説明

一体型絶対圧・差圧トランスデューサ

方法および装置によって、1つの一体型の目盛上で幅広い圧力範囲にわたって仮想絶対圧測定値を求めるために、差圧測定値と絶対圧測定値とを一元化する。前述の目的を実現するためには、チャンバ(図参照)内の絶対圧を測定するための方法および装置では、同時に測定される絶対圧測定値と差圧測定値との相関係数を前記チャンバ内の絶対圧が正確に測定できる圧力値にするとともに、差圧測定値を相関係数によって調整して仮想絶対圧測定値を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力センサに関する。特に、本発明は、大気圧よりも低い圧力値、大気圧、大気圧よりも高い圧力値のような広い範囲にわたる正規化された絶対圧・差圧測定値を求めることができるとともに、これらの値を出力できる一体型絶対圧・差圧センサに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス、制御またはモニタリングの用途の中には、圧力を検知するとともに、10-8トル(Torr)またはそれ以下〜10(1000)トルまたはそれ以上までのような広い圧力範囲にわたって正確かつ繰り返し可能な測定値の出力や制御出力ができるようになれば、非常に便利になるものもある。例えば、基板またはウェハ上に半導体材料からなる薄膜を堆積して半導体装置を製造するための物理気相成長(PVD)または化学気相成長(CVD)用の真空プロセスチャンバでの一般的な堆積工程は、以下の工程に多少バリエーションを持たせたものであってもよい。(i)前記基板またはウェハを大気圧(例えば、約600−770トル)状態の真空プロセスチャンバに入れ、(ii)前記プロセスチャンバを閉じて封止し、該チャンバを10-7トル以下になるように排気するとともに、しばらくその状態のままにして空気、水蒸気、他の存在し得る異物をすべて取り除き、(iii)前記チャンバに不活性ガスまたは加圧ガスを再度充填して前記プロセスチャンバを約10-3トルに戻し、この場合、プロセスガスとキャリアガスとが前記チャンバに供給されて反応を起こしている間、または、そうでなければ、前記基板またはウェハ上に所望の半導体材料からなる薄膜が形成されている間は前記プロセスチャンバの状態は維持され、それと同時に、ガス状の副生成物と、未反応の余分なプロセスガスと、キャリアガスとを含む廃水が前記プロセスチャンバから排出され、(iv)前記プロセスガスを停止させ、(v)前記プロセスチャンバにガスを再度充填して該チャンバ内の圧力を大気圧にまで上昇させることによって、前記チャンバを開いて処理済の装置を取り除くことができるようにする。
【0003】
他のアプローチとしては、前記プロセスチャンバを前記堆積工程に用いる非常に低い(真空の)圧力範囲に保ちつつ、その一方で、前記プロセスチャンバよりもサイズが小さいことが多い別のロードロックチャンバを用いて処理前後のウェハを管理する、すなわち、大気圧とプロセスとの間を循環させてウェハをプロセスチャンバに出し入れする方法がある。このようなロードロックと合わせて使用するプロセスチャンバは、修理のために該チャンバが開放されるときしか大気圧にさらされることはない。
【0004】
このような真空プロセスシステムとロードロックシステムにはそれぞれ、現在では、広範囲にわたる圧力を測定したり制御したりするために、複数種の圧力センサが必要である。例えば、約5×10−10ないし5×10−2トルの範囲の絶対圧測定値については、ホットカソード圧力センサが正確で信頼性が高いと考えられている。しかしながら、前記センサは、5×10−2トル以上の圧力については実用的ではなく、ホットカソードゲージ内のフィラメントを燃やさないようにするためには、該センサの電源を切る必要がある。一方、従来の熱伝導型ピラニ圧力センサは、約10−3ないし1,000トルの範囲の絶対圧については測定できるが、10−3トル以下の圧力については実用的ではなく、精度の低い10ないし1,000トルの範囲内には、平坦な帯域がある。参照としてここに援用される公開済の米国特許第09/907,541号明細書に記載のマイクロピラニ圧力センサのようなマイクロピラニ圧力センサは、絶対圧を測定できる範囲を約10−5トルにまで下げて前記平坦帯域を緩和できるが、まだそれだけでは多数のプロセスにとって十分ではない。
【0005】
また、上述の真空プロセスチャンバのような用途においては絶対圧センサを用いると問題が生じる。なぜなら、周囲の大気圧あるいはそれに非常に近い圧力下でプロセスチャンバのドアを開けたい場合があるが、周囲の大気圧は、海面からの高さ、天候パターン等に応じて変動するため、絶対圧センサの設定圧力が、一貫して大気圧と一致することはないからである。よって、特に、平坦帯域(flat zone )と一致する圧力下で重要なプロセスの動作が必要とされたり所望されたりする場合に、プロセスにおける必要な圧力値を測定して該圧力を制御するために、1つまたは2つの異なる種類の絶対圧センサだけでなく、まだ平坦帯域の問題に対応していないが、差圧センサも必要な場合がある。
【0006】
2003年1月16日公開の米国特許第09/907,541号明細書に記載の絶対圧・差圧兼用トランスデューサは、絶対圧センサと差圧センサとが都合よく組み合わされており、トランスファチャンバの真空プロセスチャンバの内ドアと外ドアとの開閉やロードロックの他の機能を制御する。しかしながら、絶対圧の測定値と、差圧の測定値とは別々であり、絶対圧センサの絶対圧測定能力以上の絶対圧や差圧センサの範囲にある絶対圧を求めたり把握したりする方法は提案されていない。より高い差圧の測定範囲内でより高い絶対圧測定値を得るためには、もちろん、1つ以上の様々な種類の絶対圧センサを前記の組み合わせに増設することができる。しかしながら、このように圧力トランスデューサが増設されると、プロセス装置のコストが増大することになり、これら圧力トランスデューサによるそれぞれの測定においては、まだ事実上は一体化されていないことになる。プロセスチャンバのオペレータや品質管理の技術者には、大気圧以上から最低圧力値である真空圧力までのプロセス圧力のプロファイル全体を1つの絶対圧目盛で認識してからこのような圧力範囲から大気圧に戻したいと考える人が多い。
【0007】
(発明の概要)
本発明の概略的な目的は、絶対圧および/または差圧の出力範囲を幅広い圧力範囲にわたって一体化するように大きくして、このような範囲にわたる圧力を測定したり制御したりするための方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明のより具体的な目的は、大気圧から非常に低い圧力である真空圧力にまで及ぶ1つの目盛でリアルタイムの絶対圧を測定することである。
【0009】
本発明のより具体的な目的は、わずか1つまたは2つの絶対圧センサおよび1つの差圧センサを用いて、10−8トルまたはそれ以下〜10トルまたはそれ以上の圧力範囲にわたる絶対圧および/または差圧の測定および出力を実現できるようにすることである。
【0010】
前述の目的および他の目的を実現するために、チャンバ内絶対圧を測定するための方法および装置では、同時に測定された絶対圧測定値と差圧測定値との相関係数を、前記チャンバ内絶対圧について正確かつ信頼性の高い測定を行うことができる圧力値に設定し、差圧測定値を前記相関係数によって調整して仮想絶対圧測定値を得る。前記絶対圧測定値は、該絶対圧測定値が前記仮想絶対圧測定値よりも正確かつ信頼性が高いチャンバ内圧力範囲で用いられるとともに、前記仮想絶対圧測定値は、該仮想絶対圧測定値が前記絶対圧測定値よりも正確かつ信頼性が高いチャンバ内圧力範囲で用いられる。前記相関係数は、周期的に求め直されて、大気圧の変化に応じて調整される。本発明の範囲は請求項に定義されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願明細書によって援用され、あるいは、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、明細書および請求項とともに本発明の原理を説明する役目を果たす。
