説明

三味線演奏用ストラップ及びその部品

【目的】背中や肩ににかかる負荷を軽減することができる三味線演奏用ストラップを提供すること。
【解決手段】ストラップ8は、奏者の背中、首周り若しくは肩その他の身体部分と接触するストラップ身体接触部10を、合成繊維からなる合成繊維層14とゴム板からなるゴム板層15とによって構成する。このときに、ストラップ身体接触部10は、ゴム板層15の表裏両面に合成繊維層14,14を配置するサンドイッチ構造とする。かかる構造によれば、三味線の奏者の背中や肩ににかかる負荷を軽減することができる。合成繊維層14が奏者に対して柔らかい感触を与え、ゴム板層15に負荷がかかるのであるが、ゴム板層15は弾性力があるため、衝撃を吸収する。従って、奏者に係る負荷は、従来品に比べると軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三味線演奏用ストラップ及びその部品に関し、更に詳しくは、三味線の演奏時における奏者の身体へのストラップの食い込みを軽減するとともに、三味線のぐらつきをなくして、その安定度を高めることができる三味線演奏用ストラップ及びその部品に関する。
【背景技術】
【0002】
三味線は、一般的には座って演奏する楽器として知られている。近年は、三味線も弦楽器という点では同じギターのような感覚で受け入れられ、様々なジャンルの音楽に取り入れられている。その結果、三味線を立って演奏するという場面も多く見られる。
図1は、その三味線1の外観図である。奏者は、演奏に際して、三味線の弦を張るときは、次のようにして行う。奏者は、まず、その弦を天神2に巻き付け、次いで、その弦を棹3及び胴4に沿って渡したあと、駒5を介して、その弦を根尾6に縛り付ける。最後に、奏者は、この根尾6を中子先7に引っ掛ける。これによって、弦の張り付けが完了する。
【0003】
奏者は、三味線1を立って演奏するときは、これにストラップ(図示省略)を取り付ける。そして、奏者は、そのストラップを三味線1の一方の取付部位(図示省略)に取り付けた後、左肩から背中を介して右脇を通して、三味線1の他方の取付部位(図示省略)に取り付けて、自らの身体に装着する。また、奏者は、演奏しやすい位置に三味線1が来るようにストラップの長さを調節し、三味線1の棹3や胴4の位置を調整する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、三味線1にストラップを取り付ける場合、ストラップを取り付けるための取付具(図示省略)を、三味線1に取り付けなければならなかった。この場合、三味線1の胴4に孔を開けなければならないという問題があった。孔を開ければ当然三味線1に傷が付くことになる。そのため、三味線1を立って演奏したくても、孔を開けたくない奏者は、ストラップを活用することができず、座って演奏するしかなかった。
【0005】
また、三味線1に孔を開けてストラップを取り付けたとしても、従来のストラップは、全体が天然皮革製又は合成皮革製であるため、伸縮性がなく背中に食い込み、背中が演奏中に非常に痛むという問題があった。そして、肩や腕にもその影響が及ぶという問題があった。
また、従来のストラップの三味線1への取付は、そのストラップの両端部分を上記の取付具に単に引っ掛けることによって行っていた。すると、この取付具の部分が支点となり、三味線1がぐらぐらし、三味線1の安定性が悪いという問題点があった。例えば、そのストラップを付けて三味線1を演奏し始めると、三味線1の胴皮(三本の弦を張った方の胴4の表面のこと)が上に向いてしまうので、上に向かないように手に力を入れる必要があった。そのため、従来のストラップでは演奏がしにくいという問題点があった。
【0006】
一方、市場に目を向けると、この種のストラップとして、例えば、ギター/ベース用のものが数多く出回っている。例えば、非特許文献1,2にその一例が開示されている。しかしながら、非特許文献1,2に開示されたギター/ベース用のものは、仮に三味線演奏のためにサイズを調整したとしても、全体が天然皮革製、強化ナイロン等を素材とし、素材そのものが固いため、三味線の奏者の背中、首周り及び肩にかかる演奏時の負荷を緩和できるものではない。一般的には、この点は不可解に思われるかもしれない。その理由は、三味線とギターとを比較すると、ギターの方がボディーが大きいため、ギターで用が足りるならば、三味線に問題なく流用できるであろうとの予測が成り立つからである。
【0007】
しかしながら、三味線は、一見、軽量に見えるが、ギターの重量とさほど変わらない。特に、三味線の棹が紅木や紫檀で作られている場合や津軽三味線の太棹の場合には重量が重くなり、ギターネック(三味線の棹に相当する部分である。)に比べて重く感じる。そのため、非特許文献1に開示された「Fender USA製のDeluxe Vintage Strap」のように、奏者の背中や肩に当たる部分に幅広の肩当てが取り付けられたものでも、三味線演奏には向かない。三味線演奏の場合、肩当ての取付という工夫がなされていても、幅細のストラップが、肩当てを介して奏者の肩や背中に食い込むからである。
