説明

一体型高圧室および真空槽を有するクラスターツール用プロセスチャンバー

クラスターツールは、複数の真空槽に接続される移送槽を含む。その移送槽に接続される付加的なプロセスチャンバーは、ハウジングに据え付けられる高圧室アッセンブリーを含む。開放位置および閉鎖位置との間で調整可能とされるその高圧室アッセンブリーは、上槽部および下槽部を含む。その上槽部に取り付けられ、その下槽部に付随するチャンバーロッドを有する液圧シリンダーは、その下槽部をその二つ位置の間で上槽部に対し移動させるように構成される。その二つの部分が閉鎖位置に一緒となる場合、高圧室アッセンブリーは、超臨界二酸化炭素でウェーハを処理するのに適した高圧室を形成する。その高圧室が形成されるならば、下槽部とハウジングとの間の部分は、高圧室の一部の外側に真空槽を形成するように真空にされ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造のためのプロセスチャンバーに関する。さらに詳細には、それは、開放位置および閉塞位置相互間で調整可能とされる高圧室アッセンブリーを含むプロセスチャンバーに関連する。閉塞位置の場合、高圧室が真空槽のように形成される。そのプロセスチャンバーは、他の真空槽が接続されるクラスターツールに接続され得る。
【背景技術】
【0002】
クラスターツールは、従来技術において周知である。図1は、内容が参照により一部を構成する米国特許第6321134号に開示されるように、クラスターツール100の略図である。従来技術のクラスターツール100は、円形即ち丸い環状の形態で構成される。更に詳細には、この図で分かるように、クラスターツール100は、6面を有する六角形の構成をとる。即ち、ロボット104を含む移送槽102が、少なくとも参照数字106A,106B,106C,106Dおよび106Eにより示される複数の真空プロセスチャンバーにより囲まれる中央部分に配される。移送槽102が、プロセスチャンバーのように真空ポンプなどを備えることは了解されよう。
【0003】
ウェーハが収容されるクリーンルームに移され得るロードロック116が移送槽102に接続される。その技術の当業者にとって知られているように、ロボット104は、代表的には、ウェーハ108を保持するためのウェーハハンドル110において末端をなすヒンジアームを有している。そのウェーハハンドルは、円板状、フォーク型でもよく、または、他のなんらかの形状をとってもよい。ロボット104は、所望される用途に応じて槽106A〜106Eのうちのいずれか一つからひとつまたは複数のウェーハ108を挿入および取り外し、または、ロードロック116内へウェーハを挿入および取り外すことができる。
【0004】
図2は、直列、即ち、直線的な構成で配される他の従来技術のクラスターツール200を示す。即ち、ロボット204を含む移送槽202は、参照数字206A,206B,206C,206D、206E、および、206Fにより示される複数の真空プロセスチャンバーを平行配列で有して配されている。また、移送槽202が、プロセスチャンバーのように真空ポンプなどを備えることは了解されよう。また、ロードロック216が設けられている。ロボット204は、所望の用途に応じて槽206A〜206Fのうちのいずれか一つからウェーハハンドラー210上に静止した一つ、または複数のウェーハを、挿入および取り外し、または、ロードロック116内へ挿入および取り外すことができる。
【0005】
従来技術のクラスターツール100あるいは200における個別の槽は、その技術分野の当業者にとって知られているように、一個以上のコントローラのすべて命令のもとで、一つ以上の処理工程を行なうように必要なチャック、ツール、バルブ、接続等により設定され得る。さらに、様々なポンプ、ガスシリンダー、イオン源等が様々な槽内に収容され、および/または接続され得ることが了解されよう。
【0006】
また、その技術分野の当業者にとって知られているように、従来技術のクラスターツール100、200は、代表的には、コントローラに接続されている。そのようなコントローラは、マイクロプロセッサを用いるユニット、ハードディスク記憶装置ユニットのよう様々な構成部品、ポインターデバイス(例えば、マウス)のような入出力構成部品、キーボード、および/またはタッチスクリーン、マウス、他の構成部品を含む。また、そのコントローラは、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)などのような表示部を結合され得る。その表示部は、メニューを含むグラフィカルユーザインターフェースを有している。一つまたは複数のメニューは、ハードドライブ、または他の記憶装置に格納される様々な処理方法に対応することができる。その処理方法は、コンピュータプログラムとして、即ち、ソフトウェアからなるコンピュータコードを使用するプログラムとして構成される。そのコンピュータコードは、他のものならびにこの中で説明される機能を実行する。また、ネットインターフェースが、設けられる。
