説明

一酸化窒素放出用ゼオライト

放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト、該ゼオライトの製法、該一酸化窒素を、溶液または空気中に放出する方法並びに治療における該ゼオライトの使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト、これらのゼオライトを製造する方法、溶液または空気中に一酸化窒素を放出する方法、および該ゼオライトの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素(化学式はNO)は、多くの生物学的な過程において極めて重要な、極小さな分子である。これは、動脈および静脈を通る血流を増大する、血管拡張薬であり、また血小板の接着および凝集並びに血栓の形成を制御/阻害する上で、重要なファクタでもある。これは、また免疫系および神経伝達系において決定的な役割をも演じている。今では、一酸化窒素の作用モードに関する多くのことが知られており、またインビボおよびエクスビボ(ex vivo)用途両者における、医学およびバイオ技術において、このものが莫大な能力を持つことは、明白である。
【0003】
一酸化窒素の制御された放出は、予防並びに治療処置および適用において重要であり得る。例えば、一酸化窒素は、閉塞された動脈におけるバルーンによる血管形成術およびステントの装入に伴う、血栓症および再発狭窄症を予防することを可能とする(国際特許出願WO 95/24908)。しかし、一酸化窒素は、多くの生物学的な過程において活性であるので、目標として設定された放出が望ましい。皮膚への一酸化窒素の放出も、関節炎およびレイノー症候群等の状態において起る可能性のある、末梢循環系に係る問題を抱える患者にとって、治療上の利点を持つ可能性がある。一酸化窒素は、また抗菌特性をも示し、抗菌性デバイスへの組み入れおよび細菌感染の治療のための使用が望ましい。また、一酸化窒素は、創傷の治癒および血管形成においてある役割を演じており、更に創傷および潰瘍への一酸化窒素の放出は、例えば高齢の患者において起り得るように、治癒が緩慢である場合に、有利であり得る(M. Shabani等, 局部的に適用された一酸化窒素放出ポリマーによる、創傷治癒の増強(Enhancement of wound repair with a topically applied nitric oxide−releasing polymer),創傷治癒および再生(Wound repair and regeneration), 1996, 4:353およびS. Frank, H. Kampfer, C. Wetzler, J. Pfeilschifer, 一酸化窒素は、皮膚修復を促進する(Nitric Oxide drives skin repair):樹立されたメディエータの新規な機能(Novel functions of an established mediator), Kidney International, 2002, 61:882)。
【0004】
しかし、一酸化窒素がガスであることから、所定領域に対する、および必要とされる最適容量での一酸化窒素の放出は、しばしば困難である。一酸化窒素の放出は、バイオ技術用途等のエクスビボ並びに医学用途等のインビボ両者において困難である。
一酸化窒素を放出するための様々な方法が知られている。例えば、
(a) NOを自発的に放出する分子;
(b) 代謝されて、NOを放出する分子;
(c) 光活性化の際にNOを放出する分子;
(d) ポリマーおよびポリマー被覆からのNOの放出;
(e) 化学的な反応によるNOの生成。
【0005】
上記(a)群の分子は、一酸化窒素求核錯体(ノノエート(NONOates))(C.M. Maragos等, 一酸化窒素−血管弛緩作用を、生物学的に制御放出するための薬剤としての、NOと求核性物質との錯体(Complexes of NO with nucleophiles as agents for the controlled biological release of nitric oxide−vasorelaxant effects), J. Med. Chem., 1991, 34:3242)として知られている分子を包含する。これらは、自発的に一酸化窒素を放つ様々な分子であり、また治療用途における利用の可能性を持つことが示されている(米国特許第4,954,526号)。しかし、治療におけるノノエートの使用は、これらが身体全体に渡って分配され、選択性を弱める可能性があることから、制限される。このNOの放出に伴う副生成物は、発癌性をもつ二次的なニトロソアミンを形成する可能性がある。その他の上記(a)群の分子は、ニトロソチオールを含む(Megson, I.L., Greig, I.R., Butler, A.R., Gray, G.A. & Webb, D.J., 一酸化窒素ドナー薬剤としてのS−ニトロソチオールの治療上の可能性(Therapeutic potential of S−nitrosothiols as nitric oxide donor drugs), Scot. Med. J., 1997, 42:88)。また、上記(a)群の分子は、全身的な血圧の重度の低下を引起こす可能性がある。
【0006】
上記(b)群の分子は、グリセリルトリニトレートおよびナトリウムニトロプルシドを包含する(L.J. Ignarro, 内皮由来の一酸化窒素の生合成および代謝(Biosynthesis and metabolism of endothelium−derived nitric oxide), Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 1990, 30:535)。これらの化合物は、一般的に血管拡張薬として広く利用されているが、長期間に及ぶその使用は、シアン化物等の有害な副生成物の生成をもたらす恐れがある。その上、これらの分子はNOを放出するように代謝される必要があることから、許容度が拡大される可能性がある。特定サイトへのNOの指向性も低下して、結果的にその効果を全身性のものとする傾向がある。
上記(c)群の分子は、特定の活性化、例えば開始を困難にする可能性のある、特定波長を持つ光の使用を必要とする(C. Works, C.J. Jocher, G.D. Bart, X. Bu, P.C. Ford, 光化学的一酸化窒素プリカーサ(Photochemical Nitric Oxide Precursor), Inorg. Chem., 2002, 41:3728)。
【0007】
上記(d)群の一酸化窒素の放出は、固体物品上に一酸化窒素放出性化合物を担持させることにより、特定の標的サイトに一酸化窒素を届けることによって、上記の全身的な活性に係る問題点を軽減する。このようなNO放出化合物は、ポリマー物質であり得、このポリマー物質は、治療すべき身体の特定の領域に向かわせるために使用することのできる、医療機器に塗布することができる。これらポリマーは、例えば化学反応後にNOを放出する、N2O2基を含むことができる(国際特許出願WO 95/24908および米国特許出願第2002/094985)。しかし、このような状況下でのNOの放出は、制御することが困難であり、かつ一般的に所定物質の製造は、経費がかかり、しばしば多段工程を必要とし、また室温における不安定性のために、保存が困難であり、低温における保存を要するという問題をもたらす。このようなポリマーの使用の可能性は、心血管に係る問題、例えば再発狭窄症の処置、抗−凝塊形成性医療デバイスの製造、皮膚に対する血液供給における、異常な血管収縮の軽減(レイノー症候群)において、および創傷治癒のために存在することが示されている。
【0008】
