説明

一時的な放射線不透性コーティングを有する医療機器

【課題】放射線不透性水分散性金属性ナノ粒子を含む医療機器であって、医療機器の移植の際にナノ粒子が医療機器から放出される前記医療機器を提供する。本発明の医療機器が移植の間X-線に対し充分に放射線不透性であるが、移植後にその放射線不透性を失い、CT又はMRIのようなより高感度なイメージング様式を使用することができる前記医療機器を提供する。
【解決手段】ナノ粒子は金属性材料で形成され、ナノ粒子に水分散性を付与する表面修飾を有する。ナノ粒子は当該技術分野で知られた任意の様々な種類の放射線不透性 水分散性金属性ナノ粒子であってよい。ナノ粒子は、腎臓におけるろ過又は胆汁排泄によるクリアランスを促進するために改変しても良い。; ナノ粒子は組織集積及び人体における毒性を減少させるように改変しても良い。ナノ粒子は、例えばコーティングとして直接医療機器上に適用されてもよく、又は医療機器上の担体コーティングの表面又は中に保持されてもよく、医療機器上の多孔性層又は多孔性表面の孔の内部に分散しても良い。医療機器自体が生体分解性であってもよく、ナノ粒子を医療機器自体の内部に埋め込んでいてもよく 、又は生体分解性医療機器上のコーティングとして又はコーティングの内部に適用してもよい。;ナノ粒子は担体コーティングを通って拡散することにより、ナノ粒子と担体コーティングの間の水素結合の崩壊により、ナノ粒子コーティングの分解、医療機器からのナノ粒子の拡散、又はナノ粒子を保持する医療機器の崩壊により放出してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線不透性コーティングを有する移植可能な医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療機器は移植工程をリアルタイムで視覚化するX-線透視法の補助により移植される。例えば、血管ステントは典型的にカテーテル留置工程によって、ステントを脈管構造を通じてガイドし、標的の動脈に配置するためにX-線透視法を用いて移植される。したがって、ステント及び/又は ステント配置システムはX-線透視法下における視覚化の為に十分に放射線不透性 (X-線に対して透過性でない)であるべきである。
【0003】
ステントを移植した後数週間又は数ヵ月の間、拡張した動脈は起こり得る動脈の再閉塞(再狭窄)を診断する為に継続的な視覚化が必要になる。典型的には再狭窄の診断は、ステントを配置した動脈 のX-線透視像(血管造影図)を得る為に侵襲的なカテーテル留置工程を繰り返すことにより行われる。
【0004】
しかしながら、再狭窄の診断の為のカテーテル留置及びX-線透視イメージングの代替方法として高解像度でマルチ検出器CTスキャナーCT血管造影法による、非侵襲的な拡張した動脈のイメージングに対し、現在関心が高まっている。しかしこのような場合におけるCT血管造影法の使用は、X-線透視法による視覚化のためには十分放射線不透性であるが、しばしば高感度CTイメージングに対しては放射線不透性すぎる金属製のステントにより引き起こされる像のゆがみ(アーチファクト)の為に制限される。例えば、図l(c)はX-線透視法により得た拡張した動脈の血管造影を示し、拡張した動脈 (黒矢印)は閉塞されていないことを確認している。図l(a)及びl(b)は、同じ拡張した動脈(黒矢印)CT 血管造影像を示す。これらの像はステントの支柱の厚さが強調され、拡張した動脈の管腔が不明確になることを特徴とする金属製のアーチファクトを表す。図2(a)-(d)はこの現象を表す同様の像を示す。
【発明の概要】
【0005】
透視法によるイメージングのために、移植の間一時的に放射線不透性であるが、その放射線不透性を移植後に失い、より高感度な放射性イメージング様式の元で引き続きイメージングができるステントのような医療機器の必要性が存在する。
【0006】
本発明は、放射線不透性水分散性金属性ナノ粒子を含む医療機器を提供し、前記ナノ粒子は移植の際に医療機器から放出される。ナノ粒子は、金属材料で形成され、水分散性をナノ粒子に付与する表面修飾がされている。ナノ粒子は、当該技術分野の任意の多様な放射線不透性水分散性金属性ナノ粒子であって良い。ナノ粒子は、腎臓におけるろ過又は胆汁排泄によるクリアランスを促進するように改変されても良い。ナノ粒子は、生物学的適合性を改良して、組織内集積を減少し、人体における毒性を減少させる様に改変しても良い。ナノ粒子は直接医療機器の上に、例えばコーティングとして適用してもよく、又は医療機器上の担体コーティングの表面あるいは内部に保持していても良く、医療機器の多孔性の層又は多孔性表面の孔の内部に分散していても良い。医療機器それ自体は生体分解性であっても良く、ナノ粒子を医療機器自体の内部に埋め込んでいても良く、生体分解性医療機器上にコーティングとしてあるいはそのコーティングの中に適用しても良い。ナノ粒子は担体コーティングを通って分散し、ナノ粒子と担体コーティング間の水素結合が崩壊し、ナノ粒子コーティングが崩壊し、医療機器からのナノ粒子が分散し又はナノ粒子を保持する医療機器が崩壊することにより放出されても良い。