【0007】
内容が参照により一部を構成する米国特許第6763840号に開示されるように、超臨界二酸化炭素(CO2)は、クラスターツールの圧力室における基板を清浄するように使用され得る。これについて、先ず、その基板は、圧力室に配され、それから、その圧力室が加圧される。次に、二酸化炭素(CO2)がその圧力室に導かれ、その基板は、二酸化炭素(CO2)で清浄される。次に、その二酸化炭素(CO2)は、その圧力室から除去される。その圧力室は、減圧される。最後に、基板自体がその圧力室から取り外される。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6321134号
【特許文献2】米国特許第6763840号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一面において、本発明は、クラスターツールについて述べられる。クラスターツールは、移送槽およびその移送槽に接続される少なくとも一つのプロセスチャンバーを含む。その少なくとも一つのプロセスチャンバーは、ハウジングおよびハウジングに接続される高圧室アッセンブリーを含む。その高圧室アッセンブリーは、上槽部と、上槽部に対して移動可能な下槽部と、その二つに接続される複数の液圧シリンダーとを含む。
【0010】
その上槽部およびハウジングが、下槽部がある区画された部分を画定し、高圧室アッセンブリーは、下槽部が上槽部から離隔される開放位置と、下槽部が上槽部に接触し、それにより、第1の空間、下槽部とハウジングの底壁との間の区画される部分内に画定される第2の空間を囲む高圧室を形成する閉塞位置との間で調整可能とされる。第1のバルブ
は、移送槽とハウジングとの間に設けられる。
【0011】
好ましくは、クラスターツールは、(1)第1のバルブが開放し、高圧室アッセンブリーが開放し、移送槽および区画された部分が共通の圧力を有する第1の状態と、(2)第1のバルブが閉塞され、高圧室アッセンブリーが開放し、移送槽が第1の圧力を有し、第2の空間が第1の圧力とは異なる第2の圧力を有する第2の状態と、(3)第1のバルブが閉塞され、高圧室アッセンブリーが閉塞され、移送槽が第1の圧力を有し、第2の空間が第2の圧力を有し、第1の空間が第3の圧力を有し、第1および第2の圧力が大気圧未満であり、第3の圧力が大気圧以上である第3の状態との間で調整可能である。
【0012】
他の面において、本発明は、高圧室アッセンブリーについて述べられる。その高圧室アッセンブリーは、上槽部と、上槽部に対して移動可能とされる下槽部と、上槽部を下槽部に連結する複数の液体シリンダーとを含む。下槽部は、下壁と、前面および下壁に当接する背面を有し、流体の移送のための少なくとも一つの貫通路を備えるロアプレートであって、ロアプレートの背面は、流体のさらなる移送のために横方向に延在する少なくとも一つの溝を備えるロアプレートと、を含む。高圧室アッセンブリーは、下槽部が上槽部から離隔される開放位置と、下槽部が上槽部に接触し、それにより、第1の空間を囲む高圧室を形成する閉塞位置との間で調整可能とされる。この高圧室への流体の入口および出口が、上槽部だけを貫通する。
【0013】
さらなる他の面においては、本発明は、クラスターツールの移送槽にバルブを介して接続され、ウェーハが挿入または取り外され得る開放位置とウェーハが処理され得る閉塞位置との間で調整可能な高圧室を含むプロセスチャンバー内でウェーハを清浄する方法について述べられる。その方法は、バルブおよび高圧室が双方、開放される場合、ウェーハを移送槽から高圧室に導入し、バルブを閉塞し、高圧室を閉塞し、高圧室とプロセスチャンバーの複数の壁との間の空間内を真空にし、流体即ちガスを高圧室に導入し、ウェーハを処理し、高圧室を通気し、バルブが閉塞される間、高圧室を開放し、空間と移送槽との間の圧力を等しくするように空間内を真空引きし、バルブを開放し、ウェーハを移送槽を介して取り外すことを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図3は、本発明に従った環状の構成を有するクラスターツール300を示す。