説明

一酸化窒素の測定方法およびその測定装置

【課題】水への溶解性の低いNOガスをNO2への変換なしに、直接ガス吸収液に取り込んで、迅速にNO濃度を測定する方法、およびこの測定方法を実施するための装置を提供する。
【解決手段】一酸化窒素(NO)を含む試料ガスとNO蛍光プローブを含むガス吸収液とをガス透過膜を介して接触させて、一酸化窒素を前記ガス吸収液に取り込み、このガス吸収液における蛍光量を測定することからなる一酸化窒素の測定方法、および一酸化窒素を含む試料ガスが流れるガス流路と、NO蛍光プローブを含むガス吸収液が流れるガス吸収液流路と、このガス流路とガス吸収液流路の接触部の境界面にガス透過膜を設けたガス捕集器と、このガス捕集器のガス吸収液出口側流路に蛍光検出器とを設けた一酸化窒素の測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一酸化窒素(NO)、特には試料ガス中の微量のNOを即時に検出するのに好適な測定方法およびその測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素(NO)は大気汚染の原因物質であるNOxの一つであり、環境基準として大気中のNO濃度が測定されている。一方、NOは気道上皮で炎症が生じると呼気中に排出される量が増加し、その量が炎症の程度とよく相関することから、近年、喘息を含む気道疾患のマーカーとしても注目されるようになってきた。1997年には欧州呼吸器学会(Eur. Respir. J., 10, 1683-1693(1997))で、1999年には米国胸部学会で(Am. J. Respir. Crit. Care. Med., 160, 2104-2117(1999))で、それぞれ呼気中NOのモニタリング方法に関するガイドラインが採択されている。
【0003】
大気や呼気などの気体試料中のNOを測定する場合、ppbレベルの測定感度が求められている。従来、ドライ(乾式)なNOの測定法としてはオゾンを用いる化学発光法が、ウェット(湿式)なNOの測定法としては、ガス吸収液に測定対象ガスを取り込み、ザルツマン試薬と反応させるザルツマン法(吸光光度法)が実用に供されている。
【0004】
化学発光法は、ガス状のNOとオゾンを反応させることにより生成する励起状態のNO2が基底状態に戻るときの発光を利用して気体試料中のNOを測定する方法である(Palmer, R.M., et al., Nature, 327, 524-526(1987))。該方法は非常に高感度であり、リアルタイムに大気中のNO測定が可能であるが、反応に使用するオゾンを生成させるためのオゾン発生装置(オゾニエーター)が必要であり、該オゾニエーターには一定のオゾン条件を得るための暖機に時間がかかるという問題がある。また、ppbレベルでNOを測定するための高感度化及び試料ガス中に共存する二酸化炭素によるクエンチングの影響回避のために真空ポンプを用い減圧条件で測定することが必要である。このように化学発光法による気体試料中のNO測定には、測定装置の軽量化・体積の小型化が困難であり、装置や測定に係わるコストが高くなるという欠点があった。このため、例えば、定点設置して環境中のNOを測定する場合にはあまり問題にならないが、自動車で立ち入ることが出来ない複数の場所(地点)における環境中のNOを、地点を移動して測定することや、医療現場において呼吸器疾患患者、例えば気管支喘息患者のベットサイドへ測定装置を運んで、または、患者自身が測定装置を携帯して呼気中のNOを測定することは困難であり、化学発光法は装置に起因して使用可能な環境が限られるという問題があった。
【0005】
ザルツマン法は、気体試料中のNO2をバブラーなどを使用して水性のガス吸収液に取り込ませ、水(H2O)とNO2とを反応させて亜硝酸イオン(NO2-)生じさせ、該NO2-とスルファニル酸とを反応させてジアゾ化スルファニル酸塩とし、次いでN−1−ナフチルエチレンジアミンとアゾカップリングさせて生成するアゾ色素の吸光度を測定して気体試料中のNO2濃度を測定する方法である。しかし、NOそれ自体は、スルファニル酸、N−1−ナフチルエチレンジアミン、酢酸から成る前記ザルツマン試薬とは反応しないため、ザルツマン法ではNOを直接測定することが出来ない。ザルツマン法でNOを測定するためには、まずNOを過マンガン酸カリウムなどの酸化剤によりNO2に酸化する必要があり、測定試料中にNOガスとNO2ガスが共存する場合には、NOガスのNO2への酸化に先立ち試料由来のNO2ガスを分離・除去して測定を行う必要があった。また、ザルツマン法は色素の発色を測定する方法であるため感度が低く、測定対象(試料)が大気のような場合には問題はないが、試料が少量、NOが低濃度の場合には測定できないという欠点があった。
【0006】
