説明

三叉神経・自律神経性頭痛、片頭痛、および血管症状の治療および予防のための方法および組成物

本発明は、とりわけ、片頭痛および片頭痛様頭痛などの三叉神経性頭痛ならびに疼痛および/または炎症を伴う他の脳血管症状の治療法に関する。ケトプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を、特異的局所用製剤を用いて局所的に投与した場合、速やかな疼痛の軽減が得られる。典型的には、局所用製剤の投与から30分以内に、強い疼痛が軽度疼痛または疼痛なしにまで軽減される。NSAIDは、血管収縮剤、オピオイド、充血除去剤および/または非オピオイド片頭痛薬(トリプタンおよび麦角(ergot)など)ならびにアゴニスト、アンタゴニストまたは部分アゴニストとしてセロトニン受容体に影響を与える薬剤などの他の薬剤と組み合わせて投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭痛を治療するための方法および組成物に関する。特に、眉切痕(眼窩上孔)および周囲領域(三叉神経の耳介側頭枝の基部または大後頭神経の耳介側頭枝など)、耳介後部領域(または乗り物酔いの治療で通常行なわれる耳の後ろの領域)、前額部、または頭部のいずれかの側面(例えば、痛みの位置に応じて左耳または右耳の上)に対する少なくとも1種の治療剤の局所投与を含む方法が提供される(図2)。具体的な投与は、痛みの位置に伴い変わる場合がある(前額部、眉の領域、頭頂部または頭部の左もしくは右側)。頭痛に関連する1以上の症状を治療するための少なくとも1種の治療剤(抗炎症性化合物など)を含有する局所用組成物もまた、本明細書中に提供される。特に、これらの方法は、片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛および血管状態により引き起こされる頭痛などの様々なタイプの頭痛を治療するために用いることができる。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、米国仮出願第61/287,953号(2009年12月18日出願)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
片頭痛は、通常、頭部の片側または両側の拍動性疼痛を特徴とする消耗性状態であり、多くの場合、視覚障害、吐き気、嘔吐、めまい、音、光、接触および匂いに対する過敏性、ならびに末端もしくは顔面のチクチクする痛みまたは無感覚などの他の神経学的症状を伴う。片頭痛発作(典型的には4〜72時間続く)は人によって重症度が異なり、全世界の人口の10%超が罹患していると考えられている。米国のみでは、4世帯のうち1世帯が片頭痛に罹患している人を含むと推定される。
【0004】
片頭痛は、典型的には、特定の脳血管拡張が一部の求心性疼痛受容体および疼痛受容体神経ネットワークを圧迫し、これを活性化させる結果である。血管拡張は、それによって動脈が一定時間にわたって血管緊張性を失う受動的な様式によって引き起こされるか(特発性血管拡張)、または炎症により誘導された血管拡張の結果として引き起こされる場合がある。行動、食餌、および環境要因もまた、片頭痛の頻度ならびに重症度に大きな影響を与え得る。
【0005】
長年にわたって、エルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミンなどの麦角アルカロイドが、片頭痛および群発性頭痛を治療するために用いられていた。これらの薬剤は、若干有効ではあったが、多数の重大かつ制限的な副作用を有している。より近年には、トリプタンと称される化学物質クラスの薬物が、片頭痛を治療するために用いられてきた。このクラスの最初の薬物のうち1種はスマトリプタンであり、これはグラクソ社(現在はグラクソ・スミス・クライン社)により開発された。トリプタンは、5HT(1B)受容体および5HT(1D)受容体のセロトニン受容体部分アゴニズムを含む複雑な作用機序を有する。ヒトでは、血管拡張領域から脳血管系の別の領域に血液をシャントさせて、血管圧を低下させ、これにより既に生じた頭痛を緩和することができる。スマトリプタンに例示されるトリプタンは、経口投与または鼻内投与用として承認されているが、局所投与用には承認されていない。再発率は患者によって異なり、一部のケースでは、過剰に高い血漿濃度により、患者は、冠血管収縮または冠攣縮性狭心症に見舞われる。冠動脈疾患を有する患者では、一酸化窒素活性の低下に起因する内皮機能不全により、血管収縮がさらに生じやすい。
【0006】
髄膜血管の拡張は、その周りに巻き付いている三叉神経の一次求心性ニューロンの神経終末の活性を高める。結果として、三叉神経細胞が、血管拡張性ニューロペプチドであるカルシトニン遺伝子関連タンパク質(CGRP)を放出すると考えられており、これにより、髄膜血管の拡張がさらに増大し、三叉神経活性化がさらにもたらされる。三叉神経のこの局所的な活性化は、末梢増感として知られるプロセスにより、三叉神経節を通して、脳幹の三叉神経尾側核(TNC)に広がる。TNCの活性化は、続いて、その視床および皮質投射を介して、中枢活性化プロセスを引き起こす。
【0007】
片頭痛に関連する疼痛は髄膜動脈からの入力を含むが、TNCの活性化は、側頭動脈および側頭筋をはじめとする三叉神経ネットワークに沿ったいずれかの場所での関連痛をもたらす場合がある。片頭痛の病態生理に関与する三叉神経頸神経ネットワークは、三叉神経の3本の主枝:眼枝(V1)、顎枝(V2)および下顎枝(V3)(図1を参照されたい)、ならびに後頭部および頸部の感覚神経(C2、C3、C4、C5)(TNCにつながる)を含む。関連する経路の詳細な解剖学的地図は、Agur, A. M. R. and Dalley II, A. F. (2005) Atlas of Anatomy(Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia)の316、317、600、601および736ページに見出すことができる(参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0008】
脳幹でのTNCの活性化は、さらに、TNCへの解剖学的連絡によって、後頭神経までさらに広がる場合があり、これにより、後頭部での痛みの感覚および片頭痛に関連して観察される視覚障害がもたらされる。TNCの活性化はまた、脳幹の近傍の神経核である上唾液核(SSN)(介在ニューロンのネットワークを介して尾状核に連絡している)の活性化により、副交感神経系まで広がる場合がある。
【0009】
SSNからのニューロンは翼口蓋神経節にシナプス接続し、血管に対して血管運動神経支配をもたらし、かつ涙腺ならびに鼻粘膜および副鼻腔粘膜に分泌促進性神経支配をもたらす。副交感神経系が活性化された際に、片頭痛に関連した上気道症状が生じ、このような症状としては、鼻症状(鼻漏および後鼻漏)、目症状(結膜充血および流涙)、および鼻洞充血(鼻洞周辺の疼痛または圧迫感)を挙げることができる。髄膜血管を神経支配している翼口蓋神経節求心線維などの他の副交感神経投射は、事象の連鎖をさらに悪化させる。片頭痛の際の副交感神経系の活性化は、血管活性腸管ポリペプチド(VIP)のレベルの著明な上昇を伴う。VIPは、血管拡張を引き起こす副交感神経の神経伝達物質であり、頸静脈排液で、片頭痛の際に高濃度で測定することができる。
【0010】
上述した三叉神経系、後頭神経系および副交感神経系の活性上昇は、いわゆる三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)に共通しており、TACには、群発性頭痛、発作性片側頭痛、SUNCT症候群、および持続性片側頭痛が含まれる。
【0011】
群発性頭痛は、重度の片側性眼窩周囲側頭部痛を伴う3時間未満の持続時間の発作を含む、原発性頭痛障害である。これらの頭痛は、流涙、鼻閉、鼻漏、結膜充血およびホルネル症候群を伴う場合がある。発作は、区別できる群として生じる。そのような群発性頭痛は、典型的には、数ヵ月間続けて毎日のように起こる、活動を障害するような一連の発作を含む。
【0012】
発作性片側頭痛は、典型的には30分間未満持続する、片側性眼窩周囲側頭部痛の頻発性発作を含む原発性頭痛障害である。痛みは、結膜充血、流涙、鼻閉、鼻漏、眼瞼下垂および眼瞼浮腫を伴う場合がある。
【0013】
SUNCT症候群は、典型的には2分間未満持続する、片側性眼窩周囲側頭部痛の複数回の発作を特徴とする原発性頭痛障害である。痛みは、結膜充血、流涙、鼻閉、鼻漏および眼瞼浮腫を伴う場合がある。この頭痛は、三叉神経痛を伴う場合がある。
【0014】
持続性片側頭痛は、インドメタシンに応答性の完全に片側性の頭痛を特徴とする原発性頭痛障害である。痛みは、結膜充血、流涙、鼻閉、鼻漏、眼瞼下垂および眼瞼浮腫を伴う場合がある。
【0015】
非常に重要なことに、三叉神経は、これらの頭痛タイプ、ならびに他の病理により引き起こされる頭痛のすべてについての痛みの感覚に関与している。例えば、側頭動脈炎は、動脈に沿った、痛みを有する触診可能な小節を伴う、側頭動脈の炎症を含む。側頭領域での頭痛に加えて、側頭動脈炎は、失明および顎痛を引き起こす。
【0016】
頭痛はまた、虚血性卒中を伴う場合もある。卒中では、脳組織への血液供給の喪失が、突発性限局性神経欠損を引き起こす。多数の罹患患者において、動脈閉塞は、脳に血液供給している動脈(例えば、頸動脈および椎骨脳底動脈)でのアテローム動脈硬化性プラークの存在による。
【0017】
アテローム動脈硬化性プラークは、多くの場合に炎症を伴い、これがさらに、血管閉塞の原因となる。感染性またはアレルギー性鼻炎で炎症性メディエーターにより刺激された侵害受容線維も、脳幹の三叉神経核を活性化し、片頭痛を引き起こす場合がある。
【0018】
TACおよび片頭痛は治療するのが困難である。群発性頭痛および片頭痛を予防・治療するために、多数の医薬品が用いられてきており、そのようなものとしては、とりわけ、以下のものが挙げられる:プロプラノロール、チモロール、ジバルプロエックスナトリウム、トピラマート、ベラパミル、トリプタン、麦角アルカロイド、オピオイド、アミトリプチリンおよび非ステロイド性抗炎症薬であるインドメタシン、アスピリン、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、またはナプロキセンなど。これらの医薬は多数の副作用を有し、患者はそれらに対応することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
