説明

一体型医薬投薬形態

【課題】一方の成分がテノホビルDFと、必要に応じてエムトリシタビンとを含み、他方の成分が少なくともエファビレンツを含む多成分投薬形態を提供すること。
【解決手段】本発明に従って、エファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFを含有する新規な医薬製品を、成分1がテノホビルDF(および、必要に応じてエムトリシタビン)を含み、成分2がエファビレンツを含む多成分一体型経口投薬形態であって、成分1および2が安定化している配置にある投薬形態として提供している。好ましい実施形態において、成分1は乾式造粒により製造される。テノホビルDFと、界面活性剤とを含む組成物であって、該界面活性剤が、テノホビルDFとの安定化している配置にある組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本出願は、知られている抗ウイルス性化合物エファビレンツ(efavirenz)(商標名Sustiva、EFVとしても知られる)、エムトリシタビン(emtricitabine)(商標名Emtriva、FTCとしても知られる)、およびテノホビル(tenofovir)DF(フマル酸ジソプロキシル(disoproxil fumarate)、TDFとしても知られる)(商標名Viread;エムトリシタビンと組み合わせて、商標名Truvadaのもとに販売される)を使用した、ウイルス感染症、特にHIV感染症を治療するための製品に関する。
【背景技術】
【0002】
Truvada製品は、エムトリシタビンおよびテノホビルDFの湿式造粒により製造され(特許文献1)、状況によって化学的に安定な投薬形態をもたらす。この製品は、エファビレンツを含有しない。
【0003】
エファビレンツならびにエムトリシタビンおよびテノホビルDFを使用したHIV治療が、望ましいと考えられている(本明細書において以後「3種併用」;特許文献1を参照されたい)。しかし、商業的に存続可能な3種併用製品を製造するには、最終製品が、商業用製品Viread(フマル酸テノホビルジソプロキシル)、Emtriva(エムトリシタビン)、およびSustiva(エファビレンツ)への生体内利用率等価性についての厳密なFDA要求条件を満たすこと、ならびに錠剤が、患者が嚥下するのに適した大きさであることを要するであろう。
【0004】
湿式造粒により製造し、3種の薬剤を単に組み合わせて(活性医薬中間体(active pharmaceutical intermediate)、またはAPI)、一体化した、本質的に均質な組成物とする初期の取組みでは、化学的に安定な錠剤を製造できなかった。安定性試験において、この併用型錠剤中のテノホビルDFは極めて不安定であり、速やかに分解した。エファビレンツ製剤は、予想外なことにテノホビルDFとの適合性がなく、今では製剤のエファビレンツ部分中に見出される界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)による結果であった。
【0005】
今度は、3種の組合せ部分を乾式造粒するステップを用いかつ界面活性剤を省いて、3種併用剤を製造する他の試みが行われた。これによると、ヒト臨床試験においてエファビレンツに関連した生体内利用率等価性を達成できない錠剤がもたらされた。血流中のエファビレンツピーク濃度および総薬物曝露(CmaxおよびAUC)は両方とも、商業的相当品Sustiva(エファビレンツ)錠剤について測定されたパラメータ未満であった。本発明者らは、3種併用型(エファビレンツ/エントリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル)錠剤中において、少なくとも界面活性剤が、Sustivaとの生体内利用率等価性を達成する必要があると結論付けた。
【0006】
次に、エファビレンツ成分を界面活性剤および他の賦形剤と共に湿式造粒し、乾式造粒を用いTruvada成分を別個に製造し、これらの造粒物を一緒に混合し、混合物を圧縮して錠剤とし、次いで錠剤にフィルムコーティングを施すことにより併用型錠剤を製造した。予想外なことに、この取組みも、商業的製品Sustiva(エファビレンツ)と臨床試験体(すなわち提唱する商業的3種併用型製品)との間の所望の生体内利用率等価性をもたらすことができなかった。3種併用型投薬形態へのより単刀直入な取組みのこれらの欠点を克服するため、新規な、かつ発明性のあるステップが必要であった。
【0007】
同時係属の米国特許出願第60/771353号(同一年月日に出願され、また特に参照により本明細書に組み込まれている)は、3種併用型投薬形態を調製する際に遭遇する他の障害、併用型製品の大きさを縮小する際の障害の解決を対象としている。従来技術では化学的に安定なTruvada製剤の製造の成功を報告しているが(特許文献1)、これらの製剤は、APIに対し比較的低い割合の賦形剤を含有する。賦形剤の割合を増加させ、かつ3種API併用剤を湿式造粒すると、予想外なことにテノホビルDFが高度に不安定である製剤をもたらした。米国特許出願第60/771353号で報告されているように、エファビレンツ(エムトリシタビンおよびテノホビルDFに比べて比較的低い溶解度を有する)の湿式造粒を達成するのに十分な水を使用することが原因で、後二者のAPIが溶解されて共融混合物となると考えられた。造粒の間に、この共融混合物が乾燥され、結晶性APIに比べてテノホビルDFが化学的に不安定であるガラス状または非晶質の製品を形成する。過剰な水の影響を軽減するため十分な賦形剤を供給することは、取扱いし易い割合での3種併用型経口投薬形態を得るという目標と首尾一貫しなかった。
米国特許出願第60/771353号においてさらに記述しているように、この障害は、エムトリシタビンおよびテノホビルDF組成物を乾式造粒することにより、すなわちこの組成物を、不安定化する量の液体の水と接触させずに造粒することにより克服された。水(特に液体の水)を省くこと、または水の存在を非実質的な量まで低減させることは、共融混合物の不利な形成を無くし、かつ得られた医薬製品の安定性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第04/64845号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エムトリシタビン/テノホビルDF成分を乾式造粒することによりもたらされる利点にもかかわらず、テノホビルDFと、Sustiva製剤中に使用される界面活性剤との予想外の非適合性を克服することが依然として必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従って、一方の成分がテノホビルDFと、必要に応じてエムトリシタビンとを含み、他方の成分が少なくともエファビレンツを含む多成分投薬形態を提供することによって3種併用型製品のための安定性および生体内利用率等価性の目標が達成されている。本発明の他の実施形態は、テノホビルDF成分と、このテノホビルDF成分との不安定化する接触状態にはない界面活性剤成分とを含む投薬形態である。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
テノホビルDFと、界面活性剤とを含む組成物であって、該界面活性剤が、テノホビルDFとの安定化している配置にある組成物。
(項目2)
エファビレンツと、エムトリシタビンとを追加的に含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記テノホビルDFおよびエムトリシタビンが第1の成分中にあり、前記エファビレンツおよび前記界面活性剤が第2の成分中にある、項目2に記載の組成物。
(項目4)
前記第1の成分と前記第2の成分とが、物理的に分離しているが、互いに接触している、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記成分が層である、項目4に記載の組成物。
(項目6)
経口投与に適している、項目5に記載の組成物。
(項目7)
約2.5グラム未満の重さの二層型錠剤である、項目5に記載の組成物。
(項目8)
成分2が高せん断力湿式造粒により製造される、項目3に記載の組成物。
(項目9)
前記界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである、項目1に記載の組成物。
(項目10)
成分1が乾式造粒により製造される、項目3に記載の組成物。
(項目11)
エファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFの合計量が前記組成物の約60重量%を超える、項目2に記載の組成物。
(項目12)
ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースをさらに含む、項目2に記載の組成物。
(項目13)
エファビレンツ、テノホビルDF、エムトリシタビン、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびヒドロキシプロピルセルロースのおよその重量百分率が、それぞれ約39、約19、約13、約2、約7、約17、約1、および約2である、項目12に記載の組成物。
(項目14)
エファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFが、FDA認証製品TruvadaおよびSustivaと実質的に同一のAUCおよびCmaxで経口投与により患者に提供される、項目2に記載の組成物。
(項目15)
約1200mgから2300mgの重さがある(必要に応じて存在する任意のフィルムコーティングを含む)、項目7に記載の組成物。
(項目16)
前記層が、前記錠剤の軸に沿って水平に配向されている、項目7に記載の組成物。
(項目17)
項目1に記載の組成物と、乾燥剤とを含む、容器。
(項目18)
テノホビルDFを含む成分1を調製するステップと、エファビレンツおよび界面活性剤を含む成分2を調製するステップと、両成分を互いに安定化している配置に置くステップとを含む方法。
(項目19)
成分1がエムトリシタビンも含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
成分1が乾式造粒により製造され、成分2が湿式造粒により製造される、項目19に記載の方法。
(項目21)
乾式造粒されたテノホビルDFおよびエムトリシタビンをステアリン酸マグネシウムと組み合わせ、湿式造粒されたエファビレンツをステアリン酸マグネシウムと組み合わせ、かつこれらの2つのステアリン酸マグネシウム組成物を圧縮して二層型錠剤とする、項目20に記載の方法。
(項目22)
抗ウイルス治療を必要とする患者に項目1に記載の投薬形態を経口投与するステップを含む方法。
(項目23)
投薬形態が、1日1回のみ投与される、項目22に記載の方法。
(項目24)

