説明

一成分形湿気硬化性ポリマーフォーム

【課題】接着剤等としてフォーム(発泡体)を用いる場合の欠点である正確な適用が困難であるという課題を解決して、正確に適用できる一成分形湿気硬化性フォームを提供する。
【解決手段】
本発明は、一成分形湿気硬化性フォームに関するものであり、このフォームは、10〜60体積%の少なくとも1種のガスと、イソシアネート基及び/又はアルコキシシラン基を含む少なくとも1種のポリマーPを含有する一成分形湿気硬化性組成物Zと、その一成分形湿気硬化性フォームの総質量を基準にして5〜50質量%のカーボンブラックとからなる。そのようなフォームは、コーティングの生産又は隙間のある構造体のフィルム充填のための接着剤又はシーラントとして、特に車両構築において、適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート基及び/又はアルコキシシラン基を有するポリマーを含む一成分形湿気硬化性フォーム(一成分形湿気硬化性発泡体)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
より少ない材料消費及びそれに伴うコスト削減並びに/又は重量の低減のためばかりでなく、組成物の特性の変更又は防音のための空隙の充填又は強化のため、接着剤又はシーラントとして用いられている組成物のうちの多くは、これまで長い間、発泡されてきた。
【0003】
例えば、圧力容器中に貯蔵されたポリウレタン組成物も公知であり、その組成物は、適用時に発泡剤の作用によって、すなわち、その圧力容器から外に出て、それに伴う圧力の開放によって発泡する。例えば、熱活性化又は湿気活性化される発泡剤を含み、それらの適用後にだけ発泡する組成物も同様に公知である。そのような発泡方法の欠点は、フォーム(発泡体)の正確な適用が実質的に困難なことである。適用時又は適用後に化学又は物理発泡剤によってフォームが製造される場合、その組成物の体積増加とフォームが膨張する方向は、とても正確には予測できない。膨張するフォームは、例えば、接着結合される基材どうしを互いに押しやり、あるいはシーリングジョイントからあふれ出て、貧弱な最終製品(生成物)をもたらす。
【0004】
そのようなフォームのさらなる欠点は、発泡の程度を固定することが困難であり、適用する前にチェックすることができないことである。
【特許文献1】米国特許第3632557号明細書
【特許文献2】欧州特許第0403921号明細書
【特許文献3】米国特許第3971751号明細書
【特許文献4】米国特許第6207766号明細書
【特許文献5】米国特許第4345053号明細書
【特許文献6】米国特許第5990257号明細書
【特許文献7】国際公開WO2004/056905号パンフレット
【特許文献8】米国特許第6548593号明細書
【特許文献9】DE102005042380A1号公報
【0005】
〔本発明のまとめ〕
したがって、本発明の目的は、上記従来技術の欠点を克服して正確に適用できる一成分形の湿気硬化性フォームを提供することである。
【0006】
本発明によれば、この目的は第一の請求項の特性によって達成される。驚くべきことに、適用する前でさえフォームの形態で存在する一成分形湿気硬化性フォームは、コーティングの製造のため、あるいは空洞又はへこみ構造(hollow structure)のフォーム充填のための接着剤又はシーラントとして使用するために特に適していることを発見した。
【0007】
本発明の利点は、とりわけ、一成分形湿気硬化性組成物の使用分野が拡張され、それらが経済的に、且つフォームとして、大きな領域に渡ったとしても、重量の削減を伴って使用できることである。さらに非常に重要な利点は、この一成分形湿気硬化性フォームは非常に正確に適用できることであり、実質的にその形状及び構造を硬化工程の間保つことである。したがって、たとえ一成分形湿気硬化性ポリマーフォームを用いても、非常に正確な密着接着結合又はシールジョイントを作ることができる。本発明のさらなる利点は、この一成分形湿気硬化性フォームの発泡の程度が非常に正確に調節でき、さらに高い気体比率を有するフォームを製造することが可能なことである。発泡の程度の正確な調節の結果として、様々な特性を有し、様々な目的に用いることができるフォームを、同じ一成分形湿気硬化性組成物から製造することができる。
【0008】
その一成分形湿気硬化性フォームの適切な製造方法と、直接の続いての適用とによって、適用時にフォームのガス含有量を変えることさえ可能である。このことは特に有用であり、なぜなら、特に適用ロボットによる機械的適用の場合に、複数の装置を使用する必要がなく、適用はワンパスで(すなわち、その適用装置を代えることなく)行うことができる。
【0009】
本発明のさらなる側面は、さらなる独立請求項の目的を形成する。本発明の特に好ましい態様は、従属請求項の目的を形成する。
【0010】
〔好ましい態様の説明〕
本発明は一成分形湿気硬化性フォームに関し、このフォームは、10〜60体積%の少なくとも1種の気体(ガス)と一成分形湿気硬化性組成物Zとからなり、この一成分形湿気硬化性組成物Zは、イソシアネート基及び/又はアルコキシシラン基を有する少なくも1種のポリマーP、並びにこの一成分形湿気硬化性フォームの総質量を基準にして5〜50質量%、特に6〜50質量%、好ましくは10〜30質量%のカーボンブラックを含む。
【0011】
本明細書においては、「フォーム」の用語は、液状、半流動体、高粘度、又は固体のセル柱(cell struts)によって結びつけられた、ガスが充填された球状又は多面体のセルを含む構造体を意味するものとして理解される。
【0012】
本明細書では、「ポリ」で始まる物質の名称(例えばポリオール又はポリイソシアネート)は、1分子当たり、その名称中の官能基を2つ以上、式の上で含む物質を指す。
