説明

一体化された粒子及び/若しくはエアゾール濾過機能を有する吸着濾過材料及びその使用

【課題】本願発明は、化学的有毒物及び/若しくは生物学的有毒物又は有害物、特に化学兵器に関する防護性だけでなく、有毒性粒子及び/若しくはエアゾールに関する防護性を提供する透過性、特に気体又は空気透過性吸着濾過材料又は防護材料を提供する。
【解決手段】本願発明は、一体化された粒子及び/若しくはエアゾール防護性(例えば、一体化された粒子及び/若しくはエアゾール濾過機能)を有し、且つ生物学的及び/若しくは化学的有毒物、特に生物学的及び/若しくは化学的兵器に関する防護性能を有する吸着濾過材料において、この吸着濾過材料が、複数層構造を有し、該複数層構造が、支持層(例えば、キャリヤ層)、前記支持層に結合され、好ましくは固定される吸着層、及び前記支持層から離れた吸着層の側に装着されるカバー層を具備し、前記吸着濾過材料が、付加的に粒子及び/若しくはエアゾール濾過層、好ましくは粒子及びエアゾール濾過層を備える吸着濾過材料にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一体化された粒子及び/若しくはエアゾール防護及び生物学的及び/若しくは化学的毒物、特に生物兵器及び/若しくは化学兵器に関する防護性能を有し、請求項1の前段部分において分類されたような吸着濾過材料及びその使用に関し、特にある種の防護材料、特にNBC防護衣料及びある種のフィルタ及び/若しくは濾過材料の製造に関する。さらに、本願発明は、防護材料、特に本願発明の吸着濾過材料を使用して製造された防護衣料(例えばNBC防護衣類)、フィルタ及び濾過材料自身に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚によって吸収され、重篤な肉体的病毒に導く多くの物質がある。例として、糜爛性毒ガスHd(イエロークロス及びマスタードガスとして知られている)及び神経ガスサリンがある。そのような毒物に接触しやすい人々は、防護服を着用する必要があり、また適当な防護材料によってこれらの毒物に対して防護される必要がある。
【0003】
原則的に、3種類の防護服;生物学的及び化学的有害物に対して不浸透性であり、着用者の急激な熱上昇を生じるゴム層を備える空気及び水蒸気不透過性防護服;水蒸気を通すが、生物学的及び化学的毒物は通さない層を備えた防護服;及び最も高い着心地性を提供する空気及び水蒸気透過性防護服;がある。
【0004】
NBC防護衣料は、従来は、不浸透性システム(例えば、ブチルゴム性の衣服、又は薄膜を有する衣服)又は透過性、活性炭(例えば、粉末カーボン、活性炭繊維材料又は球状カーボン等)を基礎とする空気透過性吸着フィルタシステムのいずれかで製造される。
【0005】
空気不透過性層の衣服は、一方で兵器等に使用される化学的及び生物学的毒物に対する相対的に良好な防護を生じ、他方で空気不透過性又は薄膜の不透過可能性によって、エアゾール及び有毒性粒子に関する防護性能を提供し、透過性、空気透過性吸着防護服は、化学的毒物に関して大変良好な防護性を提供するが、エアゾール及び有毒粒子に関しては単に不十分な防護性を提供する。
【特許文献1】USP 6,641,773
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生物学的防護を改善するために、特に活性炭に基づく透過性吸着フィルタシステムは、等に金属又は金属化合物に基づく触媒活性要素、又は触媒が、殺菌又は制生触媒に活性炭を浸漬することによって付与される。しかしながら、これは、有毒性エアゾール(例えば微細に分散された化学的有毒物、特に兵器)又は有害粒子(例えば有毒性微生物又はキャリヤ粒子に固着される微生物、例えば生物兵器として使用されるウィルス又はバクテリア)に関する低い防護性能についての課題を解決しない。
【0007】
それゆえに、本願発明は、少なくとも実質的に従来技術の上述した不利益点を避けるか、少なくとも改善する吸着濾過材料又は防護材料を提供することを目的とする。特に、そのような吸着濾過材料又は防護材料は、特にある種のNBC防護材料、例えばNBC防護衣料、さらにフィルタ及び濾過材料の製造について適しているべきである。
【0008】
さらに、本願発明は、化学的有毒物及び/若しくは生物学的有毒物又は有害物、特に化学兵器に関する防護性だけでなく、有毒性粒子及び/若しくはエアゾールに関する防護性を提供する透過性、特に気体又は空気透過性吸着濾過材料又は防護材料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点は、請求項1に係る吸着濾過材料によって、本願発明の領域において解決される。さらに、本願発明の吸着濾過材料の利益的な具体例は、それぞれの従属請求項の主題を形成する。
【0010】
さらに、本願発明は、ある種の防護材料、特に民間部門又は軍事部門の防護衣料、特に防護服、防護手袋、防護履物、防護靴下、頭部防護衣料等のような防護衣料、及び特にNBC配備のためのある種の防護カバーを製造するための本願発明に係る吸着濾過材料の使用、及びこれによって製造された上述した種類の防護材料を提供することにある。
【0011】
本願発明は、NBC防毒マスクフィルタ、消臭フィルタ、シートフィルタ、空気フィルタ、特に室内空気浄化用フィルタ、吸着可能支持構造体及び医療部門用フィルタ等の空気及び/若しくはガス流から、特に有毒物、悪臭及びある種の有毒性物質を排除するためのある種のフィルタ及び/若しくは濾過材料を製造するための本願発明に係る吸着濾過材料の使用、及び/若しくはこれによって製造された上述した種類のフィルタ及び/若しくは濾過材料を提供することにある。
【0012】
したがって、本願発明は、本願発明の第1の様相によれば、一体化された粒子及び/若しくはエアゾール防護性(例えば、一体化された粒子及び/若しくはエアゾール濾過機能)を有し、且つ生物学的及び/若しくは化学的有毒物、特に生物学的及び/若しくは化学的兵器に関する防護性能を有する吸着濾過材料において、この吸着濾過材料が、複数層構造を有し、該複数層構造が、支持層(例えば、キャリヤ層)、前記支持層に結合され、好ましくは固定される吸着層、及び前記支持層から離れた吸着層の側に装着されるカバー層とを具備し、前記吸着濾過材料が、付加的に粒子及び/若しくはエアゾール濾過層、好ましくは粒子及びエアゾール濾過層を備える吸着濾過材料を提供する。