【0008】
また、非特許文献1,2に開示されたギター用ストラップは、三味線用に作られていないためデザインやサイズが合わないという根本的な問題がある。
【0009】
【非特許文献1】http://www.ishibashi.co.jp/webshop/accessories/strap/
【非特許文献2】http://www.soundhouse.co.jp/shop/SearchList.asp?i_type=c&s_category_cd=570
【0010】
また、奏者は、練習時においてはピックアップマイクを三味線に取り付けないで三味線を演奏するが、演奏会においてはピックアップマイクを三味線に取り付けて三味線を演奏する。ピックアップマイクを用いると、奏者は、スタンドマイクと異なり自由に動けるからである。ピックアップマイクは、中子先7のある胴側面26に取り付けられるため、三味線演奏用ストラップは、ピックアップマイクがあってもこれが邪魔にならないで使用できる必要がある。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その第一の目的は、背中や肩ににかかる負荷を軽減することができる三味線演奏用ストラップを提供することにある。また、本発明の第二の目的は、演奏時における三味線のぐらつきの問題点を解消し安定させることができる三味線演奏用ストラップ及びその部品を提供することにある。また、本発明の第三の目的は、三味線に孔を開けなくてもよい三味線演奏用ストラップを提供することにある。また、本発明の第四の目的は、ピックアップマイクの使用時と不使用時のいずれにおいても三味線演奏用ストラップの使用を可能とする三味線演奏用ストラップ及びその部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る三味線演奏用ストラップは、奏者の背中、首周り若しくは肩その他の身体部分と接触する身体接触部が、合成繊維からなる繊維層とゴム板からなるゴム板層とによって構成されたことを特徴とするものである。
この場合に、本発明に係る三味線演奏用ストラップの前記身体接触部は、前記ゴム板層の表裏両側に前記繊維層を配置したサンドイッチ構造とすることができる。
また、この場合に、本発明に係る三味線演奏用ストラップには、更に、胴掛を掛ける胴表面に対して反対側にある胴表面及び/又はこれらの胴表面に隣接する胴表面に密着する密着手段を設けることができる。
また、この場合に、本発明に係る三味線演奏用ストラップには、更に、中子先を通す中子先用孔が形成されていることが望ましい。
また、この場合に、本発明に係る三味線演奏用ストラップには、更に、ピックアップマイク用孔が形成されていることが望ましい。
また、この場合に、三味線演奏用ストラップの両端部にそれぞれ、引掛手段と、前記引掛手段によって引っ掛けられる係合手段とが形成されていることが望ましい。
【0013】
本発明に係る三味線演奏用ストラップ部品は、前記中子先用孔と、前記密着手段とが形成されていることを特徴とするものである。
この場合に、本発明に係る三味線演奏用ストラップ部品には、前記ピックアップマイク用孔を形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る三味線演奏用ストラップは、奏者の背中、首周り若しくは肩その他の身体部分と接触する身体接触部が、合成繊維からなる繊維層とゴム板からなるゴム板層とによって構成されたものであるから、奏者の背中や肩ににかかる負荷を軽減することができるという効果がある。また、本発明に係る三味線演奏用ストラップは、前記身体接触部が、前記ゴム板層の表裏両側に前記繊維層を配置したサンドイッチ構造をとるものであるから奏者の背中や肩ににかかる負荷を軽減することができるという効果がある。
【0015】
本発明に係る三味線演奏用ストラップ及びその部品は、胴掛を掛ける胴表面に対して反対側にある胴表面及び/又はこれらの胴表面に隣接する胴表面に密着する密着手段が設けられたものであるから、三味線の演奏時における三味線のぐらつきの問題点を解消し、三味線を安定させることができるという効果がある。
【0016】
本発明に係る三味線演奏用ストラップは、その両端部に、引掛手段及び係合手段が形成されたものであるから、引掛手段と係合手段とを連結させることができるので、三味線に孔を開けなくてもよいという効果がある。
【0017】
本発明に係る三味線演奏用ストラップ及びその部品は、前記中子先用孔と、前記密着手段とが形成されているものであるから、三味線の演奏時における三味線のぐらつきの問題点を解消し、三味線を安定させることができるという効果がある。
本発明に係る三味線演奏用ストラップ及びその部品は、ピックアップマイク用孔を形成したものであるから、ピックアップマイクを取り付けても三味線演奏用ストラップの使用を可能とすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る三味線演奏用ストラップ8(以下、単に「ストラップ8」という)の全体を示した外観図であり、同図(a)は、ストラップ8の外表面側(奏者がストラップ8を装着したときに、人の目に触れる方の側を示す。以下同じ。)からみた外観を示し、同図(b)は、ストラップ8の内表面側(奏者がストラップ8を装着したときに、奏者の身体に触れる方の側を示す。以下同じ。)からみた外観を示す。図3は、ストラップ8の断面図であり、同図(a)が図2(a)のA−A線断面、図3(b)が図2(a)のB−B線断面を示す。
