説明

一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置

【課題】 患者が検査等の理由で一時退室した場合に、当該患者の表示エリアに患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報を表示することによって、患者の表示画面を見るだけで患者の帰室(入床)時を容易に知ることができる生体情報モニタ装置を実現する。
【解決手段】 患者に装着された生体情報検出部によって測定された生体情報を直接若しくは処理して表示部の生体情報表示エリアに表示する生体情報モニタ装置であって、前記表示エリアに、当該患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報を表示する一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体から検出された生体信号を処理した生体情報を表示部に表示する生体情報モニタ装置の表示画面上に患者の一時退室の理由及び復帰時刻等表示するタイマー表示機能を付与した生体情報モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生体情報モニタ装置の全体構成の1例を図5に示す。
図5は、ナースステーション等に配置される複数の患者の生体情報を同時にモニタ可能なセントラルモニタ型の生体情報モニタ装置の外観図である。
図5において、1はセントラルモニタ型の生体情報モニタ装置であり、2は複数の患者の生体情報を処理した結果の数値及び波形を同時に表示する表示画面である。
3−1,3−2,3−3は視覚的アラームの表示出力部であって、3−1及び3−2は個々の患者に対応した表示が可能な個別表示部であり、3−3は全ての患者に共通する共通表示部であって、それぞれの表示部は例えばLEDで構成されていて、アラームの優先度に応じて、赤、黄又はシアン等に区別して表示される。
また、4は聴覚的なアラームを出力するスピーカであって、異なった周波数,持続時間等によって優先度に応じたアラームを出力が可能である。
【0003】
図5の生体情報モニタ装置では、図示の如く、8名の患者の生体情報を同時に表示画面上に表示が可能であるが、図示の状態では4名(ICHIRO,JIRO,SHIRO,SHICHIRO)の患者の生体情報のみが表示されている。
【0004】
また、従来、老人ホーム、病院等において、看護婦やヘルパー等は、各部屋に設置されたベッド上に高齢者や入院患者が在床しているか否かを、部屋を巡回することによって監視していた。この巡回によって、老人ホームや病院側は、入院患者の就寝・徘徊等を把握していたが、高齢者や入院患者の全てを監視することは困難であったことを解決するために以下の技術が知られている。(特許文献1参照)
【0005】
高齢者や入院患者等のベッドからの離床を判定し、この判定結果をナースセンター等に通報する装置が開発されてきた。その1つとして、ベッドにかかる荷重値を検出し、この荷重によって人がベッドにいるかいないかの判断を行うシステムが知られている。このような人体の荷重を検出して利用者の離床・在床を検知するシステムの床判定装置では、人体の重さを検出する歪み抵抗体、ロードセルもしくはコイルスプリングの変形等を利用したセンサが用いられている。この離床在床検知システムは、荷重値が予め定められた値以上となり、かつ一定時間以上であれば離床検出の計測を開始する。そして、離床在床検知システムは、この計測開始後、荷重値が予め定められた値以下に一定時間以上になった場合、離床と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−185650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5の生体情報モニタ装置では、図示の如く、8名の患者の生体情報を同時に表示画面上に表示が可能で、図示の状態では4名(ICHIRO,JIRO,SHIRO,SHICHIRO)の患者の生体情報のみが表示されている。
しかし、残りの4名の生体情報は表示部の表示画面上に表示されていなため、当該生体情報モニタ装置の配置されているナースステーション等で患者の状態を監視中の医療従事者には、残りの4名については検査等の理由で一時的にベットを離れている(この状態を一時退室という)のか、患者から生体情報の測定用の測定手段が脱落したり、測定装置そのものの故障のために生体情報が表示できないのかが明らかではなく、患者の生体情報の監視に問題を生じる可能性があった。
【0008】
また、患者が検査等の理由で一時退室であることが明らかであった場合でも、当該患者が何時ベットに戻ってくるのかを知ることができなかったため、生体情報の測定を再開するのを忘れるという可能性があった。
さらに、患者が戻ってくる時間を医療従事者が予め把握できれば、該医療従事者はそれに備えて作業することが可能となる。
【0009】
本発明の課題(目的)は、患者が検査等の理由で一時退室した場合に、当該患者の表示エリアに患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報を表示することによって、患者の帰室(入床)時の生体情報の測定再開忘れを防止できる一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置は、患者に装着された生体情報検出部によって測定された生体情報を直接、若しくは前記生体情報をネットワークを介して受信し、表示部の生体情報表示エリアに表示する生体情報モニタ装置であって、前記表示エリアに、当該患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報の少なくともいずれか一つ以上を表示することを特徴とする。
【0011】
また、前記生体情報モニタ装置には、更に、前記一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間の少なくともいずれか一つ以上を入力可能な一時退室入力手段を備えることを特徴とする。
また、前記一時退室入力手段は、予め設定された複数の一時退室理由及び測定再開予定時間の中から選択して入力することを特徴とする。
また、前記生体情報モニタ装置には、更に、視覚的又は聴覚的アラームを出力するアラーム出力手段を備え、