【0007】
一時的な放射線不透性を医療機器に付与する方法も提供し、当該方法は: (a) 医療機器の提供する工程; 及び(b)水分散性金属性ナノ粒子のコーティングを医療機器上に提供する工程;を含み、ナノ粒子は医療機器の移植の際に医療機器から放出される。
【0008】
図1及び図2で示された像はMaintz et al., Assessment of Coronary Arterial Stents by Multislice-CT Angiography, Acta Radiologica 44:597-603 (2003)から引用した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図(a)及び図l(b)はCT血管造影法により得た、拡張した冠状動脈の像を示す。 図l(c)は造影剤を注入しX-線透視法によって得た、図1(a)及びl(b)の拡張した動脈の像を示す(黒い矢印が拡張した部分を示す)。
【図2】図2(a)-(c)はCT血管造影法により得た、拡張した別の冠状動脈の像を示す。 図2(d)は造影剤を注入しX-線透視法によって得た、図2(a)-(c)の拡張した動脈の像を示す(黒い矢印が拡張した部分を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、放射線不透性水分散性金属性ナノ粒子を含む医療機器を提供し、ナノ粒子は医療装置の移植の際に機器から放出される。
【0011】
「金属性ナノ粒子」という用語は特に約1nm〜1000nmの範囲の粒径を有し、金属製の材料、合金又は他の金属性の材料の混合物を含む粒子を意味する。金属製の材料にはX-線透視法のもとで十分な放射線不透性を有する、ヨウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、貴金属類、プラチナ、金及びビスマスを含む任意の金属を含む。次炭酸ビスマス及びオキシ塩化ビスマスのような列挙された金属の酸化物又は化合物も使用してよい。バリウム塩、ヨウ化物塩又はビスマス塩のような列挙された金属の塩も使用してよい。
【0012】
「水分散性」という用語は水性の媒体中において生理的温度で無期限に持続することができる、分離した粒子又はイオンの本質的に非凝集性の分散を形成する能力を意味する。「水分散性」という用語は水中で溶液、コロイド懸濁液又はコロイド分散駅を形成することを含むことを意図する。
【0013】
「水分散性金属性ナノ粒子」という用語は、水分散性をナノ粒子に付与する表面修飾を有する前述の金属性ナノ粒子をいう。様々な種類の表面修飾を有する水分散性金属性ナノ粒子が当該技術分野で知られている。チオール、ジスルフィド、スルフィド、チオサルフェート、キサントゲン酸塩、アンモニウム、アミン、ホスフィン、ホスフィン酸化物、カルボン酸塩、セレン化物、およびイソシアネート基を含む反応性官能基を含む有機化合物の層を備えた水分散性金、銀、銅、プラチナ及びパラジジウム粒子が Shon et al., Metal Nanoparticles Protected with Monolayers: Synthetic Methods, in Dekker Encyclopedia of Nanoscience and Nanotechnology (James A. Schwarz et al. eds., 2004)に記載されており、参照として本明細書に組み込む。多官能性オレイルアミンを用いて製造した水分散性アミノ安定化水溶性コロイド金ナノ粒子は Aslam et al., Novel One-Step Synthesis of Amine-Stabilized Aqueous Colloidal Gold Nanoparticles, J. of Materials Chemistry 14:1795- 1797 (2004)に記載されており、参照として本明細書に組み込む。