説明

一価IgGを生成するための方法

本発明は、一価抗体、該抗体を作製する方法およびその療法的使用に関する。特に、本発明は、免疫グロブリン重鎖、ならびに免疫グロブリン軽鎖およびFc分子を含む融合タンパク質を含む、ヘテロ二量体ポリペプチドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、本明細書に援用される2005年10月21日出願の米国仮出願第60/729,304号の優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002]モノクローナル抗体は、癌、炎症性疾患およびウイルス感染を含む多くの適用のための療法分子の、ますます重要な種類となってきている。循環中のサイトカインまたは細胞表面上の受容体などのターゲットに特異的に結合することによって、抗体は、特定の生化学的工程を遮断するかまたは活性化するかいずれかを行うことも可能である。さらに、外来生物または癌細胞などのターゲットへの結合に際して、抗体はまた、免疫系から、他のエフェクター細胞をターゲットに補充することも可能であり、これがターゲットの破壊を導きうる。
【0003】
[0003]大部分の組換え抗体は、IgG形式:柔軟なヒンジ領域によってFc断片に連結された2つの抗原結合断片(Fab)アームを持つ「Y」型分子で用いられる。IgGの二価の性質は、Fabなどの一価の抗体に勝るいくつかの機能的利点を提供する。第一に、アビディティー効果によって、2つの抗原結合部分を有するIgGは、一価Fab分子よりもより緊密にターゲットに結合する。これは、典型的には、結果としてin vivoでのはるかにより高い活性につながりうる。次に、Fab断片と比較して、IgGは、大きい分子サイズを有することで腎臓におけるクリアランスが妨げられること、およびFc領域が新生受容体(FcRn)に結合可能であり、サルベージ経路を用いて、内皮におけるタンパク質分解が回避されることの両方の結果、哺乳動物においてより長い血清半減期を有する(Junghans, Immunol. Res. 16(1):29−57(1997))。
【0004】
[0004]さらに、IgGはまた、細胞表面上のリガンド受容体を架橋することによって、生物学的リガンドの機能を模倣することも可能である。例えば、Fasリガンド(FasL)に類似の抗Fas抗体は、多くの細胞種において、Fasが仲介するアポトーシスを活性化しうる。別の例は、in vivoでT細胞受容体を活性化するのに一般的に用いられる(すなわちアゴニスト性抗体である)抗CD3抗体である。現在、TRAILが仲介するアポトーシスを誘導可能であるため、TRAIL受容体に対するいくつかのアゴニスト性抗体が、有望な抗癌剤として開発中である。これらのアゴニスト性抗体の生物学的機能は、IgG形式の二価性に依存する。
【0005】
[0005]Fab断片などの、同じ抗体の一価型は、典型的にはアゴニスト性抗体として働くことができない。
[0006]しかし、特定の療法的ターゲット、例えば、TNF受容体およびTNF受容体ファミリーの他のメンバーには、抗体架橋による細胞表面受容体の活性化は望ましくない。TNF受容体ファミリーメンバーは、ヒトにおいて、多くの生理学的および病理生理学的状態において、重要な役割を果たすことが示されてきており、このため、特に抗体に基づく療法による、薬剤介入に魅力的なターゲットとなっている。しかし、純粋にアンタゴニスト性である、TNF受容体ファミリーメンバーに対する抗体を開発するのは困難である。この困難さは、主に、特に、完全IgGなどの二価抗体に関しては、アンタゴニスト性およびアゴニスト性両方の抗体を有する潜在的なリスクがあることによる。
【0006】
[0007]Fabなどの抗体の一価型は、アゴニスト活性は持たないが、半減期が短いため、in vivoで使用するのは実際的でない。この問題を克服するため、当該技術分野において、血清アルブミンなどの大きい分子にFabを融合させること、およびFabのPEG化によるなどを含む、いくつかの戦略が開発されてきている(Leong, S.R., Cytokine, 16(3):106−19(2001))。しかし、生物活性が減少し、そしてPEG分子が腎臓に集積するため、これらのアプローチは最適には程遠い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0008]したがって、in vivoで長い半減期を有するがアゴニスト活性を含まないアンタゴニスト性抗体を開発する改善された方法に関する、かなりの必要性が依然としてある。本発明は、一価抗体として機能するヘテロ二量体ポリペプチドを提供することによって、この必要性を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
[0009]本発明は、部分的に、一価抗体が、2つの抗原結合ドメインを有する完全免疫グロブリン分子などの多価抗体(例えば二価抗体)よりも、アゴニスト性である可能性がより低いという観察に基づく。本発明はまた、哺乳動物細胞において、免疫グロブリン重鎖が、軽鎖と二量体化しなければ、細胞から分泌不能であるという別の観察も利用する。
【0009】
[0010]したがって、1つの態様において、本発明は、共有または非共有相互作用で融合タンパク質に連結されている免疫グロブリン重鎖を含むヘテロ二量体ポリペプチドであって、該融合タンパク質が免疫グロブリン軽鎖およびFc分子を含み、該重鎖および該融合タンパク質がそれらのN末端およびC末端に関して同一に方向付けられており、そして該へテロ二量体ポリペプチドがターゲット受容体に特異的に結合可能である、前記へテロ二量体ポリペプチドを提供する。別の側面において、重鎖および融合タンパク質間の相互作用は、ジスルフィド結合を伴う。
【0010】
[0011]別の側面において、ヘテロ二量体ポリペプチド中の免疫グロブリン重鎖は、限定されるわけではないが、ヘキサ−ヒスチジン(His)タグ、ストレプトアビジン結合ペプチド、マルトース結合タンパク質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、mic−タグ、およびFLAG−タグを含む、タグ化部分をさらに含む。
【0011】
[0012]別の側面において、免疫グロブリン重鎖のFc領域および融合タンパク質のFc領域は、ヘテロ二量体ポリペプチドをより効率的に形成するため、システインなどの遊離チオール化合物および二量体化ドメインを含めて、重鎖および融合タンパク質間の相互作用を支持するかまたは増進するように突然変異していてもよい。特に、重鎖または融合タンパク質のホモ二量体化は、それぞれ、これらの間のヘテロ二量体形成よりも支持されない。
【0012】
[0013]別の側面において、融合タンパク質のFc部分中のヒンジ領域は、ヘテロ二量体を形成する重鎖および融合タンパク質が互いに構造的に対称であるように、修飾されている。特に、ヒンジ領域は、アミノ酸挿入、欠失、または置換によって修飾されていてもよい。こうした修飾によって、ヒンジ領域は、少なくとも1アミノ酸残基、少なくとも2アミノ酸残基、少なくとも3アミノ酸残基、少なくとも4アミノ酸残基、少なくとも5アミノ酸残基、少なくとも6アミノ酸残基、少なくとも7アミノ酸残基、少なくとも8アミノ酸残基、少なくとも9アミノ酸残基、または少なくとも10アミノ酸残基、長くなっていてもまたは短くなっていてもよい。さらに、こうした修飾によって、ヒンジ領域は、すべて包括的に、少なくとも1〜10、1〜11、1〜12、1〜13、1〜14、1〜15、1〜16、1〜17、1〜18、1〜19、または1〜20アミノ酸残基、長くなっていてもまたは短くなっていてもよいし、あるいは、重鎖および融合タンパク質間の相互作用、ならびにヘテロ二量体ポリペプチドの生物学的活性に影響を及ぼさない限り、より長くても短くてもよい。別の態様において、また、ヒンジ領域中の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸残基が、限定されるわけではないが、例えばグルタミン酸をアスパラギン酸で、アルギニンをリジンまたはグルタミンで、グルタミンをアスパラギンで置換することを含めて、類似のアミノ酸残基で置換されていてもよい。さらに別の側面において、ヒンジ領域は、天然存在または非天然存在であってもよい。ヒンジ領域は、CH1ドメインのものとは異なるクラスまたはサブクラスの抗体由来の完全ヒンジ領域を含んでもよい。
【0013】
[0014]本発明の別の態様において、ヘテロ二量体ポリペプチドは、対を形成しないシステイン、すなわちジスルフィド結合に関与しないシステインをまったく含有しない。対を形成しないシステインの存在は、適切なフォールディングに、そしてしたがってタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼす可能性もあるため、当業者は、対を形成しないシステインを持たないヘテロ二量体ポリペプチドを作製することを正しく認識するであろう。
【0014】
[0015]本発明の別の側面において、ヘテロ二量体ポリペプチド中の免疫グロブリン重鎖および融合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4に由来する。
【0015】
[0016]本発明のさらに別の側面において、ヘテロ二量体ポリペプチドは、ターゲット受容体または細胞表面分子に特異的に結合可能であり、そしてその活性に拮抗することが可能である。
【0016】
[0017]本発明の1つの態様において、ターゲット受容体には、サブユニットが同じ分子(すなわちホモオリゴマー化)であろうと、または異なる分子(すなわちヘテロオリゴマー化)であろうと、そして二量体、三量体、四量体、またはより高次の多量体であろうと、その活性が、サブユニットのオリゴマー化によって仲介される受容体が含まれる。
【0017】
[0018]別の態様において、ヘテロ二量体ポリペプチドのターゲット受容体には、限定されるわけではないが、TNF/TNF受容体スーパーファミリー、サイトカイン受容体、受容体チロシンキナーゼ、G−タンパク質共役受容体(GPCR)、Fc受容体(FcR)、AT1受容体、組織因子、およびインテグリンが含まれる。さらに別の態様において、ターゲット受容体には、限定されるわけではないが、TNFR1(p55)、TNFR2(p75)、NGFR、Troy、EDAR、XEDAR、CD40、DcR3、Fas、OX40、AITR、CD30、HveA、4−1BB、DR3、CD27、LTβR、RANK、TWEK受容体、TACI、BCMA、DR6、OPG、DR4、DR5、DcR1およびDcR2を含む、TNF/TNF受容体スーパーファミリーのメンバーが含まれる。
【0018】