抗ウイルス治療が抗HIV治療である、項目23に記載の方法。
(項目25)
エムトリシタビン、テノホビルDFおよびエファビレンツと、界面活性剤と、界面活性剤とテノホビルDF間における不安定化する接触を防止する手段とを含む製品。
(項目26)
エムトリシタビン、テノホビルDFおよびエファビレンツを含む組成物であって、医薬的に許容できない濃度の、FTU、モノ−POC PMPA、二量体、および混合型二量体を含まない組成物。
(項目27)
FTU、モノ−POC PMPA、二量体、および混合型二量体の前記濃度が、それぞれ3.9重量%、9重量%、1.6重量%、および1.8重量%である、項目26に記載の組成物。
(項目28)
前記濃度が、25℃/60%相対湿度で24カ月間の前記組成物の貯蔵後に測定される、項目27に記載の組成物。
(項目29)
テノホビルDF、およびエムトリシタビンを含む成分1と、エファビレンツおよび界面活性剤を含む成分2とを含む一体型投薬形態であって、成分1が、成分2との安定化している配置で空間的に配置される投薬形態。
(項目30)
経口投与に適している、項目29に記載の投薬形態。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の投薬形態は、エファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFを含む。言及したように、テノホビルDFおよびエファビレンツは、別々の成分として存在する。エムトリシタビンは一般にテノホビルDF成分中に含まれるが、他の実施形態では、エムトリシタビンはそれ自体の成分として存在し、またはエファビレンツ成分と混合される。エムトリシタビンの割付け方は、本発明の実施にとって重要なことではない。必要なことは、投薬形態中にエムトリシタビンが存在すること、ならびにテノホビルDF成分が、エファビレンツ成分中の界面活性剤と実質的に分離されていることだけである。界面活性剤がテノホビルDFと接触するのを適切に最小限とする任意の方法、添加剤、工程の特徴、または配列が、本発明を実施するのに適している。
【0012】
用語「成分(component)」は、物理的に分離している単位、または他の成分と物理的に連係し、または接触している区分を意味する。これは、単位または区分が物理的に接触していないことを意味するものではない。実際に、それらが物理的に接触しており、かつ一体化した仕掛け、物品、または組成物を形成することが一般に好ましい。連係の度合いは、単一型投薬形態として、本組成物の経口摂取を促進するのに必要とされるものというだけである。本発明には、例えば別個のウエルまたは容器としての、SustivaおよびTruvada製品との患者用パック、あるいは本質的にパッケージ溶液だけである他の連係は含まれない(もちろん、本発明の組成物は、必要に応じて、状況のもとで適切な任意の従来の形で包装または梱包されるが)。
【0013】
典型的には、本発明の投薬形態の成分は、例示的実施形態に示したように多層として、通常は2層で構成するのが便利である。しかし、エムトリシタビンがそれ自体の成分として存在する場合、その際は、本投薬形態は少なくとも三層構造で構成されるであろう。それぞれの薬剤について単一の成分である必要はない(例えば、本投薬形態は必要に応じて、それぞれの成分について2層、合計6層を含む)。したがって、本投薬形態には、多くの成分の積層体が含まれる。全ての成分の合計した全投与量が所望される量である限り、各薬剤または薬剤併用物についてのそれぞれの成分、例えば層が同数である必要はない。
【0014】
テノホビルDFと界面活性剤との所望される度合いの分離が達成される限り、これらの成分を空間的に構成する他の手段は適切なものである。例えば、錠剤の軸に沿って平面層を形成するよりもむしろ、成分は必要に応じて、それぞれの環または円筒が別個の成分を含有する環状の形で構成される。他の代替形態は、成分を連係させるプレスコーティング工程を用いることである。
【0015】
成分は一般に互いに直接接触している、すなわちそれらの間にバリヤまたは保護層は存在しない。他の実施形態において、非適合性成分間にバリヤを導入している。本発明のこの実施形態の適切な例は、非適合性成分を振り分けて別々の区分としている多区分カプセルであろう。別法として、1つのカプセル化成分がその非適合性の成分内に分配されまたは分布されているものを含む錠剤を必要に応じて提供する。一般に、テノホビルDF成分を界面活性剤から保護する手段が提供されない限り、非適合性成分を密接に、直接的に混和することは望ましくない。
【0016】
典型的な実施形態において、本発明の投薬形態の成分は、エファビレンツ成分中の界面活性剤にテノホビルDF成分が接触し不安定化することがないように、空間的に構成される。「不安定化する(destabilizing)」は、テノホビルDFの医薬的に許容できない分解の原因となることが可能なテノホビルDFと界面活性剤間の任意の接触を意味する。安定化している配列は、「医薬的に許容できない量」の任意の1つの下記の分解生成物の生成をもたらすことのないテノホビルDFおよびエファビレンツ成分の何らかの空間的構成である。不安定化する接触は、「医薬的に許容できない量」の任意の1つの下記の分解生成物の生成をもたらす空間的構成である。
【0017】
テノホビルDFと界面活性剤含有成分との間の許容される接触の空間的な幾何学的形状および状態は本質的に限定されない。この空間的な幾何学的形状は、「安定化している配列(stabilizing configuration)」と名づけられ、あるいは、言い換えると以下に定義する「不安定化する接触」を含まない配列である。本発明の中心的観察(すなわち、ラウリル硫酸ナトリウムがテノホビルDFを不安定化すること)を利用して、医薬的に許容できないレベルのテノホビルDFの分解の発生を防止することができる多くの方法がある。
【0018】
さらに、テノホビルDF成分中にエムトリシタビンが存在する場合、許容できる接触はまた、医薬的に許容できない量のエムトリシタビン分解生成物を発生させないものである。
【0019】
テノホビルDFの「分解(degradation)」は、分解生成物であるモノ−POC PMPA、二量体、または混合型二量体の少なくとも1つの生成―医薬的に許容できない量における―である。FTCの「分解」は、FTUの生成―医薬的に許容できない量における―と定義される。これらの分解生成物を、以下に示している。
【0020】
【化1】

