一般に血糖変動を、及び糖尿病患者の食後高血糖を測定するための、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)アッセイ及びA1C/1,5−AGアッセイの組合せ

本発明は、1,5−アンヒドログルシトールアッセイ(1,5−AG)又はA1C/1,5−AGアッセイの組合せによって、一般に血糖変動を、特に糖尿病患者の食後高血糖を測定する方法である。短期間における1,5−AG値及び1,5−AG値のパーセント変化は、同じようなA1C値を有する適切に管理された糖尿病患者において、異なる食事後グルコース値を示す。したがって、1,5−AGアッセイは、A1C値のみによっては同定可能でないであろう心血管系合併症の危険があり得る糖尿病患者を同定するのに有用である。さらに、各患者のA1Cを1,5−AGで割った比は、1,5−AG値より優れた指標である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年4月22日に出願した米国仮出願第60/674,386号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、1,5−アンヒドログルシトールアッセイ(1,5−AG)又はA1C/1,5−AGアッセイの組合せによって、糖尿病患者の食後高血糖を含めた血糖変動を測定する方法である。1,5−AG値及び短期間の1,5−AG値のパーセント変化は、同じようなA1C値を有する適切に管理された糖尿病患者において異なる食事後グルコース値を示す。したがって、1,5−AGアッセイは、A1C値のみによっては同定可能でないであろう心血管系合併症の危険があり得る糖尿病患者を同定するのに有用である。さらに、各患者のA1Cを1,5−AGで割った比は、1,5−AG値より優れた指標である。
【0003】
参照による組込み
下記の参照は、本明細書中でかっこ内の数字により言及されており、参照により本明細書中に組み込まれている。
(参考文献)

【背景技術】
【0004】
合併症を予防するための厳格な糖血症コントロールの重要性は、十分に立証されてきている。より最近では、研究により食後グルコースが大血管合併症を発生させる独立した危険因子であることが示されている(1〜3)。糖尿病を有する良好にコントロールされた多くの患者は、かなりの食後高血糖を有する。したがって、A1C測定よりも食後グルコース変動をより確実に反映する代わりのマーカーは、糖尿病を有する患者の長期療養において有益であり得る。ここで、「グルコース変動」とは、当初の量の水準に最終的に戻るであろうという意味合いを通常こめて、ある水準から他の水準へ血中グルコースの量が変動することを意味し、「A1C」又は同等に「HbA1c」は、グリコシル化ヘモグロビンを示す。
【0005】
1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(以下、1,5−アンヒドログルシトール又は「1,5−AG」と略する)は、グルコースと非常に似た化学構造を有し、ヒトの脳脊髄液及び血漿に存在する天然の食餌性ポリオールである。血漿中のその量は、健康な被験者では安定しており、特定の疾患、特に糖尿病を有する被験者では減少する。
【0006】
グルコースの腎閾値であり、正常な食後グルコースの上限である約180mg/dLで、一般に尿中グルコースが現れると、1,5−AGの血漿濃度が減少する。したがって、1,5−AG試験は、敏感及び迅速に血清グルコース値に反応し、数日内の糖尿の腎閾値を超えた一過性に上昇する血清グルコースさえも反映する(4、5)。対照的に、A1Cは、はるかに長い期間(2〜3ヶ月)に亘る平均グルコース量の反映であり、高血糖及び低血糖期間の両方を包含する。したがって、糖血変動は、A1Cモニタリングの状況において「平均化される」。
【0007】
臨床現場では、血漿又は血清中の1,5−AGは、1,5−AGを酸化する酵素を使用する酵素比色法に基づいた市販キットによって便利に測定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らの結果は、大きな臨床上の意義を有する。適切に管理された患者(A1C6.5〜8.0%)の一部の中に、かなりの食後高血糖症が存在する場合がある。さらに、同じようなA1C値で、1,5−AG値によって反映される異なる食後グルコース値となる場合がある。したがって1,5−AG値は、同じようなA1C値を有する適切に管理された患者において異なる食事後グルコース値を示し、したがって心血管系合併症の危険があり得る糖尿病患者を同定する。
【0009】
次いで臨床現場では、A1C及び1,5−AGを順次使用し、A1Cアッセイを最初に使用し、適切に管理された患者(A1C6.5〜8.0%)を同定し、次いで1,5−AGアッセイを使用して、異なる食事後グルコース値を決定する。