【0013】
本明細書中では、「ポリマー」の用語は、化学的には均一であるけれども重合度、モル質量、及び鎖長に関して異なる高分子の群を第一に含み、この群は多反応(重合、重付加、重縮合)によって調製されたものである。第二に、この用語はそのような多反応(ポリリアクション)による高分子の群の誘導体、すなわち、例えば、特定した高分子上の官能基の付加又は置換によって得られ、かつ化学的に均一又は化学的に不均一であってよい化合物をも包含する。この用語は、したがって、いわゆるプレポリマー、すなわち、反応性オリゴマー予備付加体を含み、その官能基は高分子の合成に関与する。
【0014】
「ポリウレタンポリマー」の用語は、いわゆるジイソシアネート重付加工程によって製造される全てのポリマーを含む。これは、ウレタン基を実質的に又は全く含まないそれらのポリマーも含む。ポリウレタンポリマーの例には、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、及びポリカルボジイミドが含まれる。
【0015】
好適なポリマーPは、第一に、アルコキシシラン基で末端封止されたポリマーに基づくポリマーであり、これは当業者には「MSポリマー」の名称で知られており、第二には、アルコキシシラン基で末端封止されたポリウレタンに基づくポリマーであり、これは当業者には「SPUR」(シラン末端ポリウレタン、Silane Terminated Polyurethane)の名称で知られている。
【0016】
これらは、例えば、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーと、イソシアネートに対して反応性かつアルコキシシラン基末端を有する有機シラン(例えば、米国特許第3632557号明細書に記載されているメルカプトアルキルシラン類又はアミノアルキルシラン類)との反応生成物であり、特に、例えば欧州特許第0403921号明細書に記載されている、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーと、アミノアルキルシラン類とマレイン酸ジエステルもしくはフマル酸ジエステルとのマイケル付加体との反応生成物;例えば、米国特許第3971751号明細書及び同6207766号明細書に記載されている、末端二重結合を有するポリマー、特にアリル末端ポリオキシアルキレンポリマーと、アルコキシシラン類とのヒドロシリル化反応の生成物;米国特許第4345053号明細書及び同5990257号明細書に記載されている、活性水素原子(例えば、ヒドロキシル又はメルカプト基の形態)を有するポリマーとイソシアネートアルキルシラン類との反応生成物;3-(N-シリルアルキル)アミノプロペノエート基を含むポリマー(これは3-オキソプロパノエート基を含むポリマーとアミノアルキルシラン類との反応生成物であって、例えば国際公開WO2004/056905号パンフレットに記載されている、である。上述した特許文献の内容は参照により本願に援用し、それらの開示を本願に含める。
【0017】
一方、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーもポリマーPとして適している。そのような好適なポリウレタンポリマーは、特に、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとの反応によって調製できる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートを通常の方法(例えば、50℃〜100℃の温度で、任意選択で適切な触媒を同時に用いて)によって反応させることによって行うことができ、イソシアネートはそのイソシアネート基がポリオールの水酸基に対して化学量論的に過剰に存在するように計量される。有利には、ポリイソシアネートは、1.5〜5のNCO/OH比、特に1.8〜3のNCO/OH比が保たれるように計量される。ここで、NCO/OH比は、用いたイソシアネート基の数と用いた水酸基の数との比を意味するものとして理解される。0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%のフリーイソシアネート基含有量が、ポリオールの全てのヒドロキシル基の反応後にポリウレタンポリマー中に残ることが好ましい。
【0018】
市販されている脂肪族、脂環式、又は芳香族のポリイソシアネート、特にジイソシアネートを、上記のポリウレタンプレポリマー調製のためのポリイソシアネートとして用いることができる。
【0019】
例えば、イソシアネートのイソシアネート基がそれぞれの場合に脂肪族、脂環式、又はアリール脂肪族の炭素原子に結合しており、「脂肪族ジイソシアネート」ともいわれるジイソシアネートがあり、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジン及びリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートあるいはIPDI)、パーヒドロ-2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びパーヒドロ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-キシリレンジイソシアネート、m-及びp-テトラメチル-1,4-キシリレンジイソシアネート、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、であり;それぞれの場合に芳香族炭素原子に結合しているイソシアネート基を有し、「芳香族ジイソシアネート」ともいわれるジイソシアネート、例えば、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-、2,4’-、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI);前記のイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、並びに前記のイソシアネートの任意の混合物、がある。