【0013】
このように、複数層構造の吸着濾過材料に、吸着濾過材料に一体化された付加的な粒子及び/若しくはエアゾール防護機能を、吸着濾過材料に、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層、それ自体が吸着濾過材料の構成要素である粒子及び/若しくはエアゾール濾過層を含むこと又は結合することによって備えることが、本願発明の基本的な概念である。
【0014】
一般的に、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、吸着層とカバー層(例えば、使用状態において、外方又は外側層にある層、例えば上着織物)との間に配され、例えば一般的に粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、支持(キャリヤ)層から離れた側の吸着層の側に配置される。本願発明に係る吸着濾過材料の使用状態において、カバー層は、有毒物側に対峙する外側層(例えば上着織物)であるので、例えば生物兵器及び/若しくは化学兵器の最初に汚染される有毒物含有流は、カバー層を通過し、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層に突き当たり、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層に保持され、そして流れに残る化学的及び/若しくは生物学的有毒物、特に兵器は、それに続く吸着層に突き当たり、そこで吸着され、無害化される。
【0015】
原則として、吸着層とカバー層の間に配置された粒子及び/若しくはエアゾール吸着層、好ましくは結合した粒子及びエアゾール吸着層は、カバー層の内側表面に積層されるか、前記カバー層と前記吸着層の間に緩く且つ非接続的に配置されるかのいずれかである。さらに代替え案によれば、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、吸着層に、例えば非連続的接着法によって固定される。
【0016】
上述した複数層構造によれば、本願発明に係る前記吸着濾過材料は、一つの材料に、有効な粒子及び/若しくはエアゾール防護性だけでなく、生物及び/若しくは化学有毒物、特に生物兵器及び/若しくは化学兵器に対する有効な防護性を結合する。粒子及びエアゾールに関する本願発明の吸着濾過材料によって提供される防護性能は、従来の薄膜システムに匹敵するが、本願発明の吸着濾過材料のガス浸透性、特に空気浸透性、又は透過可能性は、それによって製造されたNBC防護服の着用快適性が、薄膜服に比較してかなり強化されていることを意味する。
【0017】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、一般的に、織布、好ましくは空気透過性織物材料として構成される。粒子及び/若しくはエアゾール濾過層として使用される織布の例は、織物、編物、レイドファブリック及び接着ファブリック、特に不織布である。特に好ましいのは、不織布又は不織布構造である。
【0018】
ここで使用される不織布又は不織布構造という言葉は、接着ファブリックとして分類される特に可撓性、多孔性織物であり、特に縦糸と横糸の編み合わせの古典的な方法によって又は編み込みによって製造されるものではなく、繊維を絡み合わせること及び/若しくは凝集させること及び/若しくは接着剤による内部接着によって製造されるものである。不織布は、一般的に、その接合力が、繊維の自己粘着によるものである短繊維又は単繊維、特に合成(人造)繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ビスコース等)から構成された目の粗い材料である。それぞれの繊維は、優先方向(いわゆる方向性又は交差不織布)を有し、又は方向性がない(例えばランダム不織布)。不織布は、ニードリング、インターメッシュによって、又は鋭いジェット水流を使用して縺れさせること(スパンレース不織布)によって機械的に固結される。特に、本願発明の目的に使用される不織布は、例えばスパンボンド、メルトブロー加工によって製造され、好ましくは電気紡績(例えばUSP6,641,773参照)によって製造される。接着固結不織布は、繊維を液体バインダー(例えば、アクリレートポリマー、SBR/NBA、ポリビニルエステル又はポリウレタン分散液)に接着させること、又はその製造過程において不織布に混合されるいわゆるバインダー繊維を融解又は溶解させることによって形成される。凝集性固結において、繊維表面は、適当な化学薬品によって可溶性にされ、且つ圧力によって結合され、又は加熱された温度でお互いに溶接される。スパンボンド不織布は、紡糸された後敷設され、搬送ベルト上でブロー成形又は積層されることによって形成された織物である。付加的な糸、織布又はメリヤス編物を含む不織布は、補強された不織布と見なす。適切な原材料、可能な結合及び/若しくは改良の技術の複合によって、不織布又は不織布織物は、特定の目的に合った所望の特性を有するように、特定の方法において製造される。全ての織布のように、不織布織物又は不織布は、織物染色及び仕上げの作業が施される。不織布及び不織布織物の概念に関する詳細な内容については、ロンプケミエレクシコン第10編、ゲオルグシーメ出版、シュタットガルト/ニューヨーク、第6巻、1999年、4889/4890頁、表題「フリース生地」の全開示内容、及びそこに引用される引例が参照される。
【0019】
本願発明に使用される粒子及び/若しくはエアゾール濾過層の単位面積重量は、広い範囲で変化可能である。本願発明によって使用される粒子及び/若しくはエアゾール濾過層の単位面積重量は、一般的に、1〜100g/mの範囲内であり、特に5〜50g/mの範囲内である。より好ましくは、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、100g/m以下の単位面積重量を有し、特に50g/m以下の単位面積重量を有するべきである。しかしながら、本願発明の範囲を離れることなしに、上述した値から離れることは、特別に計画された使用又はそれぞれの場合によって選択可能であり、又は必要なことである。
【0020】