【0010】
本発明は、血中1,5−アンヒドログルシトール値によって特徴付けられる、一般に血糖変動を、特に糖尿病患者の食後高血糖を検査する方法に関する。
【0011】
本発明はさらに、1,5−アンヒドログルシトール値に基づいた食後の平均最高グルコース値を推定する計算式又は表を使用して、一般に血糖変動を、特に糖尿病患者の食後高血糖を検査する方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、1,5−アンヒドログルシトール値及び他の糖血症コントロールマーカー値の組合せによって特徴付けられる、一般に血糖変動を、特に糖尿病患者の食後高血糖を検査する方法に関し、他の糖血症コントロールマーカーは、A1C又は空腹時血漿グルコースでよい。
【0013】
本発明はさらに、A1C値と1,5−アンヒドログルシトール値の比、又はA1C値及び1,5−アンヒドログルシトール値の積をインデックスとして使用する、一般に血糖変動を、特に糖尿病患者の食後高血糖を検査する方法に関する。
【0014】
本発明はさらに、短期間に亘る少なくとも2回の連続測定から得た1,5−アンヒドログルシトール値の変化又はパーセント変化をインデックスとして使用する、一般に血糖変動を、特に糖尿病患者の食後高血糖を検査する方法に関し、この短期間は2〜7日でよい。
【0015】
さらに本発明において、糖尿病患者は、適切に管理された患者又はA1C値が6.5〜8.0%の患者でよい。
【0016】
本発明はさらに、糖尿病患者の1,5−アンヒドログルシトール値の測定に基づいた、患者の心血管系合併症の危険を推定するための方法に関する。
【0017】
本発明はさらに、血中1,5−アンヒドログルシトール値を測定するユニットを備える、一般に血糖変動を、特に糖尿病患者の食後高血糖を検査する装置に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1,5−AG値が糖尿を反映するという事実は、1,5−AG試験が、一般に血糖変動の、特に糖尿病患者の食後高血糖と通常称される上昇した食後グルコース変動の効果的な尺度であり得ることを示している。1,5−AGアッセイは、食後高血糖の評価に特定の関連性を有し、糖血症コントロールのA1Cに対する相補的指標であり得る。
【0019】
グルコース値の1分毎の記録を可能にする連続グルコースモニタリングシステム(「CGMS」)の登場によって、CGMSプロファイルと1,5AGの血清濃度を比較することが今や可能となり、1,5−AGと食後高血糖の発生との間の直接的実証を可能にする。本研究は、A1Cに反映されるように一見良好にコントロールされているが、食後の一過性糖血変動の結果として悪化している可能性がある糖尿病患者をより適時に評価するものとしての、1,5−AGの役割を調査した。
【0020】
1,5−AGアッセイ、並びに他の糖血試験(A1C、フルクトサミン、及び空腹時血漿グルコース)、並びに食後高血糖の関係を決定するために、A1C値により定義される適切に管理された患者において、CGMSによって行われるようなグルコース連続測定を、糖血試験値と比べた。
【0021】
18〜75歳の1型又は2型糖尿病を有し、安定的な糖血症コントロール下のA1Cが6.5〜8.0%の患者(適切に管理された患者)(n=34)を試験した。患者はCGMSモニターを連続72時間で2回装着し、7つの時点のフィンガースティックによる自らのグルコースプロファイルを調べた。
【0022】
180mg/dLを超えるグルコースの曲線下面積(「AUC−180」)及び各々72時間に亘るCGMSによって決定した平均グルコースを、ベースライン、4日目及び7日目に、1,5−AG(μg/mL)、フルクトサミン(μmol/l)及びA1C(%Hb)と比較した。
【0023】
上記の関係の相関係数及び多変量解析を調査した。
【0024】
1,5−AGは、A1C又はフルクトサミンよりも、食後グルコース変動とより有意な相関関係を有し、1,5−AGは、高水準及び低水準の食後グルコース変動を有する2群間で有意な差異を示すことをその結果は示した。A1C、フルクトサミン、及び空腹時血漿グルコースについては、これらの群間での差異は示さなかった。さらに、CGMSプロファイルは、食事後グルコース値が、食事後に同時に各々の最高値に到達しないことを示した。したがって、自己モニタリングのグルコースメーターなどの従来の方法によって測定された食後グルコース値は、食後グルコース変動の全ての状態を反映しない。1,5−AGは、食後グルコース変動の正確な状態を好都合に決定することができる唯一の公知のマーカーである。
【0025】