[0019]別の態様において、ターゲット受容体には、限定されるわけではないが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−15、IL−7、TSLP、LIF、IL−13、IL−23およびIL−31を含む、インターロイキン受容体が含まれる。
【0019】
[0020]本発明のさらに別の態様において、ヘテロ二量体ポリペプチドの免疫グロブリン配列は、完全にヒトであるか、ヒト化されているか、またはキメラである。
[0021]別の態様において、本発明は、本発明のヘテロ二量体ポリペプチドおよび薬学的に許容しうるキャリアーを含む、組成物を提供する。
【0020】
[0022]さらに別の態様において、本発明のヘテロ二量体ポリペプチド、またはその薬学的組成物は、サブユニットのオリゴマー化によって活性化されるターゲット受容体によって仲介される状態を有する被験体を治療するのに用いられ、この治療は、該被験体に、有効量の本発明のヘテロ二量体ポリペプチドを投与することを含み、該ヘテロ二量体ポリペプチドは、該ターゲット受容体の少なくとも1つのサブユニットに特異的に結合可能であり、それによって該オリゴマー化に拮抗する。別の側面において、このオリゴマー化は、二量体、三量体、または四量体、あるいはより高次の多量体の複合体を形成する。さらに別の側面において、本発明は、TNF/TNF受容体スーパーファミリー、サイトカイン受容体、受容体チロシンキナーゼ、G−タンパク質共役受容体(GPCR)、Fc受容体(FcR)、AT1受容体、組織因子、およびインテグリンの少なくとも1つのメンバーをターゲットとする、ヘテロ二量体ポリペプチドを提供する。さらに別の側面において、ターゲット受容体には、限定されるわけではないが、TNFR1、TNFR2、NGFR、Troy、EDAR、XEDAR、CD40、DcR3、Fas、OX40、AITR、CD30、HveA、4−1BB、DR3、CD27、LTβR、RANK、TWEK受容体、TACI、BCMA、DR6、OPG、DR4、DR5、DcR1およびDcR2が含まれる。本発明の別の側面において、ターゲット受容体のオリゴマー化は、リガンド誘導性であってもまたはなくてもよい。
【0021】
[0023]別の態様において、本発明は、免疫グロブリン重鎖をコードする第一の核酸および融合タンパク質をコードする第二の核酸を含むベクターであって、該融合タンパク質が、免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域、およびFc分子を含み、第一の核酸および第二の核酸が、同じ部位または異なる部位(単数または複数)で、該ベクターに挿入される、前記ベクターを提供する。別の側面において、第一の核酸は、タグ化部分に融合した免疫グロブリン重鎖をコードする。
【0022】
[0024]別の態様において、本発明は、直前の段落に記載するような、第一および第二の核酸を含むベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
[0025]さらに別の側面において、本発明は、少なくとも2つのベクターを含む、形質転換またはトランスフェクション宿主細胞であって、該ベクターの少なくとも1つが、少なくとも免疫グロブリン重鎖をコードする核酸配列を含み、そして該ベクターの少なくとも別の1つが、免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域およびFc分子を含む、少なくとも1つの融合タンパク質をコードする核酸配列を含む、前記宿主細胞を提供する。
【0023】
[0026]別の態様において、本発明は、宿主細胞において、ヘテロ二量体ポリペプチドを産生するための方法であって、該へテロ二量体ポリペプチドが、場合によってタグ化部分と融合している免疫グロブリン重鎖を含み、該重鎖が、免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域、およびFc分子を含む融合タンパク質に連結されており、該重鎖および該融合タンパク質がそれらのN末端およびC末端に関して同一に方向付けられており、そして該へテロ二量体ポリペプチドがターゲット受容体に特異的に結合可能であり、該方法が:(a)該免疫グロブリン重鎖をコードする第一の核酸および該融合タンパク質をコードする第二の核酸で、宿主細胞を形質転換するかまたはトランスフェクションし、そして(b)該免疫グロブリン重鎖および該融合タンパク質が、該形質転換宿主細胞において、別個に産生されるように、第一の核酸および第二の核酸を発現させる工程を含む、前記方法を提供する。別の側面において、ヘテロ二量体ポリペプチドは、宿主細胞において発現され、そしてターゲット受容体に結合可能なヘテロ二量体ポリペプチドとして、該細胞から分泌される。別の側面において、第一および第二の核酸は、1つの単一ベクター中に、あるいは別個の、独立の、または異なるベクター中に、存在する。さらに別の側面において、第一の核酸を宿主細胞に形質転換して重鎖を作製してもよいし、そして融合タンパク質を別個の宿主細胞に形質転換して融合タンパク質を作製してもよい。第二の核酸で形質転換する宿主細胞は、第一の核酸で形質転換する宿主細胞と同じかまたは異なる細胞または細胞株であってもよい。さらに別の側面において、宿主細胞は原核または真核である。さらに別の側面において、宿主細胞は哺乳動物細胞であり、これには、限定されるわけではないが、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、VERO、BHK、HeLa、Cos、MDCK、293、3T3、骨髄細胞株、およびWI38細胞が含まれる。さらに別の態様において、重鎖および融合タンパク質は、不溶性型で産生され、そして可溶化され、そして溶液中で再フォールディングを可能にされて、ターゲット受容体に特異的に結合可能なヘテロ二量体ポリペプチドを形成する。
【0024】
[0027]別の態様において、本発明は、Fc分子に融合した免疫グロブリン軽鎖を含む融合タンパク質を提供する。別の態様において、本発明は、Fc分子に融合した免疫グロブリン軽鎖を含む融合タンパク質をコードする核酸を提供する。
【0025】
[0028]さらに別の態様において、本発明は、単一の抗原結合ドメインを含み、そして軽鎖がFc分子でさらに延長されて、融合タンパク質を生じている、免疫グロブリンの半分の分子、すなわち二鎖分子を提供する。別の側面において、抗原結合領域は、融合タンパク質の重鎖および/または軽鎖部分の少なくともCDR1、CDR2、またはCDR3を含む。
【0026】
[0029]さらに別の態様において、本発明は、Fc分子に融合した免疫グロブリン軽鎖を含むポリペプチドを提供する。別の側面において、軽鎖は、ヒンジ領域を介して、Fc分子に融合している。
【0027】
[0030]1つの態様において、本発明は、配列番号9に示すアミノ酸配列を含む第一のポリペプチドおよび配列番号10に示すアミノ酸配列を含む第二のポリペプチドを含む、TNFR1をターゲットとする、ヘテロ二量体ポリペプチドを提供する。別の側面において、ヘテロ二量体ポリペプチドは、(a)配列番号11、12および13からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDRを含む免疫グロブリン重鎖、ならびに(b)免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域およびFcを含む融合タンパク質であって、該軽鎖が:配列番号18、19および20からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDRを含む、前記融合タンパク質を含み、そしてTNFR1に結合し、そして該受容体の活性に拮抗することが可能である。
【0028】
[0031]さらに別の態様において、本発明は、配列番号10に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を提供する。
[0032]さらに別の態様において、本発明は、配列番号10に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を提供する。
【0029】
[0033]さらに別の態様において、本発明は:配列番号11、12および13からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDRを含む免疫グロブリン重鎖、ならびに/あるいは免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域およびFcを含む融合タンパク質であって、該軽鎖が:配列番号18、19および20からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDRを含む、前記融合タンパク質をコードする核酸を提供する。
【0030】
[0034]さらに別の態様において、本発明は、自己免疫疾患を有する被験体を治療する方法であって、配列番号9に示すアミノ酸配列を含む第一のポリペプチドおよび配列番号10に示すアミノ酸配列を含む第二のポリペプチドを含む、ヘテロ二量体ポリペプチド、またはその薬学的組成物の有効量を、該被験体に投与することを含む、前記方法を提供する。別の側面において、本発明は、限定されるわけではないが、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、クローン病、IBD、潰瘍性大腸炎を含む自己免疫疾患を有する被験体を治療する方法であって、(a)配列番号11、12および13からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDRを含む免疫グロブリン重鎖、ならびに(b)免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域およびFcを含む融合タンパク質であって、該軽鎖が:配列番号18、19および20からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDRを含む、前記融合タンパク質を含み、そしてTNFR1に結合し、そして該受容体の活性に拮抗することが可能である、ヘテロ二量体ポリペプチド、またはその薬学的組成物の有効量を、該被験体に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0031】
発明の詳細な説明
[0042]本開示全体で、多様な刊行物、特許および公開特許出願が、同定する引用によって言及される。これらの刊行物、特許および公開特許出願の開示は、本開示に援用される。
【0032】
一般的な技術
