説明

一体型のヒートシンクを備えるコネクタ

【課題】放熱性にすぐれた入出力コネクタを提供する。
【解決手段】レセプタクルコネクタ10は、ポート30を画成している。該ポートは、嵌合モジュールと係合するように構成されたばねフィンガーを有している。該ばねフィンガーは、前記ポートを画成するケージの一部を提供するように構成することができる熱伝達プレートと熱的に接続されている。フィン300は前記熱伝達プレートの上に取り付け若しくは一体に設けることができる。作動の際には、挿入されたモジュールからの熱エネルギーは、モジュールからばねフィンガーに、次いで熱伝達プレートに、さらに熱放散システムに伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2011年11月8日に出願された米国仮出願第61/556,890号、および2012年5月1日に出願された米国仮出願第61/640,786号に基づく優先権を主張する。なお、その両方の内容の全体がこの参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は電気コネクタの分野に関し、より詳しくは、入出力(I/O)コネクタの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なI/Oコネクタシステムは、ケーブルアセンブリおよび基板に取り付けられたコネクタを備えている。このケーブルアセンブリは、一般的にケーブルの両端部に一対のプラグコネクタを有し、所望の距離を超えて信号を送信するように構成されている。基板に取り付けられたコネクタは、典型的に、レセプタクルがプラグコネクタを受け入れて嵌合するように構成されてパネルに位置決めされたレセプタクルである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データ速度が増加するにつれてその克服が困難であった一つの問題は、プラグコネクタ間で信号を伝達するために用いられている媒体の物理的な限界である。例えば、パッシブケーブルは、短い距離においては費用効果が優れているが、信号周波数が高まるにつれて距離に関する制限を受ける傾向がある。アクティブな銅および光ファイバケーブルは、より長い距離での信号伝達に適しているが、電力を必要とすることにより、コネクタシステムが適切に設計されていないと熱の問題を生じる傾向がある。1つの解決策は、レセプタクルにライディングヒートシンク(riding heat sink)を用いることである。しかしながら、既存の解決案はいくらか有効ではあるものの、十分な熱処理能力を必要とするという問題を抱えている。これにより、ある人々は、熱管理における更なる改善がなされると喜ぶであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
レセプタクルコネクタは、嵌合モジュールを受け入れるように構成されたポートを有している。このポートには、嵌合モジュールと係合するように構成されたばねフィンガーが設けられている。これらのばねフィンガーは、ポートを画成する壁の一部を提供するように構成された熱伝達プレートと熱的に連通している。熱伝達プレートには、フィンを取り付けることができる。作動の際には、モジュールからの熱エネルギーはモジュールからばねフィンガーに伝達され、かつ熱エネルギーはばねフィンガーから熱伝達プレートおよび(もし有れば)フィンへと順番に伝達される。コネクタシステムは、空気が前部から後部へと流れるように構成できる。これにより、図示のコネクタシステムは、典型的にその一方の側(例えば、前部若しくは後部)から他方の側へと空気を導くラックシステムのような構造における使用に適している。必要に応じて、レセプタクルは、上下方向に位置合わせされた2つのポートを有する積み重ねられたコネクタ構造とすることができる。
【0006】
本発明は、添付の図面にその一例が示されているが、それに限定されるものではなく、かつ類似の参照符号は同様な要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コネクタアセンブリの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタアセンブリを示す分解斜視図である。
【図3】積み重ねられたレセプタクルコネクタの一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3の積み重ねられたレセプタクルコネクタの要部を示す分解斜視図である。
【図5】図3の積み重ねられたレセプタクルコネクタの他の要部を示す分解斜視図である。
【図6】レセプタクルコネクタシステムの一実施形態における、図1中の破断線6−6に沿った断面斜視図である。
【図7】レセプタクルコネクタのポートの一実施形態を示す部分断面側面図である。
【図8】部分的なレセプタクルコネクタシステムにおける、図1中の破断線8−8に沿った斜視断面図である。
【図9】熱管理システムの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図10】モジュールからの熱移動を示すフローチャートである。
【図11】レセプタクルコネクタの一実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11のレセプタクルコネクタ示す部分分解斜視図である。
