説明

一つの仕入れ単位を小分けして活用する商品の在庫管理システム

【課題】 店舗間で流用できる余剰在庫を効率的に移送し、過剰仕入れの防止と有効期限切れ商品を低減できる。
【解決手段】 サーバー(10)に店舗端末(20,30)間で移送可能な在庫を余剰在庫として余剰在庫ファイル(13)に記録し、不足品目の移送に際して各店舗端末(20,30)がこの余剰在庫を自由に呼び出し参照確認できる。その登録から、移送依頼および移送伝票処理まで、すべてインターネット(40)を介して電子的に実施できる。サーバー(10)は移送の結果における余剰在庫の自動引落し、更に発注点割れに際しての自動発注ができる。店舗端末(20)は、設備投資およびランニングコストの低減のため、インターネット(40)に接続し電子メールの可能な携帯電話とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一つの仕入れ単位を小分けして活用する商品の在庫データを店舗別に有する在庫管理側情報処理装置(以後、サーバー)とこの在庫データから余剰を見極めて不足品目を調達する複数の店舗側情報処理端末(以後、店舗端末)とがインターネットに接続してグループを構成する在庫管理システムに関し、特に流通単位である包装単位が大きい一方、販売単位が小さいため、包装単位の商品品目の余剰分を短期間に有効に活用して消化することができる在庫管理システムに関する。
【0002】一つの仕入れ単位を小分けして活用する商品には、例えば薬剤がある。すなわち、本発明は、特に、グループ調剤薬局における自店舗の余剰在庫を有効にグループ調剤店舗間で調達しあう在庫管理システムに関する。
【0003】調剤薬局は処方箋に基づき処方を行うが、これは1錠もしくは「mg」単位の処方となる。ところが通常薬剤は1商品に100錠または1000錠とまとまった単位で包装されており、仕入れも商品毎にその包装単位で行われる。当然、調剤薬局が欲しい仕入れ単位は5〜10錠の処方単位であるが、包装されているためにその単位で仕入れることは不可能である。仮に、ある調剤薬局の店舗で1000錠包装の薬剤が緊急で10錠必要となったとすると、1000錠包装の商品を1つ仕入れ、残りの990錠は余剰在庫となってしまう。
【0004】また、薬剤には、有効期限があり、その期間内で消化する必要がある。以上の理由から、グループ調剤薬局では、仕入れた薬剤の余剰分をグループ間で小分けし、活用することとなる。
【0005】
【従来の技術】従来、この種の在庫管理システムでは、例えば図10に示されるように、商品の在庫データを店舗別に有する在庫管理側情報処理装置として管理側コンピュータ110と、この在庫データから余剰を見極めて不足品目を調達する複数の店舗それぞれに備えられる店舗側情報処理端末となる店舗側コンピュータ120とがインターネット130に接続してグループを構成している。
【0006】管理側コンピュータ110は、受信部111、経緯データ更新部112、経緯データおよび店舗別在庫データを記録格納する記憶部113、記憶部検索部114、および送信部115を備えている。店舗側コンピュータ120は、入力部121、経緯データ更新部122、経緯データ格納部123、送信部124、受信部125、および表示部126を備えている。
【0007】このような構成を有する従来のグループ調剤薬局における在庫管理システムはつぎのように動作する。
【0008】すなわち、店舗側コンピュータ120において、まず、入力部121が店舗取扱品の入庫数量と消化数量との入力を受付けする。経緯データ更新部122は、入力部121に入力された変化情報データに基づいて、経緯データ格納部123に記憶されている経緯データを更新している。送信部124はインターネットを介して、入力部121から入力された変化情報データを送信する。
【0009】また、店舗在庫切れ品目に対して、他店舗在庫状況の問合せのため、入力部121がこの品目のコードを入力し、送信部124が入力部121より入力された品目コードを検索品目情報としてインターネット130に送信する。その後、受信部125が、管理側コンピュータ110の検索結果を受信した際には、この検索結果を表示部126に表示する。