医療の分野には、TAC、片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛、および/または血管状態に関連する他の頭痛を迅速に治療または予防するための、安全かつ有効な方法および組成物に対する強い必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
本発明は、新規の方法を用いて抗炎症剤を局所投与することにより、哺乳動物(特に、ヒト)での片頭痛、TAC、および血管状態に関連した他の頭痛に関連する症状(特に、疼痛)を減少させるかまたは予防するための方法を提供する。具体的には、本発明は、哺乳動物の側頭領域の頭蓋外三叉神経終末に沿って、後頭領域の頭蓋外後頭神経終末に沿って、かつ/または鼻内三叉神経終末および/もしくは鼻粘膜中の副交感神経終末に沿って有効量の治療剤を局所投与することに関する。
【0021】
第1の態様では、本発明は、被験体に治療剤を送達する方法を特徴とし、該方法は、有効量の少なくとも1種の治療剤を含む組成物を、被験体の眼窩領域に、側頭領域の頭蓋外三叉神経終末に、後頭領域の頭蓋外後頭神経終末に、かつ/または鼻内三叉神経終末および/もしくは鼻粘膜中の副交感神経終末に沿って局所投与することを含む。上記の態様の一実施形態では、有効量とは、頭痛(例えば、片頭痛、緊張性頭痛、または群発性頭痛)を治療するのに有効な量である。上記の態様の別の実施形態では、眼窩領域には、眼窩上孔、三叉神経の耳介側頭枝の基部、大後頭神経の耳介側頭枝、耳介後部領域、前額部、頸部、または頭部の側面のうち1以上が含まれる。
【0022】
第1の態様の一部の実施形態では、治療剤は、以下のものからなる群より選択される:αアドレナリン受容体アゴニスト(例えば、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、またはオキシメタゾリン)、麻酔薬(例えば、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、またはプロカイン)、抗けいれん剤(例えば、ガバペンチン、トピラマート、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、ゾニサミド、バルプロ酸、エトスクシミド、カルバマゼピン、プリミドン、ラモトリジン、フェルバメート、レベチラセタム、またはチアガビン)、抗コリン化合物(例えば、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、またはチオトロピウム)、抗ヒスタミン剤(例えば、カルビノキサミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、ピリラミン、トリペレナミン、クロルフェニルアミン、ブロムフェニルアミン、ヒドロキシジン、シクリジン、アクリバスチン、セトリリジン、アゼラスチン、ロラタジン、フェキソフェナジン、ドキセピン、ジフェンヒドラミン、アミトリプチリン、イミプラミン、プロメタジン、クロルプロマジン、またはノルトリプチリン)、抗炎症性化合物(例えば、アスピリン、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、もしくはナプロキセン;またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤)、β受容体アンタゴニスト(例えば、プロプラノロール、ナドロール、チモロール、ピンドロール、ラベタロール、メトロプロロール、アテナロール、エスモロール、またはアセブトロール)、イオンチャネル遮断化合物(例えば、フルナリジン、ベラパミル、ニフェジピン、またはニモジピン)、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト(例えば、デキストロメトルファン、ケタミン、メマンチン、リルゾール、またはフェンシクリジン)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えば、レボキセチン、デュロキセチン、またはアミトリプチリン)、オピオイド(例えば、モルヒネ、コデイン、メペリジン、またはオキシコドン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニンアゴニスト、セロトニン部分アゴニスト、およびトリプタン(例えば、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、またはゾルミトリプタン)。また別の実施形態では、治療剤は、スマトリプタン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、デキストロメトルファン、ガバペンチン、アミトリプチリン、ジフェンヒドラミン、およびドキセピンから選択される。
【0023】
第1の態様の一実施形態では、抗炎症性化合物(例えば、シクロオキシゲナーゼ阻害剤)を、抗けいれん剤、抗ヒスタミン剤、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、オピオイド、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤と共に投与する(例えば、シクロオキシゲナーゼ阻害剤をイオンチャネル遮断化合物と共に投与するか、またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤を抗ヒスタミン剤と共に投与する)。一部の実施形態では、ケトプロフェンまたはイブプロフェンをガバペンチンまたはトポミレート(topomirate)と共に投与するか;ケトプロフェンまたはイブプロフェンをジフェンヒドラミンまたはデキストロメトルファンと共に投与するか;ケトプロフェンまたはイブプロフェンをジフェンヒドロラミンおよびデキストロメトルファンと共に投与するか;あるいはケトプロフェンまたはイブプロフェンをスマトリプタンと共に投与する。
【0024】
第1の態様の別の実施形態では、抗ヒスタミン剤を、抗炎症性化合物、抗けいれん剤、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、オピオイド、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤と共に投与する(例えば、ジフェンヒドラミンをデキストロメトルファンと共に投与する)。
【0025】
第1の態様のまた別の実施形態では、トリプタンを、抗炎症性化合物、抗けいれん剤、抗ヒスタミン剤、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、およびオピオイドからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤と共に投与する(例えば、スマトリプタンをガバペンチンと共に投与するか;またはスマトリプタンを抗ヒスタミン剤と共に投与する)。
【0026】
第2の態様では、本発明は、1%〜30%(w/w)のケトプロフェンおよび皮膚科学において許容される担体を含有する、局所投与用に製剤化された組成物を特徴とする。
【0027】
第2の態様の一実施形態では、組成物は、αアドレナリン受容体アゴニスト、麻酔薬、抗けいれん剤(例えば、5%〜20%(w/w)のガバペンチン)、抗コリン化合物、抗ヒスタミン剤、β受容体アンタゴニスト、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、オピオイド、セロトニンアゴニスト、セロトニン部分アゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤をさらに含有する。1つの特定の実施形態では、組成物は、8%〜12%(w/w)のケトプロフェンおよび8%〜12%(w/w)のガバペンチンを含有する。
【0028】
第2の態様の別の実施形態では、組成物は、皮膚浸透促進剤をさらに含有する(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、中鎖脂肪酸のジメチルアラニンアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピオン酸ドデシルまたはその塩、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸テトラデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸ドデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸デシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸オクチル、および(N,N-ジエチルアミノ)酢酸ドデシル)。
【0029】
第2の態様のまた別の実施形態では、本発明は、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、または液剤として製剤化された組成物を特徴とする。
【0030】
第3の態様では、本発明は、10%〜30%(w/w)のイブプロフェンおよび皮膚科学において許容される担体を含有する、局所投与用に製剤化された組成物を特徴とする。
【0031】
第3の態様での一実施形態では、組成物は、αアドレナリン受容体アゴニスト、麻酔薬、抗けいれん剤、抗コリン化合物、抗ヒスタミン剤、β受容体アンタゴニスト、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、セロトニンアゴニスト、セロトニン部分アゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤をさらに含有する。特定の実施形態では、治療剤は、抗ヒスタミン剤、抗ヒスタミン剤およびN-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、またはトリプタンである。
【0032】
第3の態様の別の実施形態では、組成物は、1%〜5%(w/w)のデキストロメトルファンおよび1%〜5%(w/w)のジフェンヒドラミンを含有する。第3の態様のまた別の実施形態では、組成物は、20%(w/w)のイブプロフェン、2.5%(w/w)のデキストロメトルファン、および2.5%(w/w)のジフェンヒドラミンを含有する。
【0033】