[0043]本発明の実施は、別に示さない限り、当該技術分野の範囲内の分子生物学、免疫学、生化学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクス、組換えDNAの慣用的技術を使用するであろう。
【0033】
用語の定義
[0044]本明細書全体で用いる用語は、特定の場合に別に限定されない限り、以下のように定義される。
【0034】
[0045]明細書および請求項で用いる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに単数形を指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、用語「ベクター(a vector)」には、その混合物を含めて、複数のベクターが含まれる。
【0035】
[0046]用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において、交換可能に用いられ、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖、環状、または分枝鎖であってもよく;修飾されたアミノ酸を含んでもよく;そして非アミノ酸によって中断されてもよい。該用語はまた、例えばグリコシル化を介して修飾されているアミノ酸ポリマーも含む。本明細書において、用語「アミノ酸」は、天然および/または非天然あるいは合成アミノ酸のいずれかを指し、グリシン、ならびにD−およびL−光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体およびペプチド擬似体が含まれる。
【0036】
[0047]ポリペプチドおよび核酸の両方の場合で、同一性パーセントを、視覚的検査によって決定してもよい。また、SmithおよびWaterman(Adv. Appl. Math, 2:482(1981))によって修正されたNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol., 48:443(1970))の並列法を用いて、同一性パーセントを決定してもよい。特に、コンピュータプログラム、例えば、遺伝学コンピュータグループ(GCG;ウィスコンシン州マディソン、Devereuxら, Nucl. Acids Res., 12:387(1984)もまた参照されたい)から入手可能な、GAPコンピュータプログラム、バージョン10.xを用いることによって、同一性パーセントを決定する。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメータには:(1)ヌクレオチドに関する単一(unary)比較マトリックス(同一に対し1および非同一に対し0の値を含有する)、ならびにアミノ酸に関する、SchwartzおよびDayhoff監修, Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, 353−358(1979)に記載されるような、GribskovおよびBurgess, Nucl. Acids Res., 14:6745(1986)の加重アミノ酸比較マトリックス;(2)各ギャップに対する30(アミノ酸)または50(ヌクレオチド)のペナルティ、および各ギャップ中の各記号に対するさらに1(アミノ酸)または3(ヌクレオチド)のペナルティ;(3)末端ギャップに対するペナルティなし;および(4)長いギャップに対する最大ペナルティなし、が含まれる。配列比較の当業者によって用いられる、他のプログラムもまた使用可能である。
【0037】
[0048]本明細書において、「融合タンパク質」は、少なくとも2つのポリペプチドを含有するタンパク質を指し、そのうち第一のポリペプチドは、通常、別個のタンパク質として存在しており、そして通常は第一のポリペプチドの一次構造の一部ではないか、または第一のポリペプチドとシス立体配置に配置されていない、少なくとも第二のポリペプチドと一つにされて、融合タンパク質を形成するか;あるいは、これらは通常、同じタンパク質中に存在してもよいが、融合タンパク質においては、新たな配置に置かれる。ペプチド領域が望ましい関係でコードされる核酸を作製し、そしてin vitroで、もしくは宿主細胞において、翻訳することによって、または化学合成によって、あるいは両方の方法論によって、融合タンパク質を生成してもよい。
【0038】
[0049]タンパク質、特にターゲット受容体複合体の「オリゴマー化」は、本明細書において、リガンド誘導に依存していてもまたはしていなくてもよい、例えば、二量体、三量体、または四量体を形成するための、別個のポリペプチド、またはサブユニットまたは単量体の会合を指す。膜ターゲット受容体の性質に応じて、サブユニットのオリゴマー化は、ホモオリゴマー化(同じ種類の少なくとも2つのサブユニットの会合、例えばp55の三量体を形成するTNFR1またはp55におけるようなもの)またはヘテロオリゴマー化(少なくとも1つが、他のもの(単数または複数)と異なる、少なくとも2つのサブユニットの会合、例えばIL−15受容体αサブユニット、IL−2受容体βサブユニット、およびIL−2受容体γサブユニットを含む三量体を形成する、IL−15受容体複合体におけるようなもの)であってもよい。
【0039】
[0050]用語「連結された」、「融合した」または「融合」は、本明細書において、交換可能に用いられる。これらの用語は、組換えおよび/または化学的コンジュゲート化手段を含む、いかなるものでもよい手段によって、2つの化学的要素または構成要素を一緒に連結することを指す。融合タンパク質におけるポリペプチドの読み枠は、融合したセグメント全体で、連続して作られるが、セグメントは、例えば、インフレーム・リンカー配列によって、物理的または空間的に分離されていてもよい。
【0040】
[0051]ポリペプチドの関連において、「配列」は、ポリペプチドにおけるN末端からC末端方向のアミノ酸の順序であり、配列中で互いに隣接する残基は、ポリペプチドの一次構造において連続している。
【0041】
[0052]用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、交換可能に用いられる。これらは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドいずれか、あるいはその類似体の、任意の長さのヌクレオチドのポリマー型を指す。
【0042】
[0053]本明細書において、「発現」は、核酸がmRNAに転写されるプロセス、および/または転写されたmRNA(また、転写物とも称される)が、続いて、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写物およびコードされるポリペプチドは、まとめて、遺伝子産物と称される。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来するならば、真核細胞における発現には、mRNAのスプライシングが含まれてもよい。
【0043】
[0054]「ベクター」は、宿主細胞内にそして/または宿主細胞間で、挿入された核酸分子をトランスファーする、核酸分子、特に自己複製性の核酸分子である。該用語には、主に細胞へのDNAまたはRNAの挿入(例えば染色体組込み)のために機能するベクター、主にDNAまたはRNAの複製のために機能する複製ベクター、およびDNAまたはRNAの転写および/または翻訳のために機能する発現ベクターが含まれる。やはり含まれるのは、記載するような機能の1より多くを提供するベクターである。
【0044】
[0055]「発現ベクター」は、適切な宿主細胞内に導入された際、転写されそしてポリペプチドに翻訳されることが可能なポリヌクレオチドである。「発現系」は、通常、望ましい発現産物を生じるように機能可能な発現ベクターを含む、適切な宿主細胞を示す。
【0045】
[0056]用語「有効量」は、本明細書において、望ましい生物学的または生理学的効果を生じるであろうポリペプチド、例えばヘテロ二量体ポリペプチドの量を指す。当該技術分野に知られるであろうように、疾患、障害または状態を防止する単数または複数の予防的方法に加えて、こうした疾患、障害、または状態を治療する方法において、有効量の療法剤が必要である。したがって、治療法、ならびに疾患、障害または状態に関連する症状を改善する方法に関して、「有効量」は、「療法的有効量」と同義に用いられる。こうした方法において、「状態を有する被験体」または「必要がある被験体」は、疾患、障害または状態、特に、本開示に記載するような、ターゲット受容体のオリゴマー化によって仲介される状態の症状を示すか、これらを発展させるリスクがあるか、またはこれらを有すると診断された、任意の動物、例えばヒトである。
【0046】
[0057]用語「Fc」、「Fc分子」、「Fc領域」、または「Fcドメイン」は、天然FcおよびFc変異体分子および配列を含む。広義には、用語「Fc」は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するよう用いられる。Fc変異体および天然Fcの場合、用語「Fcドメイン」には、完全抗体から消化されたかまたは他の手段によって産生された、単量体型(例えば、互いに相互作用して、本発明のヘテロ二量体ポリペプチドを形成する前の、重鎖または融合タンパク質の軽鎖部分におけるようなもの)または多量体型(例えば、本発明のヘテロ二量体ポリペプチド、または完全IgG分子におけるようなもの)の分子が含まれる。用語「天然Fc」は、完全抗体の消化から生じる、非抗原結合性断片の配列を含む、単量体型または多量体型いずれであってもよい分子または配列を指す。天然Fcの元来の免疫グロブリン供給源は、例えば、ヒト起源であり、そして限定されるわけではないが、IgG1およびIgG2を含む、免疫グロブリンのいずれであることも可能である。天然Fcは、単量体ポリペプチドで構成され、共有結合(例えばジスルフィド結合)または非共有相互作用によって連結されて、二量体型または多量体型になることも可能である。天然Fc分子の単量体サブユニット間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えばIgG、IgA、IgE)またはサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)に応じて1〜4の範囲である。天然Fcの一例は、IgGのパパイン消化から生じるジスルフィド結合二量体である(Ellisonら, Nucleic Acids Res., 10:4071−4079(1982)を参照されたい)。用語「天然Fc」は、本明細書において、単量体型、二量体型、および多量体型の総称である。用語「Fc変異体」は、天然Fcから修飾されているが、サルベージ受容体、FcRnの結合部位をなお含む、分子または配列を指す。WO 97/34631およびWO 96/32478は、典型的なFc変異体とともに、サルベージ受容体との相互作用を記載し、そして本明細書に完全に援用される。したがって、用語「Fc変異体」は、非ヒト天然Fcからヒト化された分子または配列を含む。さらに、天然Fcは、本発明の融合分子に必要でない構造的特徴または生物学的活性を提供するために取り除くことも可能な部位を含む。用語「Fc変異体」はまた、2つの免疫グロブリン鎖の二量体化、例えば、本発明のヘテロ二量体ポリペプチドを形成するための、重鎖および融合タンパク質の二量体化を増進するドメインを含む、天然Fcも含む。こうしたドメインには、限定されるわけではないが、遊離チオ含有化合物、例えばシステイン残基、ならびにどちらも完全に本明細書に援用される、米国特許第5,807,706号および米国公報第2003/0078385号に記載されるような多量体化ドメインが含まれる。