を有する。
【0021】
「医薬的に許容できない量」は、それぞれの分解生成物の下記の量と定義される。分解生成物は、必要に応じて絶対量または増分(インクリメント)量のいずれかで検定される。分解生成物の絶対量または全量は、単に試験用物品において見出される量である。増分量は、API出発物質中に存在していた(存在する場合)分解生成物の上に製品において現れる分解生成物の追加的量である。さらに分解生成物の量を、必要に応じて、2つの時点で測定している。一方は、市場への発売時におけるものである。他方は、以下に記述している条件のもとに貯蔵条件に曝露した後、すなわち以下に示す貯蔵寿命の後におけるものである。
【0022】
発売時における全量(最初の商業的販売)
約3%以下、通例約1.5%のモノ−POC PMPA、
約1%以下、通例約0.5%の二量体、
約0.5%以下、通例約0.25%の混合型二量体。
【0023】
約0.5%未満、通例約0.2%のFTU。
【0024】
貯蔵寿命における全量(24カ月間の25℃/60%相対湿度における貯蔵)
約10%以下、通例約5%のモノ−POC PMPA、
約2%以下、通例約1%の二量体、
約2%以下、通例約1%の混合型二量体。
【0025】
約4%以下、通例約2%のFTU。
【0026】
発売時における増分量(最初の商業的販売)
約2%以下、通例約0.5%のモノ−POC PMPA、
約0.6%以下、通例約0.1%の二量体、
約0.3%以下、通例約0.05%の混合型二量体。
【0027】
約0.4%未満、通例約0.1%のFTU。
【0028】
貯蔵寿命における増分量(24カ月間の25℃/60%相対湿度における貯蔵)
約9%以下、通例約4%のモノ−POC PMPA、
約1.6%以下、通例約0.6%の二量体、
約1.8%以下、通例約0.8%の混合型二量体。
【0029】
約3.9%以下、通例約1.9%のFTU。
【0030】
分解生成物の百分率は、HPLC保持時間の比較により測定される分解生成物の量である。HPLC保持時間の比較では、錠剤において観察される主ピークの保持時間は、エファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFについて特異的であることが示されているアッセイにおけるエファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFを含有する対照標準製剤の主ピークの保持時間の2%以内であることを要する。この百分率は、テノホビルDFに3つの分解生成物を加えた全量を、HPLCアッセイにより測定される個々の分解生成物の量に分割することにより測定される。
【0031】
これらのパラメータを用い、試験用組成物が安定化している接触の要求条件を満たしているかどうか評価する。例えば、3種併用型投薬形態は、必要に応じて、エファビレンツ成分のマトリックス内に分散された、テノホビルDF成分の圧縮顆粒のスラッグを含む成形物品として設計される。この組成物を製造する際、様々なスラッグサイズが使用できるであろう。次いで、この可能性のある生成物群を試験し、または上記の条件下で貯蔵し次いで試験して、テノホビルDFおよび/またはFTC分解生成物の生成を検定するのであろう。得られた製品が発売時に、任意の上記4種のアッセイパラダイムのもとで、指定している概略限界値を超えるいずれか1つまたは複数の汚染物質4種を含有しなければ、その場合その接触は安定化しているとみなされるであろう。もちろん、当業者はより厳しい標準を採用できるが、これは選択の問題であり、本発明の範囲を制約してはならないものである。
【0032】
好ましい実施形態において、エムトリシタビンおよびテノホビルDFを組み合わせ、乾式造粒によりこの成分を調製する(米国特許出願第60/771353号)。好ましい実施形態において、乾式造粒したテノホビルDFおよびエムトリシタビンを含む組成物を、本発明の投薬形態の一成分として使用している。
【0033】
乾式造粒は、それ自体よく知られている医薬製造方法である。一般に、APIを賦形剤および潤滑性賦形剤と組み合わせ、次いで圧縮して塊を形成させる。通例この塊は、次いで粉砕または摩砕し、次いで篩分けして所望の大きさの粒子が得られる。顆粒状生成物は、従来のやり方で圧縮して錠剤とし、カプセル中に充填し、または他の方法で成形して一体型投薬形態とする。
【0034】
圧縮して塊にすることは、従来の設備により達成される。典型的には、APIおよび賦形剤は、圧密化するためローラー装置を通過させる。しかし、API混合物を圧密化する他の手段、例えば圧密化してスラッグとすること(または「スラッギング」)が、必要に応じて用いられる。
【0035】
乾式造粒方法は、APIおよび選択された賦形剤の乾燥組成物を圧縮して塊を形成させ、これを必要な場合粉砕または摩砕し、次いで必要に応じて篩分けして所望の大きさの顆粒とする方法である。圧縮して塊にするのは、従来の設備により達成される。典型的には、APIおよび賦形剤は、圧密化するためローラー装置を通過させる。しかし、API混合物を圧密化する他の手段、例えば圧密化してスラッグとすること(または「スラッギング」)を、使用することができる。