【0020】
好適なポリオールは、特に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオール、並びにこれらポリオールの混合物である。
【0021】
特に好適なポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオール又はオリゴエーテロールともいわれ、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合物の重合生成物であり、任意選択で、1分子当たり2つ以上の活性水素原子を有する開始剤を用いて重合されてもよく、開始剤分子は、例えば、水、アンモニア、又は2つ以上のOH又はNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、ヘプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及び前記の化合物の混合物である。例えば、いわゆるダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて調製された、低い不飽和度(ASTM D-2849-69に準拠して測定され、ポリオール1g当たりの不飽和のミリ当量で記録される(meq/g))をもつポリオキシアルキレンポリオールと、例えば、アニオン触媒、例えばNaOH、KOH、CsOH、又はアルカリ金属アルコラートを用いて調製される、より高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンの両方とも用いることができる。
【0022】
特に、ポリオキシエチレンポリオール及びポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、及びポリオキシプロピレントリオールが適している。
【0023】
0.02meq/g未満の不飽和度を有し、かつ1000〜30000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、並びに400〜8000g/molの分子量を有するポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール、及びポリオキシプロピレントリオールが特に適している。本明細書で「分子量」とは、平均分子量Mnを意味するものとして常に理解される。
【0024】
同様に、いわゆるエチレンオキシド末端(「EOキャップされた」、エチレンオキシドキャップされた)のポリオキシプロピレンポリオールが特に適している。この後者は、たとえば、純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール及びトリオールを、ポリプロポキシル化の終了後にさらにアルコキシル化した場合に得られ、したがって、一級ヒドロキシル基を有する、特別なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。この場合、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジオール及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオールが好ましい。
【0025】
水酸基を末端に有するポリブタジエンポリオール、例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールの重合により、あるいはポリブタジエンの酸化によって調製されるもの、及びその水素化生成物が、さらには適している。
【0026】
スチレン-アクリロニトリル-グラフトポリエーテルポリオール(例えば、ドイツ国のElastogran GmbHからLupranol(登録商標)の商品名で市販されている)が、さらには適している。
【0027】
特に好適なポリエステルポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し且つ公知の方法、特にヒドロキシカルボン酸の重縮合、又は脂肪族及び/又は芳香族のポリカルボン酸と二価もしくは多価アルコールとの重縮合によって調製されるポリエステルポリオールである。
【0028】
特に適したポリエステルポリオールは、より特に、2価又は3価のアルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前記のアルコール類の混合物)と、有機ジカルボン酸又はそれらの無水物又はエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸、及び無水トリメリト酸、又は前記の酸の混合物)とから調製されるもの、並び、ラクトン(例えば、ε-カプロラクトンなど)から得られるポリエステルポリオール、である。
【0029】
ポリエステルジオールが特に適しており、特に、ジカルボン酸として、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸と、二価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ダイマー脂肪酸ジオール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールとから調製されたポリエステルジオール、並びにラクトン、例えばε-カプロラクトンから調製されたポリエステルジオールが適している。