【0010】一方、管理側コンピュータ110においては、受信部111が店舗側コンピュータ120からインターネット130に送信された変化情報データを受信する。経緯データ更新部112は、受信部111が受信した変化情報データに基づいて記憶部113に記憶されている品目毎の経緯データを更新している。また、受信部111が店舗側コンピュータ120からインターネット130に送信された検索品目情報のデータを受信した際には、記憶部検索部114が記憶部113に記憶されている店舗別の在庫データから品目毎の在庫データを検索して取り出し、送信部115が検索要求元の店舗側コンピュータ120へこの検索結果データを送信する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の在庫管理システムでは、次のような問題点がある。
【0012】第1の問題点は、在庫状況の問合せで得た余剰在庫情報に基づく在庫品目の移送処理がタイムリー性に欠け、移送の通達および移送結果の在庫管理が非効率なことである。
【0013】その理由は、在庫状況の問合せで得た余剰在庫情報に基づく在庫品目の移送処理がインターネット経由ではなく、例えば電話などの通信手段であり、かつ移送の結果を所定の手段、例えば各店舗で自己店舗の取扱い品目の入庫および消化を変化情報として自己の在庫データを変更する手間をかけているからである。
【0014】すなわち、従来の在庫管理システムでは、単に、依頼元である店舗側コンピュータにおいて店舗在庫品切れ品が、現在どこの店舗に在庫があるかを問合せするものであって、在庫の移送に関する依頼を電子的に行うものではない。また、商品名の入力においては、我が国の共通商品コードとして流通情報システムで用いられているJAN(Japanese Article Number) コードが用いられている。JANコードは、欧米規格と同一のソースマーキング用の13桁バーコード入力が標準であるため、各店舗では、バーコード台帳、もしくは、それに代わるものが必要となる。JANコードにはこの標準タイプ以外に8桁の短縮タイプがあるがこの入力にもバーコードリーダーを欠かすことはできない。
【0015】本発明の課題は、このような問題点を解決し、包装単位である医薬品流通単位と処方単位との相違より生じる余剰分を余剰在庫としてグループ調剤薬局間で公開し、短期間に消化させることが可能になるとともに、商品名入力および情報・データの授受を簡便にできる在庫管理システムを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明による在庫管理システムは、一つの仕入れ単位を小分けして活用する商品の在庫データを店舗別に有する在庫管理側である情報処理装置(以後、サーバー)とこの在庫データから余剰を見極めて不足品目を調達する複数の店舗それぞれに備えられる情報処理端末(以後、店舗端末)とがインターネットに接続してグループを構成するシステムに関するものである。
【0017】本発明による上記サーバーは、前記店舗相互に流用できる在庫を余剰在庫として各前記店舗ごとで上記商品の品目毎に予め登録してあり、一つの前記店舗端末から品目名により余剰在庫問合せを受けた際には、登録されている該当品目の余剰在庫を有する店舗における余剰在庫情報を、問合せ元の店舗端末へ送信し、一つの前記店舗端末から所定の品目データにより移送依頼を受付けした際にはこの移送依頼を移送元の店舗端末へ送信し、前記移送元の店舗端末から移送済み確認の通知を受けた際には前記余剰在庫の数量を更新することを特徴としている。
【0018】また、本発明による上記店舗端末は、一方の移送依頼元店舗端末では、追加調達を必要とした前記商品品目の問合せ入力を受付けした際には前記余剰在庫問合せを前記サーバーに送信し、これに対する余剰在庫データを前記サーバーから受けた際には受けたデータを画面表示し、この表示データで品目に対する数量の入力を受けた際には商品の移送を依頼する店舗を指定して移送依頼を前記サーバーに送信し、他方の商品移送元店舗端末では、前記サーバーから移送依頼を受けてこの依頼品目の出庫を確認した入力を受付けた際にはこの移送済み確認通知を前記サーバーに送信することを特徴としている。
【0019】上述したような構成によれば、各店舗が、自己店舗に商品の品不足または品切れが生じた場合には余剰在庫の検索を、また移送の依頼および移送の結果を、それぞれインターネットを介し管理側であるサーバーに対して送信し、特に、依頼先の店舗に対する移送依頼に必要な事項はサーバーを介して送信しているので、サーバーの記憶部でファイルにタイムリーに保存することができる。従って、在庫状況の問合せで得た余剰在庫情報に基づく在庫品目の移送依頼および移送結果に対するサーバーへの通達処理がタイムリーである。
