説明

一成分現像装置および該現像装置に使用される現像ローラ

【課題】現像ローラの駆動トルクをほとんど上昇させることなく、トナー漏れを十分に防止する現像ローラおよび一成分現像装置を提供すること。
【解決手段】両端部11a,11bでシール部材と摺擦しながら回転することによって、中央部12外周面に担持したトナーを現像領域に搬送する現像ローラであって、前記両端部の外周面において、スパイラル形状の表面処理領域13を有し、該表面処理領域のスパイラル方向yと回転方向xとのなす角度θが鋭角である一成分現像装置用現像ローラおよび該現像ローラを備えた一成分現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一成分現像装置および該現像装置に使用される現像ローラに関する。特に本発明の現像ローラは、発泡層を有さないハードローラに分類されるものである。
【背景技術】
【0002】
一成分現像装置は、電子写真方式によってトナーからなる一成分現像剤を用いて潜像担持体上の静電潜像を顕像化する。二成分現像装置は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて静電潜像を顕像化する。一成分現像装置は、現像ローラの回転によってトナーを現像領域に搬送する際、二成分現像装置のように磁力を利用できず、トナーを十分に拘束できないので、現像ローラ軸方向のトナー移動によるトナー漏れが問題となっていた。
【0003】
一成分現像装置においてトナー漏れを防止するために、図6に示すように、現像ローラ100を両端部でシール部材101と摺擦させながら回転させる技術が知られている。そのような技術において、現像ローラ100の両端部におけるシール部材との摺擦領域は、中央部におけるトナー担持領域と同様の処理が一様になされ、当該摺擦領域全面にわたって、例えば、ブラスト処理や樹脂コート処理が一様に施される。しかしながら、現像ローラ両端部におけるシール部材との間にトナーが入り込み、トナーの融着が起こり、トナー漏れを十分には防止できなかった。
【0004】
そこで、金属の芯金に樹脂をコートした現像ローラにおいて、両端部におけるシール部材との摺擦領域を樹脂コートしない構成としたものが提案されている(特許文献1)。これによって、現像ローラとシール部材との間へのトナーの入り込みを防止し、トナー漏れを防止しようとするものである。
【特許文献1】特開2003−186299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記現像ローラでは、現像ローラとシール部材との密着性が高くなるため、現像ローラの駆動トルクが著しく上昇することが新たな問題となっていた。
【0006】
本発明は、現像ローラの駆動トルクをほとんど上昇させることなく、トナー漏れを十分に防止する現像ローラおよび一成分現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、両端部でシール部材と摺擦しながら回転することによって、中央部外周面に担持したトナーを現像領域に搬送する現像ローラであって、
前記両端部の外周面において、スパイラル形状の表面処理領域を有し、該表面処理領域のスパイラル方向と回転方向とのなす角度が鋭角であることを特徴とする一成分現像装置用現像ローラに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の現像ローラによれば、現像ローラの駆動トルクをほとんど上昇させることなく、トナー漏れを十分に防止できる。しかも本発明の現像ローラは安価に製造可能で、耐久性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る一成分現像装置(以下、現像装置という)は、両端部でシール部材と摺擦しながら回転することによって、中央部外周面に担持したトナーを現像領域に搬送する特定の現像ローラを備えたものである。そのような現像装置10は通常、図1に示すように、当該現像ローラ1だけでなく、現像ローラ1上のトナーを規制し、帯電させるための規制ブレード2、および当該規制ブレード2、現像ローラ1およびトナー3を収容するための現像槽4を有しており、所望によりさらに現像ローラ1にトナー3を供給するための供給ローラ5を有している。現像装置10において、現像ローラ1はトナーを自己の外周面に担持して現像領域20に搬送し、潜像担持体9上の静電潜像を顕像化するようになっている。図1は、本発明の現像装置の一例の概略構成図を示す。
【0010】