上記(e)群の一酸化窒素の放出は、化学的反応を通して一酸化窒素を放出することによる、局所的適用のために提案されている。この化学反応は、水と接触した際にNOを放つ、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸およびマレイン酸の適用を含む(米国特許第6,103,275号)。しかし、この反応は、酸性条件化においてのみ起こり、従って特に年配の患者の敏感な皮膚に対して刺激を引起こす可能性がある。更に、この一酸化窒素は、制御された様式ではなく寧ろ一時的なバーストとして放出される。
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、一酸化窒素の保存および放出に係る諸問題点を取除き、および/またはこれらを軽減することにある。
本発明の第一の局面によれば、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含む、ゼオライト材料を提供する。
ゼオライト材料は、公知であり、かつイオン−交換、ガス分離および触媒等の多くの用途において利用されている、一群のアルミノシリケート材料である(A. Dyer, ゼオライト分子篩入門(An Introduction to Zeolite Molecular Sieves), J.ウイリー&サンズ社(J. Wiley and Sons)刊, 1988)。
【0010】
本発明の第二の局面によれば、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含む、ゼオライト材料の製法を提供することにあり、この方法は、ゼオライト材料を製造する工程と、該材料と一酸化窒素ガスとを接触させる工程とを含む。
【0011】
本発明に適したゼオライトは、天然産のもの、あるいは合成によって製造されたものの、何れであってもよい。これらゼオライトは、該材料の内部表面上に、小さな分子またはイオンを吸着することを可能とする寸法を持つ、孔およびチャンネルを含む。ゼオライトの組織(zeolite framework)は、以下の一般式で表される:AlySi1-yO4y-。このゼオライトの組織における各アルミニウム原子に対して、一つの負の電荷が導入され、これは組織外(extra-framework)のカチオンによって釣合いを保つ必要がある。これらのカチオンは、事実上無機または有機何れでも良く、また標準的なイオン−交換法を利用して交換することも可能である(M.E. Davis, 将来予想される用途のための、規則的な多孔性を持つ材料(Ordered porous materials for emerging applications), Nature, 2002, 417:813)。
【0012】
該ゼオライトは、該組織外の種として、鉄、銅、ルテニウム等の遷移元素のカチオンを含むことができ、またこのようなゼオライトは、一酸化窒素を吸着して、該ゼオライト材料の空洞内部で錯体を形成することができる。これらの錯体は、強固であり、かつ必要とされる時点まで、該一酸化窒素の貯蔵を可能とする。他の元素、例えばナトリウムおよびカリウムのカチオンは、一酸化窒素とは、それ程強固に結合することはない。当業者は、所定の金属イオンを、組織外のカチオンとして、ゼオライト構造内に導入するために、標準的なイオン−交換法を利用することができる(Plank等,米国特許第3,140,249号;Fe−ZSM−5触媒の製造、特徴付けおよび性能(Preparation, characterization and Performance of Fe−ZSM−5 Catalysts), R. Joyner & M. Stockenhuber, J. Phys. Chem. B., 1999, 103:5963−5976)。このような技術を利用して、該ゼオライト構造内にカチオン混合物を組込むことが可能である。
【0013】
これらゼオライトは乾燥状態で製造することができる。
これらのゼオライトに担持させることのできる一酸化窒素の量は、該組織外カチオンの相対的な量を変え、その化学的な性質および/または存在するイオンの全数を調節することによって、調節することができる。例えば、該ゼオライト構造内に存在する組織外カチオンの数は、該組織内に存在するアルミニウムの量に依存する可能性がある。アルミニウムイオンの量が多いと、その負の電荷を釣合わせるために、より多くの組織外カチオンを必要とする。この組織外カチオンは、次いで該NO分子と相互作用する。
【0014】
該組織外カチオンの化学的性質も変えることができる(例えば、Na+およびAg+等の一価のカチオンは、Fe2+およびCu2+等の二価のカチオン、またはRu3+およびFe3+等の三価のカチオンで交換することができる)。各異なるカチオンは、NOに対して異なるアフィニティーを持つことができ、また該ゼオライト組織内に存在する該カチオンの変更を、該NOの放出を制御するために利用することができる。該ゼオライト組成のこのような操作は、該一酸化窒素が該ゼオライトから放出される速度に影響を与える可能性がある。例えば、ナトリウムを担持するゼオライトは、鉄を担持するゼオライトよりも弱く一酸化窒素と結合し、より迅速に一酸化窒素を放出することができる。混合ナトリウム/鉄担持ゼオライトは、ナトリウムを担持するゼオライトまたは鉄を担持するゼオライトいずれとも異なる速度にて一酸化窒素を放出することができ、またこのような一酸化窒素の放出は、異なる速度プロフィールを示す可能性がある。
【0015】
ゼオライト組織の選択も、一酸化窒素の担持率および放出速度を変更するために利用することができる。ゼオライトの組織は、様々な異なる構造を持つ合成物質において利用することができ、また適当な組織を選択して、考察中の用途にとって望ましい特性を与えることができる。例えば、ゼオライト構造における該孔およびチャンネルは、該孔およびチャンネル開口のサイズによって規定することができる。構造LTAを持つゼオライトは、8なる四面体単位(即ち、8Si/Al原子および8酸素原子を持つ)。ゼオライトMFIは、10四面体単位により規定される大きなリング開口を有し、またFAUは、12四面体単位を持つ、より一層大きな孔開口により規定される。これら孔の次元数も、ゼオライトの組織毎に異なっている。例えば、幾つかのゼオライトは、一方向のみに延びているチャンネルを有し、一方で他のゼオライトは二次元または三次元において相互に影響し合う系(2−次元および3−次元チャンネル系)を持つ。ゼオライトのサイズ、形状および次元数は、NOの拡散および吸着/脱着速度に影響を与える可能性があり、また特定の用途において、該ゼオライトからのNOの放出速度を調節するために利用できる。
【0016】
このように、該ゼオライト材料の組成は、該ゼオライト構造内に担持させる一酸化窒素の量、および/または該ゼオライトから一酸化窒素が放出される速度を調節するように、整えることができる。
このようなゼオライト構造は、以下の3文字組織コード:LTA、FAU、MFI、MOR、FER、BEA、PHIおよびSASを持つ組織から選択することができるが、これらに限定されない(これらのコードが、ここに参考のために組み入れたゼオライトの組織と、どの様に関連しているかに関する詳細は、国際ゼオライト協会(International Zeolite Association)のウエブサイト:www.iza-online.orgを参照のこと)。これらの3文字コードは、該ゼオライトの組織構成、即ちその構造を表しているが、大幅に変動する可能性のある、該ゼオライトの組成を表すものではない。これらの3文字コードは、ゼオライトの命名系として利用されている。
【0017】
本発明において使用できる該ゼオライトは、以下の一般式(I)で表すことができる:
[(M1n+)x/n(M2p+)y/p…(Mnq+)v/q][AlzSi2-zO4] (I)
