一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置及び当該検出方法
【課題】簡易にかつ正確に、一酸化炭素の人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うことができるガス警報器及びがス警報方法を提供する。
【解決手段】ROM12bには例えば酸素濃度18%中におけるCO濃度200,300,400,500,600,700,800,900,1000,1200,1400ppm毎の漏洩時間Tと血液中のCOヘモグロビン濃度との関係が予め記憶されている。CPU12aが、上記関係とガスセンサ10により検出されたCO濃度及び検出されたCO濃度の漏洩時間Tとに基づいて、血液中のCOヘモグロビン濃度を検出する。
【解決手段】ROM12bには例えば酸素濃度18%中におけるCO濃度200,300,400,500,600,700,800,900,1000,1200,1400ppm毎の漏洩時間Tと血液中のCOヘモグロビン濃度との関係が予め記憶されている。CPU12aが、上記関係とガスセンサ10により検出されたCO濃度及び検出されたCO濃度の漏洩時間Tとに基づいて、血液中のCOヘモグロビン濃度を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置及び当該検出方法に係り、特に、間欠的に血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置及び当該検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素(以下、CO)は燃焼器具を正常な状態で使用しても発生することが知られている。特に、鍋、やかん等の調理器具を用いて、お湯を沸かす場合に、冷たい調理器具が暖まるまでの間にCOが発生する。そこで、従来のガス警報器では、CO濃度が設定点を超えてもすぐには警報の発生を行わず、予め定めた遅延時間経過後も設定点を越えている状態が継続した場合に、警報を発生するようにしている。
【0003】
従来の家庭用のガス警報器では、(1)CO濃度が低濃度設定点200ppmに到達してから遅延時間15分以内に警報を発し、かつ、(2)CO濃度が高濃度設定点550ppmに到達してから遅延時間5分以内に警報を発するようにしている。
【0004】
上述した(1)、(2)に従って警報を発すれば、換気回数が小さい部屋で燃焼器具を燃焼させ、酸欠に伴い燃焼器具が不完全燃焼して、CO濃度が上昇し続けても、人体の血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度(以下COHb)が25%に達する前に警報が行えるようになっている。
【0005】
ところで、上述した(1)、(2)に示す低濃度・高濃度設定点、遅延時間は、検定規定制定時の要領(需−要−0113−84)によると、以下のようにして定められたものである。
(I)CO濃度上昇速度が遅い場合、無限時間漏洩された場合、COHbが25%になるCO濃度は230ppmである。
(II)CO濃度上昇速度が速い場合、換気回数:1回、部屋の大きさ:4.5畳、開放時の小型湯沸かし器を不完全燃焼させた場合、下記の3パターンを検証し濃度と時間を決定している。
i)燃焼器具の燃焼状態が良く、酸欠に伴い不完全燃焼する場合
ii)燃焼器具が経年劣化し、換気フィン1/4相当が閉塞された場合
iii)ii)より燃焼器具の劣化が進んだ場合
【0006】
一例として、ii)におけるCOHb(%)、CO濃度(ppm)及び時間(分)の関係を示すグラフを図19に示す。図中、L11がCOHbと時間との関係を示し、L12がCO濃度と時間との関係を示す。同図に示すように、燃焼開始後、CO濃度は上昇し続け、230ppm到達から17分後、550ppm到達から5分後にCOHbが25%になっている。
【0007】
上述した(I)、(II)−i)〜iii)のケースで、CO濃度が230ppm、550ppmに到達してからCOHbが25%になるまでの時間を図20に示す。図中、(II)−i)において550ppmに到達してから2分でCOHbが25%に達してしまうが、その前に、230ppmに到達してから15分が経過するため、COHb=25%未満での警報が可能となる。
【0008】
また、図中、(II)−iii)においても230ppmに到達してから10.3分でCOHbが25%に達してしまうが、その前に、550ppmに到達してから5分が経過するため、COHb=25%未満での警報が可能となる。なお、実際には安全を見て低濃度設定点を230ppmより低い200ppmとしている。
【0009】
しかしながら、従来のガス警報器では、(I)、(II)−i)〜iii)に示すような限られた条件内であるとき、COHbが25%に達する前に警報が発生されるように低濃度、高濃度設定点、遅延時間を定めている。このため、COの発生が上記条件に当てはまらない場合、COHbが25%に到達する前に警報を発生することができなかったり、COHbが危険なレベルではないのに警報が発生されてしまったりと、危険性と過剰な安全性とが混在した状態となってしまう。
【0010】
特に、業務用の厨房では換気扇作動なしの場合でも換気回数が5回/hと、家庭用に比べて換気量がかなり大きいため、燃焼器具が不完全燃焼してもCOがあまり上昇しない場合や、家庭用で想定したCO濃度上昇率以上の速度で高濃度に達する場合など、上記条件に当てはまらない場合が家庭用に比べて多い。
【0011】
図21に、現行のガス警報器の遅延時間継続して一定のCO濃度が流れたときのCO濃度とCOHbとの関係を示す。図中、200ppm〜550ppmの場合は遅延時間15分とし、550ppm以上の場合は遅延時間5分とし、200ppm以下は遅延時間無限としている。同図に示すように、CO濃度200〜550ppmではCOHb=15%以内で警報が発生される。一方、1500ppm以上や200ppmをわずかに下回るときはCOHb=25%を超えてから警報が発生される。この図からも分かるように、危険性と過剰な安全性とが混在した状態であり、COの人体に対する影響状況に応じたガス警報を正確に行うことができないという問題があった。
【0012】
そこで、このような問題を解決するために、COの人体への影響を考慮し、COHbに対応した係数Kを用いて遅延時間を設定するガス警報器が提案されている(特許文献1)。このガス警報器は、「家庭用ガス器具の低換気率室内での燃焼(酸欠燃焼)の危険性」(安全工学Vol.19 No.4 1980年の報文)に報告されているCO濃度、酸素濃度、漏洩時間からなる回帰式からCOHb値を求めて係数Kを決定し、遅延時間を決める方法をとっている。このように設定された遅延時間は人体の血液中のCOHbに応じた時間であり、COの人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うことができる。
【0013】
しかしながら、上述したガス警報器においては、係数Kを求めるために、COHbを求める必要がある。COHbは、空気中の酸素濃度、空気中のCO濃度、漏洩時間を関係式に代入して求めている。このため、CO濃度以外に酸素濃度も計測する必要があった。また、上記関係式は非常に複雑な高次の回帰式であり、高速度のCPUを必要としている。
【0014】
さらには、上述したガス警報器では、従来同様、設定点を越えた場合の遅延時間の調整を行っている。このため、設定点を越えないレベルでCOが長時間不安定に発生した場合、警報できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−39980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、簡易かつ正確に、一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置及び当該検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、一酸化炭素濃度を検出するガスセンサと、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する検出手段とを備えた一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係を示す指数関数式又は対数関数式が予め記憶されている記憶手段と、前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式と、前記ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置に存する。
【0018】
請求項1記載の発明によれば、記憶手段が、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係を示す指数関数式又は対数関数式が予め記憶されている。検出手段が、記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する。
【0019】
従って、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めたい時点に前記検出された一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に、前記求めたい時点の直前に前記一酸化炭素濃度が変化した時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と前記変化した時点から前記求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記求めたい時点での一酸化炭素濃度が前記加算漏洩時間、継続して漏洩したときの前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めて、前記求めたい時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度として検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置に存する。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、検出手段が、記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めたい時点に検出された一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に、求めたい時点の直前に一酸化炭素濃度が変化した時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と変化した時点から求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から求めたい時点での一酸化炭素濃度が加算漏洩時間、継続して漏洩したときの血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めて、求めたい時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度として検出する。従って、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出装置と、前記検出手段は、前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、変化時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出し、前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、前記記憶手段に記憶されている指数関数式又は対数関数式から前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの漏洩時間である到達時間を求め、前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記変化前の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、前記到達時間から前記求めた漏洩時間を差し引いた時間を遅延時間とし、該遅延時間が0に達したとき、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が前記所定値に達したと判断する判断手段と、前記判断手段によって血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値となったと判断されたとき、一酸化炭素が漏洩した旨を警報する警報発生手段とを備えたことを特徴とするガス警報器に存する。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、検出手段は、一酸化炭素濃度が変化する毎に、変化時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する。判断手段が、一酸化炭素濃度が変化する毎に、記憶手段に記憶されている指数関数式又は対数関数式から変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの漏洩時間である到達時間を求め、変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に変化前の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、到達時間から前記求めた漏洩時間を差し引いた時間を遅延時間とし、該遅延時間が0に達したとき、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が前記所定値に達したと判断する。従って、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの残時間を明確に求めつつ、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達したときに警報を発生することができる。
【0024】
請求項4記載の発明は、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を間欠的に検出する一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出方法であって、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の関係を示す指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出方法に存する。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の関係を示す指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する。従って、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように請求項1、2及び4記載の発明によれば、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができるので、簡易にかつ正確に、一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めることができる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの残時間を明確に求めつつ、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達したときに警報を発生することができるので、正確に、一酸化炭素の人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のガス警報方法を実施したガス警報器の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】酸素21%中におけるCO濃度と、COHbが各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。
【図3】酸素21%中におけるCO濃度と、COHbが各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。
【図4】酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。
【図5】酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。
【図6】CO濃度、逆数・時間積及び遅延時間の関係を示すタイムチャートである。
【図7】酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す両対数グラフである。
【図8】COHbYs、Y1、到達時間Ts及び漏洩時間T1の関係を示すグラフである。
【図9】COHbY1、Y2、漏洩時間T1、T2の関係を示すグラフである。
【図10】参考例におけるCPU12aの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】COHbと到達時間との関係を示すグラフである。
【図12】COHbと到達時間との関係を示すグラフである。
【図13】到達時間の逆数・時間積と時間との関係を示すグラフである。
【図14】酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す両対数グラフである。
【図15】第1実施形態におけるCPU12aの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】CO濃度と漏洩時間との関係を示すグラフである。
【図17】第2実施形態におけるCPU12aの処理手順を示すフローチャートである。
【図18】酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す表である。
【図19】ii)におけるCOHb(%)、CO濃度(ppm)及び時間(分)の関係を示すグラフである。