【図13】熱伝達プレートの一実施形態を示す斜視図である。
【図14】熱伝達プレートの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図15A】図11の実施形態における破断線15−15に沿った断面斜視図である。
【図15B】図15Aの実施形態を示す他の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、例示的な実施形態を説明するものであり、特別に開示した組合せに限定されることを意図するものではない。したがって、特に明記しない限り、本明細書に開示した特徴は、簡潔を期するために特に図示しなかった追加の組合せを形成するべく互いに組み合わせることができる。
【0009】
図から理解できるように、レセプタクルコネクタ10は、典型的に、(ベゼル20(bezel)の一部が描かれている)ベゼル20の背後に取り付けられる。ベゼルがレセプタクルの前部に位置決めされ、かつその反対側の端部を後部と考えるならば、このシステム構造は前部から後部へと空気が流れることを許容する。このシステム構造が前部から後部へと空気が流れることを許容するように設定される場合、ベゼル20は空気取入口25を有することができるが、それはベゼル内に形作られた一つ若しくは複数の好ましい開口から形成できる。理解できるように、その開口のサイズは、そのような開口のパターンとともに、主としてシステムを冷却するために必要な所望の空気の流れによって、必然的に定まるので、この分野の当業者はシステムの必要性に応じて所望の空気取入口25を決定できる。
【0010】
コネクタシステム1は、基板5上に配置されたコネクタ10を有すると共に、ベゼル25の開口22内に配置されたポート30を有している。ポート30は嵌合するプラグコネクタを受け入れるように構成されている。図に描かれているように、ベゼル20を通って空気が吸引されるように設計できる。EMIシール26およびガスケット28が、コネクタ10のベゼル20に対する封止を助けている。
【0011】
図に描かれているように、シールドアセンブリ50は、第1および第2のレセプタクルアセンブリ90を連結するトップカバー51を有している。図に描かれているように、選択的なトップカバー51は、回路基板5から離れるように空気流を導くために用いることができる開口40を有しながらも、2つの隣接するレセプタクルコネクタを互いに連結している。トップカバー51が2つのケージアセンブリ100の間で延びているので、このトップカバーは、前部から後部へと空気を導くように構成し得る後部通路42の形成に役立っている。
【0012】
図に描かれているように、各レセプタクルアセンブリ90は、主要部分100bおよび後方部分100aを具備したケージアセンブリ100を有すると共に、主要部分の壁105に取り付けられた熱伝達プレート125、125’を更に有している。熱伝達プレート125、125’の間に配置されているものは、熱伝達プレート125を支持できる表面111を有した中央ガイド110である。理解できるように、この表面は、熱伝達プレート125のための十分なスペースを提供すべく段差を設けることができる。もちろん、図に描かれているレセプタクル90が、積み重ねられたポート30を提供する点に留意すべきである。単一のポートを有した小さな輪郭のレセプタクルコネクタもまた適しており、選択的な中央ガイド110を省略すると共に、それに代えて単一の熱伝達プレート125を有することができる。図に描かれているシステムは、ポート30の上側および底側と考え得るものの上にばねフィンガープレート151、152を有しているが、他の構成もまた予想し得ることには留意しなければならない。熱の問題が小さい場合の構成として、例えば、単一のばねフィンガープレートを用いることができる。ばねフィンガープレートおよび熱伝達プレートは、モジュールの(図示されている側部ではなく)上方若しくは下方に配置された熱伝達領域で(モジュールの上部および底部ではなく)モジュールの1つ若しくは2つの側部と係合するように構成することもできる。
【0013】
各ケージアセンブリ100は、先端部分215、215’を支持している主要部分210を含むハウジング200を囲んでいる。先端部分215、215’は、嵌合モジュールからパドルカード(paddle card)を受け入れるように構成されたスロット220、220’を支持している。前方ケージ壁230は、主要部分210の周囲への電気的な壁の画成を助けるテール232を有している。図に描かれているように、光導波路245は、先端部分215、215’の間で前方に延びるように配置かつ構成できる。
【0014】