本発明において現像ローラ1は、鉄、アルミニウム等の芯金に表面処理を施してなる、いわゆるハードローラに分類されるものである。詳しくは現像ローラ1は、図2Aに示すように、両端部11(11a,11b)でシール部材と摺擦しながら回転方向xで回転することによって、中央部12の外周面に担持したトナーを現像領域に搬送するものであり、両端部11の外周面において特定形状の表面処理領域13を有するものである。図2Aは本発明に係る現像ローラの一例の概略見取り図である。
【0011】
現像ローラ1が両端部11(11a,11b)の外周面に有する表面処理領域13は、図2Aに示すように、外周面上でスパイラル形状を有するものであり、当該表面処理領域13のスパイラル方向と回転方向とのなす角度が鋭角である。表面処理領域13がスパイラル形状を有するとは、表面処理領域13が現像ローラ1の外周面上において、ねじが有する溝のように螺旋状に形成されている、という意味である。スパイラル方向とは、詳しくは図2Bに示すように、現像ローラ1のトナー搬送領域である中央部12の端部14から現像ローラ端面15に向かって延設される表面処理領域13の延設方向yである。図2Bは図2Aに示す現像ローラをw方向から見たときの模式的展開図の一部であり、スパイラル方向y、回転方向xおよびそれらのなす角度θを説明するための図である。図2Bに示す模式的展開図において、表面処理領域13は直線状に延設されているが、厳密には湾曲状に延設されてよい。その場合、湾曲状表面処理領域を形成する回転方向x下流側の境界線と、中央部12の端部14との交点における当該境界線の接線についての延設方向がスパイラル方向yである。本発明においてはそのようなスパイラル方向yが、図2Bに示すように、回転方向xと形成する角度θが鋭角である。すなわち表面処理領域13のスパイラル方向yが現像ローラ1の軸方向zより、回転方向x側に傾いている。角度θを厳密に求めるには、現像ローラの展開図におけるスパイラル方向yと回転方向xとのなす角度を測定すればよい。角度θは本発明の目的が達成される限り特に制限されず、好ましくは5°以上80°以下であり、より好ましくは7°以上70°以下である。
【0012】
本発明においては、現像ローラ1が両端部の外周面にスパイラル形状の表面処理領域13を有し、かつ当該表面処理領域13のスパイラル方向yと回転方向xとのなす角度θが鋭角になるように現像ローラ1を回転させる。これにより、現像ローラの駆動トルクをほとんど上昇させることなく、トナー漏れを十分に防止できる。詳しくは、そのような現像ローラを両端部でシール部材と摺擦させながら回転させても、スパイラル形状の表面処理領域13の存在により、現像ローラ表面とシール部材との密着性はあまり高くならないので、現像ローラの駆動トルクの上昇を十分に防止できる。また、たとえ現像ローラ表面とシール部材との間隙にトナーが入り込んでも、角度θは鋭角であるので、回転によって当該トナーを中央部12方向に戻す作用が働く。それらの結果、トナー漏れが有効に防止される。例えば、現像ローラ1の両端部11全面において、中央部におけるトナー担持領域と同様の処理等の表面処理が一様になされていると、トナー漏れを十分に防止できない。また例えば、現像ローラ1の両端部11全面において、いかなる表面処理もなされていないと、シール部材と現像ローラとの密着性が高くなり、駆動トルクの上昇が著しい。また、当該表面処理領域13のスパイラル方向yと回転方向xとのなす角度θが鈍角である場合、例えば図2Bにおいて現像ローラの回転方向が方向xの逆である場合、現像ローラ表面とシール部材との間隙に入り込んだトナーは、むしろ現像ローラ端面15の方向に移動するので、トナー漏れが一層、起こる。角度θが90°であっても、トナー漏れを十分に防止できない。
【0013】
表面処理領域13は、両端部11における当該領域以外の領域(以下、「他の領域」という)16とは、表面粗さ、表面高さ等の表面形状が異なる領域である。
【0014】
表面処理領域13が他の領域16と表面粗さが異なる場合、それらの表面粗さの差は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常はそれらの領域間で表面粗さが3μm以上、特に3〜15μm異なっていればよい。トナー漏れをより一層十分に防止する観点から好ましい表面粗さの差は5〜15μmである。本発明において通常は、表面処理領域13の表面粗さが他の領域16よりも大きい。例えば表面処理領域13の表面粗さは、通常、6〜15μm、また例えば、他の領域16の表面粗さは通常、0.5〜2μmである。表面処理領域13と他の領域16との表面粗さの差と、上記角度θとの作用によって、端部11とシール部材との間のトナーを中央部12方向に戻す作用がより大きく働き、トナー漏れ抑制効果が大きくなる。