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びオクタデシルアミン(ODA)でキャップした水分散性金ナノ粒子はSwami et al., Water -D[iota]spersible Nanoparticles Via Interdigitation of Sodium Dodecylsulphate Molecules in Octadecylamine-Capped Gold Nanoparticles at a Liquid-Liquid Surface, Proc. Indian Acad. Sci. 1 15:679-687 (2003)に記載されており、参照として本明細書に組み込む。水溶性ポリマー被覆酸化鉄ナノ粒子は米国特許第2003/0124193号(Goldshtein)に記載されており、参照として本明細書に組み込む。水溶性ミセル被包金属ナノ粒子複合体米国特許出願公開第2004/0033345号(Dubertretら)に記載されており、参照として本明細書に組み込む。オーラノフィン、アウロチオグルコース又は金チオリンゴ酸ナトリウムのような特定の水分散性コロイド状金ナノ粒子は薬理学的に炎症性又はリュウマチ性疾患の治療に使用することができる。酸化チタン、酸化イリジウム又は酸化スズのような可溶性金属酸化物及び混合金属(ドープした)酸化物はナノ粒子を形成する為にWO 2005/049520 (Cunninghamら)に記載されるように使用することができ、参照として本明細書に組み込む。水分散性金属性ナノ粒子は金属性ナノ粒子をCunninghamに記載された組成物のような可溶性金属及び混合金属酸化物の組成物でコーティングすることによって形成することもできる。可溶性金属酸化物は可溶性金属酸化物上の官能基を介して配位することにより金属性ナノ粒子(金ナノ粒子のような)と複合することができる。可溶性金属酸化物は放射線不透性を増強する為に、プラチナ又は金のようなより重い金属でドープしてもよい。
【0014】
水分散性ナノ粒子の放射線不透性コーティングは、裸の(naked)金属性ナノ粒子の放射線不透性コーティングのような非-水分散性ナノ粒子のコーティングと比べてより生体適合性であるということは米国特許第6,355,058号(Pacettiら)に記載されており、参照として本明細書に組み込む。
【0015】
ある態様において、本発明で使用される水分散性ナノ粒子は腎臓のろ過によるクリアランスを促進する為に適用することができる。腎臓の糸球体膜の孔は幅約8nm(80Å)であると考えられており、最大約42オングストロームのデキストラン粒子は、糸球体を通してろ過されることが示されている。Arthur C. Guyton & John E. Hall, Textbook of Medical Physiology 284-286 (10th ed. 2000)を参照されたく、これを参照として本明細書に組み込む。ナノ粒子の大きさに加え、ナノ粒子の電荷及び表面特性が腎臓のろ過に影響する。同文献参照。例えば、中性又は陽性に荷電したナノ粒子は陰性に荷電したナノ粒子よりも早くろ過される。従って、当業者は腎臓のろ過によるクリアランスを改良する所望の特性を有するナノ粒子選択することができる。
【0016】
ある態様において、ナノ粒子は胆汁排泄を改善するように改変されてもよい。肝臓のクッパー細胞を含む単核食細胞系(MPS)はナノ粒子の肝臓への取り込み及びそれに続く胆汁排泄に関与する。ナノ粒子の特定の粒径及び表面特性により肝臓内におけるMPSの取り込みを増加させることが知られている。Choiらの Surface Modification of Functional Nanoparticles for Controlled Drug Delivery, J. of Dispersion Sci. Tech. 24(3/4):475-487 (2003); 及びBrannon- Peppasらの, Nanoparticles for Delivery of Pifithrins to Combat Cell Death Due to Chemotherapy and Radiation, J. Drug Delivery Sci. Tech. 14(4):257-264 (2004)を参照されたく、またそのいずれも参照として本明細書に組み込む。例えば、ナノ粒子の疎水性が増加するとMPSによる取り込みが増加することが知られている。従って、当業者は胆汁排泄を促進する所望の特性を有するようにナノ粒子に選択することができる。
【0017】