【0036】
乾式造粒したエムトリシタビンおよびテノホビルDFを含む組成物は、乾式造粒方法の生成物である。この組成物は、本質的に結晶性APIを保持し、また乾燥した共融エムトリシタビン/テノホビルDFを実質的に含まない。それは典型的には約15重量%未満の乾燥した共融混合物、普通は約10重量%未満、また一般に約5重量%未満を含有するであろう。
【0037】
乾式造粒方法は、不安定化をもたらす量の水が存在しない状態で実施され、「不安定化する」とは、本明細書において定義したテノホビルDFおよび/またはFTCの、医薬的に許容できない分解をひき起こすことが可能な液体水のそのような量である。本発明の投薬形態が、乾式造粒したエムトリシタビン/テノホビルDF成分を含むならば、その場合最終投薬形態において許容される分解生成物の量は、やはり上記に示したものと同様である。すなわち水曝露および接触の量は、一緒にまたは単独で、上述の標準を満たすことができない分解生成物をもたらさないものとすべきである。もちろん一選択肢として、乾式造粒物について最初に分解生成物のレベルを試験し、それらが合格すれば、それらを製剤して本発明の投薬形態とし、次いでその接触が、得られた投薬形態を確立したパラメータから逸脱させるような、分解生成物の何らかの増加をもたらすかどうかを決定する。
【0038】
結合、連行、または吸収水が一般に賦形剤中に存在する。この水は、テノホビルDFの安定性に著しい悪影響を及ぼさないであろう。したがって本発明の投薬形態物において必要に応じて使用される乾燥造粒物から排除されない。一般に、任意の供給源、例えば化学反応、凝縮、連行氷などからの液体水(添加され、またはその場で生成される)は、造粒から排除すべきである。しかし、微量の液体水は、必要に応じて造粒中に添加される。これらの量は、典型的には約5重量%未満、普通約1重量%未満であろうが、水分が発生または添加される。水分は、最終造粒生成物中に約10重量%まで(カールフィッシャー)存在するが、より少なく、0.1重量%と低いことが好ましい。しかし、許容される水分量は、造粒における他の因子、例えば賦形剤の型、温度などに応じて変動できる。例えば、吸湿性賦形剤が含まれる場合、これにより添加水分が結合形態に変換されるであろう。必要なことは、水分が、最終製品においてテノホビルDFおよび/またはエムトリシタビンの分解をもたらさないことだけである。一般に、水分は、予備造粒段階(造粒において直接使用される組成物の調製)ならびに造粒工程それ自体の間の両方で排除される。
【0039】
水分が存在しないことまたは「乾燥した」は、液体の不在を意味するものではない。有機溶媒による造粒も、不安定化する量の水分が排除されるならば、実行可能である。
【0040】
乾式造粒は、最少量の水分を含有する製品をもたらす。製品造粒物またはそれから製造した投薬形態中の水分の量は、乾燥減量(LOD)により、またはカールフィッシャー法により測定される。本発明の組成物のLODは、約15重量%、約10重量%、約5重量%、または典型的には約3重量%未満である。カールフィッシャー水は、約0.1〜10重量%、通常約5重量%未満または約2重量%未満である。最終製剤中の水分量は、造粒物と異なり、造粒物水分、ならびにコーティングなどのその後の工程ステップ中に使用される微量の水分の関数である。造粒よりも後のステップで添加されるこれらの水分量は、一般にエムトリシタビン/テノホビルDFのAPIの安定性に影響を及ぼさないであろう。したがってかなりの許容できる変動を受ける。
【0041】
以下に記述している製造方法は、エファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFを含有する3種併用型錠剤の調製を対象とする。この特定の実施形態において、後二者の薬剤は、エファビレンツを含有する錠剤部分から分離され、しかしその部分と接触している錠剤部分内に納まっている。しかし、本発明の実施形態であるこの錠剤のエムトリシタビンおよびテノホビルDF成分は、必要に応じて独立型の製品として製造され、必ずしもエファビレンツ成分と組み合わされないと理解される。この選択肢において、以下に記述するエムトリシタビン/テノホビルDF乾式造粒中間体を、単に圧縮して錠剤とし、あるいは従来のように加工して他の従来の、カプセル、カシェ、坐薬などの一体型投薬形態とする。
【0042】
本発明の投薬形態は、約10%未満、好ましくは約5%未満の投薬形態上の相対湿度を維持するのに一般に十分な量の、好ましくはシリカゲルなどの乾燥剤のもとで、容器内に貯蔵する。
【0043】
材料
エファビレンツ粉末ブレンド、FTC/TDF粉末ブレンド、およびフィルムコーティング二層型EFV/FTC/TDF錠剤の定量的組成を、それぞれ表1、表2、および表3に掲げる。それぞれの造粒物において、医薬含量ファクター(DCF)についての値が0.99未満である場合、微結晶セルロースの量に対して付随的薬剤を減量することにより、エファビレンツ、エムトリシタビン、およびテノホビルDFの量を調節した。
【0044】
【化2】