ここで、M1およびM2…Mnは、Li、Na、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Ru、Rh、Co、Ni、ZnおよびAgからなる群から選択される元素の、組織外金属カチオンである。
xは0〜nzなる範囲であり得、
yは0〜pzなる範囲であり得、および
vは0〜qzなる範囲であり得、但し、x/n + y/p + … + v/q = zを満足することを条件とする。
zは、該ゼオライト組織において、アルミニウム元素により置換された珪素原子の数である。
n+、p+およびq+は、該組織外金属カチオンの電荷であり、また個々に+1、+2または+3なる値をとることができる。
M1およびM2…Mnは、またN(R1)a(R2)b+(ここで、R1およびR2は各々独立にH、−CH3、−CH2CH3、または−CH2CH2CH3から選択され、かつaおよびbは各々独立に、a+b=4となるような数0、1、2、3または4である)等の小さな有機カチオンから選択することもできる。
【0018】
M1および/またはM2が、小さな有機カチオンである場合、これらは、NH4+であることが好ましい。
本発明において使用できる該ゼオライトは、以下の一般式(II)で表すことができる:
[(M1n+)x/n(M2p+)y/p] [AlzSi2-zO4] (II)
ここで、M1およびM2は上記定義通りであり、
xは0〜nzなる範囲であり得、および
yは0〜pzなる範囲であり得、但し、x/n + y/p = zであることを条件とする。
一酸化窒素を担持する前に、本発明において使用するゼオライトは、該ゼオライトチャンネルから水を除去するために、例えば真空下において、完全にまたは部分的に脱水されていても良い。ついで、得られるゼオライトを、一酸化窒素に暴露して、これに担持することができる。
典型的に、この一酸化窒素の担持は、−100℃〜50℃なる範囲の温度にて行われる。
この一酸化窒素の担持は、純粋なNOまたはNOとキャリアガス、例えばヘリウム、アルゴン、または混合物を含むその他の不活性ガス等の不活性ガスとの混合物を用いて行うことができる。
【0019】
この担持は、典型的には大気圧以上の圧力、例えば大気圧から約1 MPa (10バール)なる範囲の圧力にて行われる。
本発明の一酸化窒素担持ゼオライトは、保存または輸送の目的で、気密性の包装内に封止することができる。
本発明の一酸化窒素担持ゼオライトを水分、例えば水または血液等の水性環境に暴露した場合、該一酸化窒素は、該ゼオライト内部の金属錯体から置換されて、該水性環境内に一酸化窒素ガスを放出する。
該一酸化窒素は、また空気中に置かれた場合にも、一酸化窒素を担持するゼオライトから放出される可能性がある。
該一酸化窒素の放出は、様々な温度において起り得るが、室温または体温の下で放出されることが好ましい。
【0020】
本発明の一酸化窒素を担持するゼオライトは、例えば局所的な治療用途において、またはインビトロでの適用における使用、例えば細胞培養物に特定の量のNOを供給するために、粉末またはモノリス形状で製造することができる。例えば、特定量のNOをゼオライトに担持させ、次いでこのNO担持ゼオライトの放出の程度または放出プロフィールを確認し、正確な量のNOを、該細胞培養物に供給することができる。この原理は、またNOのその他の放出用途、例えば治療、化粧および/または衛生用途において適用して、特定の量または用量のNOを投与することができる。
該モノリスは、ゼオライト粉末の圧縮により、あるいは粉末化したゼオライトと、ゼオライト触媒の製造において周知の、適当なバインダとを混合することによって、製造することができる。
適当なバインダは、シリカまたはアルミナ等のセラミックバインダ、およびポリスルホン、ポリエテン、PET、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびその他のポリマー等のポリマーバインダを含むが、これらに限定されない。
【0021】
あるいはまた、該ゼオライトは、医療デバイス、例えば金属またはプラスチック製の医療デバイス上の被膜として与えることができる。次いで、これらの被覆デバイスを、該一酸化窒素が必要とされる場所に送達することができる。例えば、ゼオライトで被覆したステントを使用して、バルーンによる血管形成術を実施し、またこれら条件下での一酸化窒素の放出は、再発狭窄症を軽減する目的で利用できる。
典型的には、該ゼオライトは、上で論じたような適当な形状で提供することができ、また次にそのまま貯蔵し、および後の時点において使用するために、これに一酸化窒素を担持させることができる。
一酸化窒素を担持する、粉末化されたゼオライトは、局所的な適用、例えば創傷用の包帯において使用でき、また例えば創傷の治癒を促進するために、該創傷内に一酸化窒素を放出するための、創傷に適用する包帯として与えることも可能である。モノリスとして与えられるゼオライトは、例えば局所的な用途、あるいは例えば重度の便秘を治療するための坐剤としての用途において使用できる。
【0022】
本発明の第三の局面によれば、外科および/または治療において利用するための、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料が提供される。
【0023】
本発明の第四の局面によれば、薬理的、栄養補給食品的(ニュートラシューティック(neutraceutical))または化粧学的処方物用の、薬理的/ニュートラシューティック/化粧学的担体と共に、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料を含有する、上記処方物を提供する。
【0024】
本発明は、また疾患の治療または予防において使用するための医薬の製造における、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料の使用をも提供する。
治療することのできる諸疾患または医学的な状態は、皮膚糸状菌類、リーシュマニア症、軟属腫および乳頭腫ウイルス感染症を含む、皮膚の感染症、およびマイコバクテリウム属細菌による感染症を包含する。更なる用途は、抗−腫瘍活性における治療的な応用、免疫応答の改善、レイノー病の治療、創傷治癒および皮膚色素の改善を含む。更に別の用途は、再発狭窄症(restonsis)、乾癬、湿疹、および皮膚癌(メラノーマ)の治療を包含する。その他の細菌に係る問題の治療は、重度の足の臭いまたは体臭に係る問題の軽減およびメチシリン耐性スタフィロコッカスオーレウス感染の治療を包含する。
【0025】
本発明の第六の局面によれば、ゼオライト材料を含む医療物品を提供する。
この医療物品の該ゼオライト材料は、そこに一酸化窒素を担持させること無しに提供して、後の利用のために準備されている医療デバイスの使用および/または保存に先立って、一酸化窒素を担持させることが可能である。
あるいはまた、該医療物品の該ゼオライト材料は、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料として提供することもできる。
本発明において使用するのに適した医療物品は、ステント、カテーテル、創傷用包帯、包帯、自己接着性プラスタおよび絆創膏を包含する。
一酸化窒素の上記のような有益な特性は、化粧料用途および個人の衛生学的用途において、有利に利用できる。
【0026】
本発明の第七の局面によれば、化粧料および/または個人の衛生学的用途における、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライトの使用を提供する。
例えば、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含む、本発明のゼオライトは、化粧料製品;脱臭剤;皮膚用製剤、例えば老化防止用皮膚製剤および髭剃りまたは脱毛製剤の適用による毛髪の除去前、その最中またはその後に適用される製剤;毛髪用製剤;脱毛製剤等として使用することができる。
