説明

三次元の移植可能な骨支持体

本発明は、疾患骨組織または損傷骨組織の処置のために用いられ得る拡大可能な半伸展性デバイス、およびそれを用いる方法に関する。この半伸展性デバイスは、海綿質組織の内部スペース中に挿入され、そしてこの骨への内部構造的支持を提供する適切な材料で充填される。この半伸展性デバイスはまた、この疾患骨の医薬処置、放射線学処置、または熱処置のためのキャリアとして作用し得る。上記デバイスは、シール可能なポートをさらに備え得、このポートを通ってカテーテルの内部通路が半伸展性構造の内部スペースと連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年1月7日に出願された米国仮特許出願第60/641,968号の米国特許法第119条(e)の下の利益を主張し、その開示は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
哺乳動物中の疾患海綿質組織または損傷海綿質組織のために広範な範囲の処置が当該技術分野で現在知られている。海綿質またはスポンジ状骨は、小柱(ハニカム構造)および皮質骨に対して高いレベルの間隙率を有する。これら小柱間のスペースは、スポンジ状骨を養う血管を含む赤色骨髄で充填されている。スポンジ状骨は、骨盤、肋骨、胸骨、脊椎、頭蓋、および腕骨および脚骨の端部の骨中に見出される。
【0003】
すべての骨は、制限されないで、骨粗鬆症、骨粗鬆症の骨、骨粗鬆症で骨折した骨幹端および骨端骨、骨粗鬆症椎骨本体、腫瘍に起因する椎骨本体の骨折、特に円形細胞腫瘍、長骨の骨端の虚血壊死、特に近位大腿骨、遠位大腿骨および/または近位上腕骨の虚血壊死、内分泌状態、転移性腫瘍から生じる欠陥を含むような、外傷、疾患プロセス、または骨折によって損傷を受ける。椎骨棘を含む骨は、それらの解剖学的構造の複雑さに起因して処置することが特に困難である。椎骨の有効の処置は、脊髄から発する神経への脊髄の近接によってさらに増悪される。
【0004】
骨折または疾患の骨、特に、椎骨の処置において通俗性を得た2つの最小侵襲的手順は、椎骨形成術(vertebroplasty)およびKyphoplastyである。特許文献1は、椎骨形成術を実施するための方法および装置を記載する。椎骨形成術は、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)のようなセメント様材料が、高圧下で椎骨腔中に直接注入される手順である。このセメント様材料は硬化され、そして硬くなる際に、影響された椎骨への構造的支持を提供する。
【0005】
Kyphoplastyでは、小切開が背中に作製される。蛍光造影技法を用いて、外科医はカニューレを所望の位置に案内し、このカニューレを通じてドリルを挿入し、そして皮質壁を通って海綿質中に穴をあけ、椎骨本体内でチャネルを規定する。ドリルは取り除かれ、そしてバルーンカテーテルがチャネル中に挿入される。このバルーンカテーテルは次いで膨張され、海綿質を内側皮質壁に対して押し、その中に腔を規定する。圧縮骨折のためのこの手順の特定の利点は、バルーンカテーテルの膨張が椎骨高さの部分を回復することである。バルーンカテーテルの収縮および除去の後、椎骨形成術で用いられるセメント様材料のような材料が上記の腔を充填するために注入される。このセメントは硬化され、そして手術部位は閉じられる。
【0006】
経皮的椎骨形成術およびKyphoplastyの改変例が先行技術で知られている。例えば、特許文献2は、骨中、特に、しかし制限されないで椎骨本体中で腔または通路を形成または拡大し、そして改良された様式で骨に治療物質を送達するためにバルーンを用いることを開示する。特許文献3は、骨中の骨折を減少し、そして脊髄を処置するために穂膨張可能なデバイスを用いることを開示する。特許文献4は、ガイドワイヤ上で骨中に挿入される拡大可能な本体を採用することを開示する。特許文献5は、構造を支持するための移植可能な医療用デバイスを用いることを開示する。特許文献6は、高圧アプリケーターからインプラント送達デバイスまでインプラント材料を送達するための導管を用いることを開示する。特許文献7は、硬い組織インプラント材料の経皮的移植を実施するために正確な深さで案内される器具を用いることを開示する。
【特許文献1】米国特許第6,273,916号明細書
【特許文献2】米国特許第5,827,289号明細書
【特許文献3】米国特許第6,632,235号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第US2003−0050644 A1公報
【特許文献5】米国特許出願公開第US2005−0234456 A1公報
【特許文献6】米国特許第6,348,055号明細書
