説明

一体押出成形体および建築用部材

【課題】 圧縮変形のないアルミ製芯材の外表面に被覆層を有してなる一体押出成形体および建築用部材を提供すること。
【解決手段】 中空状アルミ製芯材の外表面に合成樹脂からなる被覆層1を有してなり、芯材10の厚みが1.0mm以上であり、芯材の厚み(X:mm)とスパン(Y:mm)とが、式;Y/X≦5000の関係を満たすことを特徴とする一体押出成形体、および該一体押出成形体からなる建築用部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ製芯材入り一体押出成形体および建築用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築用手摺りの製造方法として、芯材の外表面に一体押出成形によって軟質合成樹脂層および硬質合成樹脂層を形成する方法が報告されている(特許文献1)。詳しくは、走行する金属又は硬質合成樹脂よりなる芯材が、金型ダイスの内部を通過中に第1押出成形機に注入したJISA硬度85以下の柔軟性を有する合成樹脂またはその合成樹脂よりなる発泡体の軟質合成樹脂層を以て被着し、その後、第2押出成形機に注入したJISA硬度90以上の強靭な合成樹脂によって、前記軟質合成樹脂層の外周に厚み0.2mm以下の表皮合成樹脂層を被膜積層した後、冷却水槽で固化させ、所要寸法に切断することを特徴とした建築用手摺りの製造方法が報告されている。
【特許文献1】特開2002−11773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、建築用部材として用いられる成形体において、芯材として比較的安価かつ軽量な中空押出状のアルミ製のものを用いる場合、被覆合成樹脂層とアルミ製芯材との接着力が悪いという問題があった。そのような接着力が悪いと、被覆合成樹脂層とアルミ製芯材との繊膨張率の相違により、例えば建物躯体へのビス打ち部分について、被覆層樹脂が割れる等の問題が生じるのである。そのため、一体成形時に樹脂圧力によりアルミ製芯材と被覆合成樹脂とを強固に密着させなければならず、上記のような中間に柔軟層を用いることはできないうえ、一体押出成形時の圧力によりアルミ製芯材が撓んで圧縮変形することが問題となっていた。
【0004】
本発明は、圧縮変形のないアルミ製芯材の外表面に被覆層を有してなる一体押出成形体および建築用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、中空状アルミ製芯材の外表面に合成樹脂からなる被覆層を有してなり、芯材の厚みが1.0mm以上であり、芯材の厚み(X:mm)とスパン(Y:mm)とが、式;
/X≦5000
の関係を満たすことを特徴とする一体押出成形体、および該一体押出成形体からなる建築用部材に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のアルミ製芯材入り一体押出成形体は、所定の芯材厚みと芯材スパンを確保するので、芯材の圧縮変形を抑制できる。特に、芯材内部に補強用仕切部材を有すると、芯材スパンを容易に確保でき、芯材の圧縮変形をより有効に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一体押出成形体は、中空状アルミ製芯材の外表面に合成樹脂からなる被覆層を有してなるものであり、詳しくは被覆層1は、例えば、図1および図2に示すように、芯材10の長手方向mだけでなく、芯材10断面の周方向pにおいても継ぎ目なく連続的に形成される。図1および図2はいずれも本発明の一体押出成形体の一例を示す概略見取り図である。
【0008】
本明細書中、一体押出成形とは、被覆層用樹脂を押出成形すると同時に当該層を、送り込まれた芯材に順次被覆して一体化することを意味し、そのよう方法で形成されたものを一体押出成形体という。
【0009】
本発明において使用される芯材10はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる中空形状を有する棒材であり、通常はアルミニウムまたはアルミニウム合金の押出成形により調製される。なお、本発明において「アルミ製」とは、「アルミニウム合金製」もその範疇に含むものである。
【0010】