【0047】
[0058]用語「ヒンジ領域」は、一般的に、ヒトIgG1のGlu216〜Pro230に渡ると定義される(Burton, Molec. Immunol., 22:161−206(1985))。重鎖間S−S結合を形成する最初のシステイン残基および最後のシステイン残基を同じ位に配置することによって、他のIgGアイソタイプのヒンジ領域を、IgG1配列と並列させてもよい。ヒンジ領域は、天然存在または非天然存在であってもよく、限定されるわけではないが、本明細書に完全に援用される米国特許第5,677,425号に記載されるような改変されたヒンジ領域が含まれる。ヒンジ領域は、CH1ドメインのものと異なるクラスまたはサブクラスの抗体に由来する完全ヒンジ領域を含んでもよい。
【0048】
[0059]用語「タグ化部分」は、本明細書において、本発明の重鎖に融合しており、例えば組換え的に産生された際に、該タグ化部分を含有しない、混合物中の他の構成要素からの、こうした重鎖を含むヘテロ二量体ポリペプチドの分離および/または精製を促進するよう補助する、ポリペプチドまたはペプチドを指す。
【0049】
[0060]用語「拮抗する」または「拮抗すること」は、本明細書において、ターゲット受容体などの、関心対象の会合タンパク質の生物学的活性を遮断するか、遅らせるか、防止するか、減少させるか、阻害するか、弱めるか、または何らかの方式でこれに干渉することを指す。用語「アンタゴニスト」または「アンタゴニスト性」は、関心対象のタンパク質の生物学的活性に拮抗する化合物を指す。
【0050】
[0061]用語「アゴナイズ」、「アゴニスト」および「アゴニスト性」は、本明細書において、直接または間接的に、サイトカイン生物学的活性またはサイトカイン受容体活性化を実質的に誘導するか、促進するか、または増進することが可能な分子を指すかまたは記載する。
【0051】
[0062]用語「抗体」は、最も広い意味で用いられ、そして具体的には、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および望ましい生物学的活性をなお示す限り、抗体断片を含む。用語「モノクローナル抗体」は、均質の(本質的に同一の)抗体集団を有する抗体組成物を指す。該用語は、種、例えばヒト、ネズミ、マウス、または抗体の供給源に関して限定されず、あるいは作製された方式によって限定されない。例えば、該用語には、例えばハイブリッド、改変、キメラ、またはヒト化など、どのように下位分類されるかにかかわらず、モノクローナル抗体を生じる、ハイブリドーマ以外の方法論によって産生されたモノクローナル抗体が含まれる。さらに、該用語には、モノクローナル抗体の産生中に天然に生じる変異体が含まれる。該用語には完全免疫グロブリンが含まれる。用語「ヒト化抗体」は、本明細書において、典型的には、非ヒト(例えばネズミ)抗体の可変領域、または少なくともその相補性決定領域(CDR)、およびヒト抗体由来の残りの免疫グロブリン部分を含む、操作された抗体、すなわちキメラ抗体を指す。キメラ抗体およびさらなる操作されたモノクローナル抗体の産生法には、Riechmannら, Nature, 332:323(1988);Liuら, PNAS, 84:3439(1987);Larrickら, Bio/Technology, 7:934(1989);ならびにWinterおよびHarris, TIPS, 14:139(1993年5月)に記載されるものが含まれる。こうしたヒト化抗体は、既知の技術によって調製可能であり、そして抗体をヒトに投与した際、減少した免疫原性の利点を提供する。
【0052】
[0063]句「特異的に結合する」は、本明細書において、本発明のヘテロ二量体ポリペプチドを含む抗体、およびタンパク質、例えばターゲット受容体の間の結合反応を指し、この反応は、タンパク質および他の化学種の不均質な集団における、該タンパク質の存在の決定要因となる。したがって、指定されるイムノアッセイ条件下で、特定のタンパク質に結合した抗体は、試料中に存在する他のタンパク質に、有意な量では結合しない。こうした条件下でのタンパク質への特異的結合は、その特定のタンパク質に対する特異性に関して選択された抗体を必要としうる。多様なイムノアッセイ形式を用いて、特定のタンパク質と選択的に結合する抗体を選択してもよい。例えば、固相ELISAイムノアッセイを日常的に用いて、タンパク質と選択的に免疫反応性である抗体を選択する。選択的結合を決定するために使用可能なイムノアッセイ形式および条件の説明に関しては、HarlowおよびLane “Antibodies: A Laboratory Manual” Cold Spring Harbor Publications, ニューヨーク(1988)を参照されたい。
【0053】
ヘテロ二量体ポリペプチド
[0064]本発明のヘテロ二量体ポリペプチドは、サイトカイン受容体またはケモカイン受容体のリガンド誘導性活性、例えばTNFR1またはp55のTNF誘導性活性に拮抗するための新規アプローチを提供する。特に、ヘテロ二量体ポリペプチドは、重鎖、およびFcドメインにさらに融合した軽鎖の、二鎖構造を含む、一価IgGを含む。したがって、完全IgGの二価四鎖構造に比較して、IgGのこの新規の型は、二鎖分子であり、1つの抗原結合部分しか持たない。この分子の重鎖は、標準的IgGにおけるのと同じである。しかし、軽鎖は、IgG重鎖のFc領域由来の配列との融合によって、さらに延長されている。単に、本発明の例示のため、そしていかなる点でも本発明の範囲を限定することなく、実施例項に記載するように、マウスTNFR1に対して向けられる一価IgGを構築した。分子モデリングに基づいて、ヒトIgG軽鎖、およびヒトIgG重鎖のFcドメインで構成される融合タンパク質(LC/Fc(huIgG1))の上部ヒンジ領域中の最初の5残基を、軽鎖およびFcの間の接合点で欠失させて、融合接合点を越えた、2つの鎖間の対称的構造を形成した。図5。全体として、この分子のFc領域はIgGに同一であり、そしてしたがって、in vivoでの長い血清半減期を含めて、完全IgG分子と類似のエフェクター機能を有すると期待される。
【0054】
[0065]κまたはλ軽鎖配列いずれかを用いて、4つのヒトIgGアイソタイプすべてのIgGの一価型が作製可能である。軽鎖構築物における接合点配列は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4形式で異なるであろう。図1に示すように、重鎖をコードするDNA構築物および融合タンパク質をコードするDNA構築物を哺乳動物細胞内に導入した際、成熟タンパク質産物の2つの型:二鎖一価IgG(すなわちヘテロ二量体ポリペプチド)および融合タンパク質ホモ二量体のみが、トランスフェクションされた細胞から分泌可能である。重鎖ホモ二量体は、軽鎖を欠くため、分泌不能である。生じたヘテロ二量体ポリペプチドは、図2に示すように、重鎖構築物上に存在するペプチドタグ、例えばHisタグを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって、融合タンパク質二量体から分離可能である。
【0055】
[0066]特に、分子のFabおよびFcセグメントを連結するリンカー/ヒンジ領域において、他の変異を設計してもよい。重鎖リンカー配列および軽鎖Fc融合鎖リンカー配列両方の長さを変動させる(本明細書に記載するリンカーより長いものおよび短いもの両方)と、改変された特性を有する分子が生じると予測され、このうちいくつかは、in vivoでの療法分子の薬力学的振る舞いに著しい影響を有する可能性もある。
【0056】
使用
[0067]一般的に、本発明はまた、in vitro、ex vivoおよびin vivoで使用可能な、障害または疾患を治療するかまたは予防するために、ヘテロ二量体ポリペプチドを用いる方法も提供する。本発明で治療されることが意図される疾患には、限定されるわけではないが、TNF/TNF受容体スーパーファミリーの少なくとも1つのメンバー、例えばTNFR1(p55)またはTNFR2(p75)の活性化によって少なくとも仲介されるものが含まれる。これらの疾患には、限定されるわけではないが、自己免疫疾患が含まれる。本明細書において、自己免疫疾患は、被験体の体が、被験体自身の体の構成要素に対して、不都合な影響を伴って、機能異常な免疫応答を生じる、疾患状態または症候群を記載する。これには、すべての抗原、アレルゲンまたは主要組織適合(MHC)抗原に対する特異性を持つ抗体を産生するB細胞の産生が含まれうるし、あるいは自己構成要素を認識し、そして炎症を引き起こすサイトカインを産生する受容体を所持するT細胞の産生が含まれうる。自己免疫疾患の例には、限定されるわけではないが、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、関節リウマチ、真性糖尿病、悪性貧血、自己免疫胃炎、乾癬、ベーチェット病、ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、自己免疫甲状腺炎、自己免疫卵巣炎、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、多腺性内分泌障害、スティル病、ランバート−イートン筋無力症候群、重症筋無力症、グッドパスチャー症候群、自己免疫精巣炎、自己免疫ブドウ膜炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群および強直性脊椎炎が含まれる。
【0057】