第3の態様の一実施形態では、組成物は、皮膚浸透促進剤をさらに含有する(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、中鎖脂肪酸のジメチルアラニンアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピオン酸ドデシルまたはその塩、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸テトラデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸ドデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸デシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸オクチル、および(N,N-ジエチルアミノ)酢酸ドデシル)。
【0034】
第3の態様のさらなる実施形態では、本発明は、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、または液剤として製剤化された組成物を特徴とする。
【0035】
定義
本明細書中で用いる場合、「投与」または「投与すること」との用語は、被験体に所与の投与量の医薬組成物を与える方法を意味する。好ましい投与方法は、種々の要因(例えば、医薬組成物の成分、ならびに疾患、障害、または状態の性質および重症度)に依存し得る。「共に投与される」との語句は、2種以上の治療剤を、被験体に投与する単一の医薬組成物に一緒に製剤化することを意味する。
【0036】
本明細書中で用いる場合、「頭痛を治療するのに有効な量」との語句は、頭痛を予防するか、頭痛の頻度もしくは強度を減少させるか、または頭痛により引き起こされる1種以上の症状を軽減させる、少なくとも1種の治療剤の量を意味する。
【0037】
本明細書中で用いる場合、「有効量」との語句は、疾患、障害または状態を予防、治療、または緩和する、少なくとも1種の治療剤の量を意味する。
【0038】
「皮膚科学において許容される」との語句は、組成物またはその成分が、不適切な毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などなしに、皮膚組織と接触する用途に対して好適であることを意味する。
【0039】
「頭痛」とは、いずれかのタイプの頭痛を意味し、限定するものではないが、片頭痛、緊張性頭痛、または群発性頭痛が挙げられる。
【0040】
「眼窩領域」とは、眼窩上孔および周囲領域(三叉神経の耳介側頭枝の基部または大後頭神経の耳介側頭枝など)、耳介後部領域、前額部(前額部の両側を含む)、または頸部をはじめとする被験体の一領域を意味する。
【0041】
「被験体」とは、限定するものではないが、ヒトまたは非ヒト哺乳動物をはじめとする哺乳動物を意味する。
【0042】
「治療」とは、臨床成績などの有益な結果または所望の結果を得るためのアプローチを意味する。有益な結果または所望の結果としては、限定するものではないが、疾患、障害、状態または疾患、障害、もしくは状態に関連する1以上の症状の軽減、改善、または予防;疾患、障害、または状態の程度の減少;疾患、障害、または状態の安定化(すなわち、悪化させない);疾患、障害または状態の進行の遅延または減速;および疾患、障害または状態の改善または緩和が挙げられる。「治療」とはまた、治療を受けなかった場合に予測される生存期間と比較した、生存期間の延長も意味し得る。「予防」とは、疾患、障害、状態、または疾患、障害、もしくは状態に関連した1以上の症状を有していたかまたは有するであろう被験体に予防的治療を施すことを意味する。
【0043】
疾患、障害、または状態の「緩和」とは、治療なしでの程度または時間経過と比較して、疾患、障害、もしくは状態の程度および/または望ましくない臨床症状を減らし、かつ/あるいは進行の時間経過を遅らせるかまたは延長することを意味する。
【0044】
エンドポイントによる数値範囲についての本明細書中での記載は、当該範囲内に包含されるすべての数を含むものと意図される(例えば、1〜5との記載は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
【0045】
本明細書中で用いる場合、「a」または「an」とは、特に記載しない限り、「少なくとも1つ」または「1以上」を意味する。また、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈からそうでないことが明らかに示されていない限り、複数の対象を含む。つまり、例えば、「治療剤」(a therapeutic agent)を含有する組成物についての言及は、2種以上の治療剤の混合物を含む。
【0046】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、かつ特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】脳幹に出入りする、頭痛に関与する三叉神経ネットワークおよび副交感神経ネットワークの図示である。
【図2】片頭痛および片頭痛様頭痛ならびに疼痛および/または炎症に関連する他の脳血管状態などの三叉神経性頭痛を治療するための投与部位の図示である。
【図3】本発明のケトプロフェン製剤を用いて治療した被験体での時間に対する疼痛レベル(1〜8のスケール、8が最も重篤な痛み)を表すグラフである。薬物は、疼痛の開始30〜45分後に投与した。
【図4】本発明のケトプロフェン製剤を用いて治療した、複数回の片頭痛発作に見舞われた被験体での時間に対する疼痛レベル(1〜8のスケール、8が最も重篤な痛み)を表すグラフである。薬物は、疼痛の開始30〜45分後に投与した。
【図5】複数回の片頭痛様頭痛を有する1名の患者での疼痛強度レベル(1〜8のスケール、8が最も重篤な痛み)のグラフ表示である。薬物は、最初の疼痛の開始30分後および引き続く疼痛の再発時に投与した。
【発明を実施するための形態】
【0048】
詳細な説明
本発明は、哺乳動物(特に、ヒト)での片頭痛、TAC、および血管状態に関連した他の頭痛に関連する症状(特に、疼痛)を治療および/または予防するための方法を特徴とする。具体的には、本発明は、シナプス前神経修飾因子を用いてこれらの頭痛を治療および予防する方法を提供する。いかなる特定の理論に拘泥することなしに、これらの頭痛の発症に関与する三叉神経系、後頭神経系および副交感神経系の過剰な活性化により惹起される侵害受容物質および炎症性物質の放出の遮断により、有効な治療的および/または予防的治療がもたらされると考えられる。これらの頭痛の発症に関与する解剖学的経路は、頭蓋内であり;したがって、非侵襲的手段による関与する頭蓋内経路の特異的遮断は実行不可能である。しかしながら、罹患経路のうちの一部は、頭蓋外の皮膚表面下に位置し、したがって、治療に対してアクセス可能である。それゆえ、本発明の方法は、哺乳動物の側頭領域の頭蓋外三叉神経終末に沿って、後頭領域の頭蓋外後頭神経終末に沿って、かつ/または鼻内三叉神経終末および/もしくは鼻粘膜中の副交感神経終末に沿って、末梢的に、治療上有効量の製薬上安全なシナプス前神経修飾因子を投与することを含む。
【0049】
一実施形態では、本発明は、頭痛に関連した症状を含む頭痛を治療するための方法を提供する。該方法は、患者の眼窩領域への少なくとも1種の治療剤の局所投与を含む。哺乳動物の眼窩領域は、眉切痕(または眼窩上孔)を含み、該領域では、液状製剤または軟膏もしくはクリーム剤として薬物が局所動脈腔および罹患脳血流に浸透できる。眼窩領域はまた、三叉神経の耳介側頭枝の基部または大後頭神経の耳介側頭枝などの眼窩上孔周囲領域も含む。これらの組成物はまた、液剤、軟膏剤、ローション剤もしくはパッチ剤として、耳の後ろの領域;前額部;または頭部のいずれかの側面(耳のすぐ上の頭皮の左側または右側など)に投与することもできる。
【0050】
本明細書中ではまた、頭痛を治療するための、皮膚科学において許容される組成物も提供される。本発明者らは、単独で、または他の治療剤と組み合わせて好適な治療剤(シクロオキシゲナーゼ阻害剤など)を含有する組成物を被験体の眉切痕に投与した場合、片頭痛の痛みが直ちに止む(例えば、15〜30分以内)ことを見出している。投与時に、好ましい組成物は、30分以内に疼痛を完全に遮断する。最も有効な組み合わせを用いた応答率は、異なる個体セットで70%超まで疼痛を遮断した。
【0051】
本発明の方法および組成物は、頭痛の再発を予防することによるか、または発症した頭痛に関連した1以上の症状を治療することにより、頭痛を治療するために用いることができる。本発明は、片頭痛、緊張性頭痛、または群発性頭痛をはじめとするいずれかのタイプの頭痛を治療するために用いることができる。頭痛の症状および診断は、当技術分野で周知のいずれかのパラメータにより容易に決定することができ、パラメータは、例えば、「The International Classification of Headache Disorders」(2d ed., International Headache Society)に記載されている。
【0052】
片頭痛の例示的症状としては、以下のものが挙げられる:中等度〜重度の頭痛強度;片側性頭痛;拍動性の痛みを含む頭痛;身体活動に伴って悪化する頭痛;日常的な活動を阻害する頭痛;悪心;嘔吐;光、音、もしくは匂いに対する過敏症;抑うつ;睡眠障害;眼瞼下垂;視覚への変化などのオーラを体験すること;または手、腕、脚、もしくは顔面の知覚障害。
【0053】
片頭痛の徴候および症状は、患者によって異なる。したがって、発作前、発作の最中、および発作後に患者が体験することは、正確に規定することができない。片頭痛発作の一般的な4つの相を、以下に列挙する。しかしながら、体験する相およびそれらの相において体験する症状は、同じ片頭痛患者で片頭痛発作毎に異なる場合がある。これらの相には、以下のものが含まれる:前駆症状相(頭痛の数時間または数日前に起こる);オーラ相(すぐに頭痛に進行する);疼痛相(頭痛相としても知られる);および後発症状相。
【0054】
前駆症状相の症状としては、以下のものが挙げられる:気分変調、興奮性、抑うつまたは多幸感、疲労感、欠伸、睡眠過剰、一部の食品(例えば、チョコレート)に対する欲求、筋肉のこわばり(例えば、頸部)、便秘または下痢、排尿増加、および他の内臓症状。これらの症状は、通常、数時間または数日で片頭痛発作の頭痛相に進行し、経験から、患者または観察力の鋭い家族は、片頭痛発作が近いことを見抜く方法がわかる。
【0055】