そのような芯材の厚み(肉厚)は1.0mm以上であることを要し、軽量化の観点から好ましくは1.1〜5.0mm、より好ましくは1.2〜3.0mmである。芯材の厚みが1.0mm未満であると、アルミ合金の押出成形による芯材製造時、生産安定性に劣る。さらに、一体押出成形時に生じる樹脂による圧縮圧に耐えることができず、アルミ製芯材が撓んで圧縮変形される。圧縮変形された場合、被覆層の厚みが均一にならないため、例えば建築用内装材または外装材としての使用に適さない。特に、被覆層中にポリエステル系の接着層を含む場合、一体押出成形時において当該接着層の粘度が低いため、圧縮変形により接着層の厚みの均一性が失われてしまい、被覆層とアルミ製芯材との接着性が低下する。
【0011】
芯材の断面形状は特に制限されるものではなく、例えば、略円形、略楕円形、または略方形(例えば、略長方形、略正方形)等であってよい。建築用部材の取扱い性の観点からは、略円形、略楕円形または略長方形の断面形状、特に略楕円形または略長方形の断面形状を有する芯材が好ましい。なお、芯材の断面形状とは芯材の長手方向に対して垂直な断面形状を意味するものとする。
【0012】
本明細書中、略楕円形とは、例えば図1に示すように、当該断面形状における最大内径をa(mm)、当該最大内径方向に対して垂直方向における最大内径をb(mm)としたとき、b/a<0.95、特に0.3≦b/a≦0.8を満たす形状をいう。断面形状における最大内径aの実寸は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は10〜200mm、特に20〜80mmが好適である。
【0013】
略円形とは、上記略楕円形の説明で用いた同様のaおよびbについて、0.95≦b/a≦1を満たす形状をいう。
【0014】
略長方形とは、例えば図2に示すように、当該断面形状における最大内径をc(mm)、当該最大内径方向に対して垂直方向における最大内径をd(mm)としたとき、d/c<0.95、特に0.1≦d/c≦0.85を満たす形状をいう。断面形状における最大内径cの実寸は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は10〜300mm、特に20〜150mmが好適である。
【0015】
略正方形とは、上記略長方形の説明で用いた同様のcおよびdについて、0.95≦d/c≦1を満たす形状をいう。
【0016】
本発明において芯材は、中空内部に補強用仕切部材を有することが好ましい。特に芯材が略長方形または略楕円形等の断面形状を有する場合において補強用仕切部材を有することは、芯材の圧縮変形を防止する上で有効である。通常建築用部材に使用される場合は、ビス等の固定部材を使用して、建物躯体、固定用補助部材に固着されるのであるが、当該ビス打ちを考慮すると、芯材厚みを厚くすることはビス打ちを困難にするため好ましくない。また厚みを厚くすることにより、重量的にも重くなる。したがって、芯材厚みは厚くすることなく、圧縮変形を防止するために、補強用仕切部材を用いるのが好ましいのである。特に、最大内径が20mm以上ある芯材の場合、更に言えば成形体最大外径が30mm以上ある製品の場合、補強用仕切部材の効果が大きい。補強用仕切部材5は、例えば略長方形の断面形状を有する芯材の概略見取り図を表す図3に示すように、芯材10の中空内部において、断面形状における最大内径の方向nに対して略垂直で、かつ芯材長手方向mに連続して形成され、芯材の内部空間を分割するものである。これによって一体押出成形時に生じる被覆樹脂による圧縮圧により芯材が撓み変形するのを有効に抑制できる。補強用仕切部材の厚みは芯材の撓み変形をより有効に抑制できる限り特に制限されず、通常は0.8〜5.0mm、好ましくは1.0〜2.0mmである。補強用仕切部材は、芯材が押出成形により調製されるとき、同時に一体化形成可能である。
【0017】
芯材が有する補強用仕切部材(以下、単に仕切部材という)の数は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、芯材の厚み(X:mm)とスパン(Y:mm)とが、式;
/X≦5000 (1);
好ましくは
/X≦2500 (2);
より好ましくは
/X≦1500 (3);
の関係を満たすようなスパンを確保すればよい。Y/Xの値が大きすぎると、芯材が一体押出成形時に生じる樹脂による圧縮圧に耐えることができず、撓んで圧縮変形される。
【0018】
芯材のスパンとは仕切部材によって分割された2以上の内部空間のうち、芯材断面形状における最大内径方向の寸法が最大である空間の当該寸法の値である。例えば、図3において内部空間は2つの仕切部材5によって3等分されているので、いずれの空間の最大内径方向nの寸法もスパン(Y)に対応することを示している。図3中、Xは芯材の厚みを示す。