クラスターツール300は、移送槽302と、ロボットハンドル310を有するロボット304と、従来の真空プロセスチャンバー306B,306C,306D,306Eと、ロードロック(load lock)316と、を有しており、それらすべてが、図1においてそれらに相当するものに類似している。クラスターツール300は、それぞれインナーボックスおよびアウターボックスとして図4に図示される真空槽324と協働して高圧室322を選択的に形成するように構成される少なくとも一つのプロセスチャンバー320を付加的に有している。ロボット304、ロボットハンドル310、移送槽302および様々な槽は、アーム310に固定されるウェーハ308が選択的に搬送され、いずれかの槽に出入りするように構成される。プロセスチャンバー320は、好ましくは、従来の真空プロセスチャンバー306B〜306Eと同じ設置面積を有し、決してそれらよりも据付面積を超えない。
【0015】
図4は、本発明に従う直線状の構成を有するクラスターツール400を示す。クラスターツール400は、直線状の移送槽402と、ロボットアーム410を有するロボット404と、従来の真空プロセスチャンバー406B,406C,406D,406E、406Fと、ロードロック(load lock)416と、を有しており、それらすべてが、図2においてそれらに相当するものに類似している。クラスターツール400は、それぞれインナーボックスおよびアウターボックスとして図4に図示される真空槽424内に高圧室422を選択的に形成するように構成される少なくとも一つのプロセスチャンバー420を付加的に有している。ロボット404、ロボットアーム410、直線状の移送槽402および様々な槽は、アーム410に固定されるウェーハ408が選択的に搬送され、いずれかの槽に出入りするように構成される。プロセスチャンバー420は、好ましくは、従来の真空プロセスチャンバー406B〜406Fと同じ設置面積を有し、決してそれらよりも据付面積を超えない。
【0016】
プロセスチャンバー320および420の構造は、好ましくは、同一であり、そこで、プロセスチャンバー320だけが詳細に説明されると了解される。
【0017】
図5は、図3におけるプロセスチャンバー320の側面に対し平行にとられた断面を示す。プロセスチャンバー320は、ハウジング502と、それに固定される高圧室アッセンブリー520とを含む。図5において、高圧室アッセンブリー520は、プロセスチャンバー320内における分裂した位置(または、代替的に、「開」、即ち、「非作動」)である。以下の説明において、参照数字520は、高圧室および高圧室アッセンブリー双方を指すために使用され、「高圧室」という用語は、「組み合わせた」(または、代替的に、「閉」即ち、「作動」)位置でアッセンブリーを指すものとする。
【0018】
ハウジング502は、前壁504、下壁505、および、506として全体を示される他の3つの側壁を含む。実質的に矩形の長孔508が前壁504内に形成されている。長孔508は、ロボットハンドル310が侵入し、ウェーハ308を載置または取り出し可能とするほどの大きさである。長孔508は、時々、「スロットバルブ」、または「トランスファーバルブ」と呼ばれる矩形のゲートバルブ510により作動される。図において分かるように、ゲートバルブ510は、上部アクチュエータ部512および駆動部514を含む。好ましい実施例においては、シリーズ2モノバート(MONOVAT)(登録商標)ゲートバルブ(マサチューセッツ州、ウーバンにあるVAT社(www.vatvalve.com)製)が使用される。
【0019】
アダプタ516は、プロセスチャンバー320をクラスターツール300に連結する。使用中、ゲートバルブ510の目的は、ガスまたは他の物質の流れを代わるがわる選択的に有効に妨げるように移送槽302をプロセスチャンバー320から選択的に孤立させることである。
【0020】
高圧室アッセンブリー520は、上槽部522と、下槽部524と、その二つの部分を連結する複数の液圧シリンダー526a,526b,526c,526dとを含む。
【0021】
上槽部522は、外向きの上面530および内向きの下面534を有する上壁528を含む。環状の上槽プレート532が、内向きの下面534に形成される凹部533内に取り付けられている。全体を536で示される複数の入口および出口は、上壁528および上槽プレート532双方の中に形成される上部貫通路538に接続している。その入口、出口、および、上部貫通路538により、高圧室520の一部へ出入りするガスおよび液体のような流体における導入、排出、移送が可能となる。外部配管設備、配管、接続、ガスおよび液体シリンダー等は、これらが上述の従来技術の特許により例示され、当業者にとって知られているので図から省略されている。