[0068]さらに、本発明のヘテロ二量体ポリペプチドが使用可能なターゲット受容体には、そのサブユニットのオリゴマー化によって活性化されるものが含まれる。したがって、本発明によって意図されるターゲット受容体には、限定されるわけではないが、例えばLocksleyら, Cell, 104:487−501(2001)に記載されるものを含むTNF/TNF受容体スーパーファミリー、例えばSchlessinger, Cell, 103:211−225(2000)に記載されるものを含む受容体チロシンキナーゼ、例えばPinら, FEBS Journal, 272:2947−2955(2005)に記載されるものを含むG−タンパク質共役受容体(GPCR)、例えばHogarth, Current Opinion in Immunology, 14:798−802(2002)に記載されるものを含むFc受容体(FcR)、例えばDechendら, Semin. Nephrology, 24:571−579(2004)に記載されるものを含むAT1受容体、例えばHouston, Expert Opin. Ther. Targets, 6:159−174(2002)に記載されるものを含む組織因子、および例えばLiら, Science, 300:795−798(2003)に記載されるものを含むインテグリンが含まれる。
【0058】
薬学的組成物
[0069]注射による投与、経口、肺、鼻、経皮または他の型の投与のため、本発明の薬学的組成物を作製してもよい。一般的に、本発明は、本発明の化合物の有効量を、薬学的に許容しうる希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/またはキャリアーと一緒に含む薬学的組成物を含む。こうした組成物には、多様な緩衝液内容物(例えばTris−HCl、アセテート、ホスフェート)、pHおよびイオン強度の希釈剤;界面活性剤および可溶化剤(例えばTween80、ポリソルベート80)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコール)および膨張性物質(例えばラクトース、マンニトール)などの添加剤;ポリ酢酸、ポリグリコール酸などのポリマー化合物の微粒子調製物への、またはリポソームへの物質の取り込みが含まれる。ヒアルロン酸もまた用いてもよく、そしてこれは、循環中の持続期間を促進する効果を有しうる。こうした組成物は、本タンパク質および誘導体の物理的状態、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼしうる。例えば、本明細書に援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Co., Easton, Pa. 18042, 1435−1712(1990)を参照されたい。組成物は液体型で調製可能であるし、または凍結乾燥型などの乾燥粉末であってもよい。移植可能持続放出配合物もまた意図され、経皮配合物も同様である。
【0059】
[0070]本明細書で使用に意図されるのは、本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Co., Easton Pa. 18042(1990)の第89章に一般的に記載される、経口固体投薬型である。固体投薬型には、錠剤、カプセル、丸剤、トローチまたはロゼンジ、カシェーまたはペレットが含まれる。また、リポソームまたはプロテイノイド被包を用いて、例えば、米国特許第4,925,673号に報告されるようなプロテイノイド微小球体のような本組成物を配合してもよい。リポソーム被包を用いてもよいし、そしてリポソームを多様なポリマーで誘導体化してもよい(例えば米国特許第5,013,556号)。療法剤のためのありうる固体投薬型の説明は、本明細書に援用される、Marshall, K., Modern Pharmaceutics, G.S. BankerおよびC.T. Rhodes監修(1979)の第10章に提供される。一般的に、配合物には、本発明の化合物、ならびに胃の環境に対する保護および腸における生物学的活性物質の放出を可能にする、不活性成分が含まれる。
【0060】
[0071]やはり特に意図されるのは、上記の本発明の化合物の経口投薬型である。必要な場合、経口送達が有効であるように、化合物を化学的に修飾してもよい。一般的に、意図される化学的修飾は、化合物分子自体への少なくとも1つの部分の付着であり、この部分が、(a)タンパク質分解の阻害;および(b)胃または腸から血流への取り込みを可能にする。やはり望ましいのは、化合物の全体の安定性の増加、および体内の循環時間の増加である。本発明において、共有結合したビヒクルとして有用な部分もまた、この目的のために使用可能である。こうした部分の例には:PEG、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンならびにポリプロリンが含まれる。例えば、AbuchowskiおよびDavis, Soluble Polymer−Enzyme Adducts, Enzymes as Drugs, HocenbergおよびRoberts監修, Wiley−Interscience, ニューヨーク州ニューヨーク, 367−383(1981); Newmarkら, J. Appl. Biochem., 4:185−189(1982)を参照されたい。使用可能な他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソランおよびポリ−1,3,6−チオキソカン(tioxocane)である。薬学的使用に好ましいのは、上に示すように、PEG部分である。
【0061】
[0072]経口送達投薬型には、本発明の療法化合物の吸収を増進するキャリアーとして、ナトリウムN−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリレート(SNAC)などの修飾脂肪族アミノ酸の塩を用いることもまた可能である。SNACを用いたヘパリン配合物の臨床的有効性が、Emisphere Technologiesによって行われた第II相臨床試験において立証されている。米国特許第5,792,451号、”Oral drug delivery composition and methods”を参照されたい。
【0062】
[0073]本発明の化合物は、約1mmの粒子サイズの顆粒またはペレットの形で、細かい多量微粒子として配合物に含まれていてもよい。カプセル投与のための物質の配合はまた、粉末、軽く圧縮されたプラグとしてであってもよいし、または錠剤としてであってさえよい。療法剤を圧縮によって調製してもよい。
【0063】
[0074]着色剤およびフレーバー剤は、すべて含まれてもよい。例えば、タンパク質(または誘導体)を、配合して(例えばリポソームまたは微小球体被包によって)、そして次いで、食用製品、例えば着色剤およびフレーバー剤を含有する冷蔵飲料内にさらに含めてもよい。
【0064】
[0075]本発明の化合物の体積を不活性物質で希釈するかまたは増加させてもよい。これらの希釈剤には、炭水化物、特にマンニトール、α−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストランおよびデンプンが含まれてもよい。三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む、特定の無機塩を、充填剤として用いてもよい。いくつかの商業的に入手可能な希釈剤は、Fast−Flo、Emdex、STA−Rx1500、EmcompressおよびAvicellである。
【0065】
[0076]療法剤を固体投薬型に配合する際に、崩壊剤を含むことも可能である。崩壊剤として用いる物質には、限定されるわけではないが、デンプンに基づく商業的崩壊剤、Explotabを含む、デンプンが含まれる。グリコール酸デンプンナトリウム、Amberlite、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸カルボキシメチルセルロース、天然海綿およびベントナイトはすべて使用可能である。崩壊剤の別の型は、不溶性の陽イオン交換樹脂である。粉末化粘剤は、崩壊剤として、そして結合剤として使用可能であり、そしてこれらには、寒天、カラヤゴムまたはトラガカントゴムなどの粉末化粘剤が含まれることも可能である。アルギン酸およびそのナトリウム塩もまた、崩壊剤として有用である。
【0066】
[0077]結合剤を用いて、療法剤をともに保持して、硬い錠剤を形成することも可能であり、そして結合剤にはアラビアゴム、トラガカントゴム、デンプンおよびゼラチンなどの天然産物由来の物質が含まれる。他のものには、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)が含まれる。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)はどちらも、療法剤を顆粒化するため、アルコール性溶液中で使用可能である。
【0067】
[0078]配合プロセス中の粘着を防止するため、療法剤の配合中に抗摩擦剤(antifrictional agent)を含むことも可能である。療法剤およびダイ壁の間に、層として潤滑剤を用いることも可能であり、そしてこれらには、限定されるわけではないが:マグネシウム塩およびカルシウム塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油およびワックスが含まれることも可能である。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、多様な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax4000および6000などの可溶性潤滑剤もまた使用可能である。
【0068】
[0079]配合の間の薬剤の流動特性を改善し、そして圧縮の間の再配置を補助しうる、流動促進剤を、添加することも可能である。流動促進剤には、デンプン、タルク、焼成シリカおよび水和ケイアルミン酸が含まれることも可能である。
【0069】
[0080]水性環境への本発明の化合物の溶解を補助するため、界面活性剤を湿潤剤として添加することも可能である。界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムおよびジオクチルスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤が含まれることも可能である。陽イオン性界面活性剤も使用可能であり、そしてこれには塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムが含まれることも可能である。界面活性剤として配合物中に含まれることも可能な、潜在的な非イオン性界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴル400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、タンパク質または誘導体の配合物中に、単独でまたは異なる比の混合物として存在することも可能である。