さらに、糖血症コントロールの状態は、各々の糖尿病患者によって非常に異なる。ある患者は、高い空腹時血漿グルコース値と高いグルコース変動を有する場合がある。他の患者は、正常に近い空腹時血漿グルコース値を有するが、グルコース変動は高い場合がある。良好にコントロールされた患者は、正常又は正常に近い空腹時血漿グルコース値を有し、グルコース変動は、健康な被験者と同レベルである。
【0026】
現在のところ、多くの種類の薬物が糖尿病患者の治療に使用されている。薬物の各々の種類は、異なる作用機序を有する。例えばα−グルコシダーゼ阻害剤は、速効性インスリン分泌薬又は短時間作用型インスリンとして食後高血糖を減少させる。スルホニル尿素の糖尿病薬は、空腹時血漿グルコース値が高い患者を治療するために使用される。正常に近い空腹時血漿グルコース及び高い糖血変動を有する患者は、食後高血糖を減少させる薬物で治療し得る。各患者に最も適した薬物を選択することが非常に重要である。1,5−AGは、糖尿病患者を治療するための最も適切な薬物を選択する上で有用な指標である。
【0027】
1,5−AGは、一般に血糖変動に関し、特に糖尿病患者の食後高血糖に関する情報を提供する。過去数日間の平均最高血漿グルコース値は、測定した1,5−AG値からも推定できる。
【0028】
1,5−AG値は、A1C、フルクトサミン又は糖化アルブミン値とほんの中程度に相関関係があるが、このような糖血症コントロールマーカーは、糖尿病患者の平均血漿グルコース値を反映する。1,5−AG値が、他の糖血症コントロールマーカー、特にA1Cから推定した1,5−AG値より低い場合、その患者は高いグルコース変動を有すると判断を下すことができる。A1C値と1,5−AG値の比又はA1C値と1,5−AG値の積を、高いグルコース変動を判断するためのインデックスとして使用するのにも有用である。
【0029】
空腹時血漿グルコース及び1,5−AGの組合せも有用である。1,5−AG値が低く、一方空腹時血漿グルコース値がほとんど正常範囲内の場合、患者は重度の食後高血糖であると思われる。
【0030】
短期間にグルコース変動の程度が変化する場合は、1,5−AG値もそれに応じてその期間中に変化する。したがって1,5−AGは、初期治療の間の薬物の効果を確認するために使用することができる。1,5−AGによる確認は7日以内で終えることができる。1,5−AG値のパーセント変化も、この確認のために使用することができる。
【0031】
食後グルコース上昇が優勢である、A1C値が8.0%までの適切に管理された糖尿病患者において、1,5−AG値は有意に異なる場合がある。食後グルコース変動を含めた血糖変動を検査するための1,5−AGの有用性は、6.5〜8.0%のA1Cの範囲において特に顕著である。A1Cは、1,5−AGで測定する必要がある患者を選択するために使用することができる。
【0032】
研究方法
患者集団:糖尿病患者(N=34)は、1型及び2型糖尿病を有する患者に均等に分布。
対象基準
・年齢18歳〜75歳、男性及び女性
・1型又は2型糖尿病と診断される
・A1C6.5〜8.0%(Bayer DCA−2000ポイントオブケアのメーターにより測定)
・最近顕著なコントロールの悪化又は改善がないこと(患者報告)、及び過去6ヶ月間において少なくとも1回事前にA1C測定をし、0.5%を超える測定間の変化がないことと定義される、安定した糖血症コントロール
・患者報告による、グルコースの少なくとも1日2回(2型)又は1日3回以上(1型)のモニタリング
【0033】
除外基準
・妊娠又は授乳期
・癌、末期肝臓病、慢性腎不全(クレアチニン>2.0mg/dL)、栄養失調(1年以内で意図しない体重減少>10%)、結合組織病の病歴
・著しい貧血(ヘモグロビン<10g/dL)、公知の異常血色素症、最近の献血、溶血、最近の失血を伴う手術
・不安定な網膜症又は最近の(<6ヶ月)網膜処置
・現在治験薬を摂取している患者又は任意の治療治験への積極的な参加者
・英語を話さない被験者
・血糖の自己モニタリングが不本意である、又はできない
・それ以前3ヶ月に助けを必要とする低血糖
【0034】
一連の経緯
1日目:1,5−AG、A1C、フルクトサミン及び空腹時血漿グルコース(「FPG」)のために血液採取した。CGMS装置を挿入し、患者は装置の管理方法を教えられた。
4日目:血液検査を繰り返し、CGMSセンサーを新たな部位に付け直した。3日目に24時間尿を集め、4日目に提出した。グルコース記録を回収し、メーターをダウンロードした。
7日目:血液検査を繰り返した。CGMS装置を取り除き、その部位を検査した。グルコース記録を回収し、メーターをダウンロードした。
【0035】