ザルツマン試薬の代わりに蛍光試薬である2,3‐ジアミノナフタレン(DAN)を用いて、NOをザルツマン試薬で測定する場合よりも100倍程度高感度に測定する方法(DAN法)も知られている。しかし該DAN法は、試料中のNOを先ずNO2に変換した後、アルカリ性水溶液で吸収し、該アルカリ性水溶液をpH2以下の酸性とした上でDANと反応させ、再度pH10以上のアルカリ性に調整した後に生成した蛍光物質を測定する必要があり、測定操作が極めて煩雑になるという問題がある。前記したようにDAN法はザルツマン法よりも高感度ではあるものの、ザルツマン法と同様にNOからNO2への変換が測定に必須であり、NOからNO2への変換効率(酸化率)のバラツキが測定の信頼性を損なう原因となることは解消されていない。
【0007】
前記ザルツマン法のような、ガス吸収液に測定対象ガスを取り込みケミカルに測定対象ガスを測定する手法は簡便であり、古くから用いられている。しかし、測定試料をバブリング等して測定対象ガスを吸収させるためのガス吸収液量が少なくとも10〜50mL程度は必要であり、このガス吸収液の体積の大きさが測定対象を希薄化する原因となる。よって、ppbレベルの成分を計測する場合には数十分から数時間もの長時間にわたり試料ガスをサンプリングしガス吸収液中の測定対象濃度を高めた後に測定する必要があり、経時変化が測定できないという問題点もある。
【0008】
このような問題点を解決する方法として、特許文献1〜3 、非特許文献1にはブロック(基板)に設けたマイクロチャネルを用いるガス捕集器が開示され、測定対象ガスのガス吸収液への吸収時間の短縮(試料ガスの濃縮)が果せたことが記載されている。しかしながら、これらの文献の何れにおいても、水への溶解性が高い測定対象ガス(二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄)を、水性のガス吸収液に取り込んで測定しており、水への溶解性の低いNOガスをNO2への変換なしに直接ガス吸収液に取り込んで測定した例はこれまでに報告されていない。
【特許文献1】特開2000-155116号公報
【特許文献2】特開2004-361244号公報
【特許文献3】特開2007-139733号公報
【非特許文献1】Lab Chip, 5, 1374-1379(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、水への溶解性の低いNOガスをNO2への変換なしに、NOの状態で直接ガス吸収液に取り込んで、迅速にNO濃度を測定する方法およびこの測定方法を実施するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、研究を進めた結果、NOを、ガス透過膜を介してNO蛍光プローブ水溶液と接触させると、NOが水溶液中に取り込まれ、溶存酸素の存在下にNO蛍光プローブと反応して蛍光を発し、NOの濃度を測定できるということを見出した。さらに、上記測定において、試料ガスに対して、試料ガス中の濃度が一定濃度となるように外部からNO2を添加してNOの濃度を測定すると、NO2を添加しない場合と比べて極めて検出感度が向上することを見出した。
【0011】
本発明は、上記知見に基づくもので、次の通りである。
(1)一酸化窒素(NO)を含む試料ガスとNO蛍光プローブを含むガス吸収液とをガス透過膜を介して接触させて、試料ガス中の一酸化窒素を前記ガス吸収液に取り込み、このガス吸収液における蛍光量を測定することからなる一酸化窒素の測定方法。
【0012】
(2)前記一酸化窒素を含む試料ガスが、20〜3000容量ppbの範囲で二酸化窒素(NO2)を含むものである請求項1に記載の一酸化窒素の測定方法。
(3)前記一酸化窒素を含む試料ガスとガス吸収液との接触をハニカム構造のマイクロチャネルスクラバーで行う上記(1)または(2)に記載の一酸化窒素の測定方法。
(4)前記NO蛍光プローブが、NOの存在下に分子内にトリアゾール環構造を形成して蛍光を発するフルオレセイン誘導体又はローダミン誘導体である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の一酸化窒素の測定方法。
(5)前記NO蛍光プルーブが、4,5‐ジアミノフルオレセイン(DAF-2)、3‐アミノ‐4‐(メチルアミノ)‐2’,7’‐ジフルオロフルオレセイン(DAF-FM)、3‐アミノ‐4‐(メチルアミノ)‐テトラメチルローダミン(DAR-4M)からなる群より選ばれるものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の一酸化窒素の測定方法。
(6)前記ガス吸収液のpHが、5以上である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の一酸化窒素の測定方法。
