説明

ワーク検査装置のワーク位置決め方法、ワーク搬送パレット、環境試験装置および環境試験システム

【課題】ワーク搬送パレットに載せられて搬送されてくるワークを試験位置で位置決め固定できる環境試験装置を提供すること。
【解決手段】ワークは、ワーク搬送パレット20上において、ワーク押さえ部材30はバネ力によって位置決め板22へ押し付けられて固定されている。ワークが試験位置12まで搬送されてくると、ワーク位置決め機構50がパレット位置決めピン55、56をパレット位置決め貫通孔21b、21cに挿入して、ワーク搬送パレット20の位置決めを行う。また、ワーク押さえ部材位置決めピン57をワーク押さえ部材位置決め貫通孔32aに挿入して、ワーク押さえ部材30を位置決めする。この結果、バネ力による押し付け状態のいかんに拘らず、ワーク押さえ部材30によってワークが確実に位置決め板22に位置決め固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送パレットに載せられて搬送されてくる電子部品などのワークを、検査位置で位置決め固定することができるワーク検査装置のワーク位置決め方法およびそのようなワーク位置決め方法に用いるワーク搬送パレットに関する。また、そのようなワーク位置決め方法を用いた環境試験装置および環境試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ライン型環境試験装置は、温度や湿度が調整された各試験槽に電子基板などのワークを順次に搬入して、当該ワークに対して異なる条件で通電などの環境試験を行うものである。このようなライン型環境試験装置は、例えば、特許文献1に記載されており、ワークを載せたワーク搬送パレットを各試験槽へ搬入し、各試験槽内を搬送する間にワークを所定温度に到達させ、搬送路上の所定の通電試験位置で通電試験を行ったのち搬出して、次の試験槽へと搬送する。
【0003】
ここで、ワークはワーク搬送パレット上で位置決め固定された状態で搬送されてくる。また、通電試験は、ワーク搬送パレット上に位置決め固定されたワークに対して通電用端子を接触させて行なわれている。
【0004】
ワークを位置決め固定した状態で搬送するワーク搬送パレットとしては、パレット本体上に取り付けられた固定側部材と、この固定側部材に接近および離れる方向にスライドするワーク押さえ部材と、このワーク押さえ部材を固定側部材の側に向かって付勢するバネ部材とを有し、固定側部材とワーク押さえ部材との間に挿入したワークを、ワーク押さえ部材がバネ力によって固定側部材へ押し付けて位置決め固定するものがある。
【特許文献1】特開平9−197000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この構成のワーク搬送パレットでは、ワーク押さえ部材を押し付けるバネ部材の状態や、ワーク押さえ部材がスライドする際に摺接する他の部材との間で発生する摩擦によって、ワーク押さえ部材がワークを適切な力で押し付け固定できない場合がある。また、搬送の途中で、ワークを押し付けるバネ力が変化してしまう場合がある。これらの場合には、通電試験時までワーク搬送パレット上におけるワークの位置決め固定状態が維持されていないので、通電用端子とワークの通電部分との間の接触状態の信頼性が確保されない。その結果、通電試験の信頼性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ワーク搬送パレットに載せられて搬送されてくるワークを、検査位置で位置決め固定することが可能なワーク位置決め方法およびそのような位置決め方法に用いるワーク搬送パレットを提案することにある。また、そのような位置決め方法を用いた環境試験装置および環境試験システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明はワーク検査装置のワーク位置決め方法であって、ワーク搬送パレットに載せたワークに、スライド式のワーク押さえ部材をばね力によって押し付けることにより、当該ワークをワーク搬送パレット上に固定し、ワークが固定されたワーク搬送パレットを所定の搬送路に沿ってワーク検査位置まで搬送し、ワークの検査に先立って、ワーク検査位置に到ったワーク搬送パレットを、当該ワーク検査位置に配置されているパレット位置決め部材によって位置決め固定すると共に、当該ワーク搬送パレット上のワーク押さえ部材を、当該ワーク検査位置に配置されているワーク位置決め部材によって位置決め固定することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、検査に先立ってワーク搬送パレットの位置決めを行うと共に、ワーク搬送パレット上でワークを押さえ付けているワーク押さえ部材の位置決めを行う。従って、ワーク押さえ部材がワークを固定するバネ力が適切でない場合や、搬送途中にそのバネ力が変化してしまった場合でも、検査時には、ワークの位置決め固定が確実なものになる。この結果、例えば、ワークと検査機器などを正確に接触させることができるので、検査装置による検査の信頼性を確保できる。