【0030】
特に適したポリカーボネートポリオールは、例えば、上記のポリエステルポリオールの合成のために用いられる上述したアルコールを、ジアルキルカーボネート(例えばジメチルカーボネート)、ジアリールカーボネート(例えばジフェニルカーボネート))、もしくはホスゲンと反応させることによって得ることができるものである。ポリカーボネートジオール、特に非晶質のポリカーボネートジオールが特に適している。
【0031】
さらなる好適なポリオールは、ポリ(メタ)アクリレートポリオールである。
【0032】
さらに、オリゴハイドロカーボノールともいわれるポリハイドロカーボンポリオール、例えば、ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、又はエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー(たとえば、Kraton Polymers社(米国)によって製造されているもの)、又はジエン(例えば1,3-ブタジエンもしくはジエン混合物)とビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、又はイソブチレン)とから得られるポリヒドロキシ官能性コポリマー、あるいはポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール(例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの共重合によって調製され、水素化されていてもよいもの)が同様に適している。
【0033】
ポリヒドロキシ官能性のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(例えば、エポキシド又はアミノアルコールと、カルボキシル末端のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Emerald Performance Materials, LLC(米国)から、Hycar(登録商標)CTBNの名称で市販されている)とから調製できる)がさらには適している。
【0034】
上記ポリオールは、250〜30000g/mol、特に1000〜30000g/molの平均分子量と、1.6〜3の範囲の平均OH官能基数をもっていることが好ましい。
【0035】
特に適したポリオールは、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール、特に、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール、好ましくは、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジオール、及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオールである。
【0036】
ポリマーPの割合は、フォームの総質量を基準にして、20〜80質量%、特に20〜60質量%、好ましくは25〜50質量%が好ましい。
【0037】
この一成分形湿気硬化性フォーム中にフィラーとして存在するカーボンブラックは、特に、工業的に製造されたカーボンブラックである。
カーボンブラックに加えて、一成分形湿気硬化性フォームはさらなるフィラー、例えば、マイカ、タルク、カオリン、ウォラストナイト、長石、閃長石、緑泥石、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム(沈降又は粉砕)、ドロマイト、石英、シリカ(熱分解法又は沈降法)、クリストバライト、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空セラミック球体、中空ガラス球体、中空有機球体、ガラス球体、又は着色顔料を任意選択で含んでいてもよい。
【0038】
この一成分形湿気硬化性フォーム中に存在するガス(気体)は、窒素(N)、水素(H)、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(NO)、希ガス、及びこれらのガスの混合物、並びに空気からなる群から選択される。窒素又は乾燥空気が特に適している。乾燥空気が好ましい。乾燥空気とは、可能なかぎり水を含まない、特に全く水を含まない空気を意味するものとして理解される。
【0039】
このガスは、一成分形湿気硬化性フォームのセル中に閉じ込められ、これは特にフォーム中に均一に分配される。
【0040】
一成分形湿気硬化性フォームを製造するための組成物Zは、化学発泡剤を含まないことが好ましい。
【0041】
上記一成分形湿気硬化性フォームは、尿素誘導体に基づくチキソ性付与剤Cをさらに含んでもよい。この尿素誘導体は、特に、芳香族ジイソシアネートモノマーと脂肪族アミン化合物との反応生成物である。複数の異なるジイソシアネートモノマーと1種以上の脂肪族アミン化合物と反応させること、あるいは、あるジイソシアネートモノマーを複数の脂肪族アミン化合物と反応させることも全く可能である。4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とブチルアミンとの反応生成物が特に有利であることがわかっている。
【0042】