【0020】また、上記店舗端末はインターネットに接続し電子メールを可能とする携帯電話であることが望ましい。この結果、店舗端末では店員が携帯電話により呼び出されるので、移送の依頼通達など、通達が速効的である。更に、携帯電話に入力する品目名は略称とし、かつ、上記サーバーは前記略称を正式品名に変換するファイルを有することにより、13桁ものバーコードとは異なる品目指定入力が容易になり、品名の入力に熟練を不要としている。
【0021】また、上記サーバーは、更新された余剰在庫の数量が所定の発注点を割込んだ場合には該当品目の所定数量を自動的に発注し、かつ、納品を受けた際には納入量に基づいて余剰在庫量を所定式により計算して余剰在庫の登録を更新することができる。このため、人手をかけることがない。
【0022】また、上記サーバーと上記店舗端末との間の通信は、少なくとも前記移送依頼および前記移送済み確認通知を電子メールで行なうことができる。この結果、情報の伝達が相手の応答を待つことなしにできるので効率的である。他方、店舗端末が携帯電話の場合には、呼出しベルにより応答を促すことができる。
【0023】また、サーバーは、各店舗顛末から入力される依頼データにより、移送依頼の送信、余剰在庫データの更新などを自動化できる。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】図1は本発明の実施の一形態を示す機能ブロック図である。図2は図1で示すことができなかった店舗端末30の詳細を示す。図1および図2では、本発明に関する部分のみの機能ブロックが示されている。
【0026】図1に示された在庫管理システムでは、商品の余剰在庫データを店舗別に有する在庫管理側情報処理装置となるサーバーコンピュータ10と、この余剰在庫データから不足品目を調達する複数の店舗それぞれに対応する情報処理端末となる店舗端末20,30とが、電子メールシステム41を含むインターネット40に接続してグループを構成している。また、店舗端末20は、インターネットを介して電子メールが可能な、システムの構成用品を簡便化して各店舗に供給される携帯電話である。店舗端末30はグループ内の管理者が店舗間の移送、各店舗の注文などを管理するための一つのクライアントコンピュータである。クライアントコンピュータはサーバーコンピュータ10が代用してもよい。また、コンピュータによる店舗端末30は複数であってもよい。
【0027】ここで、店舗相互に流用できる在庫を余剰在庫と定義し、他店舗への移送可能量が余剰在庫量のデータとしてファイル保存され、各店舗へ公開されるものである。
【0028】サーバーコンピュータ(以後、サーバー)10は、入出力装置、記憶装置およびプロセッサを備え、プログラムにより所定の機能を発揮するものであって、余剰在庫登録部11および記憶部12を備えている。記憶部12には、余剰在庫フェイル13、余剰在庫略名索引ファイル14、店舗間移送履歴ファイル15および注文ファイル16が備えられている。店舗端末20は軽便小形であり、余剰在庫問合部21、表示部22、移送依頼部23、移送依頼受付部24、および依頼品出庫部25を備えている。また、店舗端末30は、携帯電話の店舗端末20に対して表示画面、記憶容量などが大きく、店舗間の移送状態を確認するため、図2に示されるように、店舗端末20の構成要素の加えて店舗間移送確認部31および注文確認部32を更に備えている。
【0029】サーバー10の余剰在庫登録部11は、使用単位と比べて大幅に多量な一つの仕入れ単位の品目の納入があった際、すなわち薬局での処方単位が5〜10錠にも拘わらず仕入れの包装単位が100錠または1000錠と纏まっている場合、小分けして活用する商品の上述した余剰在庫量を計算し、各店舗の余剰在庫として余剰在庫ファイル13に登録する。この登録内容は少なくともグループ内で公開されるので、自店舗と他店舗との余剰在庫の確認に利用される。
【0030】記憶部12の余剰在庫ファイル13は、上述したような他店舗へ移送可能な数量を余剰在庫として各店舗毎、各品目毎に登録しており、更に、毎日の各店舗間の移送依頼情報を記録している。余剰在庫略名索引ファイル14は、携帯電話の店舗端末20から品名入力の際に表示部22の表示容量が少ないため入力された略名を、例えば一般のPOS(販売時点情報管理)システムで用いられるJANコードで示される商品名に変換するファイルである。これは店舗がクライアントコンピュータを備えて商品名をバーコードリーダーなどで入力できる場合には利用の必要がない。店舗間移送履歴ファイル15は店舗間移送履歴データを記録している。この記録データは余剰在庫量を計算する際に用いられる。注文ファイル16は余剰在庫が商品の移送により発注点である所定の残量を割った際に自動生成して発行した注文データを記録している。