特に良好な粒子及び/若しくはエアゾールの収集率は、使用される粒子及び/若しくはエアゾール濾過層が、50μm以下、特に30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、最も好ましくは2μm以下の平均径を有する織物繊維からなる織物、好ましくは不織布である時に、達成される。一般的に、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層を形成する織物を構成する織物繊維の径は、0.05〜50μmの範囲内、特に0.1〜50μmの範囲内、好ましくは0.2〜30μmの範囲内、より好ましくは0.2〜20μmの範囲内、最も好ましくは0.5〜10μmの範囲内であるべきである。上記織物繊維径を有する適当な織物、特に不織布は、例えばメルトブローにおいて、又は電気紡糸加工において取得可能である。
【0021】
特に、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、織物繊維からなり、織物繊維によって結合された細孔又はメッシュを有する織物として構成される。このように、それぞれの織物繊維は、(例えば不織布の場合の)メッシュ又は(例えば不織布の場合の)細孔を形成する。織物は、−織物の性質によって−200μm以下、特に100μm以下、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下、最も好ましくは40μm以下の平均細孔サイズ又はメッシュサイズを有するべきである。これは、無害化されるべき粒子及びエアゾールに関する特に良好な捕集率を提供する。
【0022】
粒子及び/若しくはエアゾール濾過層が、織物繊維からなり、織物繊維によって形成された細孔又はメッシュを有するような上述した種類の織物である場合に、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層の性能能力は、織物繊維の平均径に対する平均細孔サイズ又は平均メッシュサイズの比率に確実に依存することを、出願人は見出した。一般的に、織物繊維の平均径に対する平均細孔サイズ又は平均メッシュサイズの比率は、0.1〜2000の範囲内、特に1〜500の範囲内、好ましくは5〜350の範囲内、より好ましくは10〜300の範囲内、最も好ましくは25〜250の範囲内であるべきである。特に、織物繊維の平均径に対する平均細孔サイズ又は平均メッシュサイズの比率は、2000以下であり、特に500以下であり、好ましくは350以下であり、より好ましくは300以下であり、最も好ましくは250以下であるべきである。しかしながら、織物繊維の平均径に対する平均細孔サイズ又は平均メッシュサイズの比率は、少なくとも0.1であり、特には少なくとも1であり、好ましくは少なくとも5であり、より好ましくは少なくとも10であり、さらに好ましくは少なくとも25であり、最も好ましくは少なくとも40であるべきである。これは、無害化されるべき粒子及びエアゾールに関する特に効果的な捕集率を提供する。
【0023】
上述したように、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、一般的に、織物繊維からなる織物であり、好ましくは不織布である。使用される織物繊維は、天然及び/若しくは合成繊維であり、好ましくは合成繊維(製造繊維の同義語として参照される)からなる。本願発明にしたがって最適であり且つ粒子及び/若しくはエアゾール濾過層を形成する織物を構成する織物繊維は、例えばポリエステル(PES);ポリエチレン(PE)及び/若しくはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(CLF);ポリ塩化ビニリデン(CLF);アセテート(CA);トリアセテート(CTA);ポリアクリル酸(PAN)、ポリアミド(PA);ポリビニルアルコール(PVAL);ポリウレタン;ポリビニルエステル;メタクリル酸エステル;及びそれらの混合物からなる群から選択される。織物繊維に関する上記コードは、ドイツ標準規格DIN 60001−4(1991年8月)による。
【0024】
織物繊維の概念に関するさらなる詳細に関して、ロンプケミエレクシコン、loc.cit.4477〜4479頁、表題「ほぐれた繊維」の全開示内容及びそこに含まれる引例を参照する。特に、織物繊維という言葉は、織物加工が施される可能性のある全ての繊維に関する総称として理解されるべきである。また、織物繊維に対する共通した特徴は、織物繊維が起源又は材料構成によって異なる群に割り当てられるが、それらの断面に対する著しい長さであり、また十分な強度と可撓性である。
【0025】
無害化されるべき粒子及び/若しくはエアゾールに対する十分な捕集率を達成するために、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、少なくとも40%、特には少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のDINEN779(1993年7月)平均自然塵効率Emを有するべきである。さらにまた、この目的のために、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、少なくとも50%、特には少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%のDINEN779(1993年7月)平均人工塵効率Amを有するべきである。
【0026】
1993年7月のDINEN779基準は、一般室内空気技術に関する粒子空気フィルタの要求、試験及び格付けに関する。この規定によって、平均人工塵効率Amは、250Paの最大最終圧力降下まで、空気流内に所定量の標準化されたテスト用人工塵を有する試料を繰り返し除塵し、試料の下流側に吊下された濾過材料の重量を計測することによる重量比率から各々の場合の効率を決定し、個々の測定値から平均人工塵効率Amを演算する重量テスト法によって測定される。これに関するさらなる詳細は、DINEN779の原文を参照すること。これに対して、平均自然塵効率Emは、大気中の自然環境塵に関する効率を繰り返し測定することによる変色テスト法によってDIN779によって測定される。初めの状態において第1の測定が実行された試料は、DINEN779による所定量の標準化されたテスト用人工塵が担持され、最終圧力降下が450Paに到達するまで、繰り返し効率が測定される。効率の測定は、前記試料の上流及び下流で、白い吊下物質フィルタ紙が等しく脱色されるか濁った色になるまで吸引されるテスト空気量の比較に基づいて実行され、それぞれの測定値から、平均自然塵効率Emが演算される。これに関するさらなる詳細は、DINEN779の原文を参照すること。