【0027】
従って、本発明はまた第八の局面として、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含む、ゼオライトを含有する化粧料および/または個人用の衛生用品をも提供する。
【0028】
本発明は、また第九の局面として、以下の諸工程を含む、一酸化窒素を放出する方法を提供するものである:
(i) 放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料の製造工程;
(ii) 該ゼオライト材料と、該一酸化窒素を放出すべき媒体とを接触させる工程。
このような一酸化窒素の放出は、好ましくは、制御された様式で、例えば確立され、制御された放出プロフィールを持つ、適当なゼオライト材料を製造することにより達成される。
該一酸化窒素を放出すべき該媒体は、該一酸化窒素を担持するゼオライトを取巻く空気であるか、あるいは例えば水性媒体であり得る。
該放出は、動物の身体内、局所的に動物の身体に、あるいは身体以外での用途、例えば細胞培養液において実施することができる。
該放出は、任意の適当な温度にて行うことができるが、室温または体温の下で行うことが好ましい。
この一酸化窒素の放出方法は、ヒトまたは動物の治療のために適用することができ、従って本発明は更に、第十の局面として、治療または予防を必要とする個体における、治療または予防法を提供するものであって、この方法は、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライトを製造し、かつ該ゼオライトと該個体とを接触させる工程を含む。
【実施例】
【0029】
本発明の態様を、以下の非−限定的な実施例を参照しつつ説明する。これらの実施例において、
実施例1、1aおよび1bは、イオン交換されたゼオライトの製造について説明する。
実施例2、2aおよび2bは、一酸化窒素担持ゼオライトの製造について説明する。
実施例3は、一酸化窒素担持ゼオライトから、大気中への一酸化窒素の放出について説明する。
実施例4は、一酸化窒素担持ゼオライトから、溶液中への一酸化窒素の放出について説明する。
実施例5は、もう一つの一酸化窒素担持ゼオライトから、大気中への一酸化窒素の放出について説明する。
実施例6は、直接的測定による、溶液中の一酸化窒素の定量について説明する。
実施例7は、湿潤および乾燥アルゴン雰囲気への、NOの放出について説明する。
実施例8は、NO−担持ゼオライト/PTFEディスクによる、血小板の凝集阻害を説明するものである。
また、実施例9は、NO−含有ゼオライトの抗菌作用を説明するものである。
【0030】
以下の実施例において、以下の図面を参考にする:
図1は、脱水NO−ゼオライト−Aの結晶構造を示す図である。
図2は、実施例3に従う、大気中へのNOの放出プロフィールを示すグラフである。
図3は、実施例5に従う、種々の時点における、大気中へのNOの放出プロフィールを示す棒グラフである。
図4は、実施例6に従う、溶解したNOの量(濃度)を示す、グラフである。
図5は、実施例6に従う、アルゴン流中への、NOの放出プロフィールを示すグラフである。
図6は、実施例7に従う、Co−およびMn−交換ゼオライト−Aからの、NOの放出プロフィールを示すグラフである。
図7は、実施例7に従う、Co−LTA(A)およびCo−LTA(ZK−4)ゼオライトからの、NOの放出プロフィールを示すグラフである。
図8は、実施例8に従って行った、血中血小板凝集実験に関する、時間に対する、凝集検出器の応答を示すグラフである。
また、図9aおよび9bは、実施例9に従う、NO−含有ゼオライトの抗菌作用を示す、バクテリア培養物の写真である。
【0031】
実施例1:イオン交換されたゼオライトの製造
ゼオライトの合成は、当業者には周知であり、該ゼオライトのイオン交換は、標準的な方法(Plank等,米国特許第3,140,249号;Fe−ZSM−5触媒の製造、特徴付けおよび性能(Preparation, characterization and Performance of Fe−ZSM−5 Catalysts), R. Joyner & M. Stockenhuber, J. Phys. Chem. B., 1999, 103:5963−5976)によって実施することができる。このイオン交換されたゼオライトを、次に真空条件下で脱水して、水を除去する。元素分析、X−線回折および分光学的分析を用いて、このゼオライトの分析を行う。
【0032】
実施例1a
脱水され、イオン交換されたゼオライトの製造例を以下に説明する。
ゼオライト(MFI、2g)を、交換すべき金属イオンの0.05M溶液(200mL、蒸留水)中に入れ、24時間撹拌した。あるいはまた、同一濃度を用いて、該交換を、溶媒としてメタノールを使用し、超音波を利用することによって、不活性雰囲気(アルゴン)中で、乾式条件下で行うこともできる。得られる生成物を、濾過/遠心分離法により回収した。
該金属イオン溶液の濃度および該交換時間を変更して、該ゼオライトへの該金属の担持量を変更することができる。該ゼオライトに担持させた、種々の金属イオンの具体的な例を、以下の表1に与える:
表1:この方法を利用して調製した、イオン交換されたゼオライトの元素組成:この表は、鉄の場合に見られる、極めて低い交換から、銅の場合に見られる、過度の交換までの、ある範囲に及ぶイオン交換挙動を示す。このゼオライトの初期組成:(NH4)z[AlzSi2-zO4] (ここで、z = 0.13333) (Si/Al = 14):
【0033】
【表1】

【0034】
実施例1b
ゼオライト−A(3−文字組織コードでは、LTAで与えられる)は、当業者にとっては周知の材料であり、洗浄剤用のビルダーおよび水軟化剤として使用するために、年間1メガトンを越える量で生産されている。ゼオライト−Aの構造(Pluth, J.J. & Smith, J.V., 脱水されたゼオライト−Aの結晶構造の正確な再決定。ナトリウムのほぼゼロなる配位の不在。珪素、アルミニウム−規則的超構造の改善(Accurate redetermination of crystal structure of dehydrated zeolite A. Absence of near zero coordination of sodium. Refinement of silicon, aluminum−ordered superstructure), J. Am. Chem. Soc., 1980, 102:4704およびCheetham, A.K., Eddy, M.M., Jefferson, D.A. & Thomas, J.M., 粉末中性子回折によるタリウムゼオライト−AにおけるSi、Al規則化の研究(A study of Si, Al ordering in thallium zeolite−a by powder neutron−diffraction), Nature, 1982, 299:24)は、角部を分け合っている、交互のSiO4およびAlO4四面体構造からなっていて、該構造のチャンネル内に存在するイオン交換可能なカチオンを持つ、図1に示された開放組織を生成する。この場合、該イオン交換可能なカチオンは、該組織の酸素原子と結合しているナトリウムカチオンとして示されており、また容易に遷移金属イオンと交換し得る。明確化の目的で、Al−OおよびSi−O結合のみが図示されている。図1における構造表記は、以下の通りである:Si = 1、Al = 5、ナトリウムカチオン=10、および酸素原子=15。ゼオライト−Aが、水に対してアフィニティーを持つことは周知であり、有機化学において、(分子篩3A、4Aまたは5Aなる名称の下で)しばしば溶媒を乾燥する目的で使用されている。