【0070】
[0081]添加剤もまた、化合物の取り込みを増進するため、配合物に含まれることも可能である。潜在的にこの特性を有する添加物は、例えば、脂肪酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸である。
【0071】
[0082]徐放配合物が望ましい可能性もある。拡散または浸出機構いずれかによる放出を可能にする不活性マトリックス、例えば粘剤に、本発明の化合物を取り込むことも可能である。ゆっくり変性するマトリックス、例えばアルギン酸塩、多糖もまた、配合物中に取り込み可能である。本発明の化合物の徐放の別の型は、Oros療法系(Alza Corp.)に基づく方法により、すなわち、浸透圧効果によって、単一の小さい開口部を通じて、水が進入するのを可能にし、そして薬剤が押し出されるのを可能にする半透膜中に、薬剤が封入される。いくつかの腸溶性コーティングもまた、遅延放出効果を有する。
【0072】
[0083]他のコーティングを配合に用いることも可能である。これらには、コーティングパン中で適用可能な、多様な糖が含まれる。療法剤をフィルムコーティング錠剤中に提供することもまた可能であり、そしてこの例で用いる物質は2群に分けられる。第1群は、非腸溶物質であり、そしてメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロースナトリウム、プロビドンおよびポリエチレングリコール類が含まれる。第2群は、通常、フタル酸のエステルである、腸溶物質からなる。
【0073】
[0084]物質の混合を用いて、最適なフィルムコーティングを提供することも可能である。パンコーティング器具中または流動化ベッド中または圧縮コーティングによって、フィルムコーティングを行うことも可能である。
【0074】
[0085]肺送達型。やはり本明細書に意図されるのは、本発明のタンパク質(またはその誘導体)の肺送達である。タンパク質(または誘導体)は、吸入されつつ哺乳動物の肺に送達され、そして肺上皮裏打ちを横断して血流に入る(これに関する他の報告には、Adjeiら, Pharma. Res., 7:565−569(1990); Adjeiら, Int’l. J. Pharmaceutics 63:135−144(1990)、酢酸ロイプロリド; Braquetら, J. Cardiovasc. Pharmacol., 13(5):s 143−146(1990)エンドセリン−1; Hubbardら, Annals Int. Med., 3:206−212(1989)アルファ1−アンチトリプシン; Smithら, J. Clin. Invest., 84:1145−1146(1989)アルファ1−プロテイナーゼ; Osweinら, ”Aerosolization of Proteins”, Proc. Symp. Resp. Drug Delivery II, コロラド州キーストーン(1990年3月)組換えヒト成長ホルモン; Debsら, J. Immunol., 140:3482−3488(1988)インターフェロン−ガンマおよび腫瘍壊死因子アルファ;ならびにPlatzら、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)が含まれる)。
【0075】
[0086]本発明の実施に使用が意図されるのは、療法製品の肺送達のために設計された広範囲の機械的デバイスであり、限定されるわけではないが、ネブライザー、定量吸入器、および粉末吸入器が含まれ、これらはすべて当業者に周知である。本発明の実施に適した商業的に入手可能なデバイスのいくつかの特定の例は、Mallinckrodt, Inc.、ミズーリ州セントルイスに製造されるUltraventネブライザー; Marquest Medical Products、コロラド州エングルウッドに製造されるAcorn IIネブライザー; Glaxo Inc.、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパークに製造されるVentolin定量吸入器;およびFisons Corp.、マサチューセッツ州ベッドフォードに製造されるSpinhaler粉末吸入器である。
【0076】
[0087]こうしたデバイスはすべて、本発明の化合物の分配に適した配合物の使用を要する。典型的には、各配合物は、使用するデバイスの種類に特異的であり、そして療法に有用な希釈剤、アジュバントおよび/またはキャリアーに加えて、適切な噴霧剤物質の使用を伴うことも可能である。
【0077】
[0088]本発明の化合物は、遠位肺への送達を最も有効にするため、最も好適には、10μm(またはミクロン)未満、最も好ましくは0.5〜5μmの平均粒子サイズの微粒子型で調製されるべきである。
【0078】
[0089]薬学的に許容しうるキャリアーには、トレハロース、マンニトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、およびソルビトールなどの炭水化物が含まれる。配合物中で使用する他の成分には、DPPC、DOPE、DSPCおよびDOPCが含まれることも可能である。天然界面活性剤または合成界面活性剤も使用可能である。PEGも使用可能である(タンパク質または類似体の誘導体化における使用を別としても)。シクロデキストランなどのデキストランも使用可能である。胆汁酸塩および他の関連増進剤も使用可能である。セルロースおよびセルロース誘導体も使用可能である。緩衝配合物中の使用などで、アミノ酸も使用可能である。
【0079】
[0090]また、リポソーム、微小カプセルまたは微小球体、封入複合体、または他の種類のキャリアーの使用も、意図される。
[0091]ジェットネブライザーまたは超音波ネブライザーいずれかのネブライザーでの使用に適した配合物は、典型的には、溶液1mlあたり、約0.1〜25mgの生物学的活性タンパク質の濃度で、水に溶解された本発明の化合物を含むであろう。配合物はまた、緩衝剤および単糖も含むことも可能である(例えばタンパク質安定化および浸透圧制御のため)。エアロゾルを形成する際、溶液の噴霧化によって引き起こされるタンパク質の表面誘導性凝集を減少させるかまたは防止するため、ネブライザー配合物はまた、界面活性剤を含有することも可能である。
【0080】
[0092]定量吸入デバイスで使用する配合物は、一般的に、界面活性剤の補助で、噴霧剤中に懸濁された本発明の化合物を含有する、細分割粉末を含むであろう。噴霧剤は、この目的に使用される慣用的物質いずれであることも可能であり、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、またはヒドロカーボンがあり、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン、またはその併用が含まれる。適切な界面活性剤には、三オレイン酸ソルビタンおよび大豆レシチンが含まれる。オレイン酸はまた、界面活性剤としても有用でありうる。
【0081】
[0093]粉末吸入デバイスから分配するための配合物は、本発明の化合物を含有する、細分割乾燥粉末を含み、そしてまた、デバイスからの粉末の分散を容易にする量、例えば配合物の重量の50〜90%で、ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはキシリトールなどの充填剤を含むことも可能である。
【0082】
[0094]鼻送達型。本発明の化合物の鼻送達もまた意図される。鼻送達は、鼻への療法産物の投与後、肺に産物が沈着する必要を伴わずに、タンパク質が直接血流に通過することを可能にする。鼻送達のための配合物には、デキストランまたはシクロデキストランを用いたものが含まれる。他の粘膜を渡る輸送を介した送達もまた意図される。
【0083】
[0095]頬側送達型。本発明の化合物の頬側送達もまた意図される。頬側送達配合物が、ペプチドを用いた使用のため、当該技術分野に知られる。
投薬量
[0096]上述の状態を治療するための方法に伴う投薬措置は、薬剤の作用を修飾する多様な要因、例えば患者の年齢、状態、体重、性別および食餌、何らかの感染の重症度、投与時間、ならびに他の臨床的要因を考慮して、主治医によって決定されるであろう。一般的に、一日措置は、体重キログラムあたり、本発明の化合物の0.1〜1000マイクログラム、好ましくはキログラムあたり0.1〜150マイクログラムの範囲内であるべきである。
【0084】
[0097]本発明の他の側面および利点は、以下の例示的実施例を考慮すると、さらに理解されるであろう。
【実施例】
【0085】
実施例
抗p55一価抗体の構築
[0098]マウスp55TNFRを免疫原として用いて、14D2と称されるハムスター抗p55TNFR抗体を生成した。エドマン分析によって決定されるような、精製14D2のN末端配列から推定した5’端配列に対する縮重プライマー、およびハムスターIgG1重鎖のCH1ドメインをコードする配列に相補的な3’プライマーを用いて、14D2ハイブリドーマ細胞から得た総RNAから、可変重鎖(V)および可変軽鎖(V)をクローニングした。以下のプライマー:
【0086】
【化1】

【0087】
を用いて、14D2 Vを増幅することによって、14D2 V−hu軽鎖κ融合体を作製した。
[0099]hu κ軽鎖定常配列の配列を含有するベクター内に、単位複製配列をサブクローニングした。以下のプライマー:
【0088】
【化2】

【0089】
ならびにテンプレート:14D2V−hu κLCおよびhu IgG1を用いて、重複伸長によって、14D2V−hu κLC−huIgG1Fc融合体を一緒にスプライシングした。
【0090】
[00100]それぞれ5’および3’にAscIおよびNheI制限部位を付加するため、以下のプライマー:
【0091】
【化3】

【0092】
で14D2 Vを増幅して、哺乳動物発現ベクターにおいて、huIgG1−His定常配列のすぐ上流に14D2Vを連結することによって、14D2V−huIgG1−His融合体を構築した。
【0093】
抗p55一価抗体の産生