必要に応じ、熱伝達プレートは、一つのポートを超えて上下方向に延びることができる。例えば、図9に描かれている熱伝達プレート125は、主壁Cが2つのポートの高さにわたって上下方向に延びるとともに、側壁A、Bが対応するポートに挿入されたプラグの単一の側部とそれぞれ係合する(側壁Bが上側に係合し、かつ側壁Aが底側に係合する)ように構成できる。必要ならば、熱伝達プレートを1つの部品とする必要はなく、それに代えて複数の部品から形成できることには留意すべきである。理解できるように、このことは熱伝達プレートが、2つの積み重ねられたポートに沿って上下方向に延びる主壁を有すると共に、挿入されたプラグコネクタの2つの表面に係合する側壁を提供することを可能にする。更に理解できるように、主壁Cがポート(または複数のポート)の第1の側部30aに沿っており、側壁Aがポートの側部30bに沿っており、側壁Bがポートの側部30cに沿っている。側部30b、30cが、2つの異なるポートの2つの異なる側部における同じポートの反対側でありうるということは留意されるべきである。図に描かれている熱伝達プレートはU字型の設計に描かれているが、L字型の形態を提供するように一方の側部を取り除き得ることはさらに留意されるべきである。また、ばねフィンガーを主壁上に配置することもできるが、そのような構成は取り除き得る熱エネルギーの量を減少させることになりがちである。
【0015】
加えて、より複雑な熱伝達プレートを必要とする場合、熱伝達プレートは、熱抵抗が銅板よりも低い蒸気チャンバ若しくはいくつかの他のシステムから形成された主壁を有する。しかしながら、ほとんどの用途においては、銅板から形成された熱伝達プレートで十分である。また、フィン300を(図示されている)コネクタの間の側部に配置する必要がないことは留意されるべきである。そのようなシステムはある種の利点を提供する。しかしながら、コネクタ上の空気の流れから利益を得るようにシステムが設計される場合は、熱伝達プレートがコネクタの上に熱エネルギーを導かせ、コネクタ10上にフィン300(例えば、液体冷却等の他の望ましい熱エネルギー伝達システム)を位置づけるようにすることが望ましい。
【0016】
理解できるように、図に描かれている構成は、積み重ねた構成を可能にする能力を持つとともに、長方形に形作られたモジュール(例えばSFPスタイルのモジュール)が上部および底部に有している増加した表面領域を利用して熱抵抗を最小化する。加えて、対抗する側部にばねフィンガープレートを設けることは、対向するばねフィンガーがモジュールを中央に配置する傾向があるので、機械的にバランスのよいシステムの提供を助ける。ここで留意されるべきことは、各ばねフィンガー161によって提供される接触力が、所望する熱抵抗(接触力の増加は熱伝導率を改善する傾向がある)、および所望のモジュール挿入力(接触力を増加させると必要な挿入力が増加する傾向がある)に応じて変化させ得ることである。その結果、輪郭および接触力は、それには限定されないが、ばねフィンガー一つ当たり約100〜400グラムの力の範囲内で、システムの必要条件を満たすべく調整することができる。
【0017】
図に描かれているように、熱伝達プレート125は溝130を有している。図に描かれている溝130は、熱伝達プレート125を貫通して延びていて、ばねフィンガー161の接点162、162’が挿入されたモジュールと係合するときに、ばねフィンガー161、161’のテール163、163’のための変位領域を提供する。したがって、嵌合するモジュールが第1の方向166に挿入されるときに、ばねフィンガー161は第2の方向164および第3の方向165に移動するが、第2の方向154および第3の方向165は互いに反対方向である。理解できるように、他の実施形態においては、溝によって提供される機能を、熱伝達プレート125を貫通して延びない熱伝達プレート125のスロットまたは凹溝によって提供されることもできる。これより、熱伝達プレート125の変位領域は、凹部若しくは熱伝達プレートを貫通して延びていない溝とすることができる。
【0018】
ばねフィンガープレート151、152、153、154はそれぞれ複数のばねフィンガー161を有しているが、それらは接触面162、162’およびテール163、163’を有している。図に描かれているように、ばねフィンガー161は列160に配置されており、各列は複数のばねフィンガー161を有している。ここで留意されるべきことは、図に描かれている列のパターンは、熱伝達プレート125の溝130とテール163、163’を位置合わせしているので、モジュールをポート30に挿入したときに、テール163、163’は溝130の内側に変位できることである。しかしながら、列を用いることは必要ではなく、必要に応じて他のパターンとすることもできる。
【0019】
ばねフィンガー161は、挿入されたモジュールと係合するように構成されて、挿入されたモジュールに対し多くの熱的な接点を提供する。そのような設計の利点は、モジュールと係合する単一のプレートを用いる傾向にある既存の設計に比較すると、複数のばねフィンガー161はモジュールの表面と別々に係合できるので、モジュール表面の平坦度の変動により適していることにある。全体的な表面領域は(ライディング(riding)ヒートシンク設計において、典型的に用いられる大きなプレートに比較して)減少するが、複数のばねフィンガーの使用が非常に有効であることが確認された。実際、驚いたことに、モジュールとばねフィンガープレートとの間に提供される熱抵抗は、モジュールと平坦面を有したフローティングヒートシンクとの間に典型的に提供されるものよりも低い。
【0020】
熱抵抗は、各フィンガーに伴うばね力を増加させることによって、またばねフィンガーの数を変更することによって制御できる。一般的に言って、ばね力およびばねフィンガーの数の限定は、最大限許容される挿入力と、挿入すべきモジュールから取り除く必要がある熱エネルギーとに基づく。
【0021】