【0015】
そのような表面粗さの差はブラスト処理によって付与できる。例えば、ブラスト処理によって表面処理領域13を形成し、他の領域16では通常、ブラスト処理は行わず、鏡面を有すればよい。鏡面とは表面粗さが2μm以下、特に1μm以下の面を意味するものとする。
【0016】
ブラスト処理は、粒径が数十μmのガラスビーズやSUSビーズ、アルミナビーズ等の媒体を高速で所定の領域に衝突させる処理である。媒体の硬さ、衝突速度、媒体の粒径等を調整することによって、処理領域の表面粗さを制御できる。
【0017】
表面粗さは十点平均粗さ(Rz)であり、以下の方法によって測定された値を用いている。触針による接触式の表面粗さ形状測定機を用いている。本測定機は例えば東京精密(株)表面粗さ形状測定機サーフコム480Aを用いて測定することができる。
【0018】
表面処理領域13が他の領域16と表面高さが異なる場合、それらの表面高さの差は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常はそれらの領域間で表面高さが5μm以上、特に5〜30μm異なっていればよい。トナー漏れをより一層十分に防止する観点から好ましい表面高さの差は5〜20μmである。本発明において通常は、表面処理領域13の表面高さが他の領域16よりも高い。表面処理領域13と他の領域16との表面高さの差と、上記角度θとによって、端部11とシール部材との間のトナーを中央部12方向に戻す作用がより大きく働き、トナー漏れ抑制効果が大きくなる。
【0019】
そのような表面高さの差は樹脂コート処理によって付与できる。例えば、樹脂コート処理によって表面処理領域13を形成し、他の領域16では通常、樹脂コート処理は行わず、鏡面を有すればよい。
【0020】
樹脂コート処理は、樹脂を溶剤に溶解した溶液を所定の領域に塗布し、乾燥させる処理である。塗布量、溶液粘度、塗布速度等を調整することによって、処理領域の表面高さを調整でき、これによって上記表面高さの差を制御できる。
樹脂としては特に制限されず、例えば、ウレタン樹脂(フッ素原子を含むウレタン樹脂も含む)、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、スチレン−(メタ)アクリレート共重合体樹脂等が挙げられる。特に樹脂コート層がウレタン樹脂を含む場合の原料は、ポリオール成分とイソシアネート成分であり、ポリオール成分はフッ素原子含有ポリオールが好ましい。フッ素含有ポリオールの具体例として、例えば三フッ化エチレンモノマーを主原料とする共重合体ポリオール、四フッ化エチレンモノマーを主原料とする共重合体ポリオール等が挙げられる。フッ素含有ポリオールは市販品として入手可能であり、例えば、ゼッフル(ダイキン工業社製)、ルミフロン(旭硝子社製)、ディフェンサ(大日本インキ化学工業社製)等が使用可能である。イソシアネート成分は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MD)、トリレンジイソシアネート(TDI)等のジイソシアネート、ウレタン変性ジイソシアネート、アルコール変性ジイソシアネートが好ましい。ウレタン変性ジイソシアネートは、例えばデュラネート(旭化成工業社製)が、アルコール変性ジイソシアネートは、例えばコスモネート(三井武田ケミカル社製)が使用可能である。
【0021】
樹脂コート層には、粗さ付与粒子、導電性物質等の添加剤が分散されていてもよい。
粗さ付与粒子は、溶剤に不溶な有機粒子または無機粒子が使用される。有機粒子の具体例として、例えばアクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。無機粒子の具体例として、例えばシリカ粒子、チタニア粒子等の金属酸化物粒子が挙げられる。
導電性物質はコート層に導電性を付与できる限り特に制限されず、例えば、カーボンブラックや金属粒子等が挙げられる。好ましくはカーボンブラックを使用する。
溶剤は樹脂を溶解する限り特に制限されず、例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル、キシレン、トルエン等の有機溶剤が挙げられる。
【0022】
塗布方法は特に制限されず、ディッピング法、スプレー法、ロールコータ法、刷毛で塗布する方法等が挙げられる。
