説明

一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置

【課題】 サブミラー枠の上昇位置を検出して撮影レンズの光束のケラレやファインダ部からの洩光のないようにシャッタのスタートを制御する。
【解決手段】 メインミラー枠2の上昇位置を検出してオフになる常閉の第1のスイッチ10と、サブミラー枠5の上昇位置を検出してオフ状態に保持する常開の第2のスイッチ11を設け、両方のスイッチがオフ状態になるまでシャッタのスタートを制御するようにしてサブミラー枠5の上昇遅延によるケラレや露光ムラの発生を防止する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、撮影レンズ通過光線の一部を測距用あるいは測光用の受光素子に導くためのサブミラーを有する一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動焦点や自動露出の一眼レフカメラにおいては、通常測距用あるいは測光用の受光素子をミラーボックスの底面に配し、照準時には撮影レンズ通過光線をメインミラーのハーフミラー部を通過させ、メインミラー背後に斜設したサブミラーで反射させて下方の上記受光素子に導き、撮影時にはメインミラー及びサブミラーを撮影光路外に待避させるようになっている。
【0003】
従来、このようなサブミラーを有する一眼レフカメラでは、例えば、メインミラーを保持するメインミラー枠の回転軸をミラーボックス側面に回転自在に装着し、このメインミラー枠に枢着したサブミラー枠を、メインミラー枠の下降時にはミラーボックスとサブミラー枠間に係着したばねの付勢力が下降方向に回転変位してサブミラー枠をミラーボックスの規正ピンに当設させ、メインミラー枠の上昇時にはそのばねの付勢力が上昇方向に転移してメインミラー枠に対しサブミラー枠を密接させている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の一眼レフカメラにあって、サブミラー枠をばねの付勢力により回転変位させるためメインミラー枠の高速上昇時にサブミラー枠の追従が遅延し、フィルム面に露光する光束を遮ってケラレや露光ムラなどを発生するおそれがある。
この考案は上記の点に鑑みてなされたものであり、メインミラー枠の上昇位置で、サブミラー枠の追従遅延を検出してケラレや露光ムラなどの発生を防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この考案は上記の目的を達成するため、メインミラー枠に保持されるメインミラーのハーフミラー部を通過した光線を、上記メインミラー枠の背後に枢着したサブミラー枠に保持されるサブミラーで反射させてミラーボックス底面に配設した受光素子に導く一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置であって、上記サブミラー枠に、その枢着部に関して上記サブミラーの保持部と反対側に延設したカム部を設けるとともに、上記ミラーボックスにメインミラーの上昇位置を検出する第1のスイッチ部材と、上記サブミラーの上昇位置を検出する第2のスイッチ部材と、上記サブミラー枠のカム部に当接することにより上記第2のスイッチ部材を作動させる検出部材とを設けた一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置を提供するものである。
【0006】
そして、上記の一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置において、上記検出部材は、メインミラー枠上昇時の上記サブミラー枠の所定の位置にあるときは上記カム部に当接せず、且つ、上記サブミラー枠のバウンドを係止可能な位置に保持されているのが好ましい。
【0007】
【考案の実施の形態】
以下、この考案の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この考案の一実施形態のメインミラー下降状態をミラーボックスの一部を切り欠いて示す側面図、図2は、そのメインミラー上昇状態を示す側面図である。
【0008】
図1において、ミラーボックス1の両側壁にスイングバック式メインミラー枠2をカム溝1a内を移動可能な軸3により揺動自在に枢着し、図示しないばねにより図で反時計方向に付勢して、常時はミラーボックス1の内壁面に設けた位置決めピン1bにより所定の斜在位置に係止する。
【0009】
メインミラー枠2に軸4によりサブミラー枠5を回動自在に軸着し、メインミラー枠2及びサブミラー枠5にメインミラー6及びサブミラー7をそれぞれ固設する。そして、サブミラー枠5の軸4に関してサブミラー7の保持部と反対側にカム部5aを延設し、このサブミラー枠5をばね8により図で反時計方向に付勢し、常時はミラーボックス1の内壁面に設けた他の位置決めピン1cにより所定の斜在位置に係止する。
【0010】
また、メインミラー枠2に、メインミラー6の図示しないハーフミラー部に対応して開口部2aを設け、図1に示すメインミラー枠2の下降位置で、上記ハーフミラー部及び開口部2aを通過したレンズ光束の一部がサブミラー7で反射し、ミラーボックス1の底部に設けた受光素子9で受光し得るようにするとともに、図2に示すメインミラー枠2の上昇位置ではその開口部2aをサブミラー枠5により遮光し得るようにする。
【0011】
さらに、ミラーボックス1の上部外壁面に、常閉の第1のスイッチ10と、常開の第2のスイッチ11をシャッタ制御回路12に並列に接続し、第1,第2のスイッチ10,11が共にオフになったときを起点としてシャッターを制御する。
【0012】