測定再開予定時間を経過しても測定が停止している場合、前記アラームが出力されることを特徴とする。
【0012】
また、前記現在の経過情報は、現在時刻、経過時間、残り時間及び超過時間を区別して図形表示されることを特徴とする。
また、前記図形表示は、現在時刻、経過時間、残り時間及び超過時間を区別してアナログ時計表示されることを特徴とする。
【0013】
また、前記図形表示は、現在時刻、経過時間、残り時間及び超過時間を区別して棒グラフ表示されることを特徴とする。
また、前記一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置には、更に、コメント入力手段を備え、入力されたコメントを一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報と共に表示することを特徴とする。
また、複数の患者の生体情報を共通の表示部に表示して遠隔で監視するセントラルモニタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、患者が検査等の理由で一時退室した場合に、当該患者の表示エリアに患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報を表示することによって、患者の表示画面を見るだけで患者の帰室(入床)時を容易に知ることができるので生体情報の測定再開忘れを防止でき、更に医療従事者の作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置における、患者が検査等の理由で一時退室した場合の、当該患者の表示エリアに患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、帰室時間(測定再開予定時間)及び現在の経過情報の表示形態の1例を示す図である。
【図2】本発明の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置における一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間の入力手段の入力画面を示す図である。
【図3】入力画面から設定した後に、時間が経過した時の表示状態を説明する図である。
【図4】図3に示すアナログ時計表示以外の表示形態を示す図である。
【図5】ナースステーション等に配置される複数の患者の生体情報を同時にモニタ可能なセントラルモニタ型の生体情報モニタ装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の構成を図1を用いて説明する。
図1を用いて本発明の、患者が検査等の理由で一時退室した場合に、当該患者の表示エリアに患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報を表示形態の説明をする。
【0017】
図1の生体情報モニタ装置では、現在時刻として13:04の表示と、8名の患者(一郎,二郎,三郎,四郎,五郎,六郎,七郎,八郎)の生体情報を同時に表示画面上に表示が可能であるが、生体情報としては、5名の患者(一郎,三郎,六郎,七郎,八郎)の生体情報のみが表示されている。
【0018】
5名以外の患者(二郎)についてはまだ入院(入床)していないので、生体情報の表示エリアに入床予定時刻として15:37と表示されている。
また、患者(四郎)については、一時退室理由として、「MRI検査中」という表示と、予定時刻としての12:53と超過時間10分の表示がなされると共に、超過時間がアナログ時計表示されている。
また、患者(五郎)については、一時退室理由として、「リハビリ中」という表示と、予定時刻としての12:27と超過時間36分の表示がなされると共に、超過時間がアナログ時計表示されている。
なお、超過時間が表示された(予定時間を過ぎても患者が戻ってこない)場合、例えば視覚的アラーム3−1,3−2,3−3や聴覚的なアラーム4からの出力を行ってもよい。
【0019】
次に、本発明の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置における一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間の入力手段について図2を用いて説明する。
【0020】
図2は、図1の表示画面で、「入退床」機能を選択した場合であって、図1の表示画面を表示部の上部に圧縮して、一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間の入力画面が表示されている状態を示している。
【0021】
上記入力画面では一時退室理由として「入床予定」「リハビリ中」「外出中」「入浴中」「検査中」「手術中」「レントゲン中」「透析中」「CT検査中」「外泊中」「MRI検査中」の選択項目が設けられている。
この項目以外にも、一時退室理由として設定することが可能であることは明らかである。
また、予定時間としては、「無制限」「30分」「1時間」「2時間」「3時間」「4時間」「5時間」「6時間」「8時間」「10時間」「12時間」「24時間」の選択項目が設けられている。
この項目以外にも、予定時間として設定することが可能であることは明らかである。
【0022】
上記入力画面では一時退室理由と、予定時間を選択して「一時退出」ボタンを選択すると、図示しない制御部(CPU)よって、現在時刻を考慮して図1の患者が検査等の理由で一時退室した場合の、当該患者の表示エリアに患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報がアナログ時計表示される。
また、図2の入力手段から設定した後に、設定時間の短縮又は延長の設定も可能である。
【0023】
次に、図2の入力画面から設定した後に、時間が経過した時の表示状態を図3を用いて説明する。
図3(a)は、図2の入力画面から一時退室理由として「透析中」を、予定時間として「4時間」を選択して、10:57に「一時退室」ボタンを入力した直後の表示状態である。
当該患者の表示エリア、「透析中」及び「帰室予定14:57」の文字表示と、アナログ時計表示として、10:57〜14:57の間が透析の残り時間として「白」で示されている。
【0024】