(7)前記ガス吸収液が、10〜40%の濃度でジメチルホルムアミドを含むものである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の一酸化窒素の測定方法。
(8)前記一酸化窒素を含む試料ガスが、大気である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の一酸化窒素の測定方法。
(9)前記一酸化窒素を含む試料ガスが、呼気である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の一酸化窒素の測定方法
【0013】
(10)
以下の[1]〜[3]を備えた一酸化窒素の測定装置。
[1]一酸化窒素を含む試料ガスが流れるガス流路、
[2]該ガス流路と境界面のガス透過膜を介して接触するように配置されたNO蛍光プローブを含むガス吸収液が流れるガス吸収液流路、を有するガス捕集器、
[3]該ガス捕集器のガス吸収液出口側流路に接続された蛍光検出器
【0014】
(11)前記ガス捕集器がハニカム構造のマイクロチャネルスクラバーである上記(10)に記載の一酸化窒素の測定装置。
【発明の効果】
【0015】
先述したように、これまで気体試料中のNOを湿式で測定するには、共存するNO2を取り除いた後、NOをNO2に変換し、そのNO2を間接的に測定していた。これに対し、本発明の方法では、ガス捕集器とNO蛍光プローブの組み合わせで、数10ppbの測定感度でNOを直接測定できるようになった。また、驚くべきことに、従来、NOガスの測定では、事前に取り除く必要があった共存するNO2を、除去するのではなく逆に一定濃度となるように外部から試料ガス中に添加してNOの濃度を測定すると、NO2を添加しない場合と比べて著しく検出感度が向上し、さらに高感度にNOを直接測定できるようになった。さらに、本発明の測定装置は、従来の化学発光装置に比べ、重量、体積を1/10以下とすることもできる上、測定感度はヒト呼気のNOにも応答可能である。よってポータブルで持ち運び可能なNOガス測定装置として使用でき、環境測定や呼吸器疾患の評価に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明において、測定の対象となる一酸化窒素(NO)を含む試料ガスは、どのようなガスであっても特には制限されるものではないが、測定の必要性が高い大気や呼気、あるいは自動車の排気ガス等を対象とすることが好ましい。該一酸化窒素を含む試料ガスは、そのまま測定に用いても、二酸化炭素ガスを試料ガスから除去するためのソダライムカラムの使用など、通常使用される方法を用いて共存する他のガスを除去した後に測定に用いても、共存する他のガスを適当な化学物質等により別の化学物質に変換した後に測定に用いる等をしても構わない。また本発明には、「一酸化窒素を含む試料ガスが、20〜3000容量ppbの範囲で二酸化窒素(NO2)を含むものである一酸化窒素の測定方法」に関する発明も含まれるが、そのような試料ガスを測定する場合であっても、ガス透過膜を介して本発明のガス吸収液と試料ガスが接触する時点で、試料ガス中に所定濃度のNO2が含まれていることを限度として、トリエタノールアミンを含浸したモレキュラーシーブを充填したカラム等で、あらかじめNO2を除去する工程(ANALYTICAL CHIMICA ACTA, 603,60-66(2007)等)が含まれていることも排除しない。
なお、本明細書において一酸化窒素あるいはNOの語句は、いずれも化学物質の名称あるいは一酸化窒素ガス、NOガスを指す語として使用している。
【0017】
本発明において、NO蛍光プローブは、溶存酸素の共存下で、NOと反応して分子内にトリアゾール環構造を形成して蛍光を発するフルオレセイン誘導体又はローダミン誘導体が使用できる。例えば、下記一般式化1で示した化合物;4,5‐ジアミノフルオレセイン(DAF-2)(特開平10-226688など)、3‐アミノ‐4‐(メチルアミノ)‐2’,7’‐ジフルオロフルオレセイン(DAF-FM)(US6,441,197など)、3‐アミノ‐4‐(メチルアミノ)‐テトラメチルローダミン(DAR-4M)(WO99/1447,US6,756,231など)のほか、フルオレセインのカルボキシル基がアルキル基などで置換されたフルオレセイン誘導体(TokyoGreen:登録商標)を母核としフェニル環上の隣接した位置に二つのアミノ基が置換しているNO蛍光プローブ(WO2004/005917号公報)、ローダミンのカルボキシル基がアルキル基などで置換されたローダミン誘導体を母核としフェニル環上の隣接した位置に二つのアミノ基が置換しているNO蛍光プローブ(WO2005/085811号公報)などが好適に使用できるが、これらに限定されない。なお、該フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体に置換しうる置換基の種類などは、前記各文献に記載されており、当業者であれば本発明に使用する際、適宜に選択することができる。