【0027】
さらに、良好な粒子及び/若しくはエアゾール捕集を達成するために、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層のDINEN1822(1989年4月;DEHSエアゾール、MPPS=0.1〜0.3μm)の累積初期透過率Diは、50%以下、特には40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下であるべきである。DINEN1822のテスト法は、汚染されていない試料に液体テストエアゾール(DEHS=ジエチルヘキシルセバケート)で、それぞれの場合で最も汚染された粒子サイズ(MPPS、ここでは:0.1〜0.3μm)に対応する粒子径の測定に基づいて、実行される。調査の第1段階において、MPPSは、濾過媒体の平らなサンプルで測定され、それにつづくフィルタの評価及び分類が、MPPSに基づいて行われる。第2の段階において、積分透過度Diが、吹出領域を介して、呼び容積流において、MPPS及びフィルタの圧力降下の両方について測定される。さらなる詳細は、DINEN1822の本文を参照すること。
【0028】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、0.1m/sの流入速度で、0.1〜0.3μmの範囲内の直径を有する粒子及び/若しくはエアゾールに対する少なくとも80%、特には少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の平均捕集率を有するように構成される。
【0029】
さらに、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、0.1m/sの流入速度で、2μm以下、好ましくは1.5μm以下の径を有する粒子及び/若しくはエアゾールに対して、少なくとも95%、特には少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の平均捕集率を有するべきである。
【0030】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層の厚さは、0.001〜10mmの範囲内、特には0.1〜5mmの範囲内、好ましくは0.01〜1mmの範囲内であるべきである。
【0031】
特別な例において、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、高い効率の浸透力又は微粒子空気(HEPA)フィルタとして、又は非常に低い浸透力又は微粒子空気(ULPA)フィルタとして構成される。
【0032】
良好な気体透過性、特に空気透過性を確保するために、全体として本発明の吸着濾過材料及びNBC防護服に加工される時の高い着心地性について、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層は、良好なガス透過性、特に空気透過性を有するべきである。一般的に、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層のガス透過性、特に空気透過性は、少なくとも10リットル・m−2・s−1、特には少なくとも30リットル・m−2・s−1、好ましくは少なくとも50リットル・m−2・s−1、より好ましくは少なくとも100リットル・m−2・s−1、最も好ましくは少なくとも400リットル・m−2・s−1であり、又は127Pa以上の流抵抗であるべきである。
【0033】
本願発明によって認識される吸着層は、原則として、本願発明の吸着濾過材料の範囲において最適である所望の吸着可能な材料から構成されるものである。
【0034】
本願発明による好ましい例において、前記吸着層は、活性炭に基づいて構成され、前記吸着可能層は、活性炭からなるか、活性炭を具備するものである。前記活性炭は、活性炭粒子の形状及び/若しくは活性炭繊維の形状で存在することが望ましい。
【0035】
例えば、前記吸着層は、活性炭の個々の粒子、好ましくは粒状形状(「粒状カーボン」)又は球状形状(「小球カーボン」)を具備するか、それらからなることが望ましい。特に、この場合、活性炭粒子の平均径は、1.0mmより小さく、好ましくは0.8mmより小さく、より好ましくは0.6mmより小さい。活性炭粒子の平均径は、少なくとも0.1mmである。この例において、前記活性炭粒子は、10〜500g/mの量(例えば、担持又は添加量)において、特に25〜400g/m、好ましくは50〜300g/m、より好ましくは75〜250g/m、更に好ましくは80〜200g/mの量において使用されることが望ましい。特に、前記活性炭粒子は、活性炭の個々の粒子、活性炭細粒又は小球に基づいて、5Nの破裂圧、特に少なくとも10Nの破裂圧及び/若しくは20Nまでの破裂圧を有するものが使用される。
【0036】
しかしながら、これに代えて、前記吸着層は、特に活性炭織物の形の活性炭繊維から形成されるか、活性炭繊維を具備するものであっても良い。この例は、特に、10〜300g/mの範囲内、特には20〜200g/mの範囲内、好ましくは30〜150g/mの範囲内の単位面積重量を有する活性炭繊維を用いるものである。本願発明の目的に合う有益な活性炭繊維織物は、特に炭化され活性化されたセルロースに基づく及び/若しくは炭化され活性化されたアクリロニトリルを基礎とする、例えば織布、メリヤス編物、レイド又は接着活性炭繊維織物を含む。
【0037】
活性炭粒子と活性炭繊維とを結合することによって吸着層を形成することも同様に可能である。
【0038】
本願発明によれば、吸着層を形成するために使用される活性炭(例えば、活性炭粒子又は繊維)が、少なくとも800m/g、特に少なくとも900m/g、好ましくは少なくとも1000m/g、より好ましくは800〜2500m/gの範囲内の内部表面積(BET)を有することが望ましい。