【0045】
【化3】

【0046】
【化4】

エファビレンツの湿式造粒
エファビレンツは、Nitro−Fielder PMA−400設備列を使用して湿式造粒した。エファビレンツ、微結晶セルロース、およびラウリル硫酸ナトリウム(表1)をPMA−400に加え、3分間ブレンドした。クロスカルメロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロース(表1)をプレミックスに添加し、さらに2分間ブレンドした。精製水を添加して、適切な造粒状態を形成し、続いて水添加後さらに湿った塊とした。表4は、2つの代表的なロットおよび副部分(sub part)について使用した造粒パラメータを要約したものを掲げる。全ての副部分は、水:エファビレンツ比1.25を使用したAB509のミックスCを除いて、水:エファビレンツ比1.30を使用した。
【0047】
【化5】

一般に、湿式顆粒は摩砕し、次いでLOD1.5%以下まで乾燥させた。乾燥した顆粒は摩砕し、ステアリン酸マグネシウム(表1)とブレンドした。
【0048】
エファビレンツ造粒物のかさ密度、粒径、およびLODによる水分含量を、表5の最初の3行に掲げる(ロット番号Bはエファビレンツ製品であり、ロット番号Cはエムトリシタビン/テノホビルDFである)。粒径は、ソニックシフター(Model L3P、ATM Corporation、ミルウォーキー、ウイスコンシン州、米国)を使用して直径3インチ篩を通し、試料10gを篩分けすることにより測定した。次の米国標準メッシュサイズ(開口)を使用した:#20(850μm)、#30(600μm)、#40(425μm)、#60(250μm)、#80(180μm)、および#250(63μm)。撹拌およびパルスは7に設定し、篩分け時間は5分であった。篩上および微粉コレクタ上に保持された粉末の量を、篩分け前および篩分け後の重量差を計算することにより測定した。篩分け分布を対数的に重みづけすることにより幾何(相乗)平均粒径を計算した。
【0049】
100mLメスシリンダーに試料を充填し、単位体積当りの空のメスシリンダーと充填したメスシリンダーとの間の重量差を計算することによりかさ密度を測定した。
【0050】
乾燥減量(LOD)による水分含量測定は、加熱ランプ/天秤系((Model LP16/PM400、Mettler−Toledo社、コロンバス、オハイオ州、米国)を使用して試料2.5gを85度Cで15分間加熱することにより行った。
【0051】
造粒物は、同様なかさ密度(0.54〜0.56g/mL)および同様な幾何平均粒度分布(215〜268μm)を有していた。最終ブレンドのLOD値は、首尾一貫して0.98〜1.80%であった。エファビレンツ造粒物についての個々の篩分け分布を、表6に掲げる。
【0052】
【化6】