【0018】
【化1】

【0019】
これらの中でも、4,5‐ジアミノフルオレセイン(DAF-2)は、蛍光強度に優れており、本発明に好適に使用できる。DAF-2を例として、本発明のNO蛍光プローブが、水溶液中で溶存酸素の存在下にNOと反応して蛍光を生じる機序を下記化2に示す。
【0020】
【化2】

【0021】
上記機序をより詳細に説明する。NOは水溶液中に取り込まれると溶存酸素と反応してNO2を生成する(式A)。この生成したNO2とNOが反応するとN2O3が生成する(式B)。このN2O3は、強いニトロソ化能を有し、DAF-2のフェニル環上の隣接した位置に置換している二つのアミノ基と瞬時に反応して分子内にトリアゾール環構造を形成し、蛍光物質DAF-2Tを与える。このように、溶存酸素を利用してDAF-2を蛍光物質のDAF-2Tに変換するためには通常2分子のNOが必要となる。
NO + 1/2 O2 → NO2 (式A)
NO + NO2 → N2O3 (式B)
DAF-FM、DAR-4M等もDAF-2と同様にフェニル環上の隣接した位置に置換している二つのアミノ基を有し、水溶液中、溶存酸素の存在下にNOと反応してトリアゾール環を形成して蛍光を発する性質を有する。
【0022】
通常、ウェットな方法でNOガスを測定する場合には、予めNO2を除去して測定する必要があるが、本発明の測定方法では、試料ガスに対して、試料ガス中の濃度が一定濃度となるように外部からNO2を添加することで著しく検出感度を向上させることが出来た。これは、一定量のNO2存在下でNOを測定する場合には、式Aの反応を必要とせずに式Bの反応が進行するため、DAF-2を蛍光性のDAF-2Tに変換するのにNOが1分子で済むためと考えられる。さらに、式Aの反応速度は式Bの反応速度に比べ非常に遅く、結果としてNO2を添加しない場合には、DAF-2と反応するN2O3の生成が遅くなりNOとDAF-2の反応が十分に進まないうちに蛍光検出器に送液されて測定されてしまうが、NO2を添加した場合には、速い式Bの反応だけが進行すれば良く、NOとDAF-2の反応が迅速に進行してほとんど全てのNOがDAF-2と反応した後に蛍光検出器送液されて測定できるためと考えられる。なお、上記説明におけるNO分子数の数え方等は、上記した式A,Bを前提としており、式の書き方により分子数の数え方が異なる場合もある。また上記機序は、発明者が推定する機序の一例であって、この機序に拘泥するものではない。
【0023】
本発明においては、NO蛍光プローブを水に溶解して、ガス吸収液として使用する。この場合、NO蛍光プローブの濃度は、使用するNO蛍光プローブの種類や測定試料中のNO濃度により、実験的に適宜設定することができるが、例えばDAF-2の場合には、通常、0.1〜50μM、特には、1〜10μMとすることが好ましい。また、このガス吸収液としては、DAF-2などのフルオレセイン及びフルオレセイン誘導体がpH5以上で蛍光を発するため、pH5以上の水溶液を使用することができるが、NOのガス吸収液への取り込みとNOとNO蛍光プローブの反応を向上させるため、pHを7以上にすることが好ましく、特に10以上にすることが好ましい。ガス吸収液は、リン酸バッファー、ホウ酸バッファー、ホウ砂バッファー、紫外スペクトル測定用広域バッファー(日本化学会編、「化学便覧 基礎編II」、改訂3版、355、昭和59年)の他、水酸化ナトリウム水溶液等を用い、前記好適なpHに調整することが好ましい。さらに、上記ガス吸収液には、NOの難溶性を改善し、測定感度を上げるために、水と混和する有機溶媒を添加してもよい。例えばジメチルホルムアミドなどの有機溶媒を、10〜40%加えることができる。
なお、このガス吸収液中の溶存酸素は、大気中で水に通常溶解している1〜20ppm程度の濃度でを含まれておれば本発明の実施には十分であるが、オゾンやオキシド化合物等の酸素源を別途添加してもよい。
NO2を添加して測定する場合には、試料ガスに対し、試料ガス中のNO2濃度が20容量ppb以上、好ましくは20〜300容量ppbの範囲で一定濃度となるように外部からNO2を添加することが出来る。特に200容量ppb以上となるように添加することが好ましい。ただし、測定装置の設計やNO2の供給源に起因し、該濃度範囲にコントロールすることが困難な場合などには、NO測定の障害にならないことを限度として、3000容量ppb程度まで添加共存することも許容される。
【0024】