ばねフィンガープレートは、2つの構造の間の熱抵抗を最小化するために熱伝達プレートに取り付けることができる。例えば、一つの実施形態においては、ばねフィンガープレートをリフロープロセスによって、熱伝達プレートにはんだ付けをすることができる。一つの実施形態においては、このリフロープロセスは、効率的な製造工程を提供すべく、熱伝達プレートへのフィン300の取り付けに合わせて実施できる。もちろん、(熱接着剤の使用といった)他の取付方法を用いることもできる。はんだによる取り付けは極めて低い熱抵抗を提供するが、(薄く保たれたときには)熱伝導性の接着剤もまた適している。全体的な表面積が十分であって、嵌合する2つの構造の間に低い熱抵抗を提供するからである。ここで留意されるべきことは、一つの実施形態において、熱伝達プレートとばねフィンガープレートを単一構造に組み合わせ得ることである。しかしながら、そのような構造は、大量のプロセスの製造にとってはより挑戦的であり、したがって2つの部分による構造がより低いコストを提供すると考えられる。
【0022】
フィン300は、レセプタクルからレセプタクル上を流れる空気への熱伝達を改善するべく、増加した表面領域を提供するように構成される。図に描かれているように、フィン300は、前方から後方へ(その逆もまた同じ)と流れる空気への良好な熱伝達を提供するすように構成される。しかしながら、フィン300の形状は、所望の空気の流れ方向に適するように変更できる、したがって、図に描かれている形状は単なる例示にすぎない。ここで留意されるべきことは、フィンは選択的なものであって、フィンを設ける代わりに熱伝達プレートの表面を用い得ることである。加えて、液体で冷却するように構成されたシステムは、熱伝達プレート上に静置された管路を設けて、熱伝達プレートから離れる様に熱を伝導するように構成される。加えて、フィンを必要とする場合、このフィンを熱伝達プレートの一部として形成できる。しかしながら、理解できるように、熱伝達プレートと別体にフィンを形成することの1つの利点は、フィンを特定の空気流れ構造に合わせて設計して所望の方向(例えば、コネクタの側方、上方など)に配置できるため、コネクタの設計にかなりの柔軟性が提供される点にある。
【0023】
図8から理解できるように、フィン300は積み重ねられた2つのコネクタの間にかなりのスペースを占めている。したがって、本明細書において、議論したようにサイズおよび位置を変更してポート30の間のスペースを減少させることができる。
【0024】
したがって、全体的に、モジュールからの熱エネルギーはばねフィンガー(したがって、ばねプレート)に伝達される。ばねプレートを熱伝達プレートにはんだ付けした場合は、ばねフィンガープレートと熱伝達プレートとの間の熱抵抗を最小とすることができる。同様に、選択的なフィンを熱伝達プレートにはんだ付けした場合も、熱抵抗を最小とすることができる。これにより、図10に示した熱エネルギーの経路を参照すると、モジュールとフィンの間の温度差を15℃以下、ある実施形態においては概ね10℃とすることができる。一般に、(フィンとフィンの上を流れる外部空気との間の温度降下以外の)最大の温度降下はモジュールとばねフィンガープレートの間であり、一つの実施形態においては、モジュールとばねフィンガーとの間の温度差は他の部品間における温度差より実質的に大きい。
【0025】
様々な実施形態を考察し得るが、ここで留意されるべきことは、図に描かれているモジュールとフィンとの間の熱の経路の構成は、意図する熱の経路に合わせて溝を位置合わせすることができるので、熱抵抗に与える影響を最小にするということである。
【0026】
図10から理解できるように、モジュールがコネクタに挿入されたときに、熱エネルギーはステップ400において、モジュールに発生する。この熱エネルギーは、ステップ410において、ばねフィンガーによって、モジュールから離れるように導かれる。次いで、熱エネルギーは、ステップ420において、熱伝達プレートに伝達される。最後に、熱エネルギーは、ステップ430において、システムから離れるように熱エネルギーを導くシステムに伝達される(ステップ430は、例えばフィン300によって、実行できるが、それには限定されない)。しかしながら、ここで留意されるべきことはあるシステムにおいては、モジュールから離れるように熱エネルギーを導く改良された能力がシステムを冷却するために十分であるときに、フィン(若しくは特別な熱伝達システム)を省略できることである。しかしながら、多くの用途において、モジュールにおける増加したパワー出力は、いくつかの種類の熱伝達システムを望ましいものとする。
【0027】
図11〜図15Bは、先に議論した特徴の変更を含むレセプタクルコネクタ210の他の実施形態を示している。図に描かれているように、レセプタクルコネクタ210は、ハウジング400を囲むように構成されたケージアセンブリ350を有している。(図に描かれているように、互いに組み合わせられる多くの別々の要素によって、形成できる)ケージ(cage)アセンブリ350は、熱システム301の使用を可能にする側部開口360および上部開口355を有している。この熱システム301は、主壁302、上部側壁306および底部側壁304を具備した熱伝達プレート301aを有している。当然、いくつかの側壁を必要に応じて追加できるが、必要に応じて1つの側壁を用いることもできる(そのようなシステムは、積み重ねない構造にとって最も有益である)。