オーラ相は、発作に先行するかまたは発作を伴う限局性神経学的現象を含む。この相は、典型的には、5〜20分にわたって徐々に現れ、一般的には60分未満続く。片頭痛オーラの症状は、視覚的、感覚的、または運動性であり得る。視覚的オーラ相の間の神経学的症状としては、視覚障害(例えば、光視症または閃輝暗点(scintillating scotoma)(fortification spectraまたはteichopsiaとも呼ばれる);視野のぼけ、視野のゆらぎまたは視野の曇り;視野狭窄;および半盲が挙げられる。体性感覚オーラ相における症状としては、同じ側の手、腕、鼻口領域;または顔面、唇および舌での、手指舌または手掌・口の知覚障害が挙げられる。オーラ相の他の症状としては、聴覚性または嗅覚性幻覚、一過性不全失語症、めまい、顔面もしくは末端のチクチクする痛みまたは無感覚、および接触に対する過敏症が挙げられる。
【0056】
疼痛相は、通常、オーラ相の終わりの60分以内に始まるが、数時間まで遅れる場合があり、完全に生じない場合がある。典型的な片頭痛は片側性、拍動性かつ中等度〜重度であり、身体活動により悪化する場合がある。これらの特徴のすべてが必要なわけではない。疼痛は、開始時には両側性であるか、または一方から始まって全体的になる場合があり、通常、ある発作と次の発作で、交互の側で生じる。開始は通常、漸進的である。疼痛は、ピークを迎えてから減弱し、成人では通常は4〜72時間、小児では1〜48時間続く。発作の頻度は極めて多様であり、生涯でわずかな回数から1週間に数回であり、平均的な片頭痛患者は1ヵ月に1〜3回の頭痛に見舞われる。頭痛の強度は、非常に様々である。
【0057】
片頭痛の痛みは、常に他の特徴を伴う。悪心は患者のほぼ90%で生じ、嘔吐は患者の約1/3で生じる。多くの患者が、羞明、音声恐怖症、および匂い恐怖症として現れる感覚の過剰興奮性に見舞われ、これらの患者は典型的には静かで暗い部屋を求める。典型的な症状としては、以下のものが挙げられる:視野のぼけ、鼻閉、下痢、多尿、蒼白、発汗、頭皮もしくは顔面の局所的浮腫、頭皮の圧痛、こめかみの静脈もしくは動脈の隆起、頸部の凝りおよび圧痛、または集中および気分の障害が一般的である。末端は、冷たく湿った感じがする場合が多い。めまいに見舞われる場合があり、前庭神経性片頭痛と称される典型的な片頭痛の変形も報告されている。本当のめまいではなく、立ちくらみおよび脱力感が生じる場合がある。
【0058】
後発症状相では、患者は、疲れているかまたは「二日酔い」を感じる場合があり、頭痛、認知障害、消化器症状、気分変調、および衰弱を有する場合がある。一部の人々は、発作後に、珍しくリフレッシュした気分または多幸感を感じる場合があるが、他の人々は抑うつおよび不快感に言及する。多くの場合、深刻でない頭痛相症状の一部(食欲不振、羞明、および立ちくらみ)は継続し得る。一部の患者では、5〜6時間の仮眠が疼痛を減少させる場合があるが、患者が素早く立ち上がるかまたは座る際に、軽い頭痛がまだ生じる場合がある。これらの症状は、十分な睡眠の後に消失することがあるが、保証はない。一部の人々は、他の人々とは違った様式で罹患および回復し得る。
【0059】
緊張性頭痛(TTH)は、一過性または慢性のものを含む。両方のタイプの緊張性頭痛が同様の症状を示し、典型的には、一過性TTHから慢性TTHに進行する。慢性TTHは、典型的には、1ヵ月当たり15日間超続き、一過性TTHは、典型的には1ヵ月当たり15日間未満続く。慢性および一過性TTHの例示的な症状としては、以下のものが挙げられる:30分〜7日間続く頭痛;加圧感もしくは圧迫感などの拍動のない感覚;軽度〜中等度の強度;両側性の局在;日常的な身体活動による悪化の欠如;悪心もしくは嘔吐の欠如;羞明;または音声恐怖症。
【0060】
群発性頭痛は、三叉神経・自律神経性頭痛として特徴付けられる。例示的な症状としては、以下のものが挙げられる:重度〜非常に重度の片側性眼窩/眼窩上および/もしくは側頭痛;同側性の結膜充血および/もしくは流涙;同側性の鼻閉および/もしくは鼻漏;同側性の眼瞼浮腫;同側性の前額部および顔面発汗;同側性の縮瞳および/もしくは眼瞼下垂;または情緒不安もしくは動揺の感覚。
【0061】
治療剤
本発明の組成物および方法での使用に好適な治療剤またはその組み合わせとしては、一般的に、局所的に作用して浅脳動脈の痛みを伴う血管拡張を減少させるであろうものが挙げられる。例えば、抗ヒスタミン作用をもたらす治療剤またはその組み合わせは、H-1受容体拮抗作用によるか、肥満細胞脱顆粒を防止することによるか、または浅脳動脈の近傍に存在する肥満細胞に含まれるヒスタミンの放出によるものなどのいくつかの様式でその作用を及ぼし得る。好適な治療剤またはその組み合わせとしてはまた、限定するものではないが、拡張した脳動脈を囲む神経終末からのノルエピネフリン再取り込みを阻害するもの;抗コリン活性を示すもの;局所的麻酔活性をもたらすもの;または特異的イオンチャネル遮断活性を有するもの(ナトリウム再取り込みを遮断するものなど)、かつ/あるいは神経系の求心性活性を減少させるものまたは非ステロイド性抗炎症薬として機能的に作用するもの(NSAIDと称されるすべての薬物を取り込ませることにより)も挙げられる。
【0062】
本発明の方法および組成物は、典型的には、治療剤を単独または組み合わせで用いる。本発明の方法および/または組成物で用いることができる治療剤の例示的なクラスとしては、以下のものが挙げられる:αアドレナリン受容体アゴニスト;麻酔薬;抗けいれん剤;抗コリン化合物;抗ヒスタミン剤(抗ヒスタミン作用を有する三環系抗うつ剤を含む);抗炎症性化合物(シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)など);β受容体アンタゴニスト;イオンチャネル遮断化合物(ナトリウムチャネルブロッカーまたはカルシウムチャネルブロッカーなど);N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト;ノルエピネフリン再取り込み阻害剤;オピオイド;選択的セロトニン再取り込み阻害剤;セロトニンアゴニスト;セロトニン部分アゴニスト:および/またはトリプタン。単独または組み合わせで製剤化するのに好ましい治療剤としては、以下のものが挙げられる:スマトリプタン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、デキストロメトルフェン、ガバペンチン、アミトリプチリン、ジフェンヒドラミン、およびドキセピン。
【0063】
αアドレナリン受容体アゴニストの例としては、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、およびオキシメタゾリンが挙げられる。麻酔薬の例としては、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、およびプロカインが挙げられる。抗けいれん剤の例としては、ガバペンチン、トピラマート、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、ゾニサミド、バルプロ酸、エトスクシミド、カルバマゼピン、プリミドン、ラモトリジン、フェルバメート、レベチラセタム、およびチアガビンが挙げられる。抗コリン化合物の例としては、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、またはチオトロピウムが挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、カルビノキサミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、ピリラミン、トリペレナミン、クロルフェニルアミン、ブロムフェニルアミン、ヒドロキシジン、シクリジン、アクリバスチン、セトリリジン、アゼラスチン、ロラタジン、フェキソフェナジン、ドキセピン、ジフェンヒドラミン、および抗ヒスタミン活性を有するすべての三環系抗うつ剤(アミトリプチリン、イミプラミン、プロメタジン、クロルプロマジン、およびノルトリプチリンなど)が挙げられる。
【0064】
抗炎症性化合物としては、アスピリン、ジクロフェナク、およびCOX阻害剤が挙げられる。例示的なCOX阻害剤としては、非選択的COX阻害剤(COX-1およびCOX-2の阻害剤またはCOXおよびリポキシゲナーゼ(LOX)の阻害剤など);選択的COX-1阻害剤;選択的COX-2阻害剤;および/または選択的COX-3阻害剤が挙げられる。COX阻害剤の例としては、イブプロフェン(そのラセミ混合物またはエナンチオマーを含む);ケトプロフェン(そのラセミ混合物またはエナンチオマーを含む);および/またはナプロキセンが挙げられる。
【0065】
β受容体アンタゴニストの例としては、プロプラノロール、ナドロール、チモロール、ピンドロール、ラベタロール、メトロプロロール、アテナロール、エスモロール、およびアセブトロールが挙げられる。イオンチャネル遮断化合物の例としては、フルナリジン、ベラパミル、ニフェジピン、およびニモジピンが挙げられる。NMDA受容体アンタゴニストの例としては、デキストロメトルファン、ケタミン、メマンチン、リルゾール、およびフェンシクリジンが挙げられる。ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の例としては、レボキセチン、デュロキセチン、およびアミトリプチリンが挙げられる。オピオイドの例としては、モルヒネ、コデイン、メペリジン、およびオキシコドンが挙げられる。トリプタンの例としては、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、およびゾルミトリプタンが挙げられる。
【0066】
組成物を患者に局所投与するそれらの実施形態では、組成物に用いる治療剤は、局所投与に適した特性を有するべきである。例えば、局所用製剤に好適な治療剤としては、局所的に作用し、かつ吸収されると脈管腔の大量の血液に希釈されるもの;または副作用がないものが挙げられる。好適な治療剤および組み合わせは、ベタつかない軟膏またはクリーム基剤として最もうまく投与される。
【0067】
2種類以上の治療剤の組み合わせを、片頭痛を治療するために患者に投与することができる。例示的な組み合わせとしては、抗炎症性化合物とイオンチャネル遮断化合物との組み合わせ(COX-2阻害剤とカルシウムチャネル遮断化合物など);COX阻害剤と抗ヒスタミン剤との組み合わせ;一般的抗炎症性化合物とNMDA受容体アンタゴニストとの組み合わせ;トリプタンと一般的抗炎症性化合物との組み合わせ;トリプタンと抗ヒスタミン剤との組み合わせ;および一般的抗炎症性化合物とオピオイドとの組み合わせが挙げられる。一般的に、以下の組み合わせは、片頭痛に有用であろう:筋弛緩剤(抗けいれん剤など);オピオイド;鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤、オピオイド、NSAID、またはCOX阻害剤など);NSAID;セロトニン作動薬(セロトニンアゴニストまたはセロトニン部分アゴニスト);COX-2阻害剤;硝酸塩;βブロッカーまたはβ受容体アンタゴニスト;抗けいれん剤(ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、またはトピラマートなど);αアゴニストまたはαアドレナリン受容体アゴニスト;抗ヒスタミン剤;および局所麻酔薬。