【0019】
これらの図において、ストラップ8は、ストラップ脇側部9と、ストラップ身体接触部10と、ストラップ前側部11と、ストラップ胴底側部12と、ストラップ中子先側部13とからなる。
ストラップ身体接触部10は、奏者がストラップ8を装着すると、奏者の左肩から(首周りを介して)背中に当たるところである。このストラップ身体接触部10は、ウレタン素材の合成繊維からなる合成繊維層14と、板状に加工された合成ゴムからなるゴム板層15とによって構成される。より具体的には、ストラップ身体接触部10は、図3(a)に示したように、ゴム板層15の表裏両側に合成繊維層14,14を配置したサンドイッチ構造をとる。合成繊維層14,14は、ゴム板層15を狭持した状態でその端縁周囲が、合成繊維層14と同じ繊維からなる縫合用テープ16,16によって覆われている。
【0020】
また、ストラップ身体接触部10は、ストラップ脇側部9との連結部位付近、及び、ストラップ前側部11との連結部位付近が、図3(b)に示したように、ゴム板層15の表裏両側に合成繊維層14,14を配置したサンドイッチ構造の両側に、更に、連結皮革部17,17を被覆した構成を備える。これら合成繊維層14、縫合用テープ16、及び、連結皮革部17は、工業用ミシンを用いて、糸で縫製されている(図2の点線参照)。
【0021】
合成繊維層14を構成する合成繊維や、ゴム板層15を構成する合成ゴムの材質は特に限定されるものではない。合成繊維としては、身体に接触したときに、柔らかい触感があるものであれば特に限定されない。また、ゴム板層15としては、合成繊維層14,14にサンドイッチされたときに、合成繊維層14,14が伸びきってしまうのを抑制する程度の硬さや弾性を備えたものであれば特に限定されない。特に、ゴム板層15は、ストラップ身体接触部10にかかる負荷を吸収するものが望ましい。ストラップ身体接触部10の両端は、プラスチック製の長方形枠型の連結具18,18に挿通することによって、ストラップ脇側部9や、ストラップ前側部11に連繋している。
【0022】
ストラップ脇側部9は、奏者がストラップ8を装着すると、奏者の背中から右脇腹を介してストラップ中子先側部13に連繋する部分である。ストラップ脇側部9は、天然皮革製又は合成皮革製であり、連結具18を介してストラップ身体接触部10に連繋している。また、ストラップ脇側部9は、その中央付近に長方形枠を二つ繋げて一体化した形状の長さ調節具19が取り付けられている。
【0023】
そして、ストラップ脇側部9の先端には、円弧形状の二つの係合片を組み合わせた係合部分であって、これらの係合片を金属製のスプリングによって開閉自在とした係合部分を備えたフック20が取り付けられている。このフック20は、ストラップ中子先側部13の先端に設けられる輪状のフック係合部21に引っ掛けられる。奏者によるストラップ8の装着は、三味線1とストラップ8の各部を奏者からみて所定の位置に合わせた後、フック20をフック係合部21へ引っ掛けることによって完了する。
【0024】
ストラップ前側部11は、奏者がストラップ8を装着したときに、身体の正面、すなわち、左肩付近から、(図1に示した)三味線1の棹3を縦断して胴4の下側に回り込んで、後述のストラップ胴底側部12へ連繋する部分である。ストラップ前側部11は、天然皮革製又は合成皮革製であり、その中央付近には長方形枠を二つ繋げた形状の長さ調節具19が取り付けられている。
【0025】
ストラップ胴底側部12は、ストラップ前側部11の延長線上に、そのまま連繋する部分であり、胴4の胴底22(図4参照)に密着した状態で(密着した状態については後述する。)、ストラップ中子先側部13へ連繋する部位である。ストラップ胴底側部12は、ストラップ前側部11と同じ素材、すなわち、天然皮革製又は合成皮革製である。
【0026】
ストラップ胴底側部12は、その内表面側に、図2(b)に示す面ファスナーMT1aが取り付けられている。この面ファスナーMT1aは、図4に示す面ファスナーMT1bと密着させるものである。この面ファスナーMT1bは、胴掛け23(図1参照、奏者がバチを持った右手をかける部分)を掛ける胴表面に対して反対側にある胴底22の表面に両面テープによって貼付されている。面ファスナーMT1aと同MT1bとを密着させることによって、三味線1は、ぐらぐらしない安定した状態でストラップ8によって支持されることが可能になる。面ファスナーMT1bは、胴底22の全体にかけて貼付した上、図5に示したように、中子先7のある胴側面26に貼付される。
【0027】
奏者がストラップ8を装着するときは、面ファスナーMT1a(図2(b)参照)を面ファスナーMT1b(図4参照)と密着させることによって、三味線1の位置を安定させることができる。
