説明

一体補強された再使用可能な真空バッグ及びその製造方法

【課題】複合部品の積層の圧縮に用いられる真空バッグで、繰り返し使用が可能で、且つ、軽量で取り扱いが容易なタイプを提供する。
【解決手段】部品を処理するための再使用可能な真空バッグは、柔軟性のあるダイアフラム内に概ね剛体のフレームを封入することによって作成される。バッグは室温硬化性RTVシリコンなどのエラストマー材料等を用い、フレームがダイヤフラムの周囲に延在し、ダイヤフラムを密封する為のシールを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、複合部品の製造に使用される装置に関し、より具体的には複合部品の積層の圧縮に使用される真空バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟性のある真空バッグは、多種多様な応用での部品の処理に使用することができる。複合材料産業では、部品に大気圧を印加するためバッグ内での真空引きを利用して、複合部品を一体化、積層、成形又は接着するため真空バッグが使用される。このバッグは、ナイロンなどの押出しポリマーフィルムである柔軟性のある膜又はダイアフラムを含む。
【0003】
ポリマーフィルムタイプの真空バッグは一般的に再使用不可で、毎回使用後に廃棄しなければならないため、繰り返し製造コストが発生することを意味する。ゴム被覆した繊維又はフィルムを採用した再使用可能なタイプの真空バッグが知られているが、これらのタイプのバッグは一般的に補強構造を採用しており、比較的複雑で重く、製造コストも比較的高価である。例えば、再使用可能なエラストマータイプの真空バッグは、金属補強フレームを用いて製造される。バッグダイアフラム、シール及びフレームを互いに取り付けるには、個別の接着作業が必要となる。各コンポーネントは個別に製造されるが、バッグの製造に使用する金型は、製造時のバッグダイアフラムの収縮を考慮して、大きめでなければならない。
【0004】
そのため、製造に要する工程数を減らし、さらにバッグの重量及び複雑度を低減する再使用可能な一体補強された真空バッグの改良が必要となる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、一体補強された再使用可能な真空バッグ及び関連する製造方法を提供し、製造工程及び部品の数を減らし、これによってコストを低減する。バッグは、バッグダイアフラムに封入された剛体の辺縁フレームによって一体補強されており、これによって補強材とバッグダイアフラムを結合する個別の作業を不要にすることができる。辺縁バッグシールはバッグダイアフラムによって一体補強可能で、これによってシールをバッグ組立部品に取り付ける個別の接着作業を不要にすることができる。一実施形態では、再使用可能な真空バッグは、複合部品の積層及び/又は硬化に使用される積層ツール上で製造可能なため、真空バッグを製造する個別のツールが不要となる。重い外周支持フレームを不要にする、比較的大型で軽量な再使用可能な真空バッグが製造可能である。
【0006】
本発明の一実施形態により、柔軟性のあるダイアフラム及び概ね剛体のフレームを有するように部品を処理する真空バッグが提供される。ダイアフラムは部品を覆うように適用され、フレームはダイアフラム内に封入される。バッグは室温硬化性RTVシリコンなどのエラストマー材料を含みうる。フレームは、ダイアフラムの周囲に延在し、ダイアフラムによって覆われた側面を有する複合材料を含みうる。真空バッグは、部品の製造時に表面に対してダイアフラムを密封するためのシールをさらに含みうる。シールはダイアフラムと一体に形成することが可能で、又は代替的にフレームと接着することが可能である。
【0007】
本発明の別の実施形態により、部品を処理するための一体補強された再使用可能な真空バッグは、その周囲に一体補強材を有する柔軟性のあるダイアフラムを含む。バッグは、部品の処理時に、表面に対してダイアフラムを密封するため、ダイアフラムの周囲に一体となって延在するシールをさらに含みうる。補強材は、加硫処理したエラストマーを含みうるダイアフラムに封入された、概ね剛体のフレームを含みうる。
【0008】
さらなる一実施形態により、部品を処理するための真空バッグを製造する方法が提供される。この方法は柔軟性のあるダイアフラムを形成するステップ、及びダイアフラム内に概ね剛体のフレームを封入するステップを含む。ダイアフラムを形成するステップは、ツール表面にエラストマーを被覆するステップを含み、且つ、フレームを封入するステップはエラストマー被覆上にフレームを配置するステップ及びフレーム全体にエラストマーを追加適用するステップを含みうる。この方法は、シールをダイアフラムと一体に形成するステップをさらに含みうる。シールを形成するステップは、ツール表面上にシール要素を配置するステップを含み、且つ、ダイアフラムを形成するステップはシールを覆うツール表面全体にエラストマー被覆を噴霧するステップを含みうる。この方法は、シールとエラストマー被覆を同時硬化するステップをさらに含みうる。
【0009】
また別の一実施形態によれば、部品を処理するための一体補強された再使用可能な真空バッグを製造する方法が提供される。この方法は、概ね剛体のフレームを製造するステップ、及びツール表面全体にエラストマーの第1被覆を噴霧することによってダイアフラムを形成するステップを含む。この方法はまた、ダイアフラム上にフレームを配置するステップ、及びフレーム全体及びダイアフラム上にエラストマーの第2被覆を噴霧することによって、エラストマーでフレームを封入するステップを含む。この方法はまた、エラストマーの第1及び第2被覆を同時硬化するステップを含む。この方法はさらに、ツール表面に被覆を配置するステップを含むことがあり、第1被覆を噴霧するステップがシール全体にエラストマーを噴霧するステップ、並びに第1及び第2被覆とシールとを同時硬化するステップを含む。