【0012】
本発明は、限定の目的はないが、図1に例示されており、図1においては、2つの圧力センサ20,30が、流体が流れるように、チャンバ(この例ではロードロックチャンバ60の内部61)と、マイクロプロセッサ80とに接続されている。マイクロプロセッサ80は、ディスプレイ90に示すように、圧力センサ20および30から発生する信号を受信して処理を行い、延長目盛で前記チャンバ内圧力Pの絶対圧を測定する。第1の圧力センサ20は、チャンバ61内の絶対圧Pを検知するための絶対圧センサ(PABS)である。第2の圧力センサ30は、チャンバ61の外の大気圧Pと、チャンバ61内のガス圧力Pとの差圧を検知するための差圧センサ(ΔP)である。つまり、PABS=P、ΔP=P−Pが成り立つ。
【0013】
本発明を理解し易くするために本発明の背景を説明すると、半導体製造時に、1枚以上のウェハ73を真空プロセスチャンバ70に対して出し入れするためにロードロック60を用いることが多い。ここで、供給ガス源74,75,76から送出された1種類以上の供給ガスが反応を起こして、半導体材料77等の薄膜材料をウェハ73上に堆積する。真空プロセスチャンバ70の内部と連通している真空ポンプ71が真空プロセスチャンバ70からガスを排気し、プロセスの必要条件に応じて、所望の真空状態を維持する。前記真空状態とは、通常は1トル以下の低圧状態であり、10−8トル以下に下げることもできる。真空プロセスチャンバ70には、通常、ウェハ73をプロセス中に支持するためにプラットフォーム72が設けられている。
【0014】
この例におけるロードロック60のチャンバ内部61は、通路69を介して真空プロセスチャンバ70の内部と連通している。ロードロック60は、真空プロセスチャンバ70内の真空状態を維持したままで、または、真空プロセスチャンバ70に汚染物質が進入しないように、ウェハ73を外(例えば、周囲)の大気から真空プロセスチャンバ70に移動し易くするために設けられている。そのため、通路69内にある内ドア、すなわち、バルブ62が、真空プロセスチャンバ70に対してウェハ73を出し入れできるように通路69を開放したり、ロードロックチャンバ61と分離して前記真空プロセスチャンバを密閉するために通路69を閉鎖したりする。通路69が閉鎖されたときには、上記のような移動は行われない。プロセスツールの中には、ロードロックとプロセスチャンバ数個との間に中間の移動チャンバ(図示せず)があるものもあり、このチャンバを設ければ、ウェハにロードロックまたは大気を通過させる必要がなくなるため、ウェハを1つのプロセスチャンバから別のチャンバに移動させ易くなる。
【0015】
ロードロック60の外ドア64によって、ロードロックチャンバ61が大気に対して開放されたり閉鎖されたりする。ウェハが外の大気からロードロックチャンバ61内に移動している間は(ウェハの過渡的な位置を仮想線73´で示している)、内ドア62は閉鎖され、外ドア61は開放されている。外ドア64が開いている場合には、ロードロック60内のチャンバ内絶対圧Pは、ディスプレイ90の91に示すように、チャンバ61外の絶対大気圧Pとほぼ等しい。よって、差圧ΔPはゼロである。一方、閉鎖されている内ドア62の後にある真空プロセスチャンバ70中の真空状態は維持されている。すなわち、チャンバ70内は、外の大気圧Pよりも極めて低い圧力Pで維持されている。この後、ウェハ73´がロードロックチャンバ61内にあるときに、外ドア64は閉鎖され、ロードロックチャンバ61に接続された真空ポンプ65が、ロードロックチャンバ61から空気と他のガスを必要なだけ排気する。こうすることによって、存在し得る汚染物質を取り除き、ディスプレイ90の斜線92に示すように、真空プロセスチャンバ70内の低い絶対圧Pとほぼ一致する所望のレベル93までチャンバ内絶対圧Pを減圧する。前記絶対圧Pは絶対圧センサ78で測定できる。ポンプによる排気段階92にあるレベル94のようなチャンバ内圧力Pでは、空気や存在し得る汚染物質のほとんどはチャンバ61からポンプで排出されており、通常、排気段階92においてチャンバ内絶対圧Pが低くなってくると、排気速度を促進するために、スロットルバルブ66が開放される。このようにレベル94でチャンバ91の排気が低速から高速に移行(クロスオーバ)するため、この値94における圧力はクロスオーバ圧力と呼ばれることが多い。しかしながら、本明細書においては、本発明の中核に近い後述の別のクロスオーバ機能と混乱しないように、上述の動作または機能についてはこの用語を用いない。
【0016】
チャンバ内絶対圧Pが真空プロセスチャンバ70内の絶対圧Pとほぼ同じレベル93になるまで排気されると、内ドア62を開放し、ウェハ73を真空プロセスチャンバ70に移動させてプラットフォーム72の上に配置できるようになる。当業者に公知であるように、ウェハ72を真空プロセスチャンバ70に対して出し入れするためにロードロック60内の可動シャトル(図示せず)が用いられる。
【0017】
ウェハ73がプラットフォーム72上に配置されると、内ドアはしばらくの間閉鎖でき、この間に、半導体材料77を基板73上に堆積する。半導体材料77が堆積している間は、チャンバ内絶対圧Pを低いレベル93に維持できる。半導体材料77がウェハ73上に堆積されたら、内ドア82が再度開放され、ウェハ73がロードロックチャンバ61に戻される。この後、内ドア62は再び閉鎖され、真空プロセスチャンバ70の内部とロードロックチャンバ61とを分離する。こうして、真空プロセスチャンバ70内のプロセス圧力Pに影響を与えることなく、95に示すようにチャンバ内絶対圧Pを上昇させ、該絶対圧Pを96に示すように大気圧Pに戻すことができる。通常、チャンバ内絶対圧Pを上昇させて大気圧Pに戻すためにロードロックチャンバ61に再度充填するときには、供給源63からの窒素等のガスまたはアルゴン等の不活性ガスを用いる。しかし、同じ目的で空気を使用することもある。
【0018】
上述のように、内ドア62を開放する前にチャンバ内圧力Pを真空プロセスチャンバ70内のプロセス圧力Pと一致させるために、チャンバ内絶対圧Pのレベルが93にまで低下するチャンバ内圧力Pの正確かつ信頼性の高い絶対圧測定値を得ることが重要である。一方、外ドアが開放される前に、チャンバ内絶対圧Pが大気圧Pと一致する時間を正確に測定できることも重要である。しかし、残念ながら、大気圧Pレベル91から真空プロセスチャンバ70内のプロセス圧力Pと一致することが必要な低圧力レベル93までの圧力範囲全体にわたってチャンバ内絶対圧Pについて正確かつ信頼性の高い測定を行うことができる絶対圧センサはない。また、大気圧Pは、海面からの高さや周辺の天候に応じて大きく変動するので、外ドア64を開放するためにチャンバ内圧力Pとして用いることができる一定の絶対圧設定ポイントがない。この結果、内ドア62を開放すべき時間を求めるためにチャンバ内絶対圧Pを測定する場合に、低い圧力レベルにおいては正確かつ信頼性が高い絶対圧センサ20を用いることだけでなく、ディスプレイ90の99に示す大気圧Pあるいはそれに近い圧力になったときに外ドア64を開放するためにチャンバ内絶対圧Pが大気圧Pと一致する時点を求めるための差圧センサ30を用いることも必要である。もちろん、当業者には理解されるように、差圧センサ30の代わりに、2つの高圧用の絶対圧センサ(図示せず)、すなわち、大気圧Pの絶対値を測定するためのセンサおよびチャンバ内絶対圧Pを測定するためのセンサ、アナログまたはディジタル比較回路(図示せず)、マイクロプロセッサ、または上記のような測定値を比較するための他の手段を用いることができる。このため、本明細書では、「差圧センサ」という用語を使用する際には、従来の直接読み取れる差圧センサまたは差圧ゲージを意味するだけでなく、差圧を測定できる他の装置または方法や、差圧を測定するために絶対圧の測定値を別の絶対圧の測定値から減算するための回路と合わせて2つの絶対圧センサを用いるという意味も含んでいる。