【0009】
次に、本発明は、前記ワーク検査装置のワーク位置決め方法に用いるワーク搬送パレットであって、パレット本体板と、当該パレット本体板上の定まった位置に取り付けた固定側部材と、当該パレット本体上において前記固定側部材に対して接近および離れる方向にスライド可能なワーク押さえ部材と、当該ワーク押さえ部材を前記固定側部材に向けて付勢しているばね部材と、前記パレット位置決め部材を係合させるために、前記パレット本体板に形成されたパレット位置決め係合部と、前記ワーク位置決め部材を係合させるために、前記ワーク押さえ部材に形成されたワーク位置決め係合部とを有しており、前記固定側部材および前記ワーク押さえ部材の間に、前記ばね部材のばね力によって検査対象のワークが固定されるようになっていることを特徴とする。このようなワーク搬送パレットを用いれば、各位置決め用係合部を利用して、容易にワークの位置決め固定ができる。
【0010】
また、本発明は、前記ワーク検査装置のワーク位置決め方法により通電試験対象のワークの位置決めを行う環境試験装置であって、所定の温度条件の下でワークの通電試験を行う試験槽と、当該試験槽を経由する搬送路に沿って、ワークが搭載されたパレットを搬送するパレット搬送機構と、前記試験槽内の試験位置に配置され、前記ワークの通電部分に接触させて通電試験を行うために用いる通電用端子と、当該試験位置に前記パレットを位置決めするためのパレット位置決め部材と、当該試験位置に位置決め固定された前記パレットに搭載されている前記ワーク押さえ部材を位置決め固定するためのワーク位置決め部材とを有していることを特徴とする。
【0011】
本発明の環境試験装置によれば、試験位置においてワークが位置決め固定されるので、ワークと通電用端子とを正確に接触させることができる。ワークと通電用端子との接触状態の信頼性を確保できるので、環境試験装置による通電試験の信頼性を向上させることができる。
【0012】
次に、本発明は、前記環境試験装置のパレットとして、前記ワーク搬送パレットを用いた環境試験システムとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のワーク検査装置のワーク位置決め方法によれば、検査時には、ワークの位置決めが確実に行なわれている。従って、例えば、ワークと検査機器などを正確に接触させることができるので、検査装置による検査の信頼性を確保できる。
【0014】
また、本発明のワーク搬送パレットを用いれば、試験位置においてワークの位置決めを容易に行うことができる。
【0015】
さらに、本発明の環境試験装置および環境試験システムによれば、試験位置において、通電用端子とワークとの接触を正確に行うことができるので、通電試験の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明を適用した環境試験装置の実施の形態を説明する。図1は、本発明を適用したライン型環境試験装置を示す概略縦断面図である。
【0017】
(全体構成)
本実施の形態に係るライン型環境試験装置1は、温度や湿度が調整された試験槽5を備えた環境試験装置2、3を直列に連結したものである。電子基板などのワークをワーク搬送パレット20に載せて各試験槽5に順次に搬入して、当該ワークに対して異なる条件下での通電試験を行う。
【0018】
試験槽5は、断熱パネルで形成された直方体形状をしており、試験槽5の内部は冷却器および加熱器を備えた温度制御機構(不図示)によって所定の温度状態に保持されている。上流側の環境試験装置2の試験槽5は低温槽になっており、その上流には冷却槽へ搬入されるワークに結露が発生することを防止するための結露防止槽6が設けられている。下流側の環境試験装置3の試験槽5は高温槽となっており、その下流には試験槽5内で高温状態になったワークを冷却するための冷却槽7が設けられている。各試験槽5の搬入口8および搬出口9には、搬入、搬出されるワーク搬送パレット20がそこを通過するのに同期して開閉する搬入口シャッタ10、搬出口シャッタ11が設けられている。
【0019】
ここで、ライン型環境試験装置1は、各試験槽5内に設けられた試験位置12を経由するように水平に延びる搬送路15と、この搬送路15に沿ってワークを載せたワーク搬送パレット20を搬送するパレット搬送機構40を備えている。パレット搬送機構40は搬送路15に沿って平行に延びる一対の水平案内レール41、42を備えており、ワーク搬送パレット20を水平案内レール41、42上で間歇的にスライドさせて前進させる。