【0010】
要約すると、本発明の一態様によれば、部品を覆うように適用される柔軟性のあるダイアフラム、及びダイアフラム内に封入された概ね剛体のフレームを含む、部品処理用の真空バッグが提供される。
【0011】
有利には前記ダイアフラムがエラストマー材料である前記真空バッグ。
【0012】
有利には前記ダイアフラムがRTVシリコンである前記真空バッグ。
【0013】
有利には前記フレームが複合材料である前記真空バッグ。
【0014】
有利には前記フレームが前記ダイアフラム内に封入されている前記真空バッグ。
【0015】
有利には前記部品の製造時に、表面に対して前記ダイアフラムを密封するためのシールをさらに含む前記真空バッグ。
【0016】
有利には前記シールが前記ダイアフラムと一体に形成される前記真空バッグ。
【0017】
有利には前記シールが前記封入されたフレームに取り付けられる前記真空バッグ。
【0018】
有利には前記フレームが前記ダイアフラムによって囲まれた側面を有する前記真空バッグ。
【0019】
本発明の別の態様により、部品を処理するための一体補強された再使用可能な真空バッグが提供され、その周囲に一体補強材を有する柔軟性のあるダイアフラムを含む。
【0020】
有利には部品の処理時に、表面に対して前記ダイアフラムを密封するため、前記ダイアフラムの周囲に一体となって延在するシールをさらに含む真空バッグ。
【0021】
有利には前記補強材がダイアフラム内に封入されている概ね剛体のフレームを含む真空バッグ。
【0022】
有利には前記ダイアフラムがエラストマー材料である前記真空バッグ。
【0023】
本発明のさらなる態様により、部品を処理するための真空バッグを製造する方法が提供され、柔軟性のあるダイアフラムを形成するステップ、及び柔軟性のあるダイアフラム内に概ね剛体のフレームを封入するステップを含む。
【0024】
ダイアフラムを形成するステップが、ツール表面にエラストマーを被覆するステップを含み、フレームを封入するステップが、エラストマー被覆上にフレームを配置するステップ及びフレーム全体にエラストマーを追加適用するステップを含む。
【0025】
有利にはシールを前記ダイアフラムと一体に形成するステップをさらに含む方法。
【0026】
有利には前記シールを形成するステップが、ツール表面上にシール要素を配置するステップを含み、且つ前記ダイアフラムを形成するステップが、シールを覆うツール表面全体にエラストマー被覆を噴霧するステップを含む方法。
【0027】
有利には前記シール及び前記エラストマー被覆を同時硬化するステップをさらに含む方法。
【0028】
本発明のさらなる態様による実施形態では、概ね剛体のフレームを製造するステップ、ツール表面全体にエラストマーの第1被覆を噴霧することによってダイアフラムを形成するステップ、ダイアフラム上にフレームを配置するステップ、フレーム全体及びダイアフラム上にエラストマーの第2被覆を噴霧することによってエラストマーでフレームを封入するステップ、及び第1及び第2エラストマー被覆を同時硬化するステップを含む、部品を処理するための一体補強された再使用可能な真空バッグを製造する方法が提供される。
【0029】
有利には、第1被覆を噴霧するステップがシール全体にエラストマーを噴霧するステップ、並びに第1及び第2被覆と前記シールとを同時硬化するステップを含み、前記ツール表面に被覆を配置するステップをさらに含む方法。
【0030】
有利にはエラストマーから前記シールを形成するステップをさらに含む方法。
【0031】
有利には前記シールを前記フレームに接着するステップをさらに含む方法。
【0032】
本発明の別の態様によれば、辺縁シールを形成するステップ、積層ツール上へシールを配置するステップ、シールを覆う積層ツール全体に室温硬化性RTVシリコン被覆を噴霧することによって柔軟性のあるバッグダイアフラムを形成するステップ、概ね剛体のフレームを製造するステップ、積層ツール上にフレームを配置するステップ、ダイアフラムと大まかに位置決めされたシールを重ねるステップ、フレームの側面全体及びダイアフラム上に室温硬化性RTVシリコンの被覆を噴霧することによってダイアフラム内にフレームを封入するステップ、室温でRTVシリコン被覆を加硫するステップ、フレームにハードウェアを取り付けるステップ、及び積層ツール上に封入されたフレームを据え付けるステップを含む、積層ツール上に積み上げられた複合部品を圧縮するための一体補強された再使用可能な真空バッグを製造する方法が提供される。
【0033】
本発明の別の態様によれば、底面及び3つの側面を有する剛体の複合材料フレーム、フレームの底面全体に延在し且つフレームの3つの側面を封入する加硫済みRTVシリコンで形成された柔軟性のあるバッグダイアフラム、及び積層ツールに対してバッグダイアフラムを密封するためのRTVシリコンで形成されたシール、バッグダイアフラムと一体化され且つフレーム底面の下に配置されたシールを含む、積層ツール上に積み上げられ複合部品を圧縮するための一体補強された再使用可能な真空バッグが提供される。
【0034】
好適な実施形態の特徴と考えられる新しい特徴が、添付した特許請求の範囲で説明される。しかしながら、有利な実施形態と、好ましい使用モードと、さらにはその目的及び利点とは、添付図面を参照して本発明の有利な一実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態による一体補強された再使用可能な真空バッグの斜視図である。