この尿素誘導体は、担体物質中に存在することが好ましい。担体物質は、可塑剤、特に、フタレートもしくはアジペート、好ましくは、ジイソデシルフタレート(DIDP)又はジオクチルアジペート(DOA)であってよい。この担体物質は、非拡散性担体物質であることもできる。このことは、未反応成分の硬化後、可能な限り移行を少なくすることを確実にするために好ましい。ブロックポリウレタンポリマーは、非拡散性担体物質として好ましい。そのような好ましい尿素誘導体と担体物質の調製は、米国特許第6548593号明細書に詳細に記載されており、これを参照により本願に援用する。この担体物質はブロックポリウレタンポリマー、特に、三官能ポリエーテルポリオールをIPDIと反応させ、次にその末端イソシアネート基をε-カプロラクタムでブロックすることによって得られる。
【0043】
チキソ性付与剤Cの合計比率は、フォームの総質量を基準にして有利には0.1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%である。好ましくは、尿素誘導体と任意に存在していてもよい担体媒体との質量比は、0.02:1〜1:1、特に0.05:1〜0.3:1である。
【0044】
上記の一成分形湿気硬化性フォームは、さらなる成分、特に、触媒、熱、及び/又は光安定剤、可塑剤、溶剤、発泡剤、染料、及び顔料を含んでいてもよい。
【0045】
これらの追加の成分は、フォームの製造の前に湿気硬化性成分Z中に既に存在していることが好ましい。したがって、その任意に存在してもよいさらなる成分は、湿気硬化性成分Zの貯蔵寿命が、あるいは任意でさらに一成分形湿気硬化性フォームの貯蔵寿命が、そのような成分の存在によって悪影響を受けないように選択することが有利である。特に、組成物Zの発泡性及びそのフォームの適用特性及び硬化特性は、組成物Zの製造及び貯蔵時に悪影響を及ぼされるべきではない。このことは、特にイソシアネート基の反応(これが上述したフォームの化学的硬化をもたらす)が、貯蔵時に有意な量で生じるべきではないことを意味する。したがって、上記成分は、貯蔵時にいかなる水も、多くても極微量の水しか、含まずに又は放出しないことが特に有利である。この理由から、一部の成分は組成物に混合する前に化学的又は物理的に乾燥させることが好都合であり適切でありうる。
【0046】
説明した組成物Zは、水分の不存在下で調製して貯蔵することが好ましい。このようにして組成物Zは貯蔵安定に保たれ、すなわち、水分の不存在下で、適切な容器又は装置、例えば、ドラム、バッグ、又はカートリッジ中で、数ヶ月以上から1年もしくはそれより長く、その使用に関係する程度まで変化をすることなく、貯蔵することができる。
【0047】
同じことが一成分形湿気硬化性フォームにも適用され、このフォームも水分の不存在下で製造され貯蔵されることが好ましく、それにより、組成物Zと同様にかなり長い間にわたり化学的に貯蔵安定である。
【0048】
特に、シーカ・シュバイツAG社から製品系列Sikaflex(登録商標)として市販されている一成分形湿気硬化性接着剤及びシーラントが、組成物Zとして使用できる。
【0049】
組成物Zの発泡及び適用後、そのフォーム(発泡体)の硬化は、そのフォームが水、特に大気湿分の形態の水と、適用時に接触するという事実によって達成される。この硬化反応は架橋ともいえる。
【0050】
硬化反応に必要な水は空気(大気湿度)に由来することができ、あるいはフォームは例えば平滑にする手段を使用して例えば塗布によって、あるいはスプレーによって、含水成分と接触させることができ、あるいは含水成分は適用時に例えば含水ペーストの形態でフォームに添加できる(これは例えばスタティックミキサーによって混合される)。
【0051】
硬化した状態では、上記フォームは良好な伸展性と組み合わされた高い機械強度を有し、水分がかなり混入した後でさえ良好な接着特性を有する。したがって、非常に多数の用途、特に弾性接着剤、弾性シーラント、又は弾性コーティング材として適している。
【0052】
本発明はさらに一成分形湿気硬化性フォームの製造方法を含む。
【0053】
一成分形湿気硬化性フォームの第一の好ましい製造方法は、0〜80℃、特に10〜60℃の温度で、一成分形湿気硬化性成分Zにガス(気体)を供給し、混合装置を用いてガスを前記成分中に混合し且つ分配することからなる。この方法においては、ガスは、例えば、ガスが過圧力ラインを経て組成物中に吹き込まれるような方法で、あるいは混合装置中で減圧によって組成物中にガスが吸い込まれるような方法で供給することができる。
そのような好ましい方法は、例えばDE102005042380A1号公報に記載されており、これは引用により本願明細書に援用する。
【0054】
一成分形湿気硬化性フォームの第二の製造方法は、液体又は超臨界状態にあるガスを、加圧下にある一成分形湿気硬化性組成物Z中に注入し、混合装置を用いてガスを組成物中に混合し且つ分配することからなる。大気圧への、組成物の続いての圧力開放時に、ガスは膨張してフォームが形成される。
【0055】
この一成分形湿気硬化性フォームの全ての製造方法の場合に重要な点は、組成物Zは適用前に発泡されること、すなわち、発泡工程は適用時に実質的に終了することである。このようにすることによってのみ、組成物が正確に適応されることを確実にでき、この一成分形湿気硬化性フォームを接着剤として使用するときに、接着結合される基材のいかなるずれも硬化時の発泡工程を通じて起こらない。
【0056】
さらに、本発明は、接着剤又はシーラントとしての上述した一成分形湿気硬化性フォームの使用、あるいはコーティング材の製造のための使用、及び中空構造をフォームで充填するための使用を含む。このフォームは多数の潜在的用途のために用いることができる。
【0057】
特に、本発明の一成分形湿気硬化性フォームは、車両構築における弾性接着結合及びシールのための湿気硬化性接着剤として適している。