ある態様において、ナノ粒子を人体における毒性を減少するように改変してもよい。毒性を決定すると考えられているナノ粒子の特性にはその粒径、凝集状態、形、結晶構造、化学組成(空間的に平均化された(バルク)及び空間的に分離した不均一組成を含む)表面積、表面の化学的性質、表面電荷及び多孔性が含まれる。OberdorsterらのPrinciples for Characterizing the Potential Human Health Effects From Exposure to Nano materials: Elements of a Screening Strategy , Particle and Fibre Toxicology 2:8 (Oct. 6, 2005)を参照されたく、また参照として本明細書に組み込む。さらに、ナノ粒子の粒径、親水性、及び表面電荷は組織集積を決定する要因であることが明らかにされてきた。Kosar らの Nanoparticles Administered to the Human Body: Impacts and Implications, News From the Bottom (2004)を参照されたい、また参照として本明細書に組み込む。例えば、100 run未満の粒径を有する及び親水性表面修飾を有するナノ粒子は細網内皮系(RES)による取り込みを避けることにより組織集積を減少するとされ、ナノ粒子を毛細管の壁から血管外遊出する代わりに血液循環内に残すとされてきた。Choiらの Surface Modification of Functional Nanoparticles for Controlled Drug Delivery, J. of Dispersion Sci. Tech. 24(3/4):475-487 (2003)を参照されたい、また参照として本明細書に組み込む。従って、当業者は人体における毒性を減少し及び/又はその体組織への集積を減少させる所望の特性を有するようにナノ粒子に選択することができる。
【0018】
水分散性金属性ナノ粒子を様々な方法で医療機器上に適用してもよい。1つの態様において、ナノ粒子は医療機器の表面の上に直接付着しても良い。基質上へのナノ粒子の付着には化学気相成長法、物理気相成長法、電子ビーム蒸着、電気メッキ又は反応性スパッタリング(reactive sputtering)のような多様な技術が利用可能である。ナノ粒子は溶液、ゾル、ゾル‐ゲル又は溶媒分散(solvent dispersion)のようなナノ粒子の混合物の基質上へ適用し、その後混合物を蒸発させることによっても付着される。医療機器の移植の際に生理学的環境との相互作用がナノ粒子コーティングの崩壊又は加水分解、溶解又は腐食のような化学的工程;又は磨耗又は液体乱流(fluid turbulence)のような物理的工程による分解を引き起こす。
【0019】
他の態様において、医療機器は担体コーティングを含み、ナノ粒子は担体コーティングの表面に保持される。担体コーティングはポリマー性材料で形成されてもよく、医療機器得を被覆するのに従来から使用されるポリマー性材料のように生体分解性であってもなくても良い。1つの態様において、ナノ粒子は、重合体コーティングの表面に保持され、その上にナノ粒子の表面の官能基と重合体に関する官能基の間の水素結合を介して付着されている。移植と水性の環境への露出の際、水の分子は、重合体コーティングから水素結合を破壊し、ナノ粒子を放出させる。ポリマーコーティングとナノ粒子の間の水素結合の強さはコーティングからのナノ粒子の放出の速度を決定する要因の1つである。従って、当業者は所望の放出速度を変化させる特性を有するナノ粒子又は担体コーティングを選択することができる。例えば、ポリアルキル-メタクリレート、ポリエチレン-グリコール及びポリヒドロキシ-吉草酸又はポリヒドロキシ-ブチラートのようなポリヒドロキシ-酸のような水素結合部位を多く含むポリマーを使用することで、ナノ粒子の放出速度を減速させる。
【0020】
さらに他の態様において、医療機器はナノ粒子が担体コーティング内に分散した担体コーティングを含む。ナノ粒子は様々な方法を用いて担体コーティング内に分散しても良い。ある場合では、ナノ粒子と担体コーティング材料の混合物を、噴霧、浸漬、ブラッシング(brushing)、静電塗装(electrostatic spraying)又は粉体塗装(powder coating)のような様々なコーティング技術を用いて医療機器上に適用する。他の場合には担体コーティング材料を最初に適用し、続いて真空含浸又は電気泳動的移動(electrophoretic transfer)のような移動技術を用いてナノ粒子を担体コーティング内に包埋する。他の場合において、ナノ粒子を最初に医療機器を適用し担体コーティング材料をナノ粒子状に適用する。