【0019】
参照としてここに援用されている公開済の米国特許第09/907,541号明細書と米国特許第09/815,376号明細書とに説明するように、チャンバ内絶対圧Pが低くなって内ドア62を開放できる時点を求めるための絶対圧センサ20と、ロードロック60の外ドア64を開放すべき時点を求めるための差圧センサ30とを組み合わせて使用する方法は公知である。しかしながら、上述のように、真空プロセスチャンバのオペレータや品質管理スタッフなどには、検査、品質管理、設計、メンテナンスなどの理由により、大気圧Pの絶対圧レベル91,96以上から最低絶対圧レベル93以下に及ぶ作動中のチャンバ内圧力Pの範囲全体にわたる1つの目盛上で絶対圧プロファイル98全体を確認したいと考える人が多い。
【0020】
そのため、本発明の重要な特徴は、少なくとも1つの低圧または中圧用絶対圧センサ20による圧力測定値を差圧センサ30による差圧測定値と一元化して、他のプロセスの用途や前述のようなロードロックにおいて内ドア62を開放できるような低圧から大気圧Pの絶対圧を含む完全なチャンバ内絶対圧Pのプロファイル98を示すことができるような高圧までの範囲にわたって延長した1つの目盛上で正確かつ信頼性の高いチャンバ内圧力Pの測定値を得ることである。しかしながら、本発明は、ロードロックについての用途に限定されない。低圧または中圧用絶対圧センサの精度および信頼性が許容できる圧力範囲外(前記許容圧力範囲よりも高圧または低圧の圧力値)にまで絶対圧測定範囲を延長することが必要とされたり所望されたりする他の用途についても本発明を利用できる。
【0021】
本発明によれば、図2に示すように、絶対圧センサ20によって求められる測定値は、ディスプレイ90中の絶対圧目盛40上のクロスオーバ圧力Pレベルまたはクロスオーバ圧力P範囲よりも低圧のチャンバ内絶対圧Pとして用いられる。こうすれば、絶対圧センサ20によって、正確で信頼性の高い絶対圧の測定値が得られる。しかしながら、チャンバ内絶対圧Pの測定値がクロスオーバ圧力レベルPまたはクロスオーバ圧力範囲Pよりも高圧であり、絶対圧センサ20によっては十分に正確かつ信頼性の高い絶対圧の測定値が得られない場合、差圧センサ30による差圧測定値P30に基づいて正規化された仮想差圧測定値が、ディスプレイ90中の絶対圧目盛40上のチャンバ内絶対圧Pとして用いられる。この目的のために差圧センサ30による上記のような差圧測定値P30を正規化するために、これら測定値を相関圧力しきい値P以下の絶対圧センサ20によるチャンバ内絶対圧Pの測定値P20と相関させる。相関圧力しきい値Pは、差圧センサ30の実質的な精度が事実上最低になる圧力値、すなわち、圧力測定値の小数点以下の桁数が増えると実際の応用では意味がなくなったり影響がなくなったりする圧力値、もしくは、物理的な構造または電気回路による制限のため、差圧センサ30によるこの値よりも低い差圧ΔPの測定値が実質的に意味のないものになる圧力値またはこれに近い値であることが好ましい。この相関圧力しきい値P、または絶対圧センサ20によって正確かつ信頼性が高い絶対圧の測定ができる範囲内のPよりも低い圧力値を、望ましい精度レベルの絶対圧センサ20によるチャンバ内絶対圧Pの測定値P20と相関させるために、差圧センサ30による差圧ΔPの測定値P30を調整または正規化するためのベースラインとして用いることができる。このことは以下により詳細に説明する。このような調整または相関係数Fの正規化によって、差圧センサ30による高めの差圧ΔPの測定値P30をすべて絶対圧センサ20によるチャンバ内絶対圧Pの測定値P20と同じ目盛に換算したり正規化したりすることができる。このことは図3に示しており、以下により詳細に説明する。上記の結果、チャンバ内絶対圧Pが相関圧力しきい値Pを上回って上昇すると、相関係数Fを、差圧センサ30による差圧ΔPの測定値P30全部に加算することにより、これら測定値を絶対圧センサ20による絶対圧測定値P20と同じ絶対圧目盛40と相関しているチャンバ内仮想絶対圧Pの測定値Pに換算できる。
【0022】
結局、チャンバ内圧力Pが上昇しつづけると、大気圧Pよりも実質的にはまだ低圧であるが絶対圧センサ20が正確かつ信頼性の高い絶対圧の測定ができないレベルのチャンバ内圧力Pに到達することになる。このため、絶対圧センサ20によるチャンバ内絶対圧Pの測定値P20が正確かつ信頼性の高い測定値が得られるレベルを超えると、その測定値は信頼性がなく利用できないものになる。しかしながら、チャンバ内圧力Pが大気圧P以上まで上昇するときには、差圧センサ30によって引き続き正確かつ信頼性の高い差圧ΔP測定値が得られる。こうして、チャンバ内絶対圧Pのレベルが高めであって、絶対圧センサP20の絶対圧測定値P20の信頼性がないレベルの場合、相関係数Fを差圧センサ30による差圧ΔPの測定値P30に加算することによって、大気圧Pレベル以上まで同じ一続きの目盛40上で正確かつ信頼性の高いチャンバ内仮想絶対圧Pの測定値Pが得られる。
【0023】
しかしながら、絶対圧センサ20が絶対圧Pのチャンバ内仮想測定値Pに移行(クロスオーバ)する前に正確かつ信頼性の高い測定値が得られる範囲の境界に到達するまで、マイクロプロセッサ80による出力やディスプレイ90による表示を待機しない方が好ましい。あるいは、クロスオーバ圧力レベルPを選択することは、必須ではないが好ましい。クロスオーバ圧力レベルPは、特定のクロスオーバ圧力値または平滑関数を用いたクロスオーバ圧力範囲(以下により詳細に説明する)のいずれかである。このレベルでは、表示されたチャンバ内絶対圧プロファイル98は、絶対圧センサ20の測定値P20からより、むしろチャンバ内仮想絶対圧Pの測定値Pから集計される。このことは以下より詳細に説明する。
【0024】
本発明の基礎となる原理の1つをさらに説明するために、一般的な真空プロセスの範囲内の絶対圧PABSは、図2において、トル単位で対数目盛40上に対応する差圧ΔPと並列されている。このとき、他の圧力単位が用いられてもよい。図2の第1の列42においては、目盛40の上端である1,000トルから目盛40の下端にある10−5トル(0.00001トル)までにわたる絶対圧PABSの目盛を示している。プロセスには、10−8トル以下の圧力下で実施されるものもいくつかあるが、本発明の原理を理解してもらうためには、図2の目盛をそこまで延長する必要はない。
【0025】
本発明の説明を簡単にするために、2つの任意の大気圧Pの例(海面および米国コロラド州ボルダ−のような高原)が図2に用いられているが、別の大気圧の例を用いてもよい。また、当業者は760トルを海面での標準的な大気圧Pと考えているが、実際の大気圧Pは、天候によって760トルのレベルを上回ったり下回ったりして変動する。同様に、630トルが、米国コロラド州ボルダ−のような高原や丘陵地域の一般的な大気圧Pであるが、このような地域の実際の大気圧Pは、天候の変化と連動して前記レベルを上回ったり下回ったりして変動する。しかしながら、本発明は、大気圧Pの変動にかかわらず、極めて正確かつ信頼性の高い絶対圧PABSの測定値を継続的に得ることができるように、上記のような変動に対応している。このことについては、本発明を一旦理解した当業者によって理解されるであろう。実際に、上述のように、本発明の目的の1つは、上記のような局所的な大気圧Pが日単位、時間単位、またはより小さい時間区分の単位で変化した場合でも、存在し得る局所的な大気圧Pがいかなる値であっても、その値以上の正確かつ信頼性の高いチャンバ内圧力Pの測定値を常時得ることができるようにすることである。