【0058】
組成物Zに基づいた本発明の一成分形湿気硬化性フォームを用い、様々な発泡の程度によって、得られる湿気硬化性フォームの密度を変えることができる。したがって、様々な割合のガスを含む一成分形湿気硬化性フォームを同じ組成物Zから製造することができ、様々な用途に用いることができる。適切な発泡及び混合ユニット(これは一成分形湿気硬化性フォームのための適用ユニットの直前に用いる)を使用して、非常に短時間内に、適用時の発泡の程度を変えることもできる。
【0059】
本発明はさらに基材S1及びS2の接着結合の方法に関するものであり、この方法は以下のステップ:
c1)上述した一成分形湿気硬化性フォームを基材S1に適用するステップ;
c2)上記一成分形湿気硬化性フォームを第二の基材S2に接触させるステップ;
又は、
d1)上述した一成分形湿気硬化性フォームを基材S1及びS2に適用するステップ;
d2)上記一成分形湿気硬化性フォームを塗布した2つの基材S1及びS2を結合するステップ。
【0060】
基材S1は、基材S1の材料と同じか、あるいは異なる材料からなる。
【0061】
本発明は、基材S1及び/又はS2のシーリング方法にも関し、その方法は以下のステップ:
e1)上述した一成分形湿気硬化性フォームを基材S1及び/又は基材S2に適用するステップ;
又は
f1)上述した一成分形湿気硬化性フォームを基材S1及びS2の間に適用するステップ
を含み;
基材S1は基材S2の材料と同じか又は異なる材料からなる。
【0062】
さらに、本発明は、基材S1上へのコーティングの形成方法に関し、その方法は以下のステップ:
g1)上述した一成分形湿気硬化性フォームを基材S1に適用するステップ
を含む。
【0063】
本発明は、空洞又はへこみ構造(hollow structure)をフォームで充填する方法にも関し、その方法は以下のステップ:
h1)上述した一成分形湿気硬化性フォームを、存在する空洞又はへこみ構造中に注入するステップ、を含む。
【0064】
このフォームは例えば構造部材の、シールとして及び/又は遮音のため及び/又は空洞もしくはへこみ構造の構造的強化のために使用することができる。
【0065】
ステップc2)及びd2)の後、及びステップe1)及びf1)の後、及びステップg1)のコーティングの後、及びステップh1)の空洞もしくはへこみ構造のフォーム充填の後、一成分形湿気硬化性フォームの硬化は、水、特に大気湿分の形態の水によって起こる。
【0066】
この一成分形湿気硬化性フォームの適用は、特に、10〜40℃の範囲の温度で、好ましくは20〜30℃の範囲の温度で行われる。
【0067】
本発明のさらなる一部は、上述した方法において、組成物Zの発泡の程度(発泡度)、したがって、本発明の一成分形湿気硬化性フォームのガス含有量は、一連のあるいは組み合わせによる膨張装置(expansion apparatus)及び適用装置と関連づけられてフォームの適用時に変えることができる。これは、例えば、組成物Zを膨張装置内で発泡させること及びそれによって調製されたフォームをこの膨張装置から直接適用することによって行われる。本発明のためには、一成分形湿気硬化性フォームの製造が適用時(すなわち、例えば、フォームが適用装置のダイを離れるとき)に完了することがかなり重要である。好ましい膨張及び適用装置は、発泡度を調節するために、適切なソフトウェアを用いてコンピュータによって作動させることができる。適用時に発泡度を変える利点は、様々な特性を有するフォームを同一の装置から、好ましくは中断なしに適用できることである。
【0068】
図1は、本発明の一成分形湿気硬化性フォームの製造及び適用及び硬化の過程を示している。このような方法は、例えば、生産ライン上での2つの基材S1及びS2の接着結合のために用いられる。組成物Zはガス容器(2)からのガスと共に混合装置Mに供給され、ここで組成物Z(1)とガスが互いに混合される。そこで生成した一成分形湿気硬化性フォーム(3)は、適用装置又は手作業によって、基材S1(4)に、混合装置Mから直ちに適用される。その後、基材S1(4)は第二の基材S2(4’)にその一成分形湿気硬化性フォームを介して結合される。一成分形湿気硬化性フォームは次に水分、特に大気中の湿気の形態の水分、によって硬化して湿気硬化されたフォーム(3’)をもたらす。
【0069】
フォームの製造と適用の工程が順々に直接起こるこのような方法の利点は、一成分形湿気硬化性フォーム中のガス量を非常に短時間に変えることができることである。したがって、この一成分形湿気硬化性フォーム類は、同じ組成物Zから調製でき、かつ、それらの様々なガス含有量に応じて様々な特性を有することができる。これらの一成分形湿気硬化性フォームの適用は、そのような工程によって、適用装置を一つの部品に対して条件設定することなく行うことができる。
【0070】
図2は、基材S1(4)上の一成分形湿気硬化性フォーム(3)のビードを模式的に示しており、断面(円内)は拡大して示している。ガスはセル又は気孔(6)中に存在し、セル又は気孔(6)は組成物Z中に均一に分配されている。
【0071】
図3は、自動車のボンネットを模式的に示しており、これは、接着結合前には、外部金属板(5)と剛性をもたらすためのその下のリブ状の内部金属板(5’)とからなる。一成分湿気硬化性フォームは、適用装置をセットダウンすることなく、適用装置から接着剤としてスチールフレーム(5’)に適用される。接着結合の位置に応じて、様々なガス含有量をもつフォームが適用される。特に高強度を必要とし且つ大きな機械的荷重に耐えなければならない箇所には、少ないガス含有量を有する一成分形湿気硬化性フォーム(3a)(すなわち、10〜40体積%のガス含有量を有するもの)を適用することが好ましい。