CGMS装置:患者は皮下に挿入したCGMS(MiniMed)装置を付け、1日目に挿入し、7日目に取り除いた。その部位を4日目に変えた。FDAに認可されたラベルの通りに装置を使用した。訓練された医療専門家が、局所消毒薬を使用して腹部の皮膚に小さなセンサーを挿入し、自動挿入装置及び導入針は直ぐに外された。センサーは皮膚の直ぐ下にあり、所定位置に保持するためにテープで固定する。センサーをモニターに接続し、そのモニターは医療提供者のオフィスのラップトップコンピュータにダウンロードして始めて利用できる測定値を記録した。
【0036】
フィンガースティックによるグルコース:患者は、フィンガースティックによるグルコースをチェックし、研究の1日目から6日目まで毎日、朝の空腹時、食前、食後2時間、及び就寝時のグルコース(7回まで)の記録を付けるように指示された。
【0037】
糖血アッセイ:1,5−AGをGlycoMark(1,5−AG試験の商品名、Tomen America Inc.,NYから購入)で測定した。A1C及びフルクトサミンを従来の方法で測定した。1日目、4日目及び7日目に採取した各患者の3つの血液試料を測定した。
【0038】
食後変数及び分析
試験した食後変数
糖血試験と、グルコース変動及び食後高血糖との関係を決定するために、下記を含む、CGMSで測定したいくつかの変数を使用した。
1)AUC−180(3日間及び7日間)−180mg/dLを超えるグルコース変動の総面積の測定を、72時間(3日間)毎に、患者毎に決定し、次いで全CGMS試験期間(7日間)として組み合わせた。AUC−180は、グルコース変動を反映するために使用される主要な変数である。
2)食事後平均(最高)グルコース(mg/dL)−各食事後グルコース変動の最高高さを決定し、次いで各患者の3回の食事(朝食、昼食、及び夕食)毎に平均した。全ての患者がCGMSユニットに食事マーカーを入力しなかったことに留意すべきである。したがって、食事後平均最高値を、患者の一部のみで決定した。上昇した食事後平均グルコース値は、特に食後高血糖を示す。
3)食後インデックス−4種類の変数、すなわち朝食後、昼食後、夕食後の最高グルコース値、及びAUC−180(7日間)を組み込むことによって、包括的グルコース変動及び食後高血糖インデックス(「食後インデックス(PI)」)を公式化した。すなわち、PIを上記の4種類の独立変数で重回帰により計算した。すなわち、係数及び切片を、各々の平均糖血アッセイ値、それらの比、又は1,5−AGのパーセント変化による多重線形回帰分析によって決定した。
【0039】
相関/多変量解析
3日間及び7日間に亘る、各患者の糖血試験の3種類の値(1,5−AG、A1C、及びフルクトサミン)の平均を、上記で概要を述べた食後変数と比較した。次いで、相関解析(Pearson)及び多変量解析を行った。
【0040】
(実施例1)
糖血アッセイ対食後変数(相関及び多変量解析)
平均AUC−180(7日間及び3日間)対糖血アッセイ値
研究は患者の全体的な代謝状態を反映するように設計されているため、全7日間に亘る実験室試験の平均値を使用し、AUC−180(7日間)と関連付けた。AUC−180(3日間)の場合、各3日間の終わりにアッセイ絶対値を使用した。相関(R値)及び対応するp値(p)を下記に示す。表に示すようにSteiger Z値を使用して、比較相関を計算した。
【0041】
【表1】


期間1の終わりは診察#2(研究の中間点)、及び期間2の終わりは診察#3(研究の終わり)である。比較相関を計算し、Steiger Z(1バール)値は、AUC−180(全期間)/A1C対AUC−180(全期間)/1,5−AG(Z=−3.01、p<0.01)、AUC−180(期間1)/A1C対AUC−180(期間1)/1,5−AG(Z=−1.99、p<0.05)**、AUC−180(期間2)/A1C対AUC−180(期間2)/1,5−AG(Z=−2.61、p<0.01)***であった。
【0042】
1,5−AGアッセイは、A1C及びフルクトサミンアッセイより、両期間ともAUC−180(3日間及び7日間)を反映する。A1Cは、フルクトサミンより相関する(対AUC)。AUC−180は、グルコース変動及び食後高血糖の主要な基準であるので、これらのデータは、1,5−AG値が、A1C又はフルクトサミンより変動及び食後高血糖を非常に反映することを示す。
【0043】
食事後平均最高グルコース対平均糖血アッセイ値
いくつかの公表されている食後アッセイ研究と同様に、食事後最高グルコース値を、食後高血糖の主要なインデックスとして測定する。各食事(朝食、昼食、及び夕食)の食事後平均最高グルコース値は、平均糖血アッセイ値と相関した。次いで、3種類の食事後グルコース最高値を、平均糖血アッセイ値と比較するために多変量解析における独立変数として使用した。
【0044】
【表2】