【0028】
理解できるように、主壁302が両方のポート230a、230bに沿って上下方向に延びているので、2つのポート間における熱の移動の必要がなくなる(これにより、熱抵抗を低く保つのを助ける)。必要に応じ、図に描かれているように、主要な壁302は、追加の表面領域を提供すべく上部ポートより上方に延びることもできる。
【0029】
理解できるように、図1〜図9に関連して先に議論した2部分のフィンおよび壁デザインが適しているが、図11〜図15Bに描かれている熱伝達プレートの主壁302は、選択的なフィン307を主壁302と一体化するために押出成形によって、形成することができ、これによって、2つの要素間の熱の移動が減少する。フィン307は、熱放散要素として作用する。もちろん、主壁302若しくは側壁の1つから離れる様に熱エネルギーが伝達することを助けるために、液体充填容器を有した液例方式の解決策を熱放散要素として用いる(これにより、フィンを置き換える)こともできる。液冷方式の解決策を用いると、熱伝達プレートと熱放散要素の統合をいくらか複雑にすることが予想される(例えば、熱消散要素は、熱伝達プレートにはんだ付けされることから利益を得る)。
【0030】
上部側壁306は、この上部側壁306から離れる様に第1の方向Xに延びるフィン309を有しているが、主壁302は、熱伝達プレート302から離れる様に第2の方向Yに延びるフィン307を有しており、かつ第1の方向Xと第2の方向Yは垂直である。この配置の1つの利点は、押出成形されたフィン設計が可能であり、かつ対応するコネクタの側部および上部の両方へのフィンの配置に適していることにある。
【0031】
図に描かれている上部側壁306は、ケージアセンブリ350の壁と係合するように構成されたフィンガー317を有したばねフィンガープレート316を支持している。このばねフィンガープレート316はまた、先に議論したばねフィンガー161と同様に機能し得る複数のばねフィンガー318を支持している。特にこれらのばねフィンガーは、支持側壁から離れる様に延びるとともに、支持側壁に向かって撓むように構成されている。1つの違いは、ばねフィンガー318が、支持側壁の凹部を必要とするテールを含んでいないことにある。理解できるように、テールを持つか持たないかは、所望の接触インタフェースおよび所望の引込量に応じて決まる。図に描かれているばねフィンガープレート315、316は、上下方向の壁321を有すると共に、対応するポートの底部の下方に延びる保持脚320を支持しており、かつ保持部材322を有することができる。このとき、その両方が、対応するケージアセンブリへの熱システム301の固定を助ける。しかしながら、ここで留意されるべきことは、上下方向壁321、保持脚320および保持部材322は選択的であり、用途に応じて一つ若しくは他のものを用いる(または両方を省略する)ことができることである。
【0032】
側壁304、306を主壁302に固定するために、側壁の適所への固定を助ける溝311a、311bを設けることができる。一つの実施形態においては、側壁304、306を適所にはんだ付けすることができる。(そのような構造は必要ではないが)ばねフィンガープレートを適所にはんだ付けすることも予想されるので、すべてを一度にはんだ付けする場合には、ある規模の経済性を得ることができる。
【0033】
図15Aおよび図15Bから理解できるように、図に描かれている設計の1つの利点は、挿入されたモジュールの上部からの熱エネルギーを取り除くことができることにある。熱エネルギーが増加すると、モジュールの上部は最も熱くなりがちである。したがって、図に描かれている設計は、システムを相対的にコンパクトに保ちつつ、モジュールからの熱エネルギーをシステムから離れるように導くことにおいて、効率的である。図11〜図15Bに描かれている設計の1つの利点は、コンパクトであって、特定のスペースに配置できるコネクタの数の増加を助けることにある。もちろん、この追加のコンパクトさは、選択的なフィンの表面領域を減少させて、熱を放散させる能力を制限する。ある設計において、予想されることは、主壁上のフィンを取り除くとともに、上部側壁上のフィンを液体冷却チャンバに置き換えることが望ましいということである。したがって、図に描かれたコネクタシステムは1つの特定の熱放散システムと共に動作することには限定されない。
【0034】
本明細書の開示は、その好ましくかつ例示的な実施形態に関して特徴を記載したものである。特許請求の範囲および趣旨ならびに本開示の範囲内に含まれる多くの他の実施の形態、修正および変更を当業者は見出すであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポートを画成するケージと、
その一部に配置されたカードスロットを有し、前記ケージの内部に配置されたハウジングと、
主壁および側壁を有する熱伝達プレートと、
前記ポート内に挿入されたモジュールと係合するように構成された、前記側壁に取り付けられた複数のばねフィンガーを支持するばねフィンガープレートと、
を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記主壁が複数のフィンを支持している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記フィンが前記主壁と一体化されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ポートが第1のポートであって、前記ケージは第2のポートを画成しており、