【特許文献7】米国特許第6,033,411号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の手順は、骨損傷および骨疾患の処置において顕著な進歩を提示しているが、それらはリスクなしではない。両方の手順に共通のリスクは、処置された骨中の骨折部位からのセメントの脱出である。これらのリスクは、高い注入圧力に起因して、椎骨形成術でより顕著であり、セメントの骨折部位からの脱出は、血栓症、脊髄狭窄、または神経根圧縮、および稀ではあるが肺動脈塞栓症に至り得る。
【0008】
前述の手順のさらなる制限は、一旦、骨セメントが硬化すると、椎骨本体からのセメントの引き続く除去が、特に脊椎中の椎骨の場合には、禁止的であることである。
【0009】
同様に、前述の方法は、修繕であり、そして、まず第一にこれらの方法の適用を必要にした骨折を引き起こしたか、または起用したかも知れない任意の基礎となる疾患の処置のためには何も提供しない。
【0010】
従って、当該技術分野におけるこれらの最近の進歩にかかわらず、骨骨折および疾患状態を処置するための改良されたデバイスおよび方法に対して継続する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、疾患または損傷骨組織を処置する方法に関し、処置されるべき骨組織中の内部領域を選択する工程、この処置されるべき骨組織の内部領域中にデバイスを挿入する工程、および処置の間にこのデバイスを用いて骨組織を内部で支持する工程を包含する。
【0012】
本発明はまた、カテーテルを備える疾患または損傷骨を処置するためのデバイスに関し、ここで、このカテーテルは、それを通る少なくとも1つの内部通路を規定する主本体、拡大可能な半伸展性構造を備え、ここで、この半伸展性構造は、内部スペース、および除去可能なファスナーを規定し、ここで、このファスナーは、上記カテーテルを上記半伸展性構造に離脱可能に連結する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(詳細な説明)
本発明は、整形外科の外科用デバイスおよび技法の分野に関する。本発明の処置の方法は、除去可能なファスナー、好ましくはスクリューデバイスによって、好ましくは離脱可能な半伸展性構造に連結されるカテーテル67を用いる工程を含む。このファスナーは、カテーテル67を半伸展性構造49に離脱可能に連結し、そして半伸展性デバイス49をカテーテル67に連結し得、そしてこの半伸展性デバイス49をカテーテル67から外し得る。
【0014】
カテーテル67は、それを通る少なくとも1つの内部通路を規定する主本体を有し、上記半伸展性構造は内部スペースを規定し、そしてこの半伸展性構造は、上記カテーテルの内部通路と上記半伸展性構造の内部スペースとの間の連通を可能にするシール可能なポートを備える。
【0015】
「半伸展性構造」は、本明細書中では、展性の拡大可能な非剛直性構造として規定される。これは、完全に伸展性の構造、または剛直性の非伸展性構造とは対照的である。半伸展性構造は、約10%〜約30%の比伸展率を有する構造としてより詳細に規定される。このような率は本発明の範囲にとって非制限的であることが理解されるべきである。この半伸展性構造の伸展率は、この構造が、破壊なくして圧力もしくは力に降伏する率、または、それが液体もしくはその他の材料で充填されるとき、圧力変化の単位あたりの容量変化の単位の見地から、半伸展性構造の膨張性の式のような、そのようにする能力の尺度の式として規定される。
【0016】
この半伸展性構造は、哺乳動物の疾患または損傷海綿質組織内の腔またはその他のスペースのような内部領域に、骨を内部で支持するため、そして/またはこのような疾患または損傷を処置するため、および背中の痛みのようなこのような疾患または損傷の症状を軽減すために、一時的または永久的に挿入され得る。この離脱可能な半伸展性構造は、導入に際し拡大し、代表的には、適切な骨支持材料の、上記カテーテル内の通路を通る注入により、そしてこの半伸展性構造は、その中に骨支持材料の含有および維持を提供する。この離脱可能な半伸展性構造は、好ましくは、拡大に際し、この構造が、処置されるべき骨の内部皮質骨内に規定される腔のような外部領域の寸法に三次元的にほぼ適合し、かつ一致するような形状である。この離脱可能な半伸展性構造は、好ましくは半伸展性膜の使用によって骨折部位から上記骨支持材料の脱出を防ぎ、そしてこの構造からの制御された排出を容易にし、それによって、本明細書中に上記で記載した有害な影響を避ける。
【0017】