【0045】
1,5−AG値は、A1C又はフルクトサミンより、各々の食事後グルコース最大変数(朝食、昼食、及び夕食)に相関した。さらに、多変量解析(3回の食事後最大変数の混合)によって、1,5−AGは、A1C又はフルクトサミンより、食後高血糖をより有意に予測することが示された。
【0046】
糖血試験値と食後変数(AUC−180及び食事後最高グルコース値)とを比較する分析によって、1,5−AGアッセイが、従来の糖血アッセイ(A1C及びフルクトサミン)より食後高血糖をより強く反映することが示される。
【0047】
(実施例2)
「食後インデックス」対平均糖血アッセイ値
次いで、食後インデックス(「PI」)を、各々の平均糖血アッセイ値と比較した。食後インデックスは、上記で説明したように、食事後及びAUC−180変数の両方を捉える、包括的なグルコース変動及び食後高血糖の関数である。
【0048】
【表3】

【0049】
多変量解析によって、1,5−AGは、A1C又はフルクトサミンより有意に高い絶対R値を有し、1,5−AGアッセイが、従来の糖血アッセイ(A1C及びフルクトサミン)よりもグルコース変動及び食後高血糖をより強く反映することを示すことが示された。
【0050】
(実施例3)
1,5−AG変化対食後インデックス
平均1,5−AGアッセイ値を食後インデックスに相関させることに加えて、1,5−AG値の変化(2回目の患者診察から3回目の患者診察の%変化)は、食後インデックスと相関した。R値は0.82で、Rの2乗は0.67に等しかった。すなわち、1,5−AG値の変化は、食後インデックスにおける変動の67%を説明した。フルクトサミン変化又はA1C変化と、食後インデックスとの間の統計的に有意な関係はなかったことに留意すべきである。
【0051】
これらのデータは、特定の時期に亘って1,5−AG値を測定することが、グルコース変動及び食後高血糖のモニタリングにおいて有用であることを示す。食後高血糖を特に標的にした治療の効果をモニタリングするのに、これは特に有用である。
【0052】
(実施例4)
1,5−AG及びA1Cアッセイの組合せ対食後インデックス
1,5−AG及びA1Cアッセイ値の組合せと、食後高血糖との関係を決定するために、A1Cを1,5−AGで割った比(「A1C/1,5−AG」)を、食後インデックスと比較し、相関/多変量解析を行った。1,5−AG及びA1Cの各々対食後インデックスの相関を、比較をする目的で示す。
【0053】
【表4】

【0054】
A1C/1,5−AGの比は、A1Cアッセイ又は1,5−AGアッセイ単独よりも、食後インデックスへの強い相関を有し、2種類のアッセイの組合せは、グルコース変動及び食後高血糖をより予測することを示す。相関/多変量解析から、1,5−AGは、A1Cよりも、食後インデックスにより有意に寄与することも明らかである。A1C及び1,5−AGアッセイ変数の両方を各々の食後変数と比較する多変量解析によっても、これは支持され、1,5−AG(A1C値と併せた場合)が、個々の食後変数との関係の多くを変動させていることを示す。食後インデックスを変動させる上で、1,5−AGは主要な変数であるが、全体的にA1C/1,5−AGアッセイ比は、各アッセイ単独よりも、グルコース変動及び食後高血糖をより強く反映する。
【0055】
(実施例5)
臨床的有用性−食後高血糖を反映するための、A1Cアッセイを補助するアッセイとしての1,5−AGアッセイ
1,5−AGは食後インデックスを変動させる上で主要な変数であるが、前項で説明したように、A1C/1,5−AG混合アッセイ比は、各アッセイ単独より、グルコース変動及び食後高血糖をより強く反映する。これらの知見についての臨床上の可能性を調査するために、34人の適切に管理された患者(A1C6.5〜8.0%)を、総AUC−180値によって分類し、2つの集団「低い総AUC−180値」(17人の患者)及び「高い総AUC−180値」(17人の患者)に再分割した。下の表は、A1C及び1,5−AGアッセイパラメーター、並びに食後変数を示す。
【0056】
【表5】

【0057】
A1C、フルクトサミン及び空腹時グルコース値は、2群間で非常に類似しているが、1,5−AG及び朝食、昼食、又は夕食後の食事後グルコース変動の平均最高グルコース値(MPMG)は、2群間で有意に異なる。さらに、米国住民の1,5−AGの正常範囲は、6.8μg/mLを超える。これは上記の表における1,5−AG値の範囲が6.0μg/mL未満である「高い総AUC−180」群で観察されるものと一致し、相当な食後高血糖を反映する。したがって、A1C値は非常に似通っているが、特定の1,5−AG範囲は、食後グルコース値と関連している可能性がある。
【0058】