【0039】
吸着効率及び吸着性能を向上させるために、特に生物学的有毒物、特に生物兵器物質に対する向上され又は改善された防護性能を得るために、吸着層、特に活性炭粒子及び/若しくは活性炭繊維が、少なくとも一つの触媒で浸漬されることが可能である。本願発明の目的に有益な触媒は、例えば酵素及び/若しくは金属、好ましくは銅、銀、カドミウム、プラチナ、パラジウム、ロジウム、亜鉛、水銀、チタン、ジルコニウム及び/若しくはアルミニウムの群から選択された金属、対応する金属イオンの形の金属を含む。触媒の量は、広い範囲で変化可能である。それは、一般的に、吸着層の重量に基づいて0.05〜12重量%の範囲内、好ましく1〜10重量%の範囲内、より好ましくは2〜8重量%の範囲内である。エアゾール及び/若しくは粒子濾過層を浸透した生物学的有毒物は、それによって効果的な方法において無害化される。
【0040】
上記されたように、前記吸着層は、支持層に固着又は固定される。一般的に、支持層への吸着層の固定は、支持層の表面に不連続的に又は良好なガス透過性、特に空気透過性が支持層及びそれによる全体としての吸着濾過材料に保持されるための点形状において塗布される接着剤によって達成される。前記接着剤は、10〜80g/m、特には20〜60g/m、好ましくは30〜50g/mの付加量において塗布されるべきである。前記接着剤は、支持層表面の40%以下、好ましくは支持層表面の30%以下、より好ましくは支持層表面の25%以下が、接着剤によって覆われるように付加されることが望ましい。一般的に、接着剤は、接着剤の点形状において規則的又は不規則的グリッドの形で、支持層上に塗布又はプリントされ、その後接着層(例えば活性炭の個々の粒子)は、接着剤の点で接着される。
【0041】
前記支持層は、原則として、織物、空気透過性織物材料である。それは、織物、ニット、レイド又はボンデッドであり、特に不織布である。一般的に、支持層は、20〜200g/m、好ましくは30〜150g/m、好ましくは40〜120g/mの単位面積重量を有する。
【0042】
本願発明によって随意に考えられるカバー層は、一般的に、例えば織布、ニット、レイド又はボンデッドファブリックとしての織物、好ましくは空気透過性織物材料、特に不織布として構成される。一般的に、前記支持層は、50〜300g/m、特には75〜275g/m、好ましくは100〜250g/m、より好ましくは120〜250g/mの単位面積重量を有する。
【0043】
特にエアゾール防護を改善するために、前記カバー層は、特にその外側面が、適当な浸漬によって、疎油化及び/若しくは疎水化され、好ましくは疎油化及び疎水化されることが望ましい。有毒物及び有害物の比較的大きい滴が、カバー層に落ちた場合、カバー層の表面の疎油性及び/若しくは疎水性が、それらを、本願発明の吸着濾過材料の表面にわたって分散させることができる。この目的に最適な疎油及び疎水物質は、当業者にとって公知である(例えばフルオロカーボン樹脂等のようなフルオロポリマー)。
【0044】
エアゾール防護及び生物学的有毒物に関する防護を改善するために、カバー層及び/若しくは支持層、好ましくは支持層は、触媒活性要素に基づく殺菌性及び/若しくは制生性仕上げを有する(共通して割り当てられたドイツ特許出願DE102005056537及びドイツ実用新案DE202005018547、その全体的な開示内容が参照される)。特に吸着層のための支持(キャリヤ)として働き、流方向においてカバー層及びエアゾール及び/若しくは粒子濾過層に続いて配される支持層を、殺菌性又は制生性効果を有する触媒活性要素で仕上げることは、有益な疎油化及び/若しくは疎水化されたカバー層及び流方向においてそれに続くエアゾール及び/若しくは粒子濾過層を介して浸透することに成功した生物学的有毒物を無害化する効果的な方法を提供する。殺菌性又は制生性効果を有する触媒活性要素は、特に好ましくはそれぞれが織物として構成されるカバー層及び/若しくは支持層、好ましくは支持層のみにおいて、特に例えば紡糸、押し出し成形、浸漬、化学的及びプラズマ化学処理加工等から織物を形成する繊維、糸、より糸、フィラメント等において、混合されることが望ましい。有益な殺菌性又は制生性効果を有する触媒活性要素は、特に金属又は金属化合物、特に、銅、銀、カドミウム、プラチナ、パラジウム、ロジウム、亜鉛、水銀、チタン、ジルコニウム及び/若しくはアルミニウム及びそれらのイオン及び/若しくは塩の群から選択された金属又は金属化合物、好ましくは銅及び銀及びそのイオン及び/若しくは塩、より好ましくはAg、AgO、Cu、CuO及びCuOの群から選択されたもの及びその混合物を含むものである。層全体に基づく触媒活性化要素の量は、0.001重量%〜20重量%の範囲内、特に0.005重量%〜10重量%の範囲内、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内で変化することが可能である。それらに適用される殺菌性又は制生性作用を有する触媒活性化要素を有するような本願発明の目的のために有益な織物は、商業的に入手可能である。例えば、カプロン会社、ニューヨーク(USA)、フォス製造会社、ハンプトン、ニューハンプシャー(USA)又はノーブルファイバーテクノロジー会社、クラークスサミット、ペンシルバニア(USA)から入手可能である。
【0045】
さらに前記カバー層は、(リン酸エステル含浸によって)難燃性が与えられる。前記カバー層は、静電防止性が与えられる。さらなる例において、前記カバー層は、赤外線(IR)反射特性を有する。最後に、前記カバー層は、NBC防護服の製造に使用される場合、その有毒物から離れた側にカムフラージュ印刷が設けられる(例えば、使用状態において外側)。
【0046】
一般的に、支持層及び/若しくはカバー層は、天然及び/若しくは合成繊維、特に合成繊維(人工繊維)からなる織物であることが望ましい。カバー層及び/若しくは支持層を形成するために使用される合成(人工)繊維は、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)、ポリウレタン、ポリビニル及び/若しくはポリアクリル酸の群から選択されることが望ましい。
【0047】
上述した層と同様に、本願発明の吸着濾過材料は、まだ他の層、特に織物層を含むことができる。これらは、上述した層の上、下又は間に配置されることが可能である。