上記構造内の骨支持材料のさらなる含有および維持を提供するために、上記構造には、シール可能なポートが提供され得、これを通って上記カテーテルが、この半伸展性構造と連通する。このポートは、カテーテルの離脱に際してシールされ得、上記骨支持材料がこの構造内から押し出されることを防ぐ。この配列は、この構造内の骨支持材料の加圧された含有および維持をさらに容易にする。しかし、上記骨支持材料が硬くなり、そしてこのポートから押し出されることができない場合には、上記ポートは開いたままであり得る。別の実施形態では、上記ポートは、必要に応じて、上記カテーテルがポートに再取り付けされ得、そして骨支持材料が除去され得るように一次的にシールされ得る。
【0018】
この半伸展性構造は、展性および耐久性である任意の適切な生体適合性材料から形成され得、例えば、制限されないで、ステンレス鋼、チタン、(例えば、ポリエステルおよびポリエチレン、ポリ乳酸およびこれらポリマーの互いとの、そしてその他のモノマーとのコポリマーのようなポリマー材料およびプラスチックのような)ポリマー、(例えば、縫合糸材料、Nitinol、またはこのような材料の組み合わせを含む、当業者に公知のような任意のその他の適切な材料のような)再吸収可能な合成材料である。この適切な生体適合性材料は、好ましくは、超弾性であり、そして優れたゴム様形状保持を所有する薄い金属膜材料の形態である。ニッケルおよびチタンの金属合金であるNitinolは、特に適切な生体適合性材料である。なぜなら、Nitinolは、海綿質組織内側の環境のような、生物学的環境の腐食効果に耐える能力を有するからである。さらに、Nitinolはまた、優れた摩耗耐性を有し、そしてNitinolと接触する組織中でニッケルの最小上昇を示す。Betzら、Spine、28(20S)補遣:S255〜S265(2003年10月15日)。移植可能なバルーン中の好ましい生体適合性材料としての適切なNitinolの使用は、米国特許第6,733,513号に開示され、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0019】
半伸展性構造は、好ましくは、拡大可能な三次元バルーンの形態にある。この半伸展性構造が海綿質組織中に永久的に挿入される場合、この構造の生体適合性材料は、例えば、制限されないで、上記に述べられたような適切な表面材料から作製され、組み込みおよび治癒のために骨に都合の良い膜を提供し、そして健常骨細胞の誘引を支援して改善または加速する。
【0020】
疾患が骨骨折の基礎となる原因である場合の適用では、本発明の目的は、この半伸展性構造が、疾患または損傷の処置のためのキャリアとして供されることをさらに企図する。本明細書中で企図される本発明は、原因となる疾患状態の医薬処置、放射線学的処置および熱処置を含む。このような医療処置は、制限されないで、シスプラチン、タキソールTM、アドリアマシンTM、ドキソルビシン、メルファラン、シクロホスファミド、カルボプラチン、メトトレキセートのような薬物を含むような処置、または骨疾患を処置するために当業者に公知の同様の処置を含み得る。このような放射線学的処置は、制限されないで、さらなる骨折および痛みを防ぐための悪性骨疾患の処置、または塞栓形成(経血管閉塞)による悪性骨疾患に適用され得る介入手順のために用いられ得る照射療法を含む。
【0021】
上記骨支持材料は、処置の目的に基づいて選択される多くの材料を含み得る。この処置が永久的骨支持を包含する場合、この骨支持材料は、液体として注入され得、そして次に短時間内に硬くなる骨セメントを含む。上記処置が骨の一時的支持を包含する場合、この骨支持材料は、液体として注入され得、そして支持のために要求される時間の間、液体のままである。それは、処置手順が終了し、そして/またはさらなる処置が必要とされる場合に置換されるとき、容易に引き抜かれ得る。代替の実施形態では、この骨支持材料は、柔軟なゲル様材料の形態であり得、骨構造のための支持およびエネルギー減衰を提供する。
【0022】
種々の図面を参照して観察され得るように、本発明は、海綿質組織17のような骨組織中に規定される腔74中の一時的または永久的配置のための離脱可能な半伸展性構造とともに、少なくとも1つの管腔またはその他の長く延びる通路を有するカテーテル67、好ましくは多管腔カテーテル67を含む。本発明はさらに、制限されないで、骨粗鬆症、骨粗鬆症で骨折した骨幹端および骨端骨、骨粗鬆症椎骨本体、腫瘍に起因する椎骨本体の骨折、特に円形細胞腫瘍、長骨の骨端の虚血壊死、特に近位大腿骨、遠位大腿骨および/または近位上腕骨の虚血壊死、および内分泌状態、転移性腫瘍から生じる欠陥、頸部、胸郭、腰椎のような長骨骨折(すなわち、外傷または自然に生じる骨骨折または骨構造のその他の局所的歪み)、および仙椎骨折などのような、外傷によるか、または疾患プロセスによって骨折した骨を処置する方法をさらに包含する。
【0023】