【0026】
図2に示すように、外ドア64が開放されている場合のように、大気圧Pが例えば760トルであるとともにチャンバ内絶対圧P(図1)も760トルである場合、図2の列44に示すように、大気圧Pとチャンバ61内の絶対圧P(図1)との差圧ΔPはもちろんゼロになる。チャンバ61が真空ポンプ65によって排気されるとともに(図1)、チャンバ内絶対圧Pが例えば100トルまで660トル分低下すると、図2に示すように、差圧ΔPもゼロから−660トルまで低下することになる。
【0027】
同様に、海面での大気圧である760トルではなく、大気圧Pが例えば630トルの高原地域でプロセスが実行されている場合、外ドア64が開放されている状態での大気圧Pとチャンバ内圧力Pとの差圧ΔPも図2に示すようにゼロになる。しかしながら、海面での760トルの大気圧Pと、高原での630トルの大気圧Pとの間には130トルの差がある。そのため、チャンバ61が排気されてチャンバ内絶対圧Pを100トルまで低下させると、高原地域での差圧ΔPは、海面での差圧と同じ−660トルではなく、−530トルになる。
【0028】
チャンバ内圧力Pが低下すると、差圧ΔPの測定値すべてに、上述の海面での差圧の例と高原での差圧の例との間に同じ130トルのずれが生じている。言い換えると、100トルのチャンバ内絶対圧Pを10トルにまで低下させると(90トル分の低下)、これに応じて、図2に示すように、海面での差圧ΔPと、高原での差圧ΔPとが両方90トル低下する。すなわち、海面での差圧ΔPは−660トルから−750トルになり、高原での差圧ΔPは−530トルから低下する。同様に、チャンバ内絶対圧Pを1トルまでさらに9トル分低下させると、海面での差圧ΔPは−759トルに、高原での差圧ΔPは−629トルになる。チャンバ内絶対圧Pが0.1トルの場合、海面での差圧ΔPは−759.9トルに、高原での差圧ΔPは−629.9トルになるとともに、チャンバ内絶対圧Pが0.01トル、0.001トル、0.0001トル、0.00001トルの場合、海面での差圧はそれぞれ−759.99トル、−759.999トル、−759.9999トル、−759.99999トルに、高原での差圧はそれぞれ−629.99トル、−629.999トル、−629.9999トル、−629.99999トルになる。
【0029】
0.00001トル(すなわち、10−5トル)以下の圧力を極めて正確で信頼性の高い測定を行うことができる絶対圧センサが市販されているが、市販の差圧センサの精度は、小数点1位くらいまでで最低水準になっている。すなわち、チャンバ内絶対圧Pが約0.1トルのときに実質的に最低水準になっている。これくらいのレベルでは、海面での例では−759.99トルや−759.999トル、高原の例では−629.99トルや−629.999トルのように小数点以下の桁数が増えると、差圧ΔPの測定値は実質的に意味のないものになり、それと同時に、差圧センサ30による差圧ΔPの測定値P30である−660.99トルと−660.999トルとの差が実質的に意味のないものになる。なぜなら、市販の差圧センサは、トル単位で小数点以下の桁数が1または2よりも増えると正確でなくなるからである。しかしながら、例えば、100トルよりも高圧の圧力範囲では、通常、測定値が小数点第1位までの値または小数点のない値であっても、センサの測定精度は、ほとんどのプロセスを実行するのに十分なものである。このため、チャンバ内絶対圧Pが1トルまたは0.1トル以下のような圧力しきい値Pよりも低圧である場合、差圧ΔPの測定値が高いときに必要な精度の小数位に応じて、絶対圧センサ20によるチャンバ内絶対圧Pの測定値P20を差圧センサ30による実質的に最低値になった差圧ΔPの測定値P30と相関させると、差圧センサ30の測定値を絶対圧センサ20の測定値を基準にして正規化するための正確かつ繰り返し使用できる有効なベースラインが得られる。このようなベースラインを用いる正規化によって、本発明では、チャンバ内圧力Pが高めの範囲(差圧センサ30が最も正確で信頼性が高くなるが絶対圧センサ20の精度が悪化して信頼性がなくなる範囲)においても、差圧センサ30の測定値P30を、正規化相関係数を用いて正規化したりチャンバ内絶対圧Pの仮想測定値Pに変換したりすることができる。例えば、チャンバ内絶対圧Pが1トル以下のベースラインである圧力しきい値Pのときに、差圧センサ30の差圧ΔPの測定値P30が正確かつ信頼性の高いチャンバ内絶対圧センサ20の測定値P20を基準にして正規化されれば、この後、チャンバ内絶対圧Pが100トルのようなクロスオーバ圧力レベルPよりも上昇していくにつれて、この場合は、差圧センサ30が絶対圧センサ20よりも正確かつ信頼性が高いので、差圧センサ30の差圧ΔPの測定値P30は、大気圧P以上のレベルまで、チャンバ内絶対圧Pの正確かつ信頼性の高い仮想測定値Pに変換できる。実際に、大気圧Pから約100トル低い値から大気圧Pよりも約1,500トル高い値までの約1600トル分の範囲においては、ピエゾ差圧センサが正確である。このため、このような差圧測定値P30を上記のように正規化すると、1,600トル分の範囲にわたって正確かつ信頼性の高い仮想絶対圧測定値Pが得られる。図4に示すように、絶対圧目盛40上の上記のような仮想絶対圧測定値Pの範囲の正確な下端43と上端45は、ある特定の時点での大気圧Pの状態次第である。以下、より詳細に説明する。
【0030】
本発明を遂行するためのチャンバ内絶対圧Pの仮想測定値Pを求める正規化方法の例を図3および図4に示す。ただし、当業者が本発明の原理を一旦理解すると、他の方法またはバリエーションを編み出すことができる。図3でこの方法を説明するために、図4の絶対圧センサ20と差圧センサ30との有効測定範囲の例のチャートと、図5のロードロックチャンバ61の圧力プロファイルの例とを参照されたい。上述の図1および図2も引き続き参照されたい。
【0031】
この例では、有効測定範囲が約100トルから約10−5トルにわたる絶対圧センサ20を図4に示す。絶対圧センサ20による絶対圧測定値は便宜上P20とされる。本明細書で援用されている米国特許第09/907,541号明細書に記載のマイクロピラニ絶対圧センサの有効測定範囲はこれと同様の範囲であるが、従来の熱伝導型ピラニ絶対圧センサの有効測定範囲は、約100トルから約10−3トルまでの若干狭い範囲である。低圧用静電容量式圧力計、低圧用ピエゾ圧力計、歪計などのダイアフラム式絶対圧センサだけでなく、他の熱伝導型絶対圧センサも、前記の絶対圧センサの範囲の例の高圧側の部分では有効である。
【0032】
この例では、有効測定範囲が大気圧を超える値(例えば、Pよりも高圧の約1,500トル)から大気圧の約−99.9%(すなわち、約10−1トル)にわたる差圧センサ30を図4に示す。ただし、差圧センサ30は、約1トルよりも高圧の場合に、正確かつ信頼性が高い。差圧センサ30による差圧測定値は便宜上P30とされ、上述のように、絶対圧センサ20による絶対圧測定値はP20とされる。
【0033】
差圧センサ30が出力する測定値P30が、図4の矢印41および仮想線43,45によって示すように、絶対圧目盛40および絶対圧測定値P20に対して大気圧の変動量に応じた分だけ横方向にシフトする概念を説明し易くするために、図4の棒チャートは、上側の差圧領域42と、下側の絶対圧領域44とに区分されている。大気圧Pが高くなれば、差圧測定値P30は、図4の絶対圧目盛40の右側にシフトし、大気圧Pが低くなれば、差圧測定値は絶対圧目盛40の左側にシフトする。