【0048】
上述したように、本願発明の吸着濾過材料は、ガス透過性、特に空気透過性、及び/若しくは水透過性、及び/若しくは水蒸気透過性である。これは、NBC防護服に加工された時に、優れた着心地性を提供する。
【0049】
一般的に、本願発明の吸着濾過材料は、127Paの流抵抗で、少なくとも10リットル・m・s−1、特には少なくとも30リットル・m・s−1、好ましくは50リットル・m・s−1、より好ましくは100リットル・m・s−1、最も好ましくは400リットル・m・s−1、及び/若しくは最大10000リットル・m・s−1までのガス又は空気透過度を有する。本願発明の吸着濾過材料のガス又は空気透過性は、少なくとも実質的にエアゾール及び/若しくは粒子濾過層によって決定又は制限され、全体として本願発明の吸着濾過材料のガス又は空気透過性は、エアゾール及び/若しくは粒子濾過層の空気又はガス透過性に本質的に対応する。
【0050】
一般的に、本願発明の吸着濾過材料は、200〜1000g/mの範囲内、特には225〜800g/mの範囲内、好ましくは250〜600g/mの範囲内、より好ましくは300〜500g/mの範囲内の全体にわたる単位面積重量を有すると同時に、本願発明の吸着濾過材料について0.1〜10mm、特には0.2〜5mm、好ましくは0.5〜3.0mmの全体にわたる断面厚さを有する。
【0051】
NBC防護衣類に本願発明の吸着濾過材料が加工された時の着心地性を向上させるために、本願発明の吸着濾過材料は、24時間当たり少なくとも5リットル/m、特に24時間当たり少なくとも10リットル/m、好ましくは24時間当たり少なくとも15リットル/m、より好ましくは24時間当たり少なくとも20リットル/m、最も好ましくは24時間当たり少なくとも25リットル/mの水蒸気透過度を有するべきである。この水蒸気透過度は、25℃で、ASTME96のインバーテッドカップ法によって測定可能である。水蒸気透過度(WVTR)の測定に関する詳細については、Meas.Sci. Technol. [Measurements Science and Technology],14, 1402-1408, August 2003のマクカロウ他による「織物の水蒸気浸透率の測定に関する標準法の比較」を参照することができる。これは、快適な着心地性を確保する。
【0052】
化学兵器薬剤に関する良好な防護効果を確保するために、本願発明の吸着濾過材料は、CRDEC−SP−84010の方法2.2によって決定され、24時間当たり4μg/cm以下、特に24時間当たり3.5μg/cm以下、好ましくは24時間当たり3.0μg/cm以下、より好ましくは24時間当たり2.5μg/cm以下の透過度を許容する、化学兵器薬剤、特にビス[2−クロロエチル]硫化物(マスタードガス、Hd又はイエロークロスとして知られる)に対するバリヤ効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
図1は、本願発明の特定の例に対応する吸着濾過材料1の層構造2を示した概略断面を示す。一体化された粒子及び/若しくはエアゾール防護だけなく生物学的及び/若しくは化学的有毒物、特に生物学的及び/若しくは化学的兵器物質を備えた本願発明に係る吸着濾過材料1は、支持層3、支持層3と結合及び/若しくは好ましくは固定される吸着層4及び支持層3から離れた吸着層4の側に配置されたカバー層5とを具備する複数層構造2を有する。さらに、前記吸着濾過材料1は、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層6、好ましくは結合された粒子及び/若しくはエアゾール濾過層6に装着される。
【0054】
本願発明の好ましい例において、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層6は、前記吸着層4とカバー層5の間に配置される。言い換えると、前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層6は、前記支持層3から離れた側の吸着層4に配置される。使用状態において、エアゾール及び/若しくは粒子を含み、外側カバー層5を通過した後最初に無害化されるべき有害物は、粒子及び/若しくはエアゾール濾過層6に接触し、そこで当該有害な粒子及びエアゾールが無害化され、粒子及びエアゾールが取り除かれた後化学的及び/若しくは生物学的有毒物がまだ残っている有毒流は、吸着層4に接触し、そこで残りの有害物が吸着処理によって無害化され、触媒が存在する場合には、付加的に分解処理によって無害化される。
【0055】
本願発明の吸着濾過材料1に関するさらなる詳細については、上記所見を参照すること。
【0056】
さらに、本願発明は、ある種の防護材料、特に民間又は軍事部門のための防護服、防護手袋、防護履物、防護靴下、頭部保護衣類等の防護衣料品、及びある種の防護カバー、好ましくはNBC配備のための上述した全ての防護材料を製造するための上述したような本願発明の防護濾過材料の使用を提供する。
【0057】
さらに、本願発明は、ある種のフィルタ及びフィルタ材料、特にNBC防毒マスクフィルタ、消臭フィルタ、シートフィルタ、空気フィルタ、特に室内空気浄化用フィルタ、吸着可能支持構造及び医療部門用フィルタである空気流及び/若しくはガス流からある種の有毒物、悪臭及び有害物質を排除するためのフィルタを製造するための上述したような本願発明の防護濾過材料の使用を提供する。
【0058】
また、本願発明は、本願発明の吸着濾過材料を使用して製造され、且つ/又は本願発明の吸着濾過材料を具備する民間用又は軍事用の上述したある種の防護材料自体、特に防護服、防護手袋、防護履物、防護靴下、等簿防護品等の防護衣料品及び/若しくは防護カバー、好ましくはNBC配備のための上述した全ての防護材料自体を提供する。
【0059】
最後に、本願発明は、本願発明の吸着濾過材料を使用して製造され、且つ/又は本願発明の吸着濾過材料を具備するある種のフィルタ及びフィルタ材料、特にNBC防毒マスクフィルタ、消臭フィルタ、シートフィルタ、空気フィルタ、特に室内空気浄化用フィルタ、吸着可能支持構造及び医療部門用フィルタである空気流及び/若しくはガス流からある種の有毒物、悪臭及び有害物質を排除するためのフィルタ及びフィルタ材料を提供する。
【0060】