【0021】
1つの態様において、ナノ粒子はポリマー性材料で形成された担体コーティングの内部に分散していてもよい。移植及び水性環境への暴露の際にナノ粒子はコーティングのポリマーマトリックスを通って拡散することにより放出される。当業者はその組成、多孔度、親水性又は厚さのようなポリマーの様々な特性を変化させることによりナノ粒子の拡散速度を変化させることができる。1つの態様において、担体コーティングは生体分解性ポリマーで形成されてもよい。移植の際、生体分解性ポリマーコーティングは生理学的環境にさらされることで崩壊し、包埋されたナノ粒子を放出する。
【0022】
1つの態様において、ナノ粒子は多孔性材料でできた担体コーティング内に分散されている。移植及び水性環境への暴露の際に、ナノ粒子は担体コーティングの多孔性のマトリックスを通った拡散により放出される。多孔性材料は任意の様々な種類の当該技術分野で公知の多孔性材料である。1つの態様において、ナノ粒子は電気メッキ、噴霧コーティング、浸漬コーティング、スパッタリング、化学気相成長法、物理気相成長法のような技術分野で公知の様々なコーティング又は付着方法によって医療機器上に適用された多孔性の金属性又は金属酸化物の層の内部に分散していてもよい。1つの態様において、ナノ粒子は米国特許公開第2005/0079200号 (Rathenowら。参照として本明細書に組み込む)に記載されたように炭素化して形成された多孔性炭素層のような医療機器上の多孔性炭素層の内部に拡散していてもよい。
【0023】
さらに他の態様において、医療機器は医療機器上に医療機器本体の表面を反応性プラズマ処理、イオン照射又はマイクロエッチング(micro-etching)のような微少表面粗化(micro- roughening)加工処理をして作製した多孔性表面を含んでいてもよい。ナノ粒子を多孔性表面の内部に分散し、医療機器の移植の際及び水性環境にさらされた際に多孔性表面から拡散して外に出る。
【0024】
さらに他の態様において、医療機器自体が生体分解性でもよく、ナノ粒子が医療機器自体の中に包埋されていてもよく又は生体分解性医療機器の上にコーティングとして又はコーティングの中に適用されていてもよい。ナノ粒子は上記のように放出されてもよく又はナノ粒子が医療機器から拡散してもよく又はナノ粒子を保持する医療機器が崩壊しても良い。
【0025】
本発明の医療機器はX-線視覚化が移植時に必要であり、一方 CT又はMRIなどの、より感度の高い画像診断療法を使用することでその後の経過観察視覚化を可能にする任意の移植可能な医療機器であり得る。前記医療機器には、ステント、ステントグラフト、カテーテル、ガイドワイヤー、バルーン、フィルター(例えば、大静脈フィルター)、血管グラフト、イントラルミナルペービングシステム(intraluminal paving systems)、ペースメーカー、電極、リード、除細動器、関節、骨インプラント、脊椎インプラント、アクセスポート、大動脈内バルーンポンプ、心臓弁、縫合糸、人工心臓、神経医学的刺激器(neurological stimulators)、人工耳、網膜インプラント及び治療用コーティングと組み合わせて使用することができる他の機器が含まれる。前記医療機器は移植又は他には脈管構造、胃腸管、腹、腹膜、気道, 食道、気管、大腸、直腸、胆道、尿路、前立腺、脳、脊椎、肺、肝臓、心臓、骨格筋、腎臓、膀胱、小腸、胃、膵臓、卵巣、子宮、軟骨、眼、骨、関節等のような体の構造、腔又は管腔内で使用される。
【0026】
そのような医療機器はCT又はMRIのような高感度のイメージング形式に適合する、十分に低い放射線非透過性の任意の材料でできていても良い。そのような材料にはポリマー(合成、天然、生体分解性又は非-生体分解性のいずれであってもよく)、非結晶性及び/又は (部分的に) 結晶性の炭素、完全な炭素材料(complete carbon material)、多孔性炭素、グラファイト、 複合炭素材料(composite carbon materials)、炭素繊維、ゼオライト、ケイ酸塩、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸、炭化ケイ素、窒化ケイ素のようなセラミックス; チタン、ジルコン、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、コバルト、ニッケル、銅のような金属及びその他の金属の合金、炭化物、酸化物、窒化物、カーボニトライド、オキシカーバイド、オキシニトライド及びオキシカルボニトリド; ニチノール、ニッケルチタン合金のような形状記憶合金、ガラス、石、ガラス繊維、鉱物、天然又は合成骨物質、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウムのようなアルカリ土類金属炭酸塩を主原料とする人工骨及び上述の材料の任意の所望の組み合わせが含まれる。