【図20】(I)、(II)−i)〜iii)のケースで、CO濃度が230ppmm、550ppmに到達してからCOHbが25%になるまでの時間を示す表である。
【図21】現行のガス警報器の遅延時間継続して一定のCO濃度が流れたときのCO濃度とCOHbとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
参考例
以下、本発明のガス警報器及びガス警報方法の参考例を図面に基づいて、参照して詳細に説明する。図1は本発明のガス警報方法を実施したガス警報器の一実施の形態を示す回路図である。同図に示すように、ガス警報器は、ガスセンサ10を備え、ガスセンサ10としては、例えば、一酸化炭素(以下CO)の酸化反応により、CO濃度に応じた電流が流れる電気化学式のセンサを用いており、CO濃度に応じた電流を電圧に変換して、マイクロコンピュータ(μCOM)12に出力している。
【0030】
μCOM12は、処理プログラムに従って各種の処理を行う中央演算処理ユニット(以下、CPU)12a、CPU12aが行う処理のプログラムなどを格納した読出専用のメモリであるROM12b及びCPU12aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM12cを有し、これらがバスラインによって接続されている。
【0031】
上述したCPU12aは、上述したガスセンサ10の出力を取り込んで、CO濃度を検出する。さらに、ガス警報器は、COの漏洩警報を出力するスピーカ13及びスピーカ13を駆動する音声警報出力回路14を備えている。音声警報出力回路14は、CPU12aによって制御される。
【0032】
次に、上述したガス警報器の警報原理について、図2〜図9を参照して以下説明する。図2は、酸素濃度21%中におけるCO濃度と、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度(以下COHb)が各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。図3は、酸素濃度21%中におけるCO濃度と、COHbが各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。また、図4は、酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。図5は、酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。
【0033】
図3に示すように、例えば、酸素濃度が21%のときは、300(ppm)のCOが漏洩し続けると18.13分後にCOHb=10%となり、400(ppm)のCOが漏洩し続けると13.01分後に、COHb=10%となる。また、図5に示すように、例えば、酸素濃度が18%のときは、300(ppm)のCOが漏洩し続けると14.54分後にCOHb=10%となり、400(ppm)のCOが漏洩し続けると10.07分後に、COHb=10%となる。
【0034】
図2及び図4の両対数グラフからも明らかなように、CO濃度が増加するに従って、到達時間は指数関数的に減少する。つまり、CO濃度Xと、COHbが5、10、15、20、25%となるまでの到達時間Tとの関係は下記(1)及び(2)に示すように指数関数式または対数関数式によって表すことができる。
T=a1・Xb1(a1、b1は定数) …(1)
LogT=b1・LogX+Loga1
=b1・LogX+c(∵Loga1=c) …(2)
また、図2及び図4を比較しても明らかなように、酸素濃度が低いと、COHbが各々5、10、15、20、25%になるまでの到達時間が短くなる。
【0035】
また、本参考例では、酸素濃度を18%と仮定し、COHb=10%となったとき、CO漏洩警報を発生する場合について説明する。この場合、図4及び図5に示すような、酸素濃度18%中におけるCO濃度と、COHbが10%となるまでの到達時間との関係を表す上述した(1)及び(2)に示すような指数関数式または対数関数式(図中直線L)を例えばROM12b(=記憶手段)内に予め記憶させておく。次に、ガスセンサ10により検出されたCO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積と、CO濃度の関係について説明する。まず、300(ppm)の漏洩が発生した場合、このCO濃度に対応する到達時間は、図4及び図5に示すように、14.54分である。従って、その逆数は1/14.54となり、逆数・時間積は、図6に示すように、1/14.54の傾きで増加する。仮に300(ppm)の漏洩が10分間継続した場合、逆数・時間積は10/14.54となる。
【0036】
その後、CO濃度が200(ppm)に変化すると、このCO濃度に対応する到達時間は、図4に示すように、24.48分となる。従って、その逆数は1/24.48となり、逆数・時間積は、図6に示すように、300(ppm)の漏洩時の傾き1/14.54より小さい1/24.48の傾きで増加する。仮に200(ppm)の漏洩が3分継続した場合、逆数・時間積は(10/14.54+3/24.48)となる。さらに、CO濃度が400(ppm)に変化すると、このCO濃度に対応する到達時間は、図4及び図5に示すように、10.07分である。従って、その逆数は1/10.07となり、逆数・時間積は、図6に示すように、200、300(ppm)の漏洩時の傾き1/24.48、1/14.54より大きい1/10.07の傾きで増加する。
【0037】
このことからも明らかなように、上述した逆数・時間積は、CO濃度が高い程、急激に増加し、CO濃度が低い程、緩やかに増加する。つまり、現逆数・時間積はCOHb10%に対する現在のCOHbに相当する。従って、1から現逆数・時間積を差し引いた差分と、現CO濃度に対応する到達時間とを乗じた時間はCOHb10%に達するまでの残時間に相当する。
【0038】
上述した現逆数・時間積とCOHbとの関係について、より詳細に説明する。図7は、酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す両対数グラフである。各CO濃度毎の漏洩時間TとCOHb濃度Yの関係は両対数グラフではほぼ直線の関係が得られ、下記式(3)及び(4)に示すように、指数関数式又は対数関数式によって表すことができる。
Y=a・Tb(a、bは定数) …(3)
LogY=b・LogT+Loga …(4)
【0039】
また、CO濃度毎の各式(3)及び(4)はほぼ並行な直線と言えるので、上記(3)及び(4)中の係数bは一定で係数aがCO濃度毎に決まる係数と言え、下記の指数関数式(5)及び対数関数式(6)で表せる。
Y=ax・Tb(axは各CO濃度に対応する定数)…(5)
LogY=b・LogT+Logax …(6)
【0040】
従って、現CO濃度とその濃度での漏洩時間Tが分かれば、容易に現時点でのCOHbを算出できる。今、警報値として設定したいCOHbをYs%、CO濃度XでのCO漏れが継続したとき、COHbがYs%に到達するまでの到達時間をTsとして、上記式(6)に代入すると、下記の式(7)が得られる。
LogYs=b・LogTs+Logax …(7)
【0041】
また、所定CO濃度での任意の漏洩時間をT1、このときのCOHbをY1として、上記式(6)に代入すると、下記の式(8)が得られる。なお、任意の漏洩時間T1は図8に示すように、COHb=Ys%に到達するまでの任意の時間であり、到達時間Tsより短い。
LogY1=b・LogT1+Logax …(8)
【0042】
式(7)−式(8)により、
LogY1−LogYs=(b・LogT1+Logax)−(b・LogTs+Logax)
Log(Y1/Ys)=b(LogT1−LogTs)
=bLog(T1/Ts)
【0043】
上記式からY1/Ys=(T1/Ts)bとなる。従って、所定CO濃度Xの漏洩が継
続したときにCOHb=Ysとなるまでの到達時間Tsの逆数1/Tsと任意の漏洩時間T1との積は、上記設定したいCOHb=Ysに対する任意の漏洩時間T1時点でのCOHb=Y1の比率(Y1/Ys)となる。上記到達時間Tsの逆数・時間積は、COHb濃度に相当すると言える。
【0044】
次に、途中でCO濃度が変化した場合の、COHb=Ysに到達するまでの残時間の求め方について説明する。上述したように、異なるCO濃度での漏洩時間TとCOHbYとの関係は、同じ傾きbで切片Logaが異なる式(6)で表せる。
LogY=b・LogT+Logax(axは各CO濃度に対応する値) …(6)
【0045】
今、警報値として設定したいCOHbをYs%、Log(a1)の切片をもつCO濃度X1でのCO漏れが継続したとき、COHbがY2%に到達するまで到達時間をT1として、上記式(6)に代入すると下記の式(9)が得られる。
LogY2=bLogT1+Loga1 …(9)
【0046】
また、警報値として設定したいCOHbをYs%、Log(a2)の切片を持つCO濃度X2でのCO漏れが継続したとき、COHbがY2%に到達するまで到達時間をT2として、上記式(6)に代入すると下記の式(10)が得られる。
LogY2=bLogT2+Loga2 …(10)
【0047】
図9に示すように、初めにCO濃度X1での漏洩が漏洩時間T3継続し、その後、CO濃度X2での漏洩が継続した場合について考えてみる。このとき、CO濃度がX1からX2に切り替わる漏洩時間T3でのCOHb(Y1)と、初めからCO濃度X2の漏洩が継
続し続けたときCOHb(Y1)に達するまでの到達時間T4との関係は下記の式で表せ
る。まず、COHb(Y1)、漏洩時間T3を式(6)に代入して式(11)を得る。
LogY1=bLogT3+Loga1 …(11)
次に、COHb(Y1)、到達時間T4を式(6)に代入して式(12)を得る。
LogY1=bLogT4+Loga2 …(12)
【0048】
上記(9)、(10)式より、Loga1−Loga2=bLogT2−bLogT1また、(11)、(12)式より、
LogT4=(Loga1−Loga2+bLogT3)/b
=(bLogT2−bLogT1+bLogT3)/b
=LogT2−LogT1+LogT3
=Log(T2・T3/T1)
【0049】
従って、T4=T2・T3/T1となる。濃度が切り替わってからの残時間(T2−T4)はT2−T4=T2−(T2・T3/T1)=T2(1−(T3/T1))となる。
従って、「1から現逆数・時間積(T3/T1)を差し引いた差分と現CO濃度に対応する到達時間(T2)を乗じた値が残時間」と言える。
【0050】
なお、この時の逆数・時間積の総和はΣ(a/T)は下記の式(12)で表せる。
Σ(a/T)=(T3/T1)+((T2−T4)/T2)
=(T3/T1)+(T2(1−(T3/T1))/T2
=1
となり、途中で濃度が切り替わっても、傾きbが同じであれば、逆数・時間積の総和は変わらないと言える。
【0051】
そこで、CPU12aは、COHb10%に達するまでの残時間に相当する1から現逆数・時間積を差し引いた差分と、現CO濃度に対応する到達時間とを乗じた時間を遅延時間とし、この遅延時間が0に達したときCOHb濃度が10%になったと判断して、警報を発生する。これにより、従来のように複雑な高次の回帰式を使ってCOHbを直接算出しなくても、COHbがCOHb10%(=所定値)に達したときに警報を発生することができる。
【0052】
CPU12aは、具体的には、以下のように動作する。まず、300(ppm)の漏洩が発生した場合、このCO濃度に対応する到達時間は、図5に示すように、14.54分である。CPU12aは、図6に示すように、この到達時間14.54分を遅延時間として設定し、300(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間14.54をカウントダウンする。仮に300(ppm)の漏洩が10分間継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.54(=14.54−10)となる。
【0053】
その後、CO濃度が200(ppm)に変化すると、CPU12aは現時点までのCO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積を求める。上述したように現時点では300(ppm)のCO漏洩が10分継続した状態であるため、上記逆数・時間積は10/14.54となる。そして、CPU12aは、1から求めた逆数・時間積10/14.54を差し引いた差分(1−10/14.54)と、変化後のCO濃度200(ppm)に対応する到達時間24.48分とを乗じた時間7.64分(=24.48・(1−10/14.54))を遅延時間として設定し、200(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間7.64分をカウントダウンする。なお、遅延時間7.64分は、図4に示すCOHb10%の直線Lを、300(ppm)、4.54分を通るように並行移動した直線L′上の200(ppm)に対応する到達時間とも言える。
【0054】
仮に200(ppm)の漏洩が3分継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.64分(=7.64−3)となる。さらに、CO濃度が400(ppm)に変化すると、CPU12aは現時点までのCO濃度に対応する到達時間Tの逆数・時間積αを求める。上述したように現時点では300(ppm)のCO漏洩が10分、200(ppm)のCO漏洩が3分継続した状態であるため、上記逆数・時間積は(10/14.5+3/24.48)となる。そして、CPU12aは、1から求めた逆数時間積を差し引いた差分(1−(10/14.5+3/24.48))と、変化後のCO濃度400(ppm)に対応する到達時間10.07分とを乗じた時間1.91分を新たな遅延時間として設定し直し、400(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間1.91分をカウントダウンする。CPU12aは、この遅延時間が0となったとき、COHb濃度が10%になったと判断して、警報を発生する。
【0055】
上述したガス警報器の詳細な動作について、図10のCPU12aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。CPU12aは、例えば、ガスセンサから出力されるCO濃度が所定濃度を越えた時点で警報処理を開始し、逆数・時間積を求める。まず、CPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS1)。次に、CPU12aは、例えばRAM12c内に予め記憶されている酸素濃度18%中におけるCO濃度と、COHbが10%となるまでの到達時間との関係を表す指数関数式や対数関数式に、ステップS1で検出したCO濃度を代入して、到達時間Tを求め(ステップS2)、求めた到達時間Tを遅延時間dlに設定する(ステップS3)。
【0056】
次に、再びにCPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS4)。このステップS4で検出したCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が所定値以下であれば、CO濃度に変化がないと判断して(ステップS5でN)、カウントダウン手段として働き、遅延時間のカウントダウンを行った後(ステップS6)、ステップS8に進む。
【0057】
これに対して、ステップS5で検出したCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が所定値より大きければ、CO濃度に変化があると判断して(ステップS5でY)、設定手段として働き、CO濃度が所定濃度を越えてから現在までの逆数・時間積αを求め、1から求めた逆数・時間積αを差し引いた差値(1−α)に、変化後のCO濃度に対する到達時間Tを乗じた値を遅延時間Tdlとして新たに設定した後(ステップS7)、ステップS8に進む。
【0058】
なお、CO濃度が所定濃度を越えてから現在までの逆数・時間積αを求める方法としては、例えば、ステップS5でCO濃度に変化があると判断される毎にリセットされ、CO濃度に変化がないと判断される毎にカウントアップされる継続時間カウンタを設ける。この継続時間カウンタによってCO濃度が一定を保つ継続時間をカウントすることができる。そして、ステップS5でCO濃度に変化があると判断される毎に、変化前のCO濃度に対応する到達時間の逆数と、継続時間カウンタによってカウントされた継続時間とを乗じた値を積算することにより求めることができる。
【0059】
ステップS8において、CPU12aは、判断手段として働き、遅延時間Tdlが0以下になったか否かを判断し、0以下であれば(ステップS8でY)、COHbが10%に達したと判断して警報発生手段として働き、音声警報出力回路14に対してCO警報信号を出力する(ステップS9)。これを受けて、音声警報出力回路14はスピーカ13を制御してCO漏洩の旨の警報を発生する。これに対して、CPU12aは、遅延時間Tdlが0より大きければ(ステップS8でN)、再びステップS4に戻る。CPU12aはCO濃度が再び所定濃度以下となると警報処理を終了し、逆数・時間積をリセットする。
【0060】
上述したように到達時間の逆数・時間積αは、COHb=10%に対する現在のCOHbに相当し、この到達時間の逆数・時間積αに基づいてCOHbが10%に達したか否かを判断するため、複雑な高次の回帰式を使ってCOHbを直接算出しなくても、COHbが10%に達したときに警報を発生することができる。しかも、1から到達時間の逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、CO濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)は、COHbが10%に達するまでの残時間に相当し、この残時間を遅延時間Tdlに設定しているため、COHbが10%に達するまでの残時間を明確に求めることができる。これにより、例えば、遅延時間を報知したりすれば、ユーザは一酸化炭素漏洩時の対策を的確に取ることができる。
【0061】