【0034】
図5の絶対圧プロファイル98は、図1のディスプレイ90の一般的なロードロックのサイクルについての絶対圧プロファイル98の拡大図である。左側の目盛40は絶対圧をトル単位で表し、右側の目盛140は差圧をトル単位で表し、下側の目盛142は時間を分単位で表している。ただし、適切な圧力単位および時間単位であればどのような単位を用いてもよい。要するに、前記サイクルは91に示す大気圧Pで始まり、ロードロックチャンバ61の排気中に低下(92)して最低の圧力値93に至り、ウェハ73が反応チャンバ70へ移動(所望の場合は、再移動)している間は、そのままの状態が保たれる(図1)。その後、ロードロックチャンバ61(図1)に再び大気を充填するので、チャンバ内絶対圧Pは、95に示すように再び上昇して、96に示すように大気圧Pに到達する。
【0035】
例えば、図3に示す手順10によって、ロードロックの動作(例えば、圧力値94でスロットルバルブ66を開放したり、圧力値97で内ドア62を開放したりするような動作)のための決まった切換え機能のためだけでなく絶対圧プロファイル98用にもチャンバ内絶対圧Pを求めることができる。手順10の開始時には、差圧測定値P30を絶対圧の仮想正規化測定値Pに変換するための相関係数の初期値Fを選択(46)することが、必要ではないが望ましい。例えば、相関係数の初期値Fは、海面の位置の場合は760トル、高原の位置の場合は630トルにすることができる。これらの値は、1回目のロードロックサイクルにおけるクロスオーバ圧力Pに達するまでの絶対圧プロファイル98の先頭部分に十分に近似している。このため、相関係数Fは、相関係数の初期値Fと等しい値が図3の47で設定される。絶対圧センサ20と差圧センサ30とから、それぞれ絶対圧測定値P20と差圧測定値P30とが48で読み取られる。
【0036】
差圧ΔPは、49において測定値P30に設定されるとともに、50において、図5のプロセス圧力プロファイルの例の99に示すように、例えば、ΔP=0のときにロードロック60の外ドア64(図1)を開放するために、所望の表示機能または制御機能に向けて出力される。その後、51において、相関係数Fを差圧測定値P30に加算することによって、チャンバ内絶対圧の仮想測定値Pが算出される。例えば、相関係数Fが760トルの場合、チャンバ内絶対圧の仮想測定値Pは差圧測定値P30プラス760トルになる。
【0037】
次に、図3に示すように、52において、チャンバ内絶対圧Pの測定値P20がクロスオーバ圧力レベルPよりも大きくなければ、53において、チャンバ内絶対圧Pを絶対圧測定値P20と等しい値に設定する。52においてP20がクロスオーバ圧力レベルPよりも大きければ、54において、チャンバ内絶対圧Pをチャンバ内絶対圧の仮想測定値Pと等しい値に設定する。その後、チャンバ内絶対圧Pが53においてP20に等しい値が設定されたか54においてPに等しい値が設定されたかにかかわらず、55において、前記チャンバ内絶対圧Pは所望の制御機能および表示機能に向けて出力される。あるいは、52におけるテストは、P20>Pではなく、P>Pであっても同じ効果がある。
【0038】
最後に、56において、チャンバ内絶対圧測定値P20が相関圧力しきい値Pよりも小さくなければ、手順10が57を通って元に戻り、論理回路によってさらにこの手順10を反復するために、チャンバ内絶対圧測定値P20と、差圧測定値P30とを再度読み取り、チャンバ内絶対圧Pが下降すると新たなΔPおよびPを求める。しかしながら、56において、チャンバ内絶対圧測定値P20が相関圧力しきい値Pよりも小さければ、手順10を再度反復するために59を通って元に戻る前に、58において相関係数Fが再度算出される。上述のように、相関圧力しきい値Pは、差圧センサ30が差圧を測定できる最低値かそれに近い値のような低い値であって、その小数点以下の桁数が仮想圧力測定値Pに望む精度に要求される最大限の桁数である必要はないが、その方が好ましい。しかしながら、Pは、実際のチャンバ内絶対圧Pがその値をとることがないほどの小さい値をとるべきではない。なぜなら、相関係数Fは、手順10に応じて、チャンバ内絶対圧PがPよりも低圧になっているときに、天候の変化や他の理由のための大気圧Pの変動を補償するために更新されるにすぎないからである。このため、チャンバ内圧力Pが循環して1時間毎に低下してPよりも低圧になる場合、相関係数Fは、天候や他の理由のための大気圧Pの変動を補償するために1時間毎に更新されることになる。このような更新によって、大気圧Pの変動にかかわらず、PがPよりも高圧であっても、55におけるPの出力の精度が維持される。
【0039】
特に、差圧センサ30の測定能力がほぼなくなるレベルよりも低いレベルまで繰り返し低下するプロセスについては、相関圧力しきい値Pをこのレベルまたはこのレベルに非常に近いレベルに設定することが極めて都合がよく効率的であるとともに、正確かつ信頼性の高い絶対圧測定値と差圧との関係が認識される圧力レベルを用いて相関係数を求めることができる。例えば、差圧センサがゼロと測定した時点で何らかの他のソースから大気圧Pの絶対値が認識される場合、このような大気圧Pの絶対値を用いて相関係数Fを設定することができる。このような他のソースは、例えば、この圧力レベルにおいて正確かつ信頼性が高い別の絶対圧センサであってもよい。
【0040】
上述のように、また、図4に示すように、図3の手順10の55におけるチャンバ内絶対圧Pの出力は、絶対圧測定値P20と仮想絶対圧測定値Pとを一続きになるよう合成した値からなり、該合成値は、正確かつ信頼性の高いチャンバ内絶対圧P測定能力の範囲を絶対圧センサ20だけで測定できる範囲よりも高圧の大気圧Pを超える範囲まで効果的に延長する。クロスオーバ圧力Pを、仮想絶対圧測定値Pが絶対圧センサ20による絶対圧測定値P20よりも正確かつ信頼性が高くなるレベルまたは絶対圧測定値P20が仮想絶対圧測定値Pよりも正確かつ信頼性が高くなるレベルになるよう選択することが好ましい。この単純なクロスオーバ圧力Pは、1つの圧力値であり、多くの応用例で用いることができる。しかしながら、所望の場合、当業者にとって公知の一般的な平滑関数を用いて、クロスオーバーレベルを明確にしなかったり範囲103にわたって分散させたりすることによって、図5の圧力プロファイル98が、クロスオーバが発生する位置で急に曲がったりねじれたりしないようにすることができる。基本的に、平滑関数では、まず、範囲103の一端でPの値にP20によって重み付けし、徐々に変化して範囲103のもう一端ではPの値にPによってさらに重み付けするようにする。その結果、範囲103のPの出力は、P20とPとの合成値になる。
【0041】
チャンバ内絶対圧測定値P20が相関圧力しきい値Pよりも低下した後で相関係数Fが図3の58において更新された場合、上述のように、55における出力Pは、チャンバ内圧力プロファイル98の上昇部分95から大気圧96以上の値までについては、チャンバ内絶対圧Pの正確な測定値である。しかしながら、図3の50における差圧ΔPの出力は、所望であれば、外ドア64(図1)を開放するためにまだ用いることができる。次のロードロックの排気サイクルの下降部分92(図5)について図3の49において差圧測定値P30を仮想絶対圧測定値Pと相関させるために、更新済の同じ相関係数Fを続けて使用する。なぜなら、この相関係数Fは、実際の大気圧Pと最後に相関されているため、相関係数の初期値Fよりも通常正確だからである。
【0042】