さらに、A1C/1,5−AG混合アッセイ比で得た結果と一致して、1,5−AGとAUC−180(A1Cのためにコントロール)との部分相関は、−0.38(p=0.01)であり、これは独立変数としての1,5−AGとAUC−180(r−0.48)との相関と比較してかなりの相関であり、所与のA1Cレベルでは、1,5−AGとAUC−180との間には有意な関係があることが示される。このような部分相関分析は、1,5−AGアッセイは、食後高血糖を含めたグルコース変動を反映する、A1Cアッセイの有用な補助アッセイであるというさらなる証拠を提供する。
【0059】
CGMSは、総AUC−180値又はMPMG値などのインデックスによってほんの大まかに捉えられた、正確な食後グルコース値を決定することができるが、CGMSはまた、単調で時間がかかる。CGMSは、多くの患者を扱う実際の診療には実用的ではない。1,5−AGは、食後グルコース変動レベルを反映する唯一の実用的なマーカーである。
【0060】
(実施例6)
臨床的有用性−1,5−AGアッセイ及び食事後グルコース参照範囲表
食事後平均最高グルコース値(朝食、昼食及び夕食全ての食事後グルコース値の平均、n=23)と、平均1,5−AGアッセイ値とを相関させることによって、いくつかの線形回帰式を、下記に示すように計算した。
【0061】
単純回帰
X変数:平均1,5−AG
Y変数:平均全食事後最高値
【表6】

【0062】
最適な線形回帰アプローチは、R値が0.68の双曲線回帰である(Y=A+B/X)。[食事後平均最高値=156.91+273.69/平均1,5−AG]と表される式を使用して、1,5−AG値と、対応する食事後平均最高グルコース値が一致する参照範囲表を計算し、下記に示す。この参照範囲表は、おおよその食事後グルコース値を、測定した1,5−AG値から導き出すために臨床的に使用し得る。
【0063】
1,5−AG値とおおよその食事後平均血糖値との関係(適切に管理された患者)
【表7】

【0064】
(実施例7)
臨床的有用性−診療における1,5−AGアッセイの使用
診療においてグルコース変動及び食後高血糖を測定するための1,5−AGアッセイの有用性をさらに実証するために、2人の代表の患者からのデータを図1A及び1Bに示す。図1Aの患者1は、図1Bの患者2(7.27%)と同じようなA1C(7.43%)を有する。対照的に、患者1の1,5−AGは、12.37μg/mLで正常範囲内であり、患者2は4.5μg/mLで対照的である。これは、患者2に対する患者1の各々より低いAUC(8対22mg/dL日)、及びより低いMPMG(195mg/dL対235mg/dL)にも一致する。CGMSの記録も、図に各患者について示され、異常な1,5−AGを有する患者、すなわち患者2では、かなりより大きなグルコース変動が明らかに示される。
【0065】
これらの代表の患者は、1,5−AGアッセイは、同じようなA1Cに関わらず、異なる食事後グルコース値を反映することを明らかに示す。食後グルコース上昇が優勢である適切に管理された又は最善の水準に次ぐ患者(A1C値6.5〜8.0%)で、これは特に重要である。
【0066】
診療において、最初にA1Cアッセイを用いて、適切に管理された患者(A1C6.5〜8.0%)を同定し、次いで1,5−AGアッセイを用いて、食後グルコース変動の程度を決定することによって、A1C及び1,5−AGを順次用いることができる(図2の診断アルゴリズム及び上記の実施例6の参照範囲表を参照のこと)。A1Cが目標を超え、1,5−AGが正常の場合、基礎グルコースを目標とした治療がより有用であり得る。他方、A1Cが目標を超え、1,5−AGが低い場合、食後グルコース上昇を目標とすることにより、より成果が上がり得る。これは、より徹底した食後モニタリング又は食後高血糖に特異的に対処する薬剤の追加を伴い得る。
【0067】
血糖の変化に対する1,5−AGの迅速な応答性によって、連続的な1,5−AG測定は、食後高血糖を評価するのに有用であり得る。これは、食後グルコースコントロールを特に目標とした治療の効果を検討する上で特に有用であり得る。大部分の患者において、完全な糖血症コントロールへの本当の障害が、不適切な食事にあるのか又は基礎血糖処置にあるのかを識別するのは困難である場合がある。集中的なインスリン治療中の1型糖尿病患者において必要である場合がある複雑な調節を行うために、自己モニタリングデータが不十分である場合が多い。他方、経口剤を使用している多くの2型糖尿病患者は、通常空腹状態で、血糖を1日1回又はそれ以下の頻度でしか調べない。1,5−AGは、このような状況において、A1Cを補助するものとして有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】同じようなA1C値を有するが、1,5−AG値が異なる2人の患者から得た血糖変動のプロファイルを示す。