【0022】
下槽部524は、平坦な内向きの表面542を有する下壁540を含む。その下槽部は、さらに、裏面546および作用表面547を有するロアプレート544を含む。ロアプレート544は、ロアプレート544の裏面546が下壁540における平坦な内向きの表面542に当接している状態で下壁540に取り付けられている。
【0023】
ロアプレート544は、上槽部522内に形成される上部貫通路538を介して導入される流体の移送のための複数の下部貫通路545を備え得る。好ましくは、いくつかの下部貫通路は、上部貫通路538と同心にしている。さらに、ロアプレート544の裏面546は、回収、および、さらに流体が上層部の上面530を介して高圧室530に排出する上部貫通路に向けて流体の移送の戻しのために横方向に延在する複数のチャネル548を備え得る。
【0024】
従って、高圧室520に関し、ガス、液体および他の物質および要素についてのすべての自動的な流体の侵入は、その二つの部分のうちの一方だけでなされる。特に、それらが、上槽部522の上壁528内でなされる。下槽部524は、特に、その下壁540が、ガス、液体等を高圧室520の内部に移送するように構成される貫通路がない。従って、高圧室520に対するすべての外部接続が、その上槽部内に到達するだけであることは明らかであろう。これにより、下槽部524が、プロセスチャンバー320の外面から完全に分離可能とされる。
【0025】
環状のアッパープレート532およびロアプレート544は、すべてその技術分野の当業者にとって知られているような、ウェーハ、または他の被加工品を支持し受け止めるためのウェーハサポートフィンガー560、ポケット562などのような種々の構造および構成を備えていてもよい。高圧室が閉じた位置にある場合、フィンガー560は、ポケット562内に受け入れられる(図5および図9参照)。
【0026】
図7および図8を参照するに、環状のアッパープレート532aおよびロアプレート544aが更なる特徴を示す。アッパープレート532aにおける半径方向内端は、ウェーハ上の液体の一様な分布を促進させるための「シャワーヘッド」を形成し、対応した構成および寸法を有した弧状の分散部品554を受け入れるように構成および寸法を有する一対の弧状のトラック535を備えている。
【0027】
ロアプレート544aの作用表面547は、好ましくは、その高圧室が加圧される場合、高圧密封をもたらすOリングシール(不図示)を受け止めるように構成および寸法を有する円形の溝552を備えている。また、上方の作用表面547は、高圧室が閉じられる場合、内向きの下面534にそれ自体固定され、吊るされるウェーハのサポートフィンガー560を受け入れるように構成および寸法を有する複数の細いポケット562を備えている。
【0028】
さらに、図8においてよく分かるように、ロアプレート544aの裏面546は、上方の作用表面547に形成されるポケット562に関連させて横方向に延在する複数のチャネル548aを備えている。また、好ましくは、ポケット562に関連していない横方向に延在する少なくとも一つのチャネル548bが、裏面546に設けられている。
【0029】
図7および図8における分解された図からよく分かるように、各液圧シリンダー526a,526b,526c,526dは、それぞれ、シリンダーヘッド525a,525b,525c,525dと,シリンダーロッド527a,527b,527c,527dとを含む。そのシリンダーロッドの上部は、シリンダーヘッド内に保持され、そして、ロッド自体が上槽部522および下槽部における開口を貫通し、下壁540の下面に形成される凹部570に現れる。これらの凹部570内では、そのロッドが、ボルト574によりその凹部に固定されるフランジ状のプレッシャ−フィッティング(pressure fitting)572を貫通し、ナット576によりそれ自身が固定される。
【0030】
高圧室520は、上面530の下面に形成される外縁を構成するリップ584を介してプロセスチャンバーハウジング502に接続されている。図に見られるように、上槽壁528のリップ584は、前壁504の上端およびハウジング502の側壁に当接している。リップ584は、ボルト(不図示)により上端に固定される。これが、上槽壁528およびプロセスチャンバーハウジング502相互間のシールを形成する。さらに、この構成において、ハウジング502の壁504、516が、高圧室520の重量を支持している。