【0035】
ゼオライト−Aのサンプルを、ゼオライト系材料の立証された合成(Verified Syntheses of Zeolitic Materials) (Robson H. & Lillerud, K.P., ゼオライト系材料の立証された合成(Verified Syntheses of Zeolitic Materials) (改訂第二版), International Zeolite Association (2001); www.iza-synthesis.org)に与えられている手順に従って合成した。次いで、以下のイオン交換手順を利用して、製造時点の形状におけるナトリウムイオンを、一酸化窒素と強力に結合して、金属イオンの交換されたゼオライトを与えるものとして公知の、様々な遷移金属カチオン(Mn2+、Ni2+、Cu2+、Co2+)で置換した。典型的には、合成されたままのナトリウムゼオライト−A(5g)を、金属アセテートの0.05M溶液(400mL、蒸留水)中に入れ、24時間撹拌した。得られた生成物を、濾過により回収し、蒸留水(400mL)で洗浄し、100℃にて一夜乾燥させた。アジレント(Agilent) 7500シリーズ(Series) ICP−MS分光光度計を用いて、元素分析を行って、該ゼオライトの化学的組成を決定した。次いで、この遷移金属ゼオライトAサンプルを、脱水して、水を除去した。
【0036】
実施例2:NO−担持ゼオライトの製造
一酸化窒素は、その場で製造するか、あるいはシリンダーから導入できる。
実施例2a
NO−担持ゼオライト製造の一例を以下に与える:
1Mのアスコルビン酸溶液(200mL)を、撹拌しつつこの溶液にアルゴンガスを吹込むことにより脱気した。次に、この溶液をアルゴンガスで30分間パージしてある、亜硫酸ナトリウム(〜5g)に滴添した。低速のアルゴン流を使用して、高表面積の水酸化カリウムを介して、生成した一酸化窒素を搬送して、高次の酸化窒素を除去し、次いで硫酸カルシウムを介して搬送して、該ガス流を乾燥させ、その後該イオン交換されたゼオライト(例えば、Fe−担持MFIゼオライト約0.5g)を通して流通させ、最終的にバブラーに通した。
次に、このNO−担持ゼオライトを、容器内に封入し、必要とされる時点まで、Ar/NO雰囲気下で(例えば、室温における封止されたシュレンク(Schlenk)チューブ内に)、保存する。組織の型およびイオン−交換とは無関係に、全てのゼオライトについて、同一のNO−担持法を使用することができる。
【0037】
実施例2b
NO−担持ゼオライト製造のもう一つの例を以下に与える:
実施例1bに従って製造した、イオン交換されたゼオライト−A(約0.3g)を、真空下(0.5mmHg)で300℃にて2時間脱水した。これを室温まで冷却し、約0.3MPa(約3 atm)の一酸化窒素/ヘリウムガス混合物(10%のNO、90%のHe)に、10分間暴露し、排気し、再度約0.3MPa(約3 atm)の一酸化窒素に暴露した。この操作を3回繰り返した。
NO−放出を測定するために、アルゴン流(水蒸気で飽和するか、あるいはアルゴンガスシリンダーから直接、5mL/分にて)を、所定量の該NO−担持ゼオライトに通じた。このガスを、次に、予め検量された一酸化窒素電極(ワールドプレシジョンインスツルメンツ(World Precision Instruments), ISO−NOマーク(Mark) II)を浸漬してある、リン酸緩衝塩水(pH 7.4、10mL)に通気した。NO濃度を数時間に渡り測定した。全ての実験は、3回繰返したが、再現性のある結果が得られた。
【0038】
実施例3:NO−担持Fe−MFIゼオライトから、大気へのNOの放出
得られたガスに関する、マススペクトル分析と組合わせた、熱重量法による分析を利用して、該ゼオライトからの一酸化窒素発生の、温度依存性を検討した。これらの結果を、図2においてグラフで再現したが、この図2はマススペクトル分析におけるNOの、温度に対する質量損失(曲線A)およびイオン電流(曲線B)のプロフィールを示す。NO−担持Fe−MFIゼオライト(0.010g)を、マススペクトロメータと組合わせた、ネッシュ(Netzch)熱重量分析装置に入れた。このサンプルを、10℃/分にて300℃まで、空気の流通下で48時間加熱し、発生したガスをマススペクトル分析法で分析した。得られた追跡値は、NO放出量が130℃までは増加したが、その後減少し始めることを示した。しかし、約180℃においてNOの生成における鋭いスパイク波形が見られ、これはゼオライトサンプルにおける相転移(示差操作型熱量法によって確認されている)と一致する。これは、ゼオライトMFIにおいて起こる、周知の単斜晶系から斜方晶系への相転移である。この相転移温度を、該出発ゼオライトの珪素/アルミニウム比を注意深く選択し、該イオン交換されたカチオンおよびその量を調節し、またNOの担持量を調節することによって、変えることができる。このように、結果的に、該相転移温度以下では、NOの放出が緩慢であり、かつ該相転移温度以上では、NOの放出がより増強されるように、例えば創傷治癒用包帯のヒートパッドによって、特性を、所定条件を満たすNO放出へと導くことができる。図1は180℃における相転移を示すが、−100℃程度での、ゼオライトMFIにおける相転移が、文献に報告されている(H Morell, K Angermund, A R Lewis, DH Brouwer, C A Fyfe, H Gies, n−ヘキサンを担持したシリケート−Iの、X−線回折法、Si−29 MAS NMRおよび分子設計法による構造的検討(Structural investigation of Silicate−I loaded with n−hexane by X−ray diffraction, Si−29 MAS NMR, and molecular modeling), Chem. Mater., 2002, 14:2192)。正確な転移温度は、該ゼオライトの組成およびNOの担持量に依存する。その他のゼオライト、例えばFERも、このようにして所定条件に適合させることのできる、相転移を示す。
【0039】
実施例4:NO−担持Fe−MFIゼオライトから、溶液中へのNOの放出
Fe−MFI一酸化窒素吸着サンプル(0.013g)を、蒸留水(10.452g)に入れ、これを20mg/L NO2なる正の結果を与える、ニトリット(カントフィックスニトリットスティックス(Quantofix Nitrite Sticks))についてテストした。蒸留水のサンプルを、0mg/L NO2になる結果を与える、ニトリット(基準物質としての)についてテストした。ニトリットは、NOと水および酸素との反応により、溶液中に生成される。従って、溶液中のNOの測定に関して間接法である。
【0040】
実施例5:NO−担持Fe−ZSM−5から大気中へのNOの放出
NO−担持Fe−ZSM−5(0.010g)の少量のサンプルを、マススペクトロメータと組合わせた、ネッシュ(Netzch)熱重量分析装置に入れた。このサンプルを、37℃にて、空気の流通下で48時間加熱し、発生したガスをマススペクトル分析法で分析した。得られた追跡値は、NOが、これらの温度において、該ゼオライトから大気中に、徐々に放出されることを示した。図3は、このサイクル中の種々の時点において、該ゼオライトから放出されるNOのプロフィールを示す。この棒グラフは、NO−担持Fe−MFIから放出された4種の分子(H2O、NO、NO2およびHNO2)に関する、(マススペクトル分析器により求めた)イオン電流対時間の関係を示す。NOガスが、あらゆる時点において放出されるガスの内の最も豊富なものであることを、明確に理解することができる。
【0041】