本発明において、測定対象ガスとガス吸収液との接触は、ガス透過膜を介して行う。このガス透過膜は、疎水性で、多孔性のポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂等を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1‐ブテン、ポリ4‐メチル‐1‐ペンテン樹脂などであり、またフッ素樹脂としては、ポリテトラフルルエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ( アルキルビニルエーテル) 共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが好適である。
【0025】
この測定対象ガスとガス吸収液との接触には、高い効率でガスを捕集できる本発明者が開発したハニカム構造のマイクロチャネルスクラバー(特許文献3及び非特許文献1参照)を用いることが好ましい。
【0026】
本発明における蛍光量の測定は、一般に市販されている小型の蛍光検知器を用いることができる。また、一般に市販されているLEDランプを光源とし、小型のフォトマルチプライアーモジュールと組み合わせて蛍光検出器としてもよい。
【0027】
次に本発明の測定装置について、一実施態様を示した図1〜3に基づいて説明する。
図1は、測定装置の構成とその流路を示す概略図である。
【0028】
この測定装置は、(1)一酸化窒素を含む試料ガスが流れるガス流路1と、(2)該ガス流路1と境界面のガス透過膜3を介して接触するように配置されたNO蛍光プローブを含むガス吸収液が流れるガス吸収液流路2、を設けたガス捕集器と、(3)該ガス捕集器のガス吸収液出口側流路に蛍光検出器5が設けられている。
【0029】
そして、この装置を用いる測定においては、NO蛍光プローブを含むガス吸収液は貯蔵タンク6からポンプ7によりガス捕集器に供給され、ガス捕集器中のガス吸収液流路2を通り、ガス透過膜3を介してNOを取り込む。NOを取り込んだガス吸収液は、蛍光検知器5へ送られ、蛍光量が測定されて、排出される。一方、一酸化窒素を含む試料ガスは、図示していない試料ガス供給器より、測定試料流入路11を通ってガス流入口8から供給され、ガス流路1を通り、ガス透過膜3を介してガス吸収液と接触した後、ガス排出口9から排出される。試料ガスに二酸化窒素を添加する場合には、二酸化窒素を含むガスを、図示しないガス供給器(本図面では前述の試料ガス供給器とは別のものを想定)より添加ガス流入路12を通ってマスフローコントローラー10に供給し、マスフローコントローラー10で流量を調節して一酸化窒素を含む試料ガス中の二酸化窒素濃度が一定となるように供給される。二酸化窒素を含むガスのガス供給器としてはNO2の標準ガスボンベの他、恒温に保持するとチューブ内の液化ガスの浸透拡散する量が一定となるパーミエーションチューブなどを使用できる。
【0030】
図2は、ガス捕集器の一例としてマイクロチャネルスクラバーを示した概略図である。図2に示すように、基板13に、深さが20〜200μm、幅が100〜1000μmのマイクロチャネル14(ガス吸収液流路2の一態様)を形成し、厚さが30μm以下のガス透過膜3を基板13に固着してガス吸収液流路が形成されている。なお、マイクロチャネル14はガス流路とガス透過膜を介して接するガス吸収液流路の面積が吸収液流路部全体の面積の20%以上となるように形成されている。マイクロチャネル14はガス吸収液が一様に流れるものであれば直線状の他どのような構造でもよいが、ガス透過膜を介して接するガス吸収液流路の面積を大きくするために蛇行もしくは折曲させたり、整流のための島を設けてガス吸収液流路を分岐することが好ましく、特にハニカム構造のマイクロチャネルであることが好ましい。このマイクロチャネルスクラバー上に、ガス流路を設けたブロックを固着する(なお図1は図2と上下逆に描かれている)ことにより、マイクロチャネルスクラバーで試料ガス中のNOを吸収することができる。なお、基板13の材質は、特許文献3の記載などを参照して適宜に選択できる。好適な材質の一例として、ポリジメチルシロキサンがあげられる。
【0031】
図3にマイクロチャネルスクラバーの構造として特に好ましいハニカム構造を示す。このようなハニカム構造のマイクロチャネルスクラバーをガス捕集器として用いる場合は、前記ガス吸収液の流量は、5〜200μL/min、ガスの流量は、100〜400mL/minとすることが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0033】
[実施例1] ガス吸収液の組成検討(pH)
サクションフィルターを用いたバブリング法によりガス吸収液に試料NOガスを通気した後、ガス吸収液の蛍光強度を測定して、本発明のガス吸収液の組成(pH)を検討した。
【0034】