【0019】
芯材が仕切部材を有するときの芯材スパン(Y)の別の具体例を図4(A)〜(C)に示す。図4(A)は、略長方形の断面形状を有する芯材において内部空間が1つの仕切部材5によって2等分されているので、いずれの空間の最大内径方向の寸法もスパン(Y)に対応することを示している。図4(B)は、略楕円形の断面形状を有する芯材において内部空間が1つの仕切部材5によって2等分されているので、いずれの空間の最大内径方向の寸法もスパン(Y)に対応することを示している。図4(C)は、略長方形の断面形状を有する芯材において内部空間は1つの仕切部材5によって2分割されているが2等分されていないので、明らかに最大内径方向の寸法が大きい左側の空間の当該寸法がスパン(Y)に対応することを示している。特に、図4(C)に示すような仕切部材を有する芯材は、断面形状の最大内径方向における中央に仕切部材を有さないので、一体押出成形体、特に建築用部材の取り付けが容易になる。
【0020】
本発明において芯材は仕切部材を必ずしも有さなくてよい。芯材が仕切部材を有さない場合において芯材スパンは芯材の断面形状における最大内径であり、当該芯材スパンと芯材厚みとが上記「Y/X」の関係を満たせばよい。
【0021】
芯材が仕切部材を有さないときの芯材スパン(Y)の具体例を図5(A)〜(B)に示す。図5(A)は、略長方形の断面形状を有する芯材が仕切部材を有さないので、断面形状における最大内径(c)がスパン(Y)に対応することを示している。cは図2においてと同様である。図5(B)は、略楕円形の断面形状を有する芯材が仕切部材を有さないので、断面形状における最大内径(a)がスパン(Y)に対応することを示している。aは図1においてと同様である。
【0022】
芯材のスパン(Y)の具体的な数値範囲について説明する。
例えば、XとYが上式(1)の関係を満たすとき、スパンYは具体的には以下に示す通りである;
芯材の厚みが1.0mmの場合、スパンは約17mm以下である;
芯材の厚みが2.0mmの場合、スパンは約34mm以下である;
芯材の厚みが3.0mmの場合、スパンは約51mm以下である。
【0023】
また例えば、XとYが上式(2)の関係を満たすとき、スパンYは具体的には以下に示す通りである;
芯材の厚みが1.0mmの場合、スパンは約13mm以下である;
芯材の厚みが2.0mmの場合、スパンは約27mm以下である;
芯材の厚みが3.0mmの場合、スパンは約40mm以下である。
【0024】
また例えば、XとYが上式(3)の関係を満たすとき、スパンYは具体的には以下に示す通りである;
芯材の厚みが1.0mmの場合、スパンは約11mm以下である;
芯材の厚みが2.0mmの場合、スパンは約22mm以下である;
芯材の厚みが3.0mmの場合、スパンは約34mm以下である。
【0025】
なお、Y/Xの値について、下限は特に限定されるものではないが、芯材の補強効果と仕切部材の必要性およびコストを考慮した場合、Y/X≧200であることが好ましく、特に好ましくはY/X≧400である。
【0026】
芯材は中空内部に、一体押出成形体の取り付けのためのビスホール有してもよい。ビスホールは、芯材が押出成形により調製されるとき、同時に一体化形成可能である。
【0027】
芯材の外表面に形成される被覆層1は合成樹脂からなり、いわゆる非発泡体または発泡倍率5倍以下、特に2倍以下の低発泡体の形態を有するものである。
【0028】
そのような被覆層に使用される合成樹脂として、例えばポリ塩化ビニル樹脂(以後、PVC樹脂という)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(以後、ABS樹脂という)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合樹脂(以後、ASA樹脂という)、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(以後、AS樹脂という)、シリコン系複合ゴム変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(以後、SAS樹脂という)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(以後、PMMA樹脂という)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合樹脂、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂(以後、MS樹脂という)などのアクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂もしくはこれらの混合樹脂等が挙げられる。