一成分湿気硬化性フォームが限られた機械特性だけ有していればよい箇所(例えばボンネットの内部、そこには一成分形湿気硬化性フォームが純粋にライニング接着剤として適応される)には、高いガス含有量を有する一成分形湿気硬化性フォーム(3b)(すなわち、30〜60体積%のガス含有量を有するもの)が用いられる。製造及び適用工程において組成物Zとガスとの混合比を変えることによって、低いガス含有量を有する一成分形湿気硬化性フォーム(3a)と、高いガス含有量を有するもの(3b)とを、中断することなく同じ装置から部品に適用することができる。
【0072】
図4は、自動車のサイドウインドウ(7)を模式的に示しており、その端部に一成分湿気硬化性フォームが接着剤として適用されている。図3について説明したように、フォームは単一の適用装置から適用される。低いガス含有量をもつ一成分形湿気硬化性フォーム(3a)が、サイドウインドウの角部に適用される。高いガス含有量を有する一成分形湿気硬化性フォーム(3b)が中間の領域に適用され、その場所では一成分形湿気硬化性フォームは低い強度を有しなければならない。
【0073】
さらに、本発明は、上述した一成分形湿気硬化性フォームの硬化を含む工程によって得られる湿気硬化したフォームを包含する。
【0074】
湿気硬化したフォーム中のガスは、1mm以下、特に0.5mm以下、好ましくは0.1mm以下の直径の気孔中に閉じ込められ、組成物中に均一に分配されていることが好ましい。
【0075】
さらに、本発明は、接着結合、シーリング、コーティング、又はフォーム充填のための上述した方法によって得られる物品を包含する。そのような物品は、好ましくは、車両又は車両(特に自動車)のアドオン式部品(add-on part)である。
【0076】
さらに、本発明の一成分形湿気硬化性フォームは、自動車製造に適しているだけでなく、その他の用途分野にも適している。移動手段(例えば、船舶、ローリー、バス、又は鉄道車両)の構築、又は消費者製品(例えば、洗濯機)における関連した用途も特に挙げられる。
【0077】
[実施例]
〔一成分形湿気硬化性フォームの製造〕
ポリウレタンシーラントであるシーカフレックス(Sikaflex(登録商標))252(300g)(これはイソシアネート基を有するポリウレタンを基にしており、シーカ・シュバイツAG(Sika Schweiz AG)から市販されている)を金属缶に量り入れ、毎分2500回転の撹拌速度及び直径8cmのディスクで、缶の上下動を行いながら、7分間、溶解機中で撹拌した。同時に、乾燥窒素を、3barの圧力で加圧ラインを介して接着剤中に吹き込んだ。一定の質量にて、密度は1.18kg/cmから1.05kg/cmに低下し、これは約11%の体積増加に相当する。このようにして、11体積%のガスの割合を有する一成分形湿気硬化性フォームを製造した。
なお、本実施例に用いた上記のシーカフレックス252は、12.4質量%のカーボンブラックを含むものである。
【0078】
〔試験〕
上述したようにして製造した一成分形湿気硬化性フォームを、カチオン電着(cathodic electron deposition: CED)によってコーティングされ且つ通常自動車製造で用いられているスチール板にスパチュラを用いて手で適用した。比較例として、発泡させていないシーラントを、同様にしてその横に沿って直接適用した。この試験体を次に23℃の温度及び50%の相対湿度で7日間硬化させた。
【0079】
〔結果〕
本発明のフォームは、基材に対して非常に良好な接着性をもっていた。さらに、湿気硬化したフォームを切り開くことによって、そのフォームのガスで充填された気孔が非常に均一、すなわち、均質に、フォーム中に分配されていることがわかった。
【0080】
本発明の実施例を、図面を参照して、より詳細に以下に説明する。同じ効果を有する同じ要素又は複数要素は、様々な図面中で同じ参照番号で示している。もちろん、本発明は、示し且つ説明した実施例に限定されない。
【0081】
本発明の直接の理解に必須の要素のみを図中に示している。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、一成分形湿気硬化性フォームの製造、適用、及び硬化の工程を模式的に示している。
【図2】図2は、一成分湿気硬化性フォームのビードを通る断面、すなわち図1のA−A線に沿った断面を模式的に示している。
【図3】図3は、自動車のボンネットの模式図を示しており、ボンネットは、接着結合前はスチール板とその下のスチールフレームとからなる。
【図4】図4は、適用した接着剤を伴う、自動車のサイドウインドウを模式的に示している。
【符号の説明】
【0083】
1・・・組成物Z、2・・・ガス容器、3・・・一成分形湿気硬化性フォーム、3a・・・低いガス含有量をもつ一成分形湿気硬化性フォーム、3b・・・高いガス含有量をもつ一成分形湿気硬化性フォーム、3’・・・湿気硬化したフォーム、4・・・基材S1の接着箇所、4’・・・基材S2の接着箇所、5・・・ボンネット/外部金属板、5’・・・ボンネット/内部金属板、6・・・セル/気孔、7・・・サイドウインドウ、M・・・混合装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)10〜60体積%の少なくとも1種のガスと
b)一成分形湿気硬化性組成物Zとからなる一成分形湿気硬化性フォームであって、
前記一成分形湿気硬化性組成物Zが、
b1)イソシアネート基及び/又はアルコキシシラン基を有する少なくも1種のポリマーP;及び
b2)前記一成分形湿気硬化性フォームの総質量を基準にして5〜50質量%のカーボンブラックを含む、一成分形湿気硬化性フォーム。
【請求項2】