【0053】
【化7】

エムトリシタビン/テノホビルDFの乾式造粒
Gallayブレンダーを使用し、650L運搬用ビン内でエムトリシタビン、微結晶セルロース、テノホビルDF、およびクロスカルメロース(表2)を10分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウム(表2)を添加し、さらに5分間ブレンドした。次いでこのプレブレンドを、ローラー圧密ホッパー中への物質移動を助けるコーンバルブ排出装置を取り付けた320−L Matconビンに移した。
【0054】
このプレブレンドを、直径250mm幅50mm平滑ロールを有するGerteis Macro−Pactor250/25/3型を使用してローラー圧密した。全てのバッチについてロールギャップ厚み(2mm)、ロール速度(10rpm)、圧密力(4kN/cm)、振動ミル速度(時計方向および反時計方向75rpm)、および振動ミル篩開口(1.25mm)を一定に保持した。振動ミル回転角も全ロットについて同一であり、時計方向150°および反時計方向140°であった。
【0055】
ローラー圧密機中に供給する間、全ての3バッチ間で材料取扱いの問題は全くなかった。ローラー圧密工程全体が、装置における蓄熱、生成物の蓄積または融解の見掛け上の兆候が全くなく進行した。次いで造粒物は、顆粒外のクロスカルメロースナトリウム(全量の34%)、およびステアリン酸マグネシウム(全量の47%)とブレンドした。
【0056】
エムトリシタビン/テノホビルDF乾式造粒物の粒径、かさ密度、およびLODは3バッチについて全て同様であった。これを表5(下部3区画)に掲げている。幾何学的粒径は非常に類似し、330〜344μmであった。かさ密度は0.59〜0.60g/mLの範囲であった。最終ブレンドのLOD値は、首尾一貫して0.91〜1.02%であった。最終粉末ブレンドは、極めて首尾一貫した物理的性質を有する。
【0057】
エファビレンツ造粒物およびテノホビルDF造粒物はそれぞれ、必要に応じて約100〜600μmの範囲にある幾何平均粒径、必要に応じて約0.1〜1g/mLの範囲にあるかさ密度、および必要に応じて約0.1〜10重量%の範囲にあるLOD値を有する。
【0058】
最終ブレンド
エファビレンツ造粒物および顆粒外ステアリン酸マグネシウムの質量は、エムトリシタビン/テノホビルDF乾式造粒物の収量に基づいて適正に調整した。エファビレンツ造粒物、およびエムトリシタビン/テノホビルDF乾式造粒物を、3立方フィートV−ブレンダーで10分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに5分間ブレンドした。ブレンディング後、最終粉末ブレンド試料を10カ所の異なる位置から採取し、ブレンド均一性について分析した。エファビレンツおよびエムトリシタビン/テノホビルDF最終粉末ブレンドは、全ての3種の活性成分について許容できるブレンド均一性および均質性を示し、エムトリシタビン/テノホビルDF乾式造粒物およびエファビレンツ造粒物の粒径またはかさ密度にかかわらない、製剤の頑強さを示している。これらの造粒物、およびブレンディング手順は、より大規模な製剤向けに満足の行くものであろう。
【0059】
錠剤芯部の圧縮
Stokes Genesis Model 757の、平面形上面/エンボス形「123」底面、カプセル形状(20.0mm×10.4mm)パンチを備えた41ステーション二層型錠剤プレスを使用して、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルDF最終粉末ブレンドを圧縮して錠剤芯部とした。錠剤芯部の目標質量は1550mgであった。圧縮操作の間に最小限20カ所の等間隔位置から錠剤芯部の試料を採取し、含量の均一性について分析した。全体として、全ての粉末ブレンドが、錠剤の硬さ、脆さ、錠剤の厚さ、錠剤の外観、および錠剤の重量変動に関して、この回転型錠剤プレスで満足の行くように圧縮された。満足の行く錠剤重量の均一性をもたらすため、圧縮操作は、およそ錠剤500個/分(プレス速度12rpm)またはおよそ0.8kg/分の速さで行われた。
【0060】
錠剤のフィルムコーティング
適切なフィルムコーティングは、商業的に使用できる製剤を日常的に選別することにより、選択される。この活動は、十分に当業者の熟練の範囲内にある。錠剤芯部の各ロットを、2つのコーティング用サブロットに分割し、48−インチThomas Engineering社COMPU−LABコーティングパンにおいて2ノズル噴霧システムを使用してフィルムコーティングした。製剤の24時間以内に使用する15重量/重量%水性コーティング懸濁液Opadry II Pinkを用い、全ての錠剤芯部をフィルムコーティングした。全ての錠剤芯部は、目標噴霧速度180g/分を用い目標重量増3.0%までコーティングし、これは標準化した噴霧速度1.5〜2.3g/分/kg錠剤に相当する。
【0061】
分解生成物向けHPLCアッセイ
HPLCによりエファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルDF錠剤(EFV/FTC/TDF錠剤)のEFV、FTC、およびTDFについて、外部対照標準を使用して検定する。適正なものへの、相対的応答係数の適用による面積の標準化によりEFV、FTC、およびTDFの分解生成物を測定する。EFV、FTC、およびTDFの同一性を、それらの保持時間を対照標準のそれと比較することにより確認する。
【0062】
標準および試料溶液調製
標準および試料溶媒
25mMリン酸塩緩衝液、pH 3
3.4gの無水一塩基性リン酸カリウムの重量をはかり、1Lメスフラスコに移し入れる。約800mLの水を添加し、溶解するまで混合する。リン酸でpHを3.0±0.1に調節し、次いで水で体積に合わせて希釈する。
【0063】
試料溶媒(25mMリン酸塩緩衝液、pH 3:アセトニトリル:メタノール 40:30:30)