【0068】
投与量、製剤化、および投与
本発明の組成物は、単一投与剤形で便利に投与することができ、製薬分野で周知の方法のうちいずれかにより調製することができる(例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」(20th ed., ed. A. R. Gennaro, 2000, Lippincott Williams & Wilkins)に記載されている)。製剤中の少なくとも1種の治療剤の濃度は、投与対象の薬物の投与量、および投与経路をはじめとする多数の因子に依存して変わるであろう。
【0069】
治療剤は、任意により、製薬上許容される塩(無毒の酸付加塩など)または製薬産業で通常用いられる金属錯体として投与することができる。酸付加塩の例としては、有機酸(酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸など);ポリマー酸(タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなど);および無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸など)が挙げられる。金属錯体としては、亜鉛、鉄などが挙げられる。
【0070】
組成物は、いずれかの有用な方法で調製することができる。例えば、少なくとも1種の治療剤をエタノールに溶解し、ポリエチレングリコール(PEG)の混合物に添加する。別の例では、組成物は、C-12〜C-16の炭素単位を有する中鎖脂肪酸のジメチルアラニンアミドの皮膚浸透促進剤をさらに含む。より具体的には、治療剤(単独またはそれらの組み合わせ)は、軟膏剤形またはクリーム剤形で調製することができる。これらの剤形では、単位分配が好ましいであろう。この場合、治療剤およびビヒクルの単位投与量は100mg〜1000gであり、最も好ましくは100mg〜500mgである。重量割合でのこの組成物中の治療剤は、1%〜30%(w/w)の範囲内であろう。最も好ましい範囲は、5%〜10%(w/w)である。別の実施形態では、組成物は、1%〜2%、2.5%〜5%、8%〜12%、10%〜20%、または20%〜30%(w/w)の少なくとも1種の治療剤を含む。
【0071】
一実施形態では、治療剤は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%(w/w)の量で組成物中に存在し、例えば、ケトプロフェンまたはイブプロフェンであり得る。
【0072】
適切な投与量の最適化は、組成物中で用いる治療剤または治療剤の組み合わせの薬物動態に考慮して、当業者であれば容易に行なうことができる。投与量の設定において考慮すべき因子としては、治療剤の比活性;被験体の状態または症状の重症度;被験体の年齢、体調、体重、性別、および食餌;併用療法の使用(または不使用);ならびに他の臨床因子が挙げられる。
【0073】
投与は、1日1回または複数回、1週間(または他の日数間隔)に1回もしくは断続的スケジュール(所定の回数にわたって繰り返されるサイクル(例えば、2〜10サイクル))または無期限であり得る。あるいは、組成物は、症状が生じた際に投与することができる。
【0074】
組成物は、典型的には、頭痛が始まった後、できるだけ早く投与する。一実施形態では、組成物は、1%〜30%(w/w)の少なくとも1種の治療剤(例えば、ケトプロフェン;ガバペンチン;デキストロメトルファン;神経伝達物質取り込み阻害活性、抗ヒスタミン活性または抗コリン活性をはじめとする活性を有する多機構三環系物質(イミプラミン、アミトリプチリン、およびノルトリプチリンなど));またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0075】
組成物は、いずれかの皮膚科学において許容される担体を用いて製剤化することができる。例示的な担体としては、固体担体(アルミナ、クレイ、微晶質セルロース、シリカ、またはタルクなど);および/または液体担体(アルコール、グリコール、または水-アルコール/グリコール混合物など)が挙げられる。治療剤は、治療剤の皮膚への侵入を可能にするリポソーム製剤で投与することもできる。そのようなリポソーム製剤は、米国特許第5,169,637号;同第5,000,958号;同第5,049,388号;同第4,975,282号;同第5,194,266号;同第5,023,087号;同第5,688,525号;同第5,874,104号;同第5,409,704号;同第5,552,155号;同第5,356,633号;同第5,032,582号;同第4,994,213号;およびPCT公開第96/40061号に記載されている。他の適切なビヒクルの例は、米国特許第4,877,805号およびEP公開第0586106A1号に記載されている。本発明の好適なビヒクルは、鉱油、ワセリン、ポリデセン、ステアリン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリルアルコール、または植物油を含有することもできる。
【0076】
組成物は、「Percutaneous Penetration enhancers」(eds. Smith EW and Maibach HI. CRC Press 1995)に記載されているものなどの皮膚浸透促進剤をさらに含有することができる。例示的な皮膚浸透促進剤としては、以下のものが挙げられる:N,N-二置換アミノアルカン酸アルキルエステル(2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピオン酸ドデシル(DDAIP)など)(これは米国特許第6,083,996号および同第6,118,020号に記載されている(これらの文献は両方とも、参照により本明細書中に組み入れられる));水分散性酸ポリマー(ポリアクリル酸ポリマー、カルボマー(例えば、カルボポールTMまたはカルボポール940PTM、B.F. Goodrich社(Akron, Ohio)から入手可能))、ポリアクリル酸コポリマー(例えば、PemulenTM(B.F. Goodrich社)またはPolycarbophilTM(A. H. Robbins社, Richmond, Va)など);多糖ゴム(アガーガム、アルギン酸塩、カラギーナンガム、ガッチガム(ghatti gum)、カラヤガム、カダヤガム、ラムサンガム(rhamsan gum)、キサンタンガムおよびガラクトマンナンガム(例えば、グアーガム、キャロブガム、およびローカストビーンガム)、ならびに当技術分野で公知の他のゴムなど)(例えば、Industrial Gums: Polysaccharides & Their Derivatives, Whistler R. L., BeMiller J. N. (eds.), 3rd Ed. Academic Press (1992) 及びDavidson, R. L., Handbook of Water-Soluble Gums & Resins, McGraw-Hill, Inc., N.Y. (1980)を参照されたい);またはそれらの組み合わせ。
【0077】
他の好適なポリマー性皮膚浸透促進剤は、セルロース誘導体(エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)である。さらに、所望であれば、公知の経皮浸透促進剤も添加することができる。例としては、以下のものがある:ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルアセトアミド(DMA)、2-ピロリジン、N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン(AzoneTM、Nelson Research社の登録商標)、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、チオグリコール酸カルシウムおよび他の促進剤(ジオキソラン、環状ケトンなど)、ならびにそれらの誘導体など。
【0078】
例としてはまた、N,N-2-(二置換アミノ)アルカン酸アルキルである生分解性吸収促進剤の群(米国特許第4,980,378号および同第5,082,866号に記載されている(これらの文献の両方が、参照により本明細書中に組み入れられる))がある。そのようなものとしては、以下のものが挙げられる:(N,N-ジメチルアミノ)酢酸テトラデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸ドデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸デシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸オクチル、および(N,N-ジエチルアミノ)酢酸ドデシル。
【0079】
特に好ましい皮膚浸透促進剤としては、以下のものが挙げられる:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル;ジメチルスルホキシド;デシルメチルスルホキシド;中鎖脂肪酸のジメチルアラニンアミド;2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピオン酸ドデシルまたはその塩(有機塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸付加塩)および無機塩(例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、グリコール酸、コハク酸、ニコチン酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、パモ酸、メタンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ピクリン酸、および乳酸付加塩)(米国特許第6,118,020号に記載されている);ならびに2-(N,N-二置換アミノ)-アルカン酸アルキル(米国特許第4,980,378号および同第5,082,866号に記載されている)。