[00101]COS−PKB細胞を、14D2V−huIgG1−His融合タンパク質(配列番号9)を含有する発現プラスミド、および14D2V−hu κLC−huIgG1Fc融合タンパク質(配列番号10)を含有する発現プラスミドで、DEAE−デキストラン法によって、同時にトランスフェクションした。次いで、細胞を低IgG培地(0.5%)中、34℃、10%COでインキュベーションした。トランスフェクションの7日後に、細胞培養上清を採取した。
【0094】
ポリペプチド精製
[00102]0.2μフィルターを通じて、細胞培養上清をろ過した。ろ過した上清をHiTRAP rProtein A FFカラム(Amersham)に適用した。100mMグリシンpH2.7/150mM NaClによって、タンパク質を溶出させた。溶出液を、PBSに対して透析し、そして以下のように、HisTRAP HPキット(Amersham)を用いて金属キレートすることによってさらに精製した:透析した試料を、NiであらかじめチャージしたHisTrapカラムに適用し、PBSでカラムを洗浄し、イミダゾールの段階勾配(20、40、60、100、300、500nM)で溶出させる。ピーク分画を収集し、そしてPBSに対して透析する。結果を図2に示す。
【0095】
ウェスタンブロット
[00103]還元および非還元条件下で、500nMイミダゾール分画から溶出したポリペプチドを、SDS−PAGEゲル上で分析し、次いで、ナイロン膜にトランスファーし、そしてHRPコンジュゲート化抗ポリヒスチジン抗体(Sigma A 7058)またはヤギ抗ヒト・カッパ軽鎖抗体(Sigma A7164)を用いたウェスタンブロットに供した。結果を図3Aおよび3Bに示す。
【0096】
L929アッセイ
[00104]マウスL929細胞ターゲットと、細胞傷害性剤としてネズミまたはヒトTNFを用いた、細胞溶解性アッセイにおいて、上記の抗p55一価抗体の生物学的活性を試験した。クリスタルバイオレット指示薬によって、細胞死を評価した(Mohlerら, J. Immnology, 151(3):1548−1561(1993))。簡潔には、96ウェル・トレイ(Costar)中、総体積100μlの培地中で、2x10 L929細胞をプレーティングし、そして5%CO大気中、37℃で一晩インキュベーションした。次いで、使用済みの培地を取り除き、そして抗体の連続希釈の存在下または非存在下、1ng/ml μTNFを含有する培地を添加した。アクチノマイシンD(5mg/ml)がすべてのウェルに存在した。このアッセイにおいて100%細胞溶解を生じる、1ng/mlの一定量のTNFを、先の実験から決定した。12時間インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてメタノール/水(1/4)中の0.5%クリスタルバイオレット100mlで10分間染色した。プレートを再蒸留水で洗浄し、そして指示薬を2%デオキシコール酸ナトリウムで可溶化した。すべてのアッセイを3つ組で行った。マイクロプレート読取装置(Molecular Devices, カリフォルニア州パロアルト)中で、570〜630nmの吸光度(A)を決定した。結果を図4に示す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】[0035]図1は、二鎖一価IgGの設計を図解する。左に図解するのは、2つの哺乳動物発現構築物であり、一方(上部)は重鎖をコードし、そして他方(下部)は、Fc分子に融合した軽鎖を含む融合タンパク質である。重鎖および軽鎖は、14D2と称される抗マウスp55TNFR一価IgGに由来する。3つのありうるタンパク質産物を右に図示する。示すように、重鎖ホモ二量体は分泌不能である。Δヒンジは、最初の5つのアミノ酸(EPKSC)が欠失していることを除いて、ヒンジと同じである。
【図2】[0036]図2は、COS細胞における、14D2一価IgGの産生および精製の結果を示す。略語:S、上清;FT、フロースルー;W、洗浄;EL、溶出。
【図3A】[0037]図3Aは、300mMイミダゾール分画における一価IgGの分子特性を示す。還元および非還元条件下での300mMイミダゾール分画のSDS−PAGE分析。
【図3B】[0038]図3Bは、抗軽鎖−HRP抗体(左)および抗ポリHis−HRP抗体(右)を用いた、300mMイミダゾール分画のウェスタンブロットによる、一価IgGの分子特性を示す。各バンドの分子内容物を矢印で強調する。
【図4】[0039]図4は、L929細胞を用いた、TNFが仲介する細胞溶解アッセイの結果を示す。14D2抗マウスp55TNFR抗体を一価IgG1およびハムスター−ヒトIgG1キメラとして再フォーマットした。L929細胞における、TNFが仲介する殺細胞をブロッキングする能力に関して、両抗体を試験した。抗KLH抗体を対照として用いた。
【図5】[0040]図5は、実施例に記載するような、p55に対して向けられる一価抗体、14D2のアミノ酸配列を示す:His6でタグ化された重鎖(上部)およびFc単量体に融合した軽鎖を含む融合タンパク質(下部)。
【図6】[0041]図6は、p55に対して向けられるモノクローナル抗体、14D2の重鎖(上部)および軽鎖(下部)の可変配列を示す。各可変ドメインにおけるCDR(相補性ドメイン領域)およびFR(フレームワーク領域)の位置および配列は示すとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有または非共有相互作用で融合タンパク質に連結されている免疫グロブリン重鎖を含むヘテロ二量体ポリペプチドであって、前記融合タンパク質が免疫グロブリン軽鎖およびFc分子を含み、前記重鎖および前記融合タンパク質がそれらのN末端およびC末端に関して同一に方向付けられており、そして前記へテロ二量体ポリペプチドがターゲット受容体に特異的に結合可能である、前記へテロ二量体ポリペプチド。
【請求項2】
前記重鎖がタグ化部分をさらに含む、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項3】
前記タグ化部分が:ヘキサ−ヒスチジン・タグ、ストレプトアビジン結合ペプチド、マルトース結合タンパク質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、mic−タグ、およびFLAG−タグからなる群より選択される、請求項2記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項4】
前記タグ化部分がヘキサ−ヒスチジン・タグを含む、請求項3記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項5】
前記相互作用がジスルフィド結合を介しているか、または二量体化ドメインを介している、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項6】
前記二量体化ドメインが、前記重鎖のCH3領域、および融合タンパク質の前記FcのCH3領域に位置する、請求項5記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項7】
ヘテロ二量体ポリペプチドの形成が増進されるように、前記重鎖のFc領域および/または前記融合タンパク質のFc分子が突然変異している、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項8】
前記重鎖および前記融合タンパク質が互いに構造的に対称であるように、前記融合タンパク質のFc部分のヒンジ領域が修飾されている、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項9】
前記ヒンジ領域が、アミノ酸挿入、欠失、または置換によって修飾されている、請求項8記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項10】
前記ヒンジ領域の配列が天然存在または非天然存在である、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項11】
重鎖および融合タンパク質のヒンジ領域のいずれかまたは両方が修飾されている、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項12】
前記重鎖および前記融合タンパク質が、対を形成しないシステイン残基をまったく含有しない、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項13】
前記免疫グロブリンがIgGである、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項14】
前記IgGが:IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択される、請求項13記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項15】
前記ターゲット受容体の活性に拮抗する、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項16】
前記ターゲット受容体が、そのサブユニットのオリゴマー化によって活性化される受容体である、請求項15記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項17】
前記オリゴマー化が、少なくとも二量体、三量体、または四量体を形成する、請求項15記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項18】
前記オリゴマー化が、少なくとも4つのサブユニットを含むオリゴマーを形成する、請求項15記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項19】
前記受容体が:TNF/TNF受容体スーパーファミリー、サイトカイン受容体、受容体チロシンキナーゼ、G−タンパク質共役受容体(GPCR)、Fc受容体(FcR)、AT1受容体、組織因子、およびインテグリンからなる群より選択されるメンバーである、請求項15記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項20】
前記受容体がTNF/TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである、請求項19記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項21】