ストラップ胴底側部12の先端部位には、ボタン24a(嵌める時に奏者が押す方:凹型)が取り付けられている。ストラップ中子先側部13とは、このボタン24aによって連結される。
【0028】
ストラップ中子先側部13は、天然皮革製又は合成皮革製であり、中子先7を通す中子先用孔25が形成されている。そして、ストラップ中子先側部13は、その内表面側に面ファスナーMT2aが取り付けられている。面ファスナーMT2aは、胴側面26(図5参照)に貼付された面ファスナーMT2bと密着させる(面ファスナーMT2bは両面テープで胴側面26に貼付されている)。すなわち、奏者がストラップ8を装着するときは、面ファスナーMT2aを面ファスナーMT2bに密着させることによって、三味線1の位置を安定させることができる。
【0029】
ストラップ中子先側部13の一端には、ボタン24b(嵌めるときに押される側:凸型)が取り付けられ、他端には、その端部を折りたたんで形成されたフック係合部21が形成されている。ボタン24bは、ストラップ胴底側部12のボタン24aと嵌め合わされる。フック係合部21は、フック20が引っ掛けられる。中子先用孔25は、中子先7を通す孔である。中子先7を中子先用孔25に通して、ストラップ中子先側部13を取り付けることによって、中子先7が支持点となり、ストラップ8の取付状態を確実なものとし、三味線1の安定度を高めることができる。
【0030】
図6は、ストラップ中子先側部13を拡大して示したものであり、図6(a)がその外表面側、同図(b)がその内表面側からみた外観を示す。ストラップ中子先側部13は、胴側面26にピックアップマイク(図示省略)を取り付けない場合に使用することができる。例えば、演奏会であってもスタンドマイクを使用するときや、練習時という場合である。
しかしながら、ピックアップマイクを使用するときは、胴側面26の面ファスナーMT2bを貼付する付近にマイク装置(図示省略)を取り付けるため、ストラップ中子先側部13では、マイク装置が邪魔になるため、役に立たない。
【0031】
図7は、ストラップ中子先側部13を改良したストラップ中子先側部27である。ストラップ中子先側部27には、ピックアップマイク用孔28が形成されているため、三味線1にピックアップマイクを取り付けた状態でも、その孔28にピックアップマイクを通すため、ピックアップマイクが邪魔にならないでストラップ中子先側部27を取り付けることがでる。従って、ピックアップマイクを使用するときもストラップ8を使用することができる。ストラップ中子先側部27には、その裏側に、面ファスナーMT2’aが取り付けられている。面ファスナーMT2’aは、ストラップ中子先側部13に取り付けられた面ファスナーMT2aに比べると面積は小さくなるが、この程度であっても、面ファスナーMT2bと密着させることができるため、ストラップ中子先側部27の三味線1への密着性は確保される。従って、ストラップ中子先側部13,27は、三味線1の演奏事情に応じて適宜取り替えて使用できる部品といえる。
【0032】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るストラップ8は、奏者の背中、首周り若しくは肩その他の身体部分と接触するストラップ身体接触部10が、合成繊維からなる合成繊維層14とゴム板からなるゴム板層15とによって構成され、更に、ゴム板層15の表裏両面に合成繊維層14,14が配置されるというサンドイッチ構造が取り入れられているため、奏者の背中や肩ににかかる負荷を軽減することができるという効果がある。合成繊維層14が奏者に対して柔らかい感触を与え、ゴム板層15に負荷がかかるのであるが、ゴム板層15は弾性力があるため、衝撃を吸収する。従って、奏者に係る負荷は、従来品に比べると軽減される。
【0033】
また、本発明の一実施形態に係るストラップ8は、胴底22に貼付される面ファスナーMT1b及び/又は胴側面26に貼付される面ファスナーMT2bに密着する面ファスナーMT1a、MT2a、MT2’aが設けられたものである。従って、面ファスナーどうしを貼り合わせることによって、三味線の演奏時における三味線のぐらつきの問題点を解消し、三味線を安定させることができるという効果がある。
また、本発明の一実施形態に係るストラップ8は、その両端部に、フック20及びフック係合部21が形成されたものであるから、フック係合部21にフック20を連結させれば、ストラップ8の閉じた輪が形成され、三味線に孔を開けなくても良いという効果がある。フック係合部21にフック20を連結させるという構造は、三味線自体が、面ファスナーによって確実に位置が固定され、更に、中子先用孔のところが中子先によって支持されるという構造を活かしたものである。
また、ストラップ8は、これを構成するストラップ中子先側部27が、ピックアップマイク用孔28を形成したものであるから、ピックアップマイクを取り付けても三味線演奏用ストラップの使用を可能とすることができるという効果がある。
【0034】