図6および7に最も良く示されるこの離脱可能な半伸展性構造49は、それが海綿質組織17の内部皮質壁内で選択された腔74の寸法にほぼ一致するような形状である。腔74は、制限されないで、穿孔、膨張可能な前駆体デバイスの挿入、およびその他の関連する方法のような当業者に知られた任意の適切な手順によって内部皮質壁内で簡単に識別され、そして/または規定され得る。この腔74の寸法は、制限されないでX線、CT走査または手術内CT撮像、超音波、コンピューター化断層撮影、MR/CT撮像表示、三次元可視化、光学的局在化、および磁気共鳴撮像(MRI)、または任意のその他の適切な撮像技法のような最小侵襲的撮像−案内技法を用いて予備決定され得る。好ましくは、半伸展性構造49の壁は、約10%〜約30%の伸展率を有し、この構造の、海綿質17または皮質骨の内壁のいずれかを含む腔74の壁との係合を提供する。
【0024】
図2に描写されるように、上記離脱可能な半伸展性構造49は、多管腔カテーテル67の管腔を通る適切な骨支持材料83の注入に際して拡大可能であり、この構造49は、その中の骨支持材料83の含有と維持、および海綿質組織17へのさらなる構造支持を提供する。この骨支持材料83の特徴は、この構造49が永久的移植であるか、またはこの構造49が骨骨折を治癒するに十分な持続時間の間一時的に移植されるかに依存して選択される。
【0025】
永久的移植処置には、上記骨支持材料83は、従来の椎骨形成術またはKypohplasty手順で用いられるような、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)、または(制限されないで、デキストラン、ポリエチレン、カーボンファイバー、ポリビニルアルコール(PVA)、またはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)を含む)その他の適切な生体材料代替物に基づくような、当該技術分野で知られるか、または開発される処方物から作製されるセメント様材料であり得る。より好ましくは、このセメント様材料は、PMMAである。PMMAの詳細な処方物は、当該技術分野で公知であり、そして骨インプラントで一般に用いられている。このような処方物は、制限されないで、例えば、米国特許第4,526,909号および同第6,544,324号に開示されるような処方物を含み、これらは本明細書中に参考として援用される。
【0026】
本発明の主要な目的の1つは、骨折部位からのセメント様材料の脱出およびその生じる生理学的リスクを防ぐことである。この予防は、上記半伸展性構造49内のセメント様材料の含有および維持に起因して可能である。
【0027】
この半伸展性構造49内の骨支持材料83のさらなる含有および維持を提供するために、構造49には、図3および4に示されるような、シール可能なポート32が提供され得、これを通って、カテーテル67が半伸展性構造49と連通する。このポート32は、カテーテル67の離脱に際してシールされ得、骨支持材料83が構造49から漏失する事を防ぐ。この配列はさらに、構造49内の骨支持材料83の加圧された含有および維持を容易にする。さらに、シール可能なポート32はまた、生物学的流体の半伸展性構造49中への浸潤を防ぎ、それによって、内部半伸展性構造49の壁の腐食および分解を防ぐことにより、この構造の耐久性を改善する。あるいは、このカテーテル67は、骨支持材料83が硬化するような時間まで、半伸展性構造49に取り付けられたままであり得る。このような硬化時間は、PMMAが骨セメントとして用いられる場合、一般に、約2〜約10分を要する。一旦、このPMMAが硬化すると、カテーテル67は、次に、図3に示されるように、シール可能なポート32から材料が漏出するリスクを最小にして離脱され得る。図3中の骨組織17とは反対の矢印は、半伸展性構造49中への骨支持材料83の注入後、カテーテル67が移動し、そしてそれから外れる方向を示す。しかし、このプロセスは、潜在的に構造49を一時的に開いて残すので、この構造49中への生物学的流体の浸潤を避けるために必要な程度の注意を払うべきである。
【0028】
本発明のデバイスはまた、海綿質17中の一時的移植のために利用され得、骨の構造を維持し、その一方骨折が治癒することを許容するための金属ロッド、ピンまたはスクリューの挿入に依存する同時手順と比較してより有利な骨設定技法を潜在的に提供する。この事例では、半伸展性構造49は、骨折が治癒する間、上記構造の強度および剛直性を維持するが、後の時間に排出のために骨支持材料83への接近を可能にするためのバルブを有するポートを要求し得る可能性があり得る。この事例では、シール可能なポート32はまた、カテーテル67の再取り付けを提供し、骨支持材料83の除去および骨17からのこの構造の離脱を許容する。