【0031】これらの構成要素を用いたサーバー10の主要機能の発揮手順は後にチャートを参照して説明する。
【0032】次に、店舗端末20の余剰在庫問合部21は、不足品目の商品名により余剰在庫量を知るため店員から入力されたデータに基づいてサーバー10に余剰在庫を問い合わせ、その結果を受け取る。表示部22は、店員からの入力、例えば所望品目の略名を表示する一方、サーバー10からの受信情報、例えば余剰在庫情報を画面表示する。店員が店舗端末20で表示部22の画面表示に基づいてで自店舗における不足または品切れの品目数量について入力する。
【0033】移送依頼部23は、店員から入力された品目数量について、余剰在庫のある他店舗へ移送依頼する際に、各店舗で予め定められた優先順位の依頼先店舗から順次、自動的に依頼数量を算出して対象となる品目の移送依頼データを作成し、移送予約在庫としてサーバー10に送信する。サーバー10はこれを記憶部12の余剰在庫ファイル13に登録すると同時に自動的に移送元となる依頼先の店舗端末へ電子メールにより送信する。
【0034】一方、移送依頼受付部24は、依頼元である移送先からの移送依頼を移送元として電子メールで受取るために使用される。移送依頼には、移送先、移送品目、移送数量が含まれている。依頼品出庫部25は、移送元から移送先への該当依頼品目の出庫が行われた際に、出庫情報をサーバー10へ送信して記憶部12へ登録する。この出庫情報によりサーバー10は、出庫による余剰在庫の引落しと、発注点割れを点検し、発注点割れしている品目を自動的に発注する。
【0035】ここで、発注点割れは、例えば、あらかじめ発注点を登録しておき余剰在庫の残数量がこれを割ったとき、または、1日当り平均の余剰在庫引落し量を機械的に計算し、余剰在庫の残数量がこれを割ったときに認識されるものとする。
【0036】このときの発注量は、例えば卸からの納入データによる前回納入数量をとる。余剰在庫に登録される品目は、上述したように、卸の流通単位である包装単位入り数と店舗の処方による消費量との差が大きい品目である。また、卸に注文した場合、通常、そのリードタイムは1日未満であるので、上述した方法で十分であると考えられる。
【0037】図2に示される店舗端末30の店舗間移送確認部31は、インターネット40を介して、グループ調剤薬局間において行われた移送について、移送の管理者がサーバー10の店舗間移送履歴ファイル15から呼び出した過去二ヶ月間に対する移送内容、例えば、移送元店舗、移送先店舗、移送品目,移送品目単価、移送数量、移送金額、移送依頼日、移送日等を、表示部22に画面表示することにより管理者に提供する。この二ヶ月の期間は固定したものではなく、商品により適切な期間が選択される。
【0038】注文確認部32は、上記店舗間移送確認部31と同様、各薬局に対する発注状況について、管理者がサーバー10の注文ファイル16から呼び出した自動注文データを、表示部22に画面表示することにより注文の管理者に提供する。
【0039】次に、図1、図3および図5を併せ参照して店舗端末20が余剰在庫を問合せ不足商品の移送を依頼するまでの一手順について説明する。
【0040】まず、図3における主要手順では、サーバー10の余剰在庫ファイル13に各店舗ごとの所定の各品目における上述した余剰在庫量が登録(手順S1)されているものとする。依頼元となる店舗端末20−Rは、店員から不足品目とその余剰在庫問合せとの入力を受付けして、これをサーバー10へ送信(手順S2)する。サーバー10は受信した品目の余剰在庫データを余剰在庫ファイル13から索引して問合せ元の店舗端末20−Rへ送信(手順S3)する。店舗端末20−Rは、受付けた余剰在庫データを画面表示(手順S4)するので、店員から移送依頼のデータ入力を受付け(手順S5)し、かつ内容の確定した移送依頼データをサーバー10へ送信(手順S6)する。
【0041】この店舗端末20−Rにおける手順を、図5R>5を参照してより詳細に説明する。
【0042】店舗端末20が携帯電話のような軽量小型の場合、余剰在庫問合せ部21は、所望する品目を略名入力で受付け(手順S21)して余剰在庫問合せデータを形成しサーバー10へ送信(手順S22)し、サーバー10から返信される余剰在庫データの受信(手順S23)を待つ。