400mLの25mMリン酸塩緩衝液、pH 3と、300mLのアセトニトリルと、300mLのメタノールとを合わせて、混合する。周囲温度まで平衡化させる。
【0064】
50:50アセトニトリル:メタノール
500mLのアセトニトリルと、500mLのメタノールとを合わせて、混合する。周囲温度まで平衡化させる。
【0065】
標準溶液
およそ60mgのEFV対照標準と、20mgのFTC対照標準と、30mgのTDF対照標準とを、正確に重量をはかり、100mLメスフラスコに移し入れる。およそ80mLの試料溶媒(40:30:30)をこのフラスコに添加し、溶解するまで混合し、または超音波処理する。試料溶媒(40:30:30)で体積に合わせて希釈し、十分に混合する。各成分の最終濃度は、およそ0.6mg/mLのEFV、0.2mg/mLのFTC、および0.3mg/mLのTDFである。
【0066】
システム適合性試験用溶液
感度チェック標準
およそ10mgのFTU基準物質を、正確に重量をはかり出し100mLメスフラスコに入れることにより、10μg/mL FTU貯蔵溶液を調製する。試料溶媒(40:30:30)を体積のおよそ80%まで添加し、溶解するまで混合または超音波処理する。試料溶媒(40:30:30)で体積に合わせて希釈し、十分に混合する。10mLのこの溶液を100mLメスフラスコにピペットで入れる。試料溶媒(40:30:30)で体積に合わせて希釈し、十分に混合する。
【0067】
0.2mg/mLのFTCと、0.2μg/mLのFTU(FTCに対して0.10%)とを含有する感度チェック標準を調製する。20mgのFTCを、正確に重量をはかり出し100mLメスフラスコに入れる。等級Aのピペットを使用し、2.0mLのFTU貯蔵溶液を、この同じフラスコに移す。さらなる試料溶媒(40:30:30)をこのフラスコに添加し、溶解するまで混合または超音波処理する。試料溶媒(40:30:30)で体積に合わせて希釈し、よく混合する。別法として、体積に合わせて希釈する前に、2.0mLの10μg/mL FTU貯蔵溶液を標準溶液に添加できる。
【0068】
EFV/FTC/TDF錠剤のための試料調製
EFV/FTC/TDF錠剤の強度および分解生成物含量を、錠剤10個から調製した複合溶液の分析により測定する。試料溶液中の各成分の最終濃度は、およそ0.6mg/mLのEFV、0.2mg/mLのFTC、および0.3mg/mLのTDFである。
【0069】
a)錠剤10個を1Lメスフラスコに入れ、400mLの25mMリン酸塩緩衝液、pH 3をこのメスフラスコに添加する。
【0070】
b)約75分間激しく撹拌することにより混合する。
【0071】
c)フラスコの体積標線のおよそ2cm下まで、50:50アセトニトリル:メタノールを添加する。
【0072】
d)1時間混合することにより、溶液を周囲温度まで平衡化する。50:50アセトニトリル:メタノールで体積に合わせて希釈する。フラスコを反転させることにより、または磁気撹拌バーで撹拌することにより、十分に混合する。
【0073】
e)シリンジ付きの0.45μmシリンジフィルターを使用して、次の希釈のためステップ(d)のおよそ10mLを濾過する。最初の濾液2mLを捨てる。
【0074】
f)等級Aのピペットを使用して、5.0mLのステップ(e)からの濾液を50mLメスフラスコに移し、試料溶媒(40:30:30)で体積に合わせて希釈する。十分に混合する。
【0075】
クロマトグラフィー
1.UV検出器および電子的データ収集系を備えたHPLCを使用している。
【0076】
2.C12の逆相、粒径4μm、細孔径80Å物質を充填したHPLCカラム(内径4.6mm、長さ250mm)を使用している。
【0077】
3.移動相緩衝液:20mM酢酸アンモニウム緩衝液、pH 4.6を調製する。必要とされる場合酢酸でpHを調節する。
【0078】
4.移動相勾配:67分にわたり移動相緩衝液:アセトニトリル99:1〜1:99により溶離する。
【0079】
5.ピーク検出:262nmにおけるUV。
【0080】
6.注入体積:10μL。
【0081】
指定したクロマトグラフ条件下で、FTC、TDF、およびEFVピークの保持時間は、典型的にはそれぞれ11、33、および50分である。
【0082】
注入順序
カラムが平衡していることを確認し、また何らかの可能性のあるアーチファクトピークを特定するため、ブランクとして試料溶媒を少なくとも2回注入する。
【0083】
検出感度を測定するため、FTUおよそ0.10%を含有する感度チェック標準または標準溶液を注入する。
【0084】
標準溶液1(R1)を5回注入し、続いて標準溶液2(R2)を1回注入する。標準溶液注入から理論的プレートおよびテーリング係数を計算する。
【0085】
同定、強度、および分解生成物測定のため、試料溶液の2回注入を行う。
【0086】
全ての試料溶液は、標準溶液注入により夾叉(ブラケティング)しなければならない。一般に、標準液注入による夾叉間における多くとも10回の試料溶液注入が推奨される。
【0087】
システム適合性
理論的プレートおよびテーリング係数
標準溶液クロマトグラムから、EFV、FTC、およびTDFピークについての理論的プレート係数(N)およびテーリング係数(T)の数字を計算する。NおよびT測定のための式は、現在の米国薬局方において定義されている。これらのパラメータの値は、判定基準:N≦40,000、および0.8≦T≧2.0に適合しなければならない。
【0088】
感度チェック
感度チェックには、感度チェック標準におよそ0.10%存在するFTUピークを利用する。個々の分解生成物パーセントの計算を使用して、適正なRRF(表2に掲げている)を感度チェック標準に適用することにより、FTUピークの面積パーセントを計算する。この結果を、下記のように感度チェック標準についてのFTUの理論パーセントと比較する:
【0089】
【化8】