【0027】
本発明の医療機器で使用されるポリマー性材料は生体分解性又は非-生体分解性であって良い。適切な非-生体分解性ポリマーの非限定的な例としてはポリスチレン; スチレン-イソブチレン-スチレン (SIBS)ブロックコポリマー及びスチレン-エチレン/ブチレン-スチレン (SEBS)ブロックコポリマーのようなポリイソブチレンコポリマー;架橋 ポリビニルピロリドンを含むポリビニルピロリドン; ポリビニルアルコール、EVAのようなビニルモノマーのコポリマー; ポリビニルエーテル; ポリビニル芳香族;ポリエチレンオキシド; ポリエチレンテレフタラートを含むポリエステル;ポリアミド;ポリエチルメタクリレート-ブチルアセテート-メチルメタクリレート) トリブロックコポリマーを含むポリアクリルアミド; ポリエーテルスルホンを含むポリエーテル; ポリプロピレンを含むポリアルキレン、ポリエチレン及び高分子量 ポリエチレン; ポリウレタン; ポリカーボネート、シリコン; シロキサンポリマー; セルロースアセテートのようなセルロース性ポリマー; ポリウレタンディスパーション(B AYHYDROL(R))のような分散ポリマー; スクワレンエマルジョン; 及び上記の任意のものの混合物及びコポリマーが含まれる。
【0028】
非限定的な生体分解性ポリマーの例としては、ポリカルボン酸、無水マレイン酸を含む酸無水物ポリマー; ポリオルトエステル(polyorthoester); ポリ-アミノ酸; ポリエチレンオキシド; ポリホスファゼン; ポリ乳酸, ポリグリコール酸及びコポリマー及びこれらの混合物、例えばポリ(L-乳酸) (PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、50/50 (DL-ラクチド-コ-グリコール酸); ポリジオキサノン; ポリプロピレンフマレート; ポリデプシペプチド; ポリカプロラクトン及びコポリマー及びポリ(D,L- ラクチド-コ-カプロラクトン)及びポリカプロラクトン コ-アクリル酸ブチルのようなそれらの混合物;ポリヒドロキシ吉草酸ブチラート及び混合物; チロシン-誘導ポリカーボネート及びアリレートのようなポリカーボネート、ポリイミノカーボネート及びポリジメチルトリメチルカーボネート; シアノアクリレート; リン酸カルシウム; ポリグルコサミノグリカン;多糖類 (ヒアルロン酸; セルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース; ゼラチン; スターチ; デキストラン; アルギン酸及びそれらの誘導体を含む)のような巨大分子、タンパク及びポリペプチド;任意の前述の物の混合物及びコポリマーが挙げられる。生体分解性ポリマーはポリヒドロキシブチラート及びそのコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ酸無水物 (結晶及び非結晶の両方)、無水マレイン酸コポリマー及びリン酸亜鉛カルシウムのような表面浸食可能なポリマーであっても良い。
【0029】
本発明の医療機器は、放出制御をもたらすために医療機器上の担体コーティングもしくは他のコーティングの内部に分散していてもよい治療薬剤を含んでいてもよい。
【0030】
上の記載及び実施例は単に発明を概略するために示され、それに制限されることを意図しない。開示されたそれぞれの本発明の特徴及び態様は個々に又は本発明の他の特徴及び態様及び変形と組み合わせて認識される。さらに、特に他に特定しない限りさらに、別の方法で指定されない場合、本発明の方法のいずれの工程も、いかなる特定の作業の順番に制限されない。本発明の精神と実体に組み込まれる開示された実施態様の改変は当業者に明らかであり、前記改変は本明細書に添付する請求項の範囲内である。さらに、本明細書で引用されたすべての参考文献はその全体を参照として組み込む。
【図1(a)】

【図1(b)】

【図1(c)】

【図2(a)】

【図2(b)】

【図2(c)】