ミラーボックス1の透孔1dを挿通して内部に突出する折曲部13aとピン13bを有する第1連結レバー13を、ミラーボックス1の側面に軸14により枢着してばね15により図で反時計方向に付勢する。また、ミラーボックス1の透孔1eを挿通して内部に突出するピン16aと折曲部16bを有する第2連結レバー16をミラーボックス1の側面に軸17により挿着してばね18により図で時計方向に付勢する。
【0013】
そして、第2連結レバー16のピン16aの位置は、上昇位置のサブミラー枠5のカム部5aに当接せず、且つサブミラー枠5の逆転を阻止する位置に設定する。
【0014】
このような構成で、図示しない公知のミラー駆動手段(例えば特開平10−171015号公報参照)により、図2に示すように、メインミラー枠2が上昇した位置では、第1連結レバー13の折曲部13aがメインミラー枠2に当接し、ばね15の付勢力に抗して第1連結レバー13が時計方向に回動してピン13bが第1のスイッチ10の可動接片10aを押動し、固定接片10bとの間に隙間を生じ第1のスイッチ10はオフとなる。
【0015】
メインミラー枠2の上昇過程において、サブミラー枠5のばね8の付勢力が図2で時計方向に反転し、その付勢力によりサブミラー枠5をメインミラー枠2の上昇位置直前でメインミラー枠2に急速に密接させる。これにより、サブミラー枠5のカム部5aは第2連結レバー16のピン16aに接触せず、第2のスイッチ11はオフの状態に保たれ、第1のスイッチ10がオフになった後にシャッタ制御回路12が働いてシャッタが作動する。このとき、ピン16aはサブミラー枠5の延接部側面を係止してそのバウンドを阻止する。
【0016】
このとき、図3に示すように、メインミラー枠2が上昇位置に到達しても、サブミラー枠5の作動が遅れてメインミラー枠2との密接位置に到達していないときは、サブミラー枠5のカム部5aが第2連結レバー16のピン16aに当接し、第2連結レバー16がばね18の付勢力に抗して図で反時計方向に回動してその折曲部16bが第2のスイッチ11の可動接片11aを押動し、固定接片11bと接触して第2のスイッチ11はオンとなる。したがって、シャッタは不作動状態に保たれ、サブミラー枠5が上昇した状態で第2のスイッチ11はオフとなってシャッタが作動する。
【0017】
【考案の効果】
以上述べたように、この考案による一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置は、メインミラーが上昇位置に変位しシャッタがレリーズされたとき、サブミラーの作動が遅れてフィルム面に達する光束を遮ったり、ファインダー部からの光線洩れによりカブリや露光ムラを生じたりする不都合をなくすることができる。
【0018】
そして、正常なメインミラー枠とサブミラー枠の上昇時には、第2連結レバーのピンがサブミラー枠の延設部側面を係止するので、サブミラー枠のバウンドを阻止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施形態のメインミラー下降状態をミラーボックスの一部を切り欠いて示す側面図である。
【図2】同じくメインミラー上昇状態を示す側面図である。
【図3】同じくメインミラー上昇状態でサブミラーの上昇途中の状態を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
1:ミラーボックス 1a:カム溝
1b:位置決めピン 1c:位置決めピン
1d:透孔 1e:透孔
2:メインミラー枠 2a:開口部
3:軸 4:軸
5:サブミラー枠 5a:カム部
6:メインミラー 7:サブミラー
8:ばね 9:受光素子
10:第1のスイッチ 10a:可動接片
10b:固定接片 11:第2のスイッチ
11a:可動接片 11b:固定接片
12:シャッタ制御回路 13:第1連結レバー
13a:折曲部 13b:ピン
14:軸 15:ばね
16:第2連結レバー 16a:ピン
16b:折曲部 17:軸
18:ばね

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 メインミラー枠に保持されるメインミラーのハーフミラー部を通過した光線を、上記メインミラー枠の背後に枢着したサブミラー枠に保持されるサブミラーで反射させてミラーボックス底面に配設した受光素子に導く一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置であって、上記サブミラー枠に、その枢着部に関して上記サブミラーの保持部と反対側に延設したカム部を設けるとともに、上記ミラーボックスにメインミラーの上昇位置を検出する第1のスイッチ部材と、上記サブミラーの上昇位置を検出する第2のスイッチ部材と、上記サブミラー枠のカム部に当接することにより上記第2のスイッチ部材を作動させる検出部材とを設けたことを特徴とする一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置。
【請求項2】 請求項1記載の一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置において、上記検出部材は、メインミラー枠上昇時の上記サブミラー枠の所定の位置にあるときは上記カム部に当接せず、且つ、上記サブミラー枠のバウンドを係止可能な位置に保持されていることを特徴とする一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3058350号
【登録日】平成11年(1999)3月10日
【発行日】平成11年(1999)6月18日
【考案の名称】一眼レフカメラのサブミラーの上昇位置検出装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平10−7910
【出願日】平成10年(1998)10月9日
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)