【0043】手順S23が「YES」でサーバー10から余剰在庫データを受信した際、余剰在庫問合せ部21は、受信データを受付けして表示部22に画面表示(手順S24)する。画面を見て店員が所要品目を確認してその品目を選択しその品目の数量を入力(手順S25)する。更に表示内容の確定を入力した際には移送依頼部23がこれを受付け(手順S26のYES)する。次いで、移送依頼部23は、上述したように余剰在庫を有し移送元となり得る店舗を、所定の優先順位により自動的に選択してそれぞれの店舗に対する移送数量を算出(手順S27)し、これらデータを移送依頼データとしてサーバー10に送信(手順S28)する。
【0044】上述した手順は、例えば、インターネット40上にサーバー10が開設するホームページをまず呼出し、この画面からリンク先の画面を呼び出して必要事項を入力することにより容易に実現する。
【0045】次に、図1、図3、および図6を併せ参照してサーバー10が店舗端末20−Rから余剰在庫問合せを受ける手順、および店舗端末20−Rから移送依頼を受けて移送元店舗端末20−Sへ移送を依頼する手順について説明する。
【0046】図2に戻り、サーバー10では、依頼元店舗端末20−Rから上記手順S6で送信された移送依頼データを受付けした際には、これを、余剰在庫ファイル13に記録(手順7)すると共に移送元となる依頼先店舗端末20−Sそれぞれへ電子メールで送信(手順S8)する。依頼先店舗端末20−Sには、この移送依頼データが着信(手順S9)する。携帯電話の場合には着信音の鳴動により応答が促され、かつ、その後の出庫処理が促される。
【0047】図6を参照すれば、図3の上記手順S3におけるサーバー10は、依頼元店舗端末20−Rから余剰在庫問合せを受付けした際(手順S31)に余剰在庫ファイル13から余剰在庫データを索引して問合わせ元の店舗端末20−Rへ送信(手順S32)する。
【0048】次いで、サーバー10は、移送依頼データを移送依頼先店舗端末20−Rから受付け(手順S33のYES)するのでこれを余剰在庫ファイル13に格納(手順S34)すると共に余剰在庫ファイル13における記録の当日移送予定データを移送依頼データとして移送元店舗端末20−Sへ送信(手順S35)する。
【0049】サーバー10から店舗端末20への通信は、電子メールを利用するとよい。すなわち、上述したように、特に店舗端末20が携帯電話の場合には、通常、着信により直ちに呼び出すことができるからである。
【0050】次に、図1、図4、および図6を併せ参照して移送元店舗端末20−Sにおける移送品目の移送依頼受付けおよび依頼品出庫の一手順とサーバー10における自動発注および余剰在庫量計算の一手順について説明する。
【0051】まず、図1および図4において、移送元店舗端末20−Sでは、移送依頼受付部24が移送依頼をサーバー10から受付けし表示部22に当日移送予定データを移送依頼データとして画面表示する。従って、この店舗は移送依頼品を移送先店舗へ出庫する。依頼品出庫部25は、店員から出庫通知の入力を受付け(手順S11)し、このデータに基づいて移送済み確認通知をサーバー10へ送信(手順S12)する。
【0052】次いで、サーバー10は、受けた移送済み確認通知を店舗間移送履歴ファイル14に記録(手順S13)し、余剰在庫ファイル13の対象品目数量を引き落とすことにより更新し、先に記録した移送依頼データを削除(手順S14)する。この際、余剰在庫の発注点割れを調査(手順S15)して発注点割れを生じた場合には、サーバー10は所定の手順で自動発注処理(手順S16)する。
【0053】発注の結果、商品が納入された際には、納入のあった店舗の店員から納品情報が入力される。サーバー10は、この納品情報により納入量の入力を受付け(手順S17)するので、例えば、移送して商品を引き落とされた店舗に対する余剰在庫量を計算して余剰在庫ファイル13に登録する。
【0054】図1および図5を参照して、より詳細を説明すれば、移送済み確認通知を移送元店舗端末20−Sから受付け(手順S36のYES)した際には、サーバー10は、この受付けデータを店舗間移送履歴ファイル15に記録により格納(手順S37)する。一方、サーバー10は、余剰在庫ファイル13で、移送分の在庫数量を引き去ることにより更新(手順S38)し、上述した発注点割れを点検(手順S39)する。