【0080】
重量割合でのこの組成物中の皮膚浸透促進剤は、0.5%〜10%(w/w)の範囲であろう。最も好ましい範囲は、1.0%〜5%(w/w)である。別の実施形態では、皮膚浸透促進剤は、組成物の0.5%〜1%、1%〜2%、2%〜3%、3%〜4%、または4%〜5%(w/w)を含む。
【0081】
組成物は、いずれかの有用な剤形で提供することができる。例えば、本発明の組成物は、液剤、エマルジョン剤(マイクロエマルジョン剤を含む)、懸濁剤、クリーム剤、フォーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、あるいは皮膚もしくは組成物を用いることができる他の組織への投与に用いられる他の典型的な固体、半固体、または液体組成物として製剤化することができる。好ましい組成物は、好ましくは耳介後部領域または耳のすぐ後ろの頸部に、パッチ剤として投与することもできる。そのような組成物は、そのような製品に典型的に用いられる他の成分を含有することができ、それは例えば、以下のものなどである:着色剤、香料、増粘剤(例えば、キサンタンガム、脂肪酸、脂肪酸塩もしくはエステル、脂肪アルコール、変性セルロース、変性鉱物材料、Krisgel 100TM、または合成ポリマー)、抗微生物剤、溶媒、界面活性剤(surfactant、detergent)、ゲル化剤、抗酸化剤、充填剤、染料、粘度調節剤、保存料、保湿剤、皮膚軟化剤(例えば、天然もしくは合成油、炭化水素油、ワックス、またはシリコーン)、水和剤、キレート剤、粘滑剤、可溶化賦形剤、添加剤、分散化剤、皮膚浸透促進剤、可塑剤、保存料、安定化剤、抗乳化剤、湿潤化剤、日焼け止め剤、乳化剤、保湿剤、収斂剤、デオドラント剤、ならびに任意により以下のもの:麻酔薬、かゆみ止め、植物抽出物、コンディショニング剤、日焼け剤または美白剤、光沢剤、保湿剤、マイカ、鉱物、ポリフェノール、シリコーンまたはその誘導体、日焼け止め剤、ビタミン、および植物性医薬品(phyromedicinal)。
【0082】
組成物は、追加の利点をもたらし、局所用製剤の感触および/または外観を改善するために、他の同様の成分を含むこともできる。これらの製剤に通常用いられる添加物の具体的なクラスとしては、以下のものが挙げられる:ミリスチン酸イソプロピル、ソルビン酸NF粉末、ポリエチレングリコール、ホスファチジルコリン(ホスファチジルコリンの混合物(ホスホリポンGなど)を含む)、Krisgel 100TM、蒸留水、水酸化ナトリウム、デシルメチルスルホキシド(皮膚浸透促進剤として)、メントール結晶、ブチル化ヒドロキシトルエン、ジグリコールエチル試薬、および95%(190プルーフ)エタノール。
【0083】
組成物は、いくつかの様式で投与することができる。例えば、液体剤形の組成物は、吸収剤パッドから投与するか:含浸包帯(bandage)その他の包帯剤に用いるか;または被験体の眼窩領域もしくは周囲領域に直接噴霧することができる。別の例では、固体剤形(半固体剤形を含む)の組成物は、チューブから塗布するか;または被験体の眼窩領域もしくは周囲領域に直接塗布することができる。また別の例では、液体剤形または固体剤形の組成物は、アプリケーターを用いて眼窩領域に組成物を広げることにより投与することができる。組成物はまた、皮膚送達系において密閉包帯の下の皮膚に投与することもできる(例えば、経皮パッチ)。
【0084】
組成物は、好ましくは、アプリケーター(綿棒アプリケーター上に少なくとも1種の治療剤を含有する)を介して、軟膏として眼窩領域に塗布される。あるいは、組成物は、チューブまたは缶からローション剤として投与することができる。さらなる実施形態では、組成物は、より大量用のDroptainer分配器からローション剤として投与される。この実施形態では、組成物は、指を用いて眉切痕領域に組成物を塗りこむことにより投与することができる。組成物または少なくとも1種の治療剤を含む経皮パッチを用いて、最も好ましくは耳の後ろに投与することもできる。
【0085】
治療剤が、(i)低い治療係数を有する(例えば、有害副作用または毒性反応を引き起こす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度との差が小さい)か、(ii)表皮および/もしくは真皮によるかまたはそれを通した小さく遅い吸収速度を有するか、あるいは(iii)治療的レベルを維持するために1日間での頻繁な投与を必要とする短い生物学的半減期を有する場合、制御放出製剤での治療剤の投与が有用であり得る。
【0086】
放出速度が治療剤の代謝速度を上回る制御放出を得るために、多数の戦略を遂行することができる。例えば、適切な制御放出組成物およびコーティングをはじめとする製剤化パラメータおよび成分を適切に選択することにより、例えば、制御放出を得ることができる。例としては、油剤、懸濁剤、エマルジョン剤、微小カプセル剤、ミクロスフェア剤、ナノ粒子剤、パッチ剤、およびリポソーム剤が挙げられる。
【0087】
本発明のさらなる特徴および利点を、以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例はそれを限定することをまったく意図するものでない。
【実施例】
【0088】
実施例1:クリーム基剤の調製
100mLのクリーム基剤を作製するために、ソルビン酸NF粉末(0.3g)を、ミリスチン酸イソプロピルNF(50mL)に溶解させた。この混合物に、低熱でホスホリポンG(45.45g)を添加し、一晩静置した。シロップ様粘稠度の液体が形成され、これはよく振盪しなければならない。クリーム基剤は、黄色がかったシロップ様の外観を有していた。浸透効率を下げるために、ミリスチン酸イソプロピルをパルミチン酸イソプロピルと置換することができる。このクリーム基剤を用いて、実施例4に記載される最終製剤に治療剤を製剤化した。
【0089】
実施例2:軟膏基剤の調製
100mLの軟膏基剤を調製するために、デシルメチルスルホキシド(0.6g)をすり鉢で粉砕し、最低100mLを保持するのに十分大きなガラス瓶に入れた。Everclear 95%エタノール(19mL)をデシルメチルスルホキシドに添加し、激しく振盪した。プロピレングリコール(58mL)およびエトキシジグリコール(20mL)をこの混合物に添加し、併せて振盪した。
【0090】
メントール結晶(0.08g)およびブチル化ヒドロキシトルエン(0.05g)をすり鉢で粉砕した。少量(2mL)のEverclear 95%エタノールを添加して、粉砕したメントール結晶およびブチル化ヒドロキシトルエンを溶解させた。
【0091】
最終ステップとして、メントールとブチル化ヒドロキシトルエンとの混合物を、デシルメチルスルホキシド混合物に添加し、よく振盪した。この最終混合物をガラス瓶に入れて保存した。この軟膏は治療剤の調製で基剤として用いることができる。
【0092】
さらに、追加の、もしくは異なる治療剤を添加すること、またはクリーム剤もしくは軟膏剤中の治療剤の割合(%)を変えることが可能である。スマトリプタンは、単独で用いることができる。スマトリプタンは、抗ヒスタミン剤と共に用いることもできる。スマトリプタンをケトプロフェンと共に用いるか、あるいはガバペンチンを単独で、またはスマトリプタンもしくは抗ヒスタミン剤との組み合わせで用いることができる。
【0093】
実施例3:クリーム基剤の調製
100mLのクリーム基剤を作製するために、米国特許第6,083,996号からBiiyiiktimkin, et al.(表題「Topical Compositions For NSAID Drug Delivery」、ヒト皮膚を通したNSAIDの強化された送達のための具体的な局所用製剤について議論している)に記載されているように、カルボマーNF、ミリスチン酸イソプロピル、EDTA二ナトリウム、メチルパラベンナトリウム、プロピルnパラベンナトリウムを、好適なミキサーを用いて混合した。このクリーム基剤を用いて、実施例5に記載される最終製剤に治療剤を製剤化した。
【0094】
実施例4:治療剤を含むクリーム剤の調製
実施例1に記載したクリーム基剤(10g)を、プロピレングリコール(5mL)およびデキストロメトルファン(5g)に添加した。この混合物を、併せて混合した。続いて、混合物に10%水酸化ナトリウム(2.5mL)を添加した。混合物にイブプロフェン(またはケトプロフェン)(30g)を添加した。KrisgelTM(4g、増粘剤)および蒸留水(46g)を添加し、十分に混合し、10%水酸化ナトリウムを用いてpHが約5〜6.5になるように調整した。次に、このクリーム剤を、軟膏投薬チューブに充填した。
【0095】
実施例5:治療剤を含む軟膏剤の調製
50gの薬物製品を調製するために、2.5gの微粉化ケトプロフェンを15gのエチルアルコール(95%)に溶解し、実施例3の製剤(32.5g)と混合し、激しく混合した(激しく混合しながら少なくとも5分間混合)。得られた生成物に、トリエタノールアミン(0.75g)を添加し、必要であれば激しく混合しながら、トリエタノールアミンを滴下添加することによりpHを5.3〜5.5に調整した。
【0096】
実施例6:ケトプロフェンおよびガバペンチンを用いた患者研究
本研究では、発症した片頭痛を治療するために、患者に軟膏剤で10%ケトプロフェンおよび10%ガバペンチンの組み合わせ(実施例2)を投与した。本研究では、90%が女性であり、10%が男性であった。すべての患者が18歳以上であり、本研究に同意した。さらに、これらの患者のうち80%が45〜60歳であり、20%が13〜45歳であった。
【0097】
10%強度のケトプロフェンおよび10%強度のガバペンチンの組み合わせの投与は、速やかで(15〜30分)、安全かつ有効な片頭痛の軽減をもたらした。本プロトコールに含まれたすべての患者が、以前に頭痛を有しており、これは標準的な方法を用いて治療することができた。標準的な療法を用いた頭痛症状の軽減には、平均6時間かかった。ケトプロフェン(10%)およびガバペンチン(10%)の混合物の投与により、30分以内に、患者の70%で迅速な軽減がもたらされた。
【0098】
実施例7:ケトプロフェンの5%軟膏剤を用いた患者研究
本研究では、発症した片頭痛を有する患者に、上記実施例5に記載のケトプロフェン5%軟膏製剤を提供し、前額部の眉切痕の領域、耳の後ろの顎骨の頂点、および耳の上のこめかみ領域に投与するように指示した。患者に、痛みを1〜8のスケール(8が耐えられない痛み、1が最小限の痛み)に等級づけするように依頼した。ケトプロフェンの単回投与後に痛みが持続したかまたは再発した場合は、患者に4回/日まで薬剤を再投与するように指示した。結果を図3〜5に示す。