【0029】
骨支持材料83の特徴は、それが、骨が治癒している間、剛直性または半剛直性状態をとり、そして一旦、この治癒プロセスが、内部支持がもはや必要でない点まで進行したなら、溶解、溶け、またはそうでなければ引き抜かれ得るように選択される。一旦、骨支持材料83が半伸展性構造49から排出されると、この構造49は、次いで、骨から離脱され得、骨17の最終治癒を許容する。この半伸展性構造49の金属ロッドまたはピンの利点に対する利点は、その伸展性が、それが離脱されるとき、海綿質17への最小外傷でその除去を容易にすることである。
【0030】
上記半伸展性構造49は、例えば、制限されないで、ステンレス鋼、チタン、(例えば、ポリエステルおよびポリエチレン、ポリ乳酸およびこれらポリマーの互いとの、そしてその他のモノマーとのコポリマーのようなポリマー材料およびプラスチックのような)ポリマー、(例えば、縫合糸材料、Nitinol、またはこのような材料の組み合わせを含む、当業者に公知のような任意のその他の適切な材料のような)再吸収可能な合成材料である。好ましくは、半伸展性構造49は、処置のために選択された骨17の内部構造中に規定される腔74にほぼ一致するか、または適合するようなほぼ形状である生体適合性金属膜材料から形成される。Nitinolとして一般に知られるニッケルとチタンとの合金は、その証明された生体適合性、およびその生物学的環境の腐食影響に耐える能力の結果としてこの適用に良好に適している。この金属膜材料、そして特にNitinolのその他の望ましい性質は、その超弾性および形状記憶であり、これは、海綿質17中に規定された腔74中へのカテーテル67の挿入を容易にする。さらに、Nitinolのストレス−歪み特徴は、上記骨支持材料83と組み合わせて骨17にさらなる構造支持を提供するためにそれを優れた選択にする。
【0031】
上記構造49の永久的配置を含む骨処置には、上記生体適合性材料には、適切な表面処理が提供され、海綿質17内の組み込みおよび治癒のために骨に都合の良いマトリックスを提供する。縫合糸の移植が一時的に回復させる手段である適用では、上記表面は、半伸展性構造49への海綿質17の取り込みを避け、そして半伸展性構造49への海綿質17の接着を減少するために調製され、それによって、離脱を容易にし、そして海綿質17への外傷を最小にする。
【0032】
半伸展性構造49についての広範な範囲の適用に起因して、上記骨支持材料83は、処置の基礎となる目的に基づいて選択される多くの材料を含み得る。この処置が、永久的骨支持のためである場合、骨支持材料83は、先に記載のPMMA処方物のようなセメント様材料を含み、これは、液体、ペーストまたはゲルとして注入され得、そして次に短時間内に硬化または堅くされる。セメント様材料が、半伸展性構造49内に含まれ、そして維持されるので、この材料が、含まれない適用によって遭遇するのと同じ生化学的環境に遭遇しないように、広範な範囲のセメント様材料が可能である。
【0033】
上記処置が骨17の一時的支持のためである事例では、骨支持材料83は液体として注入され、支持のために必要な時間の間には液体のままであり、そして次に、手順が終了したとき、容易に引き抜かれ得る。代替の実施形態では、骨支持材料83は、柔軟なゲル様材料の形態であり得、骨構造のための支持およびエネルギー減衰を提供する。
【0034】
疾患が骨の骨折の原因に寄与するか、またはその基礎である適用には、本発明のさらなる目的は、骨支持材料83が、この疾患の処置のためのキャリアとして供されることを企図する。本明細書中で企図される本発明のこの局面は、原因となる疾患状態の医薬による処置、放射線学的処置または熱処置を含む。
【0035】
医薬による処置のレジメの事例では、金属膜材料の表面は、骨自体内から特定の疾患状態を標的にする時間放出医薬で含浸または被覆され得る。あるいは、この医薬は、上記構造49のために選択された半透過性生体適合性材料を通じて拡散され得、骨17の疾患または損傷を処置する。
【0036】
放射線学的処置の事例では、この放射線学的処置物は、骨支持材料83と、混合物を半伸展性構造49中に、それがこの半伸展性構造49内に含まれ、そして維持されるように導入することにより混合される。この場合には、放射線学的処置物は、海綿質組織17への適切な曝露の後、半伸展性構造49から引き抜かれ得る。さらに、本発明は、構造49の一時的移植を企図するので、それはまた、放射線学的処置の間、またはすべての放射線学的手順の終了後に置換され得る。
【0037】
熱処置は、骨支持材料83が半伸展性構造49中に導入されるとき、第1の例で提供され得る。骨支持材料83の温度は、半伸展性構造49中への導入の前に所望のレベル