【0055】この手順S39が「NO」で発注点割れがなければ手順はここで終了する。
【0056】上記手順S39が「YES」で発注点割れがあった場合、図7に示される自動注文処理手順S40へ進む。
【0057】次に、図1に図7を併せ参照してサーバー10における自動注文処理の一手順について説明する。
【0058】サーバー10が発注点割れの品目を検出(手順S41)した際には、所定数量により注文データを作成し注文ファイル16に記録格納(手順S42)すると共にこの注文データを発注データとして各仕入先に送信(手順S43)することにより発注する。仕入れ先から納品があった際には、サーバー10は納品データの入力を受付け(手順S44)するので、次の所定の余剰在庫ファイル登録手順S45に進む。
【0059】次に、図1に図8を併せ参照してサーバー10の余剰在庫登録処理の一手順について説明する。
【0060】サーバー10では、納品数量を受付け(手順S51)した際に、余剰在庫登録部11が、店舗間移送履歴ファイル14の記録データから納品された店舗に対して1日の平均消費量「A」を算出(手順S52)すると共に、平均納品間隔日数「C」を算出(手順S53)する。次いで、サーバー10は、次回発注までの予測消費量を計算値「A×C」として算出(手順S54)し、今回納入量から予測消費量「A×C」を差し引いた値をこの店舗の余剰在庫量として余剰在庫ファイル13に登録(手順S55)している。
【0061】ここで、移送元店舗20−Sにおける月別の消費量は、上記納入受け量と在庫追加量との和から、現在の他店舗へ移送可能な余剰在庫量と移送して引き落とされた量との和を、差し引いたものである。
【0062】また、1日の平均予測消費量「A」は、当月直近3ヶ月間の消費量「a」と前年同時期の3ヶ月間の消費量「b」との比率と、前年の当月対応消費量「b1」とから当月予測消費量「a1=b1×a/b」を求め、1ヶ月を30日とする計算式「A=a1/30」から求められる。前年同時期の3ヶ月間の消費量「b」が「零」の場合には、当月直近3ヶ月間の月別消費量により、最小二乗法を用いて1ヶ月分の当月予想消費量「a1」を求めることとする。
【0063】また、平均納品間隔日数「C」は、当月直近3ヶ月間の納入受け回数「c」から3ヶ月を91日とする計算式「C=91/c」により求められる。従って、次回発注までの予測消費量「A×C」が算出される。
【0064】他方、移送先店舗20−Rにおける当月の1日平均余剰在庫の予測消費量「D」も上記平均予測消費量「A」と同様に求められる。すなわち、1日の平均予測消費量「D」は、当月直近3ヶ月間の余剰在庫消費量「d」と前年同時期の3ヶ月間の消費量「e」との比率と、前年の当月対応消費量「e1」とから当月予想消費量「d1=e1×d/e」を求め、1ヶ月を30日とする計算式「D=d1/30」から求められる。前年同時期の3ヶ月間の消費量「e」が「零」の場合には、当月直近3ヶ月間の月別消費量により、最小二乗法を用いて1ヶ月分の当月予想消費量「d1」を求めることとする。
【0065】また、平均納品間隔日数「C」は、当月直近3ヶ月間の納入受け回数「c」から3ヶ月を91日として計算式「C=91/c」により求められる。従って、次回発注までの予測消費量「D×C」が算出される。
【0066】図8では、移送元店舗で消費量を確保する場合を説明したが、移送元と移送先である依頼元とに比例させて割り振る場合も考えられる。この場合には、移送先店舗での余剰在庫量は、今回納入受け量の「D/(D+A)」倍として求めることができる。
【0067】次に図9に図1を併せ参照して店舗端末30のクライアントコンピュータで、管理者が店舗間移送または自動発注を確認する場合について説明する。本機能はサーバー10の端末でも実現することができる。
【0068】店舗端末30の店舗間移送確認部31は、移送の管理者による移送確認の入力を受付け(手順S61)した際に、移送確認要求をサーバー10へ送信(手順S62)する。ここでは、移送確認入力に当日の日付以外に出庫日を加え、例えば出庫日以前の2ヶ月間を限定することとする。この期間限定も移送確認入力データの一項目として含めることができる。
【0069】移送確認要求を受けたサーバー10は、店舗間移送履歴ファイル15で、受信した出庫日から2ヶ月間の対象履歴データを索引(手順S63)し、この索引データを要求元の店舗端末30へ送信(手順S64)する。