成形性、強靭性、経済性の面から特に好ましいのは、PVC樹脂、ABS樹脂、SAS樹脂、AS樹脂、ASA樹脂、PMMA樹脂であり、これらの樹脂はそれ自体、より硬質のものである。なお、これらの合成樹脂には、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シラスバルーン等の充填材や軽量化材、ガラス繊維やセルロース繊維等の補強材、難燃剤、その他熱安定剤、滑剤等の合成樹脂成形体に添加される各種添加剤を含むことができる。
【0029】
被覆層は単層からなっていても、2層以上の合成樹脂層からなっていてもよいが、2層以上、特に2〜4層の合成樹脂層からなることが好ましい。被覆層が2層以上の合成樹脂層からなる場合、各層を構成する合成樹脂はそれぞれ独立して上記合成樹脂から選択されればよい。
【0030】
好ましい被覆層は2層以上の合成樹脂層からなり、芯材と接触する合成樹脂層がポリエステル系樹脂層である。ポリエステル系樹脂層の厚みは特に制限されないが、通常0.05〜2mmである。これによって、被覆層と芯材との接着性が向上するためである。特に一体成形時には、樹脂圧により芯材と密着されるため接着力が発揮される。このとき、芯材と接触するポリエステル系樹脂層以外の合成樹脂層は、PVC樹脂、ABS樹脂、SAS樹脂、AS樹脂、ASA樹脂、PMMA樹脂等からなっていることがより好ましい。ポリエステル系樹脂層による接着性向上効果がより有効に発揮されるためである。
【0031】
被覆層が2層以上の合成樹脂層からなる場合、最表面層は表面を保護するための保護機能を有することが好ましい。そのような保護機能を有する最表面層は、上記合成樹脂のうち、通常PMMA樹脂、SAS樹脂、AS樹脂、ASA樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、PVC樹脂からなっていることが好ましい。そのような合成樹脂の中でも、最表面層をPMMA樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、AS樹脂から構成させると透明保護層とすることができる。
【0032】
被覆層の好ましい構成を以下に示す。ただし、以下の構成に限定されるものではない。なお、最初に記載の層は芯材と接触する層であり、順に最表面層に近づく層を示し、最後に記載の層は最表面層である;
(1)ポリエステル系樹脂からなる接着層−PMMA樹脂からなる透明保護層;
(2)ポリエステル系樹脂からなる接着層−種剤を有する着色SAS樹脂からなる表面加飾層;
(3)ポリエステル系樹脂からなる接着層−種剤を有する着色PMMA樹脂からなる加飾層−PMMA樹脂からなる表面層;
(4)ポリエステル系樹脂からなる接着層−着色ABS樹脂からなる半透明保護層;
(5)ポリエステル系樹脂からなる接着層−種剤を有する着色半透明MS樹脂からなる表面加飾層;
(6)ポリエステル系樹脂からなる接着層−可飾性粉体を有する着色半透明PMMA樹脂からなる表面加飾層;
(7)ポリエステル系樹脂からなる接着層−可飾性粉体を有する着色PMMA樹脂からなる加飾層−PMMA樹脂からなる透明表面層;
【0033】
被覆層の厚みは、硬度、摩耗性、生産安定性の観点から0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.6mm以上である。被覆層が2層以上の合成樹脂層からなる場合、それらの合計厚みが上記範囲内であればよい。特に、被覆層厚みが0.6mm以上であれば、表面加飾層を形成する場合、安定した加飾表現が可能となる。なお、厚みの上限は特に制限されるものではないが、一体成形時の樹脂圧力が過剰になること、生産性及びコストの面より3mm以下であり、好ましくは2mm以下である。
【0034】
本発明の一体押出成形体は、生産性、長尺物成形、製品特性の一定性という面から、被覆層の押出成形と同時に被覆層を芯材と一体化させる、いわゆる一体押出法によって製造される。特に、2層以上の合成樹脂層からなる被覆層を有する一体押出成形体を製造する場合には、図6に示すような共押出式の一体化押出成形機によって製造される。詳しくは、各合成樹脂層を形成する樹脂を溶融・混練するための各押出機(図6中、11,12)より押し出された樹脂を1個のダイス13内で積層すると同時に、当該層を、送り込まれる芯材10に順次被覆して一体化する。一体化された後は、通常、冷却され、所望寸法に切断される。図6では2台の押出機が使用されているが、これに制限されず、被覆層を構成する合成樹脂層の数に応じて適宜設置されればよい。