上述の図3ないし図5に示すプロセス中のロジックは、図1に示すようなマイクロプロセッサ80のような方法や当業者にとって公知の他の都合のよい方法で実行できる。絶対圧センサ20と差圧センサ30からの信号は、都合のよい通信リンク21および31によってマイクロプロセッサ80に伝達できる。ドア62を操作するためのマイクロプロセッサからの信号は通信リンク84を介して、ドア64を操作するためのマイクロプロセッサからの信号は通信リンク83を介して、スロットルバルブ66を操作するためのマイクロプロセッサからの信号は通信リンク68を介して、ディスプレイ90を操作するためのマイクロプロセッサからの信号は通信リンク86を介して伝達できる。このような通信リンクは、配線、無線周波数、赤外線、音、または他の信号による通信技術であってもよい。また、前記信号および処理済の情報は、当業者にとって公知のように、バッファ、フィルタ、増幅器、アナログ・ディジタル変換器、メモリ装置、他の従来の信号処理装置(図示せず)で処理したり格納したりすることができる。ディスプレイ90は、本明細書では総称的に用いられているが、本発明に応じて図3について記載されたプロセスから圧力の出力ΔPおよび/またはPを受信したり、使用したり、記憶したり、表示したりするための印刷式、投影式あるいは別の何らかの視覚的な装置であってもよい。圧力センサ78は、モニタリング、比較、ディスプレイなどのための通信リンク85を介してマイクロプロセッサ80に接続する必要はないが、接続してもよい。
【0043】
上述して図4に示すように、最新の技術を備えた絶対圧センサ20は、例えば、10−4または10−5以下の極めて低い絶対圧を測定できたり、例えば、10−2ないし1トルのような使用可能な相関範囲に近づくほど高い圧力範囲(例えば、1ないし100トル)まで延長できたりする見込みはない。このような範囲の絶対圧センサ20は、中圧用絶対圧センサとされる。チャンバ内圧力Pを、図5の例のプロセス圧力プロファイル98の10−7トルのプロセス最低圧力レベル113のような低圧レベルにまで排気することが望ましい場合、図8および図9に示すような第2の低圧用絶対圧センサ25を本発明に追加できる。イオンゲージ、ホットカソード圧力センサ、コールドカソード圧力センサなどの低圧用絶対圧センサ25は、図7に示すように、正確かつ信頼性の高いチャンバ内絶対圧Pの出力の範囲を10−8トル以下まで延長できる。イオンゲージと、ホットカソードゲージと、コールドカソードゲージとは、このような低圧の絶対圧レベルで正確かつ信頼性の高い絶対圧測定値P25を提供できる絶対圧センサの例である。
【0044】
本発明において中圧用絶対圧センサ20および差圧センサ30と組み合わされた第2の低圧用絶対圧センサ25の動作を説明するために、まず、図6ないし図9を参照されたい。この例では、図9に示すプロセスチャンバ70にはロードロックが設けられておらず、外ドア164はプロセスチャンバ70への通路69を開放したり閉鎖したりするために設けられている。2つの絶対圧センサ20および25と、差圧センサ70とは、流体が流れるように、チャンバ70の内部161と直接接続されている。そのため、この例におけるチャンバ内圧力Pは、プロセスチャンバ70の内部161の圧力である。図8の圧力目盛40および140と、時間目盛142とは図5の目盛と同様のものである。
【0045】
中圧用絶対圧センサ20と、差圧センサ30とは、図1ないし図5の例について上述されたのとほぼ同じ方法で相関される。初期値Fによる相関係数Fの初期化は、図6に示すのと同様に行うことができる。3つすべてのセンサ20,25,30による2つの絶対圧測定値P20およびP25と差圧測定値P30とを図6の48で読み取る。図8の圧力プロファイル110によって示すようなプロセスがチャンバ内圧力Pと大気圧Pとが等しい状態で始動する場合には、ドア164が閉鎖されているときに圧力レベル112とチャンバ内絶対圧Pが低下し始めた部分114とにおいて正確かつ信頼性の高い測定値を出力するセンサは、差圧センサ30しかない。このため、差圧ΔPは、49に示すように差圧測定値P30と等しく、50において、差圧ΔPを差圧目盛140上に表示したり、プロセス終了後に132の時点でドアを開放したりするような所望の機能のために出力される。しかしながら、上述のように、図6の51において差圧測定値P30を相関係数Fによって調整しても、チャンバ内仮想絶対圧測定値Pが得られ、この測定値Pは、相関係数Fと同様に正確であるとともに、55において、クロスオーバ圧力Pまでの低下し始めの部分114についてはチャンバ内絶対圧Pとして出力される。この後、チャンバ内圧力Pが、中圧用絶対圧センサ20によってより正確かつ信頼性の高い圧力測定値P20が求められる範囲、例えば、図8の第1のクロスオーバ圧力Pよりも低圧の範囲116まで低下すると、図6の55におけるチャンバ内絶対圧Pの出力は、絶対圧測定値P20と等しくなる。この中圧域116にある圧力値94は、図1ないし図5の例について説明したように、図9のスロットルバルブ66を開放してポンプダウン速度を上げるために用いることができる。また、上述のように、チャンバ内圧力Pが相関圧力しきい値Pよりも低下すると、図6の58において、相関係数Fを更新して、相関係数Fの前回の更新以降に発生した可能性がある大気圧Pの変動を補償する。図9の例における信号通信リンクや、マイクロプロセッサ80や、他の信号処理装置などの接続は、本発明の原理を一旦理解した当業者にとって自明であるように、図1について説明したものと同様にできる。したがって、より詳細な説明は不要である。
【0046】
しかしながら、図5のプロセス圧力プロファイル98の例とは異なって、図8に示すプロセス圧力プロファイル110の例は、中圧用圧力センサ20の圧力測定能力よりも低圧の状態が続く。このため、第2のクロスオーバ圧力レベルPXX、または、好ましくは、圧力測定値P20とP25の両方が正確かつ信頼性が高い範囲118からPXXの下のプロセス圧力プロファイル110の下部120を通って最低圧力値122までの範囲では、図6の55におけるチャンバ内絶対圧Pの出力は、低圧用圧力センサ25による絶対圧測定値P25と等しい。PXXにおける第2のクロスオーバは、図6の124および126において遂行される。
【0047】
最低圧力値122は、一般的に、プロセスチャンバ161に不活性ガスまたは加圧ガス63を再充填する前に、プロセスチャンバ161から実質的に可能な限りの多くの不純物を抜き出して、チャンバ内プロセス圧力Pを中圧レベル126に上昇させるために用いる。ここでは、プロセス供給ガス74,75,76をプロセスチャンバ161に流入させて、基板73上に半導体材料77を反応させて堆積する。プロセス圧力レベル126は、第2のクロスオーバ圧力PXXよりも高圧であっても、低圧であっても、もしくは、等しい圧力であってもよく、オペレータが所望する圧力にすることができる。
【0048】
図6ないし図9の例にある半導体77の堆積プロセスが完了すると、供給ガス74,75,76は停止され、再充填ガス63または他の再充填ガス(図示せず)を用いて、チャンバ内プロセス圧力Pを大気圧Pまで再度上昇させる。第2のクロスオーバ圧力PXXと第1のクロスオーバ圧力Pとの間の中圧範囲128においては、絶対圧測定値P20によってプロファイル110の絶対圧が求められる。最後に、第1のクロスオーバ圧力Pよりも高圧の圧力範囲130では、プロセス圧力プロファイル110の絶対圧P測定値は、再び仮想絶対圧測定値Pによって求められ、この測定値Pは、上述し、かつ、図6の52,54,55に示すように、更新済の相関係数Fを差圧測定値P30に加算することによって算出される。最終的に、チャンバ内圧力Pが大気圧Pに達すると、差圧センサ30は、差圧ΔPをゼロと検知して、53におけるΔPの出力は、上述のように、132の時点でドア164を開放するために用いることができる。
【0049】