【図2】複合積層アセンブリのエッジの断面図で、ツール上の複合部品の積層全体に取り付けられたバッグを示している。
【図3】図1及び2に示した真空バッグを作成するために使用されるツールの斜視図である。
【図4】接着したシールを有する再使用可能なバッグを作成する代替的な方法のステップを示す流れ図である。
【図5】バッグと組み立てる前の補強フレームの斜視図である。
【図6】図5の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図7】図5の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図8】図5の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図9】図5の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図10】図5の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図11】図5の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図12】接着したシールを有する再使用可能なバッグを作成する代替的な方法のステップを示す流れ図である。
【図13】図12の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図14】図12の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図15】図12の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図16】図12の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図17】図12の方法の逐次手順を図式的に示す断面図である。
【図18】航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。
【図19】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
最初に図1及び2を参照するに、本発明の実施形態は、例えば、限定しないが、ツール30上に複合部品34を一体化及び/又は圧縮するために使用しうる、一体補強された再使用可能な真空バッグ20に関する。バッグ20は、概ね平面的で伸縮性があり、特定の応用に適した寸法を有し、部品34を覆うバッグダイアフラム22を含む。バッグ20はまた、ツール表面28に対してバッグダイアフラム22を密封するフレームの下に外フレーム24及び辺縁シール26を含む。フレーム24は、複合金属又は軽量金属など、任意の好適な剛体又は半剛体材料で製造されてもよく、バッグ20の取り扱い又は操作に役立つハンドルなどの留め具を備えていてもよい。図示されている実施形態では、フレーム24は概ね長方形となっているが、処理される複合部品34の形状に適する他の形状を有していてもよい。フレーム24は図2に示すように、概ね長方形の断面を有しているが、他の断面形状も可能である。
【0037】
ダイアフラム22はフレーム24の底面67を超えて外側に向かって延在し、フレーム24の側面68、72及び上面70を封入する。ダイアフラム22内でのフレーム24の封入32により、基本的にバッグ20を容易に取り扱い及び操作できるように一体強化された伸縮性のあるダイアフラム22が提供される。シール26は複合部品34の周囲全体に延在し、ダイアフラム22とツール30の上面28との間に気密性のシールを作成し、バッグ22内での真空引きを可能にする。以下で説明するように、一実施形態では、シール26はバッグ22と一体で形成され、別の実施形態では、シール26は個別の製造作業でフレーム24に接着される。
【0038】
図3を参照するに、一実施形態では、真空バッグ20は、概ね平らなツール表面38及び周辺溝40を有するツール30を用いて製造される。他の実施形態では、真空バッグ20は、複合部品34の処理に使用される同一のツール30を用いて製造されうる。
【0039】
ここで図4、並びに図1及び2に示した真空バッグ20の製造方法の一つの手順をを連続的に示す図5〜11に注目する。手順42から開始して、プリプレグ繊維の積層及び硬化を含む種々の製造技法のいずれかを利用して、フレーム24が製造される(図5)。フレーム24が複合材料で形成される場合には、ツール30(図2)又はツール36(図3)のいずれかの上に積層することができる。次に手順44では、所望の断面に成形または押出されるエラストマーなど、好適な弾性材料を用いて辺縁シール26が製造される。本明細書で使用しているように、「エラストマー」及び「エラストマーの」は、天然ゴムと同様に弾性特性を示す天然及び合成ポリマーを意味する。例えば、限定しないが、エラストマーは、材料を変形させることなく伸長し、ほぼ元の形状に戻ることができる、熱硬化性又は熱可塑性を含みうる。手順44では、シール26がツール36の上面38と概ね同一平面上にあるように、シール26はツール36の溝40(図6)に配置してもよい。溝40は、その後の製造手順中に、シール26の保持及び安定化に役立つ。代替的に、図7に示したように、真空バッグ20が、複合部品34(図2)の製造に使われる積層ツール30の上に直接製造される場合には、その後の処理作業中にシール26を安定させて保持するため、シール26を取り囲むツール表面28上にシム58を配置してもよい。
【0040】