【0020】
試験槽5内に設けられた試験位置12には、搬送されてきたワークの位置決めを行うワーク位置決め機構50と、ワークと接触させる複数の通電用端子81を備えたプローブユニット80が配置されている。また、ワーク位置決め機構50およびプローブユニット80を昇降移動させる昇降用エアシリンダ53およびワーク搬送パレット20を位置決めする際に利用されるバックアップ用エアシリンダ60が配置されている。
【0021】
ワークは、ワーク搬送パレット20に載せられた状態で搬送路15の上流端に供給されて、環境試験装置2の試験槽5内へ搬入される。その後、試験槽5内を搬送される間に低温温度に到達させられて、試験位置12で停止する。試験位置12では、ワーク位置決め機構50によりワークの位置決めが行われ、しかる後に、ワークとプローブユニット80の通電用端子81とを接触させて通電試験が行なわれる。試験が終了すると試験槽5の他方の端に形成された搬出口9から搬出され、次の環境試験装置3の試験槽5内へ搬入される。同様にして、環境試験装置3では、高温状態における通電試験が行なわれる。
【0022】
(ワーク搬送パレット)
図2、図3を参照して、ワークを搬送するワーク搬送パレットを説明する。図2(a)はワーク搬送パレットの平面図であり、(b)は底面図である。その構成が分かるように、位置決め板とワーク押さえ部材との間隔を開けた状態で示してある。図3はワーク搬送パレット上にワークを位置決め固定する主要な構成を示す概略側面図である。本例において、ワークはコネクタ71を備えた平板状の電子基板70である。電子基板70は、そのコネクタ71を下にして直立した状態でワーク搬送パレット20に固定される。
【0023】
ワーク搬送パレット20は一定厚さの長方形のパレット本体板21を備えている。その表面部分には長手方向に延びる位置決め板(固定側部材)22が取り付けられている。位置決め板22の位置決め面22aには電子基板70のコネクタ71と係合する複数の突起23が形成されている。コネクタ71を位置決め面22aに当接させると、電子基板70の位置をワーク搬送パレット20上の長手方向および短手方向に位置決めすることができる。
【0024】
位置決め板22の長手方向の外側には、位置決め板22と直交する方向に平行に延びる一対のスライドガイド24、25が取り付けられている。これらのスライドガイド24、25には、ワーク押さえ部材30がこれらに沿ってスライド自在の状態で位置決め板22と平行に架け渡されている。
【0025】
ワーク押さえ部材30は長手方向に延びる腕部31と腕部31の中央部分から位置決め板22とは反対方向に延びる基部32を備える略T字形状の部材である。腕部31の両端部分には貫通口31a、31bが形成されている。この貫通口31a、31bにスライドガイド24、25をそれぞれ貫通させることにより、スライドガイド24、25に沿って位置決め板22に接近する方向および離れる方向に移動可能になっている。腕部31の両端部分の貫通口31a、31bよりも内側には、ワーク押さえ部材30を位置決め板22に向けて押し付けるコイルバネ28、29がそれぞれ取り付けられている。基部32にはワーク押さえ部材位置決め貫通孔(ワーク位置決め係合部)32aが形成されている。
【0026】
パレット本体板21には、位置決め板22に沿って矩形の通電開口21aが形成されている。通電開口21aの長手方向の外側には、パレット位置決め貫通孔(パレット位置決め係合部)21b、21cが形成されている。また、ワーク押さえ部材30のスライドに伴ってワーク押さえ部材位置決め貫通孔32aが通過する領域には、長孔21dが形成されている。
【0027】
ここで、電子基板70をワーク搬送パレット20上で位置決め固定する際には、図3(a)に示すように、エアシリンダなどを備えたアクチュエータによって、ワーク押さえ部材30をコイルバネ28、29の付勢力に抗して位置決め板22から離す方向へスライドさせる。次に、電子基板70を位置決め板22とワーク押さえ部材30との間へ挿入して、コネクタ71を位置決め面22aへ当接させる。
【0028】
この状態で、アクチュエータからワーク押さえ部材30を開放すると、図3(b)に示すように、ワーク押さえ部材30がコイルバネ28、29の付勢力によってスライドして、コネクタ71を位置決め板22に押し付ける。この結果、電子基板70はコネクタ71を下にして直立した状態で、ワーク搬送パレット20に位置決め固定される。電子基板70のコネクタ71は通電開口21aによって、ワーク搬送パレット20の下側に向けて開放された状態になる。
【0029】
(ワーク位置決め機構)