前記ポリマーPがイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の一成分形湿気硬化性フォーム。
【請求項3】
前記一成分形湿気硬化性組成物Zが化学発泡剤を含まないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の一成分形湿気硬化性フォーム。
【請求項4】
前記ガスが、前記フォーム中に均一に分配されたセル中に閉じ込められていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォーム。
【請求項5】
前記ガスが、窒素(N)、水素(H)、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(NO)、希ガス、及びこれらのガスの混合物、並びに空気からなる群から選択され、特に、窒素又は乾燥空気、好ましくは乾燥空気であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォーム。
【請求項6】
カーボンブラックの割合が、前記一成分形湿気硬化性フォームの総質量を基準にして10〜30質量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォーム。
【請求項7】
- 前記ガスを、前記一成分形湿気硬化性組成物Zに0〜80℃、特に10〜60℃の温度で供給し、かつ混合装置を用いて前記組成物中に混合し且つ分配するか;あるいは、
- 液体又は超臨界状態にある前記ガスを、加圧下にある前記一成分形湿気硬化性組成物Z中に注入し、混合装置を用いて前記組成物Z中に混合し且つ分配し、続いての前記組成物の圧力開放時にガスが膨張してフォームが形成される、
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームの製造方法。
【請求項8】
コーティングの製造のための又は空洞もしくはへこみ構造をフォーム充填するための接着剤又はシーラントとしての、請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームの使用。
【請求項9】
一成分形湿気硬化性接着剤及び/又はシーラントとしての、特に、弾性接着結合を形成するための、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
以下のステップ:
c1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームを基材S1に適用するステップ;
c2)前記一成分形湿気硬化性フォームを第二の基材S2に接触させるステップ;
又は、
d1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームを基材S1及びS2に適用するステップ;
d2)前記一成分形湿気硬化性フォームでコーティングした2つの基材S1及びS2を結合するステップ
を含み、
前記基材S1が、前記基材S2と同じであるか又は異なる材料からなる、基材S1とS2の接着方法。
【請求項11】
以下のステップ:
e1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームを基材S1及び/又は基材S2に適用するステップ;
又は
f1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームを基材S1及びS2の間に適用するステップ;
を含み、
基材S1は、基材S2の材料と同じか又は異なる材料からなる、基材S1及び/又はS2のシーリング方法。
【請求項12】
以下のステップ:
g1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームを基材S1に適用するステップ、
を含む、基材S1上にコーティングを形成する方法。
【請求項13】
以下のステップ:
h1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームを、存在する空洞又はへこみ構造中に注入するステップ、
を含む、空洞又はへこみ構造をフォームで満たす方法。
【請求項14】
前記組成物Zの発泡の程度、したがって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームのガス含有量が前記フォームの適用時に変えられることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性フォームから得られることを特徴とする、湿気硬化したフォーム。
【請求項16】
前記ガスが、1mm以下、特に0.5mm以下、好ましくは0.1mm以下の直径の気孔中に閉じ込められ、かつ組成物中に均一に分配されていることを特徴とする、請求項15に記載の湿気硬化したフォーム。
【請求項17】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法によって接着された、シールされた、フォームで満たされた、又はコーティングされた物品。
【請求項18】
前記物品が、車両、移動手段、又は消費者物品、特に自動車、船舶、ローリー、バス、鉄道車両、好ましくは自動車であることを特徴とする、請求項17に記載の物品。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−149885(P2009−149885A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315819(P2008−315819)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】