【0070】店舗端末30では、店舗間移送確認部31がサーバー10から受けた店舗間移送履歴データを表示部22に画面表示(手順S65)する。
【0071】この表示画面から、グループにおける移送管理者が印刷出力を指示することにより、店舗間移送確認部31がこの指示入力を受付け(手順S66)して表示データを印刷出力(手順S67)する。
【0072】また、店舗端末30の注文確認部32は、注文管理者の要求に基づいて図9に示すと同一の手順により、各仕入先への自動発注データ、例えば、仕入先、発注日、品目、発注数量、納品店舗などをサーバー10の注文ファイル16から索引し、表示部22に画面表示すると共に注文書を印刷出力する。
【0073】店舗間移送確認部31および注文確認部32は要求項目が異なるのみのため、上述した余剰在庫問合せ部21と共に同一構成手段が処理するとしてもよい。
【0074】上記説明では、グループ内の管理のために店舗端末の一つをクライアントコンピュータとしたが、サーバーコンピュータをグループセンターに設けてクライアントコンピュータの付加機能も有し、すべての各種管理をこの端末で行なこととしてもよい。この場合には、すべての店舗端末を携帯電話とすることができる。また、クライアントコンピュータである店舗端末の一つにサーバーコンピュータとしての機能を付加して備えることとしてもよい。
【0075】上記説明では、図示された機能ブロックおよび手順を参照しているが、上述するように、機能の分離併合による配分または手順の前後入替えなどの変更は上記機能を満たす限り自由であり、上記説明が本発明を限定するものではなく、更に一つの仕入れ単位を小分けして活用する商品の在庫管理の全般に適用可能なものである。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次のような効果がある。
【0077】第1の効果は、一つの仕入れ単位を小分けして活用する商品の在庫管理において、不足、品切れの発生に対して対象商品品目の移送処理をタイムリーに効率よく実施できることである。
【0078】その理由は、サーバーコンピュータを中心に置き、サーバーコンピュータに他店舗との間で移送可能な在庫を余剰在庫として記録し、不足品目の移送に際して各店舗端末がこの余剰在庫を自由に呼び出し参照することにより確認できると共に、その余剰在庫の登録から、移送依頼および位相伝票処理まで、すべてインターネットを介して電子的に実施できるからである。
【0079】第2の効果は過剰仕入れを防止または有効期限切れ薬剤の発生を防止できることである。
【0080】その理由は、上述した店舗相互間の通信の電子化による通達の効率化、移送の際における余剰在庫の自動引落し、更に、発注点割れに際しての自動発注ができるからである。
【0081】また、第3の効果は余剰在庫管理に熟練者を不要にすることである。
【0082】その理由は、携帯電話からでもデータを画面表示できるので余剰在庫の確認が容易なためである。
【0083】更に、第4の効果は在庫管理システムの設備投資およびランニングコストが低いことである。
【0084】その理由は、店舗端末にインターネットを用いて通信する携帯電話を使用できるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図2】図1における部分詳細の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明によるシステムの主要動作手順前半の一形態を示すシーケンスチャートである。
【図4】図3に続く主要動作手順後半の一形態を示すシーケンスチャートである。
【図5】図1の店舗端末における在庫問合せおよび移送依頼の一手順を示すフローチャートである。
【図6】図1のサーバーコンピュータにおける移送処理の一手順を示すフローチャートである。
【図7】図1のサーバーコンピュータにおける自動注文処理の一手順を示すフローチャートである。
【図8】図1のサーバーコンピュータにおける余剰在庫登録処理の一手順を示すフローチャートである。
【図9】図1のクライアントコンピュータにおける移送または自動発注の確認処理の一手順を示すシーケンスチャートである。
【図10】従来の一例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
10 サーバーコンピュータ(サーバー)
11 余剰在庫登録部
12 記憶部
13 余剰在庫ファイル
14 余剰在庫略名索引ファイル
15 店舗間移送履歴ファイル