上述のように、絶対圧と差圧との正確な関係が既知である圧力レベル、または、この関係が測定されたり別の方法で求めたりすることができる圧力レベルを用いて、相関係数を求めたり、差圧測定値によって、絶対圧測定値を絶対圧センサによって正確かつ信頼性が高い絶対圧の測定ができる値以上に延長することができる。上記の例では、本発明では、相関係数Fを差圧測定値P30に加算することによって、絶対圧センサの正確かつ信頼性の高い絶対圧の測定ができる値以上に絶対圧測定値の範囲を延長することが示されている。しかしながら、本発明の原理では、絶対圧測定値を高圧用絶対圧センサの正確かつ信頼性の高い圧力測定ができる値以下に延長するために、相関係数を差圧測定値と一緒に求めて用いることもある。例えば、絶対圧センサ(図示せず)によって、500ないし3,000トルのような高圧の絶対圧については正確かつ信頼性の高い測定が可能であるが、1,000トル以下の絶対圧は測定できない場合、大気の+200%から大気の−99.9%まで(その時点での大気圧によるが、ほぼ1,200トルないし1,500トルから約−760ないし600トル)は正確かつ信頼性が高い差圧センサと、適切な相関係数とを組み合わせて、絶対圧測定範囲を1,000トルの絶対圧センサの低圧範囲の境界よりも低圧になるように(例えば、0.1トルまで)延長できる。相関係数は、例えば、差圧がゼロの場合、大気圧としてもよい。所望の場合、上述のように、中圧用絶対圧センサと低圧用絶対圧センサを組み合わせることによって、絶対圧測定値を、1トルから10−8トルのようなさらに低圧にまで達するようにしてもよい。
【0050】
この結果、本発明によれば、差圧センサを用いて、その正確かつ信頼性の高い差圧測定範囲内で仮想絶対圧測定値Pを共通の絶対圧目盛上で求めることができる。この場合、複数の絶対圧センサの絶対圧測定値は、前記差圧センサ測定範囲よりも高圧および/または低圧になる。前記の特性は、正確かつ信頼性の高い圧力測定ができる絶対圧センサが差圧センサと同じ範囲について使用できる状況があるとしても利点となる。例えば、上述の図4の例では、絶対圧センサ20は、マイクロピラニセンサであってもよく、熱伝導型圧力センサのような他の多数の絶対圧センサであってもよい。熱伝導型圧力センサによる圧力読取値は、ガスの種類に応じて、すなわち、分子の含有量に応じて約1トル以上のような高圧において変動する。言い換えれば、例えば、チャンバ内の実際の絶対圧Pが変動していなくても、チャンバ内のガスが変更したり他のガスと混合されたりすると、熱伝導型絶対圧センサが別の圧力読取値P20を出力することになる。ピエゾゲージや容量型ダイアフラムゲージのような直接読み取れる差圧センサはガスの種類に依存していないので、このようなセンサを用いれば、チャンバに導入されるガスの種類にかかわらず、同じ圧力読取値が求められる。このため、ガス依存型絶対圧測定値については、本発明において、差圧測定値P30を相関係数Fと組み合わせて使用することによって、同じ範囲について熱伝導型絶対圧センサを使用するより有利である。このため、本発明によれば、前記絶対圧センサは、約10トルないし1,500トル以上の範囲で差圧と絶対圧とを両方測定してモニタリングする2つの機能を同時に遂行するだけでなく、同じ範囲で、少なくともガス種依存型の絶対圧センサ複数個よりも適切な絶対圧の読取値を求めることができる。
【0051】
前述の説明は、発明の原理を説明するためのものと考えられたい。さらに、当業者が容易に想到する修整や変形がたくさんあるので、本発明を図示したり上述したりした構造やプロセスそのものに限定することは望ましくない。したがって、本発明の範囲内に入る適切な変形や等価物すべてに対して何らかの手段をとる可能性がある。例えば、図3と図6との判断ボックス50,56での比較は「大なり」および「小なり」によって表されているが、「大なり」は「大なりイコール」、「小なり」は「小なりイコール」であってもよい。なぜなら、これら圧力レベルPXおよびPは、適切に機能するために、本発明と全く同じである必要はないからである。このため、図3および図6の手順に関する説明については、「大なり」(>)は「大なりイコール」(≧)を含み、「小なり」は「小なりイコール」(≦)を含むこととする。また、図3および図6の両方において、上述のように、52での比較は、「P20>P」ではなく、「P>P」であってもよい。本発明に使用されるのに適している最新技術の絶対圧センサには、例えば、静電容量式圧力計、ピエゾ式圧力計、歪計などのような低圧用ダイアフラム式センサだけでなく、熱伝導式センサ、マイクロピラニセンサ、従来の対流式ピラニセンサ、ホットカソードセンサ、コールドカソードセンサ、イオンゲージなどがある。ダイアフラム式差圧センサや、上述のような絶対圧センサの組み合わせも、本発明での使用に適している。もちろん、本発明は、これから先の技術を用いた絶対圧センサや差圧センサを用いても同様に作用する。本明細書中に使用される「含む」や「備える」のような用語(「comprise」,「comprises」,「comprising」,「include」,「including」,「includes」)は、挙げられた特徴、整数、構成要素、またはステップを明記する意図があるが、他の1つ以上の特徴、整数、構成要素、ステップ、またはグループの存在または追加を除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】広い圧力範囲にわたって一続きの目盛上でチャンバ内の絶対圧を測定するための絶対圧センサと差圧センサとが設けられた本発明に係る真空プロセスチャンバ用ロードロックの模式図である。
【図2】本発明によって対処される課題と、本発明の原理とを説明するために、海面での大気圧と、高原での大気圧とともに並べられた絶対圧を示すチャート図である。
【図3】絶対圧測定範囲を差圧センサの範囲にまで延長するために本発明で使用するアルゴリズムを示す論理フローチャートである。
【図4】本発明に係る1つの絶対圧目盛上で幅広い圧力範囲にわたって絶対圧測定値を求めるための、2つの圧力センサ、すなわち、差圧センサと絶対圧センサとの有効な差圧範囲と絶対圧範囲を示す分岐棒チャートである。
【図5】図1ないし図4に示す一体型絶対圧・差圧兼用トランスデューサの適用例を示す従来のロードロック制御サイクルの圧力プロファイルである。
【図6】図3と同様に絶対圧測定範囲を差圧センサの範囲にまで延長するとともに、同様に、別の低圧用絶対圧センサによって、該絶対圧測定範囲を低圧にまで延長するために本発明で使用するアルゴリズムを示す論理フローチャートである。
【図7】幅広い範囲にわたって絶対圧測定値を求めるための前記第2の低圧用絶対圧センサの圧力測定範囲も含んでいる図4と同様な分岐棒チャートである。
【図8】図6ないし図7に示す一体型絶対圧・差圧兼用トランスデューサの適用例を示す従来の真空プロセスサイクルの圧力プロファイルである。
【図9】ロードロックがない点以外は図1と同様であるが、絶対圧測定範囲を一続きの目盛上で延長するために、2つの絶対圧センサ、すなわち、中圧用センサおよび低圧用センサと、差圧センサとが設けられている本発明に係る真空プロセスチャンバの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内のガスの絶対圧測定値の範囲を延長する方法であって、
前記チャンバ内のガスと大気圧との差圧を測定して差圧を求め、
前記チャンバ内のガスの絶対圧を測定してチャンバ内絶対圧を求め、
クロスオーバ圧力レベルを設定し、
前記測定済チャンバ内絶対圧が前記クロスオーバ圧力レベルよりも低圧の場合、チャンバ内絶対圧を前記測定済チャンバ内絶対圧と等しくなるようにし、
前記測定済絶対圧がクロスオーバ圧力レベルよりも高圧の場合、前記測定済チャンバ内絶対圧から前記測定済差圧を減算した値と等しい相関係数を前記測定済チャンバ内絶対圧に加算することによって正規化した差圧を求め、前記チャンバ内絶対圧を前記正規化した差圧に相当するようにする方法。