ガス吸収液は、2μMのDAF-2を含む10mM紫外スペクトル測定用広域バッファー(pH7〜12、日本化学会編、「化学便覧 基礎編II」、改訂3版、355、昭和59年)を用いた。試料NOガスとしてNO標準ガスを使用し、マスフローコントローラーによって1容量ppmに流量調整したガスを各ガス吸収液15mLに対して10分間バブリングした。各pHのガス吸収液それぞれについて、バブリング前及びバブリング終了後5分後に蛍光分光光度計(島津製作所 RF−5300PC)を用い、励起波長495nm、蛍光波長515nmで蛍光強度を測定し、バブリング終了後5分後の蛍光強度からバブリング前の蛍光強度を差し引いて蛍光強度上昇量を求めた。得られた蛍光強度上昇量は、pH7のガス吸収液における蛍光強度上昇量を1とする相対値で示した。
【0035】
測定結果を図4に示した。各pHにおける相対蛍光強度上昇量を比較すると、pH7〜9の間でほぼ一定の値を示した後、pH10以上で顕著な増大が観察された。以上より、DAF-2をNO蛍光プローブとして使用する場合、ガス吸収液のpHはpH10以上が特に好適であることがわかった。
【0036】
[実施例2] 本発明の方法及び装置によるNOの測定
ガス捕集器として、ガス吸収液流路の深さが70μm、幅が200μmであり、ガス透過膜を介してガス流路と接触しているガス吸収液流路の面積が吸収液流路部全体の30%以上であるハニカム構造のマイクロチャネルスクラバーを使用した。ガス吸収液は、10μMのDAF-2を含む0.01M NaOH水溶液(pH11.7)を使用した。試料NOガスは、NO標準ガスをマスフローコントローラーによって流量調整し、NO及びNO2を含まない空気でその希釈率を変えることにより50〜250容量ppbのNO濃度に調整して作製した。マイクロチャンネルスクラバーへの試料NOガスの供給は200mL/minで行った。ガス吸収液はポンプで流量を10 μL/minに調整し、マイクロチャネルスクラバーに導入した。DAF-2と反応して生成するDAF-2Tの蛍光強度は蛍光検出器にて測定した。蛍光検出器としては、光源として460nm LED(20mA)を用い、小型のフォトマルチプライアーモジュールを光検出器として採用した。光検出器には520nmのカットフィルターを装着して励起光の影響を防止して測定した。試料NOガスは従来法(化学発光法)による装置で、常時同時モニターした。
【0037】
測定結果を図5に示した。図5上段は、本発明の装置での測定結果であり、図5下段は化学発光法(CL)装置で同時モニターした結果である。上段図の応答と下段図の応答は一致しており、本発明の装置でNOガスの測定ができることが確認された。さらに下段の従来法により求められたNO濃度をX、上段の本発明での応答強度をYとしてプロットすると、図6に示すように相関係数R=0.9993の直線が得られた。これにより本発明の方法では、NO濃度に依存した応答が得られることが確認された。
【0038】
[実施例3] 呼気試料中のNOの測定
ガス吸収液として、10μMの DAF-2を含む0.01M NaOHを用い、これを10μL/minの流量で、前記のマイクロチャネルスクラバーへ導入した。一方、健常者の呼気をマイラーバッグに採取し、バッグから900秒、1500秒、2100秒のタイミングで吸引して200mL/minで前記のマイクロチャネルスクラバーへ導入し、測定を行った。
【0039】
測定結果を図7に示した。呼気吸引のタイミングと一致した応答が確認された。以上より本発明の方法及び装置は、呼気中のNO検出が可能であることが確認できた。
【0040】
[実施例4] ガス吸収液の組成検討(有機溶媒)
サクションフィルターを用いたバブリング法によりガス吸収液に試料ガスを通気した後、ガス吸収液の蛍光強度を測定して、本発明のガス吸収液の組成(有機溶媒)を検討した。
【0041】
ガス吸収液は、2μMのDAF-2及び0〜60%(v/v)のジメチルホルムアミド(DMF)を含む10mM紫外スペクトル測定用広域バッファー(pH11)を用いた。試験用のNOにはNO標準ガスを用い、マスフローコントローラーによって1容量ppmに流量調整したガスを各ガス吸収液15mLに対して10分間バブリングした。各ガス吸収液について、実施例1と同様にして蛍光強度上昇量を求めた。得られた蛍光強度上昇量は、DMF非添加(0%)のガス吸収液における蛍光強度上昇量を1とした相対値で示した。
【0042】
測定結果を図8に示した。各DMF濃度のガス吸収液における相対蛍光強度上昇量を比較すると、DMF10〜40%の範囲の添加により、相対蛍光強度上昇量の顕著な増大が観察された。このとき、DMF10〜40%の範囲で非添加に対して5倍以上の増大であった。以上より、DAF-2をNO蛍光プローブとして使用する場合、ガス吸収液中に10〜40%DMFを共存させることが好適であることがわかった。