次に、試験槽5内を搬送されてきたワークを試験位置12で位置決めするワーク位置決め機構50を説明する。図4(a)、(b)は、ワーク位置決め機構50の正面図および左側面図である。水平案内レール41、42上を搬送されてきたワーク搬送パレット20と、位置決め動作を行う前の待機位置にあるワーク位置決め機構50との位置関係が分かるように示してある。図4(c)はワーク位置決め機構50を構成する昇降部材51の平面図である。
【0030】
ワーク位置決め機構50は、水平案内レール41、42の下側に配置された昇降部材51と、水平案内レール41、42の上側に配置されたバックアップ部材52とを有している。
【0031】
昇降部材51は、水平案内レール41、42を搬送されてくるワーク搬送パレット20と干渉しない待機位置で待機しており、通電試験時に昇降用エアシリンダ53によって試験位置12まで上昇する。昇降部材51は、表面が水平面のプレート部54と、このプレート部54から垂直方向に延びる2本のパレット位置決めピン(パレット位置決め部材)55、56と、ワーク押さえ部材位置決めピン(ワーク位置決め部材)57を有している。パレット位置決めピン55、56にはそれぞれ軸線方向に貫通するプローブユニット位置決め貫通孔55a、56aが設けられている。各ピンの先端部分は、先細り形状となっており、位置ずれを修正しながら対応する各貫通孔へ差し込み可能である。
【0032】
バックアップ部材52は垂直に延びる2本の角柱58、59を有している。これら角柱58、59は、バックアップ用エアシリンダ60によって支持されている。水平案内レール41、42を搬送されてくるワーク搬送パレット20およびそこに固定された電子基板70と干渉しない位置に配置されており、各角柱58、59の底面58a、59aは水平面となっている。
【0033】
電子基板70を載せたワーク搬送パレット20が試験位置12に停止すると、昇降部材51が垂直に上昇して、パレット位置決めピン55、56をワーク搬送パレット20のパレット位置決め貫通孔21b、21cに挿入する。また、ワーク押さえ部材位置決めピン57を、ワーク搬送パレット20の長孔21dを介してワーク押さえ部材30のワーク押さえ部材位置決め貫通孔32aに挿入する。さらに、プレート部54の表面がワーク搬送パレット20のパレット本体板21の底面部分に当接してワーク搬送パレット20を水平案内レール41、42から僅かに持ち上げ、パレット本体板21の表面部分をバックアップ部材52の角柱58、59の底面58a、59aに当接させて固定する。なお、バックアップ部材52を昇降部材51の上昇と同期するように下降させて、パレット本体板21を固定することもできる。
【0034】
(プローブユニット)
図5はプローブユニット80の正面図および左側面図である。プローブユニット80は水平案内レール41、42の下側の待機位置で待機しており、昇降用エアシリンダ53によって、試験位置12まで上昇するようになっている。複数の通電用端子81と、これらの通電用端子81を固定する複数の非導電性のブロック82と、ブロック82を固定している横長のプレート部材83とを備えている。各通電用端子81の先端部分はワークに接触する部分であり、弾性的に進退可能になっている。基端側はブロック82に形成された固定孔に圧入されており、基端部分は配線されて不図示の試験装置に接続されている。
【0035】
ブロック82はプレート部材83の長手方向に一列に固定されており、これらのブロック82の長手方向の外側には、プレート部材83から垂直方向に延びるプローブユニット位置決めピン84、85が取り付けられている。
【0036】
(ワークの位置決め動作および通電試験動作)
次に、ワーク位置決め動作および通電試験動作を説明する。図6は、パレット位置決め貫通孔21bを通過する縦断面図であり、試験位置12においてワークが位置決め固定された状態を示している。
【0037】
電子基板70を載せたワーク搬送パレット20が試験位置12で停止すると、水平案内レール41、42の下側で待機していた昇降部材51が上昇する。
【0038】
昇降部材51は、上述したとおり、上昇時にパレット位置決めピン55、56をパレット位置決め貫通孔21b、21cに挿入する。また、ワーク押さえ部材位置決めピン57をワーク押さえ部材位置決め貫通孔32aに挿入する。さらに、ワーク搬送パレット20を水平案内レール41、42から僅かに持ち上げて、バックアップ部材52との間で挟み込む。
【0039】