調節され得る。あるいは、適切な温度は、選択された骨支持材料83の触媒反応によって達成され得る。骨組織17の再処置は、本明細書中に記載される選択された処置レジメの引き続く引き抜き、および再導入によってなされ得る。
【0038】
上記に記載される実施形態に、その広範な発明的概念から逸脱することなく変更がなされ得ることが当業者によって認識される。それ故、本発明が開示される特定の実施形態に制限されず、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の思想および範囲内の改変を包含することが意図されることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、椎骨の海綿質中に規定された腔中に挿入された、本発明の1つの実施形態による離脱可能な半伸展性構造およびカテーテルの側面図である。
【図2】図2は、骨支持材料によって拡大されたときの、図1の離脱可能な半伸展性構造およびカテーテルの側面図である。
【図3】図3は、図1の半伸展性構造から図1のカテーテルの離脱、および半伸展性構造の封止の側面図である。
【図4】図4は、椎骨中の移植後の半伸展性構造の側面図である。
【図5】図5は、脊髄椎骨およびその中に挿入された関節鏡検査プローブの横断断面図である。
【図6】図6は、半伸展性構造および椎骨本体中に部分的に挿入される関節鏡検査プローブを有する脊椎椎骨の横断断面図である。
【図7】図7は、半伸展性構造および椎骨本体中に完全に挿入される関節鏡検査プローブを有する脊椎椎骨の横断断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患または損傷骨組織を処置する方法であって:
処置されるべき骨組織中の内部領域を選択する工程;
該処置されるべき骨組織の内部領域中にデバイスを挿入する工程;および
処置の間に該デバイスを用いて該骨組織を内部で支持する工程、を包含する、方法。
【請求項2】
最小侵襲的画像案内技法を用いて、前記内部領域を選択する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デバイスが、置換可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスが、前記骨組織を支持し得る構造を有するカテーテルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カテーテルが、拡大可能な三次元半伸展性構造およびファスナーを備え、そしてここで、該ファスナーが、該カテーテルを該半伸展性構造に離脱可能に連結する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カテーテルが、前記半伸展性構造から離脱可能である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カテーテルがそれを通る少なくとも1つの内部通路を規定する本体を有し、前記半伸展性構造が内部スペースを規定し、そして該半伸展性構造が、該カテーテルの内部通路と該半伸展性構造の内部スペースとの間の連通を可能にするシール可能なポートを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記半伸展性構造中に、前記カテーテル内の通路を通り、前記シール可能なポートを通り、そして該構造の内部スペース中に骨支持材料を注入する工程をさらに包含し、それによって、前記骨組織内の三次元半伸展性構造を拡大する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記骨支持材料が硬化し得、前記骨組織のための永久的支持を提供する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
さらに:放射線学的処置材料を前記骨支持材料と混合して混合物を形成し、そして該混合物を前記半伸展性構造中に導入する工程を包含し、ここで、該半伸展性構造が、処置されるべき領域を該放射線学的処置材料に曝すことを容易にし得る、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記放射線学的処置が枯渇されるとき、前記半伸展性構造を、第2の置換三次元半伸展性構造で置換する工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線学的処置が時間放出医薬であり、そして該医薬が前記半伸展性構造を脱出し得、そして該半伸展性構造の表面を被覆する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記半伸展性構造が半透過性