本願発明に係る上述した使用に関するさらなる詳細について、本願発明に係る上述した製品に関するさらなる詳細については、本願発明に係る使用及び本願発明に係る製品に関して適当な変形を加えて適用可能である本願発明の吸着濾過材料に関する上記記載を参照すること。
【0061】
本願発明の具体例、改良及び変更は、本願発明の範囲を離れることなしに、明細書を読むことによって、当業者には容易に認識され、理解可能なものである。
【0062】
本願発明は、下記する実施例を参照して説明されるが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
4つの異なる吸着濾過材料が製造された。いわゆる不織布の形の異なる粒子及びエアゾール濾過層を有する3つの本願発明に係る吸着濾過材料と、粒子及びエアゾール濾過層を幽さない比較用吸着濾過材料である。
【0064】
すべての吸着濾過材料は、点グリッドの形の接着剤約40g/mを含む約100g/mの単位面積重量を有する織物支持層をプリントすることによって製造され、それに続いて約0.3mmの平均径を有する活性炭小球が、約180g/mの付加量でそれに接着される。
【0065】
接着剤の架橋及び硬化の後、150g/m2の単位面積重量を有する織物カバー層は、比較用吸着濾過材料の場合は活性炭層に積層され、3つの本願発明の吸着濾過材料の場合は不織布の形の粒子及びエアゾール濾過層は、前記活性炭層とカバー層の間に設けられ、前記粒子及びエアゾール濾過層は、3つ全ての本願発明の吸着濾過材料の場合において外側カバー層の内側表面に積層される。
【0066】
3つ全ての本願発明の吸着濾過材料に使用される粒子及びエアゾール濾過層は、それぞれの場合に127Paの流抵抗時に約400リットル・m−2・s−1の空気透過度と共に約40g/mの単位面積重量及び100μm以下の細孔径を有する合成繊維不織布である。
【0067】
本願発明の第1、第2及び第3の吸着濾過材料の場合において、平均繊維径は、それぞれ約10μm、約2μm及び約0.5μmであり、織物繊維の平均径に対する不織布の平均細孔サイズの比率は、それぞれ約8、約45、約180である。
【0068】
4つ全ての吸着濾過材料は、対流テストの一部として、CRDEC−SP−84010の方法2.2によってマスタードガスに対するそれらのバリヤ効果に関するテストが実施される。この目的のために、マスタードガスを含む空気流は、吸着濾過材料に対して一定の流抵抗で且つ約0.45cm/sの流速度で流されると同時に、単位面積漏出量が16時間後に測定される(相対湿度80%、32℃)。4つすべての吸着濾過材料について、マスタードガスに対する漏出量は、あきらかに4μg/cm以下であるので、全ての吸着濾過材料は、化学兵器物質に関して良好な防護性能を具現する。
【0069】
そして、4つ全ての吸着濾過材料は、それぞれDINEN779(1993年7月)による平均自然塵効率Emについて、且つそれぞれDINEN779(1993年7月)による平均人工塵効率Amについて試験される。DINEN779(1993年7月)による平均自然塵効率Emは、第1(本願発明)、第2(本願発明)、第3(本願発明及び第4(比較)の吸着濾過材料のそれぞれで、約66%、約86%、約92%及び約46%であり、DINEN779(1993年7月)平均人工塵効率Amは、第1、第2、第3及び第4の吸着濾過材料のそれぞれで、約72%、約89%、約97%及び約45%である。これは、本願発明の吸着濾過材料が、不織布織物繊維平均径に対する不織布平均細孔サイズの比率の上昇と共に上昇する良好な粒子及びエアゾール防護性を提供するので、本願発明の吸着濾過材料は、所定の粒子及びエアゾール防護性を有し、比較用吸着濾過材料は、それよりも低いものとなっている。
【0070】
4つの吸着濾過材料は、さらにDINEN1822(1998年4月:DEHSエアゾール、MPPS=0.1〜0.3μm)による累積初期透過率Diについて試験される。前記累積初期透過率Diは、第1、第2、第3及び第4の吸着濾過材料について、約20%、約15%、約5%及び約88%である。比較用吸着濾過材料は、予期したように、不十分な累積初期透過率Diを有することが見出された。この値は、3つの本願発明の吸着濾過材料については十分なものであるが、使用された不織布の織物繊維の平均直径に対する使用された不織布の平均細孔サイズの比率の上昇に伴って上昇するように改善できることが見出された。
【0071】
さらに、3つ全ての吸着濾過材料は、1.5μm以下の径を有する粒子及びエアゾールに対して約95%の捕集率を有し、この捕集率は、比較用吸着濾過材料については、40%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本願発明の実施例に係る吸着濾過材料の層構造を示し、且つ吸着層が、個々の吸着粒子、特に活性炭粒子から形成されることを示した概略断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 吸着濾過材料
2 層構造
3 支持層
4 吸着層
5 カバー層
6 粒子及び/若しくはエアゾール濾過層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的及び/若しくは化学的有害物、特に生物兵器及び/若しくは化学兵器に対する一体化された粒子及び/若しくはエアゾール防護性及び防護性能を有する吸着濾過材料(1)において、
前記吸着濾過材料(1)は、複数層構造(2)を有し、
該複数層構造(2)は、
支持層(3)と、
該支持層(3)に結合され且つ固定される吸着層(4)と、
前記支持層(3)から離れた吸着層(4)の側面に配置されるカバー層(5)を具備すると共に、さらに、
粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)、特には粒子及びエアゾール濾過層(6)を備えることを特徴とする吸着濾過材料。
【請求項2】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、前記吸着層(4)及び前記カバー層(5)の間に配され、且つ/又は
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、前記支持層(3)から離れた吸着層(4)の側面に配されることを特徴とする請求項1記載の吸着濾過材料。