【0031】
図5に示される構成において、高圧室アッセンブリー520は、上槽部522および下槽部524が互いに分離されているという意味において分解されている。そのような場合、プロセスチャンバー320の全体にわたって圧力は、均一である。ゲートバルブ510が開いたならば、それから、移送槽302およびプロセスチャンバー320内の双方の圧力は、同一である。
【0032】
図9は、組み合わされた(または、代替的に、「閉塞」即ち、「作動」)位置で高圧室アッセンブリー520とともに図5のプロセスチャンバー320を示す。図9において、前壁504は、中実の壁(即ち、長孔508がない)として示されている。ゲートバルブ510、アダプター516、および、移送槽302は、高圧室520(「第1」または「主」槽とも呼ばれてもよい)、および、プロセスチャンバー320内に形成される真空槽590(「第2」または「副」槽と呼ばれてもよい)に注目するために取り除かれている。
【0033】
図5から分かるように、高圧室が開放される場合、下槽部524の下壁540とハウジングの底壁505との間の第1の大きさの空間578がある。図9から分かるように、高圧室が閉塞される場合、下槽部524の下壁540と底壁505との間における第2の大きな大きさの空間579がある。この拡大された空間579は、下槽部524が底壁505から離隔し上方へ移動した結果である。この拡大された空間579が真空槽590の一部を形成する。
【0034】
上述の説明から、そのハウジングの前壁、底壁、および、側壁、上槽部522は、共に、小室を画定することが明らかであろう。この小室は、ゲートバルブ510により選択的に密封される長孔508を介して出し入れ可能とされる。高圧アッセンブリーが開閉される場合、空間578および579がそれぞれ働きをするとき、下槽部524は、この小室内にある。
【0035】
分解された位置から組み合わされた位置まで高圧室を調整するために液圧ユニット(不図示)が使用され、液圧シリンダーを作動させる。これにより、下槽部524がハウジングの底壁505から離隔し、上方に上槽部に向かって移動する。800psiと1200psiとの間の圧力が、この目的のために加えられ、下槽部524が上槽部522に接触することとなり、それにより、加工が行われる第1の空間を包囲する高圧室520を形成する。ウェーハの加工作業中、その油圧ユニットは、随時、4000psiから1000psiまでの間のいずれかの圧力を加えるようにさらに作動可能とされる。
【0036】
ゲートバルブ510が閉塞され、高圧室320が組み合わされた状態で、下槽部524およびハウジングの底壁505相互間の空間内で真空槽590を作るようにハウジングの側壁に形成される開口580を介して真空が作用され得る。そのような場合、プロセスチャンバー320は、プロセスチャンバー内に共存し、境界として下槽部を共用する高圧室520および真空槽590双方を有する。特に、高圧室520は、下槽部524に隣接した上槽部522相互間に形成され、その真空槽は、下槽部522とハウジングの底壁505との間の空間579に形成される。従って、作動中、真空槽590内の移送槽302および空間579は、代表的には、大気圧以下であり、一方、ウェーハが加工される高圧室520内に画定される第1の空間は、大気圧よりもはるかに高い。
【0037】
環状のクラスターツール300とともにプロセスチャンバー320を使った好ましい方法は、超臨界二酸化炭素(CO2)アプリケーション、および図10における流れ図1000を参照して説明される。
【0038】
ステップ1010において、ロボット304が、ロボットハンドル310に配されるウェーハ308を取得する。好ましい実施例において、ロボット304は、他の真空処理槽306B〜306Eのうちの一つからウェーハをつまみ上げるだろう。この期間中、移送槽302は、真空下、約80〜100mTorrである。
【0039】
ステップ1012において、それから、移送槽302とプロセスチャンバー320との間のゲートバルブ510が、開放される。この時点で、高圧室520が開放される。即ち、下槽部524が、上槽部522に対し下降される。ゲートバルブ510が開放される場合、全プロセスチャンバー320は、移送槽302と共通の真空にあるだろう。
【0040】
