢されて回動落下するため、切欠搬送面24Bを乗り上げて搬送路20から離脱する。
【0033】
このようにして、正規姿勢のワークW1が選別部24を通過して下流に到達する一方、非正規姿勢のワークW2が選別部24において離脱されるため、下流には正規姿勢のワークW1のみが到達する。
【0034】
以上説明したように、上記の構成によれば、正規姿勢のワークW1が搬送された場合には、搬送面22Bに接した状態で搬送するとともに、選別部24においてもワークW1を下流側に通過させる。一方、非正規姿勢のワークW2が搬送された場合には、突出部22CがワークW2の長手方向一端側に下方から当接して、ワークW2の長手方向を鉛直方向側に立ち上らせる。そして、ワークWが脱落可能に開放された選別部24において、突出部22Cに支持されなくなったワークW2が該ワークW2の自重によって付勢されて搬送路20の幅方向の一端23Eから離脱して排除される。これにより、簡素な構成で長さ方向と、幅方向及び厚さ方向との寸法差が小さいワークWを選別・搬送することができる。
また、非正規姿勢のワークW2を検知するための光センサや非正規姿勢のワークW2を排除するための空気噴出部等が不要となり、装置構成を煩雑化、複雑化させることなく、簡素な装置構成とすることができる。
従って、簡素な構成で長さ方向の寸法d1と幅方向及び厚さ方向の寸法d2との差が小さいワークWを選別・搬送することができる。
【0035】
また、突出部23Cが搬送路20の上流から下流に向かうに従って、底部搬送面23Bから突出する寸法が漸次大きくなるように構成されているので、非正規姿勢のワークW2が搬送路20上を上流から下流に移動すると、突出部23Cから上方側に向けて漸次規制を受ける。これにより、ワークWを連続的に搬送してもワークWの搬送を断続させないで、非正規姿勢のワークW2を滑らかに排出姿勢にすることができる。
【0036】
また、搬送路20に沿って角隅部23Dを構成する側部搬送面23A及び底部搬送面23Bを備え、突出部23Cが底部搬送面23Bの上方に形成されているので、正規姿勢のワークWを二面で支持することが可能となり、正規姿勢のワークW1の姿勢保持が安定的なものとなる。
また、突出部23Cが底部搬送面23Bの上方に形成されているので、正規姿勢のワークW1が突出部23Cの下方を通過する構成とすることができる。これにより、突出部23CがワークW1の搬送を妨げない。
従って、正規姿勢のワークW1の搬送を安定的なものとすることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、角隅部23Dをワーク搬送方向の上流から下流に向かって漸次下方に位置するように構成したが、これを漸次上方に位置するように、または、水平に構成してもよい。
【0038】
また、上述した実施の形態では、幅寸法と厚さ寸法とが同一のワークWを搬送する場合について説明したが、幅寸法と厚さ寸法とが異なる寸法のものについても適用することができる。この場合については、ワイパー部22の高さを幅寸法又は厚さ寸法よりも低く構成すれば、ワークWの姿勢を二つの状態に限定することができる。
【0039】
また、上述した実施の形態では、選別部24において切欠搬送面24Bを設ける構成としており、この切欠きの搬送路20の幅方向の寸法について特に言及はしていないが、これは、ワークWの長さや排出姿勢の角度等によって適宜設定される。なお、切欠搬送面24Bの幅寸法D2を、ワークWの長さ寸法の半分以下とすれば効率よくワークW2を排除することができる。
【符号の説明】
【0040】
20…搬送路
23…共通搬送部
23…選別部
23B…切欠搬送面(搬送面)
23C…突出部
23D…角隅部(他端)
24…選別部
24E…一端
A…ワーク供給装置
W…ワーク
W1…正規姿勢のワーク
W2…非正規姿勢のワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と短手方向とを有するワークを搬送路に沿って搬送し、前記ワークの長手方向が搬送方向に向けられた正規姿勢で搬送される前記ワークを選別して供給するワーク供給装置であって、
前記搬送路は、
前記正規姿勢のワークと前記短手方向が前記搬送方向に向けられた非正規姿勢のワークとを共に搬送可能な共通搬送部と、
前記正規姿勢のワークを搬送可能な幅に形成されているとともに、幅方向一端側が前記非正規姿勢のワークが脱落可能に開放された選別部とを備え、
前記共通搬送部は、
前記幅方向の一端側に向けて上方に傾斜している搬送面と、
前記搬送方向に沿って前記選別部との境界位置まで、前記幅方向の一端側で前記搬送面の上方に突出して形成され、前記ワークが前記正規姿勢である場合に前記搬送面に接した状態で搬送可能とするとともに、前記非正規姿勢である場合に前記ワークの前記長手方向一端側に下方から当接可能な位置に設けられた突出部とを有することを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記搬送路の上流から下流に向かうに従って、前記搬送面から突出する寸法が漸次大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク供給装置。
【請求項1】
長手方向と短手方向とを有するワークを搬送路に沿って搬送し、前記ワークの長手方向が搬送方向に向けられた正規姿勢で搬送される前記ワークを選別して供給するワーク供給装置であって、
前記搬送路は、
前記正規姿勢のワークと前記短手方向が前記搬送方向に向けられた非正規姿勢のワークとを共に搬送可能な共通搬送部と、
前記正規姿勢のワークを搬送可能な幅に形成されているとともに、幅方向一端側が前記非正規姿勢のワークが脱落可能に開放された選別部とを備え、
前記共通搬送部は、
前記幅方向の一端側に向けて上方に傾斜している搬送面と、
前記搬送方向に沿って前記選別部との境界位置まで、前記幅方向の一端側で前記搬送面の上方に突出して形成され、前記ワークが前記正規姿勢である場合に前記搬送面に接した状態で搬送可能とするとともに、前記非正規姿勢である場合に前記ワークの前記長手方向一端側に下方から当接可能な位置に設けられた突出部とを有することを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記搬送路の上流から下流に向かうに従って、前記搬送面から突出する寸法が漸次大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−213421(P2011−213421A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80432(P2010−80432)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
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