これらの動作によって、図6に示す状態になる。すなわち、ワーク搬送パレット20が昇降部材51とバックアップ部材52との間で垂直方向に位置決め固定されるのに伴って、パレット位置決めピン55、56とパレット位置決め貫通孔21b、21cとが係合する。これにより、ワーク搬送パレット20が試験位置12に位置決めされる。同時に、ワーク押さえ部材位置決めピン57とワーク押さえ部材位置決め貫通孔32aとが係合するので、ワーク押さえ部材30が位置決めされる。すなわち、ワーク押さえ部材位置決めピン57をワーク押さえ部材位置決め貫通孔32aへ差し込むと、バネ力による押し付け状態のいかんに拘らず、ワーク押さえ部材30によって電子基板70が確実に位置決め板22に押し付けられる。この結果、コネクタ71に通電用端子81を確実に接触させることができる位置に電子基板70を位置決めすることができる。
【0040】
その後、水平案内レール41、42の下側で待機していたプローブユニット80が上昇する。プローブユニット80はプローブユニット位置決めピン84、85を昇降部材51のプローブユニット位置決め貫通孔55a、56aに挿入して、プローブユニット80と電子基板70との相対位置を位置決めする。続いて、電子基板70のコネクタ71と各通電用端子81の先端部分とを圧接させて、通電試験を行う。
【0041】
通電試験が終了すると、プローブユニット80は下降して、水平案内レール41、42の下方の待機位置へ戻る。また、昇降部材51が下降して、電子基板70を載せたワーク搬送パレット20を水平案内レール41、42上に戻す。
【0042】
水平案内レール41、42上に戻されたワーク搬送パレット20は、パレット搬送機構40によって搬送される。通電試験が終了してワーク搬送パレット20が搬出口9から搬出されると、次の試験槽5に搬入されて、異なる温度条件下で同様の通電試験が行なわれる。
【0043】
(パレット搬送機構)
なお、このようなワーク搬送パレット20を搬送するパレット搬送機構40の例を、図7を参照して、説明する。(a)はワーク搬送パレットが水平案内レール41、42上で停止している状態であり、(b)はワーク搬送パレットが一括して搬送される状態である。
【0044】
パレット搬送機構40は、搬送路15に沿ってワーク搬送パレット20を搬送するために平行に配置された一対の水平案内レール41、42を備えている。ワーク搬送パレット20はその長手方向の両端部が水平案内レール41、42に載せられている。なお、ワーク搬送パレット20の表面側の両端部分には、パレット本体板21から垂直方向に延びる係合突起26、27が取り付けられる。
【0045】
一対の水平案内レール41、42の外側には、複数の送りピン43が同一のピッチで取り付けられた一対の搬送シャフト44、45が設けられている。搬送シャフト44、45は、軸受部材46により、前後方向にスライド自在、且つその中心軸線を中心として回転自在に支持されている。また、搬送シャフト44、45は、下流側の環境試験装置3の試験槽5の下流に配置された送り用エアシリンダ47によって前後方向に往復移動可能であり、また、左右の回転用エアシリンダ48によって回転可能である。
【0046】
パレット搬送機構40は、各送りピン43が水平案内レール41、42の内側へ水平に倒れるように搬送シャフト44、45を所定の角度だけ回転させ、送りピン43をワーク搬送パレット20の係合突起26、27に係合させる。この状態で、搬送シャフト44、45を矢印方向の前方へ1ピッチ分送り出すことによって、ワーク搬送パレット20を1ピッチ分搬送する。ワーク搬送パレット20を搬送した後は、パレット搬送機構40は搬送シャフト44、45を回転させて送りピン43と係合突起26、27との係合を解除して、搬送シャフト44、45を1ピッチ分戻す。かかる動作を繰り返して行うことにより、水平案内レール41、42上にある各ワーク搬送パレット20を1ピッチずつ間欠的に一括して搬送する。
【0047】
以上、本例によれば、試験位置12で電子基板70の位置決め固定が行なわれる。この結果、通電用端子81と電子基板70のコネクタ71とを正確に接触させることができるので、それらの接触状態の信頼性が確保され、通電試験の信頼性を向上させることができる。
【0048】
また、ワーク搬送パレット20は、パレット位置決め貫通孔21b、21cおよびワーク押さえ部材位置決め貫通孔32aを備えているので、これらの貫通孔にそれぞれパレット位置決めピン55、56とワーク押さえ部材位置決めピン57とを係合させるという簡単な動作で、試験位置12におけるワークの位置決め固定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明を適用したライン型環境試験装置を示す概略縦断面図である。
【図2】ワーク搬送パレットの説明図である。(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【図3】ワーク搬送パレット上にワークを位置決め固定する主要な構成を示す概略側面図である。(a)はワークをワーク搬送パレットに固定する直前の状態である。(b)はワーク搬送パレット上に位置決め固定した状態である。