ステップ1014において、ロボット304がそのハンドル310を伸ばし、開放した高圧室の内側のフィンガーに、または、他の構造物上にウェーハ308を配置する。それから、そのロボットは、移送槽302に引っ込むだろう。
【0041】
ステップ1016において、それから、ゲートバルブ510が閉じる。これにより、移送槽302内の減圧がプロセスチャンバーの圧力から切り離される。
【0042】
ステップ1018において、その高圧室が閉じる。これにより、3つの分離された部分である移送槽302と、そのウェーハが配置される高圧室520と、プロセスチャンバーハウジング502および閉じられた高圧室520相互間に形成される真空槽590とをもたらす。
【0043】
この時点において、3つすべての隔離された部分は、真空である。第1の真空ポンプは、移送槽302内における第1の真空度をもたらすように使用され、一方、第2の真空ポンプは、真空槽590内の第2の真空度をもたらすように使用される。
【0044】
次に、ステップ1020において、高圧流体が、高圧室520に導かれる。好ましい実施例においては、高圧流体は、二酸化炭素(CO2)であり、その圧力は、4000psiと10000psiとの間である。いかなる漏れも高圧室520の回りの真空槽590に入り、移送槽302および他のプロセスチャンバー306B〜306Eに影響を及ぼす以前に吸入吐出されるだろう。
【0045】
それから、ウェーハ508は、高圧流体により、所定期間、高圧流体に曝すように処理される。
【0046】
ステップ1022において、処理が終了後、高圧室520内の流体が大気に放出される。それから、高圧室520についての逃げ口は、閉塞される。この際、高圧室520において、大気圧で流体残量があるだろう。
【0047】
それから、ステップ1024において、高圧室520が開放される。真空槽590が真空なので残量流体は、勢いよく流れるだろう。この時点で、未だ、ゲートバルブ510は、閉じられている。それで、残留流体は、未だ、移送槽から切り離されている。
【0048】
ステップ1026において、真空槽590(また、上槽部と下槽部との間の部分を含む)は、それから、残留流体が除去され、圧力がゲートバルブ510の両側で等しくなるまで、吸い出される。真空槽590における圧力を均等化できないと、移送槽302が、差圧により一方から他方へ粒子移動をもたらし得る。
【0049】
最後に、ステップ1028において、ゲートバルブ510は、それから、開放され、ウェーハ508は、ロボット504により取り外される。
【0050】
本発明は、特徴のある程度まで説明されたが、様々な変更、および、修正が、以下に請求される本発明の範囲を逸脱することなくなされ得ることは了解されるべきである。
【0051】
本発明は、多くの図を使って1つ以上の好ましい実施例について説明される。図中
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】環状の構成を有する従来技術のクラスターツールを示す。
【図2】直線状の構成を有する従来技術のクラスターツールを示す。
【図3】環状の構成を有する本発明に従うクラスターツールを示す。
【図4】直線状の構成を有する本発明に従うクラスターツールを示す。
【図5】本発明の一実施例に従うプロセスチャンバーの側断面図を、高圧室が開いた状態で示す。
【図6】本発明に従う高圧室の一実施例の斜視図を示す。
【図7】高圧室の一実施例における主要な部品の上面の分解斜視図を示す。
【図8】図7に見られる部品における下面の分解斜視図を示す。
【図9】図5におけるプロセスチャンバーの側断面図を、高圧室が閉じた状態で示す。
【図10】そのプロセスチャンバーの使用に関する例としての流れ図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送槽と、
該移送槽に接続される少なくとも一つのプロセスチャンバーと、を含み、
該少なくとも一つのプロセスチャンバーは、
ハウジングと、
前記ハウジングに接続される高圧室アッセンブリーであって、上槽部と、該上槽部に対して移動可能な下槽部と、その二つに接続される複数の液圧シリンダーとを含み、前記上槽部および前記ハウジングが、前記下槽部がある区画された部分を画定し、前記下槽部が前記上槽部から離隔される開放位置と、該下槽部が上槽部に接触し、それにより、第1の空間、該下槽部と前記ハウジングの底壁との間の区画される部分内に画定される第2の空間を囲む高圧室を形成する閉塞位置との間で調整可能とされる該高圧室アッセンブリーと、
前記移送槽と前記ハウジングとの間の第1のバルブと、
を含むクラスターツール。