実施例6:一酸化窒素電極を用いた直接的測定による、溶液中のNOの定量
本発明は、特に慢性的な創傷に、NOを供給することを意図している。というのは、動物モデルは、NOの局所的な適用により、創傷の閉塞が著しく促進されることが示されており(Shabnai M., Pulfer S.K., Bulgran J.P. & Smith, D.J., 局所的に適用された一酸化窒素放出ポリマーによる、創傷修復の促進(Enhancement of wound repair with a topically applied nitric oxide−releasing polymer), Wound Rep. Regen., 1996, 4:353)、またNOが糖尿病性潰瘍の治療に利用できるという、証拠がある(Witte, M.B., Kiyama, T. & Barbul, A., 一酸化窒素は、糖尿病における実験的な創傷の治癒を促進する(Nitric oxide enhances experimental wound hearing in diabetes), Br. J. Surg., 2002, 89:1594)からである。これに係る有用なモデルは、液相(pH 7.4のリン酸緩衝塩水)と接触している湿潤大気へのNOの放出である。次いで、この溶液によって吸収される一酸化窒素の量を、一酸化窒素電極を用いて測定する。
ワールドプレシジョンインスツルメンツ(World Precision Instruments)によって記載された手順(ISO−NO マーク(Mark) II 指示マニュアル(Instruction Manual), ワールドプレシジョンインスツルメンツ, 2002)に従って、滴定法を利用して、ワールドプレシジョンインスツルメンツISO−NOマークII一酸化窒素電極を較正した。吸着した一酸化窒素を含む、イオン交換されたゼオライトを、ガラス管に移し、その上に、湿潤したアルゴンガス(5mL/分)を流動させた。次に、この流れを、該一酸化窒素電極を浸漬してある緩衝溶液(37℃にてpH 7.4)に導き、これに通気した。次いで、一酸化窒素の放出に関するデータを、数時間に渡り集めた。
【0042】
図4は、3種のNO−担持ゼオライトサンプルを、上記のような湿潤したアルゴンガス流に暴露した場合に生成される、溶解一酸化窒素濃度(ゼオライトの質量あるいはイオン交換度に対して規格化されていない)を示す。次いで、このガス流を、緩衝された溶液に通して、経時の一酸化窒素濃度を測定する。この実験では、該溶液による一酸化窒素の取込みを測定し、また該液体中に溶解しない一酸化窒素の損失を考慮していない。しかし、一酸化窒素の放出が、直接溶液に対して行われない、多くの提案された用途(例えば、創傷治癒用包帯)に対して、この実験は、直接溶液に対して一酸化窒素を放出する場合よりも、一層厳密に状況を模倣するものである。
これら結果は、様々な一酸化窒素−担持ゼオライト材料が、様々な様式でNOを放出することを示している。LTA構造を持つゼオライトは、比較的迅速にそのNOを放出し、一方PHI組織を基本とするものは、一酸化窒素を、より長い時間間隔に渡り放出する。銅および鉄イオンで交換したLTAゼオライトが、同様な放出プロフィールを示すことに注目すべきである。これら結果は、該溶液中の一酸化窒素濃度が、多くの生物学的な状況において見られる値と同一の大きさ(ナノモル乃至マイクロモル濃度)である全ての場合において、見られる。
【0043】
図5は、水蒸気で飽和されているアルゴン流と接触状態にある、幾つかの遷移金属で交換されたゼオライト−Aサンプルについて、一酸化窒素電極を用いて上記の如く測定した、NO放出プロフィールを示す図である。コントロールは、一酸化窒素に暴露されていない、Co2+−交換ゼオライトである。これらの電極応答の結果を規格化して、ゼオライト材料1mg当たりの、溶液中のNOの濃度を与える。各異なる金属に関する、放出されるNOの量における順序は、圧力を動揺させた際の吸着に関する研究における、遷移金属ゼオライトのNO吸着特性と良く一致する(Aria, H & Machida, M.,金属酸化物およびゼオライトに関する吸着−脱着サイクルによるNOxの除去(Removal of NOx through sorption−desorption cycles over metal oxides and zeolite), Catal. Today, 1994, 22:97)。同時交換させたゼオライトは、最も多くのNOを放出するが、該ゼオライトの元のNa型は、殆どNOを放出しない。銅でイオン交換したゼオライト−Aに関する結果は、著しく低いものと思われる。しかし、理論に拘泥するつもりはないが、このことは電荷に関する釣合いの理由から厳密に必要とされる値以上に、該チャンネル内で、より多くの銅イオンにより、ゼオライトが過度に置換されたためであると考えられる。この「過度の」銅イオンの多くは、恐らくヒドロキシド種として存在し(Yahior, H. & Iwamoto, M., 脱NO(x)反応における銅イオン−交換されたゼオライト触媒(Copper ion−exchanged zeolite catalysts in deNO(x) reactions), Appl. Catal. A., 2001, 222:163)、また結果的にNOの配位に対する、これら金属イオンの利用性を低下する。
【0044】
Mn2+およびNi2+−交換ゼオライトの交錯は、ゼオライト−A内の3つの可能な組織外カチオンサイト間の、該金属イオンの異なる分布を示す可能性があり、その幾分かは、他のものによる置換よりも、水による置換を起こし易い。
また、NOの放出は、比較的長い期間に渡り(図5においては、約10時間)起こり、またより少量の水蒸気が存在する場合には、この放出は、より一層長期間に渡り起こる。
【0045】
実施例7:Co−およびMn−交換されたゼオライトAの、「湿潤」または「殆ど乾燥した」アルゴン雰囲気両者におけるNOの放出
図5は、Co−およびMn−交換されたゼオライトAの、「湿潤」(水蒸気飽和)または「殆ど乾燥した」アルゴン雰囲気両者における放出プロフィールを示すものであり、また後者の場合においては、実験開始後の24時間経過後においても、該ゼオライトは依然として測定可能な量の一酸化窒素を放出していた。このことは、これらゼオライトからのNO放出のメカニズムにおける、水の重要性を示している。
該「湿潤」条件の下での実験においては、該アルゴンを、該ゼオライトと接触させる前に、高温(80℃)の脱イオン水に通した。該乾燥条件下での実験においては、該アルゴンを直接ガスシリンダーから取り出し、硫酸カルシウム上で部分的に乾燥させた。
【0046】
該ゼオライトにより放出される一酸化窒素の量は、遷移金属が存在するか否かのみならず、特定の金属がどの程度存在するかにも依存するものと考えられる。ゼオライト−ZK4は、同一の組織構造を持つ、ゼオライト−Aの変種であり、従って同一の組織コード(LTA)を持つ。しかし、該組織内にアルミニウムが存在することから、ゼオライト−ZK4内にはより少量の交換可能なカチオンしか存在しない。このことは、該構造のチャンネル内には、一酸化窒素を結合するための、より少量の金属カチオンサイトしか存在しないことを意味する。図7からは、同時交換されたゼオライト−Aが、同時交換されたゼオライトZK4よりも多くのNOを放出することを、明確に理解することができ、このことは該ZK4構造におけるコバルトの低いレベルと一致している。
上記の実験は、NOを担持したゼオライトが、創傷治癒の促進、糖尿病性潰瘍の治療またはバクテリア感染の予防等の用途のために、皮膚に供給すべく、湿潤雰囲気内に一酸化窒素を放出することを示している。これら実験は、また該NO放出に係る制御可能な特性をも示しており、該NOの放出は、該ゼオライト構造内に存在する、遷移金属の型および量を変更することによって、変えることができる。