また、上述したガス警報器によれば、ガスセンサ10が検出したCO濃度が変化する毎に、CO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積αを求め、1から逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、変化後の一酸化炭素濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)を遅延時間Tdlとして設定し、設定された遅延時間Tdlをカウントダウンしている。さらに、遅延時間Tdlをカウントダウンした結果、遅延時間が0となったとき、COHb=10%を越えたと判断している。従って、CO濃度が変化していない間、遅延時間Tdlがカウントダウンされているため、到達時間の逆数・時間積αはCO濃度が変化する毎に求めればよく、逐次求める必要がない。このため、CPU12aの処理容量を減じることができ、より簡便で簡素な構成で警報を発生することができる。
【0062】
また、上述したガス警報器によれば、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を、上述した式(1)及び(2)に示すような指数関数式や対数関数式として記憶させていた。ここで、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を一次関数で近似した場合について図11を参照して考えてみる。図11中、L21及びL22は、300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHbと到達時間との実際の関係を示すグラフである。一方、L31、L32は、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を一次関数で近似し、この近似した一次関数から求めた300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHbと到達時間との関係を示すグラフである。
【0063】
同図に示すように、実際には、300ppmが33.15分継続した場合、COHb=15%となるが、一次関数で近似すると、COHb=15%となるのは66.9分後である。しかしながら、66.9分経過したときの実際のCOHbは20.7%まで上昇している。つまり、一次関数では実際のCO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を正確に近似することができず、正確にCOの人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うということは言えない。
【0064】
次に、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を指数関数や対数関数で近似した場合について図12を参照して考えてみる。図12中、L41及びL42は各々、300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHb対数値と到達時間対数値との実際の関係を示すグラフである。一方。L51及びL52は各々、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を指数関数や対数関数で近似し、この近似した指数関数や対数関数から求めた300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHb対数値と到達時間対数値との関係を示すグラフである。図11及び図12を比較しても分かるように、指数関数や対数関数で近似した方が一次関数で近似する場合に比べて正確に近似できることがわかる。
【0065】
また、図13は一定のCO濃度が漏洩し続けたときの到達時間の逆数・時間積と時間との関係を示すグラフである。図中L61は実測値である。L62はCO濃度とCOHbが所定値に達するまでの到達時間との関係を指数関数や対数関数で近似し、この近似した指数関数や対数関数から求めた到達時間の逆数・時間積と経過時間との関係を示す。L63はCO濃度とCOHbが所定値に達するまでの到達時間との関係を一次関数で近似し、この近似した一次関数から求めた到達時間の逆数・時間積と経過時間との関係を示す。このグラフからも対数関数や指数関数で近似した方が一次関数で近似する場合に比べて正確に近似でき、より正確にCOの人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うことができる。
【0066】
なお、上述した参考例では、CO濃度が変化すると、CO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積αを求め、1から逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、変化後のCO濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)を遅延時間Tdlとして設定し、CO濃度が変化しない間は、設定された遅延時間Tdlをカウントダウンしていた。
【0067】
しかしながら、本発明の遅延時間の設定は上述した参考例に限定されず、例えば、ステップS4でCO濃度が検出される毎に、毎回、CO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積αを求め、1から逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、現CO濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)を遅延時間Tdlとして設定することも考えられる。逆数・時間積αを求める具体的な方法としては、例えば、CO濃度の検出がΔT毎に行われる場合、前回求めた逆数・時間積αに、1/TとΔtとを乗算した値Δt/Tを加算して求める。
【0068】
この場合、遅延時間Tdlをカウントダウンする必要はないが、CO濃度を検出する毎に、逆数・時間積αや現CO濃度に対応する到達時間Tを求める必要があり、CPU12aに高い処理能力が求められるため、上述したようにCO濃度が変化していない間はカウントダウンした方が望ましい。
【0069】
また、上述した参考例では、遅延時間Tdlとして設定するCOHbが所定値に達するまでの残時間を、1から逆数の時間積αを差し引いた差分(1−α)と、変化後のCO濃度に対応する到達時間Tとを乗じて求めていた。しかしながら、これに限らず例えば、変化後のCO濃度に対応する到達時間Tからこの到達時間Tに逆数の時間積αを乗じた時間T・αを差し引いて求めてもよい。
【0070】
さらに、参考例では、CO濃度とCOHbが例えば10%になるまでの到達時間との関係を示す指数関数式や対数関数式を記憶させていた。しかしながら、CPU12aの性能によって指数計算が困難である場合は、上述した指数関数式や対数関数式を、一次関数を幾つか組み合わせた式によって近似し、その近似式によりCO濃度に対する到達時間を求めることも考えられる。また、図3及び図4に示すような、CO濃度とCOHbが例えば10%になるまでの到達時間との関係を示すテーブルを記憶させて、このテーブルからCO濃度に対する到達時間を求めることも考えられる。
【0071】
第1実施形態
次に本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態における本発明のCOHbの検出装置を組み込んだガス警報器の構成は図1について上述した参考例と同様なためここではその詳細な説明は省略する。参考例と異なる点はROM12b内に記憶させる関係式の内容である。上述した参考例では、所定酸素濃度(例えば酸素濃度18%)中におけるCO濃度とCOHbが10%となるまでの到達時間との関係を表す上述した(1)及び(2)に示すような指数関数式または対数関数式をROM12b内に予め記憶させていた。
【0072】
これに対し、第1実施形態では、図7に示すように、酸素濃度18%におけるCO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHb(Y)との関係を表す上述した式(5)及び(6)に示すような指数関数式または対数関数式をROM12b内に予め記憶させている。
Y=ax・Tb(axは各CO濃度に対応する定数)…(5)
LogY=b・LogT+Logax …(6)
【0073】
以下、CPU12aの動作を図6に示すタイムチャートを参照に以下説明する。第1実施形態でも、参考例と同様にCOHbが10%となったときに警報を発生する例について説明する。第1実施形態において、CPU12aはCO濃度が変化する毎に、変化時点のCOHbを検出する。即ち、第1実施形態では、COHbを求めたい時点が図6の時点O、A、Bに示すようにCO濃度が変化した時点となる。
【0074】
また、CPU12aは、CO濃度が変化する毎に、COHbが10%に達するまでの漏洩時間である到達時間Taを求める。CPU12aは、変化後のCO濃度の漏洩が継続した場合に変化時点のCOHbに達するまでの漏洩時間Tbを求める。CPU12aは、到達時間Taから求めた漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間Tdlとし、遅延時間Tdlが0に達したとき、COHbが10%に達したと判断して警報を発生する。
【0075】
今、図6に示すように、ガスセンサ10によって検出されたCO濃度が0から所定濃度を越えて300(ppm)に変化してCOの漏洩が開始されたとする。この変化に応じてCPU12aは、まず変化時点OのCOHbを検出する。300(ppm)に変化する前のCO濃度は0(ppm)であるため、当然変化時点OのCOHbは0%である。従って、CPU12aは変化時点OのCOHbとして0%を記憶する。
【0076】
また、CPU12aは、変化後のCO濃度300(ppm)の漏洩が継続したときにCOHbが10%に達する漏洩時間である到達時間Taを求める。具体的には、CPU12aはまず、ROM12b内からCO濃度300(ppm)に対応する式(13)及び(14)に示すような指数関数式または対数関数式を抽出する。
Y=a300・Tb(a300はCO濃度300ppmに対応する定数)…(13)
LogY=b・logT+Loga300 …(14)
【0077】
次に、CPU12aは、上記式(13)及び(14)にY=10%を代入して得た漏洩時間Tを到達時間Taとする。求めた結果、到達時間Taは14.54分となる。即ち、CO濃度300(ppm)の漏洩継続すると、14.54分後にCOHbが10%に達する。次に、CPU12aは、変化後のCO濃度300(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点OのCOHbに達するまでの漏洩時間Tbを求め、到達時間Taから求めた漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間Tdlとする。上述したように変化時点OでのCOHbは0%である。このため、式(13)及び(14)にY=0%を代入するまでもなく、変化時点OのCOHb=0%に達するまでの漏洩時間Tbが0分であることが分かる。
【0078】
式(13)及び(14)にY=0%を代入して、変化時点OのCOHb=0%に達するまでの漏洩時間Tbを求め、到達時間Taから求めた漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間Tdlとしてもよいが、本実施形態では計算を簡単にするためCPU12aは、変化時点OのCOHb=0%である場合、到達時間Taを直接、遅延時間Tdlとする。
【0079】
CPU12aは、図6に示すように、この遅延時間Tdl=到達時間Ta=14.54分として設定し、300(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間14.54分をカウントダウンする。仮に300(ppm)の漏洩が10分間継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.54(=14.54−10)となる。
【0080】
その後、CO濃度が200(ppm)に変化すると、CPU12aは、この変化に応じて変化時点AでのCOHbを求める。即ち、時点AがCOHbを求めたい時点となる。(時点Aの直前にCO濃度が変化した時点は0から300(ppm)に変化した時点Oである。時点OのCOHbは当然0%である。CPU12aは、変化時点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点OでのCOHb=0%に達するまでの漏洩時間を求め、求めた漏洩時間と変化時点Oから時点Aまでの漏洩時間10分とを加算した加算漏洩時間を求める。上述したCOHb=0%に達するまでの漏洩時間は、式(13)及び(14)にY=0%を代入するまでもなく当然、0分である。)
【0081】
式(13)及び(14)にY=0%を代入して、COHb=0%に達するまでの漏洩時間を求め、求めた漏洩時間と変化時点Oから時点Aまでの漏洩時間10分とを加算して加算漏洩時間を求めてもよいが、本実施形態では計算を簡単にするためCPU12aは、CO漏洩の検出を開始してからCO濃度に変化がない間は、漏洩検出開始(時点O)からの求めたい時点Aまでの時間を加算漏洩時間とする。即ち、CPU12aは、変化時点Oから時点Aまでの漏洩時間10分を加算漏洩時間とする。次に、CPU12aは変化点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)が加算漏洩時間10分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点AでのCOHbとする。即ち、CPU12aは、式(13)及び(14)にT=加算漏洩時間10分を代入して、時点AでのCOHbを求める。求めた結果、図14からも明らかなようにCOHbは7.27%となる。
【0082】
次に、CPU12aは、変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続したときに変化時点AでのCOHb=7.27%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。具体的には、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度200(ppm)に対応する式(15)及び(16)に示すような指数関数式又は対数関数式を抽出する。
Y=a200・Tb(a200はCO濃度200ppmに対応する定数)…(15)
LogY=b・logT+Loga200 …(16)
【0083】
そして、CPU12aは、式(15)及び(16)にY=7.27%を代入して漏洩時間Tbを求める。漏洩時間Tbを求めると16.84分となる。即ち、変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続すると、16.84分後にCOHbが7.27%になる。また、CPU12aは、変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続したときにCOHb=10%に達するまでの到達時間Taを求める。つまり、上記式(15)及び(16)にY=10%を代入して到達時間Taを求める。到達時間Taを求めると24.48分となる。その後、CPU12aは、到達時間Ta=24.48分から漏洩時間Tb=16.84分を差し引いた時間7.64分を遅延時間として設定し、200(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間7.64分をカウントダウンする。仮に200(ppm)の漏洩が3分継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.64分(=7.64−3)となる。
【0084】
その後、CO濃度が400(ppm)に変化すると、CPU12aは、CO濃度が400(ppm)に変化時点BでのCOHbを求める。即ち、時点BがCOHbを求めたい時点となる。時点Bの直前にCO濃度が変化した時点は300(ppm)から200(ppm)に変化した時点Aである。時点AのCOHb%は7.27%と求められている。CPU12aは、変化時点Aにおける変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点AでのCOHb=7.27%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。遅延時間を設定するときに、漏洩時間Tbは16.84分と求められているため、CPU12aはこれを流用する。
【0085】
次に、求めた漏洩時間Tb=16.84分と変化時点Aから時点Bまでの漏洩時間3分を加算漏洩時間19.84分として求める。さらに、CPU12aは、変化時点Aにおける変化後のCO濃度200(ppm)が上記加算漏洩時間19.84分、継続して漏洩したときのCOHbを時点BでのCOHbとして検出する。詳しくは、上記式(15)及び(16)のTに加算漏洩時間19.84分を代入する。この結果、時点BでのCOHbは8.19%と求められる。
【0086】
次に、CPU12aは、CO濃度400(ppm)の漏洩が継続したときに変化時点BでのCOHbである8.19%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。具体的には、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度400(ppm)に対応する式(17)及び(18)に示すような指数関数式又は対数関数式を抽出する。
Y=a400・Tb(a400はCO濃度400ppmに対応する定数)…(17)
LogY=b・logT+Loga400 …(18)
【0087】
そして、CPU12aは、式(17)及び(18)にY=8.19%を代入して漏洩時間Tbを求める。漏洩時間Tbを求めると8.17分となる。また、CPU12aは、変化後のCO濃度400(ppm)の漏洩が継続したときにCOHb=10%に達するまでの到達時間Taを求める。つまり、上記式(17)及び(18)にY=10%を代入して到達時間Taを求める。到達時間Taを求めると10.08分となる。その後、CPU12aは、到達時間Ta=10.08分から漏洩時間Tb=8.17分を差し引いた時間1.91分を遅延時間として設定し、400(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間1.91分をカウントダウンする。仮に400(ppm)の漏洩が1.91分継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は0分となる。