【請求項2】
前記ツールは、
前記第1のバルブが開放し、前記高圧室アッセンブリーが開放し、前記移送槽および前記区画された部分が共通の圧力を有する第1の状態と、
前記第1のバルブが閉塞され、前記高圧室アッセンブリーが開放し、前記移送槽が第1の圧力を有し、前記第2の空間が該第1の圧力とは異なる第2の圧力を有する第2の状態と、
前記第1のバルブが閉塞され、高圧室アッセンブリーが閉塞され、前記移送槽が第1の圧力を有し、前記第2の空間が第2の圧力を有し、前記第1の空間が第3の圧力を有し、該第1および第2の圧力が大気圧未満であり、該第3の圧力が大気圧以上である第3の状態との間で調整可能である請求項1記載のクラスターツール。
【請求項3】
前記移送槽、前記プロセスチャンバー、および、前記高圧室は、該移送槽内のウェーハが真空下で該高圧室へ移送可能なように構成される請求項1記載のクラスターツール。
【請求項4】
前記ハウジングは、矩形のフットプリントを有し、
3つの側壁と、前壁にも連結される底壁と、
前記前壁内に形成される長孔であって、ウェーハを運ぶロボットハンドルが通り抜ける通過を可能にするように十分な形状および大きさである長孔と、を含み、
前記高圧室アッセンブリーは、前記ハウジングの複数の壁により支持される請求項1記載のクラスターツール。
【請求項5】
前記上槽部は、前記ハウジングの複数の壁にあるリップを有する上槽の壁を含む請求項4記載のクラスターツール。
【請求項6】
前記高圧室への流体の入口および出口は、前記上槽部だけを通り抜ける請求項1記載のクラスターツール。
【請求項7】
前記上槽部は、複数の貫通路が流体の入口または出口のために設けられる上壁を含み、前記下槽部は、そのような貫通路がない下壁を含む請求項1記載のクラスターツール。
【請求項8】
前記下槽部は、下壁と、前面および該下壁に当接する背面を有するロアープレートと、を含み、
該ロアープレートは、流体の移送のための少なくとも一つの貫通路を備え、
該ロアプレートの背面は、流体のさらなる移送のために横方向に延在する少なくとも一つの溝を備える請求項1記載のクラスターツール。
【請求項9】
前記下壁は、そのような貫通路がない請求項8記載のクラスターツール。
【請求項10】
高圧室アッセンブリーであって、
上槽部と、
前記上槽部に対して移動可能とされる下槽部と、を含み、
該下槽部が、下壁と、
前面および該下壁に当接する背面を有し、流体の移送のための少なくとも一つの貫通路を備えるロアプレートであって、該ロアプレートの背面は、流体のさらなる移送のために横方向に延在する少なくとも一つの溝を備えるロアプレートと、
前記上槽部を前記下槽部に接続する複数の液圧シリンダーと、を含み、
前記高圧室アッセンブリーが、
前記下槽部が前記上槽部から離隔される開放位置と、該下槽部が上槽部に接触し、それにより、第1の空間を囲む高圧室を形成する閉塞位置との間で調整可能とされ、
前記高圧室への流体の入口および出口が、上槽部だけを貫通する高圧室アッセンブリー。
【請求項11】
クラスターツールの移送槽にバルブを介して接続され、ウェーハが挿入または取り外され得る開放位置と該ウェーハが処理され得る閉塞位置との間で調整可能な高圧室を含むプロセスチャンバー内でウェーハを清浄する方法において、
前記バルブおよび前記高圧室が双方、開放される場合、前記ウェーハを前記移送槽から該高圧室に導入し、
前記バルブを閉塞し、
前記高圧室を閉塞し、
前記高圧室と前記プロセスチャンバーの複数の壁との間の空間内を真空にし、
流体即ちガスを前記高圧室に導入し、前記ウェーハを処理し、
前記高圧室を通気し、
前記バルブが閉塞される間、前記高圧室を開放し、
前記空間と前記移送槽との間の圧力を等しくするように該空間内を真空引きし、
前記バルブを開放し、
前記ウェーハを前記移送槽を介して取り外すことを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−515228(P2008−515228A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534642(P2007−534642)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/033508
【国際公開番号】WO2006/039133
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(598161761)ラム リサーチ コーポレイション (19)
【Fターム(参考)】