乾燥方法は、自然に乾燥させる風乾法、強制的に空気を当てて乾燥させる方法、熱による加熱法等が挙げられる。
【0023】
表面処理領域13の表面処理方法は端部11aと端部11bとで異なっていても、同様であってもよいが、製造コストの観点から、同様の処理を行うことが好ましい。
【0024】
現像ローラは、スパイラル形状の表面処理領域13を一端あたり1またはそれ以上の数で有してよく、製造コストとトナー漏れ防止とのバランスの観点からは、例えば、現像ローラ外径が16mmの場合で、1〜8本の範囲で有することが好ましい。例えば、現像ローラの一端で、表面処理領域13を8本有する場合を図3(A)に例示し、1本有する場合を図3(B)に例示する。図3(A)および図3(B)において破線は、見えない表面処理領域13を示す。
【0025】
表面処理領域13、当該領域を有する端部11およびシール部材の寸法は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではないが、以下の関係を満たすことが好ましい。現像ローラの軸方向について、図4に示すように、中央部12のトナー担持領域端部14から現像ローラ端面15までの距離をq、スパイラル形状の表面処理領域13の長さをr、および現像ローラ端部11におけるシール部材との摺擦領域(破線による斜線領域)の長さをsとしたとき、以下の関係式;
q≧s>r、特にq>s>r
を満たすことが好ましい。これによって、トナー漏れをより一層有効に防止できる。なお、図4において、端部11におけるシール部材との摺擦領域(破線による斜線領域)は、中央部12(トナー担持領域)とちょうど隣接しているが、本発明はこれらの領域が互いに一部で重なることを妨げるものではない。
【0026】
q、r、およびsの寸法は特に制限されず、例えば現像ローラ寸法、感光体寸法、画像領域寸法等に適宜依存して決定される。通常はA4縦搬送プリンタの場合、現像ローラの軸方向長さが230〜250mmの場合で、qは10〜15mm、rは6〜10mm、sは8〜12mmの範囲内で設定される。
【0027】
表面処理領域13の幅は、上記角度θが達成される限り特に制限されず、通常は現像ローラの外径および表面処理領域の数等に依存して決定される。例えば、現像ローラ外径が16mm、現像ローラ一端あたりの表面処理領域の数が1〜8の場合、図5に示すような幅nは通常は0.5〜5mmである。トナー漏れをより一層有効に防止する観点から、nは0.5〜2.5mmが好適である。表面処理領域13を現像ローラ一端あたり2本以上有する場合、隣接する表面処理領域13間の他の領域16の幅は特に制限されない。
【0028】
表面処理領域13を現像ローラ一端あたり2本以上有する場合における、隣接する表面処理領域13は現像ローラ軸方向において重なっていてもよい。例えば図5に示すように「+m」および「−m」で表される重なり量mは通常、−2〜+2mm、特に−1〜+1mm、好ましくは−0.5〜+0.5mmである。+は重なっていることを意味し、−は重なっていないことを意味する。
【0029】
トナーの担持・搬送を担う中央部12は、従来のハードローラ型現像ローラで採用されている表面処理が行われていればよく、例えば、ブラスト処理、樹脂コート処理等の表面処理が行われる。そのような中央部12の表面処理方法は、両端部11(11a,11b)の表面処理領域13の表面処理方法と同様であることが好ましい。
【0030】
中央部12がブラスト処理される場合、中央部12の表面粗さは特に制限されるものではなく、通常は6〜15μm、特に10〜15μmである。例えば、表面処理領域13がブラスト処理領域である場合、中央部の表面粗さは通常、表面処理領域13の表面粗さの1〜2倍である。中央部12のブラスト処理は端部11のブラスト処理方法と同様の方法によって行うことができる。
【0031】
中央部12が樹脂コート処理される場合、中央部12の表面高さは特に制限されるものではなく、通常は5〜30μm、特に10〜20μm厚みの樹脂コート層が形成される。特に表面処理領域13が樹脂コート処理領域である場合、中央部の表面高さは、製造コストの観点から、通常、表面処理領域13と略同様である。
【0032】
中央部12の樹脂コート層の構成は特に制限されるものではなく、従来のハードローラ型現像ローラにおいて自己の表面にトナーを担持し、搬送する樹脂コート層と同様の構成であってよい。例えば、樹脂のみからなる層、樹脂中に粗さ付与粒子、導電性物質等の添加剤が分散されてなる層、樹脂層に低摩擦性や削れ防止を目的としたオーバーコート層を有する層等が挙げられる。中央部12の樹脂コート処理は端部11の樹脂コート処理方法と同様の方法によって行うことができる。使用される樹脂、溶剤、塗布方法・条件等は端部11の樹脂コート処理においてと同様である。