【0088】
上述したガス警報器の詳細な動作について、図15のCPU12aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。CPU12aは、例えば、ガスセンサ10から出力されるCO濃度が所定濃度を越えた時点で警報処理を開始する。まず、CPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS20)。
【0089】
次に、CPU12aは、ROM12b内に記憶された関数式(5)及び(6)の中からステップS20で求めたCO濃度に最も近いCO濃度に対応する関数式を抽出する。例えば、検出されたCO濃度が210ppmである場合、200ppmの漏洩時間とCOHbとの関係を表す関数式を抽出する。CPU12aは、抽出した関数式からステップS20で求めたCO濃度の漏洩が継続した場合にCOHbが10%に達するまでの到達時間Taを求める(ステップS21)。そして、求めた到達時間Taを遅延時間dlに設定する(ステップS22)。
【0090】
次に、再びCPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS23)。このステップS23で検出されたCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が所定値以下であれば、CO濃度に変化がないと判断して(ステップS24でN)、遅延時間Tdlのカウントダウンを行った後(ステップS25)、ステップS26に進む。
【0091】
これに対して、ステップS23で検出したCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が閾値より大きければ、CO濃度に変化があると判断して(ステップS24でY)、検出手段として働き、CO濃度が所定値を越えてから変化時点までのCOHbを求める(ステップS28)。さらに、変化後のCO濃度の漏洩が継続した場合にステップS26で求めたCOHbに到達するまでの漏洩時間Tbを求める(ステップS29)。また、変化後のCO濃度の漏洩が継続した場合にCOHbが10%となるまでの到達時間Taを求める(ステップS30)。次に、CPU12aは、到達時間Taから漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間dlとして設定した後(ステップS31)、ステップS26に進む。
【0092】
ステップS26において、CPU12aは、判断手段として働き、遅延時間Tdlが0以下になったか否かを判断し、0以下であれば(ステップS26でY)、COHbが10%に達したと判断して警報発生手段として働き、音声警報出力回路14に対してCO警報信号を出力する(ステップS27)。これを受けて、音声警報出力回路14はスピーカ13を制御してCO漏洩の旨の警報を発生する。これに対して、CPU12aは、遅延時間Tdlが0より大きければ(ステップS26でN)、再びステップS23に戻る。CPU12aはCO濃度が再び所定濃度以下となると警報処理を終了し、COHbをリセットする。
【0093】
また、上述した実施形態では、CO濃度が変化する毎にCOHbを求めていたが、例えば定期的にCOHbを求めて、求める毎にCOHbを表示することも考えられる。
【0094】
また、上述した参考例及び第1実施形態では、酸素濃度を18%と仮定し、COHb10%となったとき、CO漏洩警報を発生する例について説明した。しかしながら、酸素濃度は例えば設置室内の密閉度や、換気装置などの条件によって定められるものであり、18%に限ったものではない。また、COHbも10%に限ったものではない。
【0095】
第2実施形態
次に、上述した定期的にCOHbを検出して表示する本発明のCOHbの検出装置について説明する。第2実施形態における本発明のCOHbの検出装置の構成は図1について上述した参考例と同様なためここではその詳細な説明は省略する。第2実施形態のCOHbの検出装置は、さらに検出したCOHb値を表示するための液晶ディスプレイなどの表示手段を有している。
【0096】
ROM12b内には、第2実施形態と同様に、図7に示すように、酸素濃度18%におけるCO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHb(Y)との関係を表す上述した式(5)及び(6)に示すような指数関数式または対数関数式を記憶させている。
Y=an・Tb(anは各CO濃度に対応する定数)…(5)
LogY=b・LogT+Logan …(6)
【0097】
上述した構成のCOHbの検出装置の動作の一例について図16のタイムチャートを参照して以下説明する。まず、図16に示すように、ガスセンサ10が検出したCO濃度が所定濃度を越えてから、CO濃度300(ppm)で4分、その後CO濃度400(ppm)に変化して2分経過した場合について考える。また、COHbの検出間隔Tαを2分とする。
【0098】
CPU12aは、ROM12b内に記憶された式(5)及び(6)からCOHbを求めたい時点で検出されたCO濃度の漏洩が継続した場合に、求めたい時点の直前にCO濃度が変化した時点のCOHbに達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と変化した時点から求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、ROM12b内に記憶された式(5)及び(6)から求めたい時点でのCO濃度が加算漏洩時間、継続して漏洩したときのCOHb求めて、求めたい時点のCOHbとして検出する。第2実施形態では、求めたい時点が図16の時点O、C、D、Eに示すように検出間隔2分経過する毎である。
【0099】
今、ガスセンサ10によって検出されたCO濃度が0から所定濃度を越えて300(ppm)に変化して漏洩が発生されたとする。CPU12aはこの時点Oから2分経過後の時点CでCOHbを求める。即ち、時点CがCOHbを求めたい時点となる。CPU12aは、上述した第1実施形態と同様に、COの漏洩開始後、CO濃度に変化がない間はCOの漏洩開始時点Oから求めたい時点までの漏洩時間を加算漏洩時間として求める。従って、CPU12aは、求めたい時点が時点Cであるとき、加算漏洩時間は2分となる。そして、CPU12aは変化点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)が加算漏洩時間2分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点CでのCOHbとする。
【0100】
即ち、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度300(ppm)に対応する式(19)に示すような指数関数式または対数関数式を抽出する。
LogY=0.74・LogT+Log(1.32)(1.32はCO濃度300ppmに対応する定数) …(19)
【0101】
CPU12aは、上記式(19)に漏洩時間T=2分を代入して得たCOHb(Y)を時点CでのCOHbとする。求めた結果、時点CでのCOHbは2.20%となり、これを表示手段に表示する。次に、CPU12aは、さらに2分経過した時点DでのCOHbを求める。即ち、時点DがCOHbを求めたい時点となる。時点Dは、COの漏洩開始後、CO濃度に変化がない間に含まれる。
【0102】
従って、CPU12aは、COの漏洩開始から求めたい時点である時点Cまでの漏洩時間4分を、加算漏洩時間とする。そして、CPU12aは変化点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)が加算漏洩時間4分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点CでのCOHbとする。CPU12aは、上記式(19)に漏洩時間T=加算漏洩時間4分を代入して得たCOHb(Y)を時点DでのCOHbとする。求めた結果、時点DでのCOHbは3.68%となり、これを表示手段に表示する。
【0103】
次に、CPU12aは、さらに2分経過した時点EでのCOHbを求める。即ち、時点EがCOHbを求めたい時点となる。時点Eの直前にCO濃度が変化した時点は300(ppm)から400(ppm)に変化した時点Dである。時点EのCOHb%はすでに3.68%と求められている。CPU12aは、変化時点Dにおける変化後のCO濃度400(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点DでのCOHb=3.68%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。即ち、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度400(ppm)に対応する式(20)に示すような指数関数式または対数関数式を抽出する。
LogY=0.74・LogT+Log(1.73)(1.73はCO濃度400ppmに対応する定数) …(20)
【0104】
CPU12aは、上記式(20)にCOHb(Y)=3.68%を代入して漏洩時間Tbを求める。求めた結果、漏洩時間Tbは2.78分となる。CPU12aは、この漏洩時間Tb=2.78分に時点Dから時点Eまでの漏洩時間2分を加算して加算漏洩時間4.78分を求める。次に、CPU12aは、変化点Dにおける変化後のCO濃度400(ppm)が加算漏洩時間4.78分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点EでのCOHbとする。CPU12aは、上記式(20)の漏洩時間Tに加算漏洩時間4.78分を代入して得たCOHb(Y)を時点EでのCOHbとする。求めた結果、時点EでのCOHbは5.50%となり、これを表示手段に表示する。
【0105】
次に、上述したガス警報器の詳細な動作について、図17のCPU12aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。CPU12aは、例えば、ガスセンサ10から出力されるCO濃度が所定濃度を超えたとき、COの漏洩が開始されたと判断して警報処理を開始する。まず、CPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS40)。次に、CPU12aは、上述したCO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400のうちステップS40で検出したCO濃度に最も近いCO濃度Xに対応する関係式LogY=0.74LogT+Logaxを抽出する(ステップS41)。その後、ステップS40でCO濃度を検出してから検出間隔Tα(=2分)を越えたか否かを判断する(ステップS42)。
【0106】
検出間隔Tαを越えた場合、CPU12aは、加算漏洩時間Ttを検出間隔Tαとした後(ステップS43)、ステップS41で抽出した関係式にT=Ttを代入して現在のCOHb(Y)を求め(ステップS44)、求めた現在のCOHbを表示手段に表示する(ステップS45)。
【0107】
その後、CPU12aは、再びCO濃度を検出する(ステップS46)。次に、CPU12aは、ステップS46で検出したCO濃度と前回検出したCO濃度との差が所定値未満であればCO濃度に変化がないと判断して(ステップS47でN)、次のステップS48に進む。
【0108】
次のステップS48では、ステップS46でCO濃度を検出してから検出間隔Tαが経過したか否かを判断する。また、検出間隔Tαが経過すると(ステップS48でY)、CPU12aは、前回の加算漏洩時間Ttに検出間隔Tαを加算した時間Tt+Tαを加算漏洩時間Ttに設定した後(ステップS49)、現在抽出されている関係式にT=Ttを代入して現在のCOHb(Y)を求め(ステップS50)、求めたCOHbを表示手段に表示する(ステップS51)。その後、CPU12aは、例えば所定濃度を越えたCO濃度が検出され、COHbの検出を継続する必要があると判断すると(ステップS52でY)、ステップS46に戻る。これに対して、所定濃度未満のCO濃度が検出され、COHbの検出を継続する必要がないと判断すると(ステップS52でN)、警報処理を終了する。
【0109】
これに対して、ステップS47において、CPU12aは、ステップS46で検出したCO濃度と前回検出したCO濃度との差が所定値以上であればCO濃度に変化があると判断して(ステップS47でY)、次のステップS53に進む。
【0110】
次のステップS53では、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400のうちステップS46で検出されたCO濃度に最も近いCO濃度Xに対応する関数式LogY=0.74LogT+Logaxを抽出し直す。次に、ステップS53で抽出し直された関数式にY=現COHbを代入して漏洩時間Ttを求める(ステップS54)。その後、CPU12aは、ステップS46でCO濃度を検出してから検出間隔Tαが経過した否かを判断する(ステップS55)。検出間隔Tαが経過すると(ステップS55でY)、CPU12aは、ステップS54で求めた漏洩時間Ttと検出間隔Tαを加算した時間を加算漏洩時間Ttとする(ステップS56)。
【0111】
その後、ステップS53で抽出し直された関係式にT=Ttを代入してCOHb(Y)を求め、求めたCOHb(Y)を現COHbとして設定した後(ステップS57)、この現COHbを表示手段に表示した後(ステップS58)、ステップS52に進む。
【0112】
また、上述した第1及び第2実施形態では、ガスセンサとして、電気化学式のものを用いていた。しかしながら、本発明で用いられるガスセンサは電気化学式に限ったものでなく、COを検出するものであれば、例えば、半導体式や接触燃焼式であってもよい。
【0113】
また、上述した第1及び第2実施形態では、CO濃度検出の検出間隔については特に述べていなかったが、例えば、一定間隔毎に行っても良いし、下記に示すようにCO濃度が増加するに従って、検出間隔を短くしても良い。
0〜500ppm:30秒毎
500〜1000ppm:15秒毎
2000ppm以上:5秒毎
【0114】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0115】
10 ガスセンサ
12a CPU(判断手段、警報発生手段、設定手段、カウントダウン手段、検出手段
12b ROM(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置及び当該検出方法に係り、特に、間欠的に血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置及び当該検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素(以下、CO)は燃焼器具を正常な状態で使用しても発生することが知られている。特に、鍋、やかん等の調理器具を用いて、お湯を沸かす場合に、冷たい調理器具が暖まるまでの間にCOが発生する。そこで、従来のガス警報器では、CO濃度が設定点を超えてもすぐには警報の発生を行わず、予め定めた遅延時間経過後も設定点を越えている状態が継続した場合に、警報を発生するようにしている。
【0003】
従来の家庭用のガス警報器では、(1)CO濃度が低濃度設定点200ppmに到達してから遅延時間15分以内に警報を発し、かつ、(2)CO濃度が高濃度設定点550ppmに到達してから遅延時間5分以内に警報を発するようにしている。
【0004】
上述した(1)、(2)に従って警報を発すれば、換気回数が小さい部屋で燃焼器具を燃焼させ、酸欠に伴い燃焼器具が不完全燃焼して、CO濃度が上昇し続けても、人体の血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度(以下COHb)が25%に達する前に警報が行えるようになっている。
【0005】
ところで、上述した(1)、(2)に示す低濃度・高濃度設定点、遅延時間は、検定規定制定時の要領(需−要−0113−84)によると、以下のようにして定められたものである。
(I)CO濃度上昇速度が遅い場合、無限時間漏洩された場合、COHbが25%になるCO濃度は230ppmである。
(II)CO濃度上昇速度が速い場合、換気回数:1回、部屋の大きさ:4.5畳、開放時の小型湯沸かし器を不完全燃焼させた場合、下記の3パターンを検証し濃度と時間を決定している。
i)燃焼器具の燃焼状態が良く、酸欠に伴い不完全燃焼する場合
ii)燃焼器具が経年劣化し、換気フィン1/4相当が閉塞された場合
iii)ii)より燃焼器具の劣化が進んだ場合
【0006】
一例として、ii)におけるCOHb(%)、CO濃度(ppm)及び時間(分)の関係を示すグラフを図19に示す。図中、L11がCOHbと時間との関係を示し、L12がCO濃度と時間との関係を示す。同図に示すように、燃焼開始後、CO濃度は上昇し続け、230ppm到達から17分後、550ppm到達から5分後にCOHbが25%になっている。
【0007】
上述した(I)、(II)−i)〜iii)のケースで、CO濃度が230ppm、550ppmに到達してからCOHbが25%になるまでの時間を図20に示す。図中、(II)−i)において550ppmに到達してから2分でCOHbが25%に達してしまうが、その前に、230ppmに到達してから15分が経過するため、COHb=25%未満での警報が可能となる。
【0008】
また、図中、(II)−iii)においても230ppmに到達してから10.3分でCOHbが25%に達してしまうが、その前に、550ppmに到達してから5分が経過するため、COHb=25%未満での警報が可能となる。なお、実際には安全を見て低濃度設定点を230ppmより低い200ppmとしている。
【0009】