式中、
FTU測定=感度チェック標準または標準溶液について測定したFTUの面積パーセント、
FTU理論=感度チェック標準または標準溶液についてのFTUの理論面積パーセント。
【0090】
感度は、0.70〜1.30の間になければならない。
【0091】
評価および計算
分解生成物の同定
0.05%以下で存在するピークの検出を可能にするため、適正な検出パラメータ(ピーク閾値、最小ピーク面積など)を用いる。試料溶液注入物のクロマトグラム中に存在するEFV、FTC、およびTDFの不純物および分解生成物を、観察された二次ピークの相対的保持時間(RRT)を求めること、試料に関連のないどんなピークも考慮に入れないことにより同定する。分解生成物だけが定量される。全ての試料溶液注入物からの結果の平均を0.01%に最も近付くまで計算する。1回の注入および/または試料において、分解生成物が検出されないまたは積分の閾値未満である場合、定量された結果だけを計算に使用する(すなわち、ゼロ値として処理しない)。
【0092】
【化9】

EFVについての可能性のある不純物および分解生成物のRRTおよび相対的応答係数(RRF)値を表1に示し、分解生成物は、肉太活字で示している。FTCについての不純物および分解生成物を表2に示し、分解生成物は、肉太活字で示している。TDFについての不純物および分解生成物を表3に示し、分解生成物は、肉太活字で示している。
【0093】
RRTは変動するので、必要な場合、基準物質との(または対照標準の不純物ピークおよび分解生成物ピークとの)比較により、不純物および分解生成物について同一性を確認できる。
【0094】
分解生成物含量の測定
FTC分解生成物の定量
下記の式を使用して、試料溶液注入物のクロマトグラムにおいて観察されるFTCの各分解生成物のレベルを測定する:
【0095】
【化10】

式中、
I=分解生成物ピークの面積、
TPA=RRFにより補正した合計ピーク面積(不純物およびアーチファクトを除く、FTCおよび全ての関連分解生成物の面積)、
RRF=FTCに関する相対的応答係数。
【0096】
8.4.3 TDF分解生成物の定量
下記の式を使用して、試料溶液注入物のクロマトグラムにおいて観察されるTDFの各分解生成物のレベルを測定する:
【0097】
【化11】

式中、
I=分解生成物ピークまたは未帰属ピークの面積、
TPA=RRFにより補正した合計ピーク面積(不純物およびアーチファクトを除く、TDF主ピーク、全ての関連分解生成物ピーク、および未特定ピークの面積)、
RRF=TDFに関する相対的応答係数。
【0098】
結果および報告
分解生成物含量
観察された各分解生成物についての結果の平均を、0.01%に最も近付くまで個別に報告する。EFV、FTC、およびTDFの全分解生成物含量を、観察された全ての分解生成物ピークの平均レベルの合計としてそれぞれ、0.1%に最も近付くまで報告する。0.05%未満のレベルで見出された分解生成物については、痕跡量としてそれらのレベルを報告し、全分解生成物含量の計算にはそれらのレベルを含めない。
【0099】
参考文献
【0100】
【化12】

【0101】
【化13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2012−126748(P2012−126748A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−77650(P2012−77650)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【分割の表示】特願2008−517084(P2008−517084)の分割
【原出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(505359230)ブリストル−マイヤーズ スクイブ アンド ギリアド サイエンシズ, エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】