【0033】
中央部12が樹脂コート処理される場合、当該中央部12の樹脂コート層における他の領域16との境界部には、当該層厚が当該境界に近づくに従って徐々に薄くなる傾斜を持たせることが好ましい。現像ローラとシール部材との間に入り込んだトナーが中央部12方向に戻されたとき、比較的容易に中央部に戻れるためである。
【0034】
シール部材は、従来より現像装置の分野でトナー漏れ防止のために現像ローラの両端部に当接させて使用されるものが使用可能である。具体例として、例えば、図6の101に示すような形状を有し発泡体からなるもの、フィルム形状を有するもの、植毛紙のように表面に細かな毛があるシート状のもの等が挙げられる。特にフィルム形状を有するシール部材は、短冊形状に切り出したものを、現像ローラの両端部に巻きつく様に構成されて使用される。
【0035】
本発明の現像装置が有する他の部材・装置、例えば、規制ブレード2、トナー3、現像槽4、および供給ローラ5は特に制限されず、従来より一成分現像装置に使用されている公知のものが使用可能である。
【0036】
例えばトナーは、重合法等の湿式法で製造されたトナー粒子を含むものであってもよいし、または粉砕法(乾式法)で製造されたトナー粒子を含むものであってもよい。
トナーの平均粒径は特に制限されるものではなく、7μm以下、特に4.5μm〜6.5μmが好ましい。トナーの平均円形度は0.94〜0.99、特に0.95〜0.97が好ましい。トナーは平均粒径が小さいほど、また平均円形度が高いほど、トナー漏れが発生し易いが、本発明ではそのような粒径および平均円形度であっても、トナー漏れの問題を有効に防止できる。
【0037】
トナーの平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)によって測定された値を用いている。
トナーの平均円形度はFPIA−2100(シスメックス社製)によって測定された値を用いている。
【実施例】
【0038】
<実験例A;ブラスト処理>
(実施例/比較例;現像ローラの製造)
外径16mmのアルミニウム製芯金(軸方向長さ236.8mm)の外表面の中央部12および両端部11a,11bに、マスクを用いてブラスト処理を行った。その結果、両端部の外周面にスパイラル形状のブラスト処理領域を有し、かつ中央部の外周面にトナー搬送領域としてのブラスト処理領域を有する現像ローラを得た。現像ローラは表面処理領域13のスパイラル形状が異なること以外、図2に示す形状と同様の全体形状を有していた。各部の表面形状、寸法等は表に示す通りであった。なお、いずれの現像ローラにおいても、両端部11a,11bにおける他の領域16は未処理の鏡面であって、表面粗さは0.8μmであった。
比較例1Aでは、両端部11a,11bの全面に一様にブラスト処理を行った。
【0039】
(評価)
現像ローラを、図1に示す構成を有するmagicolor5430(コニカミノルタ社製)に組み込んで、1万枚の耐刷を行った。その後、機内を観察し、現像装置からのトナー漏れおよび現像ローラとシール部材とローラとの間のトナー融着について評価した。トナーの平均粒径は6.3μm、平均円形度は0.965であった。実施例A1〜A16において現像ローラの駆動トルクは、上記プリンタにおいて標準装備の現像ローラを使用した場合と同じであった。
5;トナー漏れは全く発生せず、トナー融着も起こらなかった;
4;トナー漏れは全く発生せず、トナー融着がわずかに起こった;
3;トナー漏れがわずかに発生し、トナー融着が起こったが、実用上問題なかった;
2;トナー漏れが発生し、トナー融着が起こり、実用上問題があった;
1;トナー漏れが大量に発生し、トナー融着が起こった。
【0040】
【表1】

【0041】
<実験例B;樹脂コート処理>
(実施例/比較例;現像ローラの製造)
外径16mmの鉄製芯金(軸方向長さ236.8mm)の外表面の中央部12および両端部11a,11bに、マスクを用いて樹脂コート処理を行った。その結果、両端部の外周面にスパイラル形状の樹脂コート処理領域を有し、かつ中央部の外周面にトナー搬送領域としての樹脂コート処理領域を有する現像ローラを得た。現像ローラは表面処理領域13のスパイラル形状が異なること以外、図2に示す形状と同様の全体形状を有していた。各部の表面形状、寸法等は表に示す通りであった。なお、いずれの現像ローラにおいても、両端部11a,11bにおける他の領域16は未処理の鏡面であった。