16 注文ファイル
20 店舗端末(携帯電話)
21 余剰在庫問合部
22 表示部
23 移送依頼部
24 移送依頼受付部
25 依頼品出庫部
30 店舗端末(クライアントコンピュータ)
31 店舗間移送確認部
32 注文確認部
40 インターネット
41 電子メールシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一つの仕入れ単位を小分けして活用する商品の在庫データを店舗別に有する在庫管理側情報処理装置(以後、サーバー)とこの在庫データから余剰を見極めて不足品目を調達する複数の店舗側情報処理端末(以後、店舗端末)とがインターネットに接続してグループを構成するシステムであって、前記サーバーは、前記店舗相互に流用できる在庫を余剰在庫として各前記店舗ごとで上記商品の品目毎に予め登録してあり、一つの前記店舗端末から品目名により前記余剰在庫の問合せを受けた際には、登録されている該当品目の余剰在庫を有する店舗における余剰在庫情報を、問合せ元の店舗端末へ送信し、一つの前記店舗端末から所定の品目データにより移送依頼を受付けした際にはこの移送依頼を移送元の店舗端末へ送信し、前記移送元の店舗端末から移送済み確認の通知を受けた際には前記余剰在庫の数量を更新し、かつ前記店舗端末は、一方の移送依頼元店舗端末では、追加調達を必要とした前記商品品目の問合せ入力を受付けした際には前記余剰在庫問合せを前記サーバーに送信し、これに対する余剰在庫データを前記サーバーから受けた際には受けたデータを画面表示し、この表示データで品目に対する数量の入力を受けた際には商品の移送を依頼する店舗を指定して移送依頼を前記サーバーに送信し、他方の商品移送元店舗端末では、前記サーバーから移送依頼を受けてこの依頼品目の出庫を確認した入力を受付けた際にはこの移送済み確認通知を前記サーバーに送信することを特徴とする在庫管理システム。
【請求項2】 請求項1において、前記店舗端末はインターネットに接続し電子メールを可能とする携帯電話であることを特徴とする在庫管理システム。
【請求項3】 請求項2において、前記携帯電話に入力する品目名は略称とし、かつ、前記サーバーは前記略称を正式品名に変換するファイルを有することを特徴とする在庫管理システム。
【請求項4】 請求項2において、前記サーバーは、移送依頼先である商品移送元へ送信する前記移送依頼に、電子メールを用いることを特徴とする在庫管理システム。
【請求項5】 請求項1において、前記サーバーは、更新された余剰在庫の数量が所定の発注点を割込んだ場合には該当品目の所定数量を自動的に発注し、かつ、納品を受けた際には納入量に基づいて余剰在庫量を所定式により計算して余剰在庫の登録を更新することを特徴とする在庫管理システム。
【請求項6】 請求項1において、前記サーバーと前記店舗端末との間の通信は、少なくとも前記移送依頼および前記移送済み確認通知を電子メールで行なうことを特徴とする在庫管理システム。
【請求項7】 請求項1において、前記移送依頼に含まれる所定の品目データは、少なくとも一つの移送元となる店舗名、該当する品目名、およびその数量であることを特徴とする在庫管理システム。
【請求項8】 請求項1において、前記店舗端末は、依頼元となって前記移送依頼の対象となる依頼先店舗が複数の場合、前記移送依頼に指定される依頼先店舗とこの店舗に依頼する数量とは、全体の余剰在庫データに基づいて予め定められた順序と数量割合とにより自動的に選定する手段を有することを特徴とする在庫管理システム。
【請求項9】 請求項1において、前記店舗端末はコンピュータであり、前記サーバーと連携してデータ交換し、各店舗間の移送履歴を確認し保存する手段を更に備えることを特徴とする在庫管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−196527(P2003−196527A)
【公開日】平成15年7月11日(2003.7.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−398843(P2001−398843)
【出願日】平成13年12月28日(2001.12.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(502003264)株式会社ステップワン九州 (1)
【出願人】(000227205)エヌイーシーインフロンティア株式会社 (1,047)