【0099】
図3は、発症した片頭痛を有する4名の患者(患者番号101、102、103および210)についての結果を示す。この図は、ケトプロフェンの5%軟膏製剤の単回投与が、30分以内に片頭痛を著明に減少させるか、またはすべての片頭痛の痛みを除去するのに有効であることを示す。患者102の場合、6時間目までに痛みが戻った。6時間目での5%ケトプロフェン軟膏の再投与によって、12時間までにレベル2まで痛みが減少し、24時間では患者は痛みを有しなかった。
【0100】
以下の図4は、患者101での複数回の片頭痛の発生を治療した結果を示す。この図に示されているように、患者101は、3回の別個の片頭痛の治療に成功し、各片頭痛後の最低でも24時間は、痛みを有しないままであった。
【0101】
図5は、患者210での複数回の片頭痛の発生を治療した結果を示す。患者210は、5%ケトプロフェン軟膏剤の単回投与治療で、3回のうち1回の治療に成功した。患者210が見舞われた3回の片頭痛の出現のうち2回では、図に示されているように、片頭痛が元に戻り、これらの2回の場合には、患者は4時間の評価の前に5%ケトプロフェン軟膏剤を再投与した。再投与すると、痛みは著明に減少した。この図は、一部のケースでは、痛みのない状態に患者を維持するために、ケトプロフェンを再投与することができ、また再投与するべきであることを教示している。
【0102】
本明細書中で言及したすべての刊行物、特許出願および特許は、参照により本明細書中に組み入れられる。
【0103】
記載した方法および本発明のシステムの種々の改変および変形が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。具体的な望ましい実施形態との関連で本発明を説明してきたが、特許請求の範囲に記載された本発明が、それらの具体的実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際には、医学、薬理学の分野、または関連分野の当業者には明らかな本発明を実施するための記載された様式の種々の改変が、本発明の範囲内に入ることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体に治療剤を送達する方法であって、有効量の少なくとも1種の治療剤を含む組成物を、被験体の眼窩領域に、顎関節の胸鎖乳突筋に、三叉神経の耳介側頭枝の基部に、および頸背部の僧帽筋に局所投与することを含む、上記方法。
【請求項2】
頭痛に関連する疼痛を治療する方法であって、眼窩、三叉神経の耳介側頭枝の基部、大後頭神経の耳介側頭枝、耳介後部領域、鼻内三叉神経終末、もしくは鼻内副交感神経終末に沿った部位、またはそれらの組み合わせで、少なくとも1種の治療剤を含む有効量の組成物を、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛、または血管状態により引き起こされる頭痛に関連する疼痛を有する哺乳動物に局所投与することを含む、上記方法。
【請求項3】
片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛、または血管状態により引き起こされる頭痛に関連する疼痛を予防する方法であって、眼窩、三叉神経の耳介側頭枝の基部、大後頭神経の耳介側頭枝、耳介後部領域、鼻内三叉神経終末、もしくは鼻内副交感神経終末に沿った部位、またはそれらの組み合わせで、少なくとも1種の治療剤を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与することを含む、上記方法。
【請求項4】
前記有効量が、頭痛を治療するのに有効な量である、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項5】
前記頭痛が、片頭痛、緊張性頭痛、または三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記頭痛が、群発性頭痛、発作性片側頭痛、SUNCT症候群、および持続性片側頭痛からなる群より選択されるTACである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記眼窩領域が、眼窩上孔、三叉神経の耳介側頭枝の基部、大後頭神経の耳介側頭枝、耳介後部領域、前額部、頸部、または頭部の側面のうち1以上を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項8】
前記治療剤が、αアドレナリン受容体アゴニスト、麻酔薬、抗けいれん剤、抗コリン化合物、抗ヒスタミン剤、抗炎症性化合物、β受容体アンタゴニスト、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、オピオイド、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニンアゴニスト、セロトニン部分アゴニスト、およびトリプタンからなる群より選択される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項9】
前記治療剤がαアドレナリン受容体アゴニストであり、該αアドレナリン受容体アゴニストが、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、またはオキシメタゾリンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記治療剤が麻酔薬であり、該麻酔薬が、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、またはプロカインである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記治療剤が抗けいれん剤であり、該抗けいれん剤が、ガバペンチン、トピラマート、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、ゾニサミド、バルプロ酸、エトスクシミド、カルバマゼピン、プリミドン、ラモトリジン、フェルバメート、レベチラセタム、またはチアガビンである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記治療剤が抗コリン化合物であり、該抗コリン化合物が、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、またはチオトロピウムである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記治療剤が抗ヒスタミン剤であり、該抗ヒスタミン剤が、カルビノキサミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、ピリラミン、トリペレナミン、クロルフェニルアミン、ブロムフェニルアミン、ヒドロキシジン、シクリジン、アクリバスチン、セトリリジン、アゼラスチン、ロラタジン、フェキソフェナジン、ドキセピン、ジフェンヒドラミン、アミトリプチリン、イミプラミン、プロメタジン、クロルプロマジン、またはノルトリプチリンである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記治療剤が抗炎症性化合物であり、該抗炎症性化合物が、アスピリン、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、またはナプロキセンである、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記治療剤が抗炎症性化合物であり、該抗炎症性化合物がシクロオキシゲナーゼ阻害剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記治療剤がβ受容体アンタゴニストであり、該β受容体アンタゴニストが、プロプラノロール、ナドロール、チモロール、ピンドロール、ラベタロール、メトロプロロール、アテナロール、エスモロール、またはアセブトロールである、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記治療剤がイオンチャネル遮断化合物であり、該イオンチャネル遮断化合物が、フルナリジン、ベラパミル、ニフェジピン、またはニモジピンである、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記治療剤がN-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニストであり、該N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニストが、デキストロメトルファン、ケタミン、メマンチン、リルゾール、またはフェンシクリジンである、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記治療剤がノルエピネフリン再取り込み阻害剤であり、該ノルエピネフリン再取り込み阻害剤が、レボキセチン、デュロキセチン、またはアミトリプチリンである、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記治療剤がオピオイドであり、該オピオイドがモルヒネ、コデイン、メペリジン、またはオキシコドンである、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
前記治療剤が選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニンアゴニスト、またはセロトニン部分アゴニストである、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
前記治療剤がトリプタンであり、該トリプタンが、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、またはゾルミトリプタンである、請求項8に記載の方法。
【請求項23】
前記治療剤が、スマトリプタン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、デキストロメトルファン、ガバペンチン、アミトリプチリン、ジフェンヒドラミン、およびドキセピンからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