【図2(d)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線不透性水分散性金属性ナノ粒子を含む医療機器であって、ナノ粒子が医療機器から医療機器を患者に移植する際に放出される前記医療機器。
【請求項2】
ナノ粒子が表面修飾を有する、請求項1記載の医療機器。
【請求項3】
表面修飾が水溶性官能基を含む、請求項2記載の医療機器。
【請求項4】
表面修飾が親水性官能基を含む、請求項2記載の医療機器。
【請求項5】
表面修飾がナノ粒子の表面へ配位した有機分子を含む、請求項2記載の医療機器。
【請求項6】
表面修飾が可溶性金属酸化物又は可溶性混合金属酸化物を含む、請求項2記載の医療機器。
【請求項7】
ナノ粒子が、ナノ粒子の生体適合性を改良するように改変された、請求項1記載の医療機器。
【請求項8】
ナノ粒子が、ナノ粒子の体組織における集積を減少するように改変された、請求項7記載の医療機器。
【請求項9】
ナノ粒子が、ナノ粒子の人体における毒性を減少するように改変された、請求項7記載の医療機器。
【請求項10】
ナノ粒子が、約100nm未満の平均粒子径を有する、請求項7記載の医療機器。
【請求項11】
ナノ粒子が、親水性の表面修飾を有する、請求項7記載の医療機器。
【請求項12】
ナノ粒子が、人体の血液循環からのナノ粒子の血管外遊走を減少するように改変された、請求項8記載の医療機器。
【請求項13】
ナノ粒子が、体による消失を促進するように改変された請求項1記載の医療機器。
【請求項14】
ナノ粒子が、ナノ粒子の腎クリアランスを増加するように改変された、請求項13記載の医療機器。
【請求項15】
ナノ粒子が約10nm未満の平均粒径を有する、請求項14記載の医療機器。
【請求項16】
ナノ粒子が中性又は陽性の静電電荷を有する請求項15記載の医療機器。
【請求項17】
ナノ粒子が、ナノ粒子の胆汁排泄を改善するように改変された、請求項13記載の医療機器。
【請求項18】
単核食細胞系による取り込みを増加させる表面修飾を有する、請求項17記載の医療機器。
【請求項19】
表面修飾が疎水性である、請求項18記載の医療機器。
【請求項20】
医療機器がさらに担体コーティングを有する、請求項1記載の医療機器。
【請求項21】
ナノ粒子が担体コーティング上に保持されている、請求項20記載の医療機器。
【請求項22】
ナノ粒子が水素結合を介して担体コーティングに結合している、請求項21記載の医療機器。
【請求項23】
ナノ粒子が担体コーティングに分散している、請求項20記載の医療機器。
【請求項24】
ナノ粒子が、水性環境にさらされた際に担体コーティングから拡散して出る、請求項23記載の医療機器。
【請求項25】
担体コーティングがポリマーを含む、請求項20記載の医療機器。
【請求項26】
ポリマーが生体分解ポリマーである、請求項25記載の医療機器。
【請求項27】
担体コーティングが多孔性材料を含む、請求項20記載の医療機器。
【請求項28】
多孔性材料が多孔性炭素材料である、請求項27記載の医療機器。
【請求項29】
多孔性材料が多孔性金属性材料又は多孔性酸化物材料である、請求項27記載の医療機器。
【請求項30】
医療機器がさらに多孔性表面を含む請求項1記載の医療機器であって、ナノ粒子が多孔性表面の孔の内部に分散している、前記医療機器。
【請求項31】
医療機器が生体分解性である、請求項1記載の医療機器。
【請求項32】
放射線不透性表面修飾金属性ナノ粒子を含む医療機器であって、ナノ粒子が医療機器の移植の際に医療機器から放出される前記医療機器。
【請求項33】
表面修飾が水分散性をナノ粒子に付与する、請求項32記載の医療機器。
【請求項34】
表面修飾が水溶性をナノ粒子に付与する、請求項32記載の医療機器。
【請求項35】
表面修飾がコロイド安定性をナノ粒子に付与する、請求項32記載の医療機器。
【請求項36】
さらに担体コーティングを含み、ナノ粒子が担体コーティング上又は内部に保持される、請求項32記載の医療機器。

【公表番号】特表2009−542410(P2009−542410A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519432(P2009−519432)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/012142
【国際公開番号】WO2008/008126
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】