【図1B】同じようなA1C値を有するが、1,5−AG値が異なる2人の患者から得た血糖変動のプロファイルを示す。
【図2】測定した1,5−AG値を使用した食後グルコースをコントロールするための診断アルゴリズムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト血液中の1,5−アンヒドログルシトール値を測定するステップを含む、ヒトの血糖変動を検査する方法。
【請求項2】
ヒトの前記血糖変動が糖尿病患者の食後高血糖である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
糖尿病患者の食後の平均最高血糖値を推定するステップをさらに含み、前記推定ステップが、1,5−アンヒドログルシトール値を使用するステップと、計算式又は表を使用するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1種類のさらなる糖血症コントロールマーカー値を測定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記さらなる糖血症コントロールマーカー値と1,5−AG値の比を計算するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記さらなる糖血症コントロールマーカーが、A1C、フルクトサミン、及び空腹時血漿グルコースの少なくとも1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記さらなる糖血症コントロールマーカーがA1Cである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
一定期間に亘ってヒト血液中の1,5−アンヒドログルシトール(「1,5−AG」)値を複数回測定するステップと、
ヒトの1,5−AG値の変化又はパーセント変化を計算するステップと
を含む、ヒトの血糖変動を検査する方法。
【請求項9】
ヒトの前記血糖変動が糖尿病患者の食後高血糖である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
測定が行われる期間が2日〜7日である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記糖尿病患者が6.5〜8.0%のA1C値を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記糖尿病患者が6.5〜8.0%のA1C値を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記糖尿病患者が6.5〜8.0%のA1C値を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記糖尿病患者が6.5〜8.0%のA1C値を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
請求項2の方法を含む、糖尿病患者の心血管系合併症の危険を推定する方法。
【請求項16】
請求項9の方法を含む、糖尿病患者の心血管系合併症の危険を推定する方法。
【請求項17】
前記糖尿病患者が、1型糖尿病患者又は2型糖尿病患者である、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記糖尿病患者が、1型糖尿病患者又は2型糖尿病患者である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
ヒト血液中の1,5−アンヒドログルシトール値を測定するユニットを含む、ヒトの血糖変動を検査するための装置。
【請求項20】
ヒトの前記血糖変動が糖尿病患者の食後高血糖である、請求項19に記載の装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−537154(P2008−537154A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507917(P2008−507917)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/015091
【国際公開番号】WO2006/116083
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【出願人】(507347820)トヨタ ツウショウ アメリカ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】