【0035】
本発明の一体押出成形体は、中空状アルミ製芯材の表面全面を合成樹脂にて被覆されている必要はない。例えば図3のような断面略長方形状のものであれば、上面及び下面を被覆し、側面は芯材むき出し状態であるような被覆状態であっても良い。
【実施例】
【0036】
[評価サンプルの作成方法]
(実施例/比較例)
図6に示す共押出式の一体化押出成形機によって一体押出成形体を製造した。詳しくは、外層(最表面層)、内層(芯材と接触する層)の合成樹脂を、それぞれ外層用押出機12、内層用押出機11から同時に押出し、ダイス13内でアルミ製芯材10に積層・被覆して、アルミ製芯材10の外表面に2層型被覆層を有する一体押出成形体を製造した。なお、押出条件、押出樹脂、芯材条件は次の通りである。
外層用押出機:40φ、一軸押出機(押出温度約180℃)
内層用押出機:40φ、一軸押出機(押出温度約150℃)
内層樹脂:ポリエステル系樹脂であって、比重が1.26、融点が115℃のものを用いる。冷却後の内層厚みは0.2mmである。
外層樹脂:SAS樹脂(ユーエムジーウッド;ユーエムジーエービーエス社製)。冷却後の外層厚みは0.7mmである。
アルミ製芯材は、ダイス内に挿入直前に予備加熱(約100℃)を行う。
【0037】
アルミ製芯材はアルマイト処理された中空形状を有するアルミニウム合金製のものであり、一般的に「A6063S−T5」と呼称されるものを用いる。なお、詳細は以下の通りである。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
[評価方法]
・圧縮変形
製造された一体押出成形体の断面を目視観察し、圧縮変形について評価した。
◎;圧縮変形はほとんど観察されなかった;
○;圧縮変形がわずかに観察されたが、実用上問題なかった;
×;圧縮変形が明らかに観察され、実用上問題があった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のアルミ製芯材入り一体押出成形体は、建築用手摺り、防犯用面格子、デッキ材、バルコニールーバー等の建築用部材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一体押出成形体の一例を表す概略見取り図である。
【図2】本発明の一体押出成形体の一例を表す概略見取り図である。
【図3】本発明に使用される芯材の一例を表す概略見取り図である。
【図4】(A)〜(C)は本発明に使用される芯材の断面形状の一例を表す概略断面図である。
【図5】(A)〜(B)は本発明に使用される芯材の断面形状の一例を表す概略断面図である。
【図6】本発明の一体押出成形体を製造するための共押出式の一体押出成形機の概略断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1:被覆層、5;補強用仕切部材、10:芯材、11:12:押出機、13:ダイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状アルミ製芯材の外表面に合成樹脂からなる被覆層を有してなり、芯材の厚みが1.0mm以上であり、芯材の厚み(X:mm)とスパン(Y:mm)とが、式;
/X≦5000
の関係を満たすことを特徴とする一体押出成形体。
【請求項2】
被覆層の厚みが0.3mm以上である請求項1に記載の一体押出成形体。
【請求項3】
被覆層が2層以上の合成樹脂層からなり、芯材と接触する合成樹脂層がポリエステル系樹脂層である請求項1または2に記載の一体押出成形体。
【請求項4】
芯材が内部に補強用仕切部材を有する請求項1〜3のいずれかに記載の一体押出成形体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の一体押出成形体からなる建築用部材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−62276(P2007−62276A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253714(P2005−253714)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】