しかしながら、従来のガス警報器では、(I)、(II)−i)〜iii)に示すような限られた条件内であるとき、COHbが25%に達する前に警報が発生されるように低濃度、高濃度設定点、遅延時間を定めている。このため、COの発生が上記条件に当てはまらない場合、COHbが25%に到達する前に警報を発生することができなかったり、COHbが危険なレベルではないのに警報が発生されてしまったりと、危険性と過剰な安全性とが混在した状態となってしまう。
【0010】
特に、業務用の厨房では換気扇作動なしの場合でも換気回数が5回/hと、家庭用に比べて換気量がかなり大きいため、燃焼器具が不完全燃焼してもCOがあまり上昇しない場合や、家庭用で想定したCO濃度上昇率以上の速度で高濃度に達する場合など、上記条件に当てはまらない場合が家庭用に比べて多い。
【0011】
図21に、現行のガス警報器の遅延時間継続して一定のCO濃度が流れたときのCO濃度とCOHbとの関係を示す。図中、200ppm〜550ppmの場合は遅延時間15分とし、550ppm以上の場合は遅延時間5分とし、200ppm以下は遅延時間無限としている。同図に示すように、CO濃度200〜550ppmではCOHb=15%以内で警報が発生される。一方、1500ppm以上や200ppmをわずかに下回るときはCOHb=25%を超えてから警報が発生される。この図からも分かるように、危険性と過剰な安全性とが混在した状態であり、COの人体に対する影響状況に応じたガス警報を正確に行うことができないという問題があった。
【0012】
そこで、このような問題を解決するために、COの人体への影響を考慮し、COHbに対応した係数Kを用いて遅延時間を設定するガス警報器が提案されている(特許文献1)。このガス警報器は、「家庭用ガス器具の低換気率室内での燃焼(酸欠燃焼)の危険性」(安全工学Vol.19 No.4 1980年の報文)に報告されているCO濃度、酸素濃度、漏洩時間からなる回帰式からCOHb値を求めて係数Kを決定し、遅延時間を決める方法をとっている。このように設定された遅延時間は人体の血液中のCOHbに応じた時間であり、COの人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うことができる。
【0013】
しかしながら、上述したガス警報器においては、係数Kを求めるために、COHbを求める必要がある。COHbは、空気中の酸素濃度、空気中のCO濃度、漏洩時間を関係式に代入して求めている。このため、CO濃度以外に酸素濃度も計測する必要があった。また、上記関係式は非常に複雑な高次の回帰式であり、高速度のCPUを必要としている。
【0014】
さらには、上述したガス警報器では、従来同様、設定点を越えた場合の遅延時間の調整を行っている。このため、設定点を越えないレベルでCOが長時間不安定に発生した場合、警報できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−39980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、簡易かつ正確に、一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置及び当該検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、一酸化炭素濃度を検出するガスセンサと、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する検出手段とを備えた一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係を示す指数関数式又は対数関数式が予め記憶されている記憶手段と、前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式と、前記ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置に存する。
【0018】
請求項1記載の発明によれば、記憶手段が、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係を示す指数関数式又は対数関数式が予め記憶されている。検出手段が、記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する。
【0019】
従って、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めたい時点に前記検出された一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に、前記求めたい時点の直前に前記一酸化炭素濃度が変化した時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と前記変化した時点から前記求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記求めたい時点での一酸化炭素濃度が前記加算漏洩時間、継続して漏洩したときの前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めて、前記求めたい時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度として検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置に存する。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、検出手段が、記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めたい時点に検出された一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に、求めたい時点の直前に一酸化炭素濃度が変化した時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と変化した時点から求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から求めたい時点での一酸化炭素濃度が加算漏洩時間、継続して漏洩したときの血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めて、求めたい時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度として検出する。従って、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出装置と、前記検出手段は、前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、変化時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出し、前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、前記記憶手段に記憶されている指数関数式又は対数関数式から前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの漏洩時間である到達時間を求め、前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記変化前の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、前記到達時間から前記求めた漏洩時間を差し引いた時間を遅延時間とし、該遅延時間が0に達したとき、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が前記所定値に達したと判断する判断手段と、前記判断手段によって血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値となったと判断されたとき、一酸化炭素が漏洩した旨を警報する警報発生手段とを備えたことを特徴とするガス警報器に存する。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、検出手段は、一酸化炭素濃度が変化する毎に、変化時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する。判断手段が、一酸化炭素濃度が変化する毎に、記憶手段に記憶されている指数関数式又は対数関数式から変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの漏洩時間である到達時間を求め、変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に変化前の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、到達時間から前記求めた漏洩時間を差し引いた時間を遅延時間とし、該遅延時間が0に達したとき、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が前記所定値に達したと判断する。従って、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの残時間を明確に求めつつ、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達したときに警報を発生することができる。
【0024】
請求項4記載の発明は、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を間欠的に検出する一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出方法であって、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の関係を示す指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出方法に存する。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の関係を示す指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する。従って、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように請求項1、2及び4記載の発明によれば、複雑な高次の回帰式を使って一酸化炭素ヘモグロビン濃度を算出しなくても、所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係から簡単に一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することができるので、簡易にかつ正確に、一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めることができる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの残時間を明確に求めつつ、一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達したときに警報を発生することができるので、正確に、一酸化炭素の人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のガス警報方法を実施したガス警報器の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】酸素21%中におけるCO濃度と、COHbが各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。
【図3】酸素21%中におけるCO濃度と、COHbが各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。
【図4】酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。
【図5】酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。
【図6】CO濃度、逆数・時間積及び遅延時間の関係を示すタイムチャートである。
【図7】酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す両対数グラフである。
【図8】COHbYs、Y1、到達時間Ts及び漏洩時間T1の関係を示すグラフである。
【図9】COHbY1、Y2、漏洩時間T1、T2の関係を示すグラフである。
【図10】参考例におけるCPU12aの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】COHbと到達時間との関係を示すグラフである。
【図12】COHbと到達時間との関係を示すグラフである。
【図13】到達時間の逆数・時間積と時間との関係を示すグラフである。
【図14】酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す両対数グラフである。
【図15】第1実施形態におけるCPU12aの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】CO濃度と漏洩時間との関係を示すグラフである。
【図17】第2実施形態におけるCPU12aの処理手順を示すフローチャートである。
【図18】酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す表である。
【図19】ii)におけるCOHb(%)、CO濃度(ppm)及び時間(分)の関係を示すグラフである。
【図20】(I)、(II)−i)〜iii)のケースで、CO濃度が230ppmm、550ppmに到達してからCOHbが25%になるまでの時間を示す表である。
【図21】現行のガス警報器の遅延時間継続して一定のCO濃度が流れたときのCO濃度とCOHbとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
参考例
以下、本発明のガス警報器及びガス警報方法の参考例を図面に基づいて、参照して詳細に説明する。図1は本発明のガス警報方法を実施したガス警報器の一実施の形態を示す回路図である。同図に示すように、ガス警報器は、ガスセンサ10を備え、ガスセンサ10としては、例えば、一酸化炭素(以下CO)の酸化反応により、CO濃度に応じた電流が流れる電気化学式のセンサを用いており、CO濃度に応じた電流を電圧に変換して、マイクロコンピュータ(μCOM)12に出力している。
【0030】
μCOM12は、処理プログラムに従って各種の処理を行う中央演算処理ユニット(以下、CPU)12a、CPU12aが行う処理のプログラムなどを格納した読出専用のメモリであるROM12b及びCPU12aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM12cを有し、これらがバスラインによって接続されている。
【0031】
上述したCPU12aは、上述したガスセンサ10の出力を取り込んで、CO濃度を検出する。さらに、ガス警報器は、COの漏洩警報を出力するスピーカ13及びスピーカ13を駆動する音声警報出力回路14を備えている。音声警報出力回路14は、CPU12aによって制御される。
【0032】
次に、上述したガス警報器の警報原理について、図2〜図9を参照して以下説明する。図2は、酸素濃度21%中におけるCO濃度と、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度(以下COHb)が各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。図3は、酸素濃度21%中におけるCO濃度と、COHbが各々3、5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。また、図4は、酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す両対数グラフである。図5は、酸素18%中におけるCO濃度と、COHbが各々5、10、15、20、25%となるまでの到達時間との関係を示す表である。
【0033】
図3に示すように、例えば、酸素濃度が21%のときは、300(ppm)のCOが漏洩し続けると18.13分後にCOHb=10%となり、400(ppm)のCOが漏洩し続けると13.01分後に、COHb=10%となる。また、図5に示すように、例えば、酸素濃度が18%のときは、300(ppm)のCOが漏洩し続けると14.54分後にCOHb=10%となり、400(ppm)のCOが漏洩し続けると10.07分後に、COHb=10%となる。
【0034】
図2及び図4の両対数グラフからも明らかなように、CO濃度が増加するに従って、到達時間は指数関数的に減少する。つまり、CO濃度Xと、COHbが5、10、15、20、25%となるまでの到達時間Tとの関係は下記(1)及び(2)に示すように指数関数式または対数関数式によって表すことができる。
T=a1・Xb1(a1、b1は定数) …(1)
LogT=b1・LogX+Loga1
=b1・LogX+c(∵Loga1=c) …(2)
また、図2及び図4を比較しても明らかなように、酸素濃度が低いと、COHbが各々5、10、15、20、25%になるまでの到達時間が短くなる。
【0035】
また、本参考例では、酸素濃度を18%と仮定し、COHb=10%となったとき、CO漏洩警報を発生する場合について説明する。この場合、図4及び図5に示すような、酸素濃度18%中におけるCO濃度と、COHbが10%となるまでの到達時間との関係を表す上述した(1)及び(2)に示すような指数関数式または対数関数式(図中直線L)を例えばROM12b(=記憶手段)内に予め記憶させておく。次に、ガスセンサ10により検出されたCO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積と、CO濃度の関係について説明する。まず、300(ppm)の漏洩が発生した場合、このCO濃度に対応する到達時間は、図4及び図5に示すように、14.54分である。従って、その逆数は1/14.54となり、逆数・時間積は、図6に示すように、1/14.54の傾きで増加する。仮に300(ppm)の漏洩が10分間継続した場合、逆数・時間積は10/14.54となる。