【請求項3】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、1〜100g/m2の範囲内の単位面積重量を有し、且つ/又は0.001〜10mm、特に0.01〜5mm、好ましくは0.01〜1mmの範囲内の厚さを有することを特徴とする請求項1又は2記載の吸着濾過材料。
【請求項4】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、織物繊維からなる織物であり、織物繊維の平均径が、0.05〜50μmの範囲内、特に0.1〜50μmの範囲内、好ましくは0.2〜30μmの範囲内、より好ましくは0.2〜20μmの範囲内、最も好ましくは0.5〜10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の吸着濾過材料。
【請求項5】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、織物繊維からなり且つ織物繊維によって形成される細孔又はメッシュを有する織物であり、該織物が、200μm以下、特に100μm以下、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下、最も好ましくは40μm以下の平均細孔サイズ又はメッシュサイズを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の吸着濾過材料。
【請求項6】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、織物繊維からなり且つ織物繊維によって形成される細孔又はメッシュを有する織物であり、織物繊維の平均径に対する平均細孔サイズ又はメッシュサイズの比率が、0.1〜2000の範囲内、特に1〜500の範囲内、好ましくは5〜350の範囲内、より好ましくは10〜300の範囲内、最も好ましくは25〜250の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の吸着濾過材料。
【請求項7】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、少なくとも40%、特には少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のDINEN779(1993年7月)による平均自然塵効率Emを有し、且つ/又は
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、少なくとも50%、特には少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%のDINEN779(1993年7月)による平均人工塵効率Amを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の吸着濾過材料。
【請求項8】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、50%以下、特に40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下のDINEN1822(1998年4月:DEHSエアゾール、MPPS=0.1〜0.3μm)による累積初期透過率Diを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の吸着濾過材料。
【請求項9】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、0.1m/sの流入速度で0.1〜0.3μmの範囲内の径を有しする粒子及び/若しくはエアゾールに関して、少なくとも80%、特に少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の平均捕集率を有すること、且つ/又は、0.1m/sの流入速度で、2μm以下の径、特に1.5μm以下の径を有する粒子及び/若しくはエアゾールに関して、少なくとも95%、特に少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の平均捕集率を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の吸着濾過材料。
【請求項10】
前記粒子及び/若しくはエアゾール濾過層(6)は、127Paの流抵抗で、少なくとも10リットル・m−2・s−1、特に少なくとも30リットル・m−2・s−1、好ましくは少なくとも50リットル・m−2・s−1、より好ましくは100リットル・m−2・s−1、最も好ましくは400リットル・m−2・s−1のガス浸透性、特に空気浸透性を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の吸着濾過材料。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載された吸着濾過材料を使用して製造されたことを特徴とする防護服、防護手袋、防護履物、防護靴下、頭部保護衣類のような防護衣料品、及び防護カバー、好ましくはNBC配備のための前記防護材料、特に民間用又は軍事用の防護製品。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一つに記載された吸着濾過材料を使用して製造されたことを特徴とするNBC防毒マスク用フィルタ、消臭フィルタ、シートフィルタ、空気フィルタ、特に室内空気浄化用フィルタ、吸着可能支持構造体及び/若しくは医療用フィルタのような空気及び/若しくはガス流から有毒物、悪臭物及び有害物質を排除するためのフィルタ及びフィルタ材料。


【図1】
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【公開番号】特開2007−229710(P2007−229710A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41763(P2007−41763)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】