ここで図4を参照するに、ダイアフラム22(図8)はツール36の表面38全体に第1エラストマー被覆を適用することによって形成される。第1被覆の適用はツール表面38全体にスプレーヘッド62からエラストマーを噴霧することによって実施されうる。第1被覆はシール26全体に延在する。一実施形態では、第1エラストマー被覆64は、オーブン又はオートクレーブ処理を必要とせず、室温で比較的迅速に硬化し、且つ硬化後にほとんど又は全く収縮しない、一液式又は二液式の噴霧可能なRTV触媒シリコンを含みうる。他の形態のエラストマーも可能で、場合によっては、オーブン又はその他の好適な加熱デバイスを用いて高温での硬化が必要となることがある。一実施形態では、シール26は、ダイアフラム22を形成する第1エラストマー被覆64で使用されるエラストマーとほぼ同一のエラストマーから形成される。第1被覆64に適用される他の技法が使用可能で、押出し成形も含まれるがこれに限定されない。
【0041】
手順50(図4)では、図9に示すように、フレーム底面67がシール26の辺縁部に概ね重なり位置合わせされた状態で、フレーム24はダイアフラム22上に配置される。次に図4の手順52で、フレーム24の露出した側面68、72及び上面70全体に第2エラストマー被覆66を噴霧することなどによって適用して、フレーム24をエラストマーで封入32する(図10)。第2被覆66はあらかじめ適用されている第1被覆64上に延在する。したがって、この実施形態では、ダイアフラム22はシール26及びフレーム24上での封入32と共に、ほぼ同一の材料で形成され、製造プロセスのこの時点では硬化していない。手順54では、選択的に、図1に示したハンドル27のような好適な金具又はハンドル留め具をフレーム24に取り付けてもよい。最終的に、図4に示した手順56では、熱74の適用によって、ダイアフラム22、封入済みフレーム32及びシール26は同時硬化又は加硫処理される。既に説明したように、好適なRTVシリコンエラストマーが使用される場合には、熱74は室温を含みうる。同時硬化により、ダイアフラム22、フレーム24及びシール26の周囲の封入32は連続的な単一の粘弾性構造に一体化される。
【0042】
ここで図12、並びに真空バッグ20の別の製造方法の手順を示す図13〜17に注目する。 手順76では、好適なフレーム24が製造され、これに続いて手順78で、
ツール表面38全体にエラストマー被覆64を適用すること、あるいは噴霧60、押出し又は他の応用技法によって、ダイアフラム22(図13)が形成される。次に、手順80で、フレーム24(図14)は、第1エラストマー被覆64に接するようにダイアフラム22の辺縁部に配置される。手順82では、図15に示したように、フレーム24の側面68、72及び上面70全体に第2エラスティック被覆を適用することによってフレーム24は封入32される。スプレーヘッド62から噴霧60することによって、又は押出し成形を含むがこれに限定されない他の技法を用いることによって、第2被覆を適用することができる。第2被覆66は、フレーム24の側面68、72及び上面70を覆い、且つ第1被覆64と結合して重なり、実質的に一体化した単一の構造になり、その後硬化する。
【0043】
図12に示した手順84では、ダイアフラム22はフレーム24を取り囲む封入32と共に、エラストマー被覆64、66に熱74を適用することにより、硬化される(図16)。図4〜11に示した実施形態に関連して既に述べたように、エラストマーは室温で硬化するRTVシリコンを含みうる。手順86では、好適な金具又は留め具22は既に説明したようにフレーム24上に取り付けることができる。図12に示した手順88では、シール26(図17)は、接着剤を使用するなどの好適な技法を使用することにより、フレーム24の下のダイアフラム26の下面24aに接着される。シール26は、ダイアフラム26の材料と同じ材料で形成しても、形成しなくてもよい。
【0044】
本発明の実施形態は、様々な応用に使用される可能性を有し、特に、例えば航空宇宙、船舶、自動車を含む輸送産業の応用、及び自動積層装置を使用しうる応用に用途を見出すことができる。 したがって、図18及び19に示すように、本発明の実施形態は、図18に示す航空機の製造及び保守方法90、及び図19に示す航空機92に関して使用することが可能である。本発明の実施形態による航空機の応用は、例えば、限定しないが、2〜3例を挙げるならば、フレーム、補強材、ハッチ、スパー及びストリンガーなどの補強部材の積層を含みうる。製造前の段階では、例示的な方法90は、航空機92の仕様及び設計94並びに材料の調達96を含みうる。製造段階では、コンポーネント及びサブアセンブリの製造98と、航空機92のシステムインテグレーション100とが行われる。したがって、航空機92は運航104に供するために、認可及び納品102が行われる。顧客により運航される間に、航空機92は定期的な整備及び保守106(改造、再構成、改修なども含みうる)を受ける。
【0045】
方法90の各工程は、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレーター(例えば顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0046】
図19示されるように、例示的方法90によって製造された航空機92は、複数のシステム110及び内装112を有する機体108を含むことができる。高レベルのシステム110の例には、推進システム114、電気システム116、油圧システム118、及び環境システム120のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、本発明の原理は、船舶及び自動車産業などの他の産業にも適用可能である。