【0047】
実施例8:血小板凝集の阻害
材料の生体適合性における改良、例えば血管の移植片において使用される、血液と接する固体物質および冠状脈管のバイパス外科手術において必要となる、身体外管形成のための、上記の如き改良の必要性がある。血栓症の発生(血小板の凝集および接着)が、血液と接触した状態にある物質によって誘発された場合には、生命を脅す合併症が起こり得る(Keefer, L.K., 血栓防止(Thwarting thrombus), Nature Materials, 2003, 2:357)。健全な循環系における血栓の形成は、血管を覆っている内皮細胞による、および血中の血小板による、少量(約1 pmol/分/mm2)のNOの生成を包含する、幾つかの方法で阻害される。
手術後の合併症を減じるために、潜在的に重要な戦略は、本発明によるNO放出性ゼオライトを含む医療デバイスを製造し、これにより該内皮細胞の作用を模倣することである。75:25質量%比の、粉末化したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との混合物として、前に説明したようにして製造した、該同時交換されたゼオライト−Aサンプルは、以下のようにして、機械的に安定な圧縮ディスクとして製造した。
【0048】
このゼオライトを、所定の比率(75%のゼオライト:25%のPTFE)でPTFEと共に粉砕した。次いで、この混合物を、30秒間2トンの負荷の下で圧縮してディスク(5mm、約20mg)とした。
次に、これらのディスクを、脱水し、上記の粉末サンプルと同様にして、一酸化窒素を担持させた。NOに暴露しただけのPTFEから製造したディスクを用いたテストは、一酸化窒素の放出を示さなかった。次に、該ゼオライト/PTFEディスクを、37℃に維持された4−チャンネル血小板凝集検出器のキュベット内で、血小板に富む血漿(PRP)(以下に記載するようにして調製)の表面下方に、スチールワイヤホルダで懸垂させた。短時間の誘導期間(1分間)の後に、血小板の凝集が開始され、次いでこれを、血小板に乏しい血漿(PPP)ブランクに対する、PRPの濁度(光透過率)における変化として、測定した。図8にグラフトして示されたこれらの結果は、ゼオライトまたはPTFEが添加されていないPRPコントロール(曲線1)と比較した場合に、NOを担持した同時交換されたゼオライト−A/PTFEサンプルが、完全に血小板の凝集を阻害し(曲線2)、一方NOを担持してない、同時交換されたゼオライト−A/PTFEサンプルは、この凝集を阻害しない(曲線3)ことを示している。この実験は、該NOを担持したゼオライト−Aが、生理溶液中の血栓形成を阻害する能力、および例えばPTFE等のポリマーとブレンドした場合に、このゼオライトの、医療デバイスにおけるNO−放出成分としての利用可能性を十分に示している。
【0049】
血小板に富む血漿の調製
健康な志願者(20−40歳)の前肘窩から、静脈血をクエン酸塩を加えたチューブ(最終濃度0.38%)に取出した。志願者は、直前の10日間以内に、血小板の凝集に影響を与えることが知られている、如何なる薬物処理も受けていなかった。血小板に富む血漿(PRP)は、遠心分離法(350g;20分;室温)により全血から得た。血小板に乏しい血漿(PPP)は、PRPの更なる遠心分離処理(1200g;5分;室温)により得た。
【0050】
実施例9:NO−含有ゼオライトの抗菌作用
1〜10mgなる範囲のNO−担持、コバルト交換ゼオライト−A粉末を、寒天上で生育させたバクテリア培養物(P.オーレギノーザ(P. aureginosa)およびE.コリ(E. coli))の中心部に配置した。24時間後に、死滅したバクテリアの面積を測定した。NO−含有ゼオライト−Aの有効性は、NOを担持していないC−ゼオライト−Aの有効性の、約2〜3倍高かった。
図9aおよび9bは、NO−担持、Co−交換ゼオライト−Aの抗菌作用を、パワーグラム(power grams) 20近傍の暗部領域25として示している。明領域30は、生きているバクテリア培養物である。これら使用したバクテリアは、P.オーレギノーザ(図9a)およびE.コリ(図9b)である。
【0051】
まとめると、本発明は、生物学的および医学的用途のために、NOの保存および放出における用途を持つことが示される。一酸化窒素を含むゼオライトの製造並びに該NOの担持は、比較的容易であり、また該NO担持ゼオライトは、室温にて無水条件下で保存した場合に、安定である。NOの放出は、水との簡単な反応により起こり、放出される一酸化窒素の量は、該ゼオライト構造における金属カチオンの型および数両者を変えることによって、所定の要件に適合するようにあつらえることができる。本発明のNO−放出性ゼオライトは、生理的流体中の血小板の凝集を阻害し、血栓形成を予防する上で、潜在的に重要な用途を持つことが示される。上記の実施例は、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、本発明の単なる代表的な態様に過ぎないものである。本発明を実施する他の方法は、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】脱水NO−ゼオライト−Aの結晶構造を示す図である。
【図2】実施例3に従う、大気中へのNOの放出プロフィールを示すグラフである。
【図3】実施例5に従う、種々の時点における、大気中へのNOの放出プロフィールを示す棒グラフである。
【図4】実施例6に従う、溶解したNOの量(濃度)を示す、グラフである。
【図5】実施例6に従う、アルゴン流中への、NOの放出プロフィールを示すグラフである。
【図6】実施例7に従う、Co−およびMn−交換ゼオライト−Aからの、NOの放出プロフィールを示すグラフである。
【図7】実施例7に従う、Co−LTA(A)およびCo−LTA(ZK−4)ゼオライトからの、NOの放出プロフィールを示すグラフである。
【図8】実施例8に従って行った、血中血小板凝集実験に関する、時間に対する、凝集検出器の応答を示すグラフである。
【図9a】実施例9に従う、NO−含有ゼオライトの抗菌作用を示す、バクテリア培養物の写真である。
【図9b】実施例9に従う、NO−含有ゼオライトの抗菌作用を示す、バクテリア培養物の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むことを特徴とする、ゼオライト材料。
【請求項2】
該ゼオライトが、以下の一般式(I)を持つ請求項1記載のゼオライト材料:
[(M1n+)x/n(M2p+)y/p…(Mnq+)v/q][AlzSi2-zO4] (I)
ここで、M1およびM2…Mnは、Li、Na、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Ru、Rh、Co、Ni、ZnおよびAgからなる群から選択される元素の、組織外金属カチオンであるか、あるいはN(R1)a(R2)b+ (ここで、R1およびR2は独立にH、−CH3、−CH2CH3、または−CH2CH2CH3から選択され、かつaおよびbは独立に、a+b=4となるような数0、1、2、3または4である)等の小さな有機カチオンから選択され、
xは0〜nzなる範囲にあり、
yは0〜pzなる範囲にあり、および
vは0〜qzなる範囲にあり、但し、x/n + y/p + … + v/q = zを満足することを条件とし、
ここで、zは該ゼオライト組織において、アルミニウム元素により置換された珪素原子数であり、
n+、p+およびq+は、該組織外金属カチオンの電荷であり、また個々に+1、+2または+3なる値をとることができる。
【請求項3】
M1および/またはM2が、NH4+である、請求項2記載のゼオライト材料。
【請求項4】