【0036】
その後、CO濃度が200(ppm)に変化すると、このCO濃度に対応する到達時間は、図4に示すように、24.48分となる。従って、その逆数は1/24.48となり、逆数・時間積は、図6に示すように、300(ppm)の漏洩時の傾き1/14.54より小さい1/24.48の傾きで増加する。仮に200(ppm)の漏洩が3分継続した場合、逆数・時間積は(10/14.54+3/24.48)となる。さらに、CO濃度が400(ppm)に変化すると、このCO濃度に対応する到達時間は、図4及び図5に示すように、10.07分である。従って、その逆数は1/10.07となり、逆数・時間積は、図6に示すように、200、300(ppm)の漏洩時の傾き1/24.48、1/14.54より大きい1/10.07の傾きで増加する。
【0037】
このことからも明らかなように、上述した逆数・時間積は、CO濃度が高い程、急激に増加し、CO濃度が低い程、緩やかに増加する。つまり、現逆数・時間積はCOHb10%に対する現在のCOHbに相当する。従って、1から現逆数・時間積を差し引いた差分と、現CO濃度に対応する到達時間とを乗じた時間はCOHb10%に達するまでの残時間に相当する。
【0038】
上述した現逆数・時間積とCOHbとの関係について、より詳細に説明する。図7は、酸素濃度が18%において、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHbとの関係を示す両対数グラフである。各CO濃度毎の漏洩時間TとCOHb濃度Yの関係は両対数グラフではほぼ直線の関係が得られ、下記式(3)及び(4)に示すように、指数関数式又は対数関数式によって表すことができる。
Y=a・Tb(a、bは定数) …(3)
LogY=b・LogT+Loga …(4)
【0039】
また、CO濃度毎の各式(3)及び(4)はほぼ並行な直線と言えるので、上記(3)及び(4)中の係数bは一定で係数aがCO濃度毎に決まる係数と言え、下記の指数関数式(5)及び対数関数式(6)で表せる。
Y=ax・Tb(axは各CO濃度に対応する定数)…(5)
LogY=b・LogT+Logax …(6)
【0040】
従って、現CO濃度とその濃度での漏洩時間Tが分かれば、容易に現時点でのCOHbを算出できる。今、警報値として設定したいCOHbをYs%、CO濃度XでのCO漏れが継続したとき、COHbがYs%に到達するまでの到達時間をTsとして、上記式(6)に代入すると、下記の式(7)が得られる。
LogYs=b・LogTs+Logax …(7)
【0041】
また、所定CO濃度での任意の漏洩時間をT1、このときのCOHbをY1として、上記式(6)に代入すると、下記の式(8)が得られる。なお、任意の漏洩時間T1は図8に示すように、COHb=Ys%に到達するまでの任意の時間であり、到達時間Tsより短い。
LogY1=b・LogT1+Logax …(8)
【0042】
式(7)−式(8)により、
LogY1−LogYs=(b・LogT1+Logax)−(b・LogTs+Logax)
Log(Y1/Ys)=b(LogT1−LogTs)
=bLog(T1/Ts)
【0043】
上記式からY1/Ys=(T1/Ts)bとなる。従って、所定CO濃度Xの漏洩が継
続したときにCOHb=Ysとなるまでの到達時間Tsの逆数1/Tsと任意の漏洩時間T1との積は、上記設定したいCOHb=Ysに対する任意の漏洩時間T1時点でのCOHb=Y1の比率(Y1/Ys)となる。上記到達時間Tsの逆数・時間積は、COHb濃度に相当すると言える。
【0044】
次に、途中でCO濃度が変化した場合の、COHb=Ysに到達するまでの残時間の求め方について説明する。上述したように、異なるCO濃度での漏洩時間TとCOHbYとの関係は、同じ傾きbで切片Logaが異なる式(6)で表せる。
LogY=b・LogT+Logax(axは各CO濃度に対応する値) …(6)
【0045】
今、警報値として設定したいCOHbをYs%、Log(a1)の切片をもつCO濃度X1でのCO漏れが継続したとき、COHbがY2%に到達するまで到達時間をT1として、上記式(6)に代入すると下記の式(9)が得られる。
LogY2=bLogT1+Loga1 …(9)
【0046】
また、警報値として設定したいCOHbをYs%、Log(a2)の切片を持つCO濃度X2でのCO漏れが継続したとき、COHbがY2%に到達するまで到達時間をT2として、上記式(6)に代入すると下記の式(10)が得られる。
LogY2=bLogT2+Loga2 …(10)
【0047】
図9に示すように、初めにCO濃度X1での漏洩が漏洩時間T3継続し、その後、CO濃度X2での漏洩が継続した場合について考えてみる。このとき、CO濃度がX1からX2に切り替わる漏洩時間T3でのCOHb(Y1)と、初めからCO濃度X2の漏洩が継
続し続けたときCOHb(Y1)に達するまでの到達時間T4との関係は下記の式で表せ
る。まず、COHb(Y1)、漏洩時間T3を式(6)に代入して式(11)を得る。
LogY1=bLogT3+Loga1 …(11)
次に、COHb(Y1)、到達時間T4を式(6)に代入して式(12)を得る。
LogY1=bLogT4+Loga2 …(12)
【0048】
上記(9)、(10)式より、Loga1−Loga2=bLogT2−bLogT1また、(11)、(12)式より、
LogT4=(Loga1−Loga2+bLogT3)/b
=(bLogT2−bLogT1+bLogT3)/b
=LogT2−LogT1+LogT3
=Log(T2・T3/T1)
【0049】
従って、T4=T2・T3/T1となる。濃度が切り替わってからの残時間(T2−T4)はT2−T4=T2−(T2・T3/T1)=T2(1−(T3/T1))となる。
従って、「1から現逆数・時間積(T3/T1)を差し引いた差分と現CO濃度に対応する到達時間(T2)を乗じた値が残時間」と言える。
【0050】
なお、この時の逆数・時間積の総和はΣ(a/T)は下記の式(12)で表せる。
Σ(a/T)=(T3/T1)+((T2−T4)/T2)
=(T3/T1)+(T2(1−(T3/T1))/T2
=1
となり、途中で濃度が切り替わっても、傾きbが同じであれば、逆数・時間積の総和は変わらないと言える。
【0051】
そこで、CPU12aは、COHb10%に達するまでの残時間に相当する1から現逆数・時間積を差し引いた差分と、現CO濃度に対応する到達時間とを乗じた時間を遅延時間とし、この遅延時間が0に達したときCOHb濃度が10%になったと判断して、警報を発生する。これにより、従来のように複雑な高次の回帰式を使ってCOHbを直接算出しなくても、COHbがCOHb10%(=所定値)に達したときに警報を発生することができる。
【0052】
CPU12aは、具体的には、以下のように動作する。まず、300(ppm)の漏洩が発生した場合、このCO濃度に対応する到達時間は、図5に示すように、14.54分である。CPU12aは、図6に示すように、この到達時間14.54分を遅延時間として設定し、300(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間14.54をカウントダウンする。仮に300(ppm)の漏洩が10分間継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.54(=14.54−10)となる。
【0053】
その後、CO濃度が200(ppm)に変化すると、CPU12aは現時点までのCO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積を求める。上述したように現時点では300(ppm)のCO漏洩が10分継続した状態であるため、上記逆数・時間積は10/14.54となる。そして、CPU12aは、1から求めた逆数・時間積10/14.54を差し引いた差分(1−10/14.54)と、変化後のCO濃度200(ppm)に対応する到達時間24.48分とを乗じた時間7.64分(=24.48・(1−10/14.54))を遅延時間として設定し、200(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間7.64分をカウントダウンする。なお、遅延時間7.64分は、図4に示すCOHb10%の直線Lを、300(ppm)、4.54分を通るように並行移動した直線L′上の200(ppm)に対応する到達時間とも言える。
【0054】
仮に200(ppm)の漏洩が3分継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.64分(=7.64−3)となる。さらに、CO濃度が400(ppm)に変化すると、CPU12aは現時点までのCO濃度に対応する到達時間Tの逆数・時間積αを求める。上述したように現時点では300(ppm)のCO漏洩が10分、200(ppm)のCO漏洩が3分継続した状態であるため、上記逆数・時間積は(10/14.5+3/24.48)となる。そして、CPU12aは、1から求めた逆数時間積を差し引いた差分(1−(10/14.5+3/24.48))と、変化後のCO濃度400(ppm)に対応する到達時間10.07分とを乗じた時間1.91分を新たな遅延時間として設定し直し、400(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間1.91分をカウントダウンする。CPU12aは、この遅延時間が0となったとき、COHb濃度が10%になったと判断して、警報を発生する。
【0055】
上述したガス警報器の詳細な動作について、図10のCPU12aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。CPU12aは、例えば、ガスセンサから出力されるCO濃度が所定濃度を越えた時点で警報処理を開始し、逆数・時間積を求める。まず、CPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS1)。次に、CPU12aは、例えばRAM12c内に予め記憶されている酸素濃度18%中におけるCO濃度と、COHbが10%となるまでの到達時間との関係を表す指数関数式や対数関数式に、ステップS1で検出したCO濃度を代入して、到達時間Tを求め(ステップS2)、求めた到達時間Tを遅延時間dlに設定する(ステップS3)。
【0056】
次に、再びにCPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS4)。このステップS4で検出したCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が所定値以下であれば、CO濃度に変化がないと判断して(ステップS5でN)、カウントダウン手段として働き、遅延時間のカウントダウンを行った後(ステップS6)、ステップS8に進む。
【0057】
これに対して、ステップS5で検出したCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が所定値より大きければ、CO濃度に変化があると判断して(ステップS5でY)、設定手段として働き、CO濃度が所定濃度を越えてから現在までの逆数・時間積αを求め、1から求めた逆数・時間積αを差し引いた差値(1−α)に、変化後のCO濃度に対する到達時間Tを乗じた値を遅延時間Tdlとして新たに設定した後(ステップS7)、ステップS8に進む。
【0058】
なお、CO濃度が所定濃度を越えてから現在までの逆数・時間積αを求める方法としては、例えば、ステップS5でCO濃度に変化があると判断される毎にリセットされ、CO濃度に変化がないと判断される毎にカウントアップされる継続時間カウンタを設ける。この継続時間カウンタによってCO濃度が一定を保つ継続時間をカウントすることができる。そして、ステップS5でCO濃度に変化があると判断される毎に、変化前のCO濃度に対応する到達時間の逆数と、継続時間カウンタによってカウントされた継続時間とを乗じた値を積算することにより求めることができる。
【0059】
ステップS8において、CPU12aは、判断手段として働き、遅延時間Tdlが0以下になったか否かを判断し、0以下であれば(ステップS8でY)、COHbが10%に達したと判断して警報発生手段として働き、音声警報出力回路14に対してCO警報信号を出力する(ステップS9)。これを受けて、音声警報出力回路14はスピーカ13を制御してCO漏洩の旨の警報を発生する。これに対して、CPU12aは、遅延時間Tdlが0より大きければ(ステップS8でN)、再びステップS4に戻る。CPU12aはCO濃度が再び所定濃度以下となると警報処理を終了し、逆数・時間積をリセットする。
【0060】
上述したように到達時間の逆数・時間積αは、COHb=10%に対する現在のCOHbに相当し、この到達時間の逆数・時間積αに基づいてCOHbが10%に達したか否かを判断するため、複雑な高次の回帰式を使ってCOHbを直接算出しなくても、COHbが10%に達したときに警報を発生することができる。しかも、1から到達時間の逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、CO濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)は、COHbが10%に達するまでの残時間に相当し、この残時間を遅延時間Tdlに設定しているため、COHbが10%に達するまでの残時間を明確に求めることができる。これにより、例えば、遅延時間を報知したりすれば、ユーザは一酸化炭素漏洩時の対策を的確に取ることができる。
【0061】
また、上述したガス警報器によれば、ガスセンサ10が検出したCO濃度が変化する毎に、CO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積αを求め、1から逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、変化後の一酸化炭素濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)を遅延時間Tdlとして設定し、設定された遅延時間Tdlをカウントダウンしている。さらに、遅延時間Tdlをカウントダウンした結果、遅延時間が0となったとき、COHb=10%を越えたと判断している。従って、CO濃度が変化していない間、遅延時間Tdlがカウントダウンされているため、到達時間の逆数・時間積αはCO濃度が変化する毎に求めればよく、逐次求める必要がない。このため、CPU12aの処理容量を減じることができ、より簡便で簡素な構成で警報を発生することができる。
【0062】
また、上述したガス警報器によれば、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を、上述した式(1)及び(2)に示すような指数関数式や対数関数式として記憶させていた。ここで、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を一次関数で近似した場合について図11を参照して考えてみる。図11中、L21及びL22は、300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHbと到達時間との実際の関係を示すグラフである。一方、L31、L32は、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を一次関数で近似し、この近似した一次関数から求めた300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHbと到達時間との関係を示すグラフである。
【0063】
同図に示すように、実際には、300ppmが33.15分継続した場合、COHb=15%となるが、一次関数で近似すると、COHb=15%となるのは66.9分後である。しかしながら、66.9分経過したときの実際のCOHbは20.7%まで上昇している。つまり、一次関数では実際のCO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を正確に近似することができず、正確にCOの人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うということは言えない。
【0064】
次に、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を指数関数や対数関数で近似した場合について図12を参照して考えてみる。図12中、L41及びL42は各々、300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHb対数値と到達時間対数値との実際の関係を示すグラフである。一方。L51及びL52は各々、CO濃度とCOHbが所定値になるまでの到達時間との関係を指数関数や対数関数で近似し、この近似した指数関数や対数関数から求めた300ppm、500ppmのCOが漏洩し続けたときのCOHb対数値と到達時間対数値との関係を示すグラフである。図11及び図12を比較しても分かるように、指数関数や対数関数で近似した方が一次関数で近似する場合に比べて正確に近似できることがわかる。
【0065】
また、図13は一定のCO濃度が漏洩し続けたときの到達時間の逆数・時間積と時間との関係を示すグラフである。図中L61は実測値である。L62はCO濃度とCOHbが所定値に達するまでの到達時間との関係を指数関数や対数関数で近似し、この近似した指数関数や対数関数から求めた到達時間の逆数・時間積と経過時間との関係を示す。L63はCO濃度とCOHbが所定値に達するまでの到達時間との関係を一次関数で近似し、この近似した一次関数から求めた到達時間の逆数・時間積と経過時間との関係を示す。このグラフからも対数関数や指数関数で近似した方が一次関数で近似する場合に比べて正確に近似でき、より正確にCOの人体に対する影響状況に応じたガス警報を行うことができる。
【0066】