また、本発明の一実施形態に係るストラップ中子先側部13,27は、中子先用孔25と、面ファスナーMT2a、MT2’aとが形成されているものであるから、三味線の演奏時における三味線のぐらつきの問題点を解消し、三味線を安定させることができるという効果がある。特に、中子先用孔25は、中子先7を通すため、ここが支持点となって三味線がストラップ8からの脱落を確実に防止することができる。また、ストラップ中子先側部27は、ピックアップマイク用孔28を形成したものであるから、ピックアップマイクを取り付けても三味線演奏用ストラップの使用を可能とすることができるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る三味線演奏用ストラップ及びその部品は、三味線の他、蛇皮線その他胴に皮を張った弦楽器に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るストラップ8が用いられる三味線1の外観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るストラップ8の外観図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るストラップ8の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るストラップ8が用いられる三味線1の胴底22の外観図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るストラップ8が用いられる三味線1の胴側面26の外観図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るストラップ中子先側部13の外観図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るストラップ中子先側部27の外観図である。
【符号の説明】
【0037】
1 三味線
2 天神
3 棹
4 胴
5 駒
6 根尾
7 中子先
8 三味線演奏用ストラップ(三味線演奏用ストラップ)
9 ストラップ脇側部
10 ストラップ身体接触部(身体接触部)
11 ストラップ前側部
12 ストラップ胴底側部
13 ストラップ中子先側部
14 合成繊維層(合成繊維層)
15 ゴム板層(ゴム板層)
16 縫合用テープ
17 連結皮革部
18 連結具
19 長さ調節具
20 フック(引掛手段)
21 フック係合部(係合手段)
22 胴底
23 胴掛け
24a 嵌める方のボタン(メス型)
24b 嵌められる方のボタン(オス型)
25 中子先用孔(中子先用孔)
26 胴側面
27 ストラップ中子先側部(三味線演奏用ストラップ部品)
28 ピックアップマイク用孔(ピックアップマイク用孔)
MT1a,MT2a,MT2’a 面ファスナー(密着手段)
MT1b,MT2b 面ファスナー(密着手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
奏者の背中、首周り若しくは肩その他の身体部分と接触する身体接触部が、合成繊維からなる繊維層とゴム板からなるゴム板層とによって構成されたことを特徴とする三味線演奏用ストラップ。
【請求項2】
前記身体接触部は、前記ゴム板層の表裏両側に前記繊維層を配置したサンドイッチ構造をとることを特徴とする請求項1に記載の三味線演奏用ストラップ。
【請求項3】
更に、胴掛を掛ける胴表面に対して反対側にある胴表面及び/又はこれらの胴表面に隣接する胴表面に密着する密着手段が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の三味線演奏用ストラップ。
【請求項4】
更に、中子先を通す中子先用孔が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の三味線演奏用ストラップ。
【請求項5】
更に、ピックアップマイク用孔が形成されたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の三味線演奏用ストラップ。
【請求項6】
前記三味線演奏用ストラップの両端部にそれぞれ、引掛手段と、前記引掛手段によって引っ掛けられる係合手段とが形成されていることを特徴とする請求項1から5に記載の三味線演奏用ストラップ。
【請求項7】
請求項4に記載の中子先用孔と、請求項3に記載の密着手段とが形成されていることを特徴とする三味線演奏用ストラップ部品。
【請求項8】
請求項5に記載のピックアップマイク用孔が形成されたことを特徴とする請求項7に記載の三味線演奏用ストラップ部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−199321(P2007−199321A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17105(P2006−17105)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(306002157)有限会社 雅會 (1)
【Fターム(参考)】