前記抗炎症性化合物が、抗けいれん剤、抗ヒスタミン剤、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、オピオイド、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤と共に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項25】
前記抗炎症性化合物がシクロオキシゲナーゼ阻害剤である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤がイオンチャネル遮断化合物と共に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤が抗ヒスタミン剤と共に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ケトプロフェンまたはイブプロフェンが、ガバペンチンまたはトピラマートと共に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
ケトプロフェンまたはイブプロフェンが、ジフェンヒドラミンまたはデキストロメトルファンと共に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
ケトプロフェンまたはイブプロフェンが、ジフェンヒドラミンおよびデキストロメトルファンと共に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
ケトプロフェンまたはイブプロフェンが、スマトリプタンと共に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
抗ヒスタミン剤が、抗炎症性化合物、抗けいれん剤、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、オピオイド、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤と共に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項33】
ジフェンヒドラミンが、デキストロメトルファンと共に投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
トリプタンが、抗炎症性化合物、抗けいれん剤、抗ヒスタミン剤、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、およびオピオイドからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤と共に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項35】
スマトリプタンが、ガバペンチンと共に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
スマトリプタンが、抗ヒスタミン剤と共に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
1%〜30%(w/w)のケトプロフェンおよび皮膚科学において許容される担体を含む、局所投与用に製剤化された組成物。
【請求項38】
αアドレナリン受容体アゴニスト、麻酔薬、抗けいれん剤、抗コリン化合物、抗ヒスタミン剤、β受容体アンタゴニスト、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、オピオイド、セロトニンアゴニスト、セロトニン部分アゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記治療剤が抗けいれん剤であり、前記組成物が5%〜20%(w/w)のガバペンチンを含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
2%〜12%(w/w)のケトプロフェンおよび8%〜12%(w/w)のガバペンチンを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
皮膚浸透促進剤をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記皮膚浸透促進剤が、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、中鎖脂肪酸のジメチルアラニンアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピオン酸ドデシルまたはその塩、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸テトラデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸ドデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸デシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸オクチル、および(N,N-ジエチルアミノ)酢酸ドデシルからなる群より選択される、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、または液剤として製剤化される、請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
10%〜30%(w/w)のイブプロフェンおよび皮膚科学において許容される担体を含む、局所投与用に製剤化された組成物。
【請求項45】
αアドレナリン受容体アゴニスト、麻酔薬、抗けいれん剤、抗コリン化合物、抗ヒスタミン剤、β受容体アンタゴニスト、イオンチャネル遮断化合物、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニスト、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、セロトニンアゴニスト、セロトニン部分アゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびトリプタンからなる群より選択される少なくとも1種の治療剤をさらに含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記治療剤が抗ヒスタミン剤である、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記治療剤がトリプタンである、請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
前記治療剤が抗ヒスタミン剤およびN-メチル-D-アスパラギン酸受容体アゴニストである、請求項45に記載の組成物。
【請求項49】
1%〜5%(w/w)のデキストロメトルファンおよび1%〜5%(w/w)のジフェンヒドラミンを含む、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
20%(w/w)のイブプロフェン、2.5%(w/w)のデキストロメトルファン、および2.5%(w/w)のジフェンヒドラミンを含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
皮膚浸透促進剤をさらに含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項52】
前記皮膚浸透促進剤が、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、中鎖脂肪酸のジメチルアラニンアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピオン酸ドデシルまたはその塩、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸テトラデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸ドデシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸デシル、(N,N-ジメチルアミノ)酢酸オクチル、および(N,N-ジエチルアミノ)酢酸ドデシルからなる群より選択される、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、または液剤として製剤化される、請求項44に記載の組成物。
【請求項54】
2.5%〜10%(w/w)のケトプロフェンを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項55】
ケトプロフェンがクリーム基剤または軟膏中に製剤化される、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
頭痛に関連する疼痛を治療または予防する方法であって、請求項37〜54のいずれか1項に記載の組成物の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む、上記方法。
【請求項57】
組成物が、眼窩、三叉神経の耳介側頭枝の基部、大後頭神経の耳介側頭枝、耳介後部領域、鼻内三叉神経終末、鼻内副交感神経終末、顎関節の胸鎖乳突筋、三叉神経の耳介側頭枝の基部、頸背部の僧帽筋、またはそれらの組み合わせに局所投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
疼痛が、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛、または血管状態により引き起こされる頭痛に関連する、請求項56または57に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515002(P2013−515002A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544917(P2012−544917)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061130
【国際公開番号】WO2011/075688
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(512159867)アケリオス セラピューティクス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】