【請求項2】
前記絶対圧が相関圧力しきい値よりも低圧の場合に相関係数を求める請求項1記載の方法。
【請求項3】
差圧と絶対圧とを測定するために用いる計器が、絶対圧測定値の範囲を延長するために必要なだけの精度と信頼度をもって差圧とチャンバ内絶対圧とを測定できる圧力範囲内のいずれかの圧力値に相関圧力しきい値を設定する請求項1記載の方法。
【請求項4】
差圧センサによって前記チャンバ内のガスと大気圧との差圧を測定する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記差圧センサにはダイアフラム型圧力センサが含まれている請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記差圧センサにはピエゾ式圧力センサが含まれている請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記差圧センサには、静電容量式圧力計(差圧センサ)が含まれている請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記差圧センサには熱電対差圧センサが含まれている請求項4記載の方法。
【請求項9】
絶対圧センサによって前記チャンバ内のガスの絶対圧を測定する請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記絶対圧センサには熱伝導型圧力センサが含まれている請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記絶対圧センサにはピラニ式圧力センサが含まれている請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記絶対圧センサには容量型圧力計(圧力センサ)が含まれている請求項9記載の方法。
【請求項13】
チャンバ内の圧力の経時変化に応じたチャンバ内ガス圧力の絶対圧プロファイルを求める方法であって、
絶対圧について正確かつ信頼性の高い測定が可能な範囲のある絶対圧センサによって前記チャンバ内絶対圧を測定し、
差圧について正確かつ信頼性の高い測定が可能であるとともに絶対圧センサにおける正確かつ信頼性の高い絶対圧測定が可能な範囲の少なくとも一部と対応する範囲のある差圧センサによって前記チャンバと大気圧との差圧を測定し、
正確かつ信頼性が高いと考えられる絶対圧センサによる絶対圧測定値と、絶対圧測定値と同時に測定された差圧センサによる差圧測定値との間の相関係数を求め、
差圧センサによる差圧測定値よりも絶対圧センサによる絶対圧測定値の方が正確かつ信頼性が高い圧力範囲内では、チャンバ内絶対圧のプロファイルに絶対圧センサによる絶対圧測定値を用い、
絶対圧センサによる絶対圧測定値よりも差圧センサによる差圧測定値の方が正確かつ信頼性が高いチャンバ内絶対圧プロファイルには、仮想絶対圧測定値を求めるために前記相関係数によって調整された差圧センサによる差圧測定値を用いる方法。
【請求項14】
差圧測定値と同時に測定した絶対圧測定値から差圧測定値を減算して前記相関係数を求める請求項13記載の方法。
【請求項15】
チャンバ内絶対圧が差圧について正確かつ信頼性の高い測定が可能な範囲の下限値以下のような低圧になる時点で測定した絶対圧測定値から差圧測定値を減算する請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記チャンバ内絶対圧が大気圧と等しい時点で測定された絶対圧測定値から差圧測定値を減算する請求項14記載の方法。
【請求項17】
絶対圧について正確かつ信頼性が高い測定が可能であるとともに差圧について正確かつ信頼性が高い測定が可能な範囲よりも低圧にまで及ぶ範囲のある絶対圧センサによって前記チャンバ内絶対圧を測定する請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記絶対圧について正確かつ信頼性の高い測定が可能な範囲における前記差圧について正確かつ信頼性の高い測定が可能な範囲の一部と対応する部分においてクロスオーバ圧力を選択し、
前記絶対圧センサによるチャンバ内絶対圧測定値がクロスオーバ圧力レベルよりも低圧である場合、絶対圧センサによる絶対圧測定値をチャンバ内絶対圧プロファイルに用い、
前記チャンバ内圧力の仮想絶対圧測定値がクロスオーバ圧力レベルよりも高圧である場合、前記仮想絶対圧測定値をチャンバ内絶対圧プロファイルに用いる請求項17記載の方法。
【請求項19】
クロスオーバ圧力レベルは1つの圧力値である請求項18記載の方法。
【請求項20】
クロスオーバ圧力レベルにはクロスオーバ圧力範囲が含まれるとともに、クロスオーバ圧力範囲内の絶対圧測定値および仮想絶対圧測定値両方の重み付け平均を含む絶対圧合成値を前記チャンバ内絶対圧プロファイルに用いる請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記差圧について正確かつ信頼性の高い測定が可能な範囲の下限値が相関圧力しきい値であり、
前記絶対圧センサによる絶対圧測定値が繰り返し相関圧力しきい値以下に低下するようにしながら前記チャンバ内圧力を周期的に上下させ、前記絶対圧測定値が前記相関圧力しきい値以下に低下するたびに前記相関係数を求め直して、このように周期的に上下している間に発生する大気圧の変化に応じて相関係数を調整する請求項15記載の方法。
【請求項22】
前記絶対圧センサは第1の絶対圧センサであり、
正確かつ信頼性の高い絶対圧測定が可能な範囲があるとともに、前記範囲の第1の部分が前記第1の絶対圧センサにおける正確かつ信頼性の高い絶対圧測定が可能な範囲の一部と一致し、かつ、前記範囲の第2の部分が前記第1の絶対圧センサにおける正確かつ信頼性の高い絶対圧測定が可能な範囲よりも低圧の絶対圧にまで及ぶ第2の絶対圧センサによって前記チャンバ内絶対圧を測定し、
前記第2の絶対圧センサによる絶対圧測定値が前記第1の絶対圧センサによる絶対圧測定値よりも正確かつ信頼性が高い圧力範囲において、前記チャンバ内絶対圧プロファイルに前記第2の絶対圧センサによる絶対圧測定値を用いる請求項17記載の方法。
【請求項23】
時間の経過とともにチャンバ内絶対圧、すなわち、チャンバ内圧力を測定するための装置であって、
大気圧と前記チャンバ内圧力との差圧を測定する差圧センサと、
前記チャンバ内絶対圧を測定する絶対圧センサと、
差圧センサと絶対圧センサとに接続され、絶対圧センサによる絶対圧測定値と、差圧センサによる差圧測定値との相関係数を求める手段と、
前記相関係数によって差圧センサによる差圧測定値を調整して仮想絶対圧測定値を得る手段と、
前記絶対圧センサによる絶対圧測定値が前記仮想絶対圧測定値よりも正確かつ信頼性が高いチャンバ内圧力範囲内で前記絶対圧センサによる絶対圧測定値を出力するとともに、前記仮想圧力測定値が前記絶対圧センサによる絶対圧測定値よりも正確かつ信頼性が高いチャンバ圧力範囲内で仮想絶対圧測定値を出力する手段とを備えている装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−512535(P2007−512535A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541440(P2006−541440)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039667
【国際公開番号】WO2005/052535
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】