【0043】
[実施例5] NO2共存の効果確認(NO濃度一定)
種々の濃度のNO2を添加してNOの測定を行った。NO2の標準ガスとNOの標準ガスを各々マスフローコントローラーによってNO2が0〜300容量ppb、NOが100容量ppbとなるように調整し、200mL/minでガス捕集器のマイクロチャネルスクラバーに供給した。ガス吸収液は、10μM DAF-2 / 0.01 M NaOHを用い、20μL/minの流量でマイクロチャネルスクラバーに導入し、DAF-2と反応して生成するDAF-2Tの蛍光強度を蛍光検出器にて測定した。
【0044】
この結果を図9に示した。NO2濃度の上昇と共に100容量ppb のNOに対する応答が大きくなり、200容量ppb以上でほぼプラトーとなった。このとき、NO2を添加しなかった時と比べ約10倍の応答が得られており、試料ガスにNO2を添加すると、より高感度にNOが測定できることがわかった。
【0045】
[実施例6] NO2共存の効果確認(NO2濃度一定)
200容量ppbのNO2を添加してNOの測定を行った。 NO2の標準ガスとNOの標準ガスを各々マスフローコントローラーによって流量調整し、その希釈率を変えることによって、測定開始から125min の間はNO2が200容量ppb(125min以降はNO2を0容量ppbとした)、NOが順に10容量ppb(2回測定)、20容量ppb(2回測定)、40容量ppb(2回測定)、60容量ppb(2回測定),80容量ppb(2回測定)、100容量ppb(NO2が200容量ppbの時に4回測定し、125min以降にNO2が0容量ppb時に4回測定)となるよう調製し、200mL/minでガス捕集器のマイクロチャネルスクラバーに供給した。ガス吸収液は、10μM DAF-2 / 0.01 M NaOHを用い、20 μL/minの流量でマイクロチャネルスクラバーに導入した。試験ガスは従来法(化学発光法)による装置で、常時同時モニターした。
【0046】
測定結果を図10に示した。(a)図上段は本発明の方法及び装置による測定結果であり、下段は化学発光法(CL)装置で同時分析を行ったものである。(b)は(a)の80−120minと125−165minの測定結果を重ねて100容量ppb の濃度のNO に対する応答を比較したものである。(a)においてNO2を添加しなかった場合には、100容量ppb の濃度のNOに対する応答は僅かであるが、NO2を添加した場合には、10容量ppb の濃度のNOに対しても十分な応答が得られている。(b)において、NO2を添加しなかった場合には、100容量ppb の濃度のNOに対する応答は約0.15Vで僅かであるが、NO2を添加した場合には1.5V以上の応答があり、NO2を添加することで10倍以上の応答が得られることが分かる。このようにNO2を添加することによって、より高感度にNOが測定できることがわかった。
【0047】
[実施例7] 呼気試料中のNOの測定(NO2共存下)
200容量ppbのNO2を添加して呼気サンプルのNO測定を行った。ガス吸収液として、10μM DAF-2 / 0.01M NaOHを用い、これを30μL/minの流量で、前記のマイクロチャネルスクラバーへ導入した。一方、健常者3人の呼気(BreathA、B及びC)をそれぞれマイラーバッグに採取し、バッグから吸引した呼気にNO2濃度が200容量ppbとなるようにNO2の標準ガスをマスフローコントローラーによって調整して添加した。NO2を添加した呼気サンプルは200mL/minで前記のマイクロチャネルスクラバーへ導入し、測定を行った。
【0048】
測定結果を図11に示した。図中、中央のラインが本発明の方法及び装置によるNOの測定結果であり、上のラインは化学発光法(CL)装置でNO2の同時分析を行った結果であり、下のラインは化学発光法(CL)装置でNOの同時分析を行った結果である。本発明の方法及び装置で測定した健常者3人の呼気(BreathA、B及びC)は、化学発光法(CL)装置で測定した値と相関のある応答を示し、呼気中のNO濃度に依存した応答が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の測定装置は、従来の化学発光装置に比べ、重量、体積が1/10以下であり、ヒト呼気のNOにも応答する。よってポータブルで持ち運び可能なNOガス測定装置として使用でき、環境測定や呼吸器疾患の評価に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施態様のNO測定装置の構成とその流路を示す概略図である。
【図2】ガス捕集器の一例としてマイクロチャンネルスクラバーを示した概略図である。
【図3】ハニカム構造のマイクロチャンネルスクラバーのガス吸収液流路を示した図である。