材料を含み、そして前記医薬が該半透過性材料を通って拡散し、疾患または損傷を処置する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記半透過性材料が、ポリマー材料、再吸収可能合成材料、縫合糸材料、ニチノール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記材料が、生体適合性のニチノールである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー材料が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ乳酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患または損傷が、骨粗鬆症、骨粗鬆症で骨折した骨幹端および骨端骨、骨粗鬆症椎骨本体、腫瘍に起因する椎骨本体の骨折、円形細胞腫瘍、長骨の骨端の虚血壊死、近位大腿骨、遠位大腿骨および/または近位上腕骨の虚血壊死、内分泌状態、転移性腫瘍から生じる欠陥、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記半伸展性構造が前記カテーテルから離脱可能である請求項8に記載の方法であって:
該カテーテルを該半伸展性構造から離脱する工程;
前記シール可能なポートをシールする工程;および
加圧環境にある該構造内に前記骨支持材料を維持し、それによって、該骨支持材料が該構造内から押出すことを防ぎ、前記骨組織の一時的支持を提供する工程をさらに包含する、方法。
【請求項19】
前記骨支持材料が、液体、ペースト、ゲル、セメント、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記骨支持材料が、セメントである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記セメントが、ポリメチルメタクリレート、デキストラン、ポリエチレン、カーボンファイバー、ポリビニルアルコール、およびポリ(エチレンテレフタレート)からなる群から選択される材料を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記骨支持材料が、液体である、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
さらに:前記カテーテルを前記シール可能なポートに再取り付けする工程;および
前記骨支持材料を引き抜く工程、をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
疾患または損傷骨を処置するためのデバイスであって:
カテーテルであって、それを通る少なくとも1つの内部通路を規定する主本体を備えるカテーテル;
拡大可能な半伸展性構造であって、内部スペースを規定する半伸展性構造;および
離脱可能なファスナーであって、該カテーテルを該半伸展性構造に離脱可能に連結するファスナーを備える、デバイス。
【請求項25】
シール可能なポートをさらに備え、該ポートを通って前記カテーテルの内部通路が前記半伸展性構造の内部スペースと連通する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記カテーテルが、前記半伸展性構造から離脱可能である、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記カテーテルが、骨支持材料を受容し得る、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記ファスナーが、スクリューデバイスである、請求項24に記載のデバイス。
【請求項29】
前記半伸展性構造が、骨中の処置されるべき領域に適合するために拡大し得る請求項24に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−526372(P2008−526372A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550516(P2007−550516)
【出願日】平成18年1月9日(2006.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/000534
【国際公開番号】WO2006/074410
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(507202714)セロノバ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】