なお、上述した参考例では、CO濃度が変化すると、CO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積αを求め、1から逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、変化後のCO濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)を遅延時間Tdlとして設定し、CO濃度が変化しない間は、設定された遅延時間Tdlをカウントダウンしていた。
【0067】
しかしながら、本発明の遅延時間の設定は上述した参考例に限定されず、例えば、ステップS4でCO濃度が検出される毎に、毎回、CO濃度に対応する到達時間の逆数・時間積αを求め、1から逆数・時間積αを差し引いた差分(1−α)と、現CO濃度に対応する到達時間Tとを乗じた時間T・(1−α)を遅延時間Tdlとして設定することも考えられる。逆数・時間積αを求める具体的な方法としては、例えば、CO濃度の検出がΔT毎に行われる場合、前回求めた逆数・時間積αに、1/TとΔtとを乗算した値Δt/Tを加算して求める。
【0068】
この場合、遅延時間Tdlをカウントダウンする必要はないが、CO濃度を検出する毎に、逆数・時間積αや現CO濃度に対応する到達時間Tを求める必要があり、CPU12aに高い処理能力が求められるため、上述したようにCO濃度が変化していない間はカウントダウンした方が望ましい。
【0069】
また、上述した参考例では、遅延時間Tdlとして設定するCOHbが所定値に達するまでの残時間を、1から逆数の時間積αを差し引いた差分(1−α)と、変化後のCO濃度に対応する到達時間Tとを乗じて求めていた。しかしながら、これに限らず例えば、変化後のCO濃度に対応する到達時間Tからこの到達時間Tに逆数の時間積αを乗じた時間T・αを差し引いて求めてもよい。
【0070】
さらに、参考例では、CO濃度とCOHbが例えば10%になるまでの到達時間との関係を示す指数関数式や対数関数式を記憶させていた。しかしながら、CPU12aの性能によって指数計算が困難である場合は、上述した指数関数式や対数関数式を、一次関数を幾つか組み合わせた式によって近似し、その近似式によりCO濃度に対する到達時間を求めることも考えられる。また、図3及び図4に示すような、CO濃度とCOHbが例えば10%になるまでの到達時間との関係を示すテーブルを記憶させて、このテーブルからCO濃度に対する到達時間を求めることも考えられる。
【0071】
第1実施形態
次に本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態における本発明のCOHbの検出装置を組み込んだガス警報器の構成は図1について上述した参考例と同様なためここではその詳細な説明は省略する。参考例と異なる点はROM12b内に記憶させる関係式の内容である。上述した参考例では、所定酸素濃度(例えば酸素濃度18%)中におけるCO濃度とCOHbが10%となるまでの到達時間との関係を表す上述した(1)及び(2)に示すような指数関数式または対数関数式をROM12b内に予め記憶させていた。
【0072】
これに対し、第1実施形態では、図7に示すように、酸素濃度18%におけるCO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHb(Y)との関係を表す上述した式(5)及び(6)に示すような指数関数式または対数関数式をROM12b内に予め記憶させている。
Y=ax・Tb(axは各CO濃度に対応する定数)…(5)
LogY=b・LogT+Logax …(6)
【0073】
以下、CPU12aの動作を図6に示すタイムチャートを参照に以下説明する。第1実施形態でも、参考例と同様にCOHbが10%となったときに警報を発生する例について説明する。第1実施形態において、CPU12aはCO濃度が変化する毎に、変化時点のCOHbを検出する。即ち、第1実施形態では、COHbを求めたい時点が図6の時点O、A、Bに示すようにCO濃度が変化した時点となる。
【0074】
また、CPU12aは、CO濃度が変化する毎に、COHbが10%に達するまでの漏洩時間である到達時間Taを求める。CPU12aは、変化後のCO濃度の漏洩が継続した場合に変化時点のCOHbに達するまでの漏洩時間Tbを求める。CPU12aは、到達時間Taから求めた漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間Tdlとし、遅延時間Tdlが0に達したとき、COHbが10%に達したと判断して警報を発生する。
【0075】
今、図6に示すように、ガスセンサ10によって検出されたCO濃度が0から所定濃度を越えて300(ppm)に変化してCOの漏洩が開始されたとする。この変化に応じてCPU12aは、まず変化時点OのCOHbを検出する。300(ppm)に変化する前のCO濃度は0(ppm)であるため、当然変化時点OのCOHbは0%である。従って、CPU12aは変化時点OのCOHbとして0%を記憶する。
【0076】
また、CPU12aは、変化後のCO濃度300(ppm)の漏洩が継続したときにCOHbが10%に達する漏洩時間である到達時間Taを求める。具体的には、CPU12aはまず、ROM12b内からCO濃度300(ppm)に対応する式(13)及び(14)に示すような指数関数式または対数関数式を抽出する。
Y=a300・Tb(a300はCO濃度300ppmに対応する定数)…(13)
LogY=b・logT+Loga300 …(14)
【0077】
次に、CPU12aは、上記式(13)及び(14)にY=10%を代入して得た漏洩時間Tを到達時間Taとする。求めた結果、到達時間Taは14.54分となる。即ち、CO濃度300(ppm)の漏洩継続すると、14.54分後にCOHbが10%に達する。次に、CPU12aは、変化後のCO濃度300(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点OのCOHbに達するまでの漏洩時間Tbを求め、到達時間Taから求めた漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間Tdlとする。上述したように変化時点OでのCOHbは0%である。このため、式(13)及び(14)にY=0%を代入するまでもなく、変化時点OのCOHb=0%に達するまでの漏洩時間Tbが0分であることが分かる。
【0078】
式(13)及び(14)にY=0%を代入して、変化時点OのCOHb=0%に達するまでの漏洩時間Tbを求め、到達時間Taから求めた漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間Tdlとしてもよいが、本実施形態では計算を簡単にするためCPU12aは、変化時点OのCOHb=0%である場合、到達時間Taを直接、遅延時間Tdlとする。
【0079】
CPU12aは、図6に示すように、この遅延時間Tdl=到達時間Ta=14.54分として設定し、300(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間14.54分をカウントダウンする。仮に300(ppm)の漏洩が10分間継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.54(=14.54−10)となる。
【0080】
その後、CO濃度が200(ppm)に変化すると、CPU12aは、この変化に応じて変化時点AでのCOHbを求める。即ち、時点AがCOHbを求めたい時点となる。(時点Aの直前にCO濃度が変化した時点は0から300(ppm)に変化した時点Oである。時点OのCOHbは当然0%である。CPU12aは、変化時点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点OでのCOHb=0%に達するまでの漏洩時間を求め、求めた漏洩時間と変化時点Oから時点Aまでの漏洩時間10分とを加算した加算漏洩時間を求める。上述したCOHb=0%に達するまでの漏洩時間は、式(13)及び(14)にY=0%を代入するまでもなく当然、0分である。)
【0081】
式(13)及び(14)にY=0%を代入して、COHb=0%に達するまでの漏洩時間を求め、求めた漏洩時間と変化時点Oから時点Aまでの漏洩時間10分とを加算して加算漏洩時間を求めてもよいが、本実施形態では計算を簡単にするためCPU12aは、CO漏洩の検出を開始してからCO濃度に変化がない間は、漏洩検出開始(時点O)からの求めたい時点Aまでの時間を加算漏洩時間とする。即ち、CPU12aは、変化時点Oから時点Aまでの漏洩時間10分を加算漏洩時間とする。次に、CPU12aは変化点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)が加算漏洩時間10分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点AでのCOHbとする。即ち、CPU12aは、式(13)及び(14)にT=加算漏洩時間10分を代入して、時点AでのCOHbを求める。求めた結果、図14からも明らかなようにCOHbは7.27%となる。
【0082】
次に、CPU12aは、変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続したときに変化時点AでのCOHb=7.27%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。具体的には、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度200(ppm)に対応する式(15)及び(16)に示すような指数関数式又は対数関数式を抽出する。
Y=a200・Tb(a200はCO濃度200ppmに対応する定数)…(15)
LogY=b・logT+Loga200 …(16)
【0083】
そして、CPU12aは、式(15)及び(16)にY=7.27%を代入して漏洩時間Tbを求める。漏洩時間Tbを求めると16.84分となる。即ち、変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続すると、16.84分後にCOHbが7.27%になる。また、CPU12aは、変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続したときにCOHb=10%に達するまでの到達時間Taを求める。つまり、上記式(15)及び(16)にY=10%を代入して到達時間Taを求める。到達時間Taを求めると24.48分となる。その後、CPU12aは、到達時間Ta=24.48分から漏洩時間Tb=16.84分を差し引いた時間7.64分を遅延時間として設定し、200(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間7.64分をカウントダウンする。仮に200(ppm)の漏洩が3分継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は4.64分(=7.64−3)となる。
【0084】
その後、CO濃度が400(ppm)に変化すると、CPU12aは、CO濃度が400(ppm)に変化時点BでのCOHbを求める。即ち、時点BがCOHbを求めたい時点となる。時点Bの直前にCO濃度が変化した時点は300(ppm)から200(ppm)に変化した時点Aである。時点AのCOHb%は7.27%と求められている。CPU12aは、変化時点Aにおける変化後のCO濃度200(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点AでのCOHb=7.27%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。遅延時間を設定するときに、漏洩時間Tbは16.84分と求められているため、CPU12aはこれを流用する。
【0085】
次に、求めた漏洩時間Tb=16.84分と変化時点Aから時点Bまでの漏洩時間3分を加算漏洩時間19.84分として求める。さらに、CPU12aは、変化時点Aにおける変化後のCO濃度200(ppm)が上記加算漏洩時間19.84分、継続して漏洩したときのCOHbを時点BでのCOHbとして検出する。詳しくは、上記式(15)及び(16)のTに加算漏洩時間19.84分を代入する。この結果、時点BでのCOHbは8.19%と求められる。
【0086】
次に、CPU12aは、CO濃度400(ppm)の漏洩が継続したときに変化時点BでのCOHbである8.19%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。具体的には、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度400(ppm)に対応する式(17)及び(18)に示すような指数関数式又は対数関数式を抽出する。
Y=a400・Tb(a400はCO濃度400ppmに対応する定数)…(17)
LogY=b・logT+Loga400 …(18)
【0087】
そして、CPU12aは、式(17)及び(18)にY=8.19%を代入して漏洩時間Tbを求める。漏洩時間Tbを求めると8.17分となる。また、CPU12aは、変化後のCO濃度400(ppm)の漏洩が継続したときにCOHb=10%に達するまでの到達時間Taを求める。つまり、上記式(17)及び(18)にY=10%を代入して到達時間Taを求める。到達時間Taを求めると10.08分となる。その後、CPU12aは、到達時間Ta=10.08分から漏洩時間Tb=8.17分を差し引いた時間1.91分を遅延時間として設定し、400(ppm)の漏洩が継続している間はこの設定された遅延時間1.91分をカウントダウンする。仮に400(ppm)の漏洩が1.91分継続した場合、カウントダウンした結果、遅延時間は0分となる。
【0088】
上述したガス警報器の詳細な動作について、図15のCPU12aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。CPU12aは、例えば、ガスセンサ10から出力されるCO濃度が所定濃度を越えた時点で警報処理を開始する。まず、CPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS20)。
【0089】
次に、CPU12aは、ROM12b内に記憶された関数式(5)及び(6)の中からステップS20で求めたCO濃度に最も近いCO濃度に対応する関数式を抽出する。例えば、検出されたCO濃度が210ppmである場合、200ppmの漏洩時間とCOHbとの関係を表す関数式を抽出する。CPU12aは、抽出した関数式からステップS20で求めたCO濃度の漏洩が継続した場合にCOHbが10%に達するまでの到達時間Taを求める(ステップS21)。そして、求めた到達時間Taを遅延時間dlに設定する(ステップS22)。
【0090】
次に、再びCPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS23)。このステップS23で検出されたCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が所定値以下であれば、CO濃度に変化がないと判断して(ステップS24でN)、遅延時間Tdlのカウントダウンを行った後(ステップS25)、ステップS26に進む。
【0091】
これに対して、ステップS23で検出したCO濃度と前回検出されたCO濃度との差が閾値より大きければ、CO濃度に変化があると判断して(ステップS24でY)、検出手段として働き、CO濃度が所定値を越えてから変化時点までのCOHbを求める(ステップS28)。さらに、変化後のCO濃度の漏洩が継続した場合にステップS26で求めたCOHbに到達するまでの漏洩時間Tbを求める(ステップS29)。また、変化後のCO濃度の漏洩が継続した場合にCOHbが10%となるまでの到達時間Taを求める(ステップS30)。次に、CPU12aは、到達時間Taから漏洩時間Tbを差し引いた時間を遅延時間dlとして設定した後(ステップS31)、ステップS26に進む。
【0092】
ステップS26において、CPU12aは、判断手段として働き、遅延時間Tdlが0以下になったか否かを判断し、0以下であれば(ステップS26でY)、COHbが10%に達したと判断して警報発生手段として働き、音声警報出力回路14に対してCO警報信号を出力する(ステップS27)。これを受けて、音声警報出力回路14はスピーカ13を制御してCO漏洩の旨の警報を発生する。これに対して、CPU12aは、遅延時間Tdlが0より大きければ(ステップS26でN)、再びステップS23に戻る。CPU12aはCO濃度が再び所定濃度以下となると警報処理を終了し、COHbをリセットする。
【0093】
また、上述した実施形態では、CO濃度が変化する毎にCOHbを求めていたが、例えば定期的にCOHbを求めて、求める毎にCOHbを表示することも考えられる。
【0094】
また、上述した参考例及び第1実施形態では、酸素濃度を18%と仮定し、COHb10%となったとき、CO漏洩警報を発生する例について説明した。しかしながら、酸素濃度は例えば設置室内の密閉度や、換気装置などの条件によって定められるものであり、18%に限ったものではない。また、COHbも10%に限ったものではない。
【0095】
第2実施形態
次に、上述した定期的にCOHbを検出して表示する本発明のCOHbの検出装置について説明する。第2実施形態における本発明のCOHbの検出装置の構成は図1について上述した参考例と同様なためここではその詳細な説明は省略する。第2実施形態のCOHbの検出装置は、さらに検出したCOHb値を表示するための液晶ディスプレイなどの表示手段を有している。
【0096】
ROM12b内には、第2実施形態と同様に、図7に示すように、酸素濃度18%におけるCO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400ppm毎の漏洩時間TとCOHb(Y)との関係を表す上述した式(5)及び(6)に示すような指数関数式または対数関数式を記憶させている。
Y=an・Tb(anは各CO濃度に対応する定数)…(5)
LogY=b・LogT+Logan …(6)
【0097】