【図4】バブリング法による測定において、ガス吸収液のpHを種々変化させた時のNOに対する応答を示したグラフである。
【図5】マイクロチャネルスクラバーによる測定において、NOに対する応答特性を示したグラフである。
【図6】マイクロチャネルスクラバーによる測定において、応答強度とNO濃度の相関関係を示したグラフである。
【図7】マイクロチャネルスクラバーによる測定において、呼気に対する応答特性を示したグラフである。
【図8】バブリング法による測定において、ガス吸収液のジメチルホルムアミド濃度を0、10、20、30、40、60%とした時のNOに対する応答を示したグラフである。
【図9】マイクロチャネルスクラバーによる測定において、種々のNO2濃度における100容量ppbのNOに対する応答特性を示したグラフである。
【図10】マイクロチャネルスクラバーによる測定において、200容量ppbのNO2濃度におけるNOに対する応答特性を示したグラフである。
【図11】マイクロチャネルスクラバーによる測定において、呼気試料に対し、呼気試料中の濃度が200容量ppbとなるようにNO2を添加した時の呼気に対する応答特性を示したグラフである。
【符号の説明】
【0051】
1.ガス流路
2.ガス吸収液流路
3.ガス透過膜
4.ガス捕集器
5.蛍光検出器
6.貯蔵タンク
7.ポンプ
8.ガス流入口
9.ガス排出口
10.マスフローコントローラー
11.測定試料流入路
12.添加ガス流入路
13.基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化窒素(NO)を含む試料ガスとNO蛍光プローブを含むガス吸収液とをガス透過膜を介して接触させて、試料ガス中の一酸化窒素を前記ガス吸収液に取り込み、このガス吸収液における蛍光量を測定することからなる一酸化窒素の測定方法。
【請求項2】
前記一酸化窒素を含む試料ガスが、20〜3000容量ppbの範囲で二酸化窒素(NO2)を含むものである請求項1に記載の一酸化窒素の測定方法。
【請求項3】
前記一酸化窒素を含む試料ガスとガス吸収液との接触をハニカム構造のマイクロチャネルスクラバーで行う請求項1または2に記載の一酸化窒素の測定方法。
【請求項4】
前記NO蛍光プローブが、NOの存在下に分子内にトリアゾール環構造を形成して蛍光を発するフルオレセイン誘導体又はローダミン誘導体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の一酸化窒素の測定方法。
【請求項5】
前記NO蛍光プローブが、4,5‐ジアミノフルオレセイン(DAF-2)、3‐アミノ‐4‐(メチルアミノ)‐2’,7’‐ジフルオロフルオレセイン(DAF-FM)、3‐アミノ‐4‐(メチルアミノ)‐テトラメチルローダミン(DAR-4M)からなる群より選ばれるものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の一酸化窒素の測定方法。
【請求項6】
前記ガス吸収液のpHが、5以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の一酸化窒素の測定方法。
【請求項7】
前記ガス吸収液が、10〜40%の濃度でジメチルホルムアミドを含むものである請求項1〜6のいずれか一項に記載の一酸化窒素の測定方法。
【請求項8】
前記一酸化窒素を含む試料ガスが、大気である請求項1〜7のいずれか一項に記載の一酸化窒素の測定方法
【請求項9】
前記一酸化窒素を含む試料ガスが、呼気である請求項1〜7のいずれか一項に記載の一酸化窒素の測定方法
【請求項10】
以下の(1)〜(3)を備えた一酸化窒素の測定装置。
(1)一酸化窒素を含む試料ガスが流れるガス流路、
(2)該ガス流路と境界面のガス透過膜を介して接触するように配置されたNO蛍光プローブを含むガス吸収液が流れるガス吸収液流路、を有するガス捕集器、
(3)該ガス捕集器のガス吸収液出口側流路に接続された蛍光検出器
【請求項11】
前記ガス捕集器がハニカム構造のマイクロチャネルスクラバーである請求項10に記載の一酸化窒素の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−78426(P2010−78426A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246373(P2008−246373)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(390037327)積水メディカル株式会社 (111)
【出願人】(504159235)国立大学法人 熊本大学 (314)
【出願人】(391028122)株式会社ガステック (15)
【Fターム(参考)】