図3(b)は、図2の入力画面から一時退室理由として「透析中」を、予定時間として「4時間」を選択して、10:57に「一時退室」ボタンを入力した後で、2時間経過した時の表示状態である。
当該患者の表示エリア、「透析中」及び「帰室予定14:57」の文字表示と、アナログ時計表示として、10:57〜12:57が経過時間として「青」で示され、12:57〜14:57の間が透析の残り時間として「白」で示されている。
【0025】
図3(c)は、図2の入力画面から一時退室理由として「透析中」を、予定時間として「4時間」を選択して、10:57に「一時退室」ボタンを入力した後で、4時間経過後に更に36分経過した時の表示状態である。
当該患者の表示エリア、「透析中」及び「帰室予定14:57」の文字表示と、アナログ時計表示として、10:57〜14:57が経過時間として「青」で示され、14:57〜15:33の間が超過時間として「赤」で示されている。
なお、超過時間が表示された(予定時間を過ぎても患者が戻ってこない)場合、例えば視覚的アラーム3−1,3−2,3−3や聴覚的なアラーム4からの出力を行ってもよい。
【0026】
上述の如く、本発明の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置によれば、患者に装着された生体情報検出部によって測定された生体情報を直接若しくは処理して表示部の生体情報表示エリアに表示する生体情報モニタ装置において、前記表示エリアに、当該患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由と、帰室時間(測定再開予定時間)が医療従事者にとって認識し易い形で表示されるので、患者の帰室(入床)時の生体情報の測定再開忘れを防止できる。
【0027】
また、表示形態としては、図3に示すアナログ時計表示以外にも、図4(a)に示すバー表示アナログ時計表示でも良い。
図4(a)は、図2の入力画面から一時退室理由として「透析中」を、予定時間として「4時間」を選択して、10:57に「一時退室」ボタンを入力した後で、2時間経過した時の表示状態である図3(b)と同じ状態である。
当該患者の表示エリア、「透析中」及び「帰室予定14:57」の文字表示と、バー表示アナログ時計表示として、10:57〜12:57が経過時間として「青」で示され、12:57〜14:57の間が透析の残り時間として「白」で示されている。
なお、バー表示は図4(a)のアナログ時計のような環状でなく、図4(c)及び図4(d)の如き直線状に表現されても良い。
【0028】
また、表示形態としては、図3に示すアナログ時計表示以外にも、図4(b)に示す如くアナログ時計表示を用いずに文字表示のみでも良い。
【符号の説明】
【0029】
1:ステーション型の生体情報モニタ装置
2:表示画面
3−1,3−2,3−3:視覚的アラーム(LED)
4:聴覚的アラーム(スピーカ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に装着された生体情報検出部によって測定された生体情報を直接、若しくは前記生体情報をネットワークを介して受信し、表示部の生体情報表示エリアに表示する生体情報モニタ装置であって、
前記表示エリアに、当該患者の生体情報の測定の停止を伴う一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報の少なくともいずれか一つ以上を表示することを特徴とする一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項2】
前記生体情報モニタ装置には、更に、前記一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間の少なくともいずれか一つ以上を入力可能な一時退室入力手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項3】
前記一時退室入力手段は、予め設定された複数の一時退室理由及び測定再開予定時間の中から選択して入力することを特徴とする請求項2に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項4】
前記生体情報モニタ装置には、更に、視覚的又は聴覚的アラームを出力するアラーム出力手段を備え、
測定再開予定時間を経過しても測定が停止している場合、前記アラームが出力される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項5】
前記現在の経過情報は、現在時刻、経過時間、残り時間及び超過時間を区別して図形表示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項6】
前記図形表示は、現在時刻、経過時間、残り時間及び超過時間を区別してアナログ時計表示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項7】
前記図形表示は、現在時刻、経過時間、残り時間及び超過時間を区別して棒グラフ表示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項8】
前記一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置には、更に、コメント入力手段を備え、入力されたコメントを一時退室理由、退室時間、測定再開予定時間及び現在の経過情報と共に表示することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。
【請求項9】
複数の患者の生体情報を共通の表示部に表示して遠隔で監視するセントラルモニタであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の一時退室タイマー表示機能付き生体情報モニタ装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−67281(P2011−67281A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219492(P2009−219492)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】