比較例1Bでは、両端部11a,11bの全面に一様に樹脂コート処理を行った。
【0042】
現像ローラの両端部および中央部の樹脂コート処理は以下の方法に従って行った。
芯金にプライマ液を0.5mg/cmになるようスプレー塗布し、風乾した。その後、ウレタン反応後の表面コート層厚さが所定の値になるように表面コート液をスプレー塗装し、風乾した後、140℃で60分間加熱し、現像ローラを得た。
(プライマ液の調製)
シランカップリング剤(KBP−44;信越化学製)100重量部に対して、添加剤としてケッチェンブラック(ライオン製)を1重量部添加し、さらにイソプロピルアルコール300重量部で希釈してプライマ液を調製した。
(表面コート液の調製)
フッ素含有ポリオール(ダイキン工業社製ゼッフル)100重量部と導電性カーボンブラック(キャボット社製)8重量部に酢酸ブチル300重量部を加え、分散機を用いて分散させた。この分散物に両末端カルビノール変性の反応性シリコーン油(信越化学工業社製X−22−16−AS)50重量部を加え、攪拌しコーティングの主剤とした。この主剤に硬化剤としてウレタン変性ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成工業社製デュラネート)を主剤中のヒドロキシル基の当量と、硬化剤中のイソシアネート基の当量とが1:1となるように配合して表面コート液を調製した。
【0043】
(評価)
現像ローラを、実験例Aにおいてと同様の方法により評価した。実施例B1〜B16において現像ローラの駆動トルクは、上記プリンタにおいて標準装備の現像ローラを使用した場合と同じであった。
【0044】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の現像装置の一例の概略構成図。
【図2A】本発明に係る現像ローラの一例の概略見取り図。
【図2B】図2Aの現像ローラをw方向から見たときの概略見取り図。
【図3】(A)および(B)はいずれも、現像ローラの一端における表面処理領域の具体例を示す概略図。
【図4】現像ローラ端部における表面処理領域の形状および寸法を説明するための概略図。
【図5】現像ローラ端部における表面処理領域の形状および寸法を説明するための概略図。
【図6】従来の現像装置の一例の概略見取り図。
【符号の説明】
【0046】
1:現像ローラ、2:規制ブレード、3:トナー、4:現像槽、5:供給ローラ、9:潜像担持体、10:現像装置、11:11a:11b:端部、12:中央部、13:表面処理領域、14:中央部の端部、15:現像ローラ端面、16:端部における表面処理領域以外の領域(他の領域)、20:現像領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部でシール部材と摺擦しながら回転することによって、中央部外周面に担持したトナーを現像領域に搬送する現像ローラであって、
前記両端部の外周面において、スパイラル形状の表面処理領域を有し、該表面処理領域のスパイラル方向と回転方向とのなす角度が鋭角であることを特徴とする一成分現像装置用現像ローラ。
【請求項2】
両端部の外周面において、スパイラル形状の表面処理領域は当該領域以外の領域よりも表面粗さまたは表面高さが大きいことを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記表面処理領域がブラスト処理領域または樹脂コート処理領域である請求項1または2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
現像ローラの軸方向について、中央部のトナー担持領域端部から現像ローラ端面までの距離をq、スパイラル形状の表面処理領域の長さをr、および現像ローラ端部におけるシール部材との摺擦領域の長さをsとしたとき、以下の関係式;
q>s>r
を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の現像ローラを備えた一成分現像装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−309854(P2008−309854A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155025(P2007−155025)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】