以下の一般式(II)を持つ、上記請求項の何れか1項に記載のゼオライト材料:
[(M1n+)x/n(M2p+)y/p] [AlzSi2-zO4] (II)
ここで、M1およびM2は、Li、Na、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Ru、Rh、Co、Ni、ZnおよびAgからなる群から選択される元素の、組織外金属カチオンであるか、あるいはN(R1)a(R2)b+ (ここで、R1およびR2は独立にH、−CH3、−CH2CH3、または−CH2CH2CH3から選択され、かつaおよびbは独立に、a+b=4となるような数0、1、2、3または4である)等の小さな有機カチオンから選択され、
xは0〜nzなる範囲にあり、および
yは0〜pzなる範囲にあり、但し、x/n + y/p = zであることを条件とし、
ここで、zは該ゼオライトの組織において、アルミニウム元素により置換された珪素原子数であり、
n+およびp+は、該組織外金属カチオンの電荷であり、また個々に+1、+2または+3なる値をとることができる。
【請求項5】
粉末またはモノリス形状にある、上記請求項の何れか1項に記載のゼオライト材料。
【請求項6】
該モノリスを、ゼオライト粉末の圧縮により、あるいは粉末化したゼオライトとバインダとを混合することにより製造する、請求項5記載のゼオライト。
【請求項7】
該バインダが、セラミックバインダ、ポリマーバインダおよびその他のポリマーから選択される、請求項6記載のゼオライト材料。
【請求項8】
気密式包装により、内部が封止されている、上記請求項の何れか1項に記載のゼオライト材料。
【請求項9】
放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料の製造方法であって、該方法が、ゼオライト材料を製造する工程と、該材料と一酸化窒素ガスとを接触させる工程とを含むことを特徴とする、上記方法。
【請求項10】
該ゼオライト材料を完全にまたは部分的に脱水して、該ゼオライト材料と一酸化窒素ガスとを接触させる前に、該ゼオライトチャンネルから水を除去する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該ゼオライト材料を、−100℃〜50℃なる範囲の温度にて、一酸化窒素ガスと接触させる、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
該一酸化窒素を、実質的に純粋な一酸化窒素として、あるいは一酸化窒素と担体ガスとの混合物として供給する、請求項9〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
該担体ガスが、ヘリウム、アルゴンまたは混合物を含むその他の不活性ガスから選択される不活性ガスである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
該ゼオライトを、大気圧から1 MPa(10バール)なる範囲の圧力下にて、一酸化窒素ガスと接触させる、請求項9〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
外科的処置および/または治療において使用するための、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むことを特徴とする、ゼオライト材料。
【請求項16】
製薬用の担体と共に、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料を含有する、製剤。
【請求項17】
疾患または医学的な状態を治療または予防するのに使用する、医薬の製造における、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料の使用。
【請求項18】
治療することのできる、該疾患または医学的な状態が、皮膚糸状菌類、リーシュマニア症、軟属腫および乳頭腫ウイルス感染症を含む、皮膚の感染症、およびマイコバクテリウム属細菌による感染症;抗−腫瘍活性における治療的な応用;免疫応答の改善;レイノー病の治療;創傷治癒;皮膚色素の改善;再発狭窄症の治療;乾癬、湿疹、および皮膚癌(メラノーマ)の治療;細菌に係る困難の治療;重度の足の臭いまたは体臭の低減およびメチシリン耐性スタフィロコッカスオーレウス感染の治療を包含する、請求項17記載の使用。
【請求項19】
ゼオライト材料を含む、医療物品。
【請求項20】
該医療物品の該ゼオライト材料が、その上に一酸化窒素を担持すること無しに与えられる、請求項19記載の医療物品。
【請求項21】
該医療物品の該ゼオライト材料が、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料として与えられる、請求項19記載の医療物品。
【請求項22】
該医療物品が、ステント、カテーテル、創傷用包帯、包帯、自己接着性プラスタおよび絆創膏から選択される、請求項19〜21の何れか1項に記載の医療物品。
【請求項23】
化粧料および/または個人の衛生学的用途における、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライトの使用。
【請求項24】
放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライトを含有する、化粧料および/または個人の衛生学的製品。
【請求項25】
化粧料製品、脱臭剤、皮膚用製剤、老化防止皮膚製剤、毛髪用製剤および脱毛製剤から選択される、請求項24記載の化粧料および/または個人の衛生学的製品。
【請求項26】
一酸化窒素を放出する方法であって、
(i) 放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライト材料の製造工程と、
(ii) 該ゼオライト材料と、該一酸化窒素を放出すべき媒体とを接触させる工程とを含むことを特徴とする、上記方法。
【請求項27】
該一酸化窒素を放出すべき該媒体が空気であるか、あるいは水性媒体である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
該放出を、動物の身体内、局所的に動物の身体に、あるいは身体以外での用途において実施する、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
該身体以外での用途における放出が、細胞培養物内への放出を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
該放出を、室温または体温にて行う、請求項26〜30の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
治療または予防を必要とする個体における、治療または予防法であって、放出可能な状態で吸着された一酸化窒素を含むゼオライトを製造し、かつ該ゼオライトと該個体とを接触させる工程を含むことを特徴とする、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−526867(P2007−526867A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518344(P2006−518344)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002905
【国際公開番号】WO2005/003032
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506005307)ザ ユニヴァーシティー コート オブ ザ ユニヴァーシティー オブ セント アンドリューズ (2)
【Fターム(参考)】