【図4】ワーク位置決め機構を説明するための説明図である。(a)、(b)はワーク位置決め機構の正面図および左側面図である。(c)はワーク位置決め機構の昇降部材の平面図である。
【図5】(a)はプローブユニットの正面図である。(b)は側面図である。
【図6】ワークが試験位置で位置決め固定された状態を示す断面図である。
【図7】パレット搬送機構の例を示す説明図である。(a)はワーク搬送パレットが搬送路上で停止している状態である。(b)はワーク搬送パレットが一括して搬送される状態である。
【符号の説明】
【0050】
1 ライン型環境試験装置
2、3 環境試験装置
5 試験槽
8 搬入口
9 搬出口
12 試験位置(検査位置)
15 搬送路
20 ワーク搬送パレット
21 パレット本体板(パレット本体板)
21b、21c パレット位置決め貫通孔(パレット位置決め係合部)
21d 長孔
22 位置決め板(固定側部材)
26、27 係合突起
28、29 コイルバネ
30 ワーク押さえ部材
32a ワーク押さえ部材位置決め貫通孔(ワーク位置決め係合部)
40 パレット搬送機構
41、42 水平案内レール
43 送りピン
44、45 搬送シャフト
47 送り用エアシリンダ
48 回転用エアシリンダ
50 ワーク位置決め機構
51 昇降部材
52 バックアップ部材
53 昇降用エアシリンダ
54 プレート部
55、56 パレット位置決めピン(パレット位置決め部材)
55a、56a プローブユニット位置決め貫通孔
57 ワーク押さえ部材位置決めピン(ワーク位置決め部材)
58、59 角柱
60 バックアップ用エアシリンダ
70 電子基板
71 コネクタ
80 プローブユニット
81 通電用端子
84、85 プローブユニット位置決め用ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク搬送パレットに載せたワークに、スライド式のワーク押さえ部材をばね力によって押し付けることにより、当該ワークをワーク搬送パレット上に固定し、
ワークが固定されたワーク搬送パレットを所定の搬送路に沿ってワーク検査位置まで搬送し、
ワークの検査に先立って、ワーク検査位置に到ったワーク搬送パレットを、当該ワーク検査位置に配置されているパレット位置決め部材によって位置決め固定すると共に、当該ワーク搬送パレット上のワーク押さえ部材を、当該ワーク検査位置に配置されているワーク位置決め部材によって位置決め固定することを特徴とするワーク検査装置のワーク位置決め方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法に用いるワーク搬送パレットであって、
パレット本体板と、
当該パレット本体板上の定まった位置に取り付けた固定側部材と、
当該パレット本体上において前記固定側部材に対して接近および離れる方向にスライド可能なワーク押さえ部材と、
当該ワーク押さえ部材を前記固定側部材に向けて付勢しているばね部材と、
前記パレット位置決め部材を係合させるために、前記パレット本体板に形成されたパレット位置決め係合部と、
前記ワーク位置決め部材を係合させるために、前記ワーク押さえ部材に形成されたワーク位置決め係合部とを有しており、
前記固定側部材および前記ワーク押さえ部材の間に、前記ばね部材のばね力によって検査対象のワークが固定されるようになっていることを特徴とするワーク搬送パレット。
【請求項3】
請求項1に記載の方法により通電試験対象のワークの位置決めを行う環境試験装置であって、
所定の温度条件の下でワークの通電試験を行う試験槽と、
当該試験槽を経由する搬送路に沿って、ワークが搭載されたパレットを搬送するパレット搬送機構と、
前記試験槽内の試験位置に配置され、前記ワークの通電部分に接触させて通電試験を行うために用いる通電用端子と、
当該試験位置に前記パレットを位置決めするためのパレット位置決め部材と、
当該試験位置に位置決め固定された前記パレットに搭載されている前記ワーク押さえ部材を位置決め固定するためのワーク位置決め部材とを有していることを特徴とする環境試験装置。
【請求項4】
請求項2に記載のワーク搬送パレットと、
請求項3に記載の環境試験装置とを有していることを特徴とする環境試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−230731(P2008−230731A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69737(P2007−69737)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】