前記第1および第2のポートは上下方向に積層されており、
前記主壁は、前記第1および第2のポートの各々の第1の側部に沿って上下方向に延びるとともに、
前記側壁は、前記第1のポートの第2の側部に沿って延びる第1の側壁であり、
前記熱伝達プレートが、前記第2のポートの第3の側部に沿って延びる第2の側壁を更に有している請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ばねフィンガープレートが第1のばねフィンガープレートであり、
かつ第2のばねフィンガープレートが前記第2の側壁上に提供されている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1および第2の側壁は、前記各ポートの同一の側部に配置される請求項4に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記主壁は、第1および第2のポートの両方に沿って上下方向に延びている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記側壁が第1の側壁であり、
前記ばねフィンガープレートが第1のばねフィンガープレートであり、
前記熱伝達プレートが第2の側壁を有するとともに、該第2の側壁が第2のばねフィンガープレートを支持している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1および第2のばねフィンガープレートは、モジュールを前記ポートに挿入するときに反対方向に撓むように構成されたばねフィンガーをそれぞれ支持している請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記ばねフィンガーは、列をなすように形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記複数のばねフィンガーがそれぞれテールを有しており、前記側壁は前記テールを受け入れるように構成された複数の変位部分を有している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記変位部分は、実質的に前記側壁を貫通するようにカットされた複数の溝である請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記ノッチは、前記側壁を貫通して延びていない請求項11に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記ばねフィンガープレートは、前記側壁にはんだ付けされている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記ばねフィンガープレートは、熱伝導性の接着剤でもって前記側壁に取り付けられている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記側壁は第1の側壁であり、
前記熱伝達プレートは第2の側壁を有しており、
かつ前記第1および第2の側壁と前記主壁とがU字型構造を形成している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項17】
第1のポートおよび第2のポートを画成するケージと、
前記第1のポートに位置合わせされた第1のカードスロットおよび前記第2のポートに位置合わせされた第2のカードスロットを有し、前記ケージの内部に配置されたハウジングと、
前記第1および第2のポートに沿って上下方向に延びる主壁を具備するとともに、前記第1のポート内に配置された上部側壁および前記第2のポートの内部に配置された底部側壁を具備する熱伝達プレートと、
前記上部側壁に熱的に接続された、複数のばねフィンガーを具備する第1のばねプレートと、
前記底部側壁に熱的に接続された、複数のばねフィンガーを具備する第2のばねプレートと、
を備えるコネクタ。
【請求項18】
前記主壁が一体に形成されたフィンを具備している請求項17に記載のコネクタ。
【請求項19】
前記第1のばねプレートが、上下方向に延びる壁および保持脚を具備している請求項17に記載のコネクタ。
【請求項20】
主壁と、該主壁から延びる少なくとも1つの側壁とを具備する熱伝達プレートと、
前記側壁から離れるように延びるとともに前記側壁に向かって撓むように構成された複数のばねフィンガーを有している、前記側壁上に取り付けられたばねプレートと、
を備える熱放散システム。
【請求項21】
前記主壁および前記側壁の1つが熱放散要素を支持している請求項20に記載の熱放散システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2013−102164(P2013−102164A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−246076(P2012−246076)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】