【0047】
本明細書に具現化されたシステムと方法は、製造及び保守方法90の一又は複数の任意の段階で採用することができる。例えば、製造工程98に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機92が運行中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリに類似の方法で作製又は製造される。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせは、例えば、航空機92の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機92のコストを削減することにより、製造段階98及び100の間に利用することができる。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせを、航空機92の運航中に、例えば限定しないが、整備及び保守106に利用することができる。
【0048】
種々の有利な実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提供されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された形態に実施形態を限定することを意図していない。当業者には、多数の修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態に照らして別の利点を提供することができる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施形態の開示と、考慮される特定の用途に適した様々な修正との理解を促すために選択及び記述されている。
【符号の説明】
【0049】
20 真空バッグ
22 ダイアフラム
24 フレーム
26 辺縁シール
27 ハンドル
30 ツール
32 封入
34 複合部品
36 ツール
38 ツール表面
40 溝
58 シム
60 噴霧
62 スプレーヘッド
64 第1エラストマー被覆
66 第2エラストマー被覆
67 フレーム底面
68、72 フレーム側面
70 フレーム上面
74 熱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を処理するための真空バッグであって、
部品を覆うように適用される柔軟性のあるダイアフラムと、
ダイアフラム内に封入される概ね剛体のフレームと
を含む、真空バッグ。
【請求項2】
前記ダイアフラムがエラストマー材料である、請求項1に記載の真空バッグ。
【請求項3】
前記ダイアフラムがRTVシリコンである、請求項1または2に記載の真空バッグ。
【請求項4】
前記フレームが複合材料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の真空バッグ。
【請求項5】
前記フレームがダイアフラム内に封入されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の真空バッグ。
【請求項6】
部品の処理時に表面に対してダイアフラムを密封するためのシールをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の真空バッグ。
【請求項7】
前記シールが前記ダイアフラムと一体に形成される、請求項6に記載の真空バッグ。
【請求項8】
前記シールが前記封入されたフレームに取り付けられている、請求項6または7に記載の真空バッグ。
【請求項9】
前記フレームがダイアフラムによって囲まれた側面を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の真空バッグ。
【請求項10】
部品を処理するための真空バッグを作る方法であって、
柔軟性のあるダイアフラムを形成するステップと、
ダイアフラム内に概ね剛体のフレームを封入するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
ダイアフラムを形成するステップが、ツール表面にエラストマーを被覆するステップを含み、且つ、
フレームを封入するステップが、エラストマー被覆上にフレームを配置するステップ及びフレーム全体にエラストマーを追加適用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
シールをダイアフラムと一体に形成するステップをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
シールを形成するステップが、ツール表面上にシール要素を配置するステップを含み、且つ
ダイアフラムを形成するステップが、シールを覆うツール表面全体にエラストマー被覆を噴霧するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
シール及びエラストマー被覆を同時硬化するステップを更に含む、請求項12または13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−78937(P2013−78937A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−182176(P2012−182176)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】