上述した構成のCOHbの検出装置の動作の一例について図16のタイムチャートを参照して以下説明する。まず、図16に示すように、ガスセンサ10が検出したCO濃度が所定濃度を越えてから、CO濃度300(ppm)で4分、その後CO濃度400(ppm)に変化して2分経過した場合について考える。また、COHbの検出間隔Tαを2分とする。
【0098】
CPU12aは、ROM12b内に記憶された式(5)及び(6)からCOHbを求めたい時点で検出されたCO濃度の漏洩が継続した場合に、求めたい時点の直前にCO濃度が変化した時点のCOHbに達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と変化した時点から求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、ROM12b内に記憶された式(5)及び(6)から求めたい時点でのCO濃度が加算漏洩時間、継続して漏洩したときのCOHb求めて、求めたい時点のCOHbとして検出する。第2実施形態では、求めたい時点が図16の時点O、C、D、Eに示すように検出間隔2分経過する毎である。
【0099】
今、ガスセンサ10によって検出されたCO濃度が0から所定濃度を越えて300(ppm)に変化して漏洩が発生されたとする。CPU12aはこの時点Oから2分経過後の時点CでCOHbを求める。即ち、時点CがCOHbを求めたい時点となる。CPU12aは、上述した第1実施形態と同様に、COの漏洩開始後、CO濃度に変化がない間はCOの漏洩開始時点Oから求めたい時点までの漏洩時間を加算漏洩時間として求める。従って、CPU12aは、求めたい時点が時点Cであるとき、加算漏洩時間は2分となる。そして、CPU12aは変化点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)が加算漏洩時間2分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点CでのCOHbとする。
【0100】
即ち、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度300(ppm)に対応する式(19)に示すような指数関数式または対数関数式を抽出する。
LogY=0.74・LogT+Log(1.32)(1.32はCO濃度300ppmに対応する定数) …(19)
【0101】
CPU12aは、上記式(19)に漏洩時間T=2分を代入して得たCOHb(Y)を時点CでのCOHbとする。求めた結果、時点CでのCOHbは2.20%となり、これを表示手段に表示する。次に、CPU12aは、さらに2分経過した時点DでのCOHbを求める。即ち、時点DがCOHbを求めたい時点となる。時点Dは、COの漏洩開始後、CO濃度に変化がない間に含まれる。
【0102】
従って、CPU12aは、COの漏洩開始から求めたい時点である時点Cまでの漏洩時間4分を、加算漏洩時間とする。そして、CPU12aは変化点Oにおける変化後のCO濃度300(ppm)が加算漏洩時間4分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点CでのCOHbとする。CPU12aは、上記式(19)に漏洩時間T=加算漏洩時間4分を代入して得たCOHb(Y)を時点DでのCOHbとする。求めた結果、時点DでのCOHbは3.68%となり、これを表示手段に表示する。
【0103】
次に、CPU12aは、さらに2分経過した時点EでのCOHbを求める。即ち、時点EがCOHbを求めたい時点となる。時点Eの直前にCO濃度が変化した時点は300(ppm)から400(ppm)に変化した時点Dである。時点EのCOHb%はすでに3.68%と求められている。CPU12aは、変化時点Dにおける変化後のCO濃度400(ppm)の漏洩が継続した場合に変化時点DでのCOHb=3.68%に達するまでの漏洩時間Tbを求める。即ち、CPU12aは、ROM12b内からCO濃度400(ppm)に対応する式(20)に示すような指数関数式または対数関数式を抽出する。
LogY=0.74・LogT+Log(1.73)(1.73はCO濃度400ppmに対応する定数) …(20)
【0104】
CPU12aは、上記式(20)にCOHb(Y)=3.68%を代入して漏洩時間Tbを求める。求めた結果、漏洩時間Tbは2.78分となる。CPU12aは、この漏洩時間Tb=2.78分に時点Dから時点Eまでの漏洩時間2分を加算して加算漏洩時間4.78分を求める。次に、CPU12aは、変化点Dにおける変化後のCO濃度400(ppm)が加算漏洩時間4.78分、継続して漏洩したときのCOHbを求めて、時点EでのCOHbとする。CPU12aは、上記式(20)の漏洩時間Tに加算漏洩時間4.78分を代入して得たCOHb(Y)を時点EでのCOHbとする。求めた結果、時点EでのCOHbは5.50%となり、これを表示手段に表示する。
【0105】
次に、上述したガス警報器の詳細な動作について、図17のCPU12aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。CPU12aは、例えば、ガスセンサ10から出力されるCO濃度が所定濃度を超えたとき、COの漏洩が開始されたと判断して警報処理を開始する。まず、CPU12aは、CO濃度を検出する(ステップS40)。次に、CPU12aは、上述したCO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400のうちステップS40で検出したCO濃度に最も近いCO濃度Xに対応する関係式LogY=0.74LogT+Logaxを抽出する(ステップS41)。その後、ステップS40でCO濃度を検出してから検出間隔Tα(=2分)を越えたか否かを判断する(ステップS42)。
【0106】
検出間隔Tαを越えた場合、CPU12aは、加算漏洩時間Ttを検出間隔Tαとした後(ステップS43)、ステップS41で抽出した関係式にT=Ttを代入して現在のCOHb(Y)を求め(ステップS44)、求めた現在のCOHbを表示手段に表示する(ステップS45)。
【0107】
その後、CPU12aは、再びCO濃度を検出する(ステップS46)。次に、CPU12aは、ステップS46で検出したCO濃度と前回検出したCO濃度との差が所定値未満であればCO濃度に変化がないと判断して(ステップS47でN)、次のステップS48に進む。
【0108】
次のステップS48では、ステップS46でCO濃度を検出してから検出間隔Tαが経過したか否かを判断する。また、検出間隔Tαが経過すると(ステップS48でY)、CPU12aは、前回の加算漏洩時間Ttに検出間隔Tαを加算した時間Tt+Tαを加算漏洩時間Ttに設定した後(ステップS49)、現在抽出されている関係式にT=Ttを代入して現在のCOHb(Y)を求め(ステップS50)、求めたCOHbを表示手段に表示する(ステップS51)。その後、CPU12aは、例えば所定濃度を越えたCO濃度が検出され、COHbの検出を継続する必要があると判断すると(ステップS52でY)、ステップS46に戻る。これに対して、所定濃度未満のCO濃度が検出され、COHbの検出を継続する必要がないと判断すると(ステップS52でN)、警報処理を終了する。
【0109】
これに対して、ステップS47において、CPU12aは、ステップS46で検出したCO濃度と前回検出したCO濃度との差が所定値以上であればCO濃度に変化があると判断して(ステップS47でY)、次のステップS53に進む。
【0110】
次のステップS53では、CO濃度200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400のうちステップS46で検出されたCO濃度に最も近いCO濃度Xに対応する関数式LogY=0.74LogT+Logaxを抽出し直す。次に、ステップS53で抽出し直された関数式にY=現COHbを代入して漏洩時間Ttを求める(ステップS54)。その後、CPU12aは、ステップS46でCO濃度を検出してから検出間隔Tαが経過した否かを判断する(ステップS55)。検出間隔Tαが経過すると(ステップS55でY)、CPU12aは、ステップS54で求めた漏洩時間Ttと検出間隔Tαを加算した時間を加算漏洩時間Ttとする(ステップS56)。
【0111】
その後、ステップS53で抽出し直された関係式にT=Ttを代入してCOHb(Y)を求め、求めたCOHb(Y)を現COHbとして設定した後(ステップS57)、この現COHbを表示手段に表示した後(ステップS58)、ステップS52に進む。
【0112】
また、上述した第1及び第2実施形態では、ガスセンサとして、電気化学式のものを用いていた。しかしながら、本発明で用いられるガスセンサは電気化学式に限ったものでなく、COを検出するものであれば、例えば、半導体式や接触燃焼式であってもよい。
【0113】
また、上述した第1及び第2実施形態では、CO濃度検出の検出間隔については特に述べていなかったが、例えば、一定間隔毎に行っても良いし、下記に示すようにCO濃度が増加するに従って、検出間隔を短くしても良い。
0〜500ppm:30秒毎
500〜1000ppm:15秒毎
2000ppm以上:5秒毎
【0114】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0115】
10 ガスセンサ
12a CPU(判断手段、警報発生手段、設定手段、カウントダウン手段、検出手段
12b ROM(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素濃度を検出するガスセンサと、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する検出手段とを備えた一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、
所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係を示す指数関数式又は対数関数式が予め記憶されている記憶手段と、
前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式と、前記ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、
前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めたい時点に前記検出された一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に、前記求めたい時点の直前に前記一酸化炭素濃度が変化した時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と前記変化した時点から前記求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記求めたい時点での一酸化炭素濃度が前記加算漏洩時間、継続して漏洩したときの前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めて、前記求めたい時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度として検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出装置と、
前記検出手段は、前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、変化時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出し、
前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、前記記憶手段に記憶されている指数関数式又は対数関数式から前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの漏洩時間である到達時間を求め、前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記変化前の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、前記到達時間から前記求めた漏洩時間を差し引いた時間を遅延時間とし、該遅延時間が0に達したとき、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が前記所定値に達したと判断する判断手段と、前記判断手段によって血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値となったと判断されたとき、一酸化炭素が漏洩した旨を警報する警報発生手段とを備えたことを特徴とするガス警報器。
【請求項4】
血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を間欠的に検出する一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出方法であって、
所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の関係を示す指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出方法。
【請求項1】
一酸化炭素濃度を検出するガスセンサと、血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出する検出手段とを備えた一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、
所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度との関係を示す指数関数式又は対数関数式が予め記憶されている記憶手段と、
前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式と、前記ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置であって、
前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めたい時点に前記検出された一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に、前記求めたい時点の直前に前記一酸化炭素濃度が変化した時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、該求めた漏洩時間と前記変化した時点から前記求めたい時点までの漏洩時間とを加算した加算漏洩時間を求め、前記記憶手段に記憶された指数関数式又は対数関数式から前記求めたい時点での一酸化炭素濃度が前記加算漏洩時間、継続して漏洩したときの前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を求めて、前記求めたい時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度として検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出装置と、
前記検出手段は、前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、変化時点の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出し、
前記一酸化炭素濃度が変化する毎に、前記記憶手段に記憶されている指数関数式又は対数関数式から前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値に達するまでの漏洩時間である到達時間を求め、前記変化後の一酸化炭素濃度の漏洩が継続した場合に前記変化前の一酸化炭素ヘモグロビン濃度に達するまでの漏洩時間を求め、前記到達時間から前記求めた漏洩時間を差し引いた時間を遅延時間とし、該遅延時間が0に達したとき、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が前記所定値に達したと判断する判断手段と、前記判断手段によって血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が所定値となったと判断されたとき、一酸化炭素が漏洩した旨を警報する警報発生手段とを備えたことを特徴とするガス警報器。
【請求項4】
血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を間欠的に検出する一酸化炭素ヘモグロビン濃度検出方法であって、
所定酸素濃度における複数種の一酸化炭素濃度毎の漏洩時間と血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度の関係を示す指数関数式又は対数関数式と、ガスセンサにより検出された一酸化炭素濃度及び該検出された一酸化炭素濃度の漏洩時間とに基づいて、前記血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を検出することを特徴とする一酸化炭素ヘモグロビン濃度の検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−243207(P2011−243207A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120948(P2011−120948)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【分割の表示】特願2006−116847(P2006−116847)の分割
【原出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【分割の表示】特願2006−116847(P2006−116847)の分割
【原出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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