前記メンバーが:TNFR1、TNFR2、NGFR、Troy、EDAR、XEDAR、CD40、DcR3、Fas、OX40、AITR、CD30、HveA、4−1BB、DR3、CD27、LTβR、RANK、TWEK受容体、TACI、BCMA、DR6、OPG、DR4、DR5、DcR1およびDcR2からなる群より選択される、請求項20記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項22】
前記受容体が受容体チロシンキナーゼである、請求項19記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項23】
前記受容体チロシンキナーゼが:成長ホルモン受容体、エリスロポエチン受容体、VEGF受容体、FGF受容体、PFGF受容体およびEGF受容体からなる群より選択される、請求項22記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項24】
前記EGF受容体が:ErbB1、ErbB2、ErbB3およびErbB4からなる群より選択される、請求項23記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項25】
前記受容体がインターロイキン受容体である、請求項19記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項26】
前記インターロイキン受容体が:IL−1、IL−2、IL−4、IL−15、IL7、TSLP、LIF、IL−13、IL−23およびIL−31からなる群より選択されるインターロイキンの受容体である、請求項25記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項27】
前記重鎖および前記融合タンパク質のアミノ酸配列が、完全にヒトであるか、ヒト化されているか、またはキメラである、請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項28】
前記ターゲット受容体の活性をアゴナイズしない、請求項15記載のヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項29】
請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチドおよび薬学的に許容しうるキャリアーを含む、組成物。
【請求項30】
配列番号9に示すアミノ酸配列を含む第一のポリペプチドおよび配列番号10に示すアミノ酸配列を含む第二のポリペプチドを含む、ヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項31】
(a)配列番号11、12および13からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも90%同一であるCDRを含む免疫グロブリン重鎖、ならびに
(b)免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域およびFcを含む融合タンパク質であって、前記軽鎖が:配列番号18、19および20からなる群より選択されるアミノ酸配列に、少なくとも90%同一であるCDRを含む、前記融合タンパク質
を含むヘテロ二量体ポリペプチドであって、TNFR1に結合し、そしてその活性を阻害することが可能である、前記へテロ二量体ポリペプチド。
【請求項32】
Fc分子に融合した免疫グロブリン軽鎖を含む、ポリペプチド。
【請求項33】
前記軽鎖が、ヒンジ領域を介して、前記Fc分子に融合している、請求項32記載のポリペプチド。
【請求項34】
共有または非共有相互作用で免疫グロブリン重鎖に連結されている請求項32記載のポリペプチドを含む、ヘテロ二量体ポリペプチド。
【請求項35】
免疫グロブリン重鎖をコードする第一の核酸および融合タンパク質をコードする第二の核酸を含むベクターであって、前記融合タンパク質が、免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域、およびFc分子を含み、前記の第一の核酸および前記の第二の核酸が、同じ部位または異なる部位で、前記ベクターに挿入される、前記ベクター。
【請求項36】
前記の第一の核酸が、タグ化部分に融合した免疫グロブリン重鎖をコードする、請求項35記載のベクター。
【請求項37】
請求項35または36記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項38】
少なくとも2つのベクターを含む、形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞であって、前記ベクターの少なくとも1つが、少なくとも免疫グロブリン重鎖をコードする核酸配列を含み、そして前記ベクターの少なくとも別の1つが、免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域およびFc分子を含む、少なくとも融合タンパク質をコードする核酸配列を含む、前記宿主細胞。
【請求項39】
宿主細胞において、ヘテロ二量体ポリペプチドを産生するための方法であって、前記へテロ二量体ポリペプチドが、場合によってタグ化部分と融合した、免疫グロブリン重鎖を含み、前記重鎖が、免疫グロブリン軽鎖、ヒンジ領域、およびFc分子を含む融合タンパク質に連結されており、前記重鎖および前記融合タンパク質がそれらのN末端およびC末端に関して同一に方向付けられており、そして前記へテロ二量体ポリペプチドがターゲット受容体に特異的に結合可能であり、前記方法が:
(a)前記免疫グロブリン重鎖をコードする第一の核酸および前記融合タンパク質をコードする第二の核酸で、前記宿主細胞を形質転換するかまたはトランスフェクションし、そして
(b)前記免疫グロブリン重鎖および前記融合タンパク質が、前記形質転換宿主細胞において、別個に産生されるように、前記の第一の核酸および前記の第二の核酸を発現させる
工程を含む、前記方法。
【請求項40】
前記重鎖および前記融合タンパク質が、前記宿主細胞において発現され、そしてターゲット受容体に結合可能なヘテロ二量体ポリペプチドとして、該細胞から分泌される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記の第一および第二の核酸が、単一のベクター中に存在する、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記の第一および第二の核酸が、異なるベクター中に存在する、請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記宿主細胞が原核または真核である、請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項39記載の方法。
【請求項45】
前記哺乳動物細胞が:CHO、VERO、BHK、HeLa、Cos、MDCK、293、3T3、骨髄細胞株、およびWI38細胞からなる群より選択される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記重鎖および前記融合タンパク質が、不溶性型で産生され、そして可溶化され、そして溶液中で再フォールディングを可能にされて、ターゲット受容体に特異的に結合可能なヘテロ二量体ポリペプチドを形成する、請求項39記載の方法。
【請求項47】
Fc分子に融合した免疫グロブリン軽鎖を含む融合タンパク質をコードする、核酸。
【請求項48】
サブユニットのオリゴマー化によって活性化されるターゲット受容体によって仲介される状態を有する被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の請求項1記載のヘテロ二量体ポリペプチドを投与することを含み、前記ヘテロ二量体ポリペプチドが、前記ターゲット受容体の少なくとも1つのサブユニットに特異的に結合可能であり、それによって前記オリゴマー化に拮抗する、前記方法。
【請求項49】
前記オリゴマー化が、二量体、三量体、または四量体を形成する、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記ターゲット受容体が:TNF/TNF受容体スーパーファミリー、サイトカイン受容体、受容体チロシンキナーゼ、G−タンパク質共役受容体(GPCR)、Fc受容体(FcR)、AT1受容体、組織因子、およびインテグリンからなる群より選択される、請求項48記載の方法。
【請求項51】
前記ターゲット受容体が、TNF/TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである、請求項48記載の方法。
【請求項52】
前記ターゲット受容体が:TNFR1、TNFR2、NGFR、Troy、EDAR、XEDAR、CD40、DcR3、Fas、OX40、AITR、CD30、HveA、4−1BB、DR3、CD27、LTβR、RANK、TWEK受容体、TACI、BCMA、DR6、OPG、DR4、DR5、DcR1およびDcR2からなる群より選択される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記ターゲット受容体が受容体チロシンキナーゼである、請求項48記載の方法。
【請求項54】
前記受容体チロシンキナーゼが:成長ホルモン受容体、エリスロポエチン受容体、VEGF受容体、FGF受容体、PFGF受容体およびEGF受容体からなる群より選択される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記EGF受容体が:ErbB1、ErbB2、ErbB3およびErbB4からなる群より選択される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記ターゲット受容体がインターロイキン受容体である、請求項48記載の方法。
【請求項57】
前記ターゲット受容体、前記インターロイキン受容体が:IL−1、IL−2、IL−4、IL−15、IL−7、TSLP、LIF、IL−13、IL−23およびIL−31からなる群より選択されるインターロイキンの受容体である、請求項48記載の方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2009−512453(P2009−512453A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536861(P2008−536861